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岡山県

「カシナガトラップを用いたナラ枯れ被害軽減の試み」(岡山県) 7月23日

TWC被害軽減の試み1カシナガトラップを用いたナラ枯れ被害軽減の試み」は2024年2月14日に開催された岡山県森林研究所の23年度研究成果発表会の展示ポスター(発表者:専門研究員三枝道生さん)です。研究成果をまとめたものに『ナラ枯れに強い森林を目指して-誘引捕殺資材を利用したナラ枯れ対策-』(岡山県農林水産総合センター 森林研究所、2024年4月)もあります。広域を対象としたナラ枯れの効率的な防除技術を確立するとともに、被害発生源となるカシナガの繁殖木の効率的な探査技術及び方法を確立することを目指した「ナラ類集団枯損についての調査研究」(2019~23年度)の研究成果です。


背景と目的
 ナラ枯れとは
  TWC被害軽減の減みA1
 岡山県におけるナラ枯れ被害の推移
  TWC被害軽減の減みみA2
研究内容と成果の一例
 カシナガトラップ(KMC)
  TWC被害軽減の減みB11
 KMCを用いたナラ枯れ被害軽減対策
  TWC被害軽減の減みB12
 調査結果
  TWC被害軽減の減みB2
結果の活用
 効果 注意点
  TWC被害軽減の減みC

『ナラ枯れに強い森林を目指して』(岡山県) 7月22日

市民の森では21年7月にナラ枯れ被害木の発生を確認して以来、21年度は粘着シートのカシナガホイホイ、22年度はペットボトルトラップとクリアファイルトラップ、23、24年度はカシナガトラップを設置して、ナラ枯れ対策に取り組んで来ました。今年度はトラップの設置をしていませんが、広く知見を集めて情報を共有し、防除の取り組みを続けます。

ナラ枯れに強い森林を目指して_01
目次
1.ナラ枯れとは
2.岡山県におけるナラ枯れの発生状況
3.カシナガの穿孔を受けた木の様相
4-1.ナラ枯れに強い林分への誘導技術の検討
 資材紹介:カシナガトラップKMC
4-2.誘引捕殺資材(カシナガトラップKMC)によるナラ枯れ対策の実施上の注意点
5.地域で実施するナラ枯れ対策について
6.IPMという考え方
参考1 ナラ枯れ被害木でみられるフラス
参考2 ナラ枯れ被害木の探し方
参考3 主要な防除方法(誘引捕殺資材を除く)
カシナガトラップKMCの期待される効果
トラップ設置木
• 集まってきたカシナガを捕虫することで、穿孔数の増加が緩やかになり、マスアタックの発生を抑制、枯死を回避。
• ペアリングを抑制することで集合フェロモンの発生期間が長くなり、誘引効果を持続する効果が期待できる。
周辺木
• トラップ設置木への誘引効果を長期化することで、穿孔時期の遅延や被害強度の軽減により、枯死を抑制。
誘引捕殺資材(カシナガトラップKMC)によるナラ枯れ対策の実施上の注意点 
設置期間
 ◎5月中旬~捕虫数が落ち着く時期(9月中旬頃)
 ・カシナガの飛翔前に設置する。カシナガの飛翔数の多い8月中旬を過ぎると新しくマスアタックが発生する可能性は低くなるが、捕虫数が多い場合は引き続き設置をしておくことが望ましい。
設置木の選定
 ◎林冠の開けた明るい箇所にある、周辺木より大きい木を選ぶ。
 ◎生きている木を選ぶ。
 ・カシナガは枯死木には穿孔しない。
設置木の周辺環境
 ◎周辺に灌木や背の高い草が生えている場合は、刈り取る。
 ・カシナガは木に近づくときに、周辺をホバリングするため、開けた環境を好む。
 ◎木に巻き付いたつる性植物を取り除く。
 ・カシナガが資材に近づく妨げになったり、捕獲されたカシナガが脱出する足掛かりになる。
資材の設置方法
 ◎資材はしっかり組み立てる。
 ・捕虫器のふたが開いていたり、接続部が外れていると、捕獲されたカシナガが設置木の根元に集められて、設置木がマスアタックを受ける原因となる。
 ◎できるだけ地際まで設置する。
 ・カシナガの穿孔跡は幹の低いところに多く、その周辺を飛んでいるカシナガを捕獲するため。
管理方法
 ◎定期的に資材を見回りを行う。
 ・捕獲ビンを取り換え
  ・捕獲された虫の量が捕獲ビン内の液面を超えると脱出の原因となる。また、雨水が混入し放置すると捕獲虫が腐敗し、誘引効果低減の原因となる。
 ・資材の不具合の確認、補修
  ・落ち葉等が入っているとそれを足掛かりに虫が脱出する。
   風雨等で資材が外れているとマスアタックの原因となる。
☆見回りをすることで、マスアタックの発生等の異変を早い段階で発見でき、枯損回避に向けた対策の検討・実施が可能になる。
ナラ枯れ対策の考え方の例
 ◎人的な被害発生の予防
  ・人や自動車等の往来が頻繁な箇所
   例:市中の公園、居住地の裏山、道路沿線(街路樹、分離帯)、自然公園の遊歩道、キャンプ場、登山道 等
  ・災害を助長する恐れがある箇所
   例:河川沿線、ハザードマップ(土砂災害)想定区域 等
 ◎景観、地域特有の優先的な保護を要する個体や地域
   例:観光資源(新緑、紅葉、トレッキング)、市町村等指定記念物、社寺有林、鎮守の森、文化財周辺林 等
 ◎産業資源の保護、有効利用
   例:きのこの原木採種林、薪炭林、
     未被害地域における被害発生前の資源利用 等
IPM
 ナラ枯れを含む病虫獣害には、単一の対策では十分な効果を得られず、いくつかの方法を組み合わせたほうが効果的であることがある。防除対策の目的や地域住民の意向、対象面積や実施人数等にあわせた、効果的な被害管理を実施する。
ナラ枯れ被害木でみられるフラス
 ①繊維状:オスによる母孔掘削期
  木の繊維を引きちぎって排出しているため繊維状を示す。
 ②綿くず状:親世代による繁殖準備期
  メスが飛来し、母孔を延長して巣を拡張している段階。メスが持ち込む酵母菌等が付着し、木くずがまとまって綿くず状を示す。
 ③粉状:繁殖期
  繁殖活動が始まっており、幼虫等の排泄物が中心。
カシナガトラップ以外の主要な防除方法
 ◎伐倒燻蒸処理    被害木を伐倒・集積し、燻蒸剤で殺虫
 ◎伐倒粘着資材処理    薬剤使用が制限される地域向け
 ◎立木燻蒸処理    立木のまま燻蒸剤を注入
 ◎立木シート巻き    ビニール・粘着シートで新成虫の拡散防止
 ◎殺虫剤散布    飛翔前に幹へ殺虫剤を散布

伐倒燻蒸処理:被害木を伐倒集積し、ビニールシート被覆をした状態で、燻蒸剤を用いて殺虫処理を行う方法。燻蒸期間は使用する薬剤によって明示されているが、カシナガの脱出が収まる秋まで静置が可能であれば、シートによる脱出抑制効果も期待できる。
☆根株からの新成虫の脱出が多いので、必ず処理する。
伐倒粘着資材処理:薬剤による防除対策が規制されている地域で、伐倒燻蒸処理と同様の手法で実施できる方法。集積した被害材の上部に粘着資材を設置して、ビニールシートで被覆する。設置期間はカシナガの脱出前~脱出が収まる秋まで。ビニールシートによる脱出抑制効果を期待する方法であるが、ビニールシート内に発生したカシナガを粘着資材で捕獲することにより、シートの破損や設置時の瑕疵により脱出のリスクを軽減させる。
☆根株からの新成虫の脱出が多いので必ず処理する。
立木燻蒸処理:対象木を伐倒せずに立木のままで燻蒸剤を注入処理する方法。伐倒、集積工程がないため、伐倒燻蒸処理や伐倒粘着資材処理と比較して、短期間で多くの本数を処理することが可能であるが、手の届く範囲までしか防除できない。穿入生存木に処理をすると、燻蒸剤の影響で枯死する可能性が高いため、穿入生存木への利用は推奨しない。
立木シート巻き:薬剤による防除対策が規制されて立木燻蒸処理ができない地域で伐倒せずに処理できる方法。被害木から新成虫が周囲に拡散するのを予防する。ビニールシートや粘着シート(粘着面を内側にする)を使用する。地際部や根鉢部からの新成虫の脱出が多いため十分被覆する。粘着シートを使用する際は、樹皮に接着すると十分な捕獲効果が期待できないため、樹皮と粘着面の間に少し空間をあけるように設置する。穿入生存木に処理すると、新たな木に移動できないカシナガが、再穿孔して枯死する恐れがあるため、穿入生存木への処理は粘着シートを選択するか、他の方法を検討することを推奨。
殺虫剤による枯死予防:カシナガの飛翔前や穿孔開始初期に木の幹に殺虫剤を散布することで、カシナガの穿孔を抑制する方法。定期的な散布が必要。カシナガを適用害虫として農薬登録されている殺虫剤を使用することを推奨。誘引捕殺資材による対策を行う際に、穿孔数の多い木に散布することで、枯損を抑制が見込める。

岡山県ナラ枯れ被害対策基本方針(21年3月) 7月21日

岡山県内では2009年、鏡野町と真庭市でナラ枯れ被害が初めて確認され、20年度は津山、新見、美作市、奈義、美咲町、新庄、西粟倉村を含む9市町村に広がり、10月末時点で前年度(約4000㎣)の6.5倍(約26,000㎥)が被害を受けています(『津山朝日新聞2021年5月20日)。ナラ枯れ被害の急増に対して、岡山県では未被害地への被害拡大防止と被害に強い森林への転換を目標として21年3月、被害対策の基本方針「岡山県ナラ枯れ被害対策基本方針」を策定しました。
具体的な実施方法として
(1)被害の迅速な把握 航空映像等による被害木の探査、県民からの情報収集等
(2)駆除対策の推進 伐倒くん蒸 、立木くん蒸、伐倒整理(焼却・破砕等) 、誘引捕殺等
(3)予防対策の推進 ナラ類の大径木化がナラ枯れ発生の大きな要因の一つに挙げられていることから、高齢木や大径木の積極的な伐採と利用を促進し、森林の若返りを図る。カシナガの個体数密度を低減し、穿入生存木を増加させることにより、ナラ枯れ被害に強い森林への転換を図るとともに、自然公園や景勝地等の景観上重要な森林などにおいて、被害状況等を踏まえ、予防対策を実施する。 樹幹注入(殺菌剤の注入)、誘引捕殺、被害拡大の恐れのある材の移動の制限等
(4)関係機関との情報共有等 効果的な防除対策を推進するため、国有林、隣接県等との連携を図り、被害情報や駆除対策、試験研究などの情報共有を進めるとともに、倒木、落枝による被害の恐れのある地域での注意喚起を行う。 隣接県との情報交換、被害状況に応じた地域ごとの連絡協議会の設置等

 岡山県のナラ枯れ被害量の推移

岡山県のナラ枯れ被害の拡大 7月15日

市民の森保全クラブの6月の活動日に岡山県のナラ枯れ被害が話題になりました。いつ、どこで、現状など一目でわかる地図などがありましたので掲載しておきます。
岡山県でナラ枯れ始まる(2009年)ナラ枯れ被害拡大(2009~2020)

ナラ枯れの発生状況(岡山県)岡山県地図
岡山県では2008年に初めてナラ枯れ被害が確認され、2013年には被害が減少しましたが、2018年頃までは県北の日本海側に発生地域が拡がりました。、それ以降は発生地域、被害量とも急激に増加しました。2020年がピーク(被害量全国1位)で、その後は被害量は減少していますが、2万㎥以上で高止まりしています。23年時点では岡山市の一部、瀬戸内市、井原市、浅口市、矢掛町などは被害未確認です。

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