岩殿満喫クラブ 岩殿 Day by Day

市民の森保全クラブ Think Holistically, Conduct Eco-friendly Actions Locally

岩殿グループ写真館

岩殿グループ写真館(2023.12.27)① 1月2日

12月27日、物見山公園、正法寺、入山谷津で3月24日(日曜日)に実施する自然観察会の下見をしました。
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キチジョウソウ(キジカクシ科)
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ヤマコウバシ(クスノキ科)
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サザンカ(ツバキ科)
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ヒイラギ(モクセイ科)
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シロダモ(クスノキ科)
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スズメウリ(ウリ科)
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オギ(イネ科)
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岩殿グループ写真館(2023.12.27)② 1月2日

オオアレチノギク(キク科)、キツネアザミ(キク科)
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キッコウハグマ(キク科)
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マルバアオダモ(モクセイ科)
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カワラタケ(担子菌類、サルノコシカケ科)(タマチョレイタケ科)(タコウキン科
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※佐々木史「カワラタケの里山における栽培技術の開発」(『とやま森林研究所たより』№19、2018年5月)
「椎茸栽培」原木栽培の基礎とほだ木の作り方(『なりゆきDIY』2017年2月記事)

ヒイラギモクセイ(モクセイ科)ヒイラギとギンモクセイの交雑種
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ヘリグロテントウノミハムシの食害
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成虫の縁は黒くテントウムシに似て人が近づくと跳躍して逃げるので「ノミ」のようだということから名付けられたものです(株式会社宮城閑居保全研究所HP)。

イセリアカイガラムシ(ワタフキカイガラムシ科)
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イセリヤカイガラムシ(和歌山県HP)
加害部位:葉、枝、樹幹部に寄生し、多発した場合は樹勢の低下や枝枯れを引き起こす。また甘露を分泌し、すす病を誘発する。ヤノネカイガラムシ等と異なり移動する。 卵胎生であり、1世代目で400、2世代目で1600、3世代目で200匹の幼虫を産出する。
年間発生回数:1世代目が5月上・中旬、2世代目が7月上・中旬、3世代目が9月~11月に発生。温暖地域では幼虫・成虫が常に混在し、発生が不斉一。
天敵:大正時代にオーストラリア原産のベダリアテントウが導入され、効果を発揮した。
防除対策:第1世代幼虫発生初期の防除効果が高いため、薬剤防除以外には天敵(ベダリアテントウ)による生物防除がある。
防除時期:第1世代:6下旬~7月上旬、第2世代:8月中旬~下旬

ベタリアテントウムシ(テントウムシ科)
古橋嘉一「ベタリアテントウムシの導入から百年」(『植物防疫』64巻5号、2010年)

クビアカツヤカミキリのフラス(幼虫が排出する木屑と糞が混じったもの)
幼虫が、生きたサクラ、モモ(ハナモモ含む)、スモモ、ウメ、プルーン、アンズ、サクランボ(おうとう)、アーモンド等の内部に入り込み、1~3年かけて樹木の内部を食い荒らし、その結果、樹木が衰弱・枯死してしまう。
22263クビアカツヤカミキリ(栃木県)_1クビアカツヤカミキリ(栃木県)_2クビアカツヤカミキリ(栃木県)_3
幼虫の活動期(食害する時期)は 4 月頃から10月頃までで、活動期間中の幼虫は、「フラス」と呼ばれる食べた木屑と糞の混合物を、幹や枝に開けた孔(排糞孔)から盛んに排出します。本種のフラスは薄い切片状の木屑を多く含み、棒状やかりんとう状につながることが 多いのが 特徴で 、 幼虫の成長とともに太く、量も多くなります。(東京都環境局『クビアカツヤカミキリ防除の手引』2023年3月、3頁)

イノシシの糞、けもの道
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岩殿グループ写真館(2023.11.19)① 11月20日

岩殿谷津田自然くらぶ主催で11月19日、秋の自然観察会を実施しました。11月15日のコース下見時の写真と併せてご覧ください。
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見晴らしの丘から雪化粧の富士山が見えました。
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ヤクシソウ(キク科)
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センブリ(リンドウ科)
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アケボノソウ(リンドウ科)
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奥日光・戦場ヶ原

アラカシ(ブナ科)
21694

シラカシ(ブナ科)
21695
さいたま市

ヤマコウバシ(クスノキ科)
21697

カツラ(カツラ科)
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ヒヨドリジョウゴ(ナス科)
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ヤマノイモ(ヤマノイモ科)、スズメウリ(ウリ科)
21702

センダン(ビャクダン科)
21705

岩殿グループ写真館(2023.11.19)② 11月20日

マメガキ(カキノキ科)
21706

セイタカアワダチソウ(キク科)
21707

カントウヨメナ(キク科)
21708

キッコウハグマ(キク科)
21709
ガガンボ(ガガンボ科)

ヤブミョウガ(ツユクサ科)
21710

ツチグリ(ツチグリ科)
21712

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ニクイロババヤスデ(ババヤスデ科)
ヤスデについて ヤスデは多足類の中で最も歩肢の数が多くムカデ同様、頭部と胴節で構成されています。ムカデとの大きな特徴の違いは胴節から二対の歩肢が生えることと食性です。ムカデが肉食性なのに対してヤスデは朽木や枯葉、腐葉土などを接食する植食性です。ムカデに比べて歩行速度も遅く捉えることも容易です。外敵からの防御方法として丸まることと臭気のある分泌液を分泌することです。本来は敷地などの石下やブロックの下、倒木の裏などの湿気のある場所でひっそりと暮らしていますが繁殖期になると大量のヤスデが発生します。梅雨の時期などに溺死を防ぐため高いところに上る習性があるため、建物の基礎を伝って室内に侵入される被害が出ます。
ニクイロババヤスデ(YouTubeの『夢みるドリー』チャンネル)  1:10 
 


岩殿グループ写真館(2023.11.15)③ 11月17日

ガマ(ガマ科)
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ヒロハホウキギク(キク科)
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北アメリカ原産

ヒメジソ(シソ科)
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ヤナギイノコヅチ(ヒユ科)
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クヌギハケタマフシ
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クヌギハケタマバチ(タマバチ科)
オスとメスがいる両性世代とメスだけの単性世代を交互にくり返す。成虫の姿、虫こぶの形やつくられる部位は2つの世代で異なる。
クヌギハケタマバチ
クヌギハケタマバチが初夏にクヌギの葉裏に産卵し、その幼虫がクヌギハケタマフシと呼ばれる虫えいを作る。虫えいは9月下旬頃落下し始め、11月頃クヌギハナカイメンタマバチ(全て♀)が羽化し、成虫で越冬する。クヌギハナカイメンタマバチは春先にクヌギの雄花に産卵し、その幼虫がクヌギハナカイメンフシと呼ばれる虫えいを作り、そこから羽化する成虫をクヌギハケタマバチ(♂♀がいる両生世代)と呼ぶというややこしい関係がある。(『柏の葉の野鳥 Homepage』の「クヌギハケタマバチ(クヌギハナカイメンタマバチ)」)
タマバチの世代交番(井手竜也さんの『TAMABACHI JOHO-KAN』)

セスジツユムシ(キリギリス科)
21628

ヒロヘリアオイラガ(イラガ科)
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アオマツムシ(マツムシ科)
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♂はハネに茶色の部分がある
明治頃帰化した外来種

ツヤアオカメムシ(カメムシ科)
21632

岩殿グループ写真館(2023.11.15)② 11月17日

カラスウリ(ウリ科)
2161921620

ノササゲ(マメ科)
21621

アオツヅラフジ(ツズラフジ科)
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ヤマノイモ(ヤマノイモ科)
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ヤマノイモ(ヤマノイモ科)、オニドコロ(ヤマノイモ科)
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チゴユリ(イヌサフラン科)
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センニンソウ(キンポウゲ科)
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サルトリイバラ(サルトリイバラ科)
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コボタンヅル(キンポウゲ科)
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岩殿グループ写真館(2023.11.15)① 11月17日

秋の自然観察会(11月19日)のコース下見での写真です。
ヤクシソウ(キク科)
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コウヤボウキ(キク科)
21608

センブリ(リンドウ科)
2160921610

ノハラアザミ(キク科)
21611

アキノキリンソウ(キク科)
21588

キッコウハグマ(キク科)
2159221613

アノダキャンデーカップ(アオイ科)
21615

コウヤボウキ(キク科)、テーダマツ(マツ科)
21616

テーダマツ(マツ科)
21617

オトコヨウゾメ(ガマズミ科)
21618

岩殿グループ写真館(2023.10.27)④ 11月1日

ハラビロカマキリ(カマキリ科)
2117621175

クヌギエダイガフシ・クヌギエダイガタマバチ(タマバチ科)
21178
     (宮國晋一さんの『すばらしいドングリの世界』)
いろいろな虫こぶ(九州大学総合研究博物館『昆虫のヒミツ図録
タマバチ科の多くの種は、コナラ属の植物に虫こぶを作り、世代交番をおこなう。世代交番とは、オスとメスのいる両性世代とメスだけの単性世代とを交互に繰り返す現象で、同種であっても二つの世代間でゴールの形成部位や形態、そして成虫の形態も異なる。「なぜ性はあるのか」という生物学の重要問題を考える上で、世代交番という現象は大変興味深い。(図録12頁)
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オオカマキリ(カマキリ科)、クズ(マメ科)、ヤマノイモ(ヤマノイモ科)
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ルリタテハ(タテハチョウ科)
21182

ウラギンシジミ(シジミチョウ科)
21183

ヤスジツユムシ(ツユムシ科) 緑色型の♀
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岩殿グループ写真館(2023.10.27)③ 11月1日

ノササゲ(マメ科)
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スズメウリ(ウリ科)
21202

シロダモ(クスノキ科)
212032120421205

ノハラアザミ(キク科)
21206

ヤマハッカ(シソ科)
21207

ツルタケ(テングタケ科)
21185


岩殿グループ写真館(2023.10.27)② 11月1日

ユウガギク(キク科)
21194

ヒメジソ(シソ科)
21195

タコノアシ(タコノアシ科)
21196

カントウヨメナ(キク科)
21197

アオツヅラフジ(ツヅラフジ科)
21198

オニドコロ(ヤマノイモ科)
2119921200
所沢と野老(所沢市立所沢図書館HP「所沢の市章 所沢と野老」)

所沢とトコロを結び付けるものはなんでしょうか。それは、地名にあります。

「ところさわ」という地名は、文明19(1487)年、室町時代に書かれた『廻国雑記』や、文化12(1815)年に書かれた 『武蔵野話』に見られるように、古くは野老沢と書きました。

地名の由来は、在原業平(ありわらのなりひら)がこの地に寄った時、付近一帯が沢で、トコロが多く自生していたので「ここはトコロの沢か」 と言ったのを伝え聞いて村名としたという説と、アイヌ語が語源であるという説があります。

アイヌ語で沼地・低湿地を意味する「ト・オロ」という言葉と「沢」同じ地形を表す言葉が重なって「ところさわ」と呼ばれていたところに「野老」の字が 当てられたという説です。「ところ」や「とろ」またはこれに近い発音を持つ地名が、「ト・オロ」にあたる地形で数多く見られます。 こちらの説では、在原業平の話は出所が明らかでなく、後世地名の由来を説明するために作られた話としています。

いずれにしても、トコロが自生していたのでしょう。『廻国雑記』には「野老沢といへる所へ遊覧」に行き、

「野遊のさかなに 山のいもそへて ほりもとめたる 野老沢かな」

と詠んだとされています。(K)

野老(『コトバンク』)

岩殿グループ写真館(2023.10.27)① 11月1日

見晴らしの丘から
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ササガヤ(イネ科)
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ガマズミ(ガマズミ科)
21179

ヤブムラサキ(シソ科)
21180

コウヤボウキ(キク科)、ヤブコウジ(サクラソウ科)
21184

コウヤボウキ(キク科)、ガガンボ(ガガンボ科)
21189

オトコヨウゾメ(ガマズミ科)
21186

アキノキリンソウ(キク科)
2118721188

オケラ(キク科)
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岩殿グループ写真館(2023.09.25)② 9月28日

クヌギハケタマフシ
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クヌギハ(葉)ケ(毛)タマ(玉)フシ
クヌギハケタマバチ(タマバチ科)

ワキグロサツマノミダマシ(コガネグモ科)
20581

シロオニタケ(テングタケ科)
20532

ナラタケモドキ(キシメジ科)
2052420525

2052620527

比較・ナラタケ(キシメジ科)
2052820529

ナラタケモドキ病については「定例活動日 2023年9月24日記事」後半を見てください。

岩殿グループ写真館(2023.09.25)① 9月28日

11月19日(日曜日)に岩殿入山谷津で実施する秋の観察会の打ち合わせをしました。
◎岩殿谷津田自然くらぶ・秋の観察会 チラシ

ヤブマメ(マメ科)
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カワラスガナ(カヤツリグサ科)
20522

ノアズキ(マメ科)
20523

ヤマジノホトトギス(ユリ科)
205332053620538

比較・ヤマホトトギス(ユリ科)
20537

ヒヨドリバナ(キク科)
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チカラシバ(イネ科)
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ヤナギバイノコズチ(ヒユ科)
20583

イボクサ(ツユクサ科)
20585

岩殿グループ写真館(2022.05.22)②

岩殿谷津は昆虫などの生きものたちの季節となりました。
谷津田の初夏は柳絮が舞い、夏鳥やシュレーゲルアオガエルの鳴き声に包まれています。スゲ類の花、イネ科のアシボソの幼葉がマット状に拡がる畦地、草木に訪花する昆虫、あちこちに生きものたちの躍動が垣間見られました。この日、梅雨、盛夏への序章という季節感を満喫しました。

ヒゲナガハナノミ(ナガハナノミ科)
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林成多「ナガハナノミのページ~ナゾの多い水生甲虫の生態に迫る~」 2008年2月
林成多「日本産ヒラタドロムシ図鑑」 2009年5月
吉富博之「ヒゲナガハナノ ミの幼虫の生息場所」(『甲虫ニュース』第122号、1998年6月)
筆者は、 愛知ll豊田田市西広瀬において、 本種の幼虫を観察しているので、 生態的な知見を報告する。
幼虫の生息場所は水分の多い休耕田であった。幼虫は秋から春にかけて、 水中にある落ち葉や倒木の下などで多く観察できた。尾突起を水面に突出させている幼虫もいた。 動作は緩慢で、 おそらく有機物を食していると考えられる。 蛹については観察することができなかった。 この休耕田にはヒメタイコウチやイ モリ なども生息していた。
林 (l 986a) の観察とは、幼虫の体に泥がこびりついていない点と、 土中からは採集されなかった点が異なっている。 おそらく 、 通常の幼虫の生息場所は湿地中の水中であり、 蛹化する際に土中に潜り込むのではなかろうか。……
林成多・吉富博之「水生ナガハナノミ科幼虫概説」(『さやばね』№27、2017年)

アワフキムシ(カメムシ目アワフキムシ上科の昆虫の総称)
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アワフキムシ図鑑昆虫エクスプローラ

イリモンジカメノコハムシ(ハムシ科) ヤブムラサキ(シソ科)

ダイミョウセセリ(セセリチョウ科)
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ヤマトシリアゲ(シリアゲムシ科) クサイチゴ(バラ科)
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クビキリギス(キリギリス科)
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ジョウカイボン(ジョウカイボン科)

サクラハトサカフシ
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サクラフシアブラムシ(サクラコブアブラムシ)が作る虫こぶ

セイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシ(アブラムシ科) ナナホシテントウ(テントウムシ科) 
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コミスジ(タテハチョウ科)
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コチャバネセセリ(セセリチョウ科) イボタノキ(モクセイ科)
17466

ミナミヒメヒラタアブ(ハエ目ハナアブ科) ハルジオン(キク科)
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キスジホソマダラ(マダラガ科) イボタノキ(モクセイ科)
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キイロホソガガンボ(ガガンボ科)
17469

シマサシガメ(サシガメ科)
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サメハダツブノミハムシ(ハムシ科)の食痕 アカメガシワ(トウダイグサ科)
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エゴツルクビオトシブム(オトシブミ科) エゴノキ(エゴノキ科)
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岩殿グループ写真館(2023.05.22)①

初夏の谷津田はマルバヤナギの柳絮[りゅうじょ]が小雪のように舞い、晴れ間がのぞくとハルゼミの「ギーギー」「ムゼームゼー」の鳴き声が市民の森の松林から聞こえてきます。沼地からは「コロッコロッ」と巻き舌ふうに奏でるシュレーゲルアオガエルの鳴き声が谷津田に響きます。春告げ鳥のウグイスも夏ともなると洗練されたさえずりを奏でます。目に青葉の季節には「トッキョトキャキョク」と鳴くホトトギス。こんな生きものたちのBGMを聴きながら、打ち合わせ・調査・観察をしました。そんな梅雨間近の谷津田の風景を以下、画像レポいたします。

柳絮舞う入山谷津
マルバヤナギ(ヤナギ科)
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マグワ(クワ科)、ヤマグワ(クワ科)
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マグワとの違いは柱頭の残存

スイカズラ(スイカズラ科)
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ネズミモチ(モクセイ科イボタノキ属)
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別称:タマツバキ
ネズミモチはイボタノキと同属
なおトウネズミモチ(モクセイ科)の花期は6〜7月で開花は1月ほど遅い

ウグイスカグラ(スイカズラ科)
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ヤマコウバシ(クスノキ科)
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アカシデ(カバノキ科)
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アゼガヤ(イネ科)
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岩殿谷津田自然くらぶ 4月29日

岩殿谷津田自然くらぶが4月1日に発会。今日は初の活動日です。二宮さん(代表)、小野さん(事務局)と入山谷津の植物調査をしました。
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岩殿谷津田自然クラブは「自然観察を通して岩殿谷津田の魅力を発信する自然保護プロジェクト」を東松山市環境基本計画93年度市民プロジェクトに登録しています。
 岩殿満喫クラブの岩殿グループでは、2016年から岩殿丘陵入山谷津とその周辺で70回、植物調査を実施してきました。フロラ調査では500種の植物をリストアップし、コドラート調査では入山谷津の谷底に10m×50mの帯状のエリアを置き、5m×5mの正方形20個の調査枠で、枠内の植物の種類や分布を調査しています。活動の様子はこのブログのカテゴリー「植物調査」、「岩殿グループ写真館」でご覧ください。今日からの記事はカテゴリー「岩殿谷津田自然くらぶ」です。

岩殿谷津田自然くらぶは今年度の事業として、①入山谷津の四季折々の植生変化を学ぶための定点観察会開催。②耕作放棄地、休耕田の植生変化を記録するための湿地コドラート調査。③谷津田の林縁のそで群落、マント群落は希少なつる性植物や生きものの棲息地なので、保護のための記録調査を実施し、名札付け、マーキング、名板、支柱などを設置。 ④ブログなどで情報発信、観察の栞などの発行を計画しています。自然観察会や会の活動について関心のある方はお知らせください。


自然観察会を通じて、これまでの植物調査の成果を市民共有のものとし、さらに参加者が自然観察の楽しさ、大切さを学びながら、自然を守る活動、豊かな自然を次世代につなぐ活動に取り組んでいく機会を提供します。九十九川の源流である岩殿谷津は都市近郊に残された希少な緑の空間です。この谷津の魅力を東松山市民はもとより、広く市外、県外の人たちにも発信して、共感、理解者を増やすための活動をすすめていきたいと考えています。

岩殿グループ写真館(2023.03.28) 3月30日

岩殿入山谷津の春
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モミジイチゴ(バラ科)の咲く斜面林
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ミゾソバ(タデ科)の幼葉
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イタドリ(タデ科)
16067

サルトリイバラ(サルトリイバラ科)
16068

ハナビラニカワタケ(シロキクラゲ科)
16072

ルリタテハ(タテハ科)♂
16065

岩殿グループ写真館(2023.03.01) 3月23日

イヌシデ(カバノキ科)の胴吹きの芽
15793

ナツツバキ(ツバキ科)にからむテイカカズラ(キョウチクトウ科)
15794

ネムノキ(マメ科)の樹皮
15796

干からびたガマズミ(ガマズミ科)の実
15799

ナワシログミ(グミ科)
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ヤマコウバシ(クスノキ科)
15802

オオミズアオの蛹
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オオミズアオ成虫(2018年5月11日記事)

コガモの羽
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岩殿グループ写真館(2023.02.08)④

オニノゲシ(キク科)
14900

オニタビラコ(キク科)
14901

ノボロギク(キク科)
14856

トキリマメ(マメ科)
14871

ノハラアザミ(キク科)
14872

センニンソウ(キンポウゲ科)
148801488114882

カラスウリ(ウリ科)
14895

コウヤボウキ(キク科)
14896

岩殿グループ写真館(2023.02.08)③

イヌシデメフクレフシ
1487614875

アカシデメムレマツカサフシ
1487714878

アカシデメフクレフシ
14879

イヌツゲメタマフシ
1488414886

フタモンアシナガバチの巣?
1488714888

ウグイスの巣
1488914890

ヤママユガの繭
14891

オオカマキリの卵のう
14902

岩殿グループ写真館(2023.02.08)②

テイカカズラ(キョウチクトウ科)
148161489214893

スイカズラ(スイカズラ科)
14883

サルトリイバラ(サルトリイバラ科)
1489714898

ゴンズイ(ミツバウツギ科)
14899

ツルウメモドキ(ニシキギ科)
14904

追加岩殿グループ写真館(2022.06,21)①に写真を掲載している作業道下のニワトコは剥皮されていました。

岩殿グループ写真館(2023.02.08)①

今年初めての岩殿入山谷津の観察・調査。この日、アカシデ広場の西側、市民の森のアズマネザサ群落の幼木の実態調査をしました。森に入るとカシナガキクイムシの被害木のクヌギ、コナラが先ず目に入ります。林床はかつての用水沼縁に至る一帯に広がるアズマネザサ群落です。分け入ってみました。ネザサに覆われた中には意外に多くの実生木、萌芽した樹種が見られました。以下、ざっくりと上げてみます。
主役のコナラ、クヌギ、ヤマザクラ、脇役のミズキ、カマツカ、エゴノキ、ヤブデマリ、クサギ、アカメガシワ、ガマズミ、ヤブムラサキ、リョウブ、低木のコウヤボウキ、モミジイチゴ、常緑のヒサカキ、シロダモ、アオキ、アセビ、実生のタブノキなども見られました。つる性のテイカカズラ、キヅタ、アケビ、サルナシなども見られました。この季節、その同定に役に立つのは冬芽の姿です。午後はボッシュ林、作業道の林縁、休耕田の草地周辺を観察しました。先日の大寒波の強風に拠ると思われる冬越し生きものたちの落下物、ヤママユガの繭、フタモンアシナガバチの巣、ウグイスの巣などが林縁に落ちていました。昆虫類はほとんど確認できなかったですが、ルリタテハ、キチョウが飛んでいました。枯れ草の下にはコモリグモのなかまが動き回っていました。
以下、この日の観察、その一部をご報告いたします。
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ウメ(バラ科)
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サンショウ(ミカン科)
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イヌザンショウ(ミカン科)
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クヌギ(ブナ科)
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ツルグミ(グミ科)
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ヤマコウバシ(クシノキ科)
1486614874

ウグイスカグラ(スイカズラ科)
148671486814869

カマツカ(バラ科)
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リョウブ(リョウブ科)
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岩殿グループ写真館(2022.12.23)⑥

ゲンゲ
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レンゲソウ、レンゲとふつう呼ばれるが、ゲンゲが標準和名。

クヌギエダイガフシ
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カメノコテントウ
1413914140

ボーベリア菌により死亡したゴマダラカミキリ
1407414075
昆虫病原糸状菌という菌の仲間で、昆虫の身体で菌を増殖させ弱らせて死亡させ、死骸は乾燥してミイラ状になる。糸状菌類とは、糸状の菌糸で生活する微生物で、「カビ」と呼ばれている。酵母やキノコとともに真菌類に属する。



岩殿グループ写真館(2022.12.23)⑤

ヘクソカズラ
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1415714171

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トキリマメ
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ナガバジャノヒゲ
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サルトリイバラ
1411114109

スズメウリ
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エノキタケ?
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スエヒロタケ
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樹種:広葉樹、時に針葉樹にも発生
腐朽型:枝や幹の心材腐朽;白色腐朽
分布:全国
 (『緑化樹木腐朽病害ハンドブック』日本緑化センター)

スエヒロタケ(末広茸、スエヒロタケ科)
   (『但馬情報特急』「たじまの自然」2018年12月2日記事)

岩殿グループ写真館(2022.12.23)④ 

入山谷津のビスタライン
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チガヤ
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オギ
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ネムノキ、ウメ、ヒサカキ
140881410514104

ヤマコウバシ、ゴンズイ
1410714118

岩殿グループ写真館(2022.12.23)③

ハンノキ、コナラ、ミズキ
140711406914070

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140941408214083

キショウブ
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岩殿グループ写真館(2022.12.23)②

ノイバラ
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コナラ
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クサイチゴ
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センニンソウ
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センニンソウ(キンポウゲ科)の果実(痩果)には花柱に羽毛のような毛があり、種子の風による散布に役立っている。

岩殿グループ写真館(2022.12.23)①

師走も押し迫った12月23日、岩殿入山谷津を探訪、画像レポ、ご報告いたします。市民の森保全クラブのメンバーとご一緒に入山谷津の冬の姿、楽しむことができました。歳末、寒冷の谷津田の姿は初めてで、発見も多々、ありがとうございました。霜の結晶が落葉や冬越しが植物に付着、自然がつくる造形美など、良いものを見せて頂きました。冬の岩殿入山谷津の姿、ご覧ください。
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クサイチゴ、コナラ
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ワラビ
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ケキツネノボタン
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セリ、コナラ
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アズマネザサ、コナラ、ヘビイチゴ
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晩秋の林縁観察会(2022.11.28)④

ヤマウルシ(ウルシ科)
134461346413465
ウルシは鋸歯がなく、ヤマウルシは「成木の葉は全縁または1〜2個の歯牙がある。幼木の葉は鋸歯が多く目立つ。」(『松江の花図鑑』ヤマウルシ)とありますが、そのとおりですね。

カマツカ(バラ科)
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ヤマコウバシ(クスノキ科)
13445

コボタンヅル(キンポウゲ科)
1356013561複葉の形
ボタンヅル

オニノゲシノゲシ(キク科)
13453

ネジキ(ツツジ科)
13489

ゲジゲジシダ(ヒメシダ科)
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1回羽状複葉

スギゴケ(コケ植物スギゴケ科)
13479

ケヤキフシアブラムシ
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アカシデメフクレフシ
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ツマグロオオヨコバイ
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コケとはどんな植物(国立科学博物館標本・資料データベース「コケ類コレクション」)
 「コケ」という名前はいろいろな植物のなかまに使われていますが、本来のコケのなかまをさす正式な名称はコケ類(または、コケ植物、蘚苔類)で、分類体系では普通一つの門として扱われています。コケ類には、セン類、タイ類、ツノゴケ類の3つのグループがあります。では、これらのグループに共通したコケ類の特徴とは何でしょうか。
 コケ類は種子をつくらず、胞子でふえるのでキノコやシダに似ています。しかし、緑色をしていることから分かるようにコケ類は葉緑体をもっていて光合成を行うので(独立栄養)、葉緑体をもたず他の生物に栄養を依存する(従属栄養)キノコやカビの仲間とはだいぶ異なります。
 では、野外で同じようなところに生えているシダ類と比較しながら、コケ類の生活史を見てみましょう。
 私達が普段目にしているコケ類の本体は配偶体(染色体数がn)と呼ばれるもので、シダ類の前葉体がそれに対応していることがわかります。一方シダ類の本体は胞子体(染色体数が2n)です。コケ類の胞子体は配偶体の上に発達し、一生配偶体から離れることはありません。さらに、シダ類と種子植物をまとめて維管束植物と呼ぶように、シダ類の体には水や養分を運ぶ維管束が発達していますが、コケ類には見られません。
 「コケの付きが悪く今年のアユはいまいち」などと魚釣りの好きな人は言いますが、この場合のコケは今回の主人公のコケ類ではなく、水中の岩に付着する珪藻などのソウ類です。ソウ類の中でも緑藻はコケ類の先祖として考えられているグループです。しかし、緑藻は生殖器官が単細胞であることや、陸上植物に共通した特徴である胚をもたないことなどがコケ類と大きく異なっています。
 まとめますと、胞子で増え、光合成を行い、その本体は配偶体で、維管束を持たず、造精器や造卵器などの多細胞でできた生殖器官をもつ生き物がコケ類であるといえます。
コケをじっくりと観察したことはありますか? 
いろいろな形をしていて、見ていると時間が経つのを忘れるかも知れません。
今回は、「スギゴケ」と「ゼニゴケ」を観察してみます。
コケ植物は、一般的にはあまり日当たりの良くないジメジメと湿っている場所に見られます。
これは、種子植物やシダ植物にはある維管束がないために、体の表面で水分を常に吸収しないと体が乾いてしまうからです。
また、仲間をふやすときに、雄株でつくられた精子が雨の日に雌株まで泳いでいくというのも湿っていることと関係ありそうです。
 

晩秋の林縁観察会(2022.11.28)③

ノハラアザミ(キク科)
13458

センニンソウ(キンポウゲ科)
135381346313537

テイカカズラ(キョウチクトウ科)
135421345713444

ヒヨクヒバ(比翼檜葉:サワラの園芸品種、ヒノキ科)
13484

イタビカズラ(クワ科)
13474
ヒメイタビ、オオイタビ

サルナシ(マタタビ科)
13545

テーダマツアカマツ(マツ科)
13530

ウリカエデ(ムクロジ科)
135211346713468

アカシデ(カバノキ科)
13466

コアジサイ(アジサイ科)
13546

晩秋の林縁観察会(2022.11.28)②

サルトリイバラ(サルトリバラ科)
13522

1347213471
サルトリイバラ、ナガバジャノヒゲ、テイカカズラ、コナラ

ウメモドキ(ニシキギ科)
13551

オトコヨウゾメ(ガマズミ科)
1355313450

マユミ(ニシキギ科)
13451

ノササゲ(マメ科)
1344713448

マメガキ(カキノキ科)
13554

アマチャヅル(ウリ科)
1344213523

イボタノキ(モクセイ科)
13525

スズメウリ(ウリ科)
13540

晩秋の林縁観察会(2022.11.28)①

二宮さんが11月28日に実施した晩秋の林縁観察会で撮影した画像を提供して戴きました。ありがとうございます。
久々に古刹正法寺、岩殿観音を訪れ、大イチョウの巨樹の神秘なる存在感、息を飲む黄葉の美しさに感動。みなさん一同で石坂の森(テーダマツの実生の林地点まで)、林床の植物、雑木、つる植物など観察、市民の森ではテーダマツの4葉、5葉探し、ボッシュ林では幼木のヤマウルシ、アカシデの紅葉、アオハダの黄葉観察、青木の入へと丘陵を下りました。そして入山谷津の林縁めぐり、マント群落の低木、つる植物の色とりとりどりの木の実、草の実を観察。くまなく林縁を巡り、岩殿の谷津を満喫しました。
参加者はガイドなかま、秋ヶ瀬のメンバー、都内の植物愛好者らで、晩秋の岩殿の素晴らしさを体験、感激しておりました。来季は春、秋にメンバーを募って観察会をと考えています。その折には市民の森保全クラブのスタッフの方々も交えて、丘陵、谷津田の魅力を学びたいと考えています(二宮靖男)。
PB280002
坂東第10番岩殿観音正法寺(正法寺HP
1348013513

1347813477

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岩殿地元学チラシ(カラー版)_1

絵葉書(岩殿村の景)a531862f岩殿空中写真(197810)
左:15.5.16のスタンプがあります。昭和15年(1940)でしょうか。
中:1947年10月28日撮影の航空写真(米軍)
右:1978年10月撮影の空中写真(国土地理院)
ハイキングコース(赤沼林道~岩殿山~笛吹峠)(2015年11月19日記事)

優曇華(うどんげ)・クサカゲロウ 11月26日

11月18日に実施した岩殿入山谷津の植物調査で二宮さんが撮影した岩殿グループ写真館⑥にあるクサカゲロウの写真のコメントにクサカゲロウの卵、優曇華(うどんげ)の花とも呼ばれるとあります。優曇華とクサカゲロウについて調べました。
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優曇華は実在の植物伝説上の植物クサカゲロウの卵を指す場合があります。
A:実在の植物=トビカズラ(マメ科)
原産地は中国長江流域で、日本にも広く分布していたとされますが、現在では国内での自生は、熊本県と長崎県佐世保市沖の無人島の二カ所のみとされています。熱帯性の常緑、蔓性木本で、葉は互生し卵状楕円形で長さ7~15cm、幅4~8cm。4月下旬から5月に太い枝から暗紅紫色の大きな蝶形の花房を下げてつけます。熊本県山鹿市菊鹿町相良にある樹齢千年といわれるトビカズラをアイラトビカズラといい、1940年に国の天然記念物に指定されています。……(『東邦大学薬学部付属薬用植物園』「トビカズラ」から)
7640
トビカズラは中国中南部に分布する大型つる性植物です。日本では、熊本県山鹿市菊鹿町相良の樹齢1000年以上といわれる個体が有名です。この個体は「相良のアイラトビカズラ」という名称で国の特別天然記念物に指定されています。20世紀後半まではこの1個体のみが分布するとされていましたが、2000年に長崎県九十九島の時計(とこい)島で、2010年に熊本県天草市の天草上島で発見され、全部で3つの産地があることが確認されています。……(日本新薬株式会社『山科植物資料館』「トビカズラ」)
   アイラトビカズラ

B:伝説上の植物=優曇華(うどんげ)
優曇は梵語のウドンバラの音写「優曇婆羅」を略した語で、古くからインドで神聖なものとされる樹木の名前です。この樹木は三千年に一度だけ花が咲くといわれる樹の名前で、経典の中では難値難遇(なんちなんぐう)、つまり「仏に会い難く、人身を受け難く、仏法を聞き難い」という、とてもめったに出会うことのできない稀な事柄や出来事を喩える話としてあらわれています。それはたとえば『大般若経』では「如来に会うて妙法を聞くを得るは、希有なること優曇華の如し」と説かれています。
 また『法華経』では、「仏に値(あ)いたてまつることを得ることの難きこと、優曇婆羅の華の如く、また、一眼の亀の浮木の孔(あな)に値うが如ければなり」と説かれ、大海に住む百年に一度海面に頭を出す一眼の亀が、風に流されてきた一つの孔のある浮き木の孔の中にたまたま頭をつっこむという、めったにない幸運で仏の教えにめぐりあうことを喩えています。……(『天台宗』「法話集№75 優曇華」から)
優曇華の花 竹取物語、源氏物語、うつほ物語
かぐや姫がくらもちの皇子に命じた求婚難題物「蓬莱の玉の枝」の異称。くらもりの皇子が、玉の枝を偽造して、かぐや姫の家にこの玉を入れた櫃を運んでいた時に発せられたのが「『くらもちの皇子は優曇華の花持ちてのぼりたまへり』とののしりけり」であった。「優曇華の花」は三千年に一度だけ咲くと言う幻の花で、極めて稀な事の比喩として用いられる。……
『源氏物語』「若紫」巻には「優曇華の花待ち得たる心地して深山桜に目こそうつらね」の和歌がある。……
また、『うつほ物語』「内侍のかみ」巻で、朱雀帝が藤原仲忠に弾琴を促した時、仲忠は「『蓬莱の(おうふう本では「蓬莱・悪魔国」と校訂)悪魔国に不死薬、優曇華取りにまかれ』と仰せられるとも、身の堪えむに従ひて承らむに、……」と見えるので、身を侵してまで取りに往かねばならない幻の宝物であるのが「不死薬である優曇華」であることが分かる。……(『桃源文庫』「上原作和編著『竹取物語事典』ハイパーテクスト版」から)
夏目漱石『虞美人草』11
詩人ほど金にならん商買しょうばいはない。同時に詩人ほど金のいる商買もない。文明の詩人は是非共ひとの金で詩を作り、他の金で美的生活を送らねばならぬ事となる。小野さんがわが本領を解する藤尾ふじおたよりたくなるのは自然のすうである。あすこには中以上の恒産こうさんがあると聞く。腹違の妹を片づけるにただの箪笥たんすと長持で承知するような母親ではない。ことに欽吾きんごは多病である。実の娘に婿むこを取って、かかる気がないとも限らぬ。折々に、解いて見ろと、わざとらしく結ぶ辻占つじうらがあたればいつもきちである。いては事を仕損ずる。小野さんはおとなしくして事件の発展を、おのずから開くべき優曇華うどんげの未来に待ち暮していた。小野さんは進んで仕掛けるような相撲すもうをとらぬ、またとれぬ男である。(青空文庫から)
宮本輝『螢川』螢
「ことしはまことに優曇華の花よ。出るぞォ、絶対出るぞォ」
 仕事を終えた銀蔵が、荷車をひいて竜夫の家に立ち寄り、そう言った。
「ほんとかァ。なしてわかるがや」
 竜夫が勢い込んで訊くと、
「大泉に住んどる昔なじみが、こないだわしの家に来て言うとった。いつもは川ぞいにぽつぽつ螢が飛んどるがに、ことしはまだ一匹も姿を見せん……」
「一匹もおらんのかァ?」
「なァん、じゃから優曇華の花よ。前の時もそうじゃった。こんな年は、ぱっといちどきに塊まって出よるがや。間違いないちゃ」

C:クサカゲロウ(クサカゲロウ科)の卵
 クサカゲロウはアミメカゲロウ目の昆虫で、英名で lacewing-flies(レースの翅の虫)または aphis-lions(アブラムシのライオン)と呼ばれている。 ずいぶん異なる英名だが、前者は成虫の繊細な翅に由来し、後者はアブラムシなどを捕食することに由来する。とくに幼虫は強大なキバを持ち、 農作物害虫の有力な天敵として、欧米では天敵販売会社の主力商品になっている。大量増殖した卵が売られ、日本でもその利用開発研究が開始されている。
 特徴的なのはその卵で、雌が腹の先から葉面に一滴の液を落とし、腹を持ち上げるとそれが糸状に伸びて固まり、その先端に卵を生む。 同じ場所に何本かまとめて産卵するが、糸が細いので卵が空中に浮遊しているように見える。また、成虫は明かりに飛来する性質があり、 よく電灯の笠などにも産卵することがある。そして、古く日本ではこれが植物と誤認された。それも、3千年に一度花が咲き、 開花のときには如来が世に現れるという伝説の"うどんげ(優曇華)の花"とされたのである。……
 クサカゲロウの成虫は死ねば褪変色するが、淡緑色の美しい生きた成虫を見るのは簡単である。夏に市販のマタタビの実の塩漬を皿に乗せて窓を開けておけば多数の雄が飛び込んでくる。 マタタビがネコばかりではなく、クサカゲロウも誘引することを発見したのは石井象二郎博士で、誘引成分の化学構造はネコもクサカゲロウも似るが、 感応基(ラクトンとアルコール)だけが違うという。また、クサカゲロウは雄しか誘引されないことから、この物質は交尾となんらかのかかわりがあると推定されている。
 ちなみに、クサカゲロウの"クサ"は"草"ではなく、"臭い"の意味で、見かけによらず成虫には特有の強い悪臭がある。 (農林水産・食品産業技術振興協会(JATAFF)読み物コーナー・梅谷献二「虫の雑学」から)
谷本雄治・著、下田智美・絵『谷本記者のむしむし通信』(あかね書房、2005年10月)
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 ぼくの“むし修行”
 1.うどんげの花(クサカゲロウ)
「うどんげ」は漢字で「優曇華」と書きます。でも「華」は「花」と同じ意味ですから、「うどんげの花」とよぶと、「華の花」となり、ことばがダブってしまいます。それでそのことを知っている人は「うどんげが咲いた」とだけいいますが、「うどんげの花が咲いた」といってもふつうは問題なく通じます。……
ぼくがクサカゲロウの観察をしようと思ったのは、そのころ取材テーマにしていた「天敵農法」とも関係がありました。このごろの農家は「生きている農薬」としての虫たちに期待していて、化学農薬をなるべく使わない農業をすすめようとしています。
いってみれば、虫で虫をやっつける農業です。自然界のしくみをうまく利用して、害虫を退治します。
農家が最初に使いだしたのは、オンシツツヤコバチという体長1ミリメートルくらいの小さな寄生バチでした。このハチは、温室でそだてているトマトの害虫のオンシツコナジラミをやっつけるために使います。
オンシツツヤコバチは、害虫の幼虫やさなぎに卵を産みつけ、からだを乗っとります。まるで、映画や小説に出てくる宇宙生物のようです。そうやって寄生された害虫はからだの養分をすいとられて成虫になる前に死ぬので、子孫がそれ以上ふえることはありません。
ぼくは、この寄生バチが使われだしてすぐ、トマト農家をたずねました。寄生バチの習性は知っていましたが、どうやって使うのか、ほんとうに害虫退治に役だっているのかは、実際に聞いてみないとわかりません。
取材を終え、農家が寄生バチに切りかえるのは、思ったよりもむずかしいことだとわかりました。農薬なら水でどのくらいにうすめて、どんな作物のいつ、どれくらいかければいいのかがラベルに記されています。その通りにすれば、失敗することはありません。
ところが生きものが相手だと、そうはいきません。寄生バチは害虫のからだを利用するので、害虫がいない温室では生きていけません。だからといって、害虫が多すぎると、農薬のかわりにはなりません。それでいつ温室に寄生バチを放すのか、そのタイミングを見きわめるのがたいへんだ、ということでした。
それでも寄生バチを使う農家はしだいに増え、その成功に続いて、「絵かき虫」とよばれるハモグリバエに寄生するハチや、悪いダニを食べるダニなど、次々に新しい天敵生物が使われるようになりました。そしてされに、環境にやさしい農業をめざして何種類もの虫たちが研究材料になりました。
クサカゲロウも、そうした「生きている農薬」のひとつです。はねのある成虫も、作物の害虫であるアブラムシを食べますが、温室からにげだすかもしれません。そこでおもに、幼虫を利用するための研究がすすんでいました。
アブラムシが農家にきらわれるのは、植物の汁を吸ったり、病気のもとになるウィルスを運んだりするからです。しかもたくさん集まって、休みなくチューチュー吸います。
そして、アブラムシのおしっこが葉っぱにつくと、光が当たりにくくなって植物の生育が悪くなります。それにそこからカビが生えることもあるので、油断できません。
アブラムシがウィルスをばらまく道具は、針のようになったくちです。病気にかかっている植物の汁を吸ったあとで別の植物の汁を吸うと、そこからウィルスが広がります。
そうしたアブラムシをやっつけてくれるクサカゲロウの卵が「うどんげの花」です。そのはたらきぶりをたしかめるのにいい機会だと思いました。……
一ぴきの幼虫が、六百ぴきものアブラムシをたいらげるのです。その計算でいくと、クサカゲロウの幼虫が百ぴきいれば、六万びきものアブラムシをやっつけてくれることになります。アブラムシも負けずに赤ちゃんを産みますが、クサカゲロウのような虫がいるので、アブラムシだらけになることはありません。クサカゲロウが「生きている農薬」とよばれるのもうなずける話です。
……[体液を吸ったアブラムシの死がいを背中にくっつけるクサカゲロウの幼虫=「ゴミザウルス」]……
本によると、クサカゲロウの幼虫はおしりから糸を出して、まゆを作るようです。カイコもそのほかのガも、チョウも、幼虫が糸を出すのはくちからです。ぼくが飼ったことのあるむしでおしりから糸を出すものはクモだけでした。……
クサカゲロウの名前の由来については、①草の色をしたはねだから、②見かけとちがって、くさい虫だから、③草によくとまっているからーという三つの説があります。そのどれも当たっていそうですが、多くの人は「くさい虫だから」という説を支持しています。
たしかに、草がくさったようなにおいを感じることがあります。でも目の前にいる成虫を見ていると、草色の美しいはねに注目してつけた名前ではないかと思いたくなるのでした。……
……クサカゲロウはまゆを破って成虫になるのではなく、さなぎの状態でまゆの外に出て、羽化したのです。そのしょうこが、まゆの外にある空っぽのさなぎでした。
チョウやガには見られない習性です。
 2.畑のドジョウ(サンショウウオ)
 3.松風をよぶ虫(スズムシ)
 4.異国の暴れんぼう(ジャンボタニシ)
 5.庭の舞姫(アゲハチョウ)
 友だちはすぐそばに
※「1.うどんげの花(クサカゲロウ)」(11~37頁)全文を読むことをお勧めします。
※「さなぎの状態でまゆの外に出て、羽化した」とは? 羽化してさなぎの皮をつけてまゆの外に出て?

岩殿グループ写真館(2022.11.18)⑥

ジョロウグモ
13084

キタテハ
13098

クサカゲロウ
1309913100


岩殿グループ写真館(二宮靖男さん撮影・コメント)
 ⑥(2022年11月18日
 ⑤(2022年10月27日
 ④(2022年9月29日
 ③(2022年8月26日
 ②(2022年7月22日
 ①(2022年6月21日

岩殿グループ写真館(2022.11.18)⑤

ヤクシソウ、カントウヨメナ、ノハラアザミ
130821308513094

キッコウハグマ
131011310213103

ヤノネグサ、ハキダメギク
1310813113

ヒラタケ
13110

岩殿グループ写真館(2022.11.18)④

トキリマメ
1308913090

ヘクソカズラ
130951309613097

ヤブミョウガ、ウメモドキ
1310413105

アオミズ
1310613107

岩殿グループ写真館(2022.11.18)③

アオツヅラフジ、センニンソウ
1307613077

サルトリイバラ、クサギ
1307813079

カラスウリ、コマユミ
1308313086

ヤブムラサキ
130881309113092



岩殿グループ写真館(2022.11.18)②

ノササゲ
1306713069

1307013071

1307213073

1307413075

1308013081

岩殿グループ写真館(2022.11.18)①

11月18日の岩殿入山谷津の晩秋の姿を画像にてご報告いたします。
今回、林縁のマント群落、ソデ群落に注目、いろいろ発見がありました。とりわけ、つる植物、小低木の果実の姿に谷津の晩秋を満喫しました。林縁、マント群落の意義、生物多様性、晩秋の植物たちの姿に美と感動も。以下、アトランダムに画像レポいたします(二宮靖男さん撮影・コメント)。
1310913112

テーダマツ、アオハダ
1306113062

ヤマコウバシ
130931306513063


ゴンズイ、ヌルデ
1308713111

ウリカエデ
1305713060

1305913058

岩殿グループ写真館(2022.10.27)④

ヒラタケ
1260512606

ナメコ
1260712608

1260912610

食べて満喫
1261312614

ノウタケ
1261512616

ドクベニタケ、ドクツルタケ
1263212637

キノコの秋、君の名は?
126471264512646

岩殿グループ写真館(2022.10.27)③

トキリマメ
1263812639

ヤノネグサ
1264012641

ハシカグサ、サヤヌカグサ、ヌカキビ
1264212643

コアゼガヤツリ、ササガヤ
1264412649

ヤブムラサキ
126511265212653

マルバアオダモ、サルトリイバラ
1265412655

コウヤボウキ、ニシキギ、タコノアシ
126561265712658

ハナグモ
1262712628

岩殿グループ写真館(2022.10.27)②

ノジスミレ、ヤクシソウ、クサギ
125991260012601

ノササゲ、カントウヨメナ、ヤノネグサ
126021260312604

ダイコンソウ、センニンソウ、オオイヌタデ
126171261812619

オギ、ススキ
126201262112622

草紅葉(アシボソ、ウナギツカミ、ヤノネグサ、アゼスゲ、コセンダングサ)
126231262412625

マルバヤナギ
12626

タイヌビエ、ノダケ、ミゾソバ
126291263012631

チゴユリ
1263312634

カンアオイ
1263512636

岩殿グループ写真館(2022.10.27)①

10月27日に実施した「岩殿入山谷津の植物調査第25回」の記録。二宮靖男さん撮影・コメント。木の実、草の実、風景を満喫。

ユウガギク
125861258712588

カントウヨメナ、ミゾソバ、コスモス
125891259012591

チカラシバ
1259212593

ワレモコウ、セイタカアワダチソウ
12594

アキノエノコロ、ヤノネグサ
1259512596

ワレモコウ
1259712598

岩殿グループ写真館(2022.09.29)④

コケオトギリ
12000

アゼトウガラシ
1200112003

ヒロハホウキギク
12002

ヤブツルアズキ、オヘビイチゴ、ヤノネグサ
12004

タコノアシ
12008

ウナギツカミ
1201012011

コアゼガヤツリ
12012

ナガコガネグモ卵嚢?
12013

ハネナガイナゴ
12014

ヒヨドリバナ
12015

コチヂミザサ、チヂミザサ
1201612017

岩殿グループ写真館(2022.09.29)③

中秋の岩殿入山谷津
11986

ユウガギク
11988

コガマ
1198912009


サヤヌカグサ
11990

イヌホタルイ
11991

ヒメジソ
1199211993

ヤブツルアズキ
11994

アゼトウガラシ
1199511996

キカシグサ
11997

ヤノネグサ
119981199912005


岩殿グループ写真館(2022.09.29)②

ヌメリグサ
1197612007

ミゾハコベ
1197711980

コナギ
11978

キカシグサ
11979

イボクサ
11981

ヒナガヤツリ
11982

マツバイ
1198312006

ミゾソバ
1198411985



岩殿グループ写真館(2022.09.29)①

中秋9月29日の岩殿入山谷津の植物観察・調査の画像レポです。
猛暑の夏を経て、また台風の余波による大雨もあって、イネ科、タデ科、カヤツリグサ科など勢い逞しく、岩殿入山谷津は秋の風情に満ちていました。夏の名残りのツクツクホウシの鳴き声もまだ聞かれましたが、草むらからはエンマコオロギなど秋の虫の声も聞かれて、秋の深まりを実感できました。爽やかな中秋の空の下、楽しく観察・調査ができました。
この日、市民の森保全クラブのメンバー御三方(細川さん、木谷さん、木庭さん)、NPOエコエコの加倉井さん、都内からは小野さんも参加、野の花、虫たちの姿を嬉々と観察、まさに岩殿入山谷津を満喫しました。今、社会問題となっているカシナガキクイムシの現状と対策またトラップの作り方などの解説もあり、その実態について理解を深めることができました。みなさんに御礼申し上げます。(二宮靖男)
1195711959

11960

コメナモミ
1196111964

ヤブマメ
1196511987


ハシカグサ
119661196711968

牧野富太郎『牧野日本植物図鑑』(←インターネット版、高知県立牧野植物園HP
12019

※ハシカグサの名の由来
7714

・岩槻秀明『街でよく見かける雑草や野草のくらしがわかる本 』(秀和システム、2009年3月)257頁
・岩槻秀明『街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本』(秀和システム、2006年11月)394頁では「なぜハシカグサと呼ぶのかは不明」とされています。

1196911970

ゴマフボクトウによるフラス

アキアカネ(♂)
11971

ヒメコミカンソウ
119721197311974

コカマキリ
11975

岩殿グループ写真館(2022.08.26) ②

8月26日の植物調査から二宮さん撮影の写真とコメントです。①はこちら

キョウチクトウアブラムシ
1107711078

エゴノネコアシアブラムシ
11081

ニッポンマイマイ 
11083
加倉井さん、伊藤様、ありがとうございます。

ヒダリマキマイマイ オオカマキリ
1111811085

ハラビロカマキリ
111011110211103

1110411105

オオシロカネグモ
1108911090

イオウイロハシリグモ
1110811107

アズチグモ
1113211131

ナガコガネグモ
11123

オオフトメイガ幼虫
1111311114

カノコガの交尾 ツバメシジミ
1111511122

キスジホソマダラ
1112811129

タイワンヒゲナガアブラムシ
1112411125

エビイロカメムシ
11141

タテスジグンバイウンカ
1114211143

1114411146

カシナガトラップに落ちたカシノナガキクイムシ
111371113911140


岩殿グループ写真館(2022.08.26) ①

8月26日の植物調査から二宮さん撮影の写真とコメントです。②はこちら

コバノカモメヅル
11094

1107311074

1107511076

11099

ミゾカクシ ヤノネグサ
1108211084

ヒヨドリジョウゴ
110871108811086

スズメウリ センニンソウ
1109111100

ネコハギ イヌホタルイ
1110611109

イヌザンショウ ミゾソバ
1111011119

キンエノコロ タマガヤツリ
1113011147

ノアズキ
1114811149

クヌギエダイガフシ
111341113511133

クヌギハケタマフシ
11153

------------------------------------------------------------

ホコリタケ
1106911068

ドクツルタケ
11070

岩殿グループ写真館(2022.07.22)②

7月22日の植物調査から二宮さん撮影の写真とコメントです。はこちら。

ヤブキリ
10450

ヒシバッタ
10460

ショウリョウバッタ
10462

ササキリ
10468

ダイミョウセセリ
10451

ツバメシジミ
10455

セイヨウミツバチ
104631046410465

サメハダツブノミハムシ
1046910470


------------------------------------------------------------

土砂災害
10433

104341043510436

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