最後にナラ枯れ枯死木(R5-24)を伐採しました。
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高所での特殊伐採(ロープ高所作業)は安全なしには成立しません。樹上と地上の作業者の安全対策が全ての土台です。全林協の『2023年版 ロープ高所作業(樹上作業)特別教育テキスト』を利用して「なぜその作業方法か」「なぜ危険か」、作業者全員で共有しましよう。
市民の森保全クラブ Think Holistically, Conduct Eco-friendly Actions Locally
摘要:関東南部の丘陵地に位置するさいたま緑の森博物館では、2020 年にナラ枯れ被害が確認され、2021 年 10 月には ha あたり25 本の被害があった。被害は全てコナラであり、胸高直径が大きいほど、また、周辺 15 m のナラ枯れ量(ナラ枯れ被害のあるコナラの胸高断面積合計)が多いほど被害割合が高まる傾向となった。2021 年 1〜3 月に行われた単木処理の効果について、周辺15 m のナラ枯れ量を比べたところ、伐採・搬出処理の株は無処理のナラ枯れ発生木よりも少ない量になっていた。これらから、ナラ枯れ被害の集中分布する箇所で単木的な対策を行うことで被害割合を減らし、近接木の被害を遅延する効果が期待できる。
4. おわりに
緑森で発生しているナラ枯れはコナラ中心の被害であり、その被害規模は激害地にあたる。ナラ枯れ被害の集中域で伐採・搬出処理を行うことにより、周辺 15 m のナラ枯れ量が減少し、近接木の被害割合を低める可能性が示された。単木処理では枯死木の処理が最も優先されるが、危険排除のために穿入生存木の処理も必要となる場合がある。その際、被害の集中域となることを回避したいエリアでは、周辺のナラ枯れ量を減らすという視点から伐採木の選定を行うべきである。
リギングとはロープ、スリングなどの機材を使って効率よく、株の除去、樹木の解体などを行う伐採技術を意味します。つまり、切った木をロープで吊って下ろす作業技術です。効率良く安全にリギングを行うためには、科学的な理論と技術・技能を上手く組み合わせて取り組むことが求められます。切断する樹木の枝や幹を、ロープを用いてゆっくりと地面に降ろします。重量の見極めはもちろん、切った後に枝がどう振れるかなども危険予知の重要なポイントと言えます(奥田吉春「危険予知能力を高める」『林業現場人 道具と技』19、66頁)。
クラッチ周辺が一番汚れるので、エアークリーナーとガイドバーの溝は毎回クリーニングします。メンテナンスの時に一番気をつけているのは、最もデリケートで、汚れの影響を一番受ける所から掃除するということです。エアークリーナーやカバーの下などのキャブレター周辺ですね。そして最後は、一番汚れているクラッチ、オイルポンプ周辺などを掃除します。汚れたウェスでデリケートな所を掃除したらどうなるか……(65頁)
説明 ナラタケモドキはナラタケ属のきのこであり、数種の樹木にナラタケ同様の根腐病を起こす。寄主としてサクラ・モモ・クリなどの広葉樹の他、スギ・コウヨウザンなど針葉樹も知られている。根や地際部から感染し、樹皮下に白い扇状菌糸膜を形成し、寄主を枯死させる。地上部は萎凋症状を示す。培地上では根状菌糸束を盛んに形成するが、感染樹木上ではあまり観察されない。感染部の表面にオレンジ色の根状菌糸束が観察されることもある。子実体は7~8月に感染樹木上や周囲の地上に生ずる。子実体にはつばがない。……※髙橋 由紀子, 升屋 勇人, 山下 聡, 安藤 裕萌, 鳥居 正人, 服部 友香子, 皆川 拓「ナラ枯れ初発地におけるならたけもどき病の空間分布」(第133回日本森林学会大会(2022.03)学術講演集原稿)
2020年8月、つくば市内の公園・緑地において、ナラ枯れと見られる枯死被害が発生した。これまで茨城県でナラ枯れは報告されておらず、本年が初めての被害発生である。一方、被害地付近では、7月にナラタケモドキの子実体が確認されており、枯死の発生にならたけもどき病による衰弱の関与が疑われた。本研究では、ナラ枯れ初発地の被害状況を把握することを目的として、つくば市およびその周辺地域の公園および樹林地において、カシノナガキクイムシおよびその他の生物による被害の発生と枯死の有無を調査した。その結果、枯死木の87.5%でナラタケモドキが感染しており、その半数以上でカシナガの穿孔があったことから、ナラ枯れ初発地ではナラタケモドキの感染によって衰弱した個体がカシナガの穿孔を受けやすい可能性が示唆された。ナラタケモドキが発生していない樹林地では、林内に放置された伐倒木に多数のカシナガが穿孔、繁殖している状態であったことから、カシナガの密度が高まり、被害が発生したと考えられた。いずれの被害地も枯死木の数倍の穿入生存木が残っており、これらが翌年以降の伝染源となり得ることから、今後の被害発生が懸念される。
幼虫・蛹・新成虫:卵から孵った幼虫は孔道内で生育して短期間で終齢幼虫(5齢)になり、その後垂直方向に幼虫室(個室)を形成する(図12)。幼虫室内で羽化した新成虫は、翌年の6~9月に親成虫が掘った孔道を逆戻りして脱出する。一部の個体は、終齢幼虫で越冬するが、秋までに羽化して分散飛翔を行うか、もしくは成虫越冬する場合もある。そのため部分2化と考えられる。(8頁)●●小林正秀・上田明良「カシノナガキクイムシとその共生菌が関与するブナ科樹木の萎凋枯死-被害発生要因の解明を目指して-」(『日本森林学会誌』87巻5号、2005年)
2.生活史
カシナガは雌雄共同で子育てを行う一夫一妻制の亜社会生活を営んでいる(Kirkendall、1983;野淵、1993a)。
カシナガの孔道の模式図を図-3に示す。雄が最初に寄主を見つけて穿入孔を掘り、その先に長さ数cmの穿入母孔を材の中心に向かって掘り進む(Kobayashietal、2001)。雌の受け入れ準備が整った雄は、穿入孔に雌が飛来すると、穿入孔の外に出て雌を孔道内に導いた後、穿入孔で交尾する(OhyaandKinuura、2001;KobayashiandUeda、2002)。交尾後の雌は、雄よりも先に孔道内に入り、穿入母孔を延長して水平母孔を完成させる(熊本営林局、1941;加辺、1955;Kobayashietal.、2001)。穿入母孔と水平母孔を加えた母孔の総延長は13~15cmに達し、母孔から数本の分岐母孔が掘られる(熊本営林局、1941;加辺、1955)。巣を完成させた雌は、共生菌を孔道壁に植え付けて随所に産卵する(熊本営林局、1941)。卵期間は1週間程度で、艀化幼虫は共生菌を摂食して終齢の5齢に達し、分岐母孔から繊維方向に長さ1cm程度の分岐孔(幼虫室)を掘り、そこで蝋化する(熊本営林局、1941;衣浦、1994a)。ほとんどは幼虫態で越冬するが、一部は秋に羽化してそのまま成虫態で越冬したり、翌春に幼虫室が掘られることもある(松本、1955;衣浦、1994a)。分岐孔内で羽化した新成虫は、孔道を逆戻りして穿入孔から外部に脱出する(熊本営林局、1941)。幼虫が成虫になるまでの間、雌は巣の中にいて菌類を管理し、雄は穿入孔付近にいて外敵や雑菌の侵入を防いだり、腹部を細かく動かして換気を行う(野淵、1992)。しかし、カシナガは長梯子型と呼ばれる複雑で長い孔道を構築するため(加辺、1955)、材内生態は、穿入孔付近における成虫の観察や繁殖木の割材結果から推察されたものがほとんどで、未解明な部分が多い。
材内生態の本格的な研究は、1990年代に始まった。X線断層撮影装置(CTスキャン)を用いて孔道が追跡された結果、水平母孔から4本程度の分岐母孔が枝分かれし、鉛直方向にも分岐して多重構造になることが明らかにされた(曽根ら、1995a;Soneetal、1998a)。また、丸太や人工飼料を用いた飼育が可能となり(小林・上田、2003a;野崎ら、2003;KitajimaandGoto、2004)、交尾直後に産卵が開始され、艀化幼虫は2週問程度で終齢に達することが明らかにされた(小林ら、2002;野崎ら、2003)。この他、雌はプラスを穿入孔まで運搬し、雄がそれを外部に排出すると考えられていたが(野淵、1992)、雄も孔道深くに侵入してプラスを運搬すること(梶村ら、2002)や、カシナガは1年1化と考えられていたが(野淵、1993a)、新成虫の一部が秋に脱出する部分2化であることも明らかにされた(Soneetal、1998a;野崎・小林、未発表)。さらに、幼虫が孔道の掘削と共生菌の培養を行う可能性が示唆されるなど(野崎ら、
2003)、常識を覆す知見も得られている。(437頁)
除草……徹底して制御する必要があるのはクズである。在来種で秋の七草にも数えられるつる性の木本であるが、だからといって放置すべきではない。共存を図ろうなどというのは甘い考えである。当初はクズを放置した生態園では現在、その制御に悩まされている。
半日陰の樹林地ならば、年1~2回、木に絡み付いたつるを地際から切除する程度で、本種の制御が可能である。樹冠の発達で林床が暗くなれば、クズは自然に消滅するか、おとなしくなるからである。
しかし、林縁は草地では早めに根絶を図るべきである。この際、注意すべきなのは、単なる刈り取り管理ではかえってクズの繁茂を促進することである。生態園のススキ草地では、3年前まで草刈り機による刈り取りによってクズの繁茂を抑えようとした。しかし、刈り取り後、再生してくるつるの数は増え、その成長速度は他の植物に比べて圧倒的に速い。しかもオープンになった地表をつるが長く匍匐するため、節から発根して新たな成長拠点を増やしてしまった。結果的には、クズの株が無数に増える一方、すすきの株は半数ほど失われたり、隣接した林縁部の樹木の樹冠がクズに覆われるなどの事態となった。クズは地際で茎を刈ったり、ちぎったりしても、すぐに再生してくる。実験的に、出てきた再生枝の除去を約1カ月に1回行ってみたが、日向では年内は再生し続けた。クズを除去するには、地表から約5㎝ほど掘り下げた位置で根を切断することが必要である。主根上部を取り除けば再生しないことは実験的に確認した。根の掘り取り、抜き取りは困難なので、現在は刈り込み鋏等を用いてこの方法でクズの密度を減らすことを図っている。(295~296頁)
要旨 2022 年夏、東京都練馬区にある武蔵学園の林で、カシノナガキクイムシが原因と考えられるコナラの枯死木がみつかった。構内に生育するブナ科樹木のフラスと穿孔の被害状況を調べたところ、コナラが最も顕著であり、シラカシ、スダジイでも確認された。マテバシイでは被害は軽微で、他の都市公園の報告とは異なりクヌギでは被害が確認されなかった。
コットンを用いたトラップにより、コナラ、シラカシ、スダジイでカシノナガキクイムシの生息が確認された。冬期にかけてもフラスの発生が続き、樹木内部での活発な活動が予想されることから次年度以降も被害拡大について注視が必要である。コナラの枯死木が見つかった林は、武蔵学園が創立された 1922 年以前から唯一残されてきた植生であり、現在も授業や生徒の課外活動の場として利活用される貴重な学園の資源である。今後の 100 年を見越して、学園の緑について適切な維持・管理を進めていくことが急務である。
目次1.はじめに①構内のブナ科樹木の分布
2.方法
2-1.構内の樹木調査と穿孔木の確認
2-2.カシノナガキクイムシの採集調査
①トランク・ウィンドウ・トラップ法(以下,クリアファイルトラップ)
②コットンを用いたトラップ(以下,コットントラップ)
2-3.学校周辺のナラ枯れの状況把握
3.結果と考察
3-1.構内の樹木調査と穿孔木の確認
3-1-1.被害状況の概要
3-1-2.各種の被害状況
①コナラ
②クヌギ
③シラカシ
④スダジイ
⑤マテバシイ
3-1-3.構内での健全木と被害木の分布
②健全木と被害木の分布
3-1-4.ドローンおよび目視による樹冠の観察
3-2.カシノナガキクイムシの採集調査
3-2-1.トラップの結果
3-2-2.偶発的に捕獲されたカシノナガキクイムシ雌個体の特徴
3-3.学校周辺域の被害の状況
3-4.武蔵学園のナラ枯れの現状
3-5.これからの対応策
4.おわりに:今後の林や樹木の管理の提言
謝辞
引用文献
追記:脱稿後の 2023 年 3 月 8–9 日に,残存林の半枯れのコナラは伐採され,切られた幹
もナラ枯れ拡大防止のために適切に処理された。伐採を担当した業者によれば樹齢 100 年
はゆうに超えているとのことで,簡易的に数えた年輪の数もそれに近く,残存林の歴史的
な背景を勘案しても矛盾のないものだった。今後,年輪の精査を行う予定である。
Abstract
図版図版1 2022 年 8 月に見つかった半枯れのコナラ
図版2 ドローンで撮影された残存林のナラ枯れ(2022/9/16 撮影:安田明弘)
図版3 半枯れのコナラの結実状況(2022/9/21 撮影)
図版4 各樹木の被害:フラスの噴出(南門周辺,2022/10/21 撮影)
図版5 武蔵学園で採集されたカシノナガキクイムシ(2022/11/29)
図版6 調査風景,被害を防ぐための対策
図版7 残存林の歴史
図版8 残存林の歴史(「武蔵七十年史」より)
……日常的に伐倒に従事していない方々に留意していただきたいことは、格段に経験値が少ないということだ。伐倒者が誰であろうと、木は伐ったなりに倒れるのであって「初心者だからゆっくり倒れてやろう」とか「熱心だから狙い通りに倒れてやろう」などと手加減はしてくれず、環境保全や社会貢献などの尊い活動であっても、ヘタクソな伐倒には容赦ない結果がもたらされるのである。(水野雅夫『チェンソーで木を伐る』ウッズマンワークショップ合同会社、2021年)
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