市民の森の舗装園路でトラップの点検作業をしている時に、坂戸市民の加藤さんからスマホの写真を見せてもらいました。6月20日の午前中に市民の森で撮ったそうです。
牙があったのでイノシシだと言って写真を見せていたとおっしゃっていましたが、姿や体色は6月8日の記事に載せているニホンカモシカと似ています。ニホンカモシカには生え替わらない角はあっても牙はないので、「牙があった」は気になります。
市民の森保全クラブ Think Holistically, Conduct Eco-friendly Actions Locally
第1章 イエネコによる絶滅の記録
ナチュラリストの灯台守
ニュージーランドの固有鳥類とその絶滅
多産系肉食獣・イエネコの狩猟能力が与える打撃
判明していない絶滅前の分布
イエネコの破壊力――ほんの数年で起きた絶滅
第2章 イエネコの誕生と北米大陸での脅威
野生動物の生息地復元とエコロジカル・トラップ
イエネコのルーツ ――ヨーロッパヤマネコ
イエネコの進化と拡散
保全生物学の誕生
環境汚染物質と自然保護
絶滅種の14パーセントに関与
ソコロ島における外来種の影響と対策
野放しネコの影響を科学する
第3章 愛鳥家と愛猫家の闘い
野鳥フィールドガイドの誕生
イエネコと人間の関係史
ネコは社会制度のフィルター――ネコの待遇の変化
銃から双眼鏡へ――フィールドガイドの功績
自然界と人をつなぐバードウオッチング
バードウオッチングとネコの経済効果
屋外ネコと人の関係
野放しネコの実態と世話人
野放しネコに対する世話人の認識
第4章 ネコによる大量捕殺の実態
野鳥への脅威を初めて世に問うたアメリカ人
ナチュラリスト大統領の自然保護政策
法律と現状のミスマッチ
鳥類保護に立ち塞がる困難
野鳥個体群の変動とネコの捕食の影響
ネコの脅威は在来捕食者を超える
野放しネコの直接的影響
全米の野放しネコによる野生動物被害数
嵐の勃発――愛猫家らの反応
第六の大量絶滅
第5章 深刻な病気を媒介するネコ――人獣共通感染症
飼いネコから人に感染するペストの脅威
ネコひっかき病のバルトネラ菌
ネコも媒介する狂犬病
アメリカにおける狂犬病感染の主犯、ネコ
ネコ科動物から大拡散するトキソプラズマ症
「寄生生物操作仮説」の実証
人も発症するトキソプラズマ症
人への感染――妊婦に及ぼす危険と統合失調症
野生動物への影響――カラスと海棲哺乳類の事例
ネコ白血病のネコ科野生動物への感染
第6章 駆除 vs 愛護――何を目標としているのか
絶滅危惧種フエコチドリ
フエコチドリ保護のためのネコ狙撃事件
野放しネコの法的位置づけ
希少種保護のための二つの法律
野生化ネコに対する提案と炎上する議論
拒否された投票結果
オーストラリアのネコ問題
人道的駆除計画
固有動物相を大切にするオーストラリア国民
ニュージーランドの取り組み――キャッツ・トゥ・ゴー
自然保護のジレンマ
動物福祉と環境倫理
第7章 TNR[Trap Neuter Return 捕獲・不妊去勢・再放逐]は好まれるが、何も解決しない
動物愛護協会で譲渡を待つ子ネコ
ボランティアが支えるTNR活動
TNRへの期待、それに続く失敗と限界
動物倫理から見たTNR
不妊去勢手術
地域ネコのTNR活動の現場
殺処分からTNRへ――地域ネコ管理の転換
TNRを支える迷信
TNRが個体数減少に成功するための条件――高い不妊化率と移入ゼロ
TNR失敗要因とバキューム効果の有無
TNRのさらなる問題点――軽視される生態系
オレゴン州の捕獲ワナ――その後
第8章 鳥、人そしてネコにとって望ましい世界
野放しネコの影響をどう考えるか
野放しネコが減らない背景
ネコシェルターの実状
飼い主側の問題
関連団体やペット業界の役割
飼育許可制を目指す
野放しネコの捕獲排除を巡る科学と非科学
TNRの広がりとその効果への疑問
島の捨てネコを減らす――オレゴン州での事例
多様な団体の協同――ハワイの事例
TNRとネココロニーが容認される特例
野放しネコ対策を現実的に考える
野生化ネコ対策の成功事例と費用
致死的排除法と生物多様性への投資
自然に関心を持つことの重要性
第9章 どのような自然が待ち受けているのか?
対応の遅れがもたらす悲劇
大災害としての野放しネコ問題
乗り越えるべき二つの障壁
野放しネコの影響と私たちの未来
注
訳者[外来ネコ問題研究会]あとがき参考文献
索引
本書はネコを生態系の外来捕食者として捉えた初めての本格本である。著者のマラや登場人物のテンプルらと同じように、私たち訳者のほとんどは、生まれ育った国の自然を愛する鳥類学や生態・保全生物学の研究者で、もともとは「ネコ問題」の専門家ではなかった。海鳥、野生のウサギやネズミの研究、保全に携わるなかで「ネコ問題」に直面し、のっぴきならない状況に身を置いてきた。その危急性は、私たちにではなく、ネコに追い詰められる野生動物にこそ存在する。私が研究対象にする東アジア固有繁殖鳥のオオミズナギドリの世界最大繁殖地では、繁殖鳥の95パーセントが滅びた。ある人は、それはネコのせいではないという。他にも原因がある、だからネコに構うな、どの場所も今はネコの定住地なのだから、と。だが、仮にその言葉を容認すれば、その先には野生動物の絶滅が見える。今やネコは日本の多くの平野や山間地で最も巧みな肉食獣となっているだけに、日本の自然は危機的な状況に追い込まれている。とりわけ島でネコのもたらす脅威は目を覆うほどすさまじい。
本書が取り上げるネコは、使役あるいはペット由来のネコである。生物学的にはヨーロッパヤマネコに近縁なリビアヤマネコを祖先にする、イエネコと呼ばれる家畜である。主にネズミ駆除のために人が同伴し、南極を除く世界のすべての大陸と、ほぼすべての有人島に渡った。その子孫たちは今や、所有者がいるネコだけでも世界で5億頭、人と接点を持つ野良ネコや、自立して暮らすノネコにいたっては、推定値すら出ていない。この家畜であるイエネコは、ネコ科動物はもとより、現生哺乳類のなかで人とともに最も繁栄しているといって過言ではないだろう。優れた肉食獣の能力をいかんなく発揮して、分布を広げた多くの地で野生動物を追いやりながら、管理の手をすり抜ける魔法の杖を持っている。その魔法の杖とは、言うまでもなく、人という地球最強の応援団である。そして今や人々のなかに、ある種の戦争をも引き起こしている。ネコ擁護者と野生動物擁護者の間に続く、不毛ともいえる「ネコ戦争」(原著タイトルのCat Wars)である。
振り返れば、「ネコ戦争」が日本で起こったのは、マラらが生まれ育ったアメリカよりも半世紀遅れた。その理由は、ネコ戦争が経済的豊かさの指標と都市化の指標に深く関係するためだろう。両手に得た物質的豊かさと便利な暮らしと引き換えに、両指の間から、ぱらぱらとこぼれ落ちていった自然の豊かさと、都市の暮らしや核家族の寂しさを紛らわす存在として、多くの現代人がペットに生き物の温もり、連帯、心の安らぎを求めた側面が、ネコ問題の根源に存在するからだ。
ネコ問題に潜むもう一つ重要なことは、ネコたちがネコ科特有の感染症を広げ、野生動物のみならず人に脅威をもたらしていることである。これはあまり知られていないが、人とネコが共犯で拡散する怖さがネコ問題に潜む。人獣共通感染症の密かな進行は、愛猫家も動物愛護団体もあまり意識していない盲点といえるだろう。コンパニオンアニマルの双璧をなすイヌに比べてネコの管理が遅れたのは、野外にいるネコの危険性が認識されていないからである。ネコは田舎では害獣駆除の役割を担わされ、街中では散歩の手間が要らない野放しできるペットとして、今も人間側の都合に振り回されているからだ。本書にはネコの感染症の危険性が丁寧に述べられている。
本書は、ネコが生態系に与える影響を測るために、ネコを以下のようにひとくくりにしている点で特徴がある。飼いネコであっても、終日あるいは限られた時間、屋内から外に出るネコは、野外のみで生活する野良ネコ、ノネコとともに、野放しネコと認識されている。外に出る飼いネコも野外に暮らすネコ同様に、多くの野生動物を殺していることが、最新のテクノロジーを使った野外研究からも判明しているからである。[後略]
導入前に、10年かけた調査が必要……ブタクサハムシを大量に輸入して放出すればいいというわけではない。意図的に外来種を導入することがブタクサ防除に効果的だとしても、それが在来種の植物も餌にしてしまうかもしれないからだ。自然生息地でブタクサを主食にしているとはいえ、新たな環境におかれたブタクサハムシが、ほかの重要な穀物を食べる可能性がないとは言い切れない。それゆえ、まずはブタクサハムシがほかの植物にどう反応するのか検証する必要がある。
また、ブタクサハムシがほかの生物とどのように影響し合う可能性があるかについても確認する必要がある。その過程を怠れば、取り返しのつかない厄介な事態を引き起こしてしまう恐れもあるのだ。……
……北米原産の外来植物であるブタクサの天敵で、1995 年に北米から日本に侵入したブタクサハムシが、原産地では食べることのできなかったオオブタクサを餌として利用する能力を、約20年という短期間で進化させていることを発見しました。ブタクサやオオブタクサは花粉症の原因植物として知られている侵略的な外来植物ですが、日本のブタクサハムシで起こった進化によって、ブタクサ・オオブタクサの花粉生産量が抑えられている可能性があります。今後は、この進化によって日本のブタクサ・オオブタクサがどのような影響を受けているのか、また、どのような生理メカニズムがハムシの進化に関わっているのかを明らかにする予定です。
≪9時の情報袋とじ≫ 『ミノムシよ、お前はどこへ行った?』
都会から、いろんなムシたちが消えた!
その気になれば、いつでも見つけることができたムシ...
たとえば、木の枝にひっついたり、
葉っぱから垂れ下がっているミノムシ!
つい最近までは、どこにでもいました!
日本文化にも溶け込んでいたミノムシは、いったいどこへ行ってしまったのか?
本日の情報袋とじでは、そんなミノムシの今についてやくみつるさんに伺いました!
<そもそもミノムシとは?>
ミノムシには2種類あり、「オオミノガ」の幼虫と「チャミノガ」の幼虫がいるのだそうです。
やくさん曰く、
現在いるミノムシの大半は「チャミノガ」の幼虫。しかし皆さんが頭でイメージするのは「オオミノガ」の幼虫なのだとか。
しかし、このオオミノガが現在激減しているのだそうです。
<ミノムシが消えた理由>
オオミノガは何でも食べるので一時はその数がかなり増えたそうです。
そんなオオミノガが消えた理由についてやくさんに伺ったところ、そこにはミノムシの天敵である、「オオミノガヤドリバエ」というハエの幼虫が関係しているそうです。
このオオミノガヤドリバエ、木の葉に産んだ卵をミノムシが食べてしまうと、幼虫がミノムシの中に寄生するのだそうです。幼虫はミノムシの体を食べながら成長して、ハエになって飛んでいきます。
<オオミノガヤドリバエ大量発生の理由>
やくさん曰く、オオミノガヤドリバエは、もともと日本にはいないハエだったそうです。
中国南部や東南アジア、インドなどに生息していたハエで、一説によれば、害虫であるミノムシを退治するために、1990年頃から中国が、オオミノガヤドリバエを大量に放ったのだとか。
つまり、害虫駆除のために放ったオオミノガヤドリバエが日本に来てしまったという事です。
<オオミノガヤドリバエを減らす方法は?>
オオミノガヤドリバエを減らす方法についてやくさんに伺ったところ、なんと、このオオミノガヤドリバエにも天敵が!
それは...「キアシブトコバチ」というハチ!
このハチ、なんでもオオミノガヤドリバエに寄生するハチなのだとか。
高地県内では、オオミノガヤドリバエに寄生するハチが8種類も発見されており、多くのミノムシが救われているそうです!
ミノムシは日本に40種類ほどいるミノガと呼(よ)ばれるガの一種、オオミノガの幼虫(ようちゅう)に付けられた名前なのです。昔、農家の人たちが雨の日にシュロの皮やワラを編(あ)んで作った雨衣(あまぎぬ)を着て作業をしていましたが、それに似(に)ているということで付けられた名前のようです。・『京都新聞』(2008年1月24日)、『毎日新聞』滋賀県版(2008年1月29日)にミノムシが姿を消して「ピンチ」の記事があるようです。
ミノムシという虫がいることは誰(だれ)でも知っていますが、どんな昆虫(こんちゅう)であるかを知っている人は少ないのではないでしょうか。ガの幼虫だということが分かれば、成虫は夜に飛び回るガであることが想像(そうぞう)されます。まさに普通(ふつう)のガの姿(すがた)をしています。
ただし、それはオスだけで、メスは成虫になっても同じ昆虫とはとても思えない姿をしています。脚(あし)も羽も触角(しょっかく)もなければ、目も口もないウジ虫状態(じょうたい)で、一生を通してミノの外に出ることがありません。夕方になると、ミノの下から頭を少しだけ出して、そこからフェロモンといわれる匂(にお)いを放出してオスを誘(さそ)います。
そのころ飛び回っているオスは、その匂いを嗅(か)ぎ取ると、何百メートルも離(はな)れたところからでも飛んで来てメスと交尾(こうび)をするのです。交尾が終わったメスはその場で卵(たまご)を何百個(こ)も産み、しばらくすると地上に落ちて死んでしまいます。
オオミノガはこのように不思議な昆虫ですが、今から30年ほど前に突然(とつぜん)いなくなってしまったか、と思われるほどに姿が見られなくなってしまいました。大陸の方から入って来た天敵(てんてき)のハエの一種に寄生(きせい)されたのが原因(げんいん)といわれています。
葉が落ちた街路樹(がいろじゅ)のサクラやケヤキの枝(えだ)にぶら下がり、その様子は冬の風物詩ともいえる情景(じょうけい)だったのですが、今では絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)になってしまい、残念なことに、気をつけて探(さが)しても時々見つかるくらいになってしまいました。(2017/12/19付 西日本新聞朝刊)
里山ができる前、カブトムシは山の奥でほそぼそと生活していました。サイカチなど山で育つわずかな木が出す樹液を食べ、メスは倒木が分解してできる腐植土の中に卵を産みつけます。
メスは倒木の下にもぐりこんで卵を産み、ふ化した幼虫は倒木の下にたまった腐植土を食べ始めます。
腐植土はそれほどあつく積もらず、腐植土の下は土です。固い木の根元にまで食いこみながら成長してゆきます。
ぼくが倒木から発見した幼虫は、この状態だったのでしょう。倒木の固い部分に食いこむ時に、あの鋭く強い口が役立ちます。
幼虫が成熟すると、土とのさかいめまでふたたびもぐり、さなぎになります。そして夏、山の中では小さなカブトムシが現れてくるのです。
樹液を出す木が少ない奥山では、体が小さいほうが有利です。食べ物が少ないと、虫の数が増えにくいとも考えられます。
深い山にいた飛ぶ力が強く体が軽い小型のカブトムシがその能力を発揮して、新天地の里山を発見し、より豊かな生活ができる場所に生活を移していったというのがぼくの推理です。(『カブトムシ山に帰る』125~126頁)
第12章 カブトムシ、山に帰る※カブトムシ、クワガタ、コクワガタの小型化
奥山で暮らしていたカブトムシは、里山と出会い、豊かで楽な生活を手に入れました。そのおかげで体も大きくなり、数を増やすことができました。
ところがいま里山が消えつつあります。わずかに残る雑木林も荒れ、樹液も腐葉土も少なくなってきたため、カブトムシにとって生活がしにくくなってきました。
とはいうものの、有機農業を本気で考えている人や、庭の草木のために手をかけて堆肥作りをする人は、まだいます。
シイタケ作りはあいかわらず盛んなので、古くなったホダ木は積み上げられ、カブトムシに大いに利用されていますが、雑木林は荒れるいっぽうです。
このように人里に近い場所で、大きなカブトムシが生き続けていける条件はわずかにしか残されていません。
肝心の樹液が出なくなったことが、里で暮らすカブトムシの生活を大きく変えました。樹液がでる木は目に見えて減っています。樹液が出る割合と、カブトムシの数は同じように減少しているのです。
用がなくなった広い雑木林は、開発され、小さくなりました。小さくなると乾燥が始まります。
雑木林が乾燥したり、また逆に湿りすぎると小型のカブトムシが生まれてくることは、九州大学の荒谷邦雄先生の実験で確かめられています。
こうして悪い環境で育った小型カブトムシが、里山でも出現しているのでしょう。(『同書』129~130頁)
●雑木林で新型昆虫を探せ!
新型生物研究所の研究員と、それぞれが調べてきた場所を紹介。
山梨県の八ヶ岳近くの雑木林に新型昆虫を探しに行った。昆虫写真家の山口進さんの案内で昆虫が集まる夜の樹液酒場を探索すると、普通のカブトムシの半分以下の大きさの新型昆虫”小型”カブトムシを発見、この”小型”カブトムシはここ3、4年で増えているという。
●小型カブトムシ 出現の秘密
荒谷邦雄教授によると、カブトムシは幼虫時代の土壌の水分により大きさが変わるため、環境の変化で今後小さな成虫が見られる状況が日本全国に広がるという。
●小型カブトムシ 変わる雑木林
小型カブトムシが増えている雑木林には道路が次々と作られ、土壌を乾燥させる原因となっている。一方、人による手入れがされていない場所の土壌は水分が多すぎ、これもカブトムシが小型化する要因となっている。
●スタジオトーク
スタジオで新型昆虫”小型”カブトムシと普通のカブトムシを比較。カブトムシだけでなく、ノコギリクワガタやコクワガタも小型化しているという。(『TVでた蔵』504774より)
タカチホヘビ(Achalinus spinalis)は本州・四国・九州と、そのすぐ近くの沿岸島などに分布し、全長 30 ~ 60cm(千石,1996)の小型のヘビである。土中、倒木、石の下、落ち葉の下などに生息し、おもにミミズを餌とする。鱗は真珠光沢があり、タイル貼り状で重ならないので皮膚は裸出しているのが特徴である。
埼玉県での本種の記録は少なく、おもに秩父地方での生息が確認されているが、埼玉県レッドデータブック 2008 では絶滅危惧II類に指定されている(埼玉県 ,2008)。……