ガ
8月21日に青木ノ入で捕まえたシモフリスズメの幼虫。土を入れたバケツに入れておくと、その日のうちに、土の中にもぐりこんでしまいました。幼虫が蛹(さなぎ)になるための準備をはじめる(前蛹)と体色が赤紫っぽい色に変化することは確かめられましたが、その後、脱皮して蛹になる蛹化(ようか))や蛹の観察しませんでした。蛹から蛾になる(羽化)のはもっと先だろうと思って放置していたので、今朝、ガサガサと音がして、バケツを覗くと灰色の羽の蛾になっているのをみた時はおどろきました。樹皮のような地味な翅のスズメガ科のガです。




毎年、この時期になるとオクラの葉っぱを食べているフタトガリコヤガ(ヤガ科)の幼虫です。


去年は一度に50匹もつかまえた日があります。土中にもぐり蛹(さなぎ)で越冬し、5、6月と8.9月の年二回、成虫が現れます。


去年は一度に50匹もつかまえた日があります。土中にもぐり蛹(さなぎ)で越冬し、5、6月と8.9月の年二回、成虫が現れます。
誘蛾灯によるニカメイガ成虫の誘殺 宮下和喜『ニカメイガの生態』(1982年7月)より

イネのニカメイチュウ
蛍光誘蛾灯をつけましょう
誘蛾灯による成虫の誘殺も、古くより有力な防除手段になると考えられてきた。1877年(明治10)、青森県で起った大発生の時には、篤農家楠美勇助という人が、ボンボリによる成虫の誘殺を考えている。その後、明治年代の中頃からはカンテラ灯が用いられるようになり、熊本県では、1894年(明治27)頃からサンカメイガの防除のため、数ヶ村にわたって多数のカンテラ灯による誘殺が実施されている。また、これによる発生消長の調査も1887年(明治10)頃より始められている。
誘蛾灯は、光源がカンテラであろうと電灯であろうと、実際に多数の成虫を殺すのが目に見えるので、防除効果も高いに違いないと信じられやすかった。そのため、農林省もこれによる防除を奨励し、使用数は大正年代から昭和年代のはじめ、さらには第二次世界大戦終了直後まで増えつづけた。大正年代から昭和年代のはじめにかけては、主として誘蛾灯の構造や光源の改良が研究の対象となり、ついて光源の種類や点灯時間、あるいは面積当りの点灯数などについての様ざまな検討が行なわれた。第二次世界大戦がたけなわであった1942年(昭和17)での全国における誘蛾灯の設置数は、電灯約6万、アセチレン灯3万、石油カンテラ25万にも達し、対象面積は32万ヘクタール余にもなったが、大戦の戦局悪化につれてアメリカ空軍の本土爆撃に対する防空上の必要から、全面的に中止されるようになった。……[109~110頁]
……この頃[大正年代]から誘蛾灯の光源を従来の石油ランプから電燈に切り代える場合の必要性から、光源の光の性質や照度と走光性との関係が実験的に大変くわしく調べられはじめた。……そしてそれらの結果は、鏑木らによって取りまとめられ、1939年に発表された[鏑木外岐雄ら 螟虫に関する研究(第3報) 二化螟虫の生態特に趨光性及び趨化性に就いて 農事改良資料第140号]。……誘蛾灯としての光源は、燭光数が大きくしかも近紫外部分の光線を多く発するものが望ましいということになる。
そのため、この方向にそった光源の開発が行なわれ、水銀灯。青色蛍光灯、ブラックライトなどが次つぎと現われた。とくに青色誘蛾灯は、従来の60W白熱電灯の3.5培も多くメスを誘殺できたことから、第二次世界大戦終了直後の食糧難時代における害虫防除の花形兵器として、1947年(昭和22)には全国で約2万5000灯、1948年(昭和23)には、6万8000灯、1949年(昭和24)にはじつに14万灯もの多くが点灯された[石倉秀次・小野小三郎、1959年、イモチとメイチュウ、富民社]。石倉は、各種の誘殺成績を検討し、青色蛍光灯の有効半径は127~145メートル、つまり有効面積は約5ヘクタールにも及び、夏世代幼虫による被害を約40%程度も減少させうると推定した。ところが、この当時わが国はまだ連合軍による占領下にあったため、連合軍総司令部の農業部は、誘蛾灯の大量点灯が害虫と一緒に多種類の天敵をはじめとする益虫を多く殺すという理由もあって、効果に批判的見解を表明し、農林省に奨励を止めさせてしまった。そのため、点灯数は1949年(昭和24)を境にして急激に減ってしまった。[60~61頁]

イネのニカメイチュウ
蛍光誘蛾灯をつけましょう
ニカメイチュウは、毎年どこにでも出ていますが、昨年はこのため全国で200万石以上の減収がありました。この害虫の駆除には、本田の採卵と葉鞘変色茎(さやがれ)の切り取りをていねいに行えば、非常に効き目があります。 また、最近発明された蛍光誘蛾灯(5町歩に1灯)は、驚くほど効き目があります。この設備をぜひ共同で早く行いましょう。[1953年(昭和28)、岩手県の岩谷堂普及所(現・奥州農業改良普及センター)が、農業技術(主に病害虫防除)指導のために作成・使用した手書きの巻物風資料](岩手県農業研究センター第48回・企画展「農業改良普及事業創成期の技術資料」)
宮下和喜『ニカメイガの生態』(1982年7月) 自費出版、136頁
日本応用動物昆虫学会誌 26(2)(1982年)に掲載されている釜野静也さんの新刊紹介によれば、「1章は、食草としてのマコモやイネの分布とニカメイガの分布・拡大との関係を考察している。2章は、明治以後のニカメイガ研究の概要を解説している。3章は、発生・繁殖・習性・発生経過などニカメイガの生態をイネの栽培との関連で取扱い、本書の中心の章である。4章は、ニカメイガ幼虫の加害によるイネの複雑な被害の現れ方およびその防除の歴史が述べられている。5章は、最近ニカメイガが著しく減少しているが、その原因をいろいろの角度から考察している。」
ニカメイガの発育経過 昆虫が1年間に何世代を繰り返すかを化性といいますが、ニカメイガ(二化螟蛾)は、北海道・東北のような寒冷地では年1回、ほかの地域では初夏と晩夏の年2回、沖縄では年4回発生するので、「ニカメイガあるいはニカメイチュウという名は科学的にみて正しいとはいえない」(日本大百科全書ニッポニカ)と書かれていたりします。
「 幼虫は、イネの藁や株内で越冬し、5月ごろに蛹(さなぎ)となり、第1回目の成虫が6月ごろに現れる。夜行性でよく灯火に飛来する。ガは、苗代や田植の終 わった水田のイネに産卵する。一匹の雌は約300粒の卵をイネの葉先に産み付ける。約1週間で幼虫が孵化(ふか)し、若いイネの葉鞘(ようしょう)に孔 (あな)をあけて中に食入する。そして葉鞘や茎の内壁を食べ、5回ほど脱皮し約40日で蛹となる。蛹期間は1週間余りで、8月下旬から9月上旬に第2回目 のガが現れ、ふたたびイネに産卵する。第2回目の幼虫も茎に食入して内壁を食い荒らす。株分けが終わり、穂の出る茎に被害を与えるので、米の収量に直接影 響を及ぼす。イネの刈り取りのころには、幼虫が成熟し、刈り取られた稲藁や切り株の中で越冬する。」(日本大百科全書ニッポニカ)
ニカメイガの世代の呼び方 日本応用動物昆虫学会では、第1世代(1化期 蛹-成虫-卵ー幼虫)、第2世代(2化期 蛹-成虫-卵-幼虫ー老熟幼虫で越冬)。宮下さんは「春世代」、「夏世代」と表現(5~6頁)。
まえがき
第Ⅰ章 ニカメイガは何処からきたか?
第Ⅱ章 研究のエポック
第Ⅲ章 生態に関する研究の進展
1.発育と繁殖
1卵の発育、2幼虫の発育と令、3蛹の発育、4成虫と繁殖、5成虫の発育
2.幼虫と成虫の習性
1幼虫の習性、2成虫の羽化と交尾、3産卵習性、4走光性
3.発生の経過とイネの栽培条件
1発生の経過とイネの栽培条件、2越冬と休眠、3発生数の変動
第Ⅳ章 イネの被害と防除のうつり変り
1.イネの被害の特徴
2.防除のうつり変り
第Ⅴ章 なぜ最近になって勢力が衰えたか?
あとがき
日本応用動物昆虫学会誌 26(2)(1982年)に掲載されている釜野静也さんの新刊紹介によれば、「1章は、食草としてのマコモやイネの分布とニカメイガの分布・拡大との関係を考察している。2章は、明治以後のニカメイガ研究の概要を解説している。3章は、発生・繁殖・習性・発生経過などニカメイガの生態をイネの栽培との関連で取扱い、本書の中心の章である。4章は、ニカメイガ幼虫の加害によるイネの複雑な被害の現れ方およびその防除の歴史が述べられている。5章は、最近ニカメイガが著しく減少しているが、その原因をいろいろの角度から考察している。」
ニカメイガの発育経過 昆虫が1年間に何世代を繰り返すかを化性といいますが、ニカメイガ(二化螟蛾)は、北海道・東北のような寒冷地では年1回、ほかの地域では初夏と晩夏の年2回、沖縄では年4回発生するので、「ニカメイガあるいはニカメイチュウという名は科学的にみて正しいとはいえない」(日本大百科全書ニッポニカ)と書かれていたりします。
「 幼虫は、イネの藁や株内で越冬し、5月ごろに蛹(さなぎ)となり、第1回目の成虫が6月ごろに現れる。夜行性でよく灯火に飛来する。ガは、苗代や田植の終 わった水田のイネに産卵する。一匹の雌は約300粒の卵をイネの葉先に産み付ける。約1週間で幼虫が孵化(ふか)し、若いイネの葉鞘(ようしょう)に孔 (あな)をあけて中に食入する。そして葉鞘や茎の内壁を食べ、5回ほど脱皮し約40日で蛹となる。蛹期間は1週間余りで、8月下旬から9月上旬に第2回目 のガが現れ、ふたたびイネに産卵する。第2回目の幼虫も茎に食入して内壁を食い荒らす。株分けが終わり、穂の出る茎に被害を与えるので、米の収量に直接影 響を及ぼす。イネの刈り取りのころには、幼虫が成熟し、刈り取られた稲藁や切り株の中で越冬する。」(日本大百科全書ニッポニカ)
ニカメイガの世代の呼び方 日本応用動物昆虫学会では、第1世代(1化期 蛹-成虫-卵ー幼虫)、第2世代(2化期 蛹-成虫-卵-幼虫ー老熟幼虫で越冬)。宮下さんは「春世代」、「夏世代」と表現(5~6頁)。
8月28日に採取したキハラゴマダラヒトリが卵を産んでいました。


※この記事はニカメイガと誤認して作成したため、以下の文章はニカメイガについて書いていますが、削除せず残します(2016年8月)。


※この記事はニカメイガと誤認して作成したため、以下の文章はニカメイガについて書いていますが、削除せず残します(2016年8月)。
容器内の数ヶ所に産卵し、右のかたまりには80粒強の卵があります。メスは交尾後1~2日から産卵し平均300粒、数十粒ずつかたまりでイネなどの葉の表に産卵するそうです(ニカメイチュウ[ニカメイガ]の生態 『BOUJO.net 病害虫・雑草の情報基地』より)。
この記事は、キハラゴマダラヒトリをニカメイガと誤認して書いてしまいました。写真はキハラゴマダラヒトリです。
交尾中のキハラゴマダラヒトリ(ヒトリガ科)。


以下、ニカメイガについての引用です。
※ニカメイガをモデルとする種の絶滅過程の研究―絶滅危惧種を救うために― 桐谷圭治・田付貞洋(『植物防疫』2011年5月号)
交尾中のキハラゴマダラヒトリ(ヒトリガ科)。


以下、ニカメイガについての引用です。
※ニカメイガをモデルとする種の絶滅過程の研究―絶滅危惧種を救うために― 桐谷圭治・田付貞洋(『植物防疫』2011年5月号)
かつての害虫としての猛威は,1953年の佐賀平野での大発生にうかがうことができる。佐賀平野中心部の城田での誘殺数は,1950年の200頭前後から「漸進大発生」の様相を示し,1952年の第1世代では100倍の20,000頭をこえ,翌年53年の越冬世代で23,000頭を記録したが,その後同年第1世代になると大発生は崩壊し,誘殺数も300頭前後に激減した(桐谷,2009)。この大発生時には,幼虫がイネ茎を食い荒らす音が畔に立っていても聞こえたそうである。さらに,幼虫の集団移動が生じ,その際には通常の寄主植物ではない,サトイモ,メダケ,タカナ,ダイコンまで加害されたと記録されている。また,農民がトラックを仕立てて「BHCかホリドール(パラチオン)をよこせ」と農薬会社の工場におしかけたのもこの時である。※ニカメイガ(岐阜大学応用生物科学部昆虫生態学研究室HP)
ところが,1960年代の日本の高度成長期を境にニカメイガの生息密度は減少し続けた。現在では「並のイネ害虫」,あるいは「ただの虫」,さらに地域によってはほとんど「絶滅危惧種」に近い状態にまで至っている……(20頁)
児沢の田んぼの畔にいました。セズジスズメ(スズメガ科)の幼虫です。

幼虫は、ヤブカラシ、ノブドウ、ホウセンカ、サトイモ、テナンショウ、コンニャク、カラスビシャク、ムサシブミなどを食餌(しょくじ)とするそうです。
※昌子のお庭は虫づくし>スズメガの見分け方1

幼虫は、ヤブカラシ、ノブドウ、ホウセンカ、サトイモ、テナンショウ、コンニャク、カラスビシャク、ムサシブミなどを食餌(しょくじ)とするそうです。
※昌子のお庭は虫づくし>スズメガの見分け方1
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