段丘は川や海に面して平らな面と崖が階段状に並んだ地形です。平らな面を段丘面、崖を段丘崖といい、川によって作られたものが河岸段丘(河成段丘)です。月刊『地図中心』616号総特集日本段丘図鑑 日本の典型的地形《段丘編》(日本地図センター、2024年1月)20頁に高橋尚志さんの「荒川上流、秩父盆地の河成段丘と気候変動」が掲載されています。



秩父市街地が載る段丘面の地下には過去の荒川が運んだ砂礫の地層がある。その厚さは部分的には葯30mもあり、砂礫で埋もれた「谷」が存在する。これは、葯12.5万年前頃の温暖期に荒川が流れていた谷の名残である。約10万年前頃から地球の気候は徐々に寒冷化して日本列島に接近する台風の数が減り、荒川の洪水の頻度や流量は減少した。その結果、運ばれきれなくなった土砂が堆積して荒川の河床が上昇し、温暖期の谷は埋められて広い河原ができた。
その後、約1万年前頃から気候は再び温暖化に転じ、降水量が増加したことで荒川は再び谷を掘り始め、現在の地形ができた。秩父市街地が載る段丘面は、現在よりも寒冷な時代に荒川が高所につくった広い河原が由来である。荒川の段丘は、日本列島における氷期(寒冷期)・間氷期(温暖期)という長期的な気候変動によって形成された河成段丘の典型例である。
しかし、なぜ関東山地の中で秩父盆地にだけ広い段丘面があるのか?それは、基盤の岩石の硬さの違いに原因がある。秩父盆地周辺の岩石は新第3紀の比較的軟らかい砂岩や泥岩である一方、下流の長瀞付近には相対的に硬い変成岩が分布する。関東山地の中の岩石が少し軟らかいところに、ぽつんと窪んだ秩父盆地と段丘が広がったのである。
秩父市の羊山公園(●)と浦山ダム(◎)から秩父盆地の段丘地形を眺めました。秩父地域の1市4町(秩父市・小鹿野町・長瀞町・皆野町・横瀬町)は2011年にジオパーク秩父として、日本ジオパークに認定されています。羊山公園はジオサイト、浦山ダムは眺望サイトの一つです。
※ジオパーク秩父基本計画 2025~2034(秩父まるごとジオパーク推進協議会、2025年6月)
※生物多様性あきる野戦略(2014年9月)
河岸段丘(かがんだんきゅう):河川の中・下流域において、流路に沿って 発達する階段状の地形のこと。河川の力によって、上流から運ばれてきた土砂が堆積し、さらに河川により削られたりすることで形成される。段丘の構成物などからいつの時代に形成されたかが推定できる。(P.38, P.40, P.74, P.76, P.78)里山(さとやま):地域住民の生活と密接な関わりを持つ集落周辺の雑木林や田んぼ、水路などがある一帯のこと。住民は、生活の一部として、燃料となる薪(薪炭用木材)とり、食料などとなる山菜とり、落ち葉を利用した堆肥づくりなどを行い、里山を利用した。(P.2, P.5, P.6, P.7, P.15,P.21, P.23, P.24, P.28, P.44)
※伊那谷の独特の地形はどうやって出来たのか(同上)
「田切」地形:傾斜地を流れる河川において、両側が崖状になっている地形
















