ナラ枯れ




安全かつ正確な伐倒の基礎技術を身につけるには、十分学習とトレーニングの反復が欠かせない。では、何を学び、どのようなトレーニングをどの程度繰り返せば良いのか? 基礎技術としての到達点をどこに設定するのか? しかし、それを客観的に判断する評価指針は無い。したがって伐倒を学ぶ研修生(学ぶ側)は”コーチ( アドバイスする側)によってバラバラ”の技術を基礎技術として学び、反復練習を例えばAさんは10回、Bさんは1,000回繰り返すのかもしれない。あるいはCさんは、コーチの指導を受けることもトレーニングを繰り返す機会もなく、日々の現場作業で経験だけを重ねていくのかもしれない。体系化された指導内容も指導方法も、トレーニングが反復できる環境も不十分な現状で、研修生はどうやって安全かつ正確な伐倒の基礎技術を身につければ良いのだろう?
伐倒指導では、何を?どんな順序で? どのように? 教えれば良いのかと悩むコーチが多いと思う。伐倒では、立木の重心や樹高、枝絡みやツル絡み、地形や周りの空間、樹種や繊維の腐朽等、一本一本の立木に応じた複雑な判断を適切に行わねばならない。「伐倒指導は林内の立木で行わなければ意味がない」という意見もあるが、だからこそ林内での伐倒練習の前に最低限のトレーニングを済ませておかなければならないのだ。立木を伐り始めてから「水平に!」とか「狙いがずれている!」とか「折れ曲がり線ができていない!」とか「蝶番の切り過ぎ!!」などと、基礎的な指導をしているようでは立木ごとに違う様々な条件を観察し、分析し判断するどころではない。林内での練習は自動車で言えば路上教習だ。路上に出るには仮免許を取らなければならない。伐倒における仮免許が「水平」に「折れ曲がり線」と「蝶番」を作れることだ。しかし、現状では二日間の特別教育を受講するだけで伐倒に従事する(させる)ことになる。緑の雇用でも伐倒の指導は行われるが、仮免許の取得には遠く及ばない。
林業の死亡災害を減らす方法はシンプルである。次々と規制を強化することよりも、的外れな禁止事項を増やすことよりもまず、従来の慣習を鵜呑みにせず、ベテランだから上手いと決めつけず、安全かつ正確な伐倒技術を従事者が身につけることだ。林業の死亡災害の2/3が伐倒の失敗だという現実を直視して、伐倒のトレーニング方法および伐倒従事者の育成を抜本的に見直すことが要だろう。そのための一つの提案が本テキストである。(水野雅夫『10 Steps Method for Felling Training』はじめに)
安全かつ正確な伐倒を行うには、立木の重心や樹高だけでなく、隣接木との絡み方、地形など多角的な観察をし、自身の手に負えるかどうかも考慮する必要がある。観察の不備や、自身への過信があると狙い通りに倒せないばかりか、容赦なく危険が身に降りかかってくる。2つとして同じ条件の伐倒はないのだから、十分な経験があったとしても常に初めての伐倒のつもりで危険の予測を怠らず、謙虚な姿勢で向かうことが肝要だ。
ヨシっ!※観察→分析→予測→判断
伐倒に限らず作業の前に、指差し故障をすることが推奨されている。もちろん、行うに越したことはないが、指で指すだけでは意味がない。例えば、過密なヒノキ林での「上方ヨシ!」である。過密なヒノキ林には枯れ枝が満載で、いつどの枝が落ちてきてもおかしくない。にもかかわらず、形だけで「上方ヨシ!」と宣言して(させて)いる。「ヨシっ!」と言ってしまうと不思議なもので、それ以降の危険に対する備えが甘くなりやすい。枯れ枝ビッシリの林内で伐倒するのであれば、「枯れ枝多数確認、落下の危険あり」と指差し呼称し、どの枝がどこに落ちてくるかを予測しておくことが必要である。「伐倒方向ヨシ!」も危うい指差し呼称である。方向が示す範囲は? 自分からの距離は? 安全のために人の有無を見ているのか? 倒し込むスペースの有無を見ているのか? 伐倒方向の何を確認して「ヨシ!」としているのか? 人によって確認事項が違うことも見落としがあることもぜんぜん珍しくない。形だけの指差し呼称は、それ自体が危険である。
①木を寝かすスペースはあるか?
(構造物、地形、立木の密度)
②倒したい木を観察する
(落下物、重心、樹高、枯れ、腐朽、枝張り、蔓絡み等)
③倒したい木の隣接木を観察する
(枝絡み、枝張り、蔓絡み、枯損木、かかり木、樹高、太さ、樹種、形状等)
④どこに倒す?
⑤どうやって倒す?
⑥自分で倒せるか?
⑦どこに立つ?
⑧どこに退避するか?
⑨その他の配慮
⑩人の位置(仲間、第三者)
⑪気象状況
YouTubeチャンネル「チェンソーで怪我をする人、しない人シリーズ---(1)」




11月の活動日は、1日(金)、8日(金)、10日(日)、15日(金)、16日(土、岩鼻運動公園の東松山産業祭)、17日(日、市民の森であそぼう)、22日(金)、24日(日)、29日(金)です。12月21日(土曜日)には市民の森と入山谷津で『落葉掃き&火おこし・焚き火体験』イベントを市民の森保全クラブ・岩殿満喫クラブで実施します。
◆開催日時:12月21日(土) 9:30~13:00 雨天中止イベントの概要は参加者募集チラシからの引用です。落葉掃き、火おこし・焚き火体験、集合から解散まで楽しいイベントとなるように、アイデア出しから取り組みを始めています。
◆会場:市民の森(東松山市岩殿1738-1)・入山谷津
◆募集人員:12グループ(35人)小学生以下は保護者同伴
◆参加費:1人600円(幼児は無料)
◆募集開始:12月15日(日)から先着順に受け付け
◆参加申込み:問合せ: iwadono1738@gmail.com
申込者氏名、大人・子ども・幼児の人数
◆集合時刻・場所:9時20分までに物見山駐車場。会場まで1.2㎞移動
◆服装・持ち物:作業のできる服装、手袋、飲み物など
市民の森の尾根の道と作業道の間の南向斜面で落葉掃きをします。山谷津ではグループ別に焚き火台で火起こしをし、マシュマロ、ウィンナーなどを焼きます。お土産は焼き芋です

煙突は今まで使っていたもので間に合いました。



※ハグマとそれに似た樹種(『高尾山とその周辺を歩いて』2013年12月20日記事)
※キッコウハグマ「亀甲白熊」、コウヤボウキ属いろいろ 晩秋の果実も(^ω^)(『こころの日曜日Ⅱ』2022年11月21日記事)
はじめに/このマニュアルの使い方
1章 なぜ安全対策か
明日は我が身/無災害で低コスト経営を/仲間にも迷惑がかかる2章 作業の前に
安全装備を忘れずに!/救急用具を携行しよう /緊急連絡体制を整えよう /悪天候時は作業を中止しよう /熱中症にならないように/ハチ刺されの対策を/マダニによる感染症にご注意/現場の下見をしよう /作業前のミーティングで危険を予知/指差し呼称を徹底しよう /準備運動とストレッチ/睡眠時間はじゅうぶんですか?/アルコールチェックが義務に
3章 伐出作業・チェーンソーの取り扱い
伐倒の基礎~切り方の基本/下切りと斜め切りを合わせよう/木が倒れ始めたら退避/追いヅル切りで裂けを防ぐ /難しい時は応援を頼もう/伐倒作業の立入禁止区域/伐倒の合図、していますか?/チェーンブレーキの習慣を/キックバックの原理/かかり木になったら/禁止!かかられている木の伐倒 /禁止! 浴びせ倒し/禁止! 元玉切り/禁止! 肩かつぎ /禁止! かかり木の枝切り/機械作業の立入禁止区域 /機械を主な用途以外に使わないこと/合図を決めておこう/安全に特化した作業計画はいかが?
4章 刈払機・手道具の取り扱い
禁止! 上下・近接作業/刈払機の安全装置/刈払機のキックバック/切れる刈刃で作業しよう/急斜面の下刈りはカマを使ってみよう/ナタは振り回さず、止める意識を
5章 小規模経営体による安全対策の実践例
協力事業体が合同で行う安全パトロール /社内検討会でヒヤリハットの報告と共有
資料編
災害事例①伐採した立木が隣接立木の枯れ枝に接触し、枯れ枝が被災者を直撃 /災害事例②機械集材装置で木材を搬出中、木材が抜け落ち被災者を直撃/災害事例③車両系建設機械で伐倒木を吊り上げようとして旋回させたところ横転し、下敷きとなり死亡/高年齢の方は特に注意!転倒リスクのセルフチェックを/KYTシート①伐木・集運材作業/KYTシート②夏季の下刈り作業/小規模経営体による緊急連絡体制の運用例/記入シート安全のための作業計画(伐木用 簡略版)/記入シートヒヤリハット報告書



※オカウコギ(『かのんの樹木図鑑』HP)
ヤマウコギ
・小葉のギザギザが鈍く、単鋸歯。
・通常、葉には毛状突起(立毛)は見られない。
・葉裏の脈腋にある水かき状の膜が目立つ。
・小葉は5枚ともほぼ同じ大きさ。
・葉は大きい
オカウコギ
・小葉のギザギザは鋭い傾向があり、重鋸歯が混じる。
・葉には毛状突起(立毛)が見られる。
・葉裏の脈腋には水かき状の膜が全く無いか、あっても目立たない。・下側2枚の小葉が他の3枚よりやや小さい。
・葉は小さい。
谷津の草刈り。新井さんはC地区・F地区のボッシュ林側。江原さんは作業道下の裾刈り。21日に残りと無名沼ロ号のキツネアザミを繁茂していた堰堤の草刈りをしてくれました。
※ガザミグモ(カニグモ科)
※カマツカ(バラ科)
日本には、東京帝国大学の教授であった、動物学者の渡瀬庄三郎が、食用としてアメリカ合衆国(ルイジアナ州ニューオリンズ)から輸入した17匹が、1918年(1917年説や1919年説もあり)に、横浜港に到着したのが初移入である。農商務省(のちに農林省)は窮乏する農村に副業として養殖を奨励したが、投機目的の養殖が1923年から1930年頃までは行われたものの、日本ではカエルを食用とする習慣は定着しなかった。1932年に冷凍肉の対米輸出が始まり、1940年には165トンと戦前のピークに達したものの太平洋戦争で途絶え、大半の養殖場は閉鎖された。
敗戦直後の日本ではドルを稼げる数少ない輸出品として、1947年に対米輸出が再開。閉鎖された養殖場から逃げて繁殖していたウシガエルの漁が盛んに行われ、1949年には水産庁が資源保護のため捕獲制限を通達するほどだった。1969年には輸出量が967.7トンと最高に達したものの、シアトルで日本産カエル肉から農薬が検出されて翌年に禁輸措置が採られ貿易量が激減。1989年には大蔵省の輸出統計資料からウシガエルの項目が削除され、捕獲対象にならなくなったウシガエルが繁殖するようになった。これに関連し、本種の養殖用の餌としてアメリカザリガニが輸入された。(Wikipediaから引用)
宮崎大学研究・産学地域連携推進機構テニュアトラック推進室の徳本雄史准教授と、九州大学大学院農学研究院の片山歩美准教授の研究チームは、九州山地におけるシカ不嗜好性植物のアセビの繁茂にはシカの食害に伴う森林の更新阻害の問題をさらに深刻化する恐れがあることを明らかにしました。
九州山地では、シカ等によって森林下層の植物が食べられ、一部のエリアでシカが好んで食べないシカ不嗜好性植物(※1)の繁茂が見られています。今回このシカ不嗜好性植物の繁茂による周辺環境と土壌微生物相(土壌内における微生物の集合)の変化を調査したところ、光環境が暗くなり、土壌中の菌相も共生菌類のうち外生菌根菌(※2)の相対的な存在量が低下していたことが分かりました。アセビが繁茂することによって他の樹木の定着が阻害されているため、森林の更新阻害の要因になっている可能性があります。以上の結果は、シカ食害による森林の更新阻害の問題がシカ不嗜好性植物の繁茂によって深刻化する恐れがあることを示唆しています。
ポイント・シカ不嗜好性植物のアセビが繁茂している場所と繁茂していない場所の周辺環境と土壌微生物相を比較解析した結果、光環境は暗くなり、他樹種の発芽や成長を妨げる可能性のある腐植の量も増加していました。・さらに、土壌微生物相を比較解析すると、樹木の成長等を手助けする外生菌根菌の相対存在量がアセビの繁茂によって減少しており、外生菌根菌と共生する樹木にとって定着しづらい環境になっている可能性がありました。・本研究によって、シカ不嗜好性植物のアセビが繁茂することでも森林の更新阻害が起きていることが分かり、シカ食害による森林の更新阻害をより深刻化する恐れがあることを示していました。本研究成果は、シカ不嗜好性植物のアセビ繁茂についての生態系メカニズムの理解を促進させると共に、今後の森林管理や生物多様性保全について基礎的な知見を提供するものです。
【用語解説】
※1 シカ不嗜好性植物:シカが採食しない、または採食頻度が低い植物。葉が硬い、トゲがある、植物器官中に有毒な物質を含むといった特徴を持っているためシカは好んで食べない。国内で 135 種類ほどは不嗜好性植物とされる。
※2 外生菌根菌:植物の根に感染し、植物が養分を受け取るのを手助けしている共生菌類の一種。菌類は植物が作る光合成産物を受け取ることで生きている。外生菌根菌は主にブナやモミなどの樹木と共生関係を構築することが知られている。
※菌根(菌根・外生菌根・内外生菌根・アーバスキュラー菌根 (VA菌根)・エリコイド型菌根・アーブトイド型菌根・モノトロポイド型菌根・ラン型菌根)(筑波大学生物学類BotanyWEB)不嗜好性植物:シカが全く採食しない、あるいは採食したとしても他の植物よりも相対的に採食の頻度が少ない種。地域によって、あるいは季節によって高頻度に採食されることもある。つまり、ある地域のある季節においてシカが利用できる植物の中で相対的な餌としての重要度が低い種である。
採食耐性植物:シカに採食されることが多いが、採食されても開花結実できたり、枯死せずに生育できたりする種。草本では、生活型でいう一年草、多年草の中では生育型(次頁参照)でいう、そう生型、匍匐型、分枝型が該当する。
【見分け方のポイント:要約】★葉柄だけで見分けることができる:ウグイスカグラは無毛、ヤマウグイスカグラは毛が密生、ミヤマウグイスカグラは毛と腺毛が密生。
……葉は対生し、若枝や花柄・果実など、全体に毛と腺毛が多い。先端が太くなっている毛が腺毛である。4月から5月にかけて紅色の花を咲かせ、果実は秋に赤く熟す。基本種のヤマウグイスカグラは全体に毛が多いタイプであり、変種のウグイスカグラは無毛、本種は腺毛が多い点で区別されるが時として中間型もあり、区別が困難なことがある。
……日本特産で、本州、四国、九州に分布する落葉低木です。庭に植えたりします。
枝を分けて茂るため鶯がよく隠れるそうです。「鶯神楽」の名については、鶯の踊りはねるような動きを神楽踊りに見立てたという説がありますが定説はありません。「隠れ」や狩場を意味する「狩座」が「カグラ」に転訛したのではないかとも言われます。
別名、ウグイスノキ。古い書物の「大和本草」には「ウクイスノ始テ啼時ニ此花モサク故ニ名ツケシニヤ」とあります。花期は3月終わりから5月初め頃で、鶯の初音の頃とは少しずれている気もします。
全体無毛のウグイスカグラ、葉が有毛のヤマウグイスカグラ、腺毛のあるミヤマウグイスカグラと分けたりします。腺毛は、先が丸く粘液を出す毛のことです。


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お彼岸はいつからいつまででしょう?そのものずばりを、すぐに答えられる人はそう多くないかもしれません。なぜなら、毎年少しずつ変わるからです。
お彼岸は、年に2回あります。
春彼岸……春分の日を中心にその前後3日を含む7日間
秋彼岸……秋分の日を中心にその前後3日を含む7日間
その期間の初日を「彼岸の入り」、春分の日・秋分の日を「彼岸の中日」、最終日を「彼岸明け」といいます。
彼岸の入りは、なぜ毎年違うの?
春分の日は3月20日または21日、秋分の日は9月22日または23日で年によって異なります。太陽の通り道は「黄道」、地球の赤道を天に延長した道を「天の赤道」といいます。黄道と天の赤道が交差するところが「春分点」「秋分点」です。
そのそれぞれを太陽が通過するときを「春分」「秋分」といいますが、地球の運行がきっちり365日ではなく端数(約6時間)がでること、地球の周期が楕円形であることなどが影響し、毎年ずれが生じ、日がずれていきます。そしてこのずれは、4年に1度のうるう年で調整されます。
国立天文台で春分点、秋分点は観測されており、その予測をもとに、翌年の春分の日、秋分の日は毎年閣議で決定される祝日になっています。
ちなみに2017年度の春分の日は3月20日、秋分の日は9月23日です。ですから、もうすぐ来る春のお彼岸は3月17日から23日までとなります。
春も秋も、お彼岸は同じ?実は、春のお彼岸と、秋のお彼岸は意味が違います。
お彼岸の中日である、春分の日、秋分の日は、祝日法によれば
春分の日……自然をたたえ、生物をいつくしむ日
秋分の日……祖先を敬い、亡くなった人をしのぶ日
とされています。
春は人以外のものに、秋は祖先に感謝し思いをはせる期間なんですね。
3月18日から始まり24日まで一週間をいい、お墓参りをする。『東松山市史 資料編5巻 民俗編』(東松山市、1983年)299頁)
18日は「彼岸の入り」「入りダンゴ」と称し、ダンゴを作って仏様に供える。仏壇にダンゴを一週間も供えっぱなしの家もある。
21日は「彼岸の中日」といい、朝は「ボタモチ(オハギ)を作り仏様に供える。ボタモチは糯米のみで作る家と、粳3合と糯7合の割合で混ぜて作る家とがある。
中日には、お花、水、線香を持ってお墓参りをする。
24日は「走り口」という。夜は、チラシ・ノリマキ・イナリズシなど変わりものを作り、仏様へ、また、ダンゴ(土産ダンゴ)を作って供える。
松本町、神明町では、彼岸の入りや走り口では黄粉ぼたもち、中日にはアンコボタモチ(小豆のおはぎ)を仏様に進ぜた。
大岡地区では、彼岸の入りに小豆ぼたもち、中日は黄粉ぼたもち、走り口は饅頭と土産団子を作り仏様に上げる。
東平、野田、大岡地区では走り口に多くお墓参りをする。
※春の彼岸(『裾野市史第7巻 資料編 民俗』裾野市、1997年、482頁)
春分の日を挟んで前後三日間を春の彼岸とする。彼岸は先祖の墓参りの日というとらえ方が一般的である。寺へ行き、墓掃除をする。三日間の第一日をイリ(入り)、二日目をナカ(中)、三日目をアケ(明け)と呼ぶことも普遍化されている。
深良[ふから]では三日間それぞれ異なったものを作り、先祖に供える習慣がある。イリは小豆餡[あん]のぼた餅、ナカは普通の餅をつき、アケには団子を作るというものである。「イリぼた餅にアケ団子」といわれている。
これが富沢[とみざわ]になると、「イリ団子、ナカまんじゅう(小麦まんじゅう)にアケ団子」というなど、地域による相違があるように見られるが、必ずしも厳密な地域差とは言えないであろう。それぞれの家庭による相違であるように思える。
春の彼岸過ぎが野作業が本格的に始められる頃とするところが多い。しかし、これにも地域差があり、須山[すやま]の場合などは高冷地であるために「彼岸を過ぎてもまだ馬鈴薯を植える程度で、本格的な農作業は浅間[せんげん]さんのお祭り(4月17日)を過ぎてから」といわれている。











枯死木№36(コナラ)



腐朽したヤマザクラ