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地球温暖化・脱炭素社会

埼玉県地球温暖化対策の検討に関する専門委員会資料② 10月17日

『埼玉県地球温暖化対策実行計画(第2期)策定に当り2019年3月20日に開催された地球温暖化対策の検討に関する専門委員会配布資料です。

「平成30年度 第3回埼玉県地球温暖化対策の検討に関する専門委員会」配付資料
  (埼玉県環境部温暖化対策課、2019年3月20日)
はじめに
1 削減目標について
 削減目標の基本的考え方(第2回委員会までの整理)
 削減効果をBAUから積み上げる方法(第2回委員会提示)
 他の都道府県の目標設定の方法
 経済成長率の設定
 削減措置による削減量の算定①
 削減措置による削減量の算定②
 削減措置による削減量の算定③
 各部門における削減措置① 産業部門
 削減対策を推進するための県の施策① 産業部門
 各部門における削減措置② 業務部門
 削減対策を推進するための県の施策② 業務部門
 各部門における削減措置③ 家庭部門
 削減対策を推進するための県の施策③ 家庭部門
 各部門における削減措置④ 運輸部門
 削減対策を推進するための県の施策④  運輸部門
 各部門における削減措置⑤ 廃棄物部門 工業プロセス部門
 各部門における削減措置⑥ その他の温室効果ガス
 削減対策を推進するための県の施策⑤ 廃棄物部門 その他ガス
 部門別の温室効果ガス排出量削減見込み
第3回資料20190320_1第3回資料20190320_2
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2 次期計画について
 現行計画の構成
 現行計画の重点施策
 現行計画の施策構成(7つのナビゲーション)
 次期計画の基本的考え方
 次期計画検討事項①(目指すべき将来像・重点施策)
 次期計画検討事項①(目指すべき将来像・重点施策)
 次期計画検討事項②(施策指標)
 次期計画検討事項③(適応策) 1 適応策とは
 次期計画検討事項③(適応策) 2 気候変動適応法
 次期計画検討事項③(適応策) 3 地域気候変動適応計画
第3回資料20190320_3第3回資料20190320_4

第3回資料20190320_5第3回資料20190320_6

第3回資料20190320_7第3回資料20190320_8

第3回資料20190320_9第3回資料20190320_10
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県政サポーターアンケート調査結果
 質問1 あなたは、地球温暖化に対してどの程度関心を持っていますか。
 質問2 地球温暖化防止のための取組は、手間がかかったり、ある程度の我慢をしなくてはならない面もありますが、多くの方々が取り組むことでより大きな効果をもたらします。このことについて、あなたはどのように考えますか。
 質問3 温暖化対策として、あなたが現在、家庭で取り組んでいることは何ですか。(あてはまるものすべてを選択)
 質問4 本県では、家庭で手軽にできて効果の高い省エネルギー対策として、LED照明(LEDシーリングライトや電球形LEDランプなど)の普及を推進しています。現在、あなたの家庭の照明は、以下のどれに近いですか。
 質問5 家庭からの二酸化炭素排出量は、県全体の約1/4と大きな割合を占めています。また、家電製品の多様化や世帯数の増加等により、排出量は近年大きく増加しています。今後、家庭からの二酸化炭素排出量を削減するために、どのような取組が必要だとあなたは考えますか。(3つまで選択)
 質問6 自動車の利用によって排出される二酸化炭素は、県全体の約1/4と大きな割合を占めています。また、その排出量は、県内の自動車台数の増加などにより削減が進んでいない状況にあります。今後、自動車からの二酸化炭素排出量を削減するために、どのような取組が必要だとあなたは考えますか。(3つまで選択)
 質問7 今後、温暖化を抑えるために本県が実施する対策として、どのような取組を重点的に進めていくべきであるとあなたは考えますか。(5つまで選択)
 質問8 地球温暖化は、猛暑日・熱帯夜や大雨の頻度の増加など、気象及び気候の極端な現象の発生頻度を増加させることが科学的に証明されつつあります。このような温暖化の影響により、本県でも異常高温によるコメの品質不良や熱中症救急搬送者数の増加などの被害が発生しています。温暖化の影響について、あなたはどのようなことに関心がありますか。(あてはまるものすべてを選択)
 質問9 今年の6月に「気候変動適応法」が成立し、各自治体においては地域に応じた適応策への取組が求められています。「適応策」として、本県ではどのような分野を重点的に進めていくべきであるとあなたは考えますか。(3つまで選択)

埼玉県地球温暖化対策の検討に関する専門委員会資料① 10月17日

『埼玉県地球温暖化対策実行計画(第2期)策定に当り、2017年11月30日、2018年7月18日、11月14日、2019年3月20日、9月4日、11月13日に地球温暖化対策の検討に関する専門委員会が開催されています。

「平成30年度 第2回埼玉県地球温暖化対策の検討に関する専門委員会」配付資料
  (埼玉県環境部温暖化対策課、2018年11月14日)
はじめに
1 基準年度の検討
 計画の概要
 方向性の検討に際して(前回の課題)
 基準年度について
2 削減目標案の検討
 方向性の検討に際して
 削減目標の設定方法
  案1 削減効果を目標年度BAU排出量から積み上げる方法(スライド12~35)
 削減目標の設定方法
  案2 より長期の目標からバックキャストで設定する方法(スライド36~37)
第2回資料20181114_1
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2 削減目標案の検討
案1「削減効果を目標年度BAU排出量から積み上げる方法」による試算
 Step1:BAU排出量を推計
  現状趨勢(BAU:BusinessAsUsual)とは
  BAUの算定(1) エネルギー起源CO2排出量のモデル
  BAUの算定(2) エネルギー起源CO2排出量
  BAUの算定(3) 人口シナリオ
  BAUの算定(4) 経済成長シナリオ(1)
  BAUの算定(5) 経済成長シナリオ(2)
  BAUの算定(6) 自動車保有台数シナリオ
  BAUの算定(7) 鉄道輸送需要シナリオ(旅客)
  BAUの算定(8) 鉄道輸送需要シナリオ(貨物)
  想定する2030年度のすがた
  2030年度エネルギー起源CO2の推計結果
  BAUの算定(非エネ起+その他)
  2030年度非エネルギー起源CO2及びその他ガスの推計結果
  BAUの積算結果
 Step2:対策・施策を設定し、削減効果を積上げ
  2030年度削減措置に見込む対策について
  2030年度削減措置に見込む対策① 産業部門
  2030年度削減措置に見込む対策② 業務部門
  2030年度削減措置に見込む対策③ 家庭部門
  2030年度削減措置に見込む対策④ 運輸部門
  2030年度削減措置に見込む対策⑤ エネルギー起源CO2以外のガス
  供給側対策の見込み(電力排出係数)
  供給側対策の見込み(電源構成と電力排出係数)
案1による試算の結果
第2回資料20181114_2第2回資料20181114_3第2回資料20181114_4

第2回資料20181114_5第2回資料20181114_6第2回資料20181114_7

第2回資料20181114_8第2回資料20181114_9第2回資料20181114_10

第2回資料20181114_11第2回資料20181114_12第2回資料20181114_13
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案2「より長期の目標からバックキャストで設定する方法」による試算
 バックキャストで毎年度一定量の削減(線形)を想定
第2回資料20181114_14第2回資料20181114_15
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2 削減目標案の検討
 国のマニュアルに基づく試算結果
 削減目標の検討の目安
 削減目標を達成するためには(削減量)
 削減目標を達成するためには(対策)
 現在の国の温室効果ガス排出量の状況
 (参考)計画の目標年度を2030年度とした都道府県の状況
第2回資料20181114_16第2回資料20181114_17第2回資料20181114_18

第2回資料20181114_19第2回資料20181114_20第2回資料20181114_21






埼玉県地球温暖化対策実行計画(第2期) 10月17日

埼玉県では、計画期間を 2020(令和2)年度から 2030(令和 12)年度までの 11 年間とする『埼玉県地球温暖化対策実行計画(第2期)を策定しています。
実行計画第2期概要版_1実行計画第2期概要版_2

実行計画第2期概要版_3実行計画第2期概要版_4


実行計画第2期_4実行計画第2期_5実行計画第2期_6

実行計画第2期_7実行計画第2期_8実行計画第2期_9

実行計画第2期_10実行計画第2期_11実行計画第2期_12

実行計画第2期_13実行計画第2期_14実行計画第2期_15

実行計画第2期_16実行計画第2期_17実行計画第2期_18
『埼玉県地球温暖化対策実行計画(第2期)』策定に当り、今後追加的な対策を見込まないまま推移した場合の2030年の温室効果ガス排出量(現状趨勢[BAU:Business As Usual])を推計し、その上で、各部門で対策を行った場合の 2030 年度時点の削減見込量を算出し、2030 年度 BAUから差し引くことにより、県全体の総量目標(2030 年度に 2013 年度比 26%)を設定しています。

NHKの大学生とつくる就活応援ニュースゼミ「1からわかる」シリーズ 10月9日

NHKの大学生とつくる就活応援ニュースゼミ・目指せ!時事問題マスター「1からわかる」シリーズ。

1からわかる!地球温暖化(1)パリ協定って何?
 
”グレタ現象” 関心は若い世代へ/パリ協定って何?
(土屋敏之解説委員、聞き手:伊藤七海 井山大我 西澤沙奈、編集:水上貴裕)

 
はじまりは28年前/パリ協定は緩い?/気温上昇を抑えることは・・・

 
そもそも「地球温暖化」とは?/温暖化を取り巻くさまざまな説/温暖化が進んだ先にある未来とは?

 
温暖化対策、進捗状況は?/なぜアメリカはパリ協定から離脱するの?/アメリカの温暖化対策、今後どうなる?/世界第1位の排出国・中国は/世界第3位の排出国・インドは/ヨーロッパ各国は?

1からわかる!地球温暖化(5)日本の対策、どうなってる!?
 
なぜ批判される?日本の温暖化対策/批判集める「石炭火力発電」とは?/日本の目標は?

 
再生可能エネルギーの可能性は/どんな社会を目指すべき?/就職先にも実は関係!?企業の温暖化対策は/私たちにできることとは
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1からわかる!プラスチックごみ問題(1)
 
本当はとっても怖い…? プラスチックごみ/日本のプラごみ処理の実情は
(土屋敏之解説委員、聞き手:高橋薫 田嶋あいか)

 
まだ間に合う?日本はどうするの?
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1からわかる!「ESG」
 
「ESG」ポイントは“投資家”と“取引先”/「ESG」なぜ注目されるように?/「ESG」これだけは押さえておこう!
(みずほ情報総研株式会社アナリスト大谷舞、聞き手:鈴木マクシミリアン貴大 伊藤七海)
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1からわかる!「SDGs」
 
「SDGs」って、何のこと?/なぜ広まってきたの?/企業には浸透しているの?/17の目標にはストーリーがあった!
(みずほ情報総研アナリスト、聞き手:鈴木マクシミリアン貴大 伊藤七海)

シリーズ「気候危機の解決に向けて、私にできることは?」 10月9日

WWFジャパンのサイトにあるシリーズ「気候危機の解決に向けて、私にできることは?」です。

 

 

 



小西雅子「温暖化の進んだ世界はどうなる?防ぐことはできるのか?」 10月9日

9月25日の”Global Day of Climate Action”に合わせ、公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)は、オンラインイベント『温暖化が進むとどうなる?未来の人道危機を抑えるために今、私たちにできること』を開催しました。
20200925
このイベントは、根本かおる(国連広報センター所長)さん「SDGsアクション・気候行動の文脈で、私たちにできること」、小西雅子(WWFジャパン気候変動グループ専門ディレクター)さん「温暖化の進んだ世界はどうなる?防ぐことはできるのか?」倉橋功二郎(公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパンプログラム部)さん「自然災害がもたらす女の子への影響、フィールドで今起きていること」吉田拓(日本赤十字社ルワンダ代表部首席代表)さん「もっとも弱い立場に置かれた人々と、災害に立ち向かう」の4本のプレゼンと座談会「変化の今を生きる、私たちにできること」で構成されており、YouTubeで聴講することができます。

小西雅子さんの講演「温暖化の進んだ世界はどうなる?防ぐことはできるのか?」は24:27~39:10のほぼ15分間です。
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気候危機で地元どうなる? 未来47景WWFジャパン

※5年前の2015年9月25日は、国連総会で国連加盟国の193ヵ国すべての賛同で、国際目標 SDGs が誕生した日でもあります。蟹江憲史さんは「 Sustainable Development Goals 」は「持続可能な開発目標」と訳されることが多いが、「持続可能な成長目標」とか、「持続可能な発展目標」と訳した方が、日本人には受け入れられやすいのではないかと、中公新書2604『SDGs(持続可能な開発目標)』(2020年8月)で述べています。

資料「新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえた今後の気候変動対策について」 10月8日

日本政府は2020年3月30日、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」における国が決定する貢献「NDC」を、現在の「2030年度に13年度比26%削減」するという目標をそのまま据え置き「確実に達成」するとともに「さらなる野心的な削減努力を反映した意欲的な数値を目指す」と閣議決定し、31日に国連に提出しました。
小泉環境相は、「環境省がこれだけ頑張らなければ、26%で変えずというままで終わっていた可能性がある」と指摘。他省庁との調整もあるが、小泉環境相としては、21年11月に延期された第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)までに新たな削減目標(NDC)を出したいという意欲があることについて「間違いない」と野心的な削減目標設定への強い意思表明をしています(記者会見)。
環境省では8月4日、オンラインで中央環境審議会地球環境部会(第145回)を開催しています。以下の資料は配付資料3「新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえた今後の気候変動対策について」です。気候変動対策の最新の動向、新型コロナウイルスと脱炭素社会に係る動向、今後の進め方、参考資料から構成されています。

新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえた今後の気候変動対策について
1.気候変動対策の最新の動向
 NDC及び地球温暖化対策計画の見直しについて
   20200804_3
○環境省脱炭素社会移行推進室長資料説明(議事録から 下線引用者)
NDC及び地球温暖化対策計画の見直しについてということですけれども、これは冒頭の局長のご挨拶にもありましたとおり、温対計画の見直しに着手いたします。この背景といたしまして、今年の3月、NDCを我が国として提出いたしましたけれども、これを契機として行うということでございます。また、その後の削減目標の検討につきましては、エネルギーミックスの改定と整合的に行うと。さらなる野心的な削減努力を反映した意欲的な数値を目指し、次回、パリ協定の5年ごとの提出期限を待つことなく実施するということでございます。
NDCの中で、この概要というところに記載がありますが、2030年度26%削減目標を確実に達成するということを目指すということを確認するとともに、さらなる削減努力を追求していくという方針を表明しております。これに基づいて見直しに着手をするということでございます。
この見直しの小委員会の設置等々については、後ほどまたご説明をいたしたいと思います。
 (参考) NDCの提出の背景
    20200804_4
 石炭火力発電輸出の方針変更について
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 国内の石炭火力発電に関する動き
    20200804_6

 2018年度の日本の温室効果ガス排出量
    20200804_7
 温室効果ガス排出量の推移
    20200804_8
 部門別CO2排出量の推移(電気・熱配分後)
    20200804_9
 「気候変動×防災」について
 気候危機時代の「気候変動×防災」戦略(共同メッセージ)概要 令和2年6月30日

2.新型コロナウイルスと脱炭素社会に係る動向
 新型コロナウイルス感染症のエネルギー需要に対する影響
 新型コロナウイルス感染症によるCO2排出量への影響
 エネルギー転換部門におけるコロナ禍の影響
 産業部門におけるコロナ禍の影響
 業務部門におけるコロナ禍の影響
 家庭部門におけるコロナ禍の影響
 運輸部門におけるコロナ禍の影響①
 運輸部門におけるコロナ禍の影響②
 (参考)テレワークのCO2排出量への影響
 (参考)IEAによる在宅勤務のエネルギー消費、CO2排出に関する影響分析
 新型コロナウイルスの影響による経済社会の変化
    20200804_10
 新型コロナウイルスの影響による変化と社会の脱炭素化
    20200804_11
 新型コロナウィルス感染症を踏まえた対応(緊急経済対策)
 「成長戦略実行計画」「成長戦略フォローアップ」及び「経済財政運営と改革の基本方針2020」

3.今後の進め方
 地球温暖化対策計画の見直しを含む中長期の気候変動対策の検討について
    20200804_12
○環境省脱炭素社会移行推進室長資料説明(議事録から 下線引用者)
それで、最初のほうにも少しご説明しましたとおり、今後、地球温暖化対策計画を含みます中長期の気候変動対策の検討をしてまいりたいと思います。先ほど冒頭申し上げたとおり、NDCの提出を契機としまして計画の見直しに着手する予定でございます。
今後、温対計画の見直しを含む気候変動対策について検討を行うために、この地球部会の下に「中長期の気候変動対策検討小委員会」を設置いたしました。これについては、先日、各委員の皆様方には書面で協議をさせていただきまして、ご了解いただきました。誠にありがとうございます。今後、産業構造審議会にも同様の小委員会を設けまして、合同で検討を進める予定でございます。少し人数を絞る必要があろうということもありまして、両審議会・小委員会で合計20名程度という体制を考えておりますが、委員の構成については現在まだ調整中ということでございます。
検討に当たりましては、温対計画の見直し、中長期の両面でさらなる削減努力の検討を深めてまいりたいと思います。

 合同会合の議論の進め方
    20200804_13
○環境省脱炭素社会移行推進室長資料説明(議事録から 下線引用者)
次、お願いします。この議論の進め方でございますが、8月中に何とか、これは先ほどの議題にもあった9月3日のオンライン・プラットフォームより、できれば前に開催できるといいなというふうに思っておりますが、これから日程調整をいたします。第1回開催の後、専門家へのヒアリング等を順次実施していきたいと思います。
恐らく議論することになる主要なポイントとしては、ポスト・コロナ時代の社会変化を見据えた対策、さらには、毎年これまでやってまいりました計画の点検進捗を反映した対策の強化、深掘りと、さらには脱炭素社会の実現を見据えた中長期の対策の方向性と、こういったことを議論してまいることが決まっております。
(参考資料)
 (参考資料1-1)近年の異常気象
    20200804_14

 (参考資料1-2)世界的なリスクと認識される気候変動・異常気象
 (参考資料1-3)環境省の「気候危機」宣言
    20200804_15
 (参考資料2-1)パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(2019年6月閣議決定)(1)
    20200804_16
 (参考資料2-1)パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(2019年6月閣議決定)(2)
 (参考資料2-2)革新的環境イノベーション戦略
   (2020年1月21日統合イノベーション戦略推進会議決定)(1)
 (参考資料2-2)革新的環境イノベーション戦略
   (2020年1月21日統合イノベーション戦略推進会議決定)(2)
 (参考資料2-3)グリーンイノベーション戦略推進会議
 (参考資料2-4)統合イノベーション戦略2020 地球環境局関連部分 (1)全体概要
 (参考資料2-4)統合イノベーション戦略2020 地球環境局関連部分
   (2)経済社会の再設計に向けて~重点的に取り組むべき課題の例~
 (参考資料2-4)統合イノベーション戦略2020 地球環境局関連部分
   (2)経済社会の再設計に向けて
 (補足:温室効果ガス排出推定精度の向上(都市炭素マッピング)
 (参考資料2-4)統合イノベーション戦略2020 地球環境局関連部分
   (3)戦略的に取り組むべき応用分野
 (統合イノベーション戦略:環境エネルギー分野)
 (参考資料3-1)経団連「チャレンジ・ゼロ」
 (参考資料3-2)脱炭素経営に向けた取組の広がり ※2020年7月20日時点
 (参考資料3-3)グリーンファイナンスを通じた環境と成長の好循環
 (参考資料3-4) 2050年 二酸化炭素排出実質ゼロ表明 自治体
    20200804_17
 (参考資料3-5)環境省RE100達成のための行動計画
 (参考資料3-6)地域での再エネ拡大に向けた経産省との連携チームについて
 (参考資料3-7)地域での再エネ拡大に向けた経産省との連携チームでの取組例について
 (参考資料3-8)再エネ情報提供システム「REPOS(リーポス)」を6/26にリリース
 (参考資料3-8)REPOSの主な特徴
 (参考資料3-9)災害にも強い地域づくり
 (参考資料4-1)我が国の実質GDPと温室効果ガス排出量の推移
 (参考資料4-2) CO2の部門別排出量(2018年度)
    20200804_18
 (参考資料4-3) 2018年度温室効果ガス排出量(確報値)の2013年度からの増減について
    20200804_19
 (参考資料4-4) 2018年度の地球温暖化対策計画の進捗状況について
    20200804_20
 (参考資料4-5)総合エネルギー統計における電源構成の推移
    20200804_21

 (参考資料4-6)全電源※の発電に伴う燃料種別のCO2排出量
 (参考資料5-1)世界のエネルギー起源CO2排出量の推移(IEA資料より)
 (参考資料5-2)主要先進国の温室効果ガス排出量の推移
    20200804_22
 (参考資料5-3)主要先進国の実質GDP注当たり温室効果ガス排出量の推移
 (参考資料5-4)主要国のエネルギー起源CO2注1排出量の推移(IEA推計注2)
    20200804_23
 (参考資料6-1)気候変動×防災の主流化
    20200804_24
 (参考資料6-2)脱炭素で防災力の高い社会の構築に向けた包括的な対策の推進
    20200804_25
 (参考資料6-3)個人、企業、地域の意識改革・行動変容と緊急時の備え、連携の促進
 (参考資料6-4)国際協力、海外展開の推進

※委員総数28名で三村信男さん(茨城大学地球・地域環境共創機構特命教授)が部会長です。議事録から3名の委員の発言を掲載しておきます。
小西雅子委員(公財)世界自然保護基金(WWF)ジャパン  専門ディレクター(環境・エネルギー) 昭和女子大学グローバルビジネス学部特命教授]
手短に3点、お話しさせていただきたいと思います。
まず1点目は、資料の6ページなんですけれども、排出量が5年連続で減っていると、COPでもいつもこれは出されるんですけれども、1990年に比べると、3%減くらいにすぎないので、結局、1990年から地球温暖化対策をしようというふうになってきて、約30年間で3%しか減少できていないということを、もう少しグラフの上にある四角いところで分析として、現実を直視した分析になったほうがいいかなと思います。
ここから言えることとして、これまでのやり方では効果がなかった。すなわち、例えば産業部門の排出削減の施策が自主行動計画がメインだったということが、やはり、それでは功を奏さなかったんじゃないかということがここから導き出されてくるかと思いますので、やはり、カーボンプライシングとかそういったもの、新しい施策が必要なんだということを、ここで分析結果として出てくるみたいなことをしっかり現実として見たほうがいいのではないかなと思っています。
ここから、やはりグリーンリカバリーが非常に重要になってきますけれども、そのときにやっぱり過去を検証して、リーマン・ショックの後、日本は急増していることがここからも分かります。2013年過去最高となっています。そのときの増加要因として、火力発電の増加による化石燃料消費量の増加によってエネ起源CO2の排出量が増加したみたいな分析がなされていますので、今回はそれを防いで、いかに、今まさに環境省さんがおっしゃっておられるような脱炭素化とSDGsに沿った形のリカバリーが果たしていけるかといったような視点で、まず、過去の経緯からの今回の違いというものを見せていけばいいのではないかなと思います。
その三つ目として、今の経済復興策、井田さんもさっきおっしゃっておられましたけれども、日本の中で、脱炭素とかSDGsとか、どの程度一緒に検討されているか。EUとかでは例えば3割を気候変動対策にみたいに言われていて、Do no harmで全体として脱炭素化がかかっており、少なくとも環境に害をなすものはやらないみたいなことになっていますので、そういった形での整理が日本でも問われているのではないかなと思っております。

江守正多委員[国立環境研究所地球環境研究センター副センター長]
2点、コメントを申し上げたいと思います。
一つは、今日、オンライン会合ということで、これがYouTubeで放送されているわけですけれども、これは非常によかったというふうに思っています。今まで環境省の会議というのはあんまりYouTubeで放送することはなくて、経産省の会議は放送しているのが多くて、非常に経産省のほうがいいなというふうに思っていたところです。それで、もし今後、集まって会合するのが普通になるにしても、今後このYouTubeの放送というのは続けていただきたいと。特にそう思いますのは、今、若い人が、いわゆるFridays For Futureの高校生、大学生とかがNDCの引上げに非常に強い関心を持って、どのように彼らの意見というのを表明していこうかということを考えていて、こういう審議会とかも結構ウオッチをしています。ぜひ彼らに見ていただきたいと。我々としては、そういう若い人が見ているんだと、我々が見られているんだという、そういう意識を持って恥ずかしくない議論をしていかなくちゃいけないと思います。そのためにもYouTubeというのは続けていただきたいというのが1点です。
2点目は、浅野委員からもご発言があったんですけれども、カーボンプライシングについてなんですが、これはちょっと、最近ネットを見ていますと、とあることをきっかけにしてカーボンプライシング、特に炭素税に対する反発的なコメントが非常によく見られるようになっているということが起こっています。これは、一つはコロナとの関係があると思っていまして、今これだけ経済がダメージを受けているのに増税するのかと、そういうリアクションというのが当然あるわけですよね。もちろん新しい税金の話をすると、そういう反発が来るのは世の常だろうと思いますけれども、カーボンプライシングというのは、僕の理解では、単に税金を増やして高くするからみんな我慢してくださいとか、そういう話ではなくて、むしろ脱炭素の商品とかサービスについては追い風になるような、そちらが相対的に経済的な優位性が上がって、選択されるし、投資が来るし、イノベーションも進むと、そういう、経済に対してブレーキではなくて、その向きを変えるのであるというところは僕から見ると本質に見えますので、そういったことを含めてカーボンプライシングについても堂々とこれから議論していく必要があるのではないかと思います。

髙村ゆかり委員[東京大学未来ビジョン研究センター教授]
私からは、ほかの委員がご指摘にならなかった点を特に2点、申し上げたいというふうに思っております。
一つは、三村部会長が最初におっしゃいましたけれども、感染症の拡大というこの状況の中で気候変動対策、脱炭素化に向かう対策も適応策も非常に重要性が増しているというのはそのとおりだというふうに思います。足元の感染症と災害の複合リスクを抑えるという意味でも適応策は非常に重要ですし、将来の気候変動リスクを低減するという意味でも脱炭素化の政策というのは非常に重要になっていると思います。
その意味で、今回始まる温暖化対策計画の見直しについては、もちろん足元の2030年をどうするのかという点もそうですけれども、同時に、これは下田委員がおっしゃいましたが、長期的な視点から、どういう将来の社会をめざすのか、それを支えるインフラはどのようにあるべきか、こうしたものをきちんと書いていくような、そういう作業を期待いたします。特に、インフラ形成にかかる時間を考えると、今ここで始めないといけないというふうに思います。
先ほどから何人かの委員からイノベーションについて議論がありました。長期戦略の中でも非常に重視をしていますけれども、しかしながら、長期戦略に関するイノベーションの議論は企業さんの中にイノベーションのシーズを作り出す力はあるけれども、それを普及して、コストを下げて実装していくためのインフラや社会の制度にむしろ課題があるという認識でした。
そういう意味では、将来を見据えて、まさにイノベーションを作っていくための政策の議論をやっていただきたいというふうに思います。
それに関わって、今「長期的な」と申し上げましたが、このことは地域の脱炭素化にとっても、これは中島委員がおっしゃった点ですけれども、長期的な政策の一貫性や見通しを示すということが具体的な補助と合わせて非常に重要だというふうに思います。特に、今日ご紹介がありました150もの自治体が、しかも7,000万人をカバーした自治体が50年ゼロを目指したいという意思を持っているということの重さをふまえて、国は、その方向で、どういう見通し、政策の方向性を出せるのかということをきちんと議論ができる温対計画の見直しにしていただきたいというふうに思っております。
2点目でありますけれども、コロナ後の在り方として、どの方も多分否定をしないのは、分散型の国土、地域づくりの重要性ということだと思います。これは日本のこの50年間の都市集中、あるいは一極集中の課題にどう対応するかという問題です。恐らくいろいろな手だてを取ってきて、なお解決できないでいるこの課題に対処をするには、地方が住民にとってより魅力的な場にならないといけない。これを作り出す地方のエンパワーメントが今、非常に重要になっていると思います。恐らく、雇用であったり、生活環境や教育環境といったものを統合的に地域が向上させていくという、そういう仕組み、政策が必要で、これもどなたかおっしゃいました、地域循環共生圏という取組はそれにつながってくると思います。
脱炭素の観点からいきますと、欧州などもいろんな戦略の柱を立てておりますけれども、例えば建築物のリノベーションですとか、クリーンエネルギーですとか、クリーンな持続可能なモビリティの実現、いずれも経済復興、雇用創出をしながら、脱炭素、クリーンな社会を創っていける、そういうポテンシャルを持った施策があるということだと思います。
中でもやはり強調したいのが、再生可能エネルギー、クリーンエネルギーの積極的な導入、活用で、これは特に地方のエンパワーメントという点では非常に重要な施策だと思います。経産省も再エネ主力電源化に向けて政策パッケージの検討を開始していますし、さらに再エネ型経済社会の創造というビジョンを今、打ち出して議論をし始めています、そういう意味では、環境省でも経産省のこうした検討と連携をして、ゼロ・カーボンシティ、あるいは2050年ゼロエミッションを目指す地域や企業の支援をする、再エネ導入の促進策というものを検討実施していただきたいと思っております。

公益財団法人自然エネルギー財団「2030年エネルギーミックスへの提案(第1版)自然エネルギーを基盤とする日本へ」(2020年8月6日)
 はじめに
 概要
 第1章求められるエネルギー転換の加速
  福島から10年-原発ゼロの実現へ
  脱炭素社会への転換を加速する必要の高まり
  政府エネルギーミックスの破
  2030年に自然エネルギーを基軸とする電力供給を
 第2章エネルギー需給をめぐる現状
  第1節エネルギー需給構造
   一次エネルギー需給
   電力需給
  第2節CO2排出の状況
  第3節エネルギーコストの状況
  第4節自然エネルギーをめぐる状況
 第3章2030年における自然エネルギーの導入可能性
  第1節太陽光発電の導入可能性
   1.利用可能な土地面積の制約
   2.経済的制約
   3.2030年度の導入可能性
  第2節風力発電の導入可能性
   1.環境アセスメントの状況
   2.系統接続検討・申込の状況
   3.2030年度の風力発電の導入可能性
   4.2030年度の風力発電の発電電力量
  第3節バイオエネルギー発電の導入可能性
   1.売電用バイオエネルギー
   2.自家用バイオエネルギー(再エネ特措法外)
   3.転換促進ケース
  第4節水力発電の導入可能性
  第5節地熱発電の導入可能性
  第6節自然エネルギー電力の導入可能性(まとめ)
 第4章持続可能なエネルギーミックスのあり方
  第1節化石燃料の時代から自然エネルギーの時代へ
  第2節エネルギー需要の見通し
   1.需要の推計の考え方
   2.エネルギー需要推計の前提条件と結果
  第3節持続可能なエネルギーミックスの姿
   1.原子力発電の想定
   2.火力発電の想
   3.2030年エネルギーミックスの姿
   4.CO2排出量の算定
   5.持続可能なエネルギーミックスの意義と課題
  第4節脱炭素社会への展望
 第5章持続可能なエネルギーミックスへの政策課題
  第1節電力システムの改革
  第2節脱炭素への市場メカニズム:カーボンプライシング
  第3節土地利用規制の再検討
  第4節企業の自然エネルギー利用の拡大
  第5節自治体の実行力の強化
 第6章エネルギー政策の選択の時
  パンデミックからの緑の回復
  この10年で日本を変える

浅岡美恵(気候ネットワーク)「ポストコロナと日本の気候変動対策~それでも世界は動いている~」(気候ネットワークWebセミナー、2020年7月9日)
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地球環境研究センター設立30周年記念オンラインイベント 10月1日


国立環境研究所地球環境研究センター設立30周年記念オンラインイベント『気候変動研究と脱炭素社会(これまでの30年、これからの30年)』があり、第2部を聴きました。
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第2部世代横断パネルディスカッション「脱炭素社会に向けた世代間大討論(これからの30年をどーする)」は、ファシリテーターを江守正多さん(地球環境研究センター副センター長)、パネリストは5名、堅達京子さん(NHKエンタープライズ・エグゼクティブプロデューサー)、三枝信子さん(地球環境研究センター長)、高橋大輝さん(東京大学教養学部2年、Friday for Future Tokyoオーガナイザー)、西岡秀三さん(IGES参与、元NIES理事)、宮﨑紗矢香(株式会社大川印刷、Friday for Future Tokyo元オーガナイザー)でおこなわれました。

ファシリテーターを江守正多さんのスライドから
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堅達京子さんのスライドから
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西岡秀三さんのスライドから
 低炭素から脱炭素へ変わるということは
   低炭素社会 京都議定書型 現状から何%減
   脱炭素社会 パリ協定型 すべての国がゼロ排出へ
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※(公財)SOMPO環境財団、損保ジャパン、(公社)日本環境教育フォーラム(JEEF)の3者が協働で開催する「市民のための環境公開講座」(全9回)が今年は無料のオンライン講座として開催されています。9月7日には江守正多さんの「気候危機・コロナ危機と社会の大転換」(→講座概要)、9月23日には堅達京子さんの「真のパラダイムシフトで地球環境を守ろう!」(→講座概要)が実施され、講座概要が公開されています。
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※9月3日、新型コロナウイルスからの復興に関連する気候変動・環境対策に関する具体的な行動や知見を共有するため、9月3日にオンラインの閣僚級会合(小泉環境相が全体議長)が開催され、日本(議長国)及び気候変動関連条約事務局(共同議長)、英国(COP26議長国)並びに、46か国の大臣・副大臣が発言したほか、書面での情報提出等を含め計96カ国が参加しました。またオンライン・プラットフォーム「Platform for Redesign 2020」が立ち上げられています。(環境省報道発表資料2020.09.11


※小西雅子「小泉大臣リード!国連のオンライン温暖化会議が開催されました」(WWFスタッフブログ2020.09.04

江守正多『地球温暖化のリアル』圧縮版②、③ 9月20日

6月23日「最終確認 地球温暖化は本当なんですよね?」で紹介した国立環境研究所動画チャンネル、江守正多さんの『ともだちに話したくなる!地球温暖化のリアル』①~③と20分の圧縮版①。今回は地球温暖化のリアル圧縮版②「【20分でわかる!】温暖化ってヤバいの?」と③「【20分でわかる!じゃあどうしたらいいの?」。全編字幕つきです。











映像教材『かながわ環境スクール(中高生版)』A 9月12日

かなチャンTV(神奈川県公式)の『かながわ環境スクール(中高生版)』は、地球温暖化、エネルギー、資源循環、生物多様性の4テーマに関わる環境問題について学べる映像教材です。A、の2回に分けて掲載しています。

●かながわ環境スクール(中高生版) プロローグ 2:11


●かながわ環境スクール(中高生版)1-1 地球温暖化ってなに? 4:19


● かながわ環境スクール(中高生版)1-2 地球温暖化で私たちの生活にどんな影響があるのかな? 4:53


●かながわ環境スクール(中高生版)1-3 どのくらい二酸化炭素を出しているのか? 4:53


●かながわ環境スクール(中高生版)1-4 地球温暖化防止のための具体的な活動は? 5:44


●かながわ環境スクール(中高生版)2-1 生活の中のエネルギー 3:17


●かながわ環境スクール(中高生版)2-2 電気はどうやって作るの? 7:29


●かながわ環境スクール(中高生版)2-3 家庭ではどのくらい電気を使っているの? 3:16


●かながわ環境スクール(中高生版)2-4 未来のまちとエネルギー 4:04


3、4はこちら

廃棄物処理施設探検隊(栃木県チャンネル) 9月6日

とちぎインターネット放送局県の番組「廃棄物処理探検隊」は栃木県の廃棄物処理施設に対する県民理解促進事業です。廃棄物処理施設にはさまざまな施設がありますが、それらの施設でどのような廃棄物をどのように処理・再資源化しているか、動画で紹介しています。

1 堆肥化施設編 6:47 2013.07.31



3 焼却施設編 5:36 サーマルリサイクル 2013.07.31


4 廃油再生施設編 5:13 2013.07.31


5破砕施設編 5:24 2016.03.31


6 家電リサイクル施設編 6:02 2016.08.31


7 最終処分場編 6:43 2016.08.31


8 ペットボトルリサイクル施設編(1) 6:50 2017.04.27


9 ペットボトルリサイクル施設編(2) 6:14 2017.04.27


10 自動車リサイクル施設(解体・破砕)編 6:48 2018.05.18


11 自動車関係(廃エンジンオイル)リサイクル施設編 5:40 2018.05.18


12 木くずの再生施設(建設リサイクル関係)編 6:48 2019.07.16


13 廃コンクリート・廃アスファルトの再生施設(建設リサイクル関係)編 5:40 2019.07.16


14 選別施設編 6:03 2020.06.19



一般家庭から週一回、所定のゴミ集積所(クリーンステーション)に出される「プラスチック類」は2種類(プラマーク付のプラ①とプラマークなしのプラ②)です。今日はプラ①(プラスチック製容器包装物)資源化の行方を訪ねてをテーマに、市内集積所から運搬回収された「プラスチック類」を一時保管する西本宿不燃物等埋立地と栃木県下野市の西坪山工業団地にあるリサイクル事業者(再生処理事業者)ウィズペットボトルリサイクル株式会社栃木工場を見学しました。栃木工場では西本宿からトラックで搬出されてきたゴミ袋を破いて中身を抜き出し、異物を取り除いてリサイクルできるものとできないものとを選別し、圧縮・梱包した「ベール品」を一時保管する中間処理工場です。



エコプロ2018に参加(2018年12月8日)





連載「平田仁子と読み解く、パリ協定後の気候変動対策」 8月29日

7月28日、気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative: JCI)は、「石炭火力」をテーマにウェビナー(オンラインセミナー)を開催しました。平田仁子さん(気候ネットワーク 国際ディレクター/ CAN Japan 代表)が講演「国内の石炭火力フェーズアウトの必要性」をしています。平田さんは日報ビジネス社発行の「低炭素社会実現」を目指す提言誌『地球温暖化』(隔月刊)に「平田仁子と読み解く、パリ協定後の気候変動対策」を2016年5月号から連載しています。最新号(2020年9月)は「第27回 変わる株主総会」で、この連載は全回を気候ネットワークの「【隔月刊 地球温暖化】平田仁子と読み解く、パリ協定後の気候変動対策」から読むことができます。
第27回 変わる株主総会(2020/09)
第26回 「ゼロ」の意味を考えるとき(2020/7)
第25回 新型コロナウイルスは、気候変動対策にどのような意味をもたらすのか?(2020/5)
第24回 今年、各国の行動はどこまで引き上げられるのか?(2020/3)
第23回 2020年、パリ協定の本格始動~未来を決定づける10年へ (2020/1)
第22回 石炭火力の建設ラッシュ 本当に建てるの!? (2019/11)
第21回 子どもたちの訴えに応えられるのか 9月20〜27日は気候ウィーク (2019/9)
第20回 CCS・CCUへの危うい期待〜未来の選択肢になり得るのか (2019/7)
第19回 どうなる?日本の長期戦略〜脱炭素社会への「道すじ」の描き方 (2019/5)
第18回 仕事が変わる〜脱炭素社会への移行が伴う労働・雇用の移行 (2019/3)
第17回 COP24、パリ協定の実施指針に合意〜これからは本格実施ステージへ (2019/1)
第16回 これから10年の行動が地球の未来を左右する~IPCC特別報告が私たちに問いかけるもの~ (2018/11)
第15回 脱炭素社会を牽引する市民・NGO (2018/9)
第14回 脱炭素社会の実現に向けた長期戦略を描くとき (2018/7)
第13回 ダイベストメントはもう止まらない (2018/5)
第12回 気候変動対策をとらないと訴えられる? (2018/3)
第11回 COP23からマクロン・サミットへ (2018/1)
第10回 再エネ100%イニシアティブ「できる」「できない」の議論を乗り越えて (2017/11)
第9回 運用始まる「緑の気候基金(GCF)」 日本はどう役割を果たせるか (2017/9)
第8回 トランプ大統領にも止められないー率先して動き出す企業イニシアティブ (2017/7)
第7回 企業にとっての気候リスク〜リスクの情報開示が常識に! (2017/5)
第6回 日本はどこへ向かうのか〜迷走中、それとも逆走中? (2017/3)
第5回 それでも世界が動いていく〜トランプ・ショックを乗り越えて (2017/1)
第4回 祝!パリ協定発効〜世界はなぜこれほど早く動いたのか? (2016/11)
第3回 政策と市場の両方で加速する「脱石炭」の動き (2016/9)
第2回 パリ協定は2016年中に発効する!? (2016/7)
第1回 ポスト・パリ協定:脱炭素化へ向けた新時代の幕開け (2016/5)
   
 

「卒石炭火力が日本でも合理的である5つの理由」 8月5日

 7月3日以来、経済産業省がエネルギー政策の転換を思わせる方針を次々に打ち出している。旧式の石炭火力発電所の大部分を2030年までに休廃止、再エネ拡大のために送電網の利用ルールを見直し、また、政府の方針として石炭火力の輸出支援を厳格化、といった具合だ。2018年に定められた第5次エネルギー基本計画を具体化しているだけだというが、筆者には潮目の変化のように感じられる。
 気候変動対策の緊急性の認識が世界で高まり、CO2排出量の大きい石炭火力への風当たりが強くなっている。ほとんどの先進国が脱石炭に向かう中で、日本政府が石炭火力を維持する姿勢は世界から強い批判にさらされてきた。
 日本の言い分は、日本には国内資源が乏しい、面積に比して人口密度が高くエネルギー需要が大きい、隣国とつながる送電網が無い、といった理由でエネルギー安定供給のための火力発電、とりわけ資源調達の容易な石炭火力をある程度維持したいということだろう。
 環境NGOなどはこれを言い訳と見ており、今回の方針に対しても批判的な姿勢を崩していないが、筆者はある程度もっともな言い分だと思っている。しかし、それでも遠からぬうちに日本も石炭火力を卒業するのが合理的だと思う。筆者はエネルギーの専門家ではないので技術や経済の詳細な議論には立ち入らず、大局的な観点からその理由を5つ述べたい。
1. 脱炭素は待ったなし

2. 世界が脱炭素した暁には日本は「勝ち組」
 やはり昨年発表されたノルウェー等の研究者による論文で、世界のエネルギー転換による(つまり、いつの日か世界のエネルギーが化石燃料から再エネに完全に置き替わった場合の)各国の地政学的な損得を分析したものがある。
 その結果によると、日本は明らかな「脱炭素勝ち組」なのだ。資源量のみに注目した場合、人口密度に比して再エネ資源がそれほど豊富ではないので評価は中程度になるが、貿易への影響を考慮するとぐっと評価が上がる。化石燃料輸入のために国外に流出していた年間20兆円前後が国内で回るようになるのだから当然だ。国内秩序の安定性を考慮に入れるとさらに評価が上がる。
 国益を考えるならば、日本は全力で世界の脱炭素化を目指すのが合理的なのである。
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3. 日本の再エネポテンシャルは十分にある
 そんなことをいっても、日本国内の再エネで日本のエネルギー需要がまかなえないと仕方がないじゃないかと思うだろうが、どうやらその点は大丈夫である。
 環境省による最新の調査によれば、日本の再エネ導入ポテンシャルは年間発電電力量にして73,000億kWh、そのうち経済性を考慮した導入可能量は26,000億kWh程度と見積もられている。その内訳は洋上風力が6割、陸上風力と太陽光が各2割程度である。この導入可能量は日本の現在の消費電力量の2倍以上であり、熱量換算すると9.4エクサジュールで、最終エネルギー消費量の13エクサジュールにせまる数字である。

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 日本の再エネポテンシャル(発電電力量)。環境省資料より。

 つまり、単純計算では、日本の電力をすべて再エネでまかなうことは十分に可能である。火力発電も原発も必要ない。さらに、技術進歩等により経済性が少し改善されれば、燃料等を含む一次エネルギー全体を再エネでまかなうことも視野に入るといえるだろう。
 もちろんこれが可能になるためには、送電網の増強や、需給バランスを確保するための蓄電設備やデマンドレスポンス(需要側の調整)などへの投資や制度整備が必要なので、すぐにできると言っているのではない。究極的に(といっても30年で、できればもっと早く)これを目指すという話である。
 ここで、メガソーラーの自然破壊などの心配も出てくると思うが、環境アセスメントも廃棄費用の積み立ても義務化されたので、乱開発は是正されるだろう。

4. 石炭火力でもうかりますか?
 経産省の方針では高効率の石炭火力は維持、拡大するといわれており、環境NGOはこの点を特に批判している。しかし、石炭火力を新設しようとする事業者がどんなふうに経済的な合理性を見込んでいるのかが、筆者にはわからない。
 再エネのコストはどんどん安くなっており、世界の多くの地域(英国のシンクタンクCarbon Trackerの報告によれば日本も含む)で既に新設の石炭火力よりも新設の再エネの方が安い。この傾向は今後さらに拡大していくだろう。また、再エネが増えるほど、火力発電は出力制御をしなければいけなくなるので、稼働率が落ちて収益性が下がる。
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 本格的なカーボンプライシング(炭素税や排出権取引)が日本でも導入されれば、石炭火力のコストはさらに上がる。すぐに導入されるかはわからないが、10~20年にわたって導入されないと想定する事業者はさすがに楽観的すぎるだろう。CCSを後付けできればカーボンプライシングはかからないが、もちろんCCSのコストがかかる。
 もしも筆者が石炭火力を計画中の事業者の立場であったならば、全力で引き返す判断をするだろう。既に投資してしまった額によっては辛い判断になるかもしれないが。
5. やがて常識が変わるだろう
 ……やがて技術的にも経済的にも脱炭素が可能だと誰もが思うようになり、CO2を出さずにエネルギーを作ることが世界の常識になる時代が来るだろう。そのときの新しい常識から現在をみると、「あの頃はひどいことをしていた」と評価されるにちがいない。特に、脱炭素の選択肢があるのを知りながら、CO2を多く排出するインフラを新たに作ることは、きわめて悪質な行為として後世の人たちから厳しい倫理的な批判にさらされるだろう。

 石炭は嫌いじゃなかった。小学生だった1960年代、冬場になると、当番はみんなより早く登校して、教室のだるまストーブに火をつけた。なかなか火がつかないが、赤々とした炎は「エネルギーの塊」を感じさせた。だがそんな石炭の時代も、終わりが見えかけてきた。さて、どう石炭と別れよう。
 身の回りの燃料は石油やガスに替わり、石炭を手にする機会はなくなった。57歳の私は、石炭に触れた最後の世代ではないかと思う。ただ、目の前から消えたからと言って、石炭の時代が終わったわけじゃない。世界ではいまも主要なエネルギーの一つだし、日本ですら、電気の3割は石炭が担っている。
 ところが、その石炭にもついに終わりの兆しが見えてきた。地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を大量に出すことが理由だ。流れは2015年のパリ協定で決定的になった。
 簡単じゃないことは分かっている。けれど、どうせ別れるなら、きっぱりと別れたい。
インド 石炭電力が余り出した
イギリス 産業革命からの卒業
ドイツ 別れるには時間がかかる
時代に逆行、依存強める日本
 日本では石炭の時代はすでに終わったと思っている人は多いが、とんでもない。国内の石炭消費量は、2度の石油ショック以降再び増加に転じ、2015年は1960年代の倍以上の約1億9000万トンになっている。6割が発電などで4割が鉄鋼関連で使われている。99%以上がオーストラリアなどからの輸入で、世界3位の輸入大国だ。
 日本経済の変わり身の早さには、ある意味で感心する。戦後の増産政策で、国内には50年代に1000以上の炭鉱があり、45万人以上が働いていた。
 それが、海外炭が安いと見るや、軸足を移す。70年には国内炭との割合が逆転。国際競争力がないという理由で合理化の嵐が吹き荒れ、閉山が相次いだ。現在残る炭鉱は、北海道の坑内掘りの1炭鉱と、露天掘りの7炭鉱だけだ。
 しかも、閉山は突然だった。82年10月に閉山した北海道夕張市の北炭夕張新鉱の閉山発表は1カ月半前だった。約2000人の従業員は全員解雇された。97年3月に閉山した福岡県大牟田市の三井三池炭鉱も1カ月半前で、1200人の全従業員が解雇された。閉山の決定から実施までに10年をかけて
 準備を進めたドイツの炭鉱との違いを感じざるを得ない。
 事実上財政破綻(はたん)した北海道夕張市の鈴木直道市長(36)が「産炭地はどこも苦しんでいる。国策でやってきたことなのだから、もっと国のサポートがあってもいい」とぼやくのも分かる。
 世界が石炭と別れようと動き出している中で、国内炭をあっさり見切った日本は石炭火力発電に固執している。福島原発事故後、建設計画が相次いでいるのだ。環境NGOの調査では、2012年以降、全国で49基(計2300万キロワット)が計画された。4基は事業リスクなどを理由に中止を決めたが、まだ相当数が生きている。
 日本には、エネルギー構造を化石燃料から自然エネルギーに変えていくための強い政策がない。電力会社や産業界は、自分たちの力が及ばない自然エネルギーのような小規模分散型電源より、原発や火力発電のような大規模集中型電源が根本的に好きなのだ。
 海外の石炭への投融資についても、各国が控える動きを見せている中で、日本は「高効率石炭火力発電技術で世界の温暖化防止に貢献する」という姿勢を変えていない。世界自然保護基金(WWF)などの調査では、07~14年の国際的な石炭関連事業(採掘、発電など)への公的金融機関による投融資額は、日本が1位だった。
念入りに準備をして別れよう
 「化石燃料時代の終わり」を示したパリ協定には、すべての国が合意した。唯一の超大国である米国の大統領が離脱を表明しても、協定が揺らぐ兆しはない。
 今回の取材で改めて思い知ったのは、エネルギーの主役はコストが決めるということだ。自然エネルギーのコストは、火力や原子力を下回るようになった。今後はさらに安くなっていくだろう。温暖化や原発のリスクを第一の理由に、世界が脱炭素へと動いているわけではない。自然エネルギーが安くなったから、一斉に走り出したのだ。
 化石燃料との別れは不可避だ。であれば、仕事がなくなる人たちのことも考えて、各国の状況に応じた準備を急ぐべきだろう。
 心配なのは、日本だ。国内炭鉱の閉山の時と同じように、ぎりぎりまで別れないそぶりを見せていて、急に態度を変えるのではないか。そうなると、これまでの化石燃料への投資を回収することが難しくなり、出遅れた日本経済は大きな打撃を被ることにならないか。
 どうせ別れるのだから、きっちりと準備して、これまで世話になったことに感謝して別れたい。後腐れや恨みっこは、なしで。
◆石炭とは ◆石炭から逃げる投資 ◆温暖化の現状

JCIウェビナー「石炭火力を考える」パネディス・質疑 8月4日

JCIウェビナー「石炭火力を考える」(7月28日)の2本の講演の後のパネルディスカッションと質疑です。YOUTUBEでの開始時間を入れておきます。

JCIウェビナー「石炭火力を考える」
 (2020年7月28日 zoomウェビナーおよびYouTubeライブ配信 10:30~12:00)
 4.パネルディスカッション
   高村ゆかり 東京大学未来ビジョン研究センター教授
   平田仁子 気候ネットワーク国際ディレクター/CAN Japan 代表
   大野輝之 自然エネルギー財団常務理事
 5.質疑応答(司会:田中健)


 4. パネルディスカッション 46:35~1:17:03
  ●高村ゆかり  48:10~57:19 1:04:10~1:10:53
  ●平田仁子 57:30~1:01:53 1:11:25~1:15:22
  ●大野輝之 1:01:55~1:01:30 1:15:22~1:17:03

 5.質疑 1:17:05~1:40:54
  ●脱石炭で生じる問題 平田仁子 1:18:22~1:22:55
  ●再エネを普及していく上での課題 滝澤元 1:23:05~
  ●日本政府が石炭火力に固執する理由 高村ゆかり 1:24:41~1:28:50
  ●再エネの価格 大野輝之 1:28:57~1:30:50
  ●まとめの質問:様々な意見を政策に反映するには? 1:31:00
   平田 1:31:50~1:34:14
   瀧澤 1:34:20~1:35:06
   高村 1:35:10~1:38:28
   大野 1:38:36~1:40:17

  

JCIウェビナー「石炭火力を考える」講演②(瀧澤元) 8月4日

JCIウェビナー「石炭火力を考える」(7月28日)の講演②「石炭火力輸出の中止と自然エネルギー支援への転換が必要な4つの理由」(瀧澤元 自然エネルギー財団 上級研究員)です。資料スライドと、YOUTUBEでの開始時間を入れておきます。

講演2 瀧澤元「石炭火力輸出の中止と自然エネルギー支援への転換が必要な4つの理由」 資料PDF 28:25~[YouTube
●2020年 動き出したが、不十分な日本の脱石炭火力 29:21~
 2/18 小泉環境大臣、石炭火力輸出の見直し表明 
 2/12 自然エネルギー財団 「日本の石炭火力輸出政策5つの誤謬」発表
 4/1 環境省、石炭火力輸出ファクト検討会発足
 4/21 自然エネルギー財団 「アジアで進む脱石炭火力の動き」環境省ファクト検討会へ提出
 5/14 環境省「石炭火力輸出ファクト集」取りまとめ
 5/21 経産省「インフラ海外展開懇談会」中間取りまとめ
 7/3 梶山経産大臣、国内非効率石炭火力の削減を表明
 7/9 経協インフラ戦略会議、石炭火力”原則”輸出しない
  【インフラ輸出戦略】「我が国が相手国のエネルギーを取り巻く状況・課題や脱炭素化に向けた方針を知悉(ちしつ)していない国に対しては、政府としての支援を行わないことを原則とする」➡現在進行中のプロジェクトや”高効率”と位置付ける石炭火力の輸出は継続
 7/9 自然エネルギー財団 「石炭火力輸出の完全な中止と自然エネルギー支援への転換を」公表
 [7/22「石炭火力輸出の中止と自然エネルギー支援への転換が必要な4つの理由」(自然エネルギー財団)] 7月22日
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石炭火力輸出の完全な中止と自然エネルギービジネスへの転換が必要な4つの理由 31:34~
1 「日本の石炭火力発電効率は世界でトップ」という主張は、もはや通用しない
  ■ 経産省報告書、環境省検討会への電力会社提出資料でも、石炭火力輸出政策の最大の根拠だった「日本の石炭火力発電効率は世界でトップ」という主張が、もはや通用しないことが明確に。
  ■ 鈴木外務副大臣は「日本が生産をしている1段再熱のUSCよりも、中国のみで生産できている2段再熱のUSCのほうが効率がよく、費用的にも日本のものに比べて高くはないという記述がある。もし、この記述が本当だとすれば、日本の技術が優れているという輸出の前提が変わってしまう」との見解を表明(環境省検討会第3回発言)
2 「石炭火力と脱炭素化の両立」の非現実性
  ■ 経産省報告書が提唱するIGCC、CCSなどの「脱炭素化」技術は、削減効果が小さく、高コスト、技術も未確立。事業者自身の資料によっても、現在の輸出プロジェクトに利用できるものではないことが明らか。
3 東南アジアには自然エネルギー開発、送電網整備など大きなビジネスチャンスが存在
  ■ 東南アジアには、電力需要を満たすために十分以上の大きな自然エネルギーポテンシャルがある。
  ■ 太陽光などの発電コストは急速に低下し、石炭火力に対して価格競争力を有するようになっている。
  ■ 既にインドシナ半島には国際送電網が存在。島しょ部でも建設・計画が進む。その促進こそインフラ輸出のビジネス機会。
4 多くの企業・金融機関が既に石炭から自然エネビジネスへの転換を進めている
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●1 競争力を失った日本の石炭火力プロジェクト 32:16~

●2 「石炭火力と脱炭素化の両立」の非現実性①IGCC 33:59~

●2 「石炭火力と脱炭素化の両立」の非現実性②CCS 36:16~

●3 東南アジアの自然エネルギービジネスの大きな可能性 太陽光・風力のコスト低下 38:25~
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●3 東南アジアの自然エネルギービジネスの大きな可能性①開発ポテンシャル 40:27~

●3 東南アジアの持続可能な未来 ■東南アジアの未来3つのシナリオ:日本はどの未来を支援するのか 41:50~
 •「世界エネルギー見通し2019(WEO2019)」は、東南アジアの「現状政策(CPS)」、「公表政策(SPS)」、「持続可能政策(SDS)」の3つのシナリオを描く。
 •石炭火力発電量は、現在より現状政策で3倍、公表政策でも2倍になる。
 •公表政策でも、2040年までの設備容量の増加は、自然エネルギー電源が石炭火力の2倍程度。しかし、このシナリオでも、エネルギー起源CO2は、60%増加する。
 •日本が、世界の気候変動対策に貢献するためには、パリ協定に整合する持続可能政策に沿った電源開発を支援すべき。
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●4 多くの企業・金融機関が既に石炭から自然エネビジネスへの転換を進めている 43:15
 ■環境省検討会に提出された各企業の資料からは、金融機関、商社は脱石炭の方向に舵を切っており、電力会社も、石炭火力の必要性は言いつつ東南アジアでは新規開発を予定していないことが明らかになった。
 ■ごく一部の企業以外、日本のビジネスは脱炭素への選択を行っている。

石炭火力輸出の中止と自然エネルギー支援への転換が必要な理由まとめ 45:15~46:25
1. 日本政府はパリ協定にコミットしており、「世界の脱炭素化を牽引するとの決意の下、高い志と脱炭素化のための取組を積極的に推進していく姿勢を力強く内外に示」すとしています(パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略)。
したがって、政府のインフラ輸出戦略もパリ協定の実現に向けた戦略と整合的であることが必要です。
2. 経産省報告書は、IEAの公表政策シナリオに依拠して「2040年には、化石燃料発電の割合は相対的に減少するが、例えばアジア太平洋地域では依然5割を占めることが見込まれ」るとし、これを石炭火力支援を継続する理由としています。
しかし、公表政策シナリオでは、2040年の東南アジアのエネルギー起源CO2排出量は2018年より60%も増加してしまい、パリ協定の目標と整合しません。公表政策シナリオを前提として日本のインフラ輸出戦略を決めるのでは、パリ協定に対する政府のコミットメントと矛盾してしまいます。
3. 石炭火力輸出を合理化する最大の根拠であった「日本の石炭火力発電効率は世界でトップ」という主張が根拠を失う一方で、東南アジアにおける自然エネルギー開発、送電網整備には、大きなビジネスチャンスが存在しています。
4. 環境省検討会においても、経産省報告書においても、多くの日本企業が自然エネルギー拡大とその関連ビジネスに積極的に乗り出していることが示されています。
5. 世界の気候変動対策に貢献するためにも、日本のビジネス展開の促進のためにも、「インフラ輸出戦略」を見直し、石炭火力輸出政策を完全に中止し、自然エネルギービジネス支援に転換すべき時です。
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JCIウェビナー「石炭火力を考える」講演①(平田仁子) 8月4日

JCIウェビナー「石炭火力を考える」(7月28日)の講演①「国内の石炭火力フェーズアウトの必要性」 (平田仁子 気候ネットワーク国際ディレクター/CAN Japan 代表)です。資料スライドと、YOUTUBEでの開始時間を入れておきます。

講演1 平田仁子「国内の石炭火力フェーズアウトの必要性」 資料PDF  8:37~[YouTube
●気候危機の回避に求められること パリ協定との整合性(1) 2050年ネットゼロ 9:18~ 9:39~
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●気候危機の回避に求められること パリ協定との整合性(2) 石炭火力の利用抑制 9:35~ 9:38~ 10:38~
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●これからの経済再生策が決定的に重要 9:36~ 12:27~
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●発電電力量の推移 13:42~
 
●2012年以降の石炭火力発電所の新増設 多数の石炭火力発電所が建設・運転開始している 14:38~

●廃止計画を持たない日本 石炭火力の発電容量が急増している 16:01~

●日本の石炭火力発電に関する対策・政策はG7で最低ランキング 16:29~

●[化石賞] 17:35~
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●国の石炭火力政策① ー東日本大震災後 18:28~
  石炭火力発電の開発へのゴーサイン
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●国の石炭火力政策② 19:28~
  エネルギー基本計画での位置付けと、それとの整合を図る施策
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●電気事業者の供給計画とりまとめ 20:48~
  2029年に石炭火力37%にまで増えてしまう
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●経済産業省 石炭火力の抑制:非効率石炭休廃止(100基・9割) 21:38~
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●“非効率石炭火力の9割(100基)休廃止”の意味 22:15~
  古いものは閉じるが、新しいものは今後も延命方針
  基数で9割・100基は大きく思えるが設備容量ではわずか2まる割減
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●Climate Action 2019 23:21~
 各国の行動を引き上げを要請
 ●国連気候行動サミット2019(UN Climate Action Summit 2019)

●目標を立て毎年計画的に削減 23:51~
 「2030年石炭火力フェーズアウト」の道筋が不可欠

●「2030年石炭火力フェーズアウト」の実現に向けた市民・NGOの動き 24:36~

今、求められること ー政策 25:13~
 • 2030年目標(エネルギーミックス)の見直し
   • 「2050年CO2ネットゼロ」とともに石炭火力全廃を目標として掲げ、パリ協定との整合性を図ること
 • ロードマップ策定と政策対応
   • 既存発電の全廃への道筋を策定すること
   • 新規計画の中止
 • エネルギー転換を進める政策を経済再生の軸に
   • カーボン・プライシング(経済的手法)
   • 再生可能エネルギー大幅拡大策(優先再生可能エネルギー大幅拡大策(優先給電・系統強化・市場設計))
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日本に求められることー需要側 26:19~27:55
 • パリ協定の目標と整合させるビジョン・戦略と計画策定
    • TCFDの勧告に沿ったリスク把握とシナリオ分析
 • 電力の脱炭素化の行動実践
    • 目標設定
    • イニシアティブ参加・コミットメント
    • 電力購入基準設定
    • 再エネ導入・自家消費
 • 政策・社会への波及への貢献
    • 取り組み共有
    • 対話
    • 支援
    • 政策要請
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IGES気候変動統合チーム「ネット・ゼロという世界 -2050年 日本(試案)」定量的データで描き出す脱炭素社会の姿[公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)サイト 20200604
本報告書は、日本において、どのようにネット・ゼロ社会の実現を図るのかということについて、問題提起を行うことをねらいとしている。第1章では、目標年として2050年を掲げ、ネット・ゼロ社会におけるエネルギー需要の動向を中心に定量的な分析を試みた。その結果、広範な社会変化を伴いながらネット・ゼロ社会を実現していくトランジションシナリオでは、ネット・ゼロの達成時には、CO2貯留に関するリスクの低減、及び化石燃料依存脱却によるエネルギー・セキュリティー向上に大きく貢献することが示された。第2章では、トランジションシナリオにおける社会全体の変化を都市と地域、暮らし、産業、適応という観点から展望した。第3章では、ネット・ゼロ社会に向けた主要な課題や論点を概観した。

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)[環境省サイト]

JCIウェビナー「石炭火力を考える」 8月3日

気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative: JCI)は7月28日、「石炭火力を考える」をテーマに、ウェビナー(オンラインセミナー)を開催しました。ウェビナーでは2本の講演(国内・国外の石炭火力の動向について)とディスカッション、質疑応答が行われました。zoomウェビナーとYouTubeでライブ配信で600名が参加したそうです。
日本は、CO2排出量の大きい石炭火力発電について、国内での新増設を進めるとともに、東南アジアなどの海外への輸出を支援し続けており、国際的にも大きな批判が寄せられてきました。
7月3日、梶山経済産業大臣は、国内の「非効率な石炭火力発電を2030年までにフェードアウトする」という方針を公表しました。しかしこれは、「高効率」と称する石炭火力を、2030年時点で30GW以上も温存するものだという批判が寄せられています。
また、石炭火力の輸出については、7月9日に政府が発表した新たなインフラ輸出戦略の中で、「支援しないことを原則とする」と定められました。しかし、支援の要件は厳格化された一方で、進行中プロジェクトの支援は継続されるとともに、いまだ新規の輸出を可能とする含みは残されています。
  プログラム  
  1.開会あいさつ(気候変動イニシアティブ(JCI)代表末吉竹二郎)
  2.講演1「国内の石炭火力フェーズアウトの必要性」(平田仁子)
  3.講演2「石炭火力輸出の中止と自然エネルギー支援への転換が必要な4つの理由」(滝澤元)
  4.パネルディスカッション(高村ゆかり・平田仁子・大野輝之)
  5.質疑応答(zoomのQ&A機能を利用)
  司会:田中健(WWFジャパン 気候・エネルギーグループ)

  YOUTUBE(1:40:54)
      


『週刊東洋経済』特集・脱炭素待ったなし 8月1日

『週刊東洋経済』(8月1日号)は「脱炭素待ったなし」の特集です。
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地球温暖化の影響から自然災害が深刻化しています。そこに新型コロナウイルスが直撃。人々の移動が止まり石油需要が低迷し、多くのエネルギー企業が危機に瀕しています。
その一方で再生可能エネルギーシフトが世界主要国における経済復興政策の中心として浮上。日本でも非効率石炭火力発電所の停止など、踏み込んだ政策が動き出しました。
「脱炭素」に向けた規制はどこまで進んだのか。これから、どこまで強化されるのか。企業が意思決定を行ううえで不可欠な情報を盛り込んだ特集をお届けします。
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特集:脱炭素 待ったなし目次
Part1 石油の終焉
 世界で相次ぐ巨額損失と破綻 石油・ガス企業の瀬戸際
 「技術覇権争いで 日本は存在感保て」
    日本エネルギー経済研究所専務理事・首席研究員小山堅
 「エネルギー問題の世界的権威が警鐘 創造的破壊に備えよ」
    IHSマークイット副会長ダニエル・ヤーギン
 コロナ禍と原油価格急落で経済が苦境に 不安定化する産油国政治
 独仏はEV購入に100万円以上補助 政策頼みのEVシフト
Part2  脱炭素化への奮闘
 重い腰を上げた日本政府 「非効率石炭」退場の衝撃
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 グリーンリカバリーに向け世界が動く コロナ禍を脱炭素で克服
 不況対策に内燃機関車への補助金はない ドイツ人の強い環境意識
 再エネ大量導入や森林破壊ゼロへ動き出す 日本企業・ESGの本気度
 イオン、セブンーイレブンの挑戦 再エネ店舗は普及するか
 ヤマト運輸 独社製のEVを首都圏で約100台稼働
 「発電コストが下がれば “電気使い放題”も」
    丸紅 電力・インフラグループCEO横田善明
 CO2大量排出産業の宿命 鉄鋼が挑む脱炭素の壁
Part3  前進する再エネ
 ついに日本も導入目標を策定 動き始めた洋上風力
 「日本政府の目標設定に期待」
    MHIヴェスタス アジア太平洋地域リージョナルマネジャー山田正人
 脱炭素の切り札となりうるか 水素とアンモニアに脚光
 欧州が野心的な水素戦略に着手した 日本の30倍の導入目標を掲げ投資を促す
 「現実味乏しい電源構成 実態に即した見直しを」
    国際大学大学院教授橘川武郎
 強靱で環境性に優れたエネルギー 東電と東ガスが真っ向勝負
 「水力と洋上風力を柱に 数兆円の投資を実施へ」
    東京電力リニューアブルパワー社長文挾誠一
 「日本企業も脱炭素に本腰 電力に投資呼び込む必要」
    日本経済団体連合会会長中西宏明



この間の石炭火力の削減方針評価③(7月24~30日) 7月30日

6月13日にeシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)が発表したリーフレット『STOP! 原発・石炭火力を温存する新たな電力市場』の7月22日版が公開されています。「容量市場」、「非化石価値取引市場」、「ベースロード市場」など新たな電力市場制度が大手電力に有利で石炭火力を温存する所以を明らかにしていますが、別記事で扱います。。
  

太陽光発電に負ける石炭火力(文谷数重)
  (Japan In-depth 2020.07.24)
  ・経産省による石炭火力の整理は太陽光にコストで敗北した結果である。
  ・石炭火力は十余年でなくなる。ガス火力も原発もなくなる。
  ・発電関連業界は今後様相を一変する。
経済産業大臣が石炭火力発電の見直しを発表した。3日の記者会見で脱炭素社会の実現を目指すため石炭火力は2030年に向けてフェードアウトさせる旨を明言した。だが、同時に石炭火力を残存させたい希望もにじませている。まず「非効率石炭[火力発電]の早期退出」とフェードアウトの対象を限定している。そして質疑では「高効率の石炭火発」や「償却が終わりに近づいているとか終わったプラント」を残したい本音を示唆している。石炭火力は将来どの程度残るのだろうか?まずは残らない。なぜなら石炭火力の縮小決定はコスト敗北の結果だからだ。それからすれば石炭火力は遠くないうちに絶滅するのである。
  ■フェードアウトはコスト敗北の結果
   文谷1
    ①は新設火力と新設太陽光のコスト逆転(2016年)
    ②は減価償却が完了した既存火力と新設太陽光の逆転(2024年)
    ③は新設火力と再エネ+蓄電池の逆転(2026年)
    ④は既存火力と再エネ+蓄電池の逆転(2026年)

  ■石炭火力はなくなる
  ■原発も天然ガス火力もなくなる
  ■電力関連業界は一変する

  旧式だが高収益の石炭火力発電に不適格の烙印
  (東洋経済ONLINE 2020.07.27 5:50)
原子力発電所の再稼働が遅れている現在、石炭火力発電が生み出す発電量は全体の32%を占めている(2018年度実績)。今回やり玉に挙げられた旧式の石炭火力は、その約半分を占める重要な電源だ。
環境性能では劣る反面、設備が簡素であるためメンテナンスが容易で、減価償却が進んでいることもあり、「競争力では非常に優位にあった」(JERA(ジェラ)の奥田久栄常務執行役員)。つまり電力会社にとっては「非効率」ではなくむしろ「高収益」の設備だった。
それだけに、電力各社への衝撃は大きい。虎の子の資産に対して経産省から環境性能の面で“不適格”の烙印が押されたからだ。方針発表後、電力各社には投資家からの問い合わせが相次いだ。
日本ではこれまでエネルギーの制約から脱炭素化は絵空事と見なされてきた。それが今や企業のビジョンや成長戦略の柱として語られるようになってきた。日本経済団体連合会が音頭を取る形で、脱炭素化を目指す企業連合の「チャレンジ・ゼロ」が動き出したのも危機感の表れだ。脱炭素化の潮流を理解し、自らを変革できた企業だけが生き残る。[記事末結論]
  特例措置がなければ追い込まれる電力会社も
  旧式石炭火力のフェードアウト方針は2年前に決定
  温暖化対策で、はるか先を行く欧州
世界に目を転じると、日本とは違った光景が広がる。先端を走るのは欧州連合(EU)だ。エネルギー面での取り組みや、環境などに配慮したESG(環境・社会・企業統治)投資の状況を比較すると、日本より欧州のほうがはるかに踏み込んで対応していることがわかる。
2015年9月の国連SDGs(持続可能な開発目標)と、同12月の地球温暖化対策のためのパリ協定採択をきっかけに、欧州委員会は「サステイナブル金融に関するハイレベル専門家グループ」(HLEG)を設立。2018年1月のHLEG最終報告書において「タクソノミー」の導入が提言された。
タクソノミーとは、一般に「分類」を意味する。ここでは地球温暖化対策を進めるうえでの投資対象として、各産業分野における技術や製品の適格性を分類する。
今年3月にまとめられた「サステイナブル金融に関するテクニカル専門家グループ」(TEG)の最終報告書によれば、環境に優しいとされる「グリーン」に分類された投資対象に石炭火力発電は含まれていない。
  欧州委員会が明らかにした「水素戦略」

自然エネルギーが世界で急拡大、日本は後進国に 飯田哲也さんに聞く(吉田昭一郎)
  (西日本新聞 2020/7/28 11:30 更新:2020/7/29 16:18 更新)
  ●「太陽光と風力が世界のエネルギーの中心に」
  ●石炭火力を下回る発電コスト
  ●送電線接続ルール、再生エネ普及を妨げ
 飯田さんによると、日本では石炭火力発電の原価は1キロワット時当たり4円~8円程度。これに対し、最新型の太陽光は10円を切るところまで来ている。日本の再生エネが比較的高いのは、初期の高い固定単価で稼働する太陽光がまだ残っていることと、大手電力会社が新規の再生エネ事業者に求める高額な送電線接続負担金の影響もあるという。
 飯田さんたちは「日本と再生」で、再生エネの発展を妨げる壁として、その接続負担金とともに、大手電力会社の送電線運用の問題を指摘した。
 「電力会社は系統の全発電所が最大限発電していると想定して送電線の空き容量を計算するので、実際には送電線にほとんど電気が流れていないのに『空き容量はゼロ』として事実上、新規事業者を締め出し自然エネルギーの普及を妨げています。しかも送電線の使用は先着優先としており、自分のところの原発や石炭火力などの電気を優先して流す。電力量が多すぎると、『出力抑制』と称して自然エネの電気から排除して買い取らず、その補償もしない。そうした不明朗、不公正な運用を見直して、FIT(固定価格買い取り制度)法の本来の目的『自然エネの優先接続・優先給電』を実現しないと、日本の遅れは取り戻せません」
  ●送配電の分離、完全独立こそ1丁目1番地
 欧州など各国が脱炭素化へ本腰を入れる中、石炭火力になお依存し新増設計画も抱える日本への海外の批判は厳しさを増す。政府は今月3日、CO2排出量が多い旧型の石炭火力発電所114基のうち100基程度を30年までに休廃止させる方針を発表。新型の石炭火力は残し、新増設も認めるとした。
 これに対し、飯田さんは「ある意味で、フェイクまがい」と厳しい。「『114基のうち100基程度の廃止』とは大胆な決定に聞こえますが、『やっているフリ』ではないか。旧型の石炭火力は小型が多く、建設・計画中の大型石炭火力を加えれば正味の電力量は基数ほどには大きく減らず、国のエネルギー基本計画を維持したまま、2030年の化石燃料の電源構成比率56%を温存するわけですから」
 政府は同時に、再生エネ推進を掲げ送電線への優先接続など、今のルールの見直しも進めるとしている。飯田さんの提案はこうだ。
 「1丁目1番地は大手電力会社の発電と送電の分離をきちんと実行すること。電力各社は今春、法改正に伴い分社化していますが、送電会社を子会社にしたり持ち株会社の傘下に入れたりしただけ。それでは、送電会社は親会社や持ち株会社の利害に沿って送電線を運用してしまい、中立・独立からはほど遠い」
 「各地の送電会社を資本面で完全に独立させたら国内一つの公益会社に統合。北欧の国際電力市場『ノルドプール』など欧州の先進地の人材を招いて、自然エネルギーの優先接続・優先給電原則のもとで電力市場を一から設計し直し、最新のソフトウエアを導入する。そこまで踏み込まないと、送電網の運用も含めて市場運営上の透明性、公平性が担保できず、自然エネルギーは広く普及できないと思います」
石炭火力見直し エネルギー戦略、原発も逃げず議論を(松尾博文)
  (日経電子版 Nikkei Views 2020.07.29 2:00)
エネルギー政策の長期指針となる「エネルギー基本計画」は、30年度に実現する3つの政策目標を掲げる。(1)欧米に遜色ない温暖化ガス削減を実現する(2)電力コストを現状より引き下げる(3)エネルギー自給率を東日本大震災前を上回る25%程度に引き上げる――だ。
エネルギー指標を国際比較すると、日本が気候変動の対応以上に劣後する2つの数字がある。自給率と電気料金の水準だ。17年の自給率は9.6%と、経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国中(17年時点)で34位だ。東日本大震災以降、最下位のルクセンブルクに次いで下から2番目が定位置になっている。米国93%、英国68%、フランス53%、ドイツ37%などと比べて、日本は主要国の中で際だって低い。
経産省によれば、17年度の電気料金は震災前と比べて家庭用で16%、産業用で21%高い。産業用で38%高となった14年のピークから下がったとはいえ、高止まりが続く。国際エネルギー機関(IEA)によれば、16年の発電コストは米国や東南アジアの2倍、欧州連合(EU)の1.5倍だ。
低い自給率は国家安全保障の、割高な電気料金は国際競争力の観点から放置できない。エネルギーを1割も自国でまかなえず、電気料金が2倍の国に誰が投資しようとするだろうか。温暖化問題に隠れがちだが、日本は深刻な弱点を抱える。
低い自給率は化石燃料への依存度が高いことに起因する。電源の約8割を占める、石炭や液化天然ガス(LNG)、石油はほぼすべて輸入に頼る。戦前、戦後を通じて日本がエネルギー安保の呪縛に捕らわれてきた理由はここにある。自給率引き上げへ、国産エネルギーである再生エネの拡大に注力することは正しい。
ただし、石炭が担ってきたエネルギー供給の役割を、すぐに再生エネで代替できると考えるのは早計だ。日本では再生エネのコストは地理的な条件や送電網の制約などから、まだ石炭火力より高い。時間や天候で変動する再生エネの供給を平準化する技術の定着には投資と時間が必要だ。
原発は温暖化ガスを出さない脱炭素の有力手段であり、国産エネルギーに位置付けられる。安全対策費用が一定に収まる限り、既存原発を再稼働できれば化石燃料よりも発電コストは安い。エネルギー基本計画で掲げる3つの政策目標の達成には原発が必要なのだ。
しかし、様々な世論調査では、福島第1原発事故から9年が経過しても原発への不信感は根強く、必要だとする回答はむしろ下がっている。エネルギー政策の大前提である安全問題を克服できていない。
原発比率20~22%の実現には30基程度の原発が必要だが、再稼働は9基にとどまる。政府は50年に温暖化ガス排出の8割削減の目標も掲げる。この実現には、ほぼすべての火力発電が現状の形では使えない。
原発の運転を40年ですべて停止した場合、49年に国内の原発はゼロになる。運転期間を60年に延長しても50年代には数基となり、69年にはゼロになる。こうなることは早くからわかっていたはずだが、国は議論の先送りを続けてきた。
国民の不信感が強い状況で、原発に触れないのはある意味、政治の当然の選択でもある。しかし、エネルギーをめぐる環境変化は速度を上げる。これ以上、時間を空費するわけにいかない。原発を日本のエネルギー戦略にどう位置付けるのか。新増設をどうするのか。そのために国民の理解をどう得るのか。得られなければどうするのか。この議論から逃げない胆力が問われる。
小泉進次郎氏が異例のテレビ出演 石炭火力輸出厳格化に「前代未聞だ」
  (SankeiBiz 2020.07.30 01:29)
 小泉進次郎環境相は29日夜、BSフジ番組に出演した。自身が主導した石炭火力発電の輸出支援の要件厳格化について「凍り付いたエネルギー政策が解凍され始めた。(政府方針に)『(輸出)支援しないことを原則とする』と書いたのは前代未聞だ」と述べた。小泉氏のテレビ出演は、選挙番組をのぞけば極めて異例だ。
 小泉氏は、政府が石炭火力の削減に取り組む一方で、地元の神奈川県横須賀市で石炭火力発電所の新設が進められていることに関して「批判はあるが、地元のことをやめれば済むのではない。日本全体を動かす政策の変化につなげられるかに力を入れている」と強調した。
 原子力発電の推進の是非は「脱炭素社会をつくるカギは原発と国際社会で認識は共有されている。ただ、日本は原発事故を起こした。そのリスクを国民とどう議論するかだ」と言葉を濁した。
 首相への意欲を問われると、「首相が決めればできることはいっぱいある」と述べつつも「就けるかどうかは別だ。首相になるにはこの人を支えたいという仲間がいなければならない」と述べた。
  (BSフジLIVE「プライムニュース」7月29日放送 2020.07.31 19:30)


石炭火力の削減方針評価②(7月15~20日) 7月29日

7月25日に掲載した「石炭火力削減方針評価①(7月4~9日)」に続く、その後の通産省、環境省、電力業界の対応、その評価について触れているネット記事です。

電気事業の地球温暖化対策、「30年度目標達成に向けた道筋が不明瞭」と評価
  (環境ビジネスオンライン 2020.07.15)
 環境省は7月14日、2019年度の電気事業分野における地球温暖化対策について、電力業界の自主的枠組みと政府の政策的対応の2つの柱で、進捗状況を評価した結果を発表した。
 この評価レポートでは、電力業界の自主的枠組みと政府の政策的対応の全体として、「一定の改善・進捗もあり、評価に値する一方で、今なお多くの課題が残存している」と指摘し、「電気事業分野における2030年度の目標達成に向けた道筋は不明瞭であり、早急に示す必要がある」とした。
  ●経済産業省との合意に基づき評価を実施
  ●現状で2030年度のCO2削減目標達成は困難
  【参考】電気事業分野における地球温暖化対策の進捗状況の評価結果について(環境省)

【単刀直言】小泉進次郎環境相 環境先進国・日本の逆襲始まる(奥原慎平)
  (産経新聞 2020.7.15 21:13)

電力各社の脱石炭、市場が見つめる切り替えコスト(森国司)
  (日本経済新聞電子版 2020.07.17 2:00)

アングル:既定路線の「脱石炭火力」、温暖化対応へ さらなる切り込み必要(清水律子)
  (Reuters 2020.07.17 18:37)
  <輸出支援、「しない」のか「厳格化」か
  <世界への貢献
  <100基廃止でも残る石炭火力
 一方、国内では、140基ある石炭火力発電のうち、発電効率が低い114基の発電を「できる限りゼロに近づけていく」という方針を打ち出した。全発電量に占める石炭火力は2018年度で32%。内訳は、高効率26基で13%、非効率の114基で16%、化学メーカーや鉄鋼メーカーなどの自家発電分が3%となっている。
 この比率からわかる通り、旧型の非効率な石炭火力は小型なものが多く、今後新設される高効率の最新の石炭火力は大型なものが多い。「140基中100基が休廃止」という数字の印象と実態とは異なる。地球環境戦略研究機関(IGES)は「2030年時点では50基の石炭火力が残る」とし、設備容量で見た場合「今回の方針による削減は3割程度」と推計している。
 CO2排出についても「高効率な石炭火力でも、CO2排出量は、非効率なものより数%しか減らない」(自然エネルギー財団)と指摘。今回、高効率なものを日本が継続するという姿勢を示したことに懸念を示している。
 一方、東京電力グループと中部電力が出資するJERAの小野田聡社長は「事業の予見性が高まる」と評価するとともに、日本が資源の少ない国であることを考えると、経済、環境、安定供給をバランスしたものが必要だとし「そのなかで石炭火力は一定程度の役割をもつ」との認識を示している。
 梶山経産相も、非効率な石炭火力のフェードアウト方針は、2018年に決めたエネルギー基本計画で示した2030年度の石炭火力比率26%の達成を確実にするためとしており、さらなる石炭火力発電の比率引き下げを意味するものではないと説明している。
  <原発の再稼働困難、さらなる対応は

石炭火力の輸出 「抜け穴」をふさがねば 
  (中日新聞 2020.0718 05.00 (05:01更新)
 石炭火力大国日本。国際社会の批判が高まる中で、ようやく古い発電所の休廃止にかじを切る。だが、新設や途上国への輸出は、続けていくという。温暖化対策の「抜け穴」が、大き過ぎないか。
 日本政府は、主要七カ国(G7)の中で唯一、国際協力銀行(JBIC)の低利融資や政府開発援助(ODA)などにより、途上国に対する石炭火力発電所の輸出支援を続けている。
 国際エネルギー機関(IEA)によると、石炭火力は世界の発電・熱供給部門の二酸化炭素(CO2)排出量の約七割を占めており、国際社会から、地球温暖化の元凶と見なされている。
 温暖化対策の新たな国際ルールであるパリ協定は、温暖化による破局的な影響を回避するために、産業革命前からの世界の平均気温上昇を1.5度に抑えるよう求めている。
 そのためには、2050年にはCO2排出量を実質ゼロにしなければならず、国連のグテレス事務総長は昨年来、「20年以降は、石炭火力の新設は禁止すべきだ。さもなくば大災害に直面する」と訴えている。“凶暴化”する豪雨の被害にあえぐ日本にとっても、身に迫る指摘であるはずだ。
 欧米の国々や自治体、温暖化の影響が深刻な小島しょ国などが「脱石炭国際連盟」を結成して石炭火力の全廃に向かう中、コロナ禍が「脱炭素」に拍車をかけた。
 経済活動が停滞し、電力需要が減少したのをきっかけに、化石燃料から再生可能エネルギーへ電源の転換を図る企業が増えている。
 しかるに日本は、国内にある低効率の旧型火力を段階的に廃止する一方で、CO2排出をある程度抑えた新型火力の新設は続けていくという。
 輸出支援は環境性能の高いものに限るなど、要件を厳格化するとは言うものの「禁止」には踏み込まない方針だ。
 だが最新鋭の設備といえども、CO2の排出量は天然ガスの二倍に上り、温室効果ガスの大量排出源であることに変わりはない。
 新設の発電所を四十年稼働させるとすれば、その間はCO2を出し続けることになる。パリ協定の要請に見合わない。
 CO2の回収貯留や再利用の設備を併設すれば、そこに膨大なエネルギーと費用がかかる。
 国内では「全廃へ」、輸出は「禁止」。再生可能エネルギーへの切り替えを加速させないと、世界の理解は到底得られない。

インタヴュー:「石炭火力休廃止」宣言の真意、エネルギー専門家の橘川氏が読む(中山玲子)
  (日経ビジネス 2020.07.20)
経済産業省は7月3日、二酸化炭素(CO2)の排出量が多い低効率な石炭火力発電所の休廃止を進めると表明した。13日には削減に向けた制度設計の議論を始めた。背景には何があったのか、石炭火力の休廃止は今後、国のエネルギー政策にどのように影響していくのか。エネルギー産業論を専門にする国際大学国際経営学研究科の橘川武郎教授に聞いた。
-梶山弘志経済産業相が、二酸化炭素(CO2)を多く排出する低効率な石炭火力発電所の休廃止を進めると表明しました。
橘川武郎氏(以下、橘川氏):石炭火力をフェードアウトするという部分が注目されていますが、同時に、高効率の石炭火力については続けていくということを経産省が宣言したとも言えます。私はむしろ、高効率の石炭火力維持が本質ではないかとみています。……
-多くの人が「経産省が石炭火力をやめる方向に舵(かじ)を切った」とみているのではないかと思います。
橘川氏:効率の悪い石炭火力を休廃止して高効率なものに変えていくという方針を、経産省は2018年に出した第5次エネルギー基本計画でも示してきました。今回もその通りのことを言ったにすぎない。政策転換とは言えないでしょう。
  ●原子力のポジションが後退
-再稼働が進まない原発は新設や増設も停滞しています。国が示した30年度の電源構成では原子力を20~22%としていますが、実現は難しそうです。
橘川氏:私は総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の基本政策分科会の委員を務めていますが、7月頭にあった会合では、以前に比べて原子力のポジションが非常に後退しているような印象を受けました。……
-原子力のポジションが後退したのはなぜでしょうか。
橘川氏:打開策を見いだせず、手の打ちようがないのでしょう。原子力政策は国策民営です。これまで政府は、まず電力会社が手を挙げて、その後に国が支援、応援するという形を取ってきました。福島第1原発事故の例が分かりやすいのですが、福島を訪問して謝罪したのは東京電力で、その支援に回ったのが国でした。……
 同じベースロード電源という位置付けの中、石炭火力を減らすことと原子力を増やすことはセットの議論になってきました。ところが、今回は石炭火力だけの議論になっている。そこには、高効率の石炭火力だけでも守らなければならないという考えがあるように思います。
  ●地方の電力会社への影響大きい
-とはいえ、多くの電力会社が低効率な石炭火力発電所を持っています。大きな影響が出るのではないでしょうか。
橘川氏:電力会社を十把ひとからげにしないことが大切です。保有する石炭火力の種類とその電力会社の組み合わせをよく見ると、大きい電力会社ほど影響はありません。……
 影響が大きいのが、低効率の石炭火力が多い東北電力や中国電力、北陸電力といった地方の電力会社です。原発再稼働ができない中で、古い石炭火力に頼らざるを得ない状況なのです。これらの電力会社が持つ石炭火力が休廃止の対象になると、経営にも影響してくるでしょう。
-日本の石炭火力に対する海外からの批判は、これで少しは落ち着くでしょうか。
橘川氏:世界から見れば、「高効率のUSCといえども、石炭火力はまだ残っているではないか」という厳しい評価になると思います。また日本に「化石賞」が贈られるかもしれません。……
 だから、今回もそんなに簡単にすべての石炭火力をフェードアウトすることなんてできない。……。
 海外に目を向ければ、フランスや英国は石炭火力を止める方針ですが、原子力は推進します。ドイツも石炭火力をやめる方向ですが、2038年とまだ先の話です。世界の大国で、原子力も石炭火力もやらないと言っている国はほとんどありません。……

環境省19年度電力レビュー発表(7月14日) 7月28日

 環境省は7月14日、2019年度の電気事業分野における地球温暖化対策の進捗状態について、電力業界の自主的枠組みと政府の政策的対応の2つの柱で評価した結果(「電力レビュー」)を発表した。
 2016年2月、環境大臣・経済産業大臣は、電気事業分野の温暖化対策における2030年度のCO2排出係数を0.37kgCO2/kWhとする目標達成に向けて、①目標達成に向けた電力業界(電気事業低炭素社会協議会)による自主的枠組み(取組みのPDCA 等)に対し、引き続き実効性・透明性の向上等を促していく、②政府による政策的対応として、省エネ法やエネルギー供給構造高度化法等に基づく基準の設定や運用の強化等により、電力業界全体の取組の実効性を確保する、③これらの目標達成に向けた取組については、毎年度、進捗状況を評価する。目標が達成できないと判断される場合には、施策の見直し等について検討することを合意し、環境省は毎年度、この合意に基づく取組の進捗状況の評価を実施して来ている
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電気事業分野における地球温暖化対策の進捗状況の評価結果について(評価結果の総括)(環境省 2020.07.14)
1.評価の背景及び目的

2.電気事業分野における現状分析と今後の方向性
電気事業を取り巻く情勢
電気事業分野の低炭素化・脱炭素化に向けて
○電気事業分野における 2030 年度目標や上記政府方針の達成に向けた進捗については、以下の点が注目される。
・現在の石炭火力発電の新増設計画が全て実行され、ベースロード電源として運用されると、仮に既存の老朽石炭火力発電が順次廃止されたとしても、2030年度の削減目標やエネルギーミックスに整合する石炭火力発電からのCO2排出量を約5,000万トン超過する可能性がある。現時点でこそ、電気事業分野全体のCO2排出係数は改善傾向にあるものの、環境省の試算によれば、2030 年度の目標達成は困難であり、パリ協定で掲げる脱炭素社会の実現も視野に入れ、更なる取組の強化が不可欠である。中長期的な脱炭素化に向けて、脱炭素社会への現実的かつ着実な移行に資する「脱炭素移行ソリューション」を目指すことが必要である。
・石炭火力発電について現状で明らかになっているところでは、新増設計画がある一方で、休廃止計画は少なく、石炭火力発電の設備容量は大きく純増する。環境省の試算では、2019年度における非効率な石炭火力発電(超臨界(SC)以下の設備)設備容量は石炭火力発電(自家発自家消費設備を除く。)の約5割、2030年度においては約4割を占める。CO2削減目標の達成に向けて、こうした非効率な石炭火力発電のフェードアウトに向けた取組を着実に進めることが必要である。今般、経済産業省から、フェードアウトに向けた新たな取組の検討に着手するとの発表があった点も踏まえ、環境省として、非効率な石炭火力のフェードアウトに向けた取組を厳しく注視してまいりたい。
・CO2排出削減をパリ協定の長期目標と整合的に実現するためには、高効率な火力発電設備についても、更なる高効率化・次世代化を進める必要がある。再生可能エネルギーによる出力変動への柔軟な対応、燃焼に伴ってCO2を排出しないエネルギーであるバイオマス・水素・アンモニア等の混焼、排出されるCO2を回収して有効利用・貯留するCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)の活用など、火力発電のゼロエミッション化が重要である。これらに向けたイノベーションを総合的に後押しし、「ゼロエミッション火力」の実現可能性を追求すべきである。このような「脱炭素移行ソリューション」を通じて、脱炭素社会への現実的かつ着実な移行を目指す必要がある。
再生可能エネルギーの主力電源化は、「脱炭素移行ソリューション」の一環としても重要である。エネルギーミックスで掲げる22~24%という水準を着実に達成しなければならない。さらに、これにとどまらない一層の導入拡大が必要である。2019年4月に発足した環境省・経済産業省の連携チームによる取組等を通じ、地域の再生可能エネルギーを活用した分散型エネルギーシステムの構築等、更なる取組の加速化が求められる
・併せて、再生可能エネルギーの導入拡大に伴う系統制約の克服に向け、系統増強に加え、既存系統の最大限の活用(日本版コネクト&マネージ)の取組の一つである「ノンファーム型接続」の2021年中の全国展開に向けた着実な取組とともに、地域における再生可能エネルギーの需要に応じた系統整備・活用が進むことを期待する。
○脱炭素社会の実現に向けては、脱炭素な調整力としても活用でき、新たなエネルギーの選択肢となり得る水素や、CCUS 等の脱炭素技術等について、その商用化や社会実装の見通しを具体的に示すことが必要である。

3.電力業界の自主的枠組み及び政府の政策的対応に関する進捗状況の評価
(1)電力業界の自主的枠組みの現状について
○今般、協議会は、2030年度のCO2排出係数に係る目標の達成に向け、その取組の自主的枠組みにおいて、協議会のCO2排出係数の妥当性を定量的に評価・分析する仕組みを新たに導入した。
○これは、取組の実効性を向上させ得る努力として高く評価したい。しかし、こうした自主的枠組みも、PDCAサイクルの実効性確保の点で万全とまでは断言しがたく、目標達成への具体的な取組の道筋は今なお明らかでない。引き続き、会員事業者数の増大も含め、更なる努力に期待したい。
(2)政府の政策的対応の現状について
省エネ法関係
○省エネ法の下、発電事業者に対し、火力発電設備の効率として達成すべきベンチマーク指標が設定されており、2019年度実績では目標の水準を上回っている。
○一方、この指標の達成に向けた複数事業者の共同による取組(いわゆる共同実施)の在り方等を巡る議論については、未だ結論が得られていない
○火力発電の着実な低炭素化に向けては、ベンチマーク指標の継続的な達成が必要である。ベンチマーク指標やその達成の在り方を巡る議論の進展は引き続き注視すべきである。非効率な石炭火力発電のフェードアウトは、今なお道半ばにある
エネルギー供給構造高度化法関係
○エネルギー供給構造高度化法の下、小売電気事業者等に対し、2030年度に達成すべき非化石電源(再生可能エネルギー等)の比率の目標が設定されている。また、目標達成のための仕組みとして、非化石価値取引市場も創設・運営されている。
○この目標に関しては、2030年度に至るまでの途中の期間における中間評価の基準として、2022年度までの期間に係る定量的な基準が策定されたことは評価したい。
○一方で、今後の非化石電源比率の目標の達成状況については、非化石市場の在り方や各事業者の取組と合わせて、引き続き注視すべきである。2023年度以降の期間に係る中間評価の基準についても、より野心的な目標値の早急な策定が望ましい
(3)電力業界の自主的枠組み及び政府の政策的対応の全体について
○電力業界の自主的枠組み及び政府の政策的対応には、一定の改善・進捗もあり、評価に値する一方で、上記のとおり、今なお多くの課題が残存している。電気事業分野における2030年度の目標達成に向けた道筋は不明瞭であり、早急に示す必要がある
4.今後に向けて~コロナからの復興とこれからの地球温暖化対策~
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電気事業分野における地球温暖化対策の進捗状況の評価結果について(参考資料集) 2020.07.14
 1.評価の背景及び目的
  (1)はじめに
  (2)電力の低炭素化・脱炭素化を巡る潮流
  (3)電気事業を取り巻く環境の変化
  (4)評価に関する基本的考え方
 2.電気事業分野の低炭素化・脱炭素化に向けて
  (1)CO₂排出量及びCO₂排出係数の状況等
  (2)火力発電の低炭素化
  (3)再生可能エネルギーの主力電源化
  (4)長期的な脱炭素社会の実現に向けたイノベーション
 3.電力業界の自主的枠組み及び政府の政策的対応に関する進捗状況の評価
  (1)電力業界の自主的枠組みの評価
  (2)政府の政策的対応等の評価
 4.今後に向けて ~コロナからの復興とこれからの地球温暖化対策~

 1.評価の背景及び目的
  (1)はじめに
   ●2018年度の日本の温室効果ガス排出量(確報値)
   ●部門別CO₂排出量(電気・熱配分前)
   ●電気事業分野における地球温暖化対策について
    電気事業温暖化対策評価資料集_1

  (2)電力の低炭素化・脱炭素化を巡る潮流
   ●パリ協定の目標
   ●2℃目標に整合する緩和経路
   ●1.5℃目標に整合する緩和経路
   ●残余カーボンバジェットについて
   ●化石燃料可採埋蔵量の座礁資産化リスク
   ●(参考)石炭火力発電の座礁資産化リスク
    電気事業温暖化対策評価資料集_2
   ●ESG金融の国際的な広がり
   ●脱炭素経営に向けた取組の広がり
   ●国内金融機関の石炭火力発電事業に対する方針
    電気事業温暖化対策評価資料集_3
   ●国内大手商社の石炭火力発電事業に対する方針
     電気事業温暖化対策評価資料集_4
   ●パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(2019年6月11日閣議決定)
     電気事業温暖化対策評価資料集_5
 
  (3)電気事業を取り巻く環境の変化
   ●電力システム改革の動向
   ●新たな市場の整備動向
   ●プッシュ型系統整備への転換
   ●災害に強い分散型電力システムの促進に向けた環境整備

  (4)評価に関する基本的考え方
   ●進捗状況の評価にあたっての基本的考え方
    電気事業温暖化対策評価資料集_6

 2.電気事業分野の低炭素化・脱炭素化に向けて
  (1)CO₂排出量及びCO₂排出係数の状況等
   ●火力発電からのCO₂排出量及びCO₂排出係数について
    電気事業温暖化対策評価資料集_7
   ●2018年度における発電設備容量・発電電力量について
    電気事業温暖化対策評価資料集_8
   ●環境省RE100を通じた再エネ導入に積極的な小売電気事業者の発信
   ●排出係数・電源構成に関する情報開示

  (2)火力発電の低炭素化
   ●石炭火力発電の設備容量とCO₂排出量について
    電気事業温暖化対策評価資料集_9
   ●(参考)石炭火力発電の稼働率について
    電気事業温暖化対策評価資料集_10
   ●非効率な石炭火力からのフェードアウトについて
    電気事業温暖化対策評価資料集_11
   ●火力発電所の新増設・休廃止計画について
    電気事業温暖化対策評価資料集_12
   ●メリットオーダーについて
    電気事業温暖化対策評価資料集_13
   ●(参考)燃料種ごとのCO₂排出係数(発電量あたりのCO₂排出量)
    電気事業温暖化対策評価資料集_14
   ●(参考)発電技術の高効率化、低炭素化の見通し
    電気事業温暖化対策評価資料集_15

  (3)再生可能エネルギーの主力電源化
   ●再生可能エネルギーの導入状況
    電気事業温暖化対策評価資料集_16
   ●地域での再エネ拡大に向けた経産省との連携チームについて
   ●地域での再エネ拡大に向けた経産省との連携チームでの取組例について
   ●既存系統の最大限の活用(日本版コネクト&マネージ)

  (4)長期的な脱炭素社会の実現に向けたイノベーション
   ●各種計画等におけるイノベーションについての記載
    電気事業温暖化対策評価資料集_17
   ●環境省におけるCCSの取組例
   ●環境省におけるCCUの取組例
   ●環境省における再エネ由来水素サプライチェーン構築に向けた取組例
   ●「地球温暖化対策に係る長期ビジョン」(電気事業低炭素社会協議会)

 3.電力業界の自主的枠組み及び政府の政策的対応に関する進捗状況の評価
  (1)電力業界の自主的枠組みの評価
   ●電気事業低炭素社会協議会について
   ●協議会におけるCO₂排出削減実績
   ●CO₂排出量・排出係数の改善要因について
   ●目標達成に向けた協議会のPDCAサイクルについて
   ●協議会会員企業のカバー率について
   ●取引所取引における電源構成の把握について

  (2)政府の政策的対応等の評価
   ●省エネ法に基づく火力発電の判断基準について
    電気事業温暖化対策評価資料集_18
   ●省エネ法に基づくベンチマーク指標の実績について
   ●エネルギー供給構造高度化法について
   ●高度化法における非化石電源比率の実績
   ●定量的な中間評価の基準について

 4.今後に向けて ~コロナからの復興とこれからの地球温暖化対策~
  ●新型コロナウイルス感染症によるエネルギー需要への影響
  ●新型コロナウイルス感染症のエネルギー需要に対する影響
   電気事業温暖化対策評価資料集_19
  ●新型コロナウイルス感染症による石炭への影響
   電気事業温暖化対策評価資料集_20
  ●新型コロナウイルス感染症によるCO₂排出量への影響
  ●電力の安定供給とクリーンエネルギーへの移行に関する示唆
  ●新型コロナウイルス感染症の我が国の電力需要への影響
  ●ゼロカーボンシティの拡大
  ●経団連による「チャレンジ・ゼロ」
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小泉大臣記者会見録2020.07.14 10:31~11:03 於:環境省第1会議室)   会見動画 
 2019年度の電力事業分野における地球温暖化対策の進捗状況の評価の結果、いわゆる電力レビューを取りまとめましたので、ここに報告をしたいと思います。電力レビューは2016年2月の環境大臣と経産大臣の合意に基づいて、2030年度の削減目標やエネルギーミックスと整合する電力の排出係数0.37kg-CO2/kWhという目標の達成に向けて、電力業界の自主的取組や省エネ法や高度化法といった政策的対応が継続的に実効を上げているか進捗状況を評価するものです。それが電力レビューです。
 2019年度の電力レビューでは、各種機関が公表しているデータや分析レポートなどのファクトをベースに評価を実施して、評価結果としては、現時点では電力事業分野のCO2排出量、排出係数は改善傾向にあり、高度化法においても2020年度までの期間に係る定量的な基準が策定されるなどの一定の進展もあり、評価に値するものの、このままでは2030年度の目標達成は困難であり、脱炭素社会の実現も視野に更なる取組の強化が不可欠であると総括をしています。
 ……中長期的な脱炭素化に向けて、脱炭素社会への現実的かつ着実な移行に整合的な脱炭素移行ソリューションを目指すことが必要だと考えています。ポイントは大きく3点です。
 まず、一つ目のポイントは、再生可能エネルギーの主力電源化を一層加速化すべきということであります。2018年度の発電電力量に占める再生可能エネルギー比率は16.9%であります。再生可能エネルギーの主力電源化に向けて、エネルギーミックスで掲げる22から24%の着実な達成と、それにとどまらない一層の導入拡大が必要であります。このため、分散型エネルギーシステムの構築に向け、昨年4月に発足した環境省、経産省の連携チームの取組を一層推進していきます。また、千葉県などで試行的に実施されているノンファーム型接続の2021年中の全国展開や、地域における再生可能エネルギー需要に応じた検討・整備・活用に向けた取組が重要であり、経産省や関係業界による一層の推進を期待したいと思います。
 次に、二つ目のポイントは、非効率な石炭火力発電の休廃止、稼働抑制といったフェードアウトに向けた取組を着実に進めるべきということであります。環境省の試算によると、石炭火力発電所の新増設計画が予定どおり実行されると、2030年度の削減目標を約5000万トン超過することになります。これは2030年度の我が国全体の削減目標に整合する排出量の約5%に相当します。削減目標の達成に向けて、非効率な石炭火力発電のフェードアウトに向けた取組を着実に進めるとともに、火力発電全体からのCO2排出削減に向けて石炭火力発電の高効率化、そして次世代化、これを進める必要があります。
 今般、梶山経産大臣により、非効率な石炭火力のフェードアウトを目指していく上で、より実効性のある新たな仕組みを導入すべく、今月中に検討を開始して取りまとめるように事務方に指示したという御発言がありました。改めて、梶山大臣のリーダーシップに敬意を表したいと思います。この発表によって、国内において非効率な石炭火力発電のフェードアウトに向けた取組の具体化が進んでいくことになります。
 足元において非効率な石炭火力発電は約2400万キロワット、石炭火力発電の全体の約5割存在しており、地球温暖化対策を所管する環境省として、こうした非効率な石炭火力発電のフェードアウトに向けた取組を厳しく注視していきたいと思います。
 最後に、三つ目のポイントは、将来的なゼロエミッション火力の可能性を追求すべきということであります。パリ協定の長期目標と整合的に火力発電からのCO2排出削減を実現するためには、火力発電の更なる高効率化、これを進めて、究極的には火力発電でありながらCO2の排出が実質的にゼロである火力発電、いわゆるゼロエミッション火力、この可能性を追求する必要があります。ゼロエミッション火力を目指すに当たって、排出削減を円滑かつ着実に実現するため、これまで培ってきた経験、知見も生かして既存の石炭火力発電、LNG火力発電でのバイオマス、水素、アンモニアなどの混焼を促進して、さらにその割合の段階的な向上を図って、それでもなお避けられない排出分については、排出されるCO2を回収して有効利用、貯留するCCUSの活用を検討する、こうしたゼロエミッション火力に向けたイノベーションを関係省庁、関係業界と連携しながら、総合的に後押しをして世界に先駆けたゼロエミッション火力の実現の可能性を追求していきます。
 電気事業分野は我が国全体のCO2排出量の約4割を占める最大の排出源であり、他部門での排出削減努力にも大きく影響を及ぼすことから、電気事業分野の地球温暖化対策は非常に重要であります。今回の評価結果や気候変動問題とエネルギー問題の関連性が一層高まってきていることも踏まえて、今後ともエネルギー政策を所管する経産省と密接な意思疎通を図りながら、2030年度の削減目標の確実な達成、そして2050年にできるだけ近い時期での脱炭素社会への実現に向けて取組を進めていきます。なお、評価結果の詳細については、後ほど事務方から説明をさせていただきます。……
質疑応答
(記者)[時事通信] 地球温暖化対策計画の見直しに関連してですが、NDCについて26%の水準にとどまらない削減努力と、更なる野心的な削減努力を反映した意欲的な数値を考えていくということなんですが、大臣はどのような数値にしていきたいとお考えでしょうか。
(大臣)それはやってみた上で出るものがまさに数字ですから、今からここだというふうに決めることは、現段階では言うことではないなと思います。いずれにしても、大事なことは、石炭火力の海外輸出、この公的信用の政策の見直しが実現をした背景にはファクトをベースに議論したと、このファクト検討会の役割は相当大きかったと私は思います。今後、このファクトをベースに議論するということが霞が関、そして政治の中での常識となっていくように、この両審議会の合同会議、この場でもしっかりとファクトに基づく議論を積み上げていただければ、NDCときに日本からお約束をした更なる野心的な削減努力を反映した意欲的な数値につなげていけると、私はそう確信をしています。この両審議会の精力的な議論に期待をしています。
(記者)[朝日新聞] 温対計画の見直しなんですけれども、先ほど、ポストコロナというところを最初に議論しなければいけないということでおっしゃっていて、コロナによって、特に温暖化対策という点で大臣はどういう点を視点として加えなければいけない、あるいは変更が迫られるだろうと現時点で考えているか、教えてください。
(大臣)ポストコロナによって相当な行動変容が起きていますよね。テレワーク、リモートワークなどは代表的な一つかもしれません。それはやはり移動というものが根本的に変わってきている新たな社会が今、日々つくり上げられている過程だと思います。その移動が変わってくることによって、最近でも様々なところから、例えば石油の需要が減っているとかいろんな声が起きていますが、こういったことがどのように今後この中でも反映されていくのか、その議論もしなければいけないだろうと。そういったことがまさにコロナ後の社会を見据えた対策、この在り方を議論するということでもあります。それに加えて、これまで毎年実施してきた計画の進捗、これを点検することも大事ですし、この点検を反映した対策の強化や深掘り、これも大事だと思います。そして、脱炭素社会の実現を見据えた、目の前のことだけではなくて中長期の対策の方向性、こういったことも改めて議論されるべきですし、今、石炭火力の海外の公的信用の付与、これを原則やらないと、支援をしないということから、まさにドミノが倒れるように国内の石炭も含めてエネルギー政策全体がうねりを上げて今動き出している中ですから、この合同の審議会の議論を、おのずとそういったことをしっかりと受け止めた上での議論になると私は期待をしているし、環境省としてはしっかりとウォッチしていきたい、また貢献をしていきたいと思います。
(記者)[毎日新聞] 私から2点質問させていただきます。1点目は温対計画の見直しについてです。まず、開始時期というのはいつごろ始められて、今後どういうふうに取りまとめるかという見通しについてお聞きしたいということと、今後特に気候変動絡みで言うと、経産省の石炭火力の見直しとか、エネルギー基本計画の見直しについても来年あると思うので、その辺との兼ね合いをどうするか。まず温対計画の位置付けとして、例えばエネミやエネ基の見直しに向けた弾みにしたいのか、どういう意味合いで捉えていらっしゃるのかということについてお聞かせください。……
(大臣)まず、1点目ですが、この合同会合のスケジュール、そしてアウトプット、これについては、今後、審議会の議論を踏まえて決定していきたいと思います。そして、先ほど[朝日新聞記者]さんからの質問でもあったように、このポストコロナ、そして進捗の確認、点検、対策の強化や深掘りとか中長期の方向性、こういったものも重要な論点になると考えていますので、こういった議論を踏まえた上で温対計画を見直して、来年のCOP26まで追加情報を国連に提出していきたいと思います。そして、今まだ具体的な日時は私は確認していませんが、官邸の方で未来投資会議、ここで環境エネルギーの場ができると聞いています。そういった場で大きな柱となるような、またエネルギー政策の全体像のような議論がされるのではないかなと。そこには経団連の中西会長の思いも相当あると思いますが、そういった場で自由闊達にこのコロナを踏まえて、そしてまた最近の石炭政策の見直しも含めて、最新のファクトに基づく議論が大いになされるべきだろうというふうに思います。温対計画の見直しは、そういったことも含めて同時進行的に進んでいく。そういったことを考えれば、まさに石炭の輸出に原則、支援をしないというところから始まったことが、ドミノが倒れるようにこのエネルギー政策全体が動き出したと、そういった大きな捉え方をして一つ一つのことを動かしていきたいし、よく見ていきたいというふうに思います。……
(記者)[エネルギージャーナル]
(大臣)……私が大臣になってから言っている経済社会の再設計(リデザイン)、そして脱炭素社会、循環経済、分散型社会への移行、この三つの移行も着実に進めて、環境省が社会変革担当省だと、そういった省庁により成長していくべく環境行政の課題に向き合ってくれるのではないか……
(記者)[日刊工業新聞] 再生可能エネルギーの主力電源化の話がありましたので、その関連で質問させてください。大臣は新宿御苑の電気が再生可能エネルギーに切り替わっても従来の電力料金と遜色がなかったという報告をされていますが、電力を大量に使う大規模な事業所はもともと安い電気を使っているので、それに見合う価格の再エネ電気がなくて困っているという話を企業から聞きます。この間の経団連との会談でも、経団連の幹部の方から再エネをもっと安くしてほしいという要望があったかと思いますが、エネルギーの所管はエネ庁ですが、環境省でも再エネの価格を下げていくような施策を考えていらっしゃったら、教えてください。
(大臣)再エネは高いという、この固定観念を覆していきたい。これは環境省がRE100を宣言して、そして自ら一つ一つできるところはRE100、これを進めていて、再エネは必ずしも高くない、安い場合もある。この実現例として自分たちがまず実践をする、社会にその姿を見せたいという思いでやっています。御紹介があったとおり、新宿御苑は30%から100%まで一気に再エネの導入を上げた上で、電力単価は17.1円で変わらない、これを示すことができました。ただ、今御指摘があったとおり、一般的に再エネが安いというところに行くには、更なる努力が必要なのは間違いありません。じゃ、そのために何ができるかというと、間違いないことはマーケットを大きくすること、この再エネの市場の拡大をやる上で環境省が何ができるかと言えば、やはり需要サイドに働き掛けて、その市場を大きくしていく環境をつくっていくこと。私が就任以来、なぜゼロカーボンシティ、この宣言自治体を増やすことに血道を上げているかと言えば、この市場拡大を自治体レベルから、住民レベルから底上げをしていく、こういったアプローチというのは環境省は経産省と違って業界から行くわけじゃないですから、まさに国民側から、需要側からそこの環境をつくっていく。こういったことに加えて、様々個人の再エネの切り替えの促進とか、今それを具体的に進めようとしている企業などとの意見交換をしています。そして、間違いなく、企業の方からも相当声が変わってきたと思うのは、この前の経団連との意見交換もそうですが、石炭が安いから石炭をもっとやってくれなんて言ってくるところは全くありません。再エネをもっと導入しやすい環境をつくってくれと。そして、グローバルで活躍をしている企業にとっては、再エネを導入できなければ、国際的な産業競争力に大きな影響が出る、その環境をつくってもらうような政策的な後押しをやってほしいという、ここの思いというのが相当に強い状況が出てきているので、私はこういった取組を一つ一つ後押しすることで、再エネの需要の拡大が再エネのコストを下げる、そういったところにつなげていきたいと思います。そのためにできることは環境省、あらゆる方策を通じてやっていきたいと思います。
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NDC: Nationally Determined Contribution(国が決定する貢献)[一般社団法人海外環境協力センター OECCサイトから]
 2020年以降の温室効果ガス(GHG)排出削減等のための新たな国際枠組みであるパリ協定は、協定第2条(目的)に世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求することを明記しています。その目的を達成するために、協定はその第4条(緩和)にて国内措置(削減目標・行動)をとることを各国に求めています。
 NDCとは、協定第4条に基づく自国が決定するGHG削減目標と、目標達成の為の緩和努力のことを指します。これは締約国がパリ協定批准前に国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局へ提出した「各国が自主的に決定する約束草案」(Intended Nationally Determined Contribution:INDC)が原案となっており、パリ協定批准により正式にNDCとして国連に登録され、各国に対して実施が求められます。
 2020年以降に実施が求められるNDCに対し、2020年まではカンクン合意(第16回締約国会議にて決定)に基づいたGHG排出削減による2℃目標達成への努力が進められています。開発途上国においても資金・技術・能力構築等の支援を受けながら、「途上国における適切な緩和行動(Nationally Appropriate Mitigation Action: NAMA)」を自主的に策定し、国連へ実施報告をしています。NDC並びにパリ協定実施の準備が急務となっている中、途上国においてはこのようなNAMAでの経験が十分に活かされています。

エネルギーミックスとは、「社会全体に供給する電気を、さまざまな発電方法を組み合わせてまかなうこと」をいいます。日本語で「電源構成」と呼ぶこともあります。
適切なエネルギーミックスによって、電気の安定的な供給が実現します。
単一の発電方法ではなく、エネルギーミックスが必要な理由は、完全無欠な発電方法が存在しないためです。

エネルギー政策基本法EICネット(一般財団法人環境イノベーション情報機構]サイトから]
エネルギーが国民生活の安定向上並びに国民経済の維持及び発展に欠くことのできないものであるとともに、その利用が地域及び地球の環境に大きな影響を及ぼすことにかんがみ、エネルギーの需給に関する施策に関し、基本方針を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、エネルギーの需給に関する施策の基本となる事項を定めることにより、エネルギーの需給に関する施策を長期的、総合的かつ計画的に推進し、もって地域及び地球の環境の保全に寄与するとともに日本及び世界の経済社会の持続的な発展に貢献することを目的として2002年6月に制定された法律。「安定供給の確保」、「環境への適合」、「市場原理の活用」などの基本理念が掲げられ、国の責務、地方公共団体の責務、事業者の責務、国民の努力、相互協力などが定められている。また政府は「エネルギー基本計画」を定めなければならないこと、国際協力の推進、知識の普及についても規定されている。
2018年7月には第5次エネルギー基本計画が発表され、エネルギーの「3E+S」原則(エネルギーの安定供給・経済効率性の向上・環境への適合+安全性)をさらに発展させ、より高度な「3E+S」を目指すため、(1)安全の革新を図ること、(2)資源自給率に加え、技術自給率とエネルギー選択の多様性を確保すること、(3)「脱炭素化」への挑戦、(4)コストの抑制に加えて日本の産業競争力の強化につなげることという4つの目標が掲げられた。(2018年11月改訂)

[第5次]エネルギー基本計画 2018.07.03
エネルギー基本計画は、エネルギー政策の基本的な方向性を示すためにエネルギー政策基本法に基づき政府が策定するものです。
今回の[第5次]エネルギー基本計画では、常に踏まえるべき点として「東京電力福島第一原子力発電所事故の経験、反省と教訓を肝に銘じて取り組むこと」等を原点として検討を進め、2030年、2050年に向けた方針をお示ししています。
2030年に向けた方針としては、エネルギーミックスの進捗を確認すれば道半ばの状況であり、今回の基本計画では、エネルギーミックスの確実な実現へ向けた取組の更なる強化を行うこととしています。
2050年に向けては、パリ協定発効に見られる脱炭素化への世界的なモメンタムを踏まえ、エネルギー転換・脱炭素化に向けた挑戦を掲げ、あらゆる選択肢の可能性を追求していくこととしています。[「新しいエネルギー基本計画が閣議決定されました」 2018.07.03 経産省のサイトから]
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第5次エネルギー基本計画ファクトチェック!!
  (eシフト 脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会 2019.03.14)
昨年7月に政府が閣議決定した第5次エネルギー基本計画は、日本のエネルギー・温暖化政策の方向性を示すもので、「エネルギー・温暖化政策の憲法」とも言える非常に重要な計画です。しかし、その内容は、「まず石炭・原発推進ありき」というストーリーのもとに作られており、事実関係も含めて様々な問題があります。
私たち「eシフト」(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)は、この第5次エネルギー基本計画についてファクト・チェックを行い、その結果をまとめたウェブページ(http://www.eshift.club/energyb_fc.html)を作成しました。本ファクト・チェックでは、第5次エネルギー基本計画には104か所の問題記述があると指摘し、それぞれに対して下記の5つの評価をおこない、具体的な問題点とその理由を詳細にコメントしました。
矛盾(エネルギー基本計画の他の箇所あるいは現行のエネルギー・環境政策と矛盾)
意味不明(文意が不明)
半分間違い(部分的な情報は正確だが、重要な詳細情報が不足している。または文脈から逸脱して歪曲)
ほぼ間違い(若干の正確な情報を含むが、重大な事実を無視して印象操作)
間違い(不正確な情報)
現在、残念ながら、このような問題が多い第5次エネルギー基本計画に沿って、多くの企業は事業計画をたて、政府は容量市場などの石炭・原発推進につながる新たな政策を十分な国民的議論がないままに導入しようとしています。
私たち「eシフト」は、このファクトチェックが、政府のエネルギー・温暖化政策の矛盾や間違いについて知るきっかけとなり、同時に建設的な議論のプラットフォームにもなることを期待します。
   エネルギー基本計画ファクトチェック
    
   
小泉環境相の「正直、開き直り、アクション」(明日香壽川)
  (Energy Democracy 2020.02.25)
小泉進次郎環境大臣の誕生から、まもなく半年になる。ここでは、エールの思いも込めて、彼のこれまでの環境大臣としての言動、特に温暖化問題に関する認識や発言を分析評価する。
正直だけど/同情もするけど/自虐的な「石炭中毒」/開き直り?/責任転嫁?/記者の質問に答えず/大臣としてとるべきアクションとは
WEB論座「小泉環境相の「正直、開き直り、アクション」(2020年2月7日)」の改稿。

エネ庁第26回電力・ガス小委資料(7月13日) 7月27日


 1.本日ご議論いただきたいこと
  ●本日ご議論いただきたいこと
   26回総エネ調小委資料_1
   ●【参考】エネルギー基本計画(2018年7月3日閣議決定)における石炭の位置づけ等
    26回総エネ調小委資料_2
   ●【参考】7/3(金)閣議後会見における冒頭発言:大臣による「検討指示」
    26回総エネ調小委資料_3

 2.非効率石炭のフェードアウトに向けた検討の方向性について
  ●石炭の位置付け
  ●日本の石炭技術の高効率化・次世代化の推進
  ●CCUS/カーボンリサイクル
  ●非効率石炭火力のフェードアウト
 スライドA
   26回総エネ調小委資料_4
  ●非効率な石炭火力の設備容量の割合
 スライドB
   26回総エネ調小委資料_5
  ●旧一般電気事業者及び電源開発における非効率な石炭火力の発電電力量の割合
 スライドC
   26回総エネ調小委資料_6
  ●エネルギーミックスの実現に向けた取組
   26回総エネ調小委資料_7
  ●発電事業者に対する措置(省エネ法)
   26回総エネ調小委資料_8
  ●小売電気事業者に対する措置(高度化法)
   ●【参考】非化石価値取引市場
  ●石炭火力に関する海外の動向(1)
   26回総エネ調小委資料_9
  ●石炭火力に関する海外の動向(2)
  ●石炭火力に関する海外の動向(3)
  ●ESG投資やダイベストメントの動向
   26回総エネ調小委資料_10
  ●3メガ銀行の石炭火力発電向ファイナンスの方針
   26回総エネ調小委資料_11
  ●非効率石炭火力のフェードアウト・新陳代謝の必要性
   26回総エネ調小委資料_12
  ●災害リスクの高まりと安定供給の確保
   26回総エネ調小委資料_13
   ●【参考】過去5年の主な災害の規模等
   ●【参考】北海道胆振東部地震に伴うブラックアウトについて
   ●【参考】脱炭素化・レジリエンス強化のための電力インフラの在り方
  ●安定供給とエネルギーミックスの実現
  ●容量市場の創設
   26回総エネ調小委資料_14
   ●【参考】海外の容量メカニズム
    26回総エネ調小委資料_15

  ●今後の検討に当たっての論点(例)新たな規制的措置
   26回総エネ調小委資料_16
  ●今後の検討に当たっての論点(例)早期退出を誘導する仕組み
   26回総エネ調小委資料_17

 3.再エネの主力電源化に向けた送電線利用ルールの見直しの検討について
  ●日本の再生可能エネルギー発電量の現状(導入の伸び)
  ●「エネルギーミックス」実現への道のり
  ●再生可能エネルギー普及に係る送電線の問題と対策
   26回総エネ調小委資料_18
  ●日本版コネクト&マネージの進捗状況と残された課題
   26回総エネ調小委資料_19
   ●【参考】千葉エリアにおけるノンファーム型接続の先行実施
   ●【参考】北東北エリアにおけるノンファーム型接続の先行実施
   ●【参考】各一般送配電事業者の基幹系統(上位2電圧)の送変電等設備
  ●ノンファーム型接続の全国展開について
 スライドD
   26回総エネ調小委資料_20
  ●ノンファーム型接続における課題について
   26回総エネ調小委資料_21

   ●【参考】系統接続における先着優先ルール
  ●今後の検討に当たっての論点(例)基幹送電線の利用ルールの見直し
   26回総エネ調小委資料_22
  
 4.今後の検討の進め方について
  ●今後の検討スケジュール(案)

スライドA~Dの解説 (陰山遼将  スマートジャパン 2020.07.15 08:00
 ←非効率な石炭火力を廃止し再エネ導入を拡大
    経産省が新たな制度設計の議論をスタート 
 温暖化対策の観点から、国際的に逆風を受ける石炭火力発電。日本でも非効率な石炭火力の廃止を促し、再生可能エネルギーの導入拡大を促す新たな制度設計の議論がスタートした。
 経済産業省は2020年7月13日、梶山弘志経済産業大臣が打ち出した石炭火力の縮小方針を受け、具体的な政策内容について検討する有識者会議を開催。非効率な石炭火力の将来的なフェードアウトを実現する新たな規制措置の内容と、再生可能エネルギーの利用を広げる新たな送配電網の利用ルールを検討する-というのが大筋の目的だ。
 ただ、その実現に向けては、詳細な議論と綿密な制度設計が必要になりそうだ。非効率石炭を廃止とエネルギー安定供給の両立をどう実現するかという点も大きな議題の一つであり、廃止に向け事業者側にどのような経済的インセンティブを設計するかなど、検討すべき点は多い。エネルギーの安定供給という観点では、足元で再稼働がほぼ進んでいない原子力発電の将来の稼働率についてどう考えるのか、といった問題も大きく関係してくる。
   26回総エネ調小委資料_426回総エネ調小委資料_526回総エネ調小委資料_6
 現在、政府が掲げる2030年の日本の電源構成における石炭火力の比率目標は26%となっているが、足もとの2018年度における同比率は32%。2030年度の電源構成目標を達成するためには、さらなる石炭火力の削減が必要な状況にある。
 政府が廃止を目指す「非効率石炭火力」とは、主に発電効率が40%以下の亜臨界圧、超臨界圧と区分される火力発電を指す。2018年度の電源構成の32%を占める石炭火力だが、その約半分(電源構成に対して16%)が非効率石炭による発電となっている。台数ベースでみると、現在国内にある140基の石炭火力のうち、114基が非効率石炭に該当する。
 114基の非効率石炭について、地域ごとの設置設備容量を見ると、全国で大きなばらつきがある。そのエリアにおける全発電容量(出力ベース)に対し非効率石炭が占める割合では、関西は0%なのに対し、沖縄では34.8%である。また、発電電力量ベースでみると、地域間での差はより拡大する他、多くのエリアで出力ベースでみた比率以上に、非効率石炭への依存度が高い状況もうかがえる。これは原子力発電所の再稼働が進んでいないことも影響していると考えられる。
  26回総エネ調小委資料_20
 今回、梶山経済産業大臣が打ち出した「既存の非効率な火力電源を抑制しつつ、再生可能エネルギーの導入を加速化するような基幹送電線の利用ルールの抜本見直し」については、現在検討が進められている「ノンファーム接続」におけるルールを見直し、再エネを接続しやすくする制度に変更する方針だ。
 これまでの議論で送配電網の効率的な利用に向けては、従来の電力会社に認められた電源のみが系統に接続できる「ファーム接続」ではなく、系統の混雑状況によって出力制御を受けることを条件に新規接続を許容する「ノンファーム接続」の導入を進めていく、いわゆる「日本版コネクト&マージ」の実現を目指すという方向性が示されている。
 既に2019年9月に千葉エリアで、2020年1月には北東北および鹿島エリアでノンファーム接続が先行的に実施された。同時に東京電力パワーグリッドらが必要なシステムの開発に着手しており、経産省ではこ2021年中にはノンファーム接続を全国展開する目標を掲げている。
 ただし、これまでの議論で想定されていたノンファーム接続では、「先着優先ルール」を採用する方針となっていた。これは系統が混雑した場合、先にファーム接続していた電源を優先し、後から接続した電源に出力抑制を行うことで、系統の安定を保つというもの。低炭素化という観点から見た場合、この先着優先ルールでは、ファーム接続されたCO2排出係数の大きい非効率石炭が優先され、同係数が小さい再生可能エネルギーが抑制されるという矛盾が発生する可能性がある。 

石炭火力輸出支援しないを明記(7月9日) 7月26日

7月9日、第47回経協インフラ戦略会議(議長・菅義偉官房長官)[海外経済協力インフラ輸出戦略会議]で「インフラシステム輸出戦略」が改訂され、「今後新たに計画される石炭火力発電プロジェクトについては、エネルギー政策や環境政策に係る二国間協議の枠組みを持たないなど、我が国が相手国のエネルギーを取り巻く状況・課題や脱炭素化に向けた方針を知悉していない国に対しては、政府としての支援を行わないことを原則とする」(16頁)と明記されました。
  インフラシステム輸出戦略(令和2年度改訂版)
パリ協定を踏まえ、世界の脱炭素化をリードしていくため、相手国のニーズに応じ、再生可能エネルギーや水素等も含め、CO2排出削減に資するあらゆる選択肢を相手国に提案し、「低炭素型インフラ輸出」を積極的に推進。その中で、エネルギー安全保障及び経済性の観点から石炭をエネルギー源として選択せざるを得ないような国に限り、相手国から、我が国の高効率石炭火力発電への要請があった場合には、OECDルールも踏まえつつ、相手国のエネルギー政策や気候変動対策と整合的な形で、原則、世界最新鋭である超々臨界圧(USC)以上の発電設備について導入を支援<経済産業省、外務省、財務省、内閣官房、JBIC、NEXI> [41頁]
  インフラ海外展開に関する新戦略の骨子
(5)環境性能の高いインフラの推進
① パリ協定の目標達成に向け、世界全体の温室効果ガスの実効的な排出削減が必要不可欠となっている。再生可能エネルギーのコスト低下に牽引されたエネルギー転換など、エネルギー情勢が急速かつ大きく変化している中で、安価かつ安定的に調達できるエネルギー源が石炭に限られる国もあり、途上国などでは石炭火力を選択してきたという現実がある。石炭火力への資金を絞るダイベストメントのような方策もあるが、当該諸国の国民生活向上や経済発展にとって不可欠な電力アクセス向上・電力不足解消の選択肢を狭めることなく、世界全体の脱炭素化に向け現実的かつ着実な道を辿ろうとするのであれば、むしろ、こうした国々のエネルギー政策や気候変動政策に深くエンゲージし、長期的な視点を持ちつつ実現可能なプランを提案しながら、相手国の行動変容やコミットメントを促すことが不可欠であると考えられる。
このため、我が国は、関係省庁連携の下、相手国の発展段階に応じたエンゲージメントを強化していくことで、世界の実効的な脱炭素化に責任をもって取り組む。具体的には、世界の脱炭素化をリードしていくため、相手
国のニーズを深く理解した上で、風力、太陽光、地熱等の再生可能エネルギーや水素、エネルギーマネジメント技術、CCUS/カーボンリサイクル等も含めたCO2排出削減に資するあらゆる選択肢の提案やパリ協定の目標達成に向けた長期戦略など脱炭素化に向けた政策の策定支援を行う、「脱炭素移行政策誘導型インフラ輸出支援」を推進していくことを基本方針とする。
その上で、今後新たに計画される石炭火力発電プロジェクトについては、エネルギー政策や環境政策に係る二国間協議の枠組みを持たないなど、我が国が相手国のエネルギーを取り巻く状況・課題や脱炭素化に向けた方針を知悉していない国に対しては、政府としての支援を行わないことを原則とする。その一方で、特別に、エネルギー安全保障及び経済性の観点などから当面石炭火力発電を選択せざるを得ない国に限り、相手国から、脱炭素化へ向けた移行を進める一環として我が国の高効率石炭火力発電へ要請があった場合には、関係省庁の連携の下、我が国から政策誘導や支援を行うことにより、当該国が脱炭素化に向かい、発展段階に応じた行動変容を図ることを条件として、OECDルールも踏まえつつ、相手国のエネルギー政策や気候変動対策と整合的な形で、超々臨界圧(USC)以上であって、我が国の最先端技術を活用した環境性能がトップクラスのもの(具体的には、発電効率43%以上のUSC、IGCC及び混焼技術やCCUS/カーボンリサイクル等によって発電電力量当たりのCO2排出量がIGCC 並以下となるもの)の導入を支援する。
② ESG投資の増加にみられるように、世界的に環境・社会・企業内統治への関心も高まっている。こうした経営者や投資家の意識の変化を踏まえながら、環境性能の高いインフラの海外展開に取り組むことで、気候変動問題や海洋プラスチックごみ問題等の地球規模の課題を解決し、世界の環境と成長の好循環を一層推進する。これを踏まえ、これまでの日本の公害や廃棄物管理等の経験や技術、制度などを基に、展開国における環境汚染の低減や公衆衛生の向上、海洋プラスチックごみ問題の解決に向けて、環境インフラ海外展開プラットフォームの形成や、案件形成の上流からの関与の強化等により、社会的仕組み(ソフトインフラ)の整備と一体的に、廃棄物発電やリサイクル、大気汚染や水質汚濁、水銀処理の対策技術等の、質の高い環境インフラの導入推進に取り組む。 [15-16頁]
政府、石炭火力の輸出厳格化議論 インフラ戦略会議
  (東京新聞 TOKYO Web 2020.07.09 17:40 共同通信)
石炭火力の輸出支援厳格化 高効率設備に数値基準 脱炭素化へ政府新方針
  (SankeiBiz 2020.7.9 18:05)
環境省 小泉大臣記者会見録
  (環境省 2020.07.09 18:00~18:40)
   会見実況動画
今回文言一つ一つこだわって、それが実効性を高める形で成案を得られるように調整を進めてまいりました。その結果、今、このスライドでお示しをしたとおり、この本来の、柱でもある、いわゆる4要件の厳格化、これについて、改めて触れたいと思います。どのように、厳格化が変化されたのか。これまでは、支援する要件のみ書いてあった4要件を、一つ一つ見ていただければわかりますが、一つ目の要件。エネルギー安全保障と経済性の観点のみを求めていたのが今まででした。そのことに加えて今回何が変わったかというと、エネルギー安全保障と経済性の観点に加えて、脱炭素化だということが前提とならない限り駄目だという形を、さらに今回1点目に加えています。そして二つ目、我が国の高効率石炭火力発電への要請があればということでありますが、今回新しく加えたことは、仮に我が国の高効率石炭火力発電への要請であったとしても、脱炭素移行の一環でなければ駄目。そういったことであります。そして三つ目。相手国のエネルギー政策や気候変動対策と整合的な形であることという要件は、今の相手国のエネルギー政策や気候変動対策と整合的な形ではなくて、パリ協定の目標達成に向けた政策や対策が継続的に強化をされること。それを今回の要件にしました。そして最後の4点目は、原則、世界最新鋭であるUSCいわゆる超々臨界以上という今までの要件は、常に最新の環境性能とする要件、USCであっても、USCの中でも最高効率ではないものもありますので、そういったことも含めて、常に最高効率でなければならない。こういったところをしっかりと、4要件を今回変更することで、調整が決着をして、今までの4要件に加えて、相当、徹底した厳格化がなされることになりました。以上のように、相手国のエネルギーを取り巻く状況・課題や、脱炭素化に向けた方針をしっかり把握していない場合は、支援しないことを原則とするという転換をすることができました。今後、関係省庁と連携をしながら、世界の実効的な脱炭素化への取組を進めていきたいと思います。そして、最後になりますが、環境省では、今回の改正を絵にかいた餅にすることがないように、具体的なアクションとして、政策対話から案件形成に至るまで、途上国の脱炭素移行に向けた一貫支援体制を構築していきます。さらには、民間企業や自治体、金融機関などとも連携して、環境インフラの海外展開を推進するため、民間企業への情報共有やビジネスマッチング、案件形成支援に至るまで、トータルでサポートするための官民連携のプラットフォームを設立し、より日本の脱炭素技術やノウハウが活用されるように、官民一体となって取り組んでいきたいと思います。早速、ベトナムとは政策対話の実施に向けた調整を始めています。関係省庁や関係機関とも連携しながら、相手国のニーズに即して、脱炭素化に向けた政策策定支援からCO2削減に資する、あらゆる対策の提案、実施に取り組んでいくことで、世界の脱炭素化に貢献していきたいと思います。最後になりますが、私のような、手の焼ける大臣と、最後まで、向き合って調整に努力をいただいた梶山大臣をはじめ、経産省の皆さん、ありがとうございました。そして、関係省庁、ファクト検討会委員、及びヒアリングに御協力いただいた企業・団体など、これまでに、この議論に関わってきた関係者すべての皆さんに、心から感謝を申し上げたいと思います。うちの事務方も大変だったと思います。ありがとう。以上です。
日本政府、石炭火力の輸出支援を「厳格化」 脱炭素化へ誘導(清水律子)
  (ロイター 2020.07.09 19:20)
  政府は9日、二酸化炭素(CO2)の排出量が多く、批判が強い石炭火力発電の輸出支援について、これまでの支援要件を厳格化することを決めた。現状でも石炭火力発電を選択せざるを得ない国があるとし、そうした国への輸出支援も、脱炭素化に向けた誘導を行うことを条件としている。
 <新たな石炭火力、2国間協議持たない国「支援せず」
 政府が9日開催した「経協インフラ戦略会議」で決めた新たな輸出戦略では、再生可能エネルギーや水素、カーボンリサイクル等CO2排出削減に資するあらゆる選択肢の提案や、パリ協定の目標達成に向けた長期戦略など脱炭素に向けた政策の策定支援を行う「脱炭素移行政策誘導型インフラ輸出支援」を推進することを基本方針とした。
今後、新たに計画される石炭火力発電プロジェクトについては「エネルギー政策や環境政策に係る2国間協議の枠組みを持たないなど、日本が相手国のエネルギーを取り巻く状況・課題・脱炭素に向けた方針を知悉(ちしつ)していない国に対しては、政府として支援しないことを原則とする」とした。
 一方、石炭火力を選択せざるを得ない国に対しては、脱炭素化に移行する一環として、日本の高効率石炭火力へ要請があった場合には、その国が脱炭素化に向かい、行動変容を図ることを条件として、超々臨界圧(USC)以上であり、日本の最先端技術を活用した環境性能がトップクラスのものの導入を支援するとした。
 <梶山経産相「現実的な一歩」、小泉環境相「基本として原則支援しない」
 梶山弘志経済産業相は会見で「石炭火力発電の輸出支援の厳格化を決めた」と述べ「一足飛びにゼロというわけにはいかない。より現実的な一歩を踏み出すということ」と述べた。一方、小泉進次郎環境相は「最も重視してもらいたいのは、基本方針として原則、支援しないこと。今回、そういった結果になった」と述べ、こだわってきた「支援しないことを原則とする」という文言が入ったことを評価した。
 エネルギーを所管する経産省としては、日本の高い技術による石炭火力発電を必要とする国は多いという認識にある。一方で、脱炭素化は必然のものとなっており、関係省庁間でも、輸出相手国の行動変容を促すことが必要との認識は共有した。
 新興国に対し、石炭火力輸出支援を行っている日本への批判は高まっていた。昨年12月に気候変動枠組条約第25回締約国会議(COP25)に出席した小泉環境相が問題を提起。今年2月下旬、石炭火力発電の輸出条件の見直しを話し合うことで環境省や経産省などの関係省庁が合意、協議を続けてきた。
 <エネルギーミックス見直しにつながるか
 小泉環境相は「来年のエネルギーミックス、ドミノが倒れるように、脱炭素化社会の実現に向け議論する素地ができたと思っている」とし「COP26はCOP25より、前向きなものを持っていけるのは間違いない」と述べ、来年予定されているエネルギーミックスの見直しにも自信を示した。
 石炭火力発電の海外輸出に関してはこれまで、1)エネルギーの安全保障及び経済性の観点から石炭を選択せざるを得ない場合、2)日本の高効率石炭火力発電への要請があった場合、3)相手国のエネルギー政策や気候変動政策と整合性があること、4)原則、世界最新鋭であるUSC(超々臨界圧発電方式)以上の発電設備の使用、という4要件を定めていた。
石炭火力発電 輸出支援は環境性能トップクラスに限定 政府
(NHK NEWS WEB 2020.07.09 19:37)
石炭火力、輸出支援「原則禁止」 脱炭素化へ条件厳格化-政府
  (時事ドットコムニュース 2020.07.09 21:05)

石炭火力の輸出支援を厳格化 政府方針、設備性能などに条件
  (中日新聞Web 2020.07.10 05:00 (11:54更新)
活動報告:石炭火力発電の輸出政策の見直しが正式に決定しました
  (小泉進次郎 Official Site 2020.07.10)
本日、大臣就任以来取り組んできた石炭火力発電の輸出政策の見直しが正式に決定し、今後は「原則支援しない」ことになりました。国際社会に対してもパリ協定に貢献する日本の揺るぎない姿勢が伝わる、画期的な政策転換が出来ました。……
  どのように厳格化が変化したのか
一つ目、「エネルギー安全保障と経済性の観点のみ」を求めていたのが今まででした。そのことに加えて今回何が変わったかというと、エネルギー安全保障と経済性の観点に加えて脱炭素化というのが前提にならない限りダメだとしています。
二つ目、「我が国の高効率石炭火力発電への要請があれば」、ということですが、今回新しく加えたことは、仮に我が国の高効率石炭火力発電への要請だったとしても、「脱炭素移行の一環」でなければダメとしました。
三つ目、「相手国のエネルギー政策や気候変動対策と整合的な形であること」、という用件は、相手国のエネルギー政策や気候変動対策と整合的な形ではなくて、「パリ協定の目標達成に向けた政策や対策が継続的強化をされること」、それを今回は要件にしました。
そして最後四点目は、「原則、世界最新鋭であるUSC(超々臨界)以上」、今までの要件は、「常に最新の環境性能とする要件」。USCであっても最高効率でないものもありますので、そういうことも含めて、常に最高効率でなければならない。
こういった4要件に変更することで、調整が決着。今までの要件に加えて相当徹底した厳格化がなされました。

石炭火力輸出 公的支援から撤退せよ
  (朝日新聞デジタル 2020.07.12 05:00)
 石炭火力発電の輸出に際し、政府は公的支援の要件を厳格化することを決めた。国際的な批判に押され、政策の転換にようやく一歩を踏み出す。
 ただ、公的支援の道は残されていて、世界的な脱石炭火力の潮流と歩調が合ったとはいいがたい。気候危機の脅威は増しており、日本も輸出から早急に手を引かねばならない。
 石炭火力は主な電源のなかで最も二酸化炭素(CO2)排出量が多く、欧州を中心に全廃をめざす国が増えつつある。地球温暖化対策を進めるパリ協定の下、国際社会は今世紀の後半に温室効果ガス排出の実質ゼロをめざしているからだ。
 そんななか日本は、いまだに石炭火力を国内の基幹電源と位置づけているうえ、主要7カ国(G7)で唯一、政府が輸出の後押しを続けている。相手国が発電効率のいい日本の設備を求めているといった4項目の要件を満たす必要があるものの、「日本は気候危機対策に後ろ向きだ」との批判が強い。
 そうした逆風を受け、今回、環境省や経済産業省などが公的支援の要件を見直した。
 輸出支援にあたっては、温室効果ガス削減の長期戦略づくりなどを手助けし、相手国の脱炭素化を促すことを基本方針とする。脱炭素政策の詳細がわからない国への輸出は原則的に支援しない、と明記した。4要件についても、脱炭素化の観点から従来よりも厳しくする。
 成長戦略として輸出支援してきた姿勢を改め、環境重視に軸足を移す点は評価できる。
 だが、見すごせないのは、相手国が脱炭素化へ移行するなかで日本の石炭火力を求めている場合、高効率の設備を輸出できるとしている点だ。
 高効率といっても、天然ガス火力の2倍ものCO2を出す。相手国の気候変動対策を促すという一方で、40年にもわたって温室効果ガスを排出し続ける設備の輸出を助けるのは矛盾している。太陽光や風力の輸出を進めるのが筋だろう。
 折しも、日本のメガバンクを含む世界の金融大手が石炭火力への投融資から撤退している。日本が公的支援の道を残していては「気候危機対策の足を引っ張っている」と批判されよう。
 石炭火力は相手国に、温暖化以外の問題をもたらす恐れもある。東南アジアでは、日本が建設に協力する発電所の地元住民らが、農業や漁業への悪影響や環境汚染への不安から反対運動をしている例もある。日本の支援が地元を苦しめることがあってはならない。
 政府に求められているのは、輸出支援の要件の厳格化ではない。完全な撤退である。

石炭火力削減方針評価①(7月4~9日) 7月25日

7月2・3日の経産省、石炭火力発電100基休廃止(削減)方針に対する評価です。

7月4~9日の報道記事
  (中日新聞Web 2020.07.04 05:00)
  (Sustainable Japan 2020.07.04)
 まず、日本経済新聞の報道では、「高効率の新型発電所は維持・拡充する」との記載があり、石炭火力発電の中で高効率石炭火力発電を推進してきた経済産業省の方針と今回の発表が、必ずしも矛盾してはいないという点。具体的な方針は、「有識者会議を立ち上げて休廃止を促す具体的な手法を詰める」ということから、高効率石炭火力発電まで含めた削減に踏み込むかどうかは今後の議論に委ねられることになる。このように今は「固い鉄が溶けた」とも言える状態で、今後の政策についての柔軟性が大幅に上がった。「鉄は熱いうちに打て」と言われるように、将来どのような形状で再度固まるのかという極めて大事な局面となる。
 石炭火力の輸出の公的支援については、今年に入り、環境省と経済産業省の間で鍔迫り合いが続いている。環境省では、小泉進次郎環境省のリーダーシップにより、「石炭火力発電輸出への公的支援に関する有識者ファクト検討会」を設立し、政府政策が時代錯誤になっているというファクトを整理してきた。一方の経済産業省は、「インフラ海外展開懇談会」を設立し、石炭輸出継続の理論武装を行った。環境NGOの気候ネットワーク、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、350.org、Friends of the Earth(FoE)、メコン・ウォッチの5団体は7月3日、現状でも低効率石炭火力発電は政府のインフラ輸出の対象外となっており、今回の方針が低効率にとどまるのであれば進展はなにもないと警告している。
 系統での再生可能エネルギー発電所の出力抑制については、現状のルールでも、再生可能エネルギーは火力発電よりも優先されており、原子力発電、水力発電、地熱発電のみが太陽光発電・風力発電よりも優先順位が高い状況にある。そのため、再生可能エネルギーの優先順位を上げるためには、現在原子力発電用に確保されている系統を開放し、再生可能ネルギーが出力抑制をしなくてよくなる状況にするしかない。これができるかどうかが「進歩」と呼べるかのメルクマールとなる。
  (ブログ『化学業界の話題 knakのデータベースから』 2020.07.06 08:17)
経済産業省は低効率な石炭火力発電所の休廃止に乗り出す。現在約140基ある石炭火力のうち、低効率とされる約110基のうち9割にあたる100基程度を対象とし、2030年度までに段階的に進める。
具体的には、電力会社が発電できる量に上限を設けて、古い発電所を休止や廃止するなどして、段階的に引き下げていく方法などが検討されている。災害などの際に大規模な停電を防ぐためにすべてがすぐに廃止されないような仕組みも検討する。
一方、二酸化炭素の排出を抑えた効率がよい石炭火力発電所は新設も認める。
2019年に改定した政府の「エネルギー基本計画」では、2050年に向けた対応として非効率な石炭を段階的に削減するとしているが、その取り組みを加速する。
国際社会の強い批判に応える狙いだが、高効率型の発電所は維持する方針で、欧州の全廃路線とは一線を画すことになる。
2018年7月のエネルギー基本計画では2030年度の電源構成に占める石炭の割合を26%としている。
今回の方針変更で、旧型火力の休廃止と高効率型の新増設を差し引いて、2030年の石炭火力の比率は20%程度まで低下すると見られる。
原子力については再稼働は今後も難航が必至で、再生エネルギーも多くの問題を抱える。
当面はLNG火力の拡大でしのぐしかない。
大手電力からは「基準が決まっていないので何とも言えないが、9割の石炭を廃止するのは困難だ」との声や、「石炭を廃止する以上、国が原発の新増設を後押しすべきだ」との声が聞こえる。
梶山経産相、非効率石炭火力の早期削減へ方針表明 送電線利用も見直し
  (電気新聞 2020.07.13 掲載:2020.07.06)
 梶山弘志経済産業相は3日、超臨界圧(SC)以下の非効率な石炭火力発電所を減らすため、新たな規制的措置の導入などを検討すると表明した。大手電力に加え、共同火力、鉄鋼などの自家発を含め、非効率プラントの早期退出を誘導する仕組みなどについて、7月から有識者会議で議論を始める。加えて、再生可能エネルギーの導入加速に向けた送電線利用ルールの見直しも表明した。ただ、達成への時間軸や供給力確保とのバランス、立地自治体との関係などを巡って慎重な検討が求められそうだ。
 現行の第5次エネルギー基本計画では、石炭火力は2030年度の電源構成のうち26%を占めるとされている。「非効率石炭のフェードアウトに取り組む」とも明記されていたが、これまで具体的な手法は検討されてこなかった。
 経産省・資源エネルギー庁によると、18年度の石炭火力による発電量は、約3300億キロワット時で、石炭火力が全発電量に占める割合は32%。このうち、超々臨界圧(USC)や石炭ガス化複合発電(IGCC)の高効率型が13%、SCや亜臨界圧(SUB-C)などの非効率型が16%、自家発自家消費分は3%に上る。
 今回の検討では、国内に114基存在する非効率型のフェードアウトを目指すほか、大半が非効率型とみられる自家発も俎上(そじょう)に載せる。建設中の最新鋭石炭火力の運転開始も見据え、非効率型による発電をできる限りゼロにする。
 これまで政府はエネルギーミックス(30年の電源構成)の実現に向け、発電事業者や小売電気事業者に省エネルギー法やエネルギー供給構造高度化法で規制を講じてきた。電力業界も低炭素社会実現行動計画などの自主的取り組みを推進してきた。
 それらに加え、梶山経産相は「規制や税でどんなものが必要か、あらゆる条件を排除せずに検討する」と強調。エネ庁の小川要・電力基盤整備課長は「関係者が多いため、丁寧に議論する。明確な期限を区切った検討はしない」と話した。
 この他、梶山経産相は非効率な石炭火力のフェードアウトとともに、再生可能エネ導入拡大に向けた送電線利用ルールの見直しも表明。千葉県などで試行的に実施している「ノンファーム型接続」は21年度中に全国展開する。また、送電線混雑時、再生可能エネが出力制御を受けないようルールを見直し、主力電源化を推進する。先に接続していた火力発電は石炭だけでなく、他燃料も対象となる見通しだ。
小泉環境相を意識? 旧式石炭火力の削減に乗り出す経産省(安藤毅)
  (日経ビジネス電子版 2020.07.06)
「CO2ゼロ」へ技術開発 有識者会議が初会合-経産省
  (朝日新聞社の言論サイト『論座』 2020.07)
「石炭火力発電100基休廃止」報道、政府は”脱石炭”に向かう!?
  ( 『Don’t go back to the 石炭〜石炭火力発電に反対』 2020.07.07)
2020年7月2日の報道で、「政府は、二酸化炭素(CO2)を多く出す非効率な石炭火力発電所の9割弱を、休廃止の対象とする方針を固めた」ことが報じられた。これまで日本政府は、既存の石炭火力発電所を廃止するという方向性を全く打ち出してこなかった。今回の方針ははじめて廃止に踏み込んだ方針転換ともとれる”脱石炭”への小さな一歩だ。
しかし、パリ協定の目標とする「地球の平均気温の上昇を産業化前に比べて2℃を十分に下回り、1.5℃の上昇にとどめる」という要請にこたえるためには、先進国における石炭火力は2020年以降の新規稼働を禁じ、既存を含め遅くとも2030年までに全廃することが求められる。その意味では、この方針では全く不十分だ。
自然エネ財団、経産省の「石炭火力の休廃止方針」に3つの懸念を表明
  (『環境ビジネス』 2020.07.07)
自然エネルギー財団は7月3日、梶山 弘志経済産業大臣が同日の記者会見で低効率な石炭火力発電所の休廃止を進めると表明したことを受けて、コメントを発表し、3つの懸念を示した。
2018年に策定されたエネルギー基本計画において、「非効率な石炭火力発電のフェードアウト」とともに、「石炭火力発電の高効率化・次世代化の推進」「2030年に石炭火力で26%を供給」という方針が明記されている。
梶山経済産業大臣は、同日の記者会見で、この「非効率な石炭火力発電のフェードアウト」に向けた具体的な方策と、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた、基幹送電線の利用ルールの抜本見直しについて、7月中にも検討を開始し年内を目途に具体策をまとめる方針を示した。資源の少ない日本において、様々な選択肢を検討しながら、エネルギーのベストミックスを検討すること、また、高効率な火力発電は調整力や災害時の立ち上げ電源としても重要であり、現時点で「2030年に石炭火力で26%を供給」は維持することとしている。
その後に記者会見した小泉進次郎環境大臣は、この発表について、「パリ協定で掲げる脱炭素社会に実現に向けて、日本のゆるぎない姿勢を国際社会に示す大きな一歩になる」と評価した。
一方、自然エネルギー財団は、今回の梶山経済産業大臣の発表は、「非効率な石炭火力発電のフェードアウト」の既定方針を具体化したもので、新たな方向性を提起したものではないと指摘。各種の報道を踏まえ、今回の方針について、以下のような3つの懸念を示した。
   1.「100基休廃止」でも、2030年時点で3000万kWの石炭火力を利用
   2.CO2排出がほとんど変わらない高効率石炭火力推進路線の維持
   3.26%維持のためさらに長期の排出ロックインの危険性

  「石炭火力の完全なフェーズアウトを」を呼びかけ
自然エネルギー財団は、「気候危機回避に必要なCO2大幅削減を確実に実現するためには、エネルギー効率化の徹底と自然エネルギーの大幅拡大を進める以外にはない」とした。
同財団では、2030年の持続可能なエネルギーミックスの姿とその可能性を示すため、近日中に提言を公表する予定。2021年にはエネルギー基本計画の改定が行われると見込まれている。この改定において、石炭火力発電を完全にフェーズアウトし、自然エネルギー発電を中心とするエネルギー転換の方向性を明確にすることが、今回の経済産業省の方針を、気候危機に立ち向かう世界の努力と整合するものに発展させる道だとした。同財団は、今後とも、関係省庁、電力会社との建設的な意見交換を進めていくとしている。
(社説)石炭火力削減 温暖化防ぐ道筋を描け
  (朝日新聞デジタル 2020.07.08 5:00)
   (Diamond Online 2020.07.08 05:35)
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  (環境ビジネスオンライン 2020.07.09日)
公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES:アイジェス)は7月3日の経済産業省「非効率石炭火力の段階的廃止」方針を分析し、「方針はパリ協定と整合的ではなく、発電部門全体での排出ネットゼロ化を目指した措置が必要」というコメントを発表しました。
  「非効率石炭火力の段階的廃止」方針に対するコメントの主要メッセージ
非効率石炭火力の休廃止を具体的に促すことは歓迎される。
しかし、今回の方針は、大型で高効率な石炭火力設備へのリプレースを進めるという従来のエネルギー政策の抜本的な転換を意味するものではなく、パリ協定の長期気温目標に向けても不十分な内容である。
休廃止が見込まれる設備は小規模なものが多い一方で、建設中・計画中の大規模石炭火力が稼働することで、2030年時点では50基、3,328万kW程度の石炭火力が残ると推計される。これは、日本の2030年排出削減目標(NDC)が想定する石炭火力発電量よりも約44TWh~102TWh少なく、CO2排出量では約3,700万トン~8,700万トンの削減となる。しかし、パリ協定と整合性のある日本の削減目標についての統合評価モデル/エネルギーモデルシナリオにおける数値と比べると不十分である。
50基のうち21基は2030年時点での稼働年数が20年以下であり、2050年まで稼働する可能性がある。この21基(約1,452万kW)のうち、炭素回収技術と相性がよいとされる石炭ガス化複合発電(IGCC)は4基(約150万kW)であり、残りは炭素回収技術の追設を想定しておらず、電力部門から長期的にCO2が排出される状態(ロックイン)が懸念される。
今回の方針は、『パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略』に明記された、パリ協定の長期目標と整合的な火力発電からのCO2排出削減や非効率石炭火力のフェーズアウトに向けた取り組みとしては不十分である。非効率石炭火力の廃止を促すだけではなく、発電部門全体での排出ネットゼロ化を目指した措置が必要となる。
  全文

時事公論「石炭火力削減 電源構成の抜本見直しを」(水野倫之)
  (NHK解説委員室 2020.07.09)
 今回の削減方針はエネルギー政策の方針転換のように見えるかもしれないが、そうではない。
 エネルギー基本計画にはおととしの改定の段階で、「非効率な石炭火力にフェードアウトを促す仕組みなど具体的な措置を講ずる」ことがすでに盛り込んであった。しかし政府はどう減らすのか具体策を打ちださないまま2年が過ぎ、国際的な批判をきっかけにようやく重い腰を上げたわけ。対応が遅いと言えるが、脱炭素に向けてもう旧式の火力を使い続けるべきではなく、削減方針を示した点は一定の評価ができる。
 ただ今回方針転換ではないため政府は、石炭火力の基幹電源としての位置づけや2030年に26%賄う方針は見直さず、効率が比較的よい石炭火力は今後も新設を認めることに。
効率が良いとは言っても天然ガスの2倍のCO2を排出するわけで、国際社会から不十分だと批判が高まる可能性も。政府はCO2などの排出を2050年に80%削減し、今世紀後半のできるだけ早い段階で実質ゼロにすることを国際的に約束しているわけで削減だけでなく一歩踏み込んで廃止に向けた道筋についても今回あわせて検討しておく必要があると思う。
 また、今回削減する分の電力について政府は、再エネと原発で賄う方針。しかしいずれも課題が多く、賄いきれなければ石炭火力削減自体に影響が出る可能性もあり、この際、電源構成を抜本的に見直していく必要。
 このうち原発については2030年に20~22%賄う方針を掲げ、30基程度再稼働させる方針。しかし信頼の回復は進まず、これまで再稼働したのは9基で、電源の割合も6%。しかも裁判所が運転停止を命じたり、テロ対策施設の完成が遅れて原子力規制委員会から事実上強制停止させられるなど、原発はいまや不安定電源に。業界団体が原子力関係各社に行ったアンケートでも半数が20~22%の達成は困難と回答。このまま目標が達成できなければその分をまた石炭火力で賄うということになりかねず、原発比率の見直しは不可欠。
 その分、政府が主力電源化を目指す再エネが期待されるが、現状17%と主要国の中でも最低レベル。普及が進まない理由の一つに送電線の空きが少なく、新規の再エネがなかなかつなげない問題が。送電線の利用は、先に建設された火力や原発が優先的に利用できる仕組み。このため、発電量が増えて送電線の容量がいっぱいになると、あとから再エネを入れようとしてもできず、送電線を設置する莫大な費用が請求され、再エネ事業を断念せざるを得ないケースも。こうした状況が続く限り再エネの拡大は困難。この点政府は再エネが優先的につなげるよう、送電線接続のルールを変える方針。再エネ事業者の意見を丁寧に聞いて、より多くの事業者が参入できるようなルールを早急に整備するのと同時に、普及を加速させるためにも2030年に22~24%となっている再エネの導入目標についてもより高く見直していくことも必要。
 政府はエネルギー基本計画を当初予定の通り、来年改定するとしているが、世界の脱炭素化への動きは早い。状況に合わせて素早く見直していかないと世界の流れに乗り遅れることになりかねない。

石炭火力100基休廃止表明(7月3日) 7月24日

梶山弘志経済産業相は3日、二酸化炭素(CO2)を多く排出する非効率な石炭火力発電所100基程度を2030年度までに段階的に休廃止する方針を表明しました。

7月3日の報道記事
石炭火力、抑制姿勢に転換 欧州「全廃路線」と一線
  (日本経済新聞電子版 2020.07.03 02:00)
■■電力会社「困難」の声
 全国の大手電力各社は電力調達の多くを石炭火力に頼っており、経営に与える影響は大きい。
中国電力の場合、合計259万キロワットの石炭火力を持っており、顧客に販売する電力のうち47%が石炭由来の電力だ。北陸電力は同50%で、比較的石炭の依存度が低くなっている東京電力ホールディングスでも20%を占めている。
段階的に建て替えや廃止を進めているといっても、老朽化した発電所に頼っている地域も少なくない。中国電力の下関発電所1号機(山口県下関市)は稼働から53年が経過し、Jパワーの高砂火力発電所1号機(兵庫県高砂市)も52年たっている。
大手電力からは「基準が決まっていないので何とも言えないが、9割の石炭を廃止するのは困難だ」(東電関係者)との声があがる。西日本が地盤のある電力会社は「石炭を廃止する以上、国が原子力発電所の新増設を後押しすべきだ」と話した。
  (SankeiBiz 2020.07.03 05:00)
梶山経済産業大臣の閣議後記者会見の概要
  (経済産業省 2020.07.03 11:13~11:29)
非効率石炭火力のフェードアウトに向けた検討
まず1点目、資源の乏しい我が国において、エネルギー安定供給に万全を期しながら脱炭素社会の実現を目指すために、エネルギー基本計画に明記している非効率な石炭火力のフェードアウトや再エネの主力電源化を目指していく上で、より実効性のある新たな仕組みを導入すべく、今月中に検討を開始し取りまとめるよう、事務方に指示をいたしました。
具体的には、2030年に向けてフェードアウトを確かなものにする新たな規制的措置の導入や、安定供給に必要となる供給力を確保しつつ、非効率石炭の早期退出を誘導するための仕組みの創設、既存の非効率な火力電源を抑制しつつ、再エネ導入を加速化するような基幹送電線の利用ルールの抜本見直し等の具体策について、地域の実態等も踏まえつつ検討を進めていきたいと考えております。
また、系統の効率的な利用を促すことで、再エネの効率的な導入を促進する観点から検討が進められております発電側課金についても、基幹送電線の利用ルールの見直しとも整合的な仕組みとなるよう見直しを指示をいたしました。
詳細は、事務方から説明をさせたいと考えております。
質疑応答
Q: 大臣、小泉環境大臣と今日の発表は合意されているんでしょうか。
A: 合意はしていないが、政府としては合意していますよ。それは官邸も含めて。
Q: 小泉大臣と話し合っていますか。
A: 小泉大臣とは折に触れて話し合ってあります。閣議で席が隣ですので。
  (一般社団法人環境金融研究機構(RIEF) 2020.07.03 12:21:37)
 経済産業省が旧式石炭火力発電所を約100基休廃止の方針を打ち出す中で、2つの石炭火力が新たに営業稼働した。電源開発(Jパワー)が広島県竹原市と茨城県鹿嶋市で建設を進めてきた超々臨界圧石炭火力(USC)発電所が相次いで動き出した。USCは旧式石炭火力よりCO2排出量は少ないが、天然ガス火力の2倍の排出量で、EU等では廃止対象になっている。経産省の「100基休廃止」方針は、旧式からUSCへの転換策でしかなく、「石炭依存」を基本的に維持していることを示す。
 USC型の発電所は現在、国内に26基(2018年現在)あるほか、2019年の稼働分と現在建設中が16基ある。これらは建設時期が新しいので、ロックイン効果が続き、2030年以降も3000万kW以上の運転を続ける。USC42基のCO2排出量をJパワーの広島発電所と同等とすれば、合計で年間1億3270万㌧となる。これは日本の温室効果ガス排出量の1割を上回る。旧式石炭火力の休廃止でCO2排出量は約6400万〜1億600万㌧削減される見通しだが、その削減分を上回る排出を続けることになる。
 さらにKIKO[気候ネットワーク]は、今回、稼働を始めた両USC型火力発電所が立地する県が、いずれも温暖化の加速で深刻な気候災害が起きた県である点も指摘している。広島では2年前の西日本豪雨で、多くの人命が失われ、被害総額も過去最高となった。一方の茨城県でも、2015年の常総市周辺での記録的豪雨で、鬼怒川の堤防が決壊、甚大な被害が出た。
 石炭火力が主要な汚染源として、温暖化の影響を加速し、その被害を現実に受けた地域で、新たに「元凶」となる石炭火力を稼働させるという「暴挙」に映る。だが、事業主体はもちろんのこと、地元自治体も、まるで別問題であるかのように振る舞っている。
 もちろん、温暖化の影響は石炭火力の稼働地元だけではなく、グローバルに影響する。今夏はすでにロシアのシベリアで38℃の高温が記録され、永久凍土の溶融による建物事故のニュースも届く。南極の温度も、世界平均より3倍のスピードで上昇していることも科学的観測で確認されている。にもかかわらず、日本の行政と電力会社があくまでも石炭に固執するのはなぜなのか。エネルギー供給への不安か、変わることへの不安か、あるいは利権の維持か……
石炭火力「減らす仕組み作る」 経産相、輸出厳格化も
  (日本経済新聞電子版 2020.07.03 11:51)
  (東京新聞 TOKYO Web 2020.07.03 13:50)
   ◆政府が従来のエネルギー政策を転換
脱炭素化に向け再生可能エネの普及に本腰を
<解説> 梶山弘志経産相がエネルギー効率が悪い石炭火力発電所の休廃止を表明した。CO2排出を抑える脱炭素化に向けた一歩とはなるが、石炭火力の全廃方針を掲げる欧州各国に比べれば見劣りする。脱炭素化を進める上で重大事故のリスクがある原発に頼らず、CO2排出が少ない再生可能エネルギーの比率をどう高めるか。政府の本気度が問われる。
 日本は東日本大震災以降、原発の代替電源として液化天然ガス(LNG)や石炭火力の比率を高めた。石炭は価格が安く、安定的に調達できるとして、経産省や産業界は「石炭火力維持」の方針を崩さずにきた。
 一転、旧型の石炭火力休止に踏み切った背景には、世界で強まる脱炭素化の潮流がある。石炭火力はCO2の排出量が天然ガス火力の約2倍と多く、ドイツや英国などは石炭火力の全廃方針を掲げる。
 今後は石炭比率を下げながら、電力の安定供給をどう実現するかが課題となる。原発は安全対策コストがかさみ、地震大国の日本での再稼働は現実性に乏しい。再生エネの普及策に本腰を入れ、環境と暮らしを両立するエネルギー政策を立案する必要がある。(石川智規)
  (時事ドットコム 2020.07.03 18:34)
[社説]電源全体を見据えた石炭火力の休廃止に
  (日本経済新聞電子版 2020.07.03 19:05)
北陸電力、発電5割頼る石炭火力に暗雲 最安の源泉
  (日本経済新聞電子版 2020.07.03 19:30)
低効率石炭の休廃止、自家発電も対象 経産省方針
  (日本経済新聞電子版 2020.07.03 20:30)
WWFは、日本政府が石炭火力発電所を大幅に廃止する方針を歓迎する
  ただし、新規増設や原子力によってその廃止分を埋めてはならない
  (WWFジャパン[World Wide Fund for Nature] 2020.07.03)
石炭火力の完全なフェーズアウトを:経済産業省の方針では2030年に3000万kWの石炭火力を利用(自然エネルギー財団)
1.「100基休廃止」でも、2030年時点で3000万kWの石炭火力を利用
 休廃止の対象となる100基には10万~20万kW程度の小規模のものが多い。これに対し、2030年でも利用を予定している「高効率」石炭火力は、60万kW~100万kWクラスの大規模のものが中心であり、合計約2000万kWの発電設備が存在している。これに現在建設中の新設石炭火力を加えれば2900万kW程度となる。更に非効率石炭火力の1割は残されるので、全体では、2030年時点でも3000万kW程度の石炭火力が残存することになる。
 パリ協定のめざす二酸化炭素削減目標を実現するためには、先進諸国では2030年までに石炭火力発電の利用を全廃することが必要とされており、欧州各国をはじめ多くの国が2030年前後の全廃をめざしている。今回の方針は、こうした世界の努力とは全く異なる。
2.二酸化炭素排出がほとんど変わらない高効率石炭火力推進路線の維持
 エネルギー基本計画では、非効率な石炭火力のフェードアウトと同時に「石炭火力発電の高効率化・次世代化を推進する」と明記しており、今回の公表でも高効率と称する石炭火力を維持することを明確にしている。これらの高効率石炭火力も、二酸化炭素排出量は「非効率」なものより数%しか減らない。日本が批判されてきたのは、実際には排出削減に殆ど役立ない「高効率石炭火力」をクリーンコールと称して推進してきたからに他ならない。今回の発表はこの「クリーンコール」路線を継続することを明確にしたものである。
3.26%維持のため更に長期の排出ロックインの危険性
 エネルギー基本計画では「2030年に石炭火力で26%を供給」するという方針を示している。2030年に残存する3000万kWで供給可能なのは、20%程度と見込まれるため、26%を供給するためには、更に多くの石炭火力発電を新設することが必要になる。巨額の初期投資が必要な石炭火力は、いったん建設されれば40年程度の利用が目指される。このようなことが行われれば、今世の後半の長い期間にわたって大量の二酸化炭素の排出を続けることになる。
政府の海外石炭火力支援方針の改訂方向性を危惧 ~進行中案件も含めて支援中止を決定すべき~
(「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、気候ネットワーク、国際環境NGO 350.org Japan、国際環境NGO FoE Japan、メコン・ウォッチ)
7月3日付の報道に、「石炭火力発電輸出 支援厳格に 政府検討 非効率型を除外」と題する記事が掲載されました。これまで次期インフラシステム輸出戦略骨子において海外の石炭火力発電事業の公的支援中止を打ち出すよう要請してきた私たち環境NGOは、記事で伝えられる政府内における検討の方向性を非常に危惧しており、すでに進行中の案件も含め、海外石炭火力発電事業への公的支援の全面中止を改めて要請します。
記事では、「二酸化炭素(CO2)を多く排出する非効率な石炭火力発電の輸出は、原則として支援しない方針を政府文書に明記することも含めて検討している」と報道されています。しかし、現行政策(エネルギー基本計画に示されたいわゆる輸出支援の4要件)でも、「原則、世界最新鋭である超々臨界圧(USC)以上の発電設備について導入を支援する」としています。したがって、技術を限定し、条件付けを残すなら、単に言い回しを変えるだけで、実態には何も変化をもたらさない可能性があります。
また、「CO2の排出量が少ない高効率の発電所であっても、支援する条件を厳しくすることで、温室効果ガス削減に取り組む姿勢を示す」と報道されていますが、そもそも高効率であっても石炭火力はパリ協定の長期目標と整合しないことが明らかであることから、日本政府の現行方針が国内外から批判されています。石炭火力でも高効率なら支援するという姿勢を続ける限り、パリ協定の目標達成に後ろ向きであるとの日本に対する評価は覆らないでしょう。
さらに、記事では「進行中のプロジェクトについては、継続する」との方針も示されています。これは、国際協力銀行(JBIC)及び日本貿易保険(NEXI)が支援検討中のブンアン2(ベトナム)、国際協力機構(JICA)が支援を検討見込みのインドラマユ(インドネシア)及びマタバリ2(バングラデシュ)の3案件を指していると考えられますが、すでに今後の支援対象案件として実質的に残された案件はこの3案件しかないことから、これらを除外して方針を立てることは、今回の方針見直し自体の意義を損なうものに他なりません。加えて、これらの案件においても、パリ協定の長期目標との不整合性、支援対象国における電力供給過剰状態の深刻化、再エネのコスト低下に伴う経済合理性の欠如、現地の環境汚染や住民への人権侵害など、様々な問題があり、支援を行うべきではありません。
したがって、7月上旬にも閣議決定されると見込まれる次期インフラシステム輸出戦略骨子では、進行中の案件を含めたすべての海外石炭火力発電事業への公的支援を例外なく中止するという方針を掲げるべきです。

経産省の石炭火力発電削減方針(7月2日) 7月23日

7月2日、政府は古い非効率な石炭火力発電所の発電量を2030年度までに9割程度削減する方向で調整にはいりました。

7月2日の報道記事
  (ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト 2020.07.02 13:18)
  ( ロイターニュース 朝日新聞デジタル 2020.07.02 13:18)
  ( NHK NEWS WEB 2020.07.02 22:37)
  ヨーロッパなどは「脱石炭」加速
  日本では主力電源 エネルギー政策の見直しも課題に
   原発での代替は困難か 根本的な議論が必要に
  「日本は温暖化対策に消極的」国際的に批判も
  日商 三村会頭「バランスのとれた政策を」
  東電社長「引き続き国と連携して進める」
  専門家「温室効果ガスの排出をゼロにする道筋を」
  専門家「コストは覚悟しなければならない」

  (一般社団法人環境金融研究機構(RIEF) 2020.07.02 15:49:11)
旧式の石炭火力9割休廃止 CO2削減へ100基 30年度・政府
  (時事ドットコムニュース 2020.07.02 17:48)
政府は2日、国内にある約140基の石炭火力発電所のうち約110基を占める旧式発電所について、2030年度までに9割相当、100基程度を休廃止の対象とする方針を固めた。旧式は二酸化炭素(CO2)の排出量が多いため、削減方針を打ち出して脱炭素化の姿勢を国際社会にアピールする。石炭火力を重要な電源と位置付けてきた日本のエネルギー政策の大きな転換点となる。……
  (毎日新聞デジタル 
低効率の石炭火力、10年で9割削減 新型は推進の方針(伊藤弘毅、桜井林太郎) 
  (朝日新聞デジタル 2020.07.02 22:25)
経済産業省は、二酸化炭素(CO2)を多く出す低効率の石炭火力発電所による発電量を2030年度までに9割削減する方針を固めた。地球温暖化対策を重視する姿勢を打ち出したい考えだ。だが、高効率な石炭火力は引き続き利用、建設を認め、石炭火力を安定的な電源として重視する考えも変えない見通しだ。……
  (特定非営利活動法人気候ネットワーク 2020.07.02)
  (特定非営利活動法人気候ネットワーク 2020.07.06)
 1.石炭火力発電所の状況
 2.政府の「100基休廃止」の意味
  (1)基数と設備容量
  (2)各電力会社管内の全設備に関する非効率石炭火力が占める割合
  (3)CO2排出量と石炭消費量への影響
  (4)エネルギーミックスへの影響
  (5)2050年目標への影響
 3.政府方針の問題点と改善策
 参考資料


「石炭火力輸出の中止と自然エネルギー支援への転換が必要な4つの理由」(自然エネルギー財団) 7月22日

  自然エネルギー財団202006_01

  資料の趣旨
政府では石炭火力輸出政策の見直しが行われています。小泉環境大臣は、設置した有識者検討会の報告を踏まえ「脱炭素への移行が促進されない限り輸出しない」という脱炭素原則への転換を打ち出しました。一方、経産省の懇談会報告書は、自然エネルギービジネスの重要性を述べながら、依然として石炭火力発電の活用を合理化する議論を含んでいます。日本のエネルギーインフラ輸出が脱炭素化に貢献するものとなるよう、本資料では、石炭火力と脱炭素化両立論の誤り、東南アジアの自然エネルギービジネスの可能性の大きさに関するデータを提供し、輸出政策転換が必要な4つの理由を提起します。
〈目次〉
石炭火力輸出の中止と自然エネルギー支援への転換が必要な4つの理由
  ー「インフラシステム輸出戦略」見直し議論によせてー
  自然エネルギー財団202006_02
これまでの経緯と本資料の趣旨
自然エネルギー財団は本年(2020年)2月12日に、「日本の石炭火力輸出政策の5つの誤謬」を公表し、それまで、石炭火力輸出を正当化するために主張されてきた議論が全く誤ったものであることを、データを示して明らかにしました。
■ この報告書は小泉環境大臣の記者会見、国会質疑、新聞社説などでも扱われ、4月1日には小泉大臣の下に、「石炭火力発電輸出への公的支援に関する有識者ファクト検討会」(以下、「環境省検討会」と表記)が設置されました。
■ 環境省の求めにより、自然エネルギー財団はこのファクト検討会に対し、4月21日「アジアで進む脱炭素の動き」を提出し、日本とともに石炭火力輸出を進めてきた韓国・中国での変化、東南アジア各国での脱石炭の動きを紹介しました。環境省検討会のとりまとめは5月26日に公表され、小泉大臣は脱炭素化原則への転換をめざすと宣言しました。
売れるから売るではなく脱炭素への移行が促進されない限り輸出しない(脱炭素化原則)への転換
■ 一方、経済産業省も4月から「インフラ海外展開懇談会」を開催し、「エネルギー・電力を取り巻く社会情勢を踏まえた施策の検討に必要なファクトの整理・検証」を行いました。5月21日にはその中間とりまとめ(以下、「経産省報告書」と表記)が公表されました。この中でも「拡大する再エネ市場への日本の貢献の重要性」を指摘するなど、積極的な方向が提起されています。他方、残念ながら、依然として東南アジアでの自然エネルギーポテンシャルを過少評価したり、パリ協定とは整合しないIEAのシナリオを前提とするなど、石炭火力発電活用の合理化につながる様々な議論が含まれています。
■ こうした経緯を踏まえ、政府のインフラ輸出戦略の徹底した見直しが行われ、石炭火力輸出の完全な停止と自然エネルギー拡大を進める新たなエネルギービジネスへの転換が行われるよう、本資料を公表するものです。

  自然エネルギー財団202006_03
石炭火力輸出の完全な中止と自然エネルギービジネスへの転換が必要な4つの理由
1 「日本の石炭火力発電効率は世界でトップ」という主張は、もはや通用しない
■ 経産省報告書、環境省検討会への電力会社提出資料でも、石炭火力輸出政策の最大の根拠だった「日本の石炭火力発電効率は世界でトップ」という主張が、もはや通用しないことが明確に。
■ 鈴木外務副大臣は「日本が生産をしている1段再熱のUSCよりも、中国のみで生産できている2段再熱のUSCのほうが効率がよく、費用的にも日本のものに比べて高くはないという記述がある。もし、この記述が本当だとすれば、日本の技術が優れているという輸出の前提が変わってしまう」との見解を表明(環境省検討会第3回発言
2 「石炭火力と脱炭素化の両立」の非現実性
■ 経産省報告書が提唱するIGCC、CCSなどの「脱炭素化」技術は、削減効果が小さく、高コスト、技術も未確立。事業者自身の資料によっても、現在の輸出プロジェクトに利用できるものではないことが明らか。
3 東南アジアには自然エネルギー開発、送電網整備など大きなビジネスチャンスが存在
■ 東南アジアには、電力需要を満たすために十分以上の大きな自然エネルギーポテンシャルがある。
■ 太陽光などの発電コストは急速に低下し、石炭火力に対して価格競争力を有するようになっている。
■ 既にインドシナ半島には国際送電網が存在。島しょ部でも建設・計画が進む。その促進こそインフラ輸出のビジネス機会。
4 多くの企業・金融機関が既に石炭から自然エネビジネスへの転換を進めている
競争力を失った日本の石炭火力プロジェクト
環境省[84p]、経産省の報告書[3p、4p]、事業者自身の資料[JERA23p、電源開発33p]でも、石炭火力輸出の最大の根拠だった主張が崩れたことが明確に
  競争力を失った日本の石炭火力プロジェクトー長期性能の比較
■経産省報告書等では、スペック値に差がないことを認めつつ、「長期的な稼働期間での実績」「長期的品質の確保」では、日本の石炭火力発電に優位性があると述べている。
■しかし、電力会社、重電メーカー、商社などで実際に電力ビジネスを行ってきた専門家のネットワーク「電力情報技術ネットワーク(NEPIE)」は、「品質や耐久性も遜色がなくなりつつある」との見解を示している(環境省検討会第3回提出資料)。

2 「石炭火力と脱炭素化の両立」の非現実性①IGCC
■経産省報告書は、IGCCなどで「石炭火力発電の有効利用と脱炭素化を矛盾なく両立させる」方針を示している。
■しかしIGCC,CCSなどの技術は、削減効果が小さい、高コスト、技術未確立など、実用性のあるものではない。
  「石炭火力と脱炭素化の両立」の非現実性②CCS
■ 経産省報告書はCCSを石炭火力脱炭素化技術として提唱
■しかし、かつてCCS開発を進めたEUは実証プロジェクトの失敗、自然エネルギーコストの低下を踏まえ、2050脱炭素戦略では、電力部門の削減対策としてCCS技術は一切活用を予定していない。
■ 世界全体でも、これまで火力発電所に適用されたCCSは小中規模の2件だけ。それも石油の増産を狙うEORプロジェクトであり、 排出削減対策としてのみ実施されたものではない。
■ 発電コストも高い上に、CCSをつけても排出ゼロにはならない。
■ 今から、火力発電所の削減対策としてCCSを進めるのは、全くの誤り。政府の長期戦略はCCSを火力発電対策として提唱しており、日本政府の気候変動対策の誤りの代表例である。
  CSS付き石炭火力が使えない5つの理由

3 東南アジアの自然エネルギービジネスの大きな可能性①開発ポテンシャル
■経産省報告書は、東南アジアでは気候条件のため、太陽光・風力発電の大規模導入が難しいとしている。
■世界には、日照量、風況で東南アジアより良い地域は存在するが、東南アジアの導入ポテンシャルは十分に大きい。
 太陽光だけでも、東南アジアの2040年電力需要をはるかに上回るポテンシャル
● 環境省検討会ファクト集やJ-Power提出資料(第2回)が引用している東南アジアの分析報告書*によると、石炭火力(50~80ドル/MWh)と比較してもコスト競争力のある太陽光導入ポテンシャルは8TW以上と試算される。
● この場合、設備利用率を10%と低く見積もっても、太陽光だけでIEAの公表政策シナリオ(SPS)が見込む東南アジアの2040年電力需要(2,345TWh)の3倍の発電量になる。
● タイ、ベトナムでは、LCOEが50~100ドル/MWhの太陽光ポテンシャルが、最も制限された技術シナリオでも、2017年の電力供給実績の4倍以上、ミャンマー、カンボジアでは100倍以上あると試算されている。
なお、環境省ファクト集やJ-Power提出資料は「再エネで需要を満たす場合、国土の6割を占める可能性もある。」「所要敷地面積も大きい。」としている。しかしこれらが引用しているデータは、150ドル/MWh以下の発電コストで太陽光と風力を設置できる面積を表したものであり、電力需要を満たすのに必要な面積ではない。実際、ミャンマーやカンボジアで引用データの面積に太陽光発電を設置した場合、それぞれの国の2017年供給量の550倍、595倍も発電されることになる。
 東南アジア各国には、風力、地熱など多様で豊富な自然エネルギー資源が存在
● 東南アジアの風力資源は太陽光よりは限定的。しかし、ベトナムとミャンマーでは現在の全電力供給量の数倍のポテンシャルがある。フィリッピン、タイにも適地がある。
● インドネシアとフィリピンは地熱発電のポテンシャルが非常に高く、ミャンマー、ラオス、カンボジア、マレーシアでは水力発電の大きな可能性がある。地域に応じた自然エネ開発を進めることで、東南アジアの自然エネルギーポテンシャルを最大限に活用。
● 東南アジア各国の風力の設備利用率についてブルームバーグNEFは18-32%と見積もっている。
● 欧米には劣るものの、フィリピンやベトナムでは導入量世界一の中国と大きく変わらない。
● ミャンマー、ベトナムなどでは、海沿いや内陸で平均風速6~7m/秒の地域があり、場所によっては30%の設備利用率を見込め、低コストの導入ポテンシャルが大きい。
●台風の影響が大きい台湾は対策の知見を含めたノウハウを獲得し、ここを拠点としてアジア地域に展開する競争が始まっている。日本企業も参入。
 ●日立は台湾で5.2 MW風力発電システム21基(109.2MW)の機器製造からO&Mを一括で受注(2018年4月)
 ●JERAは台湾の洋上風力フォルモサ1,2に続き「フェルモサ3」への参画を決めた。出力は約200万キロワットと世界最大級(2020年3月)
 東南アジアの自然エネルギービジネスの大きな可能性②太陽光・風力のコスト低下
● 経産省報告書は「石炭資源が豊富かつ安価なASEANでは、石炭火力が当面コスト競争力を有する」としている。
● 実際には現時点でも、最もコスト競争力のよい石炭と自然エネプロジェクトどうしで比較すると、すでに同等の水準。
● 太陽光、風力発電のコストは低下し続けており、石炭火力がコスト競争力を有するのは2025年頃まで。
● また、経産省が脱炭素化のために必要とするIGCCやCCSを導入すれば、コスト増加を招き、更に競争力を失う。
 東南アジアの自然エネルギービジネスの大きな可能性③国際送電網
● 経産省報告書は、欧州と異なり「ASEANは地理的状況等の課題もあり、国・地域ごとの独立性が高い系統」と記述。
● 実際にはインドシナ・マレー半島には国際送電網が存在。タイは欧州並みに電力の13%を国際連系線で調達。
● 島しょ部でも建設・計画が進行中。2035年に向けた更に大規模な構想も公表されている。
● IEAも「アセアンの国際送電網を拡大することは、経済的、系統運用的、環境的な利益をもたらす」と指摘。
● 多様な自然エネルギー資源を広域的に活用するアセアン国際送電網は脱炭素化に貢献。今後のビジネスとして大きな可能性。

(参考)太陽光・風力発電と石炭火力発電の正しいコスト比較とは
● 経産省報告書は「再エネ発電は系統側コストまで勘案する必要がある」とするが、太陽光・風力発電の系統接続に関するIEAの報告書では、「変動型自然エネ発電シェア45%までは、長期的には費用コストの大きな増加なしで実現できる」としている。
● 概ね10%を超えると追加投資(系統増強、予備力、蓄電池、デマンドレスポンス等)が必要とするIEA報告書もあるが、蓄電池コストは急速に低下している。系統増強、デマンドレスポンスも経済的なメリットが大きい。
● 経産省報告書が依拠する化石燃料発電が2040年にも5割を占めるIEAシナリオでは、エネルギー起源CO2が60%も増加し、パリ協定と整合しない。
● 輸出政策の検討では、石炭火力コストは二酸化炭素増加の環境コストを加えて比較すべき。

4 多くの企業・金融機関が既に石炭から自然エネビジネスへの転換を進めている
■環境省検討会に提出された各企業の資料からは、金融機関、商社は脱石炭の方向に舵を切っており、電力会社も、石炭火力の必要性は言いつつ東南アジアでは新規開発を予定していないことが明らかになった。
■ごく一部の企業以外、日本のビジネスは脱炭素への選択を行っている。
■ 経産省報告書の参考資料にも、自然エネルギー拡大と電力系統の柔軟性確保を、今後のビジネスチャンスとして取り組む多くの日本企業が紹介されている。

石炭火力輸出の中止と自然エネルギー支援への転換が必要な理由まとめ

1. 日本政府はパリ協定にコミットしており、「世界の脱炭素化を牽引するとの決意の下、高い志と脱炭素化のための取組を積極的に推進していく姿勢を力強く内外に示」すとしています(パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略)。したがって、政府のインフラ輸出戦略もパリ協定の実現に向けた戦略と整合的であることが必要です。
2. 経産省報告書は、IEAの公表政策シナリオに依拠して「2040年には、化石燃料発電の割合は相対的に減少するが、例えばアジア太平洋地域では依然5割を占めることが見込まれ」るとし、これを石炭火力支援を継続する理由としています。しかし、公表政策シナリオでは、2040年の東南アジアのエネルギー起源CO2排出量は2018年より60%も増加してしまい、パリ協定の目標と整合しません。公表政策シナリオを前提として日本のインフラ輸出戦略を決めるのでは、パリ協定に対する政府のコミットメントと矛盾してしまいます。
3. 石炭火力輸出を合理化する最大の根拠であった「日本の石炭火力発電効率は世界でトップ」という主張が根拠を失う一方で、東南アジアにおける自然エネルギー開発、送電網整備には、大きなビジネスチャンスが存在しています。
4. 環境省検討会においても、経産省報告書においても、多くの日本企業が自然エネルギー拡大とその関連ビジネスに積極的に乗り出していることが示されています。
5. 世界の気候変動対策に貢献するためにも、日本のビジネス展開の促進のためにも、「インフラ輸出戦略」を見直し、石炭火力輸出政策を完全に中止し、自然エネルギービジネス支援に転換すべき時です。

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※経済産業省は5月21日、昨今の社会情勢を踏まえた上で、電力・エネルギー分野のインフラシステム輸出を推進していくための取り組みの方向性を示した「インフラ海外展開懇談会」の中間取りまとめ参考資料を公表した。

 
 小泉環境大臣のリードの下で設置された環境省の「石炭火力発電輸出への公的支援に関する有識者ファクト検討会」(以下、ファクト検討会)が本日、結果をとりまとめ発表しました。同検討会は、政府が「パリ協定の目標達成に向け、石炭火力も含め世界の脱炭素化を進めるための取組については、石炭火力輸出支援の4要件の見直しについて、次期インフラシステム輸出戦略骨子に向け、関係省庁で議論をし結論を得る」としていることを受け、石炭火力輸出への公的支援に関するファクトを整理し、その方向性の検討を行ってきました。
 ファクト検討会は、分析レポートの中で、石炭火力発電の公的支援について、エネルギー構造をロックインする恐れや座礁資産化するリスクがあるため長期的な視点が必要だということ、また政府が閣議決定したパリ協定長期戦略の規定、すなわち脱炭素社会の実現を目指すことやパリ協定の長期目標と整合的なインフラ国際展開を進めるという内容に反するということを指摘し、「今後の公的支援を、ビジネスへの支援という観点にとどまることなく、相手国の脱炭素化という長期的な視点を併せ持ち、脱炭素社会への現実的かつ着実な移行に整合的な『脱炭素移行ソリューション』提供型の支援へと転換していく重要性について、認識を共有した」と整理しています。
 一方、経済産業省下におかれた「インフラ海外展開懇談会」の5月11日の中間取りまとめでは、石炭火力発電についてはこれまでの既定通りに、高効率石炭火力を選択せざるを得ない国には支援を続けるとの方向性が示されています。しかし、そのような現行の方針を続けることの課題が、今回のファクト検討会で示されたと言えます。
 石炭火力発電所の新規建設は、たとえ次世代型の高効率技術であってもパリ協定との整合性がないことが明らかにされている上、経済面でも石炭火力発電の抱えるリスク評価が求められるようになっていることが指摘されています。また、対策の一つとされる次世代技術CCS(二酸化炭素回収・貯留)は、コスト・技術等の観点から、パリ協定の目標に資する時間軸での実現可能性は見い出せません。さらに、受け入れ国では大気汚染の悪化などを含む環境社会配慮面での問題が指摘されるなか、石炭火力への反対運動が高まっており、世界のエネルギー情勢は刻々と変化しています。もはや、石炭火力発電について技術や国の情勢から支援の是非の議論をする段階ではありません。
 この先、6月にも閣議決定されると見込まれる次期インフラシステム輸出戦略骨子では、ファクト検討会で示された方向性を踏まえ、政府として、新規計画および現在進行中・建設中を含めたすべての石炭火力発電所の建設および石炭火力発電技術の輸出に対する公的支援を止めるという方針を決定し、それを速やかに実行に移すべきです。

「アジアで進む脱石炭火力の動き」(自然エネルギー財団) 7月21日

自然エネルギー財団のインフォメーション・パッケージ「アジアで進む脱石炭火力の動き」(2020年4月)を読みました。
  自然エネルギー財団202004_01

  資料の趣旨
自然エネルギー財団の「日本の石炭火力輸出政策5つの誤謬」は、石炭火力輸出を合理化してきた議論の誤りを明らかにした。本資料では、石炭輸出政策の再検討に際し、考慮の必要な3つの動きを提示する。
1 韓国・中国の変化の動き
2 東南アジア各国で石炭火力脱却の動き
3 IEA「持続可能シナリオ」現実化の動き
日本政府が、石炭火力輸出政策を中止し、自然エネルギー拡大支援へ日本の力を集中することを期待する。

目次
石炭火力からの脱却が始まったアジア
  ー 石炭火力輸出を中止し、自然エネルギー拡大支援へ日本の力を
自然エネルギー財団202004_02
 ■日中韓の石炭火力輸出に対する国際的な批判
  ■日中韓3国が、海外石炭火力融資の大半を占める。
韓国・中国の石炭火力輸出政策に変化の動きー特に韓国は日本よりも先に脱石炭に転換する可能性
  ■韓国:国内石炭火力の「劇的な削減」、石炭火力輸出政策の見直しが進む。
  ■中国:石炭火力輸出は鈍化傾向
東南アジア各国で石炭火力から脱却の動き
  ■ベトナム:石炭より自然エネルギー優先を明確化(2020年2月)
  ■インドネシア:「20年以上経過した石炭火力を自然エネルギーに建て替える」(2020年1月)
  ■バングラデシュ:供給力過剰が表面化、電源開発を見直し(2019年5月)
  ■マレーシアとカンボジアのオークションでも、太陽光発電が石炭火力より安価に(2019年、2020年)
東南アジアの電力の95%は自然エネルギーと天然ガスで供給:IEA「持続可能シナリオ」現実化の動き
  ■自然エネルギーは2040年までの電力需要増の全てを供給し、現在の石炭火力の約半分を代替する。
  ■東南アジア各国で、自然エネルギー価格の低下が急速に進んでいる。

日中韓の石炭火力輸出に対する国際的な批判
日中韓3国が、海外石炭火力融資の大半を占める。

韓国・中国の石炭火力輸出政策に変化の動き
  ■韓国:国内石炭火力の「劇的な削減」をめざす
  ■韓国:石炭火力輸出見直しが進む
    国民の反感+石炭火力ビジネス不振の現実が見直しを迫る
  ■中国:石炭火力輸出は減少の方向

2 東南アジア各国で石炭火力から脱却の動き
  ■ベトナム:石炭より自然エネルギー優先を明確化(2020年2月)
  ■インドネシア:20年以上経過した石炭火力を自然エネに建て替え
  ■バングラデシュ:供給力過剰が表面化、電源開発を見直し
  ■マレーシアとカンボジアのオークションでも、太陽光発電が石炭火力より安価に

3 東南アジアの持続可能な未来
  ■東南アジアの未来3つのシナリオ:日本はどの未来を支援するのか
  ■東南アジアの電力の95%は自然エネルギーと天然ガスで供給可能
  ■東南アジアでの自然エネルギー電力の価格低下と導入加速

石炭火力発電輸出への公的支援に関する有識者 ファクト検討会」提出資料
 「アジアで進む脱石炭火力の動き」まとめ

自然エネルギー財団202004_14
1 これまで日中韓3か国が東南アジアなど世界への石炭火力輸出政策の大半を行ってきたが、韓国では石炭推進政策の見直しが進んでいる。中国の石炭火力輸出プロジェクトも頓挫する事例が発生しており、輸出規模が減少している。
2 ベトナム、インドネシア、バングラデシュ、マレーシア、カンボジアなど、東南アジア各国で、自然エネルギーの急速な価格低下、電力供給力の過剰などにより、石炭火力からの脱却が始まっている。
3 東南アジアの電力需要は2040年までに倍増する見込みだが、IEAは「世界エネルギー見通し2019(WEO2019)」の中で、増加分の全てを自然エネルギーが満たし、天然ガス火力とともに電力の95%を供給する、パリ協定と整合する持続可能シナリオを提示している。
4 日本がパリ協定を踏まえ世界とアジアの気候変動対策に貢献するのであれば、石炭火力輸出政策を中止し、各国の自然エネルギー拡大の支援に集中すべき。
5 残存する東南アジア各国の石炭火力プロジェクトも見直し・中止が加速していく。「落穂ひろい」ビジネスではなく、未来につながるエネルギービジネスへの転換が必要。
※この資料は、環境省の「石炭火力発電輸出への公的支援に関する有識者ファクト検討会」(座長:高村ゆかりさん)第2回(2020年4月21日)に提出されたものです。ヒアリングでの委員からの質問と回答、検討会のまとめ「石炭火力発電輸出ファクト集2020」に関する分析レポート」、『石炭火力輸出ファクト集2020』(2020年5月)もご覧下さい。
  質疑回答(4月21日)
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「日本の石炭火力輸出政策5つの誤謬」(自然エネルギー財団) 7月18日

自然エネルギー財団のインフォメーション・パッケージ「日本の石炭火力輸出政策5つの誤謬」(2020年2月)を読みました。
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   資料集趣旨
日本の石炭火力政策のもう一つの問題点は、東南アジアなど海外への石炭火力輸出政策 を続けていることです。政府や一部の企業などは、「日本の最新石炭火力は、高効率であり、世界の温室効果ガス削減に貢献する」など、あれこれの弁明をしています。しかし、これらの言い訳は、世界では全く通用せず、国際世論の中で厳しい批判にさらされています。この資料集は、石炭輸出政策を正当化する議論の誤りを事実にもとづいて明らかにするものです。気候危機との戦いにとって決定的に重要な2030年への10年が始まる今年、今後のエネルギー政策の議論が、正確なデータ・資料をもとに進められるよう期待して、この資料を発表します。
目 次
■日本の石炭火力輸出に対する国際的な批判の高まり 
■石炭火力輸出正当化論の5つの誤謬
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現実1 「高効率な石炭火力発電(USC)」でもCO2削減はわずか数% ガス火力の2倍の排出量
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現実2 高効率石炭火力に更新しても削減できるのは2割弱 8割以上の排出を長期間、固定してしまう
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現実3 今や中国の石炭火力発電は技術力で日本と同等 日本の60倍以上の建設実績
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現実4 (1) 石炭火力の公的輸出実績は、インフラ輸出目標30兆円の1%程度
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現実4 (2) 高効率石炭火力の価格競争で中国に完敗 日本の公的輸出案件でも中国・韓国の技術を採用
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現実5 東南アジア諸国でも自然エネルギーが拡大中 石炭火力からの転換支援こそ、日本の役割
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 (参考資料) アジアの石炭火力に融資する邦銀と外銀の動向

※「メガバンクが石炭火力に融資停止 環境団体は「海外に比べ周回遅れ」」(東京新聞TOKYO Web 2020年6月27日 16時57分 )


 東日本大震災以降、原子力発電の稼働停止による電力不足を補うことなどを理由に掲げ、約2,100万kWもの石炭火力新増設計画が発表されました。これまでに、約700万kWの建設計画が中止またはLNGやバイオマス発電等へ計画変更されましたが、未だに建設中、または着工前の新増設プロジェクトが20基、1,100万kW以上もあります。
 これらのプロジェクトの多くは、80%から90%という高い設備利用率を想定していますが、電力広域的運営推進機関の推計によっても、2028年の全国平均の設備利用率は70%以下になります。本報告書では、電力需要と設備利用率の低下、自然エネルギー発電の増加など市場環境が変化するとともに、気候変動対策の強化が進む中で、これらの新増設プロジェクトが採算割れを引き起こし、座礁資産化するリスクが大きいことを明らかにしています。
 ドイツやオランダでは新設直後の石炭火力発電所が市場環境や政策環境の変化で、運転停止に追い込まれる事例も生まれています。自然エネルギー財団は、本報告書が今後の日本のエネルギー政策の転換と電力ビジネスの発展に寄与する一助となることを期待します。


「石炭火力2030フェーズアウトの道筋」提言レポート 7月4日

気候ネットワークの「石炭火力2030フェーズアウトの道筋」提言レポートを読みました。2018年11月に発表されたもので、日本の石炭火力発電を2030年までに段階的に縮小して全廃すべきであるという提言です。
  プレスリリース(2018年11月9日)

 世界の温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指す「パリ協定」の達成のためには、エネルギー起源のCO2の排出をいち早く削減し、脱炭素に向かう必要があります。
既出の研究によれば、そのなかでも石炭火力発電は、新規建設を中止すべきことはもちろんのこと、既存の発電所も優先的に廃止し、全廃する必要があり、なかでも先進国は、2030年には全廃が必要だとされています。
これに応え、2030年までに石炭火力発電の全廃を目指すと宣言する世界の国々や地方自治体が増えており、脱石炭は、国際潮流となりつつあります。

 こうした状況を踏まえ、このたび気候ネットワークでは、パリ協定を締結した先進国である日本においても、石炭火力発電について、現在ある発電所の新設計画および建設工事を全て中止するとともに、既存の発電所を2030年までに全て廃止する必要があるという考えに基づき、提言レポート「石炭火力2030フェーズアウトの道筋」を発表しました。

 本レポートでは、「石炭火力2030年フェーズアウト計画」を示し、2018年4月時点で把握できる日本の既存の石炭火力発電所117基について、運転開始年が古く、また発電効率の低い発電所から段階的に2030年に向かって全て廃止していくスケジュールを具体的に提示しています。

 LNGを含む他の発電方式を含む設備容量や、再生可能エネルギー電力の普及、さらに省エネの進展を考慮すれば、電力供給を脅かすことなく、原発に依存しなくても、本計画は十分に実現可能です。このことを踏まえ、本レポートでは、政府に対し、本提言書で提示するような石炭火力発電の全廃への具体的な道筋を描き、2030年フェーズアウト計画を策定し、それを長期低排出発展戦略に位置付けるべきであると提言しています。
そして、フェーズアウト計画を土台に、パリ協定の目標と整合する水準まで温室効果ガス排出削減目標を引き上げ、再生可能エネルギーと省エネの取り組みを加速度的に進め、脱炭素社会を早期に実現するべきであると示しています。
 さらに、現状では既存の発電所の全ての情報や設備毎の設備利用率が公表されておらず、実態に即した検討や検証が困難なため、政府及び各事業者がデータや情報を公開することも要請しています。

  要旨
■石炭火力発電は、最もCO2を多く排出する発電方式である。温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指す国際合意「パリ協定」の達成のためには、エネルギー部門をいち早く脱炭素化させる必要がある。既出の研究によれば、そのなかでも石炭火力発電は、新規建設を中止すべきことはもちろんのこと、既存の発電所も優先的に廃止し、全廃する必要があると指摘されている。日本の石炭火力発電についても、現在ある発電所の新設計画を全て中止するとともに、既存の発電所を2030年までに全て廃止するべきである。
■政府統計や各種公開資料等を用いて2018年4月時点で把握できる日本の既存の石炭火力発電所は117基あり、古いものは運転開始から40年以上経過した低効率の発電所も多数残っている。
■本レポートで示す「石炭火力2030年フェーズアウト計画」では、117基の既存の石炭火力発電所について、運転開始年が古く、また発電効率の低い発電所から段階的に2030年に向かって全て廃止していくスケジュールを提示している。本計画は、LNGを含む他の発電方式を含む設備容量や、再生可能エネルギー電力の普及、さらに省エネの進展を考慮すれば、原発に依存しなくても、電力供給を脅かすことなく十分に実現可能である。
■また本計画の中では、2012年以降に計画された50基の新規建設計画のうち、2018年4月現在で既に運転を開始している8基の発電所については既存の発電所に加え、計117基としている。そして、2030年にはそれら全て廃止する計画を提示した。2018年4月時点でまだ運転を開始していない発電所は、運転開始前に計画を中止すべきという考え方に基づき、本計画には加えていない。
■政府は、本レポートで提示するような全廃への具体的な道筋を描き、石炭火力2030年フェーズアウト計画を策定し、それを長期低炭素発展戦略に位置付けるべきである。そして、パリ協定の目標と整合的に温室効果ガス排出削減目標を引き上げ、再生可能エネルギーと省エネの取り組みを加速度的に進め、速やかな脱化石燃料を通じ、脱炭素社会を早期に実現するべきである。なお、現状では既存の発電所の全ての情報や設備毎の設備利用率が公表されておらず、実態に即した検討や検証が困難な状況にあるため、政府及び各事業者がデータや情報を公開することが求められる。
  本論
1.石炭火力発電を巡る国内状況
 (1)1980 年以降、増加し続けてきた石炭火力
 (2)東京電力福島第一原発事故以降の石炭火力発電建設計画の乱立
 (3)100基以上ある既存の石炭火力発電所
 (4)石炭火力発電所の設備容量総計
2.石炭火力フェーズアウト計画
 (1)2030 年石炭火力全廃の必要性
 既出の分析によれば、パリ協定の1.5~2℃の気温上昇抑制目標の達成には、エネルギー起源CO2の排出は2050年にはゼロにしなければならず、IPCCの1.5℃特別報告書では、1.5℃に気温上昇を抑制するためには、石炭火力発電はいかなるシナリオでもほぼ全廃するしかないことが示されている。すなわち、パリ協定と整合するためには、新規の石炭火力発電は1基たりとも建設できず、既存の発電所も削減し、先進国は、2030年には完全にフェーズアウトを実現しなければならない。そして、2030年フェーズアウトが必要であるのは、先進国である日本もまた同様である。こうした現実を踏まえ、パリ協定の採択以降、石炭火力発電の全廃と海外支援を停止する方針を打ち出す国や地方自治体、そして企業が続々と増えている。
 脱石炭に向けた国際潮流が高まる中、日本は、既存の発電所の廃止計画を明確にしていないばかりか、今なお、多数の新規建設が進んでおり、すさまじい規模で石炭火力設備を増強しようとしている。この事態は、パリ協定に反し、気候変動対策の世界の取り組みに真っ向から逆行するのみならず、建設地域の大気汚染を悪化させてしまうものである。また、パリ協定の下で脱炭素社会を目指す流れの中で、将来的に稼動停止せざるを得ない設備を過剰に抱えることにもなり、経済的に大きなリスクをもたらしかねない。
 他の国々とともに2030年の石炭火力全廃を目指すことは、パリ協定の締約国としての日本の責任であり、石炭火力発電所の新規の建設・運転中止、既存の前倒し廃止の方針転換が直ちに求められる。
 (2)石炭火力フェーズアウト計画

 (3)電力供給への影響
 4000万kWを超える石炭火力発電設備を今後10年余でゼロにすることは、政府が言うところの「ベースロード電源」を失うことになり、電力の安定供給への影響を懸念する声も当然あるだろう。しかし、以下に示すとおり、大きな悪影響なくフェーズアウトすることは十分可能である。
 まず、日本では、LNG火力発電所もこのところ次々に建設が進められており、設備が増強されている。2014年以降、新規建設または増強が進められている大型のLNG火力発電所は約900万kWある。また、電力広域的運営推進機関(OCCTO)の供給計画のとりまとめによれば、現行の発電事業者の供
給計画は全体に設備過剰とみられ、2027年のLNG火力の設備利用率は2017年の55.3%から43%にまで下がる見込みとなっている。まだ余力のあるLNG火力発電の設備利用率を60〜65%に引き上げ、OCCTOの2027年の見通し通りに再エネの発電量が27%となれば、石炭火力発電設備の減少分の大部分をカバーできる。再エネの発電量27%の達成は適切な政策を講じることによりさらに前倒しで導入されることも十分考えられる。
 また、OCCTOの最大電力及び需要電力量の見通しは、2018年~2027年の10年間、年平均増加率は±0%と横ばいとなっている。この数値は、節電や省エネの進展状況、ピークカット対策などの要因を加味して、前年の予測(年平均増加率0.3%)を下方修正したものであるが、それでも2018年と同水準の需要はあると見込んでいる。しかし、今後、節電や省エネはさらに進めていくことが重要であり、IoTの活用などその可能性も十分にある。年率1.5%の省エネを進めていけば、石炭火力設備の喪失分は、原発の発電電力量はゼロのままカバーできる。
 本計画は、毎年200万kWから多い年でも約400〜500万kWの電源を段階的に廃止していくものとなっており、前もって計画を立て、段階的に対策を取っていくことで、これらは十分に実現可能だと言えるだろう。
3.フェーズアウト計画の実施に向けて
 (1)現行の政策方針の速やかな見直しの必要性
 以上に示した石炭火力2030年フェーズアウト計画は、現行の政策のままでは実行できない。これを実施するために、以下の政策方針の見直しと個別政策対応が必要である。
■パリ協定に準じた2030年ゼロ方針の明確化(エネルギー基本計画・地球温暖化対策計画)
 現行政策では、石炭火力発電は原子力発電とともに「重要なベースロード電源」と位置付けられ、重視されているが、まずこの認識を根底から改めなければならない。出力調整のしにくい石炭・原発を土台にするのではなく、変動型電源を含め再生可能エネルギーを土台に柔軟に需給調整を図って安定供給を確保する電力システムを基本方針とするべきである。
■脱石炭フェーズアウトの実施のための立法(脱石炭火力法(仮称)の制定)
 脱石炭火力は明確な意思に基づき、毎年着実に実施していかなければならず、既存法のいずれの枠組みでも対応することが難しいため、毎年の廃止スケジュールを定めた新法を制定して対応するべきである。これは脱原発法と抱き合わせ、脱原発と脱石炭を同時に進めることができるだろう。
■温室効果ガス排出削減目標とエネルギーミックスの見直し(エネルギー基本計画・地球温暖化対策計画)
 2030年に26%の石炭火力の発電電力割合を見込んでいる現行のエネルギーミックス、さらにそれを根拠にした2030年の温室効果ガス排出削減目標である2030年26%削減(2013年度比)は、2030年石炭火力2030フェーズアウトの計画に沿って改定しなければならない。2030年の電源構成における石炭火力比率は当然のことながらゼロとし、石炭火力の段階的廃止を前提に、温室効果ガス排出削減目標は少なくとも40~50%に引き上げるべきである。
■カーボンプライシング(地球温暖化対策税/国内排出量取引制度)の導入
 需給の両面で、石炭火力の利用を抑制するインセンティブを付与するため、2019年にはカーボンプライシングの導入を実現するべきである。カーボンプライシングは、脱石炭火力法による規制スケジュールを前提に、より効率よく、より低炭素な発電技術への選択を促す。本計画の実施には、当面の間、LNGガス火力の設備利用率が上昇することになるが、その際にも、より効率のよい発電所からの運転を促す。さらに需要側の幅広い省エネの促進にも効果が見込まれる。
■発電効率基準・非化石電源目標の見直し(省エネ法・エネルギー供給構造高度化法)
 省エネ法に基づく発電効率基準や、エネルギー供給構造高度化法に基づく非化石電源比率の目標は、温室効果ガス排出削減目標やエネルギーミックスの改定に準じた改正をすることが求められる。
■省エネ政策・電力平準化の強化
 省エネは、石炭火力フェーズアウトを実現する鍵を握る。あらゆる主体の省エネを加速させるカーボンプライシングを導入することと同時に、発電所の効率向上や電力平準化のより幅広い実施のための政策、需要側管理の促進のための仕組みを複合的に実施することが重要である。
■再エネの大量導入
 再エネの主力電源化は政府が目指すところでもあり、そのために、再エネを優先給電すること、そして柔軟な電力融通と系統連系の強化することにより、再エネの大量導入を促進することが必要である。
■情報・データの把握と公表
 最大の排出部門である発電所からの排出について着実な削減を実施する上で不可欠な情報を公開するべきである。特に、発電設備毎の設備利用率、発電電力量、排出量(CO2やその他の大気汚染物質)については、毎時ベースで公表するべきである。
 (2)議論の開始を

附属表Ⅰ 2012年以降の石炭火力発電所の新規建設計画

附属表Ⅱ 既存発電所数(電力調査統計と本レポートの比較)

  

※日本政府は、2019年4月23日に「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」(仮称)の案を発表しました。これについて書かれた江守正多さんの【気候変動】パリ協定に基づく日本の成長戦略の「本気度」(2019年5月6日)から、以下は引用です。
石炭低減の本気度

 この戦略の発表に先立って、有識者懇談会の座長案にあった「石炭火力は長期的に全廃する」という方針が、産業界の反対により「依存度を可能な限り引き下げる」といった表現に調整されたという報道があった

 筆者は率直に申し上げて、この調整は意味がわからない。期限を切らずに「長期的に」というだけならば、脱炭素を目指す以上、石炭火力はいつか全廃するに決まっているからだ。正確にいえば、CCS(CO2 Capture & Storage)技術を用いてCO2を地中に封じ込めるならば、その分は石炭火力(や他の火力)を使っても脱炭素と矛盾しないので、「CCSの無い石炭火力は長期的に全廃する」でよいのではないかと思う。

 おそらく、「長期的な全廃」を明示することが短中期的な石炭火力利用にも足かせになることを嫌がる人たちがいるということだろう。エネルギー価格の上昇が国際競争力に影響をもたらす製造業、高効率で「クリーンな」石炭火力の研究開発に注力してきたエネルギー産業、そして、新規の石炭火力を計画したり着工したりしている事業者などがそのように考えるのはよく理解できる。

 しかし、期限を切らない「長期的な全廃」も書き込めないほど腰が引けているようでは、この戦略の「脱炭素ビジョン」の本気度に、残念ながら疑いを差しはさまざるをえない。

日本社会が石炭と手を切るのは、経済的、技術的な問題にとどまらず、政治的、文化的な問題でもあり、想像以上に難しいことなのかもしれない。カナダのアルバータ州では、2030年までの脱石炭に先立ち、大手電力会社に補償金を支払っているそうだ。ちなみに、奴隷制が廃止された際も、奴隷所有者に補償があったという。日本の戦略は、そこまでの覚悟をもって石炭と手を切ろうという決断には程遠いものだ。

 なお、先ほど触れた「CCS付き石炭火力」を筆者は積極的に押しているわけではない。戦略の本文でも述べられているように、CCSは(石油増進回収をともなう場合を除き)単独では経済メリットが無い。経済メリットが生じるためには、「炭素に価格が付く」必要があるのだ。一方で、経団連は炭素税などのカーボンプライシング(炭素に価格が付くこと)に一貫して反対している。これはCCSの推進と矛盾するのではないだろうか。

 カーボンプライシングについての議論は経済学者に譲るが、今年1月に米国で27人のノーベル賞受賞者などを含む3500人以上の経済学者が、炭素税に支持を表明していることに留意しておきたい。


江守正多「コロナと気候変動、その共通点と相違点」③ 6月26日

みんな電力株式会社が運営するウェブサイト『ENECT(エネクト)』の「ひと(PEOPLE INTERVIEW))」に掲載されている江守正多さんと上田マリノさんの対話「コロナと気候変動、その共通点と相違点」(全3回)。第3回は2020年4月22日公開されました。
「これまで長く気候変動問題に関わってきた経験から、闇雲に不特定多数に問題を啓蒙するよりも、強い意志を持って動く3.5%の人々の可能性に辿り着かれたという江守先生。そういった思考の根底には、仮にコロナ騒動が世界を席巻しようが、その間だけ期せずして数%のCO2排出抑制が実現しようが、時間が限られている中、地球が危機に瀕しているという厳然たる事実はそのままそこにあるということがあります。再生可能エネルギーへの転換は、純粋にポジティブに社会をアップデートするもの。そしてリーマンショックでも実際に減った世界のCO2排出量は2%以下だったのが、今回のコロナ禍では年内で約8%下がると試算されています[世界エネ需要、20年は過去最大の減少幅に CO2排出も=IEA (ロイター[Reuters]2020年4月30日)]。ただそれは、世界各地でこれだけ経済を止めた結果であって、それが復活した時、社会はいったいどうなるか。問題は、ではそれをどう理解して、私たちがそこに関わることで、地球の破綻をどう抑止できるのか。」
 コロナで緊急事態宣言になったわけですが、それは非常にショッキングなことでした。でも同時に一方で、気候変動に関してもしばらく前から「非常事態宣言」が出ています。多くの海外の自治体、イギリスの議会まで含めて、日本でもいくつかの自治体が「気候非常事態」ということを宣言していました。
 国会議員も超党派で、「気候非常事態宣言を目指す議員連盟」ができて[2020年2月20日]、動き始めた矢先でした。問題は、その気候とコロナの「非常事態」はどう似ていて、何が違うのか?(笑)
 まずコロナの場合は、接触削減で医療システムを守ることを最優先課題としています。そのために「非常事態なので、お店は休んで、飲食店も20時まで」といった強硬措置がなされました。さらに財源のある東京のような自治体からは協力金も出て、「補償金を払うから、申し訳ないけど止めて」ということが起きています。
 気候についてそれと似ていることがあるかということで、石炭火力のことを考えました。今、日本の石炭火力の発電所新設問題が世界から批判され、それがようやく国内でも人々に少しずつ知られるようになってきました。この件は、僕は補償金を払ってでも止めるべきではないかと思います。
 いままでの常識で、しかも気候が非常事態でなければ、[石炭火力]投資を始めちゃって止めると大損だから「じゃあ建てて」となります。でも今は「非常事態なので、申し訳ないけど止めてください」と。ただ「その代わり、国が一部補償しますよ」と。
 これが一つ、非常事態下にあることの、わかりやすい例なんじゃないかと思うんです。
 ドイツは2038年までの脱石炭を決めて、石炭業界に補償金を支払うそうです。「これで変わってください」、「産業転換してください」ということです。そういうのが、本当なら気候非常事態を受けて起きなければいけないことなんだと思います。
 日本は今コロナの緊急事態をきっかけとして、社会において「ある課題を最優先させるということはどういうこと」か、そしてそれが「気候変動の場合、何をしなければいけないのか」ということを学ばなければなりません。それは我慢でなくて、「システムを変える判断において気候そのものの優先順位が上がる」という、そういうことなんじゃないかと思っています。
 僕は、気候変動に興味を持つためには、まず「対策=我慢」みたいなイメージを払拭することが大切な気がしています。
 ある国際的な社会調査で、世界平均で約2/3の人が「気候変動対策は生活の質を向上させる機会」と認識しているという結果があります。対して、日本人は約2/3が「生活の質に対する脅威である」と答えています。日本人はなぜか、気候変動対策は「我慢」だし、「コストがかかる」し、「便利さや快適さを諦めなければいけない」と捉えているんです。何よりまず、そのイメージを変えなくちゃいけないと思っています。
 それはもっとポジティブで、社会をアップデートするものであり、しかも日本がもし脱化石燃料ということを最終的に達成できた暁には、化石燃料の輸入に払ってきたお金が全部国内でまわるようになる。そういった大きな経済的なメリットもあるわけです。ただ、もちろん途中で投資は必要で、その時に誰が得する損するといった問題は出てきます。
 でもこれは最終的には、しごく前向きな「社会のアップデートである」と。
 そういう「我慢じゃない」という認識を広めることで、潜在的に気候変動に本質的な関心が持てるような方々に、もっとこの話に入ってきてもらいやすくなるということが、起きないといけない気がしています。
 今はまだ、気候変動の問題に関心がある人でも、「自分はすごく我慢します。だから皆さんも我慢しなさい」という感じの方々がいらっしゃるわけです。
 僕は環境省の管轄下にある研究所にいるわけですが、環境省はいわゆる「国民運動」という、10数年前に京都議定書が始まってクールビズが流行りだした頃から、環境省が普及啓発をして、国民一人一人に「できることで協力して欲しい」というメッセージを出してきて今にいたります
 それがある意味でうまくいってしまった。だから僕たちは、環境問題とは「一人一人が生活の中で気をつけること」という風に理解してしまっているのかもしれません。
 しかし本当は、そこには環境省が管轄していない、大きな「エネルギーの問題」があります。そこは経産省の管轄です。環境省は「気候変動対策として、皆さんエネルギーのチョイスをしましょう」ということを言わないんです。
 だから、学校での教育も、「こまめに電気を消しましょう」という話に終始しがちでした。それはそれでいいんですが、それだけで終わってしまうことがこれまで多かったんじゃないかなと思います。
上田 私はずっと、環境省が出してるCOOL CHOICEに「電気は再エネを選びましょう」というのがあればいいと思っていたし、できる時は提案もしてきました。それが今、「あ、だからないんだ」ってわかりました(笑)。
江守 だって、本来それは一番の大事なチョイスですよね。
 あとは、本当は「政治のチョイス」ってことを言いたいんですが、それは役所は当然そんなこと言えないので(笑)。だから僕も、それは個人の立場で発言する時に言うようにしています。

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江守正多「コロナと気候変動、その共通点と相違点」② 6月26日

みんな電力株式会社が運営するウェブサイト『ENECT(エネクト)』の「ひと(PEOPLE INTERVIEW))」に掲載されている江守正多さんと上田マリノさんの対話「コロナと気候変動、その共通点と相違点」(全3回)。第2回は2020年4月22日公開されました。
「コロナ対策である「接触削減」や「ステイホーム」の根底にあるのは、「我慢」という姿勢。しかし気候変動対策の本質はそうではないはず。CO2排出をより抑制することの理解で大切なのは、それがとても「前向きな社会システムのアップデート」にあること。ではそれには、広くあらゆる人に問題について語りかけることが有効なのか、または狙いを定め、ピンポイントの啓蒙活動が必要か。」以下は江守さんの発言部分から引用(アンダーラインは引用者)。
 最近BBCやガーディアンで紹介された論文[FUTURE By David Robson 14th May 2019]で、「社会の3.5%の人が参加すると、ムーヴメントは成功する」、「社会を変えることができる」というものがあります。
 逆に言うと問題は、「どうやって本質的な関心を持つ人を社会の中で3.5%つくるか」ということなのです。みんながちょっとずつ関心を持ち、ちょっとずつ省エネしたりプラスチックを使わないようにしても、この問題は本質的に解決されません。
 「本質的な関心を持つ人」というのは、例えば「気候変動が本当に、自分や大切な人の生命に関わるような脅威である」とすごく思った人。あるいは、「気候変動は将来世代や途上国の人々を、その人たちが全然CO2を出していないのにすごく苦しめるから、倫理的に許せない」と強く思った人。または、「気候変動を何とかするため、脱炭素化のためなら人生を賭けてその仕事をしよう」と思った人という、とにかく強烈なコミットメントを気候変動に持てる人口が3.5%になれば、社会は変わるんじゃないかと思うんです。
 例えばアメリカを見ていると、環境に特にアンテナを立てて強い発信をしているレオナルド・ディカプリオみたいな人がいます。またはイギリスでも、エクスティンクション・リベリオン[Extinction Rebellion、略称:XR]のデモで著名人が逮捕されたり、欧米ではそういうことがあります。でもそれは日本にはない。政治家も、そこまで強い関心を持っている方というのは、いるかどうかもわからない。
 環境NGOにそういう人はいますが、そもそも社会にあまり存在を知られていないし、知られていたとしても「自分とは関係のない、極端な考えの人たち」という風に思われてしまうんじゃないかということで、日本ではあまり広がっていません。
 去年はスウェーデンのグレタさんが広く知られましたが、学生のムーヴメントが起きて、世界で約700万人がグローバル・ストライキに参加したといいます。そのうちドイツでは百数十万人が参加したとのことで、それはドイツ人口の2%に近くて、3.5%も視野に入ってきます。
 対して日本では、参加者は5000人でした。全然足りてない(笑)。
 ですから3.5%の人たちがもし関心を持つと、政治システムに働きかけるでしょうし、経済システムに対しても然りで、そのことで制度やシステムが変わるでしょう。そうすると残りの96.5%の人たちは、別にそんなことに関心を持たなくても、仕組みが変わっちゃったので、もう勝手にC02を減らすしかなくなります。
 すべての電力会社が再エネ100%になれば、再エネを使う以外はなくなります。車も電気自動車しか売っていなければそれを買うことになるし、家を建てようと思ってZEH[ゼロ・エネルギー・ハウス]しかなければ、ZEHを建てることになります。
 そして、そういう社会システムにするために積極的に後押しをする、「本質的な興味を持った人」がある程度必要ということです。最近僕は、じゃあ「そこを目指すべきじゃないか」ということを考えています。
気候変動の話は単に「クリーンなエネルギーを使おう」でもなく、本質的な変化のためには、むしろそれとは関係のない。
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江守正多「コロナと気候変動、その共通点と相違点」① 6月26日

みんな電力株式会社が運営するウェブサイト『ENECT(エネクト)』の「ひと(PEOPLE INTERVIEW))」に掲載されている江守正多さんと上田マリノさんの対話「コロナと気候変動、その共通点と相違点」(全3回)。第1回は2020年4月22日公開されました。
「「気候変動対策の本質は、今コロナでやっている自粛やステイホームのような我慢ではない。」それよりも、積極的に活動して「脱炭素社会への移行をどう実現するか?」という、しごくポジティブな思考と姿勢が大切」。以下は江守さんの発言部分から引用(アンダーラインは引用者)。
 気候変動の場合は、あるポイントを超えると世界の破滅が一気に起きるわけではなく、少なくとも今のところ現象は散発的です。ある年はある場所で大雨だったり、別の場所では大干ばつ、森林火災などが起きていますが、一つ一つはその場所にとってのイベントです。もちろんそれらを総体的に見れば、かつては起こりえなかった頻度や激しさであることが見えてくるんですが、まだ全体的な激しさはジワジワと高まってきている状況です。
 つまり気候変動は、今回のコロナほどにはわかりやすくない。もちろん異常気象が直撃した場所ではそれはそれは悲惨なことになっているんですが、それが自分のところにない限りは他人事でいられる。ただそれがいつ自分のところにくるか、その可能性は高まっているし、世界全体を俯瞰して見ても増えていると。
 コロナは世界で一気にきたし、気をつけないと自分や自分の家族が本当に死んでしまうかもしれないという話なので、言い方は変かもしれませんが、「よりわかりやすい」という感じはしてます。
 コロナに関して「気候変動自体が直接的に影響を与えて起きたか」というと、そこは現時点ではわかっていないし、たぶん、そうは言えないと思います。もちろん間接的に、気候変動によって起きた生態系破壊みたいなことが、ウイルスが出てきた原因の一部であるかもしれません。でも、少なくとも僕にはそれはわかっていません。
 それよりももっと根っこのところで関係があるというか、人間活動による生態系破壊やグローバル経済といったものと、気候変動を起こしている、直接的にそれは化石燃料の燃焼なわけですが、それを止められない世界の経済システムというものがあります。
 前提の認識として、それらは同じものです。その意味において、コロナと気候変動の問題には共通項があります。
 その次に、私たちに「何ができる?」、「アクションを起こして意味があるのか?」ということがあります。それに関しては、コロナと気候変動で似ているところと違うところがあると思っています。
 まずコロナに関しては「個人の行動変容」ということが、問題全体において決定的な役目を果たします。それは今、「接触機会の8割削減」ということが言われるわけですが、個人が「出歩かない」、「人に会わない」、「人と近くで喋らない」、「手を洗う」、「消毒をする」ということを一人一人がやるということが、この問題を当面封じ込めることにおいて決定的に大切です。そしてそのために店を閉めないとならないし、じゃあ「補償はどうするんだ?」ということが議論になっています。
 そことの比較で考えると、気候変動で個人が当面できることというのは、コロナの接触削減に当たるものがCO2排出削減になります。それは自分の生活の中で、なるべくCO2を出さないようにするのは、個人の立場でできることだし、今までもそこを意識して行動してくださった方々はそれなりにいらっしゃったはずです。
 それはもちろん素晴らしいことなんですが、実は気候変動の場合の「生活からCO2の排出削減をする行動」というのは、コロナにおける接触削減ほど本質的な重要性を持たないんじゃないかと思うんです。つまり、気候変動の場合は「あと30年で世界の排出量を実質ゼロにしないといけない」という話なので、自分たちが行動の中で多少気をつけてエネルギーを使う量を減らしても、正直そんなに変わりません
 2009年のリーマンショックでも相当経済が縮小したと言いはしましたが、CO2の排出量は2%くらいしか減りませんでした。今だってものすごくみんなが経済活動を止めて、「半分くらいはCO2が減ってるんじゃないか」と思いがちですが、家にいても電気は使います。そしてスーパーに物を運ぶため、Amazonの倉庫へもトラックは走ってますし、電車は空でも動いているわけです。ですから、実はエネルギーを使う活動はそんなに減っていないと思います。
 となると「活動の縮小」は、残念ながら本質的な「気候変動を止める」ところまでの効果は持ちません。そこだけに頼るわけにはいかない。そこが、コロナとの大きな違いでもあると思います。
 気候変動の場合は、そこを超えて、まさにこれはみんな電力さんの事業とも大きく関わることになる部分と思いますが、最終的には「再エネ100%の社会を目指す」と。それには「人々がどんなに活動をしてもCO2が出ない」という、社会を「そういったエネルギーシステムに変えてしまう」、そこを目指しているわけです。
 個人としても、そこをめがけて考えて行動していくのが、これから非常に重要なことだと思っています。それは、自分が人知れず省エネをやって、自分は頑張ったので、「もうあとは偉い人に任せます」ということでは決してないんです。
 つまり、社会の中で化石燃料が減って再エネが増えるのを、どう「個人として後押し」できるのか。その発想で個人もアクションをしていくことが、今後とても重要です。
 気候変動の文脈で、我々が目指しているのは「脱炭素社会」であり、電力も交通も最終的に全部が脱炭素エネルギーになればいいと思っています。その状態はコロナに置き換えると、治療薬とかワクチンが開発されて普及した状態に相当するんじゃないかと思います。
 つまり、今は我慢をしてるけど、最終的には「治療薬とワクチンが開発されて、この状態を克服する」ことが出口なわけです。その点において、コロナの場合は「今我慢すること」がすごく大事であると。
 それに対して、気候変動の場合は「脱炭素社会になる」という明確な出口があります。みんなでそれを目指すことはもちろん大事で、でもその時に「我慢」はあまり本質的ではない。むしろ積極的に活動して、「脱炭素社会への移行をどう実現するか?」ということがとても重要になってきます。
 僕がここをすごく強調するのは、コロナ対応はすごく我慢、自粛する社会的ムードになっています。それでCO2も減っているとなると、「もっと我慢すれば温暖化も止まるのか?」という発想になるかもしれない。でも、その考え方は危険です。その発想では結局、「コロナでこれだけ我慢して、その後に温暖化のことなんて、もう考えるのも嫌だ」という風に、多くの人はなってしまうように思えます。
 そうではない。
 「気候変動対策の本質は、今コロナでやっているような我慢ではありませんよ」と。それはもっと前向きな話であって、新しいエネルギーシステムとか交通システムと、食料や都市のシステムに社会をアップデートしていく。それを「どう、みんなで実現できるか考えましょう」と。だからそこが我慢ではなく、しごく前向きでポジティブなのが、気候変動の話なんです。
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最終確認 地球温暖化は本当なんですよね? 6月23日

『世界』2020年5月号に掲載されている江守正多[えもりせいた]さんの「最終確認 地球温暖化は本当なんですよね? 疑うのはこれで終わりにしよう」を読みました。以下の項目に答えています(聞き手=編集部・渕上皓一朗さん)。
 1 「温暖化」という現象は、本当にあるのですか?
     2019年までの世界平均気温の推定
 過去2000年の世界平均気温は、木の年輪などをもとにした代替データからの復元によって、ある程度推定できます(図2[上図]が最新の推定値をグラフにしたものです)。最後の150年間に、著しい気温上昇がありますね。
 しばしば言われる「中世の温暖期」、14世紀~19世紀の「小氷期」(ミニ氷河期)も、確かにグラフから見て取ることができますが、いずれも以外と小さいことがわかります。いまは明らかに過去にない異常な上昇を見せています。

 2 「温暖化」は温室効果ガスのせい?
 
 3 「温暖化」はよくあること?

 4 気温が原因でCO2が結果?

 5 CO2だけが悪者なのでしょうか?

 6 異常気象は気候変動のせいなのでしょうか?

 7 温暖化についてわからないことがあるのですか?
ー日本における懐疑論は、2000年代に盛り上がり、原発事故でいったん沈静化したのち、近年の「グレタ・ショック」で再燃している印象があります。その間、IPCCは、「二酸化炭素が気温上昇の主な原因である」かどうかについて、第3次報告書(2001年)において「可能性が高い」(66%以上)だった評価を、「可能性が極めて高い」(95%以上)に上方修正しています。この間、どのような研究の進展があったのでしょうか。
 基本的には、30年前に第1次報告書(1990年)で言われたことが徐々に、より確かになってきた、ということだと理解しています。その意味で、何か基本的なところでで新たな発見があったとか、そういうことではありません。
 ではなぜ確度が上がったかといえば、先ほど言った人工衛星のような観測技術や、シミュレーションのためのコンピュータの発展もありますが、なにより30年刊で実際に温暖化のプロセスが進行したことが非常に大きいですね。その間に取られたデータによって、議論の確実性がより高まっていきました。

ーつまり、懐疑論について議論する段階はとうに終わっているということですね。では、このテーマについて未解明の事項はもはやない、ということでしょうか?
 いえ、むしろ、新たに喫緊の課題が持ち上がっています。
 それが近年特に話題になっている、いわゆる「テッピング・エレメント」という現象です。温度上昇がある臨界点を超えたとき、仮にその後上昇を止めたとしても、変化の進行を止めることができないような現象で、いま非常に懸念されています。[中略]
 …[一度大規模に始まってしまうと、もう後戻りできない不安定なモードに突入]…それが本当に起こるのか、起こるとすれば何℃で起こるか、起こったらどういう現象が起こるか、非常に大きな研究課題です。
 さらには、それらの現象が相互に連鎖する可能性も懸念されています。一つのスィッチが入ったら、それによる変化が次のスィッチを入れてしまい、負の変化が連鎖して止まらなくなってしまうかもしれない。「ホットハウス・アース」とよばれ、注目されています。
 もうひとつ、喫緊の課題とされているのが「カーボン・バジェット」(炭素予算)です。平均気温の上昇幅を1.5℃で抑えるためには、どれほど温室効果ガスの排出が許容されるのか。
 今回のIPCC特別報告書では「2050年頃にはCO2排出量を実質ゼロにしなくてはならない」としていますが、いまだ推計値にはかなりの幅があります。この確度をどの程度上げ、それをどのように具体的に政策に落とし込むか、今後の研究にかかっています。

……科学的成果の何をどこまで信用すればよいのか、専門家でないわれわれ市民には、つねに難しい判断を突き付けられる。これは、未曾有の感染症流行に直面しているいままさに、切実な問題としてわれわれにふりかかっている。科学者と市民のあるべき関係について考えるうえで、温暖化懐疑論に対する研究者たちの数十年にわたる誠実な対話の姿勢から学ぶべきことは大きい。……(聞き手=編集部・渕上皓一朗)
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※YouTube【20分でわかる!温暖化のホント】地球温暖化のリアル圧縮版①[国立環境研究所動画チャンネル]地球温暖化をテーマに、江守正多(国立環境研究所地球環境研究センター副センター長)が、中高生にもよくわかるように解説する全3回シリーズの初回。第1回は「地球温暖化のウソ?ホント?」をテーマに、温暖化にまつわるよくある疑問について、クイズ形式で、わかりやすくお話しします。2020年3月に生配信した「【ともだちに話したくなる!地球温暖化のリアル】第1回 地球温暖化のウソ?ホント?」から、解説部分をぎゅっと20分に圧縮したダイジェスト版です。全編字幕つきで、より見やすくなりました。地球温暖化の基本を短時間で理解するのにおすすめです。


※YouTube【ともだちに話したくなる!地球温暖化のリアル】第1回 地球温暖化のウソ?ホント?[国立環境研究所動画チャンネル]地球温暖化をテーマに、江守正多(地球環境研究センター副センター長)によるトーク【ともだちに話したくなる!地球温暖化のリアル】を生放送します。日時:2020年3月13日(金)15時~15時40分くらいまで全3回のうち、第1回「地球温暖化のウソ?ホント?」をお届けします。特に中学生、高校生がよくわかるようにお話しします。もちろん、それ以外の方のご視聴も歓迎します。


※YouTube【ともだちに話したくなる!地球温暖化のリアル】第2回 温暖化ってヤバいの?[国立環境研究所動画チャンネル]江守正多(地球環境研究センター副センター長)によるトーク【ともだちに話したくなる!地球温暖化のリアル】(全3回)のうち、第2回「温暖化ってヤバいの?」を生放送します。日時:2020年3月18日(水)15時~15時40分くらいまで


※YouTube【ともだちに話したくなる!地球温暖化のリアル】[国立環境研究所動画チャンネル]江守正多(地球環境研究センター副センター長)によるトーク【ともだちに話したくなる!地球温暖化のリアル】(全3回)の、第3回「じゃあ、どうしたらいいの?」を生放送します。日時:2020年3月23日(月)15時~15時40分くらいまで


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江守正多「組織的な温暖化懐疑論・否定論にご用心」(掲載誌 : 国際環境経済研究所HP内「オピニオン」 (2020))
英語圏における組織的な温暖化懐疑論・否定論
 人間活動を原因とする地球温暖化、気候変動をめぐっては、その科学や政策を妨害するための組織的な懐疑論・否定論のプロパガンダ活動が、英語圏を中心に活発に行われてきたことが知られている。
 米国の科学史家ナオミ・オレスケスらによる「世界を騙し続ける科学者たち」(原題:Merchants of Doubt) にその実態が詳しく記されている。タバコ、オゾンホール、地球温暖化といった問題に共通して、規制を妨害する側の戦略は、科学への疑いを作り出し、人々に「科学がまだ論争状態にある」と思わせることだ(manufactured controversy) 。そこでは、規制を嫌う企業が保守系シンクタンクに出資し、そこに繋がりを持った非主流派の科学者が懐疑論・否定論を展開し、保守系メディアがそれを社会に拡散している。
 他にも社会科学者がこの問題について実態解明を進めており、2015年にNature Climate Changeに掲載された論文 では、懐疑論・否定論の多くはエクソン・モービルとコーク・ファミリー財団という化石燃料企業やその関連組織が中心となって広められていることがネットワーク分析により明らかになっている。
 化石燃料企業の経営の視点から見れば、温室効果ガスの排出規制等が政策として導入されれば収益に著しい損失をもたらすのだから、それを妨害するためであればプロパガンダ活動に相当の出資をしても見合うというのが「合理的な」判断かもしれない。
 しかし、気候変動の危機の認識が社会において主流となってきた現在では、そのような妨害活動の実態を暴かれることが、企業にとって大きなレピュテーションリスクや訴訟リスクとして跳ね返ることになり、損得勘定は以前と変わってきているだろう。エクソン・モービルは、1970年代から人間活動による温暖化を科学的に理解していたにもかかわらず、対外的には温暖化は不確かという立場をとり続けてきたことが明らかになり、複数の訴訟を起こされている。
日本における懐疑論・否定論
 筆者は2007-2009年ごろの地球温暖化が社会的関心を集めた時期に、温暖化懐疑論・否定論とずいぶん議論する機会をもった。筆者の当時からの認識としては、日本国内において英語圏の資本による組織的な懐疑論・否定論プロパガンダの影響は小さいと思っていた。
 日本では、懐疑論・否定論に同調的な産業界寄りの論客がたまに現れるものの、エネルギー産業や鉄鋼業などの企業も、組織としては気候変動の科学をIPCCに基づき理解しようと努めており、規制に対抗するにしても、科学論争ではなく政策論争を争点としているようにみえた。
 これまでに筆者が議論した懐疑論・否定論の論客(多くは気候科学以外を専門とする大学教授) も、英語圏の懐疑論・否定論をよく引用するものの、筆者個人の印象では、英語圏の資本による組織的なプロパガンダとはつながっていないようにみえた。
GWPFの記事を組織的に紹介?」「内容はどこがおかしいのか?」「IPCC「1.5℃報告書」の欠陥?」(略)

懐疑論・否定論のリスク
 温暖化懐疑論・否定論は主流の科学との議論に勝つ必要はなく、「なにやら論争状態にあるらしい」と世間に思わせることができれば成功なのであるから、それに反論する活動に比べると圧倒的にノーリスクで有利な、「言ったもん勝ち」の面がある。
 一方、世間がそのようなプロパガンダ活動の存在を知れば、ある組織がその活動に関わっていると世間から見られることは、組織の評判を毀損するレピュテーションリスクになるだろう。懐疑論・否定論を見る側も、見せる側も、そのことをよく理解してほしいと思う。
 最後に、この記事を寄稿させてくださったIEEI[国際環境経済研究所]のオープンな姿勢に敬意を表し、心より感謝を申し上げる。

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※『下野新聞SOON』(Shimotsuke Original Online News)の特集「気候変貌 とちぎ・適応への模索」第6部 次世代への(下)に掲載された「江守正多氏に聞く 温暖化世界と危機感の差」です。
 世界の平均気温は産業革命以降、すでに1度温暖化し、いまも上昇を続けている。持続可能な社会を次世代に引き継ぐために、私たちは気候変動とどう向き合えばよいのだろう。国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の評価報告書の主執筆者を務める国立環境研究所地球環境研究センターの江守正多(えもりせいた)副センター長に話を聞いた。
 2015年に国連で採択された地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」では、「世界平均気温の上昇を産業化以前と比べて2度より十分低く抑え、さらに1.5度未満に抑える努力を追求する」という長期目標が合意されている。
 昨年10月には、上昇幅を1.5度に抑えた場合の影響などをまとめた国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の特別報告書が公表された。気候変動による悪影響のリスクは、1.5度温暖化した世界では現時点よりも顕著に大きくなり、2度ならさらに大きくなることなどが書かれている。これを受け、世界では「やはり1.5度で止めるべきだ」という議論がかなり盛り上がっていると感じている。
 現時点で、世界の平均気温はすでに1度上昇している。1.5度未満で止めようと考えると、産業革命以降、もう3分の2まで来てしまった。そして残り3分の1は、今のペースで温暖化が進めば、あと20年前後で到達する。
 それが、私たちの現在地を示している。
  
 1度の温暖化による悪影響や、1.5度でどのくらいひどくなるかについて、まだ日本国内ではそれほど深刻には捉えられていないかもしれない。
 だが、大きな被害が出ているのは、対応力が限られる途上国の人たち。特に干ばつが食糧危機をもたらすような乾燥地域の国々、海面上昇や高潮の影響が生活基盤を脅かすような沿岸域、あるいは小さい島国の人たちにとっては、かなり深刻だ。
 こうした国々の他にも、世界では人類とその文明にとって危機的な状況が迫っているという認識を持つような人たちが増えてきている。中でも非常に大きなグループが若者たちだ。
 学校を休んで気候変動対策を求める「学校ストライキ」が世界中で起きている。今年の3月15日には約150万人が参加し、5月24日にも世界規模でのアクションがあった。
 例えば2050年に気温上昇が1.5度を超え、自然災害や生態系の破壊、さらに社会的な混乱が本当に深刻になった時に、彼らは40代ぐらい。社会の真ん中でそうした状況を受け止めなければならない世代が本気で心配しているということだ。
 彼らは今、政治的な発言権がないため、学校を休むという、ちょっと極端なことをやって注目を集めながら、自分たちの声を大人たちに聞かせようとしている。
 これは、現在の世界における危機の認識としては象徴的な出来事だ。
 温暖化を1.5度未満に抑えるためには、世界の二酸化炭素(CO2)の排出量を今世紀半ばに「正味ゼロ」(人間活動による排出と吸収の差し引きゼロ)にするというのが目安になる。IPCCの「1.5度特別報告書」が出る前、先進諸国は「50年に1990年比80%以上削減」などといった長期目標を掲げていた。
 しかし、特別報告書が出て、英仏などが50年に正味ゼロを目指そうと議論を始めた。「80%削減」でもぎりぎりだったはずなのに、どうすればそれが可能になるのだろうか。
 英語で「think(シンク) outside(アウトサイド) the(ザ) box(ボックス)」という言い方がある。箱の外を考えるという意味だが、「80%削減」を議論するとき、暗黙に置いている前提があったはずだ。
 でも「正味ゼロ」が必要だとの議論になると、おそらく暗黙の前提の方が変化する。常識が変わるということだ。いまの常識で考えると不可能に見えるが、常識が変われば可能かもしれない。世界では、そのように考える人がだんだんと増えている。
  
 日本国内でも昨年の記録的な猛暑や西日本豪雨、非常に強い台風の上陸などで大きな被害が出た。
 ある気象災害が、その年に、その場所で起きたことは偶然と言えるが、気候変動が進めば、そうした災害が長期的に増えていくことは必然だ。
 実際に起きた大雨の例で見ると、もし温暖化していなければ大気中の水蒸気はもっと少ないので、そこまでの雨量にならなかったはずだ。その意味では、日本でも温暖化の影響の一部を私たちは見ていると考えてよいだろう。
 だが、昨年の報道などを見ていても、異常気象は非常に大きな話題にはなったが、「だから温暖化を止めましょう」という話はあまり盛り上がらなかったように思う。
 世界との危機感の差に関して、もし日本に特殊性があるとすれば、よく指摘されるのは「3・11」だ。東日本大震災があり、原発と放射能や、地震のリスクが日本人にとって非常に重く認識され、地球温暖化問題は後回しになってしまった面があるのかもしれない。
 ただ、気候変動に向き合う世界の潮流にぴんときていないと、ビジネス上の危機という問題も起きてくる。
 世界では気候変動対策を真剣にやらない産業には、投資が集まらないようになってきている。国際ルールや常識がどんどん変わっていく中で、ある時、世界の空気を読み、対策を取らざるを得なくなった時、これまで建ててしまった石炭火力発電所みたいな施設が、投資が回収できない「座礁資産」になるなどのリスクが出てきてしまう。
 現状は、無意識ではあっても変えたくない勢力と変えていきたい勢力がせめぎ合っている感じがする。
 脱炭素社会へ変えたいと考えている企業や自治体などでつくるネットワーク「気候変動イニシアティブ」など、いろんな団体の人たちが政府にアクションを求め、自分たちで成功の実例を作って、広めていく役割が期待される。でも、周りが止まっていれば、それで間に合うかは分からない。
 もたもたしていると、海外で脱炭素のイノベーション(技術革新)のようなことが起きて、それが日本の産業を破壊するような事態になる可能性もある。気候変動対策の重要性を、ビジネス面からもしっかりと考える時期に来ている。
  
 一方、適応に関しては昨年、とても象徴的だと感じたことがあった。
 全国の小中学校の教室に熱中症対策でエアコンを入れることになったという出来事だ。かつては夏は暑くても我慢して勉強して、夏休みに休めばいいじゃないか、という考え方だった。
 気候が変わることで、社会の常識が変わる。そう強く実感した。
 そんなふうに気候の変化をしっかり認識し、対応すること。そして予見し、備えることが、極めて重要である。
【ズーム】IPCC「1.5度特別報告書」 IPCCが昨年[2018]10月に公表した。現状では2040年前後に産業革命以降の世界平均気温の上昇幅が1.5度に達するとし、1.5度に抑えた場合と、2度になった場合との影響の比較も提示した。1.5度なら海面の上昇幅は2度に比べ約10センチ抑えられ、影響を受ける人は1千万人少ないと推定。サンゴ礁は1.5度なら70~90%、2度なら99%以上消失する恐れがあるなどと示した。
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※小西雅子(WWFジャパン[世界自然保護基金])「IPCC「1.5度特別報告書」COP24に向けて」(2018年11月20日)
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鼎信次郎「今世紀の排出が1000年先の未来を決める?! —ティッピングとは何か?」 6月20日

鼎信次郎さんの「今世紀の排出が1000年先の未来を決める?! —ティッピングとは何か?」。2016年11月21日東京大学伊藤国際学術センター伊藤謝恩ホールで行われた環境省環境研究総合推進費戦略的研究開発プロジェクトS-10公開シンポジウム『地球温暖化対策の長期目標を考える-パリ協定の「1.5°C」、「2°C」目標にどう向き合うか?』発表資料です。

 鼎信次郎

地球温暖化による様々なリスク
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ティッピングポイント(TP)とは?
 それまで小さく変化していたある物事が、突然急激に変化する時点を意味する。

ティッピングポイント(TP)とは?
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 地球温暖化研究では、地球の気候を構成する要素に質的かつ急速な変化が生じさせるしきい値(気温など)を指す。

ティッピングエレメント(TE)とは?
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 TE:TPを超えたときに発生しうる地球の気候システムを構成する要素。

ティッピングエレメントの発現可能性は?

ティッピングポイントを超える可能性があるティッピングエレメント
 ・北極海夏季海氷の消失
 ・アルプス氷河の消失
 ・サンゴ礁の白化
 ・グリーンランドと南極氷床の融解

北極海夏季海氷の消失
 通常は、北極海では毎年、春から夏にかけて海氷が縮小し、9月に最小になった後、再び冬にかけて海氷が拡大するという変化を繰り返している

●北極海夏季海氷の消失
 ・2040年代、 A1Bシナリオ(+1~2°C上昇)で夏季の海氷は、カナダとグリーンランド北岸沿いにのみ残る。

アルプス氷河の消失
 ・B1シナリオ(+2°C上昇)で、 2060年代までにアルプス氷河はほぼ消失する予測。

サンゴ礁の白化
 ・1.5°C・2.0°C上昇の場合どちらでもサンゴ礁の多くが白化
 ・サンゴへのストレス(海面上昇・ENSOイベントや熱帯低気圧の増加・外来種の増加など)は未考慮

グリーンランド氷床と南極氷床
 氷河:重力によって長期間に渡り緩やかに動く氷塊
 氷床:大陸規模(5万km2以上)の氷河

海面上昇と各要素の寄与

•2081~2100年における海面上昇量の予測:+0.26~0.82 [m] *1986-2005年を基準
 ・~2100年では海面上昇寄与は,熱膨張>(山岳)氷河>グリーンランド氷床>南極氷床
 ・2100年を超えた予測では,グリーンランド氷床の寄与が大きくなる可能性がある

グリーンランド氷床のティッピングポイント

大規模な海面上昇による影響(東京湾周辺)
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海面上昇でどこが浸水するの?
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 グリーンランド氷床が全融解し、7m海面上昇した場合(関東~東海地方)

海面上昇でどこが浸水するの?
 グリーンランド氷床が全融解し、 7m海面上昇した場合(関西~九州)

グリーンランド氷床と北極海夏季の海氷が、2100年までにそれぞれのティッピングポイントを超える確率はどの位なのだろうか?

2通りの目標気温(1.5°C, 2.0°C)と追加政策なし[BAU]の計3つのシナリオに対して,グリーンランド氷床と北極海夏季海氷が,2100年までにティッピングポイントを超える確率を推定

ティッピングポイントを超える確率
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本プロジェクト(ICA-RUS)で研究対象としているティッピングエレメント
 ・西南極氷床の安定性
 ・北大西洋熱塩循環と貧酸素水域の拡大
 ・メタンハイドレートの分解

西南極氷床の安定性

北大西洋熱塩循環と貧酸素水域の拡大
 ・温暖化により海洋中の酸素は1000年かけて30%程度減少すると簡易気候モデルが予測。
 ・表層、亜表層では水温変化の影響で酸素が減少
   → 酸素呼吸をする魚介類などが好む環境でなくなることで、生物生息域等に影響

【数千年~数万年スケールのティッピングエレメント】メタンハイドレートの分解
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 メタンハイドレートとは・・・低温かつ高圧の条件下でメタン分子が水分子に囲まれた氷状の化石燃料。次世代のエネルギーとして期待されている

【数千年~数万年スケールのティッピングエレメント】メタンハイドレートの分解
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 Q:酸化により海水中の溶存酸素が減少するが、どのくらいか?
 A:魚等が生息出来ない貧酸素域の拡大
 メタンハイドレート2600GtC(現在)から800GtCへ減少
 ・その放出により貧酸素域が拡大(北太平洋1000m深付近)
 ・大気CO2が200ppm程度上昇の可能性

本日のまとめ
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 ・地球温暖化による様々なリスクとして、ティッピングポイント・ティッピングエレメントを紹介。
 ・パリ合意の気温幅でも発現する可能性があるティッピングエレメント(北極海夏季海氷の消失、アルプス氷河の消失、サンゴ礁の白化、グリーンランドと南極氷床の融解)がある。
 ・何かしら気候変動政策(パリ合意など)をとらないと、発現可能性がかなり高くなるティッピングエレメントも存在。
 ・ただし、かなり不確実性が高く、まだまだ発展途上の研究であるため、科学的な根拠をつかむ研究が今後も必要。世界の温暖化研究へ寄与。


レントン、ロックストローム「気候のティッピングポイント 危険すぎる賭け」 6月19日

『世界』2020年5月号、100~105頁に掲載されているティモシー・レントン、ヨハン・ロックストローム 他「気候のティッピングポイント 危険すぎる賭け」は『Nature(2019年11月27日付)』に掲載された
Timothy M. Lenton,Johan Rockström,Owen Gaffney,Stefan Rahmstorf,Katherine Richardson,Will Steffen &Hans Joachim Schellnhuber「Climate tipping points — too risky to bet against The growing threat of abrupt and irreversible climate changes must compel political and economic action on emissions」の抄訳です。

気候のティッピングポイント 危険すぎる賭け
限界点が差し迫っている
 政治家や経済学者、そして一部の自然科学者の中には、地球システムが「ティッピングポイント」(地球の気候に不可避的な変化を起こす「臨界点」)に達する確率は低く、考えられないことだと信じてやまない人たちがいる。彼らは、アマゾンの熱帯雨林や西南極の氷床が消えてしまうような事態は、まず起きないと信じ込んでいるのだ。
 しかし今、このような出来事は彼らの想定よりはるかに「起こり得る」という証拠が、次々とあがっている。地球システムの変化が連鎖的に起こり、複数がティッピングポイントを超えれば、世界に長期間で不可避的な変化がもたらされることになる。
 そこで私たちは、地球システムがティッピングポイントを超える証拠をまとめ、我々が今もつ知識とのギャップをを確認し、どのようにすればこれらの出来事を止められるのか提言しようと決めた。人々がティッピングポイントについてより深く考えをめぐらせるようになれば、私たちの惑星に緊急事態が差し迫っていることに、多くの人が気づくはずだ。(100~101頁)
このままでは3℃上昇する
 ティッピングポイントの概念は、「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)で、20年前に導入された。
 当時は、温暖化で世界の平均気温が産業革命以前より5℃以上上昇した時にだけ、気候システムの「広範囲の乱れ」が、ティッピングポイントに達するととらえられていた。ところが、IPCCによる最新の二本の報告書(「1.5℃特別報告書2」2018年9月、「海洋と雪氷圏の気候変動に関する特別報告書」2019年9月)では、1℃~2℃の上昇でティッピングポイントを超えてしまう可能性が警告されている。
 2015年のパリ協定で、各国は世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃よる下回るようにするという目標を掲げた。しかし、現時点で約束されている温室効果ガスの排出削減を各国がもし実行したとしても、平均気温は最低でも3℃上昇するとみられている。気候上昇は1.5℃で抑えなければならず、これには緊急的な対応が必要だ。(101頁)
●氷床の崩壊

●生物圏の崩壊
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A:アマゾン熱帯雨林(頻繁な干ばつ)、B:北極海の海氷(面積の縮小)、C:大西洋の循環(速度低下)、D:北方林(森林火災の増加、害虫の乱れ)、F:サンゴ礁(広範囲の死滅)、G:グリーンランドの氷床(融解の加速)、H:永久凍土(融解)、I:西南極の氷床(融解の加速)、J:ウィルクス盆地(東南極氷床の融解)
地球規模のカスケイド効果
私たちが危惧する最も危機的事態は、地球がてぃっぴんぐぽいんとのカスケイド(ティッピングポイントが雪崩のように連続して発生すること)に近づくことだ。様々な地球システムが連鎖的にティッピングポイントを超えて崩壊すれば、世界は「ホットハウス・アース(温室地球)」状態になりかねない。(104頁)
Act now さあ、行動しよう
 臨界点の現状をみるだけで、私たちがいかに、地球という惑星の緊急事態に直面しているかということがわかる。ティッピングポイントを回避するために私たちに許された時間は、すでにゼロに向かって縮小していると言っても過言ではない。
 研究者らは、炭素排出量をゼロにできるのは短くても30年後だと言っている。危機的状況にあることは明らかだ。ティッピングポイントが起こることを、もしかしたら私たちは、すでにコントロールすることができない状態にあるのかもしれない。
 しかし唯一の救いは、ティッピングポイントを超えることによる損害の蓄積の割合は、まだある程度、私たちのコントロール下にあるかもしれないということだ。(105頁)

 気候問題に関して、かつて考えられていたよりも多い「ティッピングポイント(転換点)」に、わたしたちは近づきつつある──。こうした内容の論説を、ある科学者のグループが『Nature』に11月末に寄稿した。地球温暖化に歯止めをかけるためにわたしたちが実行すべきことは明確だが、もはや時間は限られてきている。
 社会正義について語る際に、ティッピングポイント(転換点)とは素晴らしいものである。例えば、ティッピングポイントとなる判例は世論を変える。
 ところがティッピングポイントは、生物種には破滅をもたらしかねない。事実、環境の激変は生物の個体数を危機的状況に追いやっている。気候変動の場合、科学者が視野に入れるようになったティッピングポイント、すなわち地球の気候に不可逆的な変化を起こす臨界点は、ひとつだけではなく数多くあるのだ。
 気候問題に関してかつて考えられていたよりも多い「9つのティッピングポイント」に、わたしたちは近づきつつある。さらにはそうしたティッピングポイントがもたらす影響に、わたしたちがすでに気づき始めている──。こうした内容の論説を、ある科学者のグループが『Nature』に11月末に寄稿した。
 「気候の不可逆的な変化を防ぐために残されている時間は、もはやゼロになったと言っても過言ではないに。それにもかかわらず、温室効果ガスの排出量実質ゼロを達成するまでの時間は「短くても30年はかかる」と研究者らは書いている。「わたしたちはそうした変化の発生を、もう止められないのかもしれない」というのだ。
 それでもわたしたちは、まだ被害を減らすために行動できる。わたしたちがとらなければならない方策はかつてなく明確だが、時間が尽きかけている。
 「半世紀後、わたしたちはいまの状況をどんなふうに振り返るのでしょうか。もっと持続可能性のある健やかな未来を何世代にもわたって築けたはずだったと悔やむのでしょうか」と、エクセター大学グローバルシステム研究所所長のティム・レントンは言う。「埋蔵量に限りがある化石燃料を使い続けることや、世界の終わりを受け入れるような行動はやめるべきです」
気候のティッピングポイントは、大きく3つカテゴリーに分類される
 1)氷 2)陸地 3)海

●個別の要素が相互に影響し、深刻さを増す
 このような複数のティッピングポイントは、別個に存在するわけではない。その多くは、互いに影響し、深刻さの度合いを増していく。
 その相互に関連する特徴から考えると、ティッピングポイントのモデル化は必然的に憶測を立てることになる。というのも気候変動の極めて複雑なシステムを完璧に捉えるのはとても無理だからだ。このためティッピングポイントのモデル化は、予測に不確実性を持ち込むことになる。
 従って、すべての研究者がティッピングポイントという考え方をとっているわけではない。ティッピングポイントという表現は、ふたつの世界を分けるある特定の数値すなわち閾値を示唆している。しかし実際には、閾値の前後がいつになるのか、必ずしも常に明確ではない。
最も重大なティッピングポイント
 「ティッピングポイントが生じつつあるらしい、ティッピングポイントは本当にあるらしいといった説の根拠はかなり信憑性が高いものです。このため正直な話、この説はなぜわたしたちがともに行動しなければならないのか、気候変動の解決のためにできることをしなければならないのかについての、もうひとつの極めて重大な理由になります」とパーストル[カーネギー気候ガヴァナンス・イニシアチヴのエグゼクティヴディレクター、ヤーノシュ・パーストル]は語る。
 「この『Nature』の記事には、なぜ本当の危機が、本当の緊急事態がいまここで発生しているのかについて、非常に多くのもっともな理由がまとめられています」
 とはいえ、まだ望みはある。早急に二酸化炭素排出の大幅な削減ができれば、海水面の上昇は遅くなる。世界中で、特にアマゾンで、森林伐採をやめなければならない。こうしたことが、文明社会を長期的に健全に保つ鍵となる。
 またティッピングポイントは必ずしも災難の兆候とは限らない。「社会領域では、ティッピングポイントが社会の発達につながっている場合も多いのです」とレントンは説明する。「例えば、再生可能エネルギー技術や電気自動車を採用する動きが加速しているのを、いまわたしたちは現実に目にしていると言えます」
 人々は目覚めつつあり、グレタ・トゥーンベリは日ごとに勢いを増す環境運動の先頭に立っている。政治家や資本家が気候変動という大惨事を加速させても、わたしたちのなかでより思慮深い人々は、気候変動の問題は変えられると考えている。その考えが、恐らく最も重大なティッピングポイントなのだろう。
ティッピングポイント、ティッピングエレメントとは?
   →鼎信次郎「今世紀の排出が1000年先の未来を決める?! —ティッピングとは何か?」6月20日記事

山本良一『気候危機』 5月27日

山本良一『気候危機』(岩波ブックレット1016、2020年1月)を読みました。

気候変動から気候危機へ――。スウェーデンの一五歳の少女の訴えが世界の若者を動かし、世界各地の自治体や国も次々に「気候非常事態」を宣言し始めた。平均気温上昇を一・五℃以内に抑えることは可能か。パリ協定の本格始動を機に、科学者の立場から問題の本質と最新の科学の知見を押さえつつ、我々はいま何をすべきかを説く。
同書表紙帯から
気候崩壊、文明崩壊を防ぐための時間的猶予はゼロに近づいている
スウェーデンの1少女の訴えが若者たちを動かし、世界各地に自治体や国も続々と「気候非常事態宣言」を発し始めた。
▼現在の気候危機は、人間活動が原因の温暖化ガスの大量排出が主原因であること。
▼地球温暖化により、熱波、豪雨、干ばつなどの極端気象の増加、激化が起こっていること。
▼世界の平均気温の上昇を工業化以前と比べて1.5℃未満に抑えなければならないこと。
▼早ければ2030年、遅くとも2050年までに、カーボンニュートラルな社会を実現させること。

山本良一『気候危機』目次
はじめに
 2018年8月からの1年は、世界を揺るがした1年であった。8月20日に15歳の少女グレタ・トゥンベリがスウェーデンの国会前で気候危機の根本的な解決を求めて1人でストライキを始めたことから、それは始まった。当時、各国の地方自治体の中には「気候非常事態宣言」(Climate Emergency Declaration = CED)を議決していたところもあったが、その数は限られていた。ところが、極端な気象の頻発と続々と公表される気候危機や環境危機に関する報告書に背中を押されて、気候ストライキをする若者と気候非常事態宣言をする自治体の数は爆発的に拡大していったのである。これはまさに「革命」と呼ぶに値する。
……「気候非常事態宣言」は「火事だ!」という警報に相当する。地球には脱出口はなく、人間活動起源の温暖化ガスによる地球温暖化はたとえ排出量をゼロにしても1000年は継続することを考えると、ただちに全員で排出量を削減し(消火)、すでに現れ始めている極端な気象現象に対応しなければならない。/筆者は2018年12月に”気候非常事態を宣言し、動員計画を立案せよ”という解説をまとめ、世界の気候非常事態宣言運動を日本に紹介した。……

第1章 革命前夜1――温暖化の科学と文明の持続可能性
 温暖化の科学の基本
 温暖化は人為起源の温暖化ガスによって生じる
 放射強制力
 CO2をどれくらい削減しなければならないのか
 地球温暖化国際交渉の歴史
 IPCCの1.5℃特別報告書
 近代文明の持続不可能性
 アントロポセン(Anthropocene,人新世)
 人類の生命維持システム
 ドーナツ経済の定量的検討
 科学者の人類への警告

第2章 革命前夜2――極端気象と気候変動
 2018年の気候-世界気象機関の報告書
 フューチャー・アースの10の洞察
 2019年の気候
 極端気象と気候変動-要因分析(EA)とは
 極端気象の要因分析の最近の成果
 要因分析の信頼性
 日本の極端気象に対するEA
 気候工学(ジオエンジニアリング)の可能性と問題点
 環境と気候は非常事態なのか
 科学的知見をどのように利用するか

第3章 革命勃発-気候ストライキ始まる
 グレタのダボス会議でのスピーチ[2019年1月]
 気候ストライキに対する科学者の支持表明

第4章 自治体や国家が動く――気候非常事態を宣言し動員計画を立案する
 CED[気候非常事態宣言]の歴史
 カナダにおける気候非常事態宣言
 アメリカにおける気候非常事態宣言
 オーストラリアにおける気候非常事態宣言
 英国における気候非常事態宣言
 国家の気候非常事態宣言
 気候非常事態宣言の拡大
 遅れている日本の対応
 気候非常事態宣言の最新動向
 2019年9月という画期
 グレタの"How dare you"スピーチ [2019年9月23日]
 壱岐市の気候非常事態宣言

あとがき

【資料編】
日本学術会議会長談話 「地球温暖化」への取組に関する緊急メッセージ[2019年9月19日]
1 人類生存の基礎をもたらしうる「地球温暖化」は確実に進行しています。
2 「地球温暖化」抑制のための国際・国内の連携強化を迅速に進めねばなりません。
3 「地球温暖化」抑制には人類の生存基盤としての大気保全と水・エネルギー・食料の総合的管理が必要です。
4 陸域・海洋の生態系は人類を含む生命圏維持の前提であり、生態系の保全は「地球温暖化」抑制にも重要な役割を果たしています。
5 将来世代のための新しい政治・社会システムへの変革は、早急に必要です。
気候非常事態宣言(壱岐市) [2019年9月25日]
1 気候変動の非常事態に関する市民への周知啓発に努め、全市民が、家庭生活、社会生活、産業活動において、省エネルギーの推進と併せて、Reduce(リデュース・ごみの排出抑制)、Reuse(リユース・再利用)、Recycle(リサイクル・再資源化)を徹底するとともに、消費活動におけるRefuse(リフューズ・ごみの発生回避)にも積極的に取り組むように働きかけます。特に、海洋汚染の原因となるプラスチックごみについて、4Rの徹底に取り組みます。
2 2050年までに、市内で利用するエネルギーを、化石燃料から、太陽光や風力などの地域資源に由来する再生可能エネルギーに完全移行できるよう、民間企業などとの連携した取組をさらに加速させます。
3 森林の適正な管理により、温室効果ガスの排出抑制に取り組むとともに、森林、里山、河川、海の良好な自然循環を実現します。
4 日本政府や他の地方自治体に、「気候非常事態宣言」についての連携を広く呼びかけます。
気候非常事態宣言に関する決議(鎌倉市議会)  [2019年10月4日]
1 「気候危機」が迫っている実態を全力で市民に周知する。
2 温室効果ガスのゼロエミッションを達成することを目標とする。
3 気候変動の「緩和」と「適応」、「エシカル消費」の推進策を立案、実施する。
4 各行政機関・関係諸団体等と連携した取り組みを市民とともに広げる。

※「鎌倉市、日本で2番目の気候非常事態宣言!
(環境メールニュース2019.10.09エダヒロ・ライブラリーイーズ未来共創フォーラムから)
気候非常事態宣言は、特に形式が決まっているわけではありませんが、大きく2つの部分から構成することが多いようです。
(1)気候危機の現状認識、および其の認識が科学に基づいていること
(2)自分たちの自治体が取り組むこと(3~5つぐらいが多いようです)
壱岐市や鎌倉市の例を見ていただいてもわかるように、簡潔に、現状認識+非常事態であること+自分たちの取り組みを宣言するというものです。
世界ではすでに1000を超える自治体が気候非常事態宣言を出しています。日本でも多くの自治体が気候非常事態宣言を出し、自治体としてできることを進めつつ、住民や他の自治体にも行動を呼びかける動きが拡がることを強く願っています。
「前例」がでてきたので、働きかけもしやすくなってきたと思います。このメールニュースの内容などもよかったら使っていただき、世の中の動きと他の自治体の動きを伝えて、宣言を出すよう、ぜひご自分の自治体にも働きかけてください!

「鎌倉市紀行非常事態宣言」(2020年2月7日)の表明について(鎌倉市HP)
「鎌倉市気候非常事態宣言」を表明します
気候変動に起因する異常気象により、今、地球は危機的な状況にあります。このような危機に対し、本市では、第3次総合計画第4期基本計画実施計画において、気候変動対策としての側面にも注力し、重要な5つの視点のうち2つを「レジリエンスのまち」、「環境負荷低減のまち」としています。
市は、気候変動の危機に、組織一丸となり、横断的に取り組むことを明確にし、ここに「鎌倉市気候非常事態宣言」を表明します。

  鎌倉市気候非常事態宣言(PDF:318KB) 
今、地球はかつてないほどの危機に瀕しています。
世界各地で、猛暑、干ばつ、集中豪雨や超大型台風等の異常気象による甚大な被害が発生し、私たち人類の生命を脅かしています。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書によると、気候システムの温暖化は疑う余地がないこと、自然的要因だけでなく人間による影響が近年の温暖化の支配的な要因であった可能性が極めて高いこと、気候変動はすべての大陸と海洋にわたり、自然及び人間社会に影響を与えていること、温室効果ガスの継続的な排出は、更なる温暖化と気候システムの全ての要素に長期にわたる変化をもたらし、それにより、人々や生態系にとって深刻で広範囲にわたる影響を生じる可能性が高まるとされています。
この危機に対処するため、世界では「脱炭素」社会を目指した動きが加速しています。

この地球に生きるものは、誰も気候変動の影響から逃れることはできません。しかし、未来の地球のためにできることがあります。
地球の危機、人類の危機を救うことができるのは、私たち一人ひとりの行動です。

本市は、SDGs未来都市として、地球温暖化による気候変動の対策に注力して持続可能な社会を実現するため、ここに気候非常事態であることを宣言します。

1 気候危機の現状について市民や事業者と情報を共有し、協働して全力で気候変動対策に取り組みます。
2 2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにすることを目指します。
3 市民の命を守るため、気候変動の適応策として風水害対策等を強化します。

みらいの地球のために脱炭素を目指す「緩和策」と今ある危機に対応する「適応策」を進めます。
             令和2年(2020年)2月7日 鎌倉市長 松尾崇

ひとりひとりの行動で、地球の未来を守りましょう!
★シャワーはこまめに止めましょう
→シャワーは1分間に12リットルの水が流れます
★何でも流しに捨てず、水を汚さない工夫をしましょう
→食べ残しや食器に付いた食べカスなどをそのまま流すことは海や川の水質汚濁の原因になります
★省エネ運転を心がけましょう。ちょっとした気づかいが、ガソリンの節約や二酸化炭素の排出抑制につながります
→エコドライブのすすめ!
★レジ袋は受け取らず、買い物袋を持ち歩く習慣をつけましょう
→レジ袋を全く受け取らないと1年間で3.36kgのレジ袋を節約できます
★ごみの分別出しを徹底し、資源化できるようにしましょう
→ごみの分け方・出し方

本書全体の主題である「気候危機」と「気候の非常事態」についてのわたしの意見。
人間社会の持続可能性のためにも、気候変化をちいさくくいとめるためにも、人間社会の生産・消費活動を、これまであたりまえだったものから、ちがったものに変えていく必要がある。これまでの「通常」(いわゆるbusiness as usual)のままつづけてはいけないという意味で、「非常」なのかもしれない。
しかし、emergencyというのはうまくないと思う。とくに日本語表現を「緊急」とするとまずいと思う。気候変化対策は、さきのばしにしてはいけない(30年後を待たず、ことしからとりかかるべき)という意味では「緊急」と言ってもよいのだが、各個人にとって、一生あるいは一世代の時間規模でつづける必要があることであり、「緊急」の態勢をはてしなくつづけようとすると無理が生じると思うのだ。「非常」ならば、時間規模を限定することばがないので、「緊急」よりはよい。しかし、「非常事態」というと、なにかひとつの種類の危険を避けることに集中するべきでほかのことは軽視してもよい、という感覚になりがちだと思う。たとえば、感染症の緊急事態だと、プラスチックなどの使い捨てはむしろ奨励されがちだ。また、環境の緊急事態を理由として人権が弾圧されるおそれもある。気候の緊急事態として人びとの関心を集中させると、ほかの環境要素が軽視されるおそれがある。たとえば、二酸化炭素を排出しない太陽光発電をふやすために自然生態系を破壊するようなことが奨励されるおそれがある。
このように考えて、わたしは、いまの状況を「気候の非常事態」だというのはまずいと思う。「地球環境の非常事態」のほうが相対的にはよいが、これも自分では使いたくない。他方、「気候の危機(crisis)」だというのは(気候自身が危機にあるのではなく、人間社会が気候との相互作用のせいで危機におちいっているという意味がわかっていれば)使える表現だと思う。(ただし「地球温暖化」と言ってきたものごとを「気候危機」と単純に言いかえればよいというものではない。)


ナオミ・クライン『これがすべてを変える』(下) 3月30日

カナダのジャーナリスト、ナオミ・クライン著『This Changes Everything: Capitalism vs. The Climate』(2014)の全訳、日本語版です。訳者は幾島幸子さん、荒井雅子さんです。(上)(下)2巻で639頁あります(岩波書店、2017年)。

ナオミ・クライン『これがすべてを変える 資本主義 vs. 気候変動』下巻目次
第7章 救世主はいない -環境にやさしい億万長者は人類を救わない-
 億万長者と破れた夢 
 約束ではなく、単なる「意思表示」
 風前の灯のアース・チャレンジ
 規制回避のための戦略?

第8章 太陽光を遮る -汚染問題の解決法は……汚染?-
 「ゾッとすること」への準備
 うまく行かないはずなどない
 気候変動のように、火山も分け隔てする
 歴史は教え、警告する
 ショック・ドクトリンとしての地球工学
 地球という怪物
 本当にプランAを試したのか?
 宇宙飛行士の視点


第三部 何かを始める
第9章 「抵抗地帯」(ブロケディア)-気候正義の新たな戦士-
 ようこそ、「抵抗地帯」(ブロケディア)へ
 「クライメート・チェンジ作戦」
 世界が犠牲区域に
 敵地で身動きならない
 BP[旧ブリティッシュ・ペトロリアム]への不信
 大事故の教訓
 予防原則の復活

第10章 愛がこの場所を救う -民主主義、投資撤退、これまでの勝利-
 愛と水をめぐって
 ここまでの勝利
 化石燃料からの脱却 -ダイベストメント[投資撤退]運動
 民主主義の危機
 化石化した民主主義を越えて

第11章 ほかにどんな援軍が? -先住民の権利、世界を守る力-
 最後の防衛線
 力対権利
 「条約を守れ」
 選択肢の欠如

第12章 空を共有する -大気という共有資産(コモンズ)、気候債務の返済-
 太陽が顔を出す
 投資撤退だけでなく、再投資を
 地元の債務から地球規模での債務の返済へ
 バランスを変える

第13章 命を再生する権利 -採掘から再興へ-
 水中の流産
 「年取った男たちの住む世界」
 「中は空っぽ」
 温暖化する世界で姿を消す幼い者たち
 休息期間
 命の復活

終章 跳躍の年 -不可能を成し遂げるために残されたぎりぎりの時間-
 やり残された解放の仕事
 突然、誰もが

訳者あとがき

原注

索引
訳者あとがき
 本書は出版直後から大きな反響を呼んでベストセラーになり、すでに二五以上の言語に翻訳されている。『ニューヨークタイムズ・ブックレビュー』は「あふれんばかりの熱意と重大性をもつ本書は、論評が不可能なほどだ。……『沈黙の春』以来、地球環境に関してこれほど重要で議論を呼ぶ本は存在しなかった」と評し、インドの作家アルンダティ・ロイは「ナオミ・クラインは今日の最大かつ最も差し迫った問題に、その鋭く強靱、かつきめ細かな知性をもって取り組んでいる。……彼女は今日の世界で最もインスピレーションに富んだ政治思想家の一人だ」と評している。
  タイトルのThis Changes Everythingには二つの意味がある。ひとつは、私たちが今のままの生活を続けていけば、気候変動がこの世界の「すべてを変えてしまう」というネガティブな意味。そしてもうひとつは、それを回避するためには、「すべてを変える」ほど根源的な変革が必要だというポジティブな意味である。本書は、九七%の科学者が認めている気候変動という事象がまさに〝今、ここにある〟危機だという認識に立ったうえで、この問題の根本原因が成長神話にがんじがらめになった資本主義のシステムにこそあり、それを解決するには現行の経済システムとそれを支えているイデオロギーを根底から変える以外に方法はない、という結論を導き出している。(625~626頁)

 本書の前半(第一部・第二部)では、なぜここまで気候変動対策が遅れをとってしまったのかについての詳細にわたる検証が行われると同時に、気候変動を否定する右派の会議や、人工的に気候システムに介入して温暖化を緩和するという地球工学の専門家の会議への潜入ルポもあり、また化石燃料脱却をブチ上げる起業家ブランソンの言行不一致や、環境保護を掲げながら化石燃料企業と結託する大規模環境保護団体の偽善も暴かれる。まさにジャーナリストとしての面目躍如である。

 だが圧巻はむしろ後半、第三部以降であろう。気候変動対策を先送りし、問題を深刻化させてきた規制緩和型資本主義システムの暗部を、これでもかとあぶり出す前半の悲観的なトーンから一転して、ここでは化石燃料を基盤にした経済・社会のあり方そのものにノーを突きつける草の根抵抗運動が世界各地で展開し、拡大しつつあることを、これまた綿密な現地取材に基づき、希望の兆しとして報告している。近年、北米を中心にブームになっているオイルサンド採掘やフラッキング(水圧破砕)による天然ガス・石油の抽出は、従来の化石燃料採掘にも増して温室効果ガスを多く排出し、有毒物質による環境汚染の危険も大きい。自国カナダでの先住民を中心とする抵抗運動をはじめ、北米各地で化石燃料経済からの脱却を求めてパイプライン建設やオイルサンド掘削リグ用の巨大装置の輸送、採掘された石炭を輸出するためのターミナル建設などを実力で阻止するために闘う地域住民の姿が共感をもって描かれると同時に、これらの運動が点ではなく、SNSなどを通じて相互に結びついてネットワークを形成し、化石燃料企業にとって大きな脅威となりつつあることも強調されている。また掘削現場での闘い以外にも、化石燃料企業から投資を撤退するダイベストメント運動が急速に広がっていることも明るい材料のひとつとして取り上げられている。(626~627頁)

  (レイバーネット日本『週刊本の発見』第28回、2017年10月26日掲載)
 本書の最も重要な論点は、地球温暖化の危機が、同時に歴史的なチャンスにもなりうるという主張にある。これまで私たちは、経済成長こそ、人類を貧困から解放し、幸福をもたらす万能薬だと説明されてきた。だが、新自由主義の暴走の果てに到達したのは、少数の人々が富を独占する格差社会と、投機マネーによるバブル経済、そして地球温暖化による破滅の危機である。この悪循環を断ち切るためには、もう一度、市場に対する規制を強化すると同時に、巨額の公共投資(地球のためのマーシャル・プラン)を通じて、再生可能エネルギーを基盤とする定常経済へと移行しなければならない。そしてそれは「石器時代への回帰」を意味するのではなく、むしろ人々の生活の質を向上させ、南北格差を是正し、民主主義を土台から再構築するチャンスにもなりうるというのである。
 一般に成長神話や消費主義に囚われた現代人にとって、ポスト資本主義の未来を想像するよりも、「世界の終わり」を想像する方がたやすいと言われる。だがもし私たちが、一人の人間として、あるいは、子供をもつ親として、未来への責任を果たそうとするならば、いまこそ批判的想像力を発揮し、もう一つの世界の実現に向けて動きださなければならない。反グローバリゼーション運動の論客からクライメイト・ジャスティス運動の旗手へと成長したナオミ・クラインの渾身のメッセージである。

ナオミ・クライン『これがすべてを変える』(上) 3月29日

カナダのジャーナリスト、ナオミ・クライン著『This Changes Everything: Capitalism vs. The Climate』(2014)の全訳、日本語版です。訳者は幾島幸子さん、荒井雅子さんで(上)(下)2巻で639頁あります(岩波書店、2017年)。

Climate change isn’t just another issue to be neatly filed between taxes and health care. It’s an alarm that calls us to fix an economic system that is already failing us in many ways. Klein meticulously builds the case for how massively reducing our greenhouse emissions is our best chance to simultaneously reduce gaping inequalities, re-imagine our broken democracies, and rebuild our gutted local economies. She exposes the ideological desperation of the climate-change deniers, the messianic delusions of the would-be geoengineers, and the tragic defeatism of too many mainstream green initiatives. And she demonstrates precisely why the market has not—and cannot—fix the climate crisis but will instead make things worse, with ever more extreme and ecologically damaging extraction methods, accompanied by rampant disaster capitalism.
 
Klein argues that the changes to our relationship with nature and one another that are required to respond to the climate crisis humanely should not be viewed as grim penance, but rather as a kind of gift—a catalyst to transform broken economic and cultural priorities and to heal long-festering historical wounds. And she documents the inspiring movements that have already begun this process: communities that are not just refusing to be sites of further fossil fuel extraction but are building the next, regeneration-based economies right now.
 
Forget everything you think you know about global warming. It’s not about carbon—it’s about capitalism. The most profound threat to humanity is the war our economic model is waging against life on earth. Yet we can seize this existential crisis to transform our failed economic system into something radically better.
 
Klein exposes the myths that are clouding the climate debate. We have been told the market will save us, when in fact the addiction to profit and growth is digging us in deeper every day. We have been told it’s impossible to get off fossil fuels when in fact we know exactly how to do it—it just requires breaking every rule in the “free-market” playbook: reining in corporate power, rebuilding local economies, and reclaiming our democracies.
 
We have also been told that humanity is too greedy and selfish to rise to this challenge. In fact, all around the world, the fight for the next economy and against reckless extraction is already succeeding in ways both surprising and inspiring.
 
Can we pull off these changes in time? Nothing is certain. Nothing except that climate change changes everything. And for a very brief time, the nature of that change is still up to us.
 
Either we leap—or we sink.
 

ナオミ・クライン『これがすべてを変える 資本主義 vs. 気候変動』上巻目次
序章 気候変動によってすべてが変わる
 民衆によるショック
 最悪のタイミング
 エネルギーだけの問題ではない
 否定からの脱却

第一部 最悪のタイミング
第1章 右派は正しい(ライト・イズ・ライト)-気候変動にはらまれた大変革のパワー
 受け入れられない真実
 カネにまつわる話
 プランB -温暖化する世界で金を儲けろ
 ゾッとするほど冷たい世界
 保守派への迎合
 世界観の闘い

第2章 ホットマネー -自由市場原理主義はいかにして地球の温暖化を促進したか-
 気候より商売優先
 壁が崩壊し、排出量は上昇する
 貿易と気候 -二つの孤立
 安い労働力と汚いエネルギーのパッケージ取引
 自ら墓穴を掘る運動
 拡大から安定へ
 思いやりのある経済を育て、思いやりのない経済を縮小する

第3章 民間から公共へ -新しい経済への移行を阻むイデオロギー的障害を克服する-
 公的領域の再建と刷新
 汚染者負担

第4章 計画と禁止 -見えない手を叩き、運動を起こす-
 雇用創出のための計画
 電力/権力(パワー)のための計画
 あのドイツの奇跡について……
 「ノー」の言い方を忘れない
 「問題」ではなく枠組み

第5章 採取/搾取主義を超えて -内なる気候変動否定派と対峙する-
 究極の採取/搾取主義的関係
 左派の採取/搾取主義
 聞き逃されてきたいくつかの警告


第二部 魔術的思考
第6章 根(ルーツ)ではなく実(フルーツ)-大企業と大規模環境保護団体(ビッグ・グリーン)の破滅的な一体化-
 環境法の黄金時代
 一九八〇年代の急転換
 ビジネスと手を組む環境保護運動
 消費者パワーで解決?
 フラッキングと燃える橋
 汚染の取引

原注
塚原東吾さん(神戸大学教授)書評『週刊読書人』ウェブ
   週刊読書人掲載:2017年11月24日(第3216号)
 驚異の元凶は何か
「環境正義運動」が目指すもの 
 温暖化による危機を多面的に描き出す

   朝⽇新聞掲載:2017年10月15日
 「これがすべてを変える」書評 経済のあり方根本から新しく

レイチェル・イグノトフスキー『プラネットアース イラストで学ぶ生態系のしくみ』 2月6日

レイチェル・イグノトフスキー『プラネットアース イラストで学ぶ生態系のしくみ』(創元社、2019年12月)を読みました。小学校5年生以上で習う主な漢字にルビをふってあるということですが、高等学校の「生物基礎」級の内容です。バイオーム(生物群系)地図の理解が第一歩でしょうか?
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プラネットアース イラストで学ぶ生態系のしくみ』目次
 はじめに
 生態学の構成レベル
 バイオーム地図
   img-200206215059-0001img-200206215059-0002
 生態系とは何か
 エネルギーの流れ
 生物の分類
 生物どうしのかかわり合い
 健全な生態系
 遷移
 微小生態系
 顕微鏡で見た生態系

 北アメリカ大陸
   img-200206210152-0001
  セコイアの森
  北部グレートプレーンズ
  フロリダのマングローブ湿原
  モハーヴェ砂漠

 南アメリカ大陸
   img-200206210152-0003
  アマゾン熱帯雨林
  アタカマ砂漠
  パンパ
  熱帯アンデス

 ヨーロッパ
   img-200206210152-0004
  ブリテン諸島の湿原
  地中海沿岸
  アルプス

 アジア
   img-200206210152-0005
  北東シベリアのタイガ
  インドシナ半島のマングローブ
  東モンゴルのステップ
  ヒマラヤ山脈

 アフリカ大陸
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  コンゴの熱帯雨林
  アフリカのサバンナ
  サハラ砂漠
  ケープ半島

 オーストラレイシア
   img-200206210152-0007
  オーストラリアのサバンナ
  タスマニアの温帯雨林
  グレートバリアリーフ

 極地方の氷床
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  北極圏
  南極のツンドラ

 水圏の生態系
  外洋
  深海
  河川
  湖沼

 自然の循環
  炭素の循環
  窒素の循環
  リンの循環
  水の循環
  植物

 人類と地球
  農場
  都市
  人類が自然に与えた影響
  気候変動
  地球を守るために

 用語集
 参考資料
 感謝のことば
 著者について
 索引

※NHKのEテレ(毎週火曜日午後2:40〜3:00)で放送している『NHK高校講座・生物基礎』の第32回「世界のバイオーム①〜気候と生物の適応〜」(講師:宇田川麻由さん)、第33回「世界のバイオーム②〜さまざまなバイオーム〜」(講師:宇田川麻由さん)、第34回「日本のバイオーム」(講師:市石博さん)、第35回「生態系でのエネルギーと物質の流れ」(講師:関口伸一さん)の各回ページには「動画」、「文字と画像で見る」、「学習メモ」(PDF)、「理解度チェック」があり、至れり尽くせりです。
T_2019_seibutsukiso

※darie1228さんの『高校生物をまとめてみる
    1.森林の構造、2.光合成曲線、3.生産構造図、4.植生の遷移
  【生物基礎】第4章植生の多様性と分布(バイオーム)
    1.世界のバイオーム、2.日本のバイオーム、3.ラウンケルの生活形
  【生物基礎】第5章生態系とその保全(炭素の循環・窒素の循環)
    1.生態系、2.炭素の循環、3.窒素の循環、4.物質収支
  【生物基礎】第5章生態系とその保全(環境問題)
    1.地球温暖化、2.富栄養化、3.生物濃縮、4.自然浄化、5.外来生物

太陽光発電の環境配慮ガイドライン(案)パブコメ 1月21日

2月5日追記)小川町プリムローズゴルフ場跡地(約86ヘクタール)にメガソーラー(発電設備容量 39,600kW)が計画されており、2020年1月18日には業者により環境影響調査計画書の説明会が開催されました。NPOおがわ町自然エネルギーファームは業者に対して意見書提出(2月21日まで)を呼びかけています

太陽電池発電事業の環境への影響が生じる事例の増加が顕在化している状況を踏まえ、2020年4月1日から大規模な太陽電池発電事業については環境影響評価法(平成9年法律第81号。以下「法」という。)の対象事業として追加されています。また、2019年4月の中央環境審議会答申「太陽光発電に係る環境影響評価のあり方について(答申)」において、法や環境影響評価条例の対象ともならないような小規模の事業であっても、環境に配慮し地域との共生を図ることが重要である場合があることから、必要に応じてガイドライン等による自主的で簡易な取組を促すべきとされています。
 これを受けて環境省では、法や環境影響評価条例の対象にならない規模の事業について、発電事業者を始め、太陽光発電施設の設置・運営に関わる様々な立場の方により、適切な環境配慮が講じられ、環境と調和した形での太陽光発電事業の実施が確保されることを目的としたガイドライン(案)を作成しました。

 小規模出力事業とはおおむね出力50㎾未満の事業
環境影響評価法や環境影響評価条例の対象とならない、より規模の⼩さい事業⽤太陽光発電施設の設置に際して、発電事業者、設計者、施⼯者、販売店等の関係主体が、地域に受け⼊れられる太陽光発電施設の設置・運⽤に取り組むための、環境配慮の取組を促すものとして作成
環境配慮ガイドラインチェックシート【小規模出力版】(案)環境配慮ガイドラインチェックシート【小規模出力版】(案)_01環境配慮ガイドラインチェックシート【小規模出力版】(案)_02

太陽光発電のトラブル事例
2.3太陽光発電のトラブル事例(10~12頁)
(1)トラブル事例太陽光発電に関するトラブルについては、平成27年度[2015年度]新エネルギー等導入促進基礎調査(再生可能エネルギーの長期安定自立化に向けた調査)や平成28年度新エネルギー等導入促進基礎調査(太陽光発電事業者のための事業計画策定ガイドラインの整備に向けた調査)で定義されたように、「安全性に関するトラブル」、「維持管理に関するトラブル」、「地域共生に関するトラブル」、「廃棄・リサイクルに関するトラブル」に分類される。(「廃棄・リサイクルに関するトラブル」については2.6FIT期間終了後の課題にて説明する)
ア)安全性に関するトラブル
発電設備の安全性に関するトラブル事例として、電気設備の事故、特に焼損事故や、台風等の強風に伴う太陽電池モジュールの飛散や架台の損壊等が生じている。平成27年度新エネルギー等導入促進基礎調査(再生可能エネルギーの長期安定自立化に向けた調査)では、地上設置型太陽光発電設備においてキュービクルや接続箱において火災が生じた事例(図2.6)や、強風によりモジュール飛散が生じている複数の事例(図2.5)を紹介している。
イ)維持管理に関するトラブル
太陽光発電を長期安定的に継続するためには、発電設備の性能低下や運転停止といった設備の不具合、発電設備の破損等に起因する第三者への被害を未然に防ぐため、発電設備の定期的な巡視や点検の実施が重要である。しかしながら、メンテナンス等の不足により、モジュール不具合等による発電電力量の低下やPCSの運転停止といったトラブルが報告されている。トラブルの原因としては設備の初期不良や施工不良の他、鳥獣害によるモジュール破損(図2.6)や、草木の成長による発電量低下・発電設備の破損(図2.7)という事例も見られる。対策にはモジュールやケーブルの定期的な目視点検の他、柵・塀の設置も検討が必要である。
ウ)地域共生に関するトラブル地域共生に関するトラブルについては、周辺への雨水や土砂の流出、地すべり等の防災上問題の他、景観問題や地域住民による反対運動など、立地・事業計画の段階で地方自治体や地域住民への説明・コミュニケーションが不十分であったことに起因するトラブルも多く見られるようになってきている(図2.8)。特に投資商品として流通する発電設備については、発電事業者自身が現地を確認しないことも想定されるため、地域共生に関するトラブルが起こりやすいと考えられる。

ア)設計・施工段階での不具合(23~24頁)
太陽光発電の多くは、FIT制度の開始後に導入されたものであるが、あまりにも短期間に導入が進んだため、各種ガイドラインの制定や、技術者の育成等が間に合わないまま、設計・施工されてしまった案件が多い。もちろん、優良事業者によって適正に設計・施工されている案件も多数存在するが、中には、急傾斜地など危険な場所への設置や、単管パイプによる架台の施工など、安全性について懸念がある案件も多数報告されている(図2.23)。
このように、設計・施工段階から問題を抱えている案件は、適正に保守点検を実施したとしてもトラブルが発生する可能性が高い。また、設計・施工状況を確認しようと思っても、正確な竣工図等が準備されておらず、コスト・時間のかかる検査が必要となる等、保守点検事業者にとっても、設計・施工段階での問題有無が確認できない案件に対し、保守点検サービスを提供することは大きなリスクとなる。実際、発電事業者から保守点検の依頼があったとしても、前述のように設計・施工段階での問題を確認できない状況の場合、保守点検事業者からサービス提供を断るケースも発生している。

ウ)土木に関する問題(30頁)
図2.13で示したように、設計・施工段階と保守点検段階の双方に関連するトラブルとして土地造成に関するトラブルがあげられる。設計・施工段階で地耐力等を緻密に計算していたとしても、地下水の流れや植栽の根付きなど想定が難しいケースが多いとのコメントが保守点検事業者からあった(表2-7)。

廃棄・リサイクルに関するトラブル
(3)放置・不法投棄への懸念(34頁)
発電事業者が適切な廃棄・リサイクル計画の策定、費用確保ができなかった場合、発電設備が放置・不法投棄されることが懸念されている。設置形態や設置場所の保有形態を考えると、特に自己所有地に設置される発電設備について、発電設備が放置される懸念が高いのではないかと想定されている(図2.35)。自己所有地に設置される場合、事業を終了した発電設備を有価物とするか、廃棄物とするか判断が難しいため、行政処分等で強制的な撤去等が可能かについては更に検討が必要である。ただし、適切な処理を実施せず、発電設備が放置された場合は、架台の倒壊やモジュールからの漏電、有害物質の漏洩等、地域住民の暮らしに危険を及ぼす可能性も考えられるため、事業終了した設備を確実な廃棄・リサイクルへと促す方策について、このような実態を踏まえた上で、経済産業省、環境省をはじめとした関係省庁と検討を進めなければいけない。

太陽光発電設備の景観コントロールに関する論点
5-3.太陽光発電設備の景観コントロールに関する論点の整理(80頁)
第1は、太陽光発電設備の立地に関する論点である。わが国では、再生可能エネルギー導入施策の推進によって、2012年以降に全国で一気に太陽光発電設備の立地や計画が進んだ。この結果、これまで太陽光発電設備の立地を全く想定していなかったエリアの景観に大きな変化が生じたり、大きな影響を受けることが想定されるエリアでは、住民等の反対運動などに発展した。
第2は、太陽光発電設備の景観影響の緩和に関する論点である。太陽光発電設備を実際に設置する際に、景観シミュレーションを実施したり、設置方法を工夫したりすることによって、景観に対する影響はある程度緩和できていた。
第3は、太陽光発電設備に関する住民・行政・事業者間の協議・調整に関する論点である。関係者間での協議が円滑に進まない場合、あるいは必要な協議がなされなかった場合、トラブルが生じやすかった。
第4は、景観法に基づく景観コントロールの実効性に対する認識に関する論点である。景観法に基づく景観コントロールの特性についての理解が進んでいないために、行政担当者や住民が景観計画や景観条例に基づく太陽光発電設備の景観誘導の実効性に対して疑義を抱いている状況が把握された。
第5は、都道府県と市町村等との連携に関する論点であり、1つは現状では広域景観の形成において、都道府県のような広域自治体単位で一体的に推進することが困難であること、もう1つは景観行政に対する知識・経験が豊富なスタッフが不足しており、小規模自治体では開発許可が必要なレベル以上の大規模な太陽光発電設備の設置においては、事業者との協議や景観影響の緩和策の検討等のプロセスに、広域自治体による支援が求められていることである。

論点1:新たに景観面の留意が必要な立地(81頁)
政府の再生可能エネルギーの導入推進施策によって、とくに2012年以降に全国で太陽光発電設備の設置が急速に進んだ。この結果、これまで太陽光発電設備の設置が想定されていなかった場所でも太陽光発電設備の設置や計画がなされることにより、住民等とのトラブルが生じているケースがあった。これらは従来の景観計画・条例等では景観面の課題の発生が想定されていなかったエリアである場合が多く、中でもとくに景観への影響が大きく、課題となっている特徴的な立地パターンが、沿道景観、広域景観、里山景観の3つであった。
沿道景観
駅周辺や観光地など、徒歩の観光客が多く通る沿道の景観や、良好な眺望を重要な資源としている観光道路沿いに太陽光発電設備が設置されることによって、景観の連続性が失われたり、背景となる自然景観への眺望が阻害されたりするケース。
広域景観
メガソーラーのような大規模な太陽光発電設備が設置されることによって、当該設備が立地している自治体だけでなく、広域の幹線道路や隣接自治体からの中景及び遠景に影響を及ぼしているケース。大規模な太陽光発電設備が存在することによって、自然景観の連続性が分断され違和感を生じている。
里山景観
これまで自治体の景観計画等で、景観上特に重要な地域等には位置づけられてこなかった里山など(都市計画区域外のケースも多い)が、大規模に造成されて太陽光発電設備が設置されることによって、周辺住民が日常的に接していた景観が激変する場合。なお、里山に大規模に立地するケースでは、下流域への土砂崩れや洪水等からの安全性の確保が不可欠であり、太陽光発電設備の設置によって直接的に影響を受けると考えられる範囲が広く、更には生態系などの地域の自然環境全体への影響に対する危惧等も大きいため、大規模な反対運動に展開しやすい。

論点3:住民・行政・事業者間の協議・調整の円滑な実施(83頁)
太陽光発電設備の設置が何らかのトラブルに発展しているケースでは、いずれも協議のプロセスにおいてトラブルを抱えていた。協議が不調となっているのは、住民と事業者、事業者と行政、住民と行政などいずれの組み合わせもあった。円滑な協議は景観に関するトラブルを抑制し、良好な景観を形成するうえで不可欠であると言える。
住民間における合意形成が困難なケース
別荘地などにおいて新住民と旧住民の双方が利害関係者となっている場合、地域の内部で合意形成が困難なケースがある。その場合、住民と行政や住民と事業者間についても建設的な協議が成立しにくくなる傾向が見られるため、住民間の協議方法の工夫が必要である。
住民が事業者の協議に応じないケース
住民が、太陽光発電設備が迷惑施設であるという認識を持ったり、事業者が住民の意見に十分に対応せず、住民との協議が形骸化している場合、住民が協議の実効性に疑問を持ち、協議に応じなくなることがある。
行政と事業者の協議時間が不足しているケース
住民と事業者間で十分な合意形成が出来ていない段階で事業者が景観法に基づく届出をした場合、30日以内に助言や勧告を行うことが時間的に困難であると行政側が認識し、必要な協議が十分に実施出来なくなる場合がある。また、90日間の協議延長制度については、前例がないために行政担当者は活用を躊躇していた。
行政が協議内容を把握できないケース
事業者が地元自治会や地権者と個別に交渉して合意形成を行った場合、協議内容について行政が把握できない。とくに里山等の大規模な太陽光発電設備の立地においては、下流域に対する安全面や環境面での影響も大きく、太陽光発電設備の設置による影響が地元自治会の範囲を超えて生じるため、行政が協議内容を把握できていないと調整が困難になる。


普及が進むにつれ増大する「軋轢」
一方、導入が進むことで、逆に普及を難しくする新たな課題も認識されるようになりました。自然エネルギー設備を送電線に接続できない、いわゆる系統線の「空容量ゼロ問題」[6]などがその代表例ですが、もう1つあまり認識がされていない、大きな問題が存在します。開発にともなう「地域との軋轢」です。
FITでの買取価格の低下や、系統接続の費用が増大するなかで、採算性が取れるよう自然エネルギー事業の開発規模が大きくなっていること。加えて、開発が進むほどに、開発容易な場所が減少していることなどが原因となり、地域の自然や社会環境に負担をかけてしまい、住民との間で軋轢が生じる結果になっているものと考えられます。

もし、今後もこのような事象が増えてしまえば、環境問題(温暖化問題)への切り札であるはずの自然エネルギーも、むしろ環境問題を引き起こす原因と認識され、そのさらなる普及にストップがかからないとも限りません。

こうしたリスクは杞憂ではありません。すでにその片鱗をうかがわせているためです。例えば、風力発電の紛争に関する先行研究では、総事業の約4割がこうした地域からの理解を得られないことによる反対を経験したとの報告があります[7]。太陽光についても、やはり大型事業で同様の事象が発生しているとの報告がなされています[8]。

とはいえ、温暖化の進行で受ける影響を考えれば、導入は避けては通れません。自然エネルギー100%という、大きな目標を実現していくためにも、今後の開発は、事業者が地域の納得を得られるような、十分な環境配慮を伴うものとしていかなければなりません。

[6]上記と同様の資料3では、2016年末時点での、FIT制度以降の太陽光(住宅用+非住宅用)の累計が3,201万kW、風力で64.2万kWとなっている。ここではFIT開始である2012年7月~12月も1年として、2016年末までを計5年間として、等価換算した。なお、実際には風力等は建設に長期間を有するため、導入済み数に表れない計画がこれとは別にあることに注意。
[7]畦地啓太・堀周太郎・錦澤滋雄・村山武彦(2014)「風力発電事業の計画段階における環境紛争の発生要因」『エネルギー・資源学会論文誌』35(2)
[8]山下紀明(2016)「研究報告メガソーラー開発に伴うトラブル事例と制度的対応策について」 ISEPウェブサイト
環境配慮のあり方について
それでは、具体的には、どのように環境配慮を実現していけばよいのでしょうか?じつはすでに、これに対する答えのひとつとなる取り組みが各地でスタートしています。「ゾーニング」と呼ばれる適地評価のプロセスです。
ゾーニングの役割(市川大悟)

従来は、事業者が主となって事業の立地場所を選定してきましたが、これを、事業計画の内容が具体的に固まる前の段階に、地域の住民や行政、有識者などが中心となって検討し、自分達の地域で、開発を受け入れられる場所、そうでない場所を仕分けて、公表するプロセスを言います。地域環境をよく知り、そこに住まう人達が話し合うことで、環境負荷の少ない、地元が納得できる持続可能な開発に誘導することができると考えられています。

現在、県レベルでは青森県、岩手県、宮城県など、市町村レベルでは10近くの基礎自治体が策定済み、あるいは取り組みを進めています。2018年3月20日に、環境省から自治体向けに取組みのためのマニュアルが配布されたこともあり、今後はさらに各地で広がっていくことが期待されています[9]。

今後、自然エネルギー100%という大きなチャンレジを乗り越えていくためにも、さらに多くの地域にこうした環境配慮を伴った開発を促せるような取り組みが広がることが望まれます。

[9]環境省報道発表(2018年3月20日)

太陽光発電事業者と住民とのトラブル
再エネで発電した電気をあらかじめ決められた値段で買い取る「固定価格買取制度(FIT)」が2012年に創設されて以降、日本各地でたくさんの再エネ発電事業者が誕生しました。太陽光発電については、FIT開始の前から住宅やビルの太陽光パネル設置が進んでいましたが、FITが始まった後では、野原や山などにずらりと並ぶ太陽光パネルを見ることも増えてきました。
そうした中で、地域住民とトラブルになる太陽光発電設備が現れています。
そもそも、太陽光発電事業に使う土地や周辺環境に関する調査、あるいは土地の選定や開発などにあたっては、
・土砂災害の防止
・土砂流出の防止
・水害の防止
・水資源の保護
・植生(ある地域で生育している植物の集団)の保護
・希少野生動植物の個体および生息・生育環境の保全
・周辺の景観との調和
など、さまざまなことに配慮する必要があります。また、太陽光パネルに反射する光が地域住民の住環境に影響をおよぼさないように配慮することも重要です。
太陽光発電事業の実施にあたって、もし、このような適切な配慮がされなかった場合、周辺への雨水や土砂の流出、地すべりなどを発生させるおそれがあります。そうなれば、発電設備が破損するだけでなく、周辺に被害があれば、その賠償責任が発電事業者に生じることもあります。
残念ながら、新しく太陽光発電事業に参入した再エネ事業者の中には、専門的な知識が不足している事業者もいて、そのため、防災や環境の面で不安をもった地域住民と事業者の関係が悪化するなど、問題が生じているのです。

地域との関係の構築
トラブルを回避するために、まず何よりも欠かせないのは、地域住民とのコミュニケーションをはかることです。
もちろん、自治体の条例などもふくめた関係法令を守ることは必須です。もし違反があれば、FIT認定が取り消される可能性があります。ただし、たとえ法令や条例を守り、適切な土地開発をおこなったとしても、事業者が住民に事前に周知することなく開発を進めると、地域との関係を悪化させることがあります。実際に、地域住民の理解が得られずに計画の修正・撤回をおこなうこととなったケースや、訴訟に発展したケースもあります。
そこで、2017年4月に施行された「改正FIT法」(「FIT法改正で私たちの生活はどうなる?」参照)にもとづく発電事業者向けの「事業計画策定ガイドライン」では、地域住民とコミュニケーションをはかることが、事業者の努力義務として新たに定められました。コミュニケーションをおこたっていると認められる場合には、必要に応じて指導がおこなわれます。

ガイドラインでは、発電事業の計画を作成する初期段階から、地域住民に対して、一方的な説明だけに終わらないような適切なコミュニケーションをはかるとともに、地域住民にじゅうぶん配慮して事業を実施するよう努めることが求められています。事業について地域の理解を得るには、説明会を開催することが効果的で、「配慮すべき地域住民」の範囲、説明会や戸別訪問など具体的なコミュニケーションの方法については、自治体と相談することをすすめています。
現在のガイドラインで、地域住民とのコミュニケーションが「努力義務」とされていることについては、「義務化すべき」との声もあがっています。ただ、地域住民とのコミュニケーションのありかたは一律ではなく、各ケースや地域の特性に応じた、きめこまやかな対応を必要とするものです。もし国が一律に義務化すれば、「説明会をおこなったか否か」などの形式的な要件を基準に、義務が果たされたかどうかを判断することになってしまう恐れがあります。そこで、現状では、地域住民とのコミュニケーションを「義務化」するのではなく、地域の事情に応じてつくられた条例を遵守するように義務付けることで、地域の問題に対応できると考えています。

大切な再エネだからこそ住民に配慮しトラブルをふせぐ
「地域との共生」は、事業の開発段階だけの問題ではありません。発電設備の運転を開始したあとも、適切に設備を管理し、地域へ配慮することが求められます。たとえば、防災や設備の安全、環境保全、景観保全などに関する対策が、計画どおり適切に実施されているか、事業者はいつも確認することが必要です。また、周辺環境や地域住民に対して危険がおよんだり、生活環境をそこなったりすることがないよう管理する必要もあります。
さらに、事業の終了時には、発電設備の撤去や処分をおこなわなければなりません。2040年頃には、FITの適用が終わった太陽光発電施設から大量の太陽光パネルの廃棄物が出ることが予想されており、放置や不法投棄の懸念ももたれています。

日高市太陽光発電設備の適正な設置等に関する条例 1月20日

日高市では昨年(2019年)8月、「日高市太陽光発電設備の適正な設置等に関する条例」を制定しました。太陽光発電設備の設置を規制する条令は埼玉県内初です。
日高市議会は昨年(2019年)6月定例会で、市内高麗本郷の山林約15ヘクタールに民間事業者が設置を計画している大規模な太陽光発電施設について、議会として反対の意思を示す「大規模太陽光発電施設の建設に対する反対決議」、国に対し太陽光発電施設の設置に関する法規制を求める「太陽光発電施設の設置に対する法整備等を求める意見書」を可決。8月22日の臨時会で、災害防止や環境・景観の保全を目的(第8条)に、市が提出した太陽光発電の大規模施設の建設を規制する条例案が全会一致で可決され、即日施行されました。事業区域が0.1ヘクタール以上、総発電出力が50キロワット以上の施設に適用(第3条)。事業者は事前に届け出て、市長の同意を得ることを義務づけられ、太陽光発電事業を抑制すべき「特定保護区域」が指定され、その区域では「市長は同意しない」としています。罰則はありませんが、従わない事業者は住所などが公表(第17条)されます。
市はメガソーラー(大規模太陽光発電施設)が計画されていた高麗本郷地区の山林を特定保護区域に指定、建設を差し止める法的拘束力はありませんが、事業者はより一層慎重な地元への対応が求められます。

※条例・規則・要綱:条例は地方公共団体がその事務について、議会の議決によって制定する法規。規則は地方公共団体の長等がその権限に属する事務について制定する法規。一方、要綱は行政機関内部における内規であって、法規としての性質をもたない。

※2019年6月26日、日高市議会定例会最終日に賛成多数で可決された「大規模太陽光発電施設の建設に対する反対決議」と全員一致で可決された「太陽光発電施設の設置に対する法整備等を求める意見書」は以下の通り(『文化新聞』 BUNKA ONLINE NEWS 2019年7月3日号より)
  大規模太陽光発電施設の建設に対する反対決議
 現在、日高市大字高麗本郷字市原地区にTKMデベロップメント株式会社が計画している大規模太陽光発電施設の建設について、以下のように判断する。

 ①建設予定地は、国道299号北側に位置する山の南斜面、面積は約15ヘクタールで東京ドーム約3個分に相当する。この建設によって緑のダムと言われる森林は伐採され、水源かん養機能が失われ、集中豪雨による土砂災害や水害の危険性が飛躍的に高まる。このことが建設予定地の下流域に住む市民の生命に対する重大な脅威となる。
 ②太陽光発電事業は参入障壁が低く、さまざまな事業者が取り組み、事業主体の変更も行われやすい状況にある。発電事業が終了した場合もしくは事業継続が困難になった場合においては、太陽光発電の設備が放置されたり、原状回復されないといった懸念がある。
 ③建設予定地には、埼玉県希少野生動植物種の指定を受けているアカハライモリや埼玉県レッドデータブックに掲載されている絶滅危惧種のトウキョウサンショウウオなどの希少動物並びにオオキジノオ、アリドオシなどの希少植物が生息している。大規模太陽光発電施設の建設工事が始まれば、これらの希少生物の行き場が無くなり、日高市の貴重な財産を失うことになる。

 日高市の財産である日和田山や巾着田を含む高麗地域の景観や周辺の生活環境を守り、防災並びに自然保護および自然調和に万全を期すことが必要である。このことから、今後、地域住民の理解が得られないまま大規模太陽光発電施設の建設が行われることになれば、日高市議会としてはこれを看過できるものではなく、大規模太陽光発電設備設置事業の規制等を含む対策に関する条例の制定等に全力で取り組む所存である。
 よって、日高市議会は大規模太陽光発電施設の建設に対し反対する。

  太陽光発電施設の設置に対する法整備等を求める意見書
 太陽光発電は、温室効果ガスを排出せず、資源枯渇のおそれが無い再生エネルギー源で、地球温暖化の防止や新たなエネルギー源として期待されている。特に平成24年[1912年]7月の固定価格買取制度(FIT法)がスタートして以来、再生可能エネルギーの普及が進み、中でも太陽光発電施設は急増している。また、埼玉県は快晴日数が全国一という特徴からか、本市においても太陽光発電施設が増加し、今後もさらに増えることが見込まれている。
 しかし、一方で、太陽光発電施設が住宅地に近接する遊休農地や水源かん養機能を持つ山林に設置され、周辺環境との不調和や景観の阻害、生態系や河川への影響が懸念されている。さらに傾斜地や土地改変された場所への設置は、土砂災害に対する危険性が高まり、地域住民との間でトラブルとなっている。
 このため本市は、「日高市太陽光発電施設の設置に関するガイドライン」その他関係法令に基づき事業者への指導を行っているが、直接的な設置規制を行えないことから、対応に苦慮しているのが実情である。
 よって、太陽光発電事業が地域社会にあって住民と共生し、将来にわたり安定した事業運営がなされるために、国においては次の事項を早急に講じられるよう要望するものである。

 ①太陽光発電施設について、地域の景観維持、環境保全及び防災の観点から適正な設置がなされるよう、立地の規制等に係る法整備等の所要の措置を行うこと。
 ②太陽光発電施設の安全性を確保するための設計基準や施行管理基準を整備すること。
 ③発電事業が終了した場合や事業者が経営破綻した場合に、パネル等の撤去及び処分が適切かつ確実に行われる仕組みを整備すること。
 ④関係法令違反による場合は、事業者に対し、FIT法に基づく事業計画の認定取消しの措置を早急に行うこと。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

高麗郷を乱開発から守るために

太陽光発電・メガソーラーに関わる当ブログ記事
「森林を脅かす太陽光発電を考える」講演会に参加①(2018.12.02)
 


 
 
 

J・ロックストローム『小さな地球の大きな世界』 12月27日

ヨハン・ロックストローム、マティアス・クルム『小さな地球の大きな世界 ープラネタリー・バウンダリーと持続可能な開発 ー 』(原著は2015年発行。監修:武内和彦、石井菜穂子、訳:谷淳也、森秀行 ほか。丸善出版、2018年)。プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)は、2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の基礎となった概念。著者のロックストローム博士はこの概念を主導する科学者グループのリーダーです。

プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)とは?
人間の活動が地球システムに及ぼす影響を客観的に評価する方法の一つに、地球の限界(プラネタリー・バウンダリー)という考え方があります。地球の限界は、人間が地球システムの機能に9種類の変化を引き起こしているという考え方に基づいています。この9種類の変化とは、①生物圏の一体化(生態系と生物多様性の破壊)、②気候変動、③海洋酸性化、④土地利用変化、⑤持続可能でない淡水利用、⑥生物地球化学的循環の妨げ(窒素とリンの生物圏への流入)、⑦大気エアロゾルの変化、⑧新規化学物質による汚染、⑨成層圏オゾンの破壊です。これらの項目について、人間が安全に活動できる範囲内にとどまれば、人間社会は発展し、繁栄できますが、境界を越えることがあれば、人間が依存する自然資源に対して回復不可能な変化が引き起こされます。
生物地球化学的循環、生物圏の一体性、土地利用変化、気候変動については、人間が地球に与えている影響とそれに伴うリスクが既に顕在化しており、人間が安全に活動できる範囲を越えるレベルに達していると分析されています。
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(2017年版『環境・循環型社会・生物多様性白書』第1部・第1章地球環境の限界と持続可能な開発目標(SDGs)第1節持続可能な開発を目指した国際的合意 -SDGsを中核とする2030アジェンダ-)

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小さな地球の大きな世界 プラネタリー・バウンダリーと持続可能な開発』目次
序文 変革への協力関係
 生き方への二つのアプローチ
 新しい物語

重大な10のメッセージ
 1.目を開こう
 2.危機は地球規模で差し迫っている
 3.すべては密接につながっている
 4.予期せぬことが起こる
 5.プラネタリー・バウンダリーを尊重する
 6.発想をグローバルに転換する
 7.地球の残された美しさを保全する
 8.私たちは状況を変えることができる
 9.技術革新を解き放つ
 10.大事なことを最初にする

第一部 偉大なる挑戦
 第1章 新たな苦難の時代
  人新世にようこそ
  すべてが互いにつながっている
  地球を守る緩衝材

 第2章 プラネタリー・バウンダリー
  九つプラネタリー・バウンダリー
  プラネタリー・バウンダリーの現状
  ここからどこへ向かうのか?

 第3章 大きなしっぺ返し
  南極大陸:弱々しい兄貴分?
  地球からのメッセージ……「支払期限」
  崖っぷちの生物多様性
  サンゴ礁:気候変動における「炭鉱のカナリア」
  青天の霹靂?

 第4章 あらゆるものがピークに
  水圧破砕による石油・天然ガス採掘の問題
  リンのピーク
  何のピークも恐れなくてもよい世界

第二部 考え方の大きな変革
 第5章 死んだ地球ではビジネスなどできない
  問題の兆し
  地球が世界の経済を支えている
  狼、樹木、そしてマルハナバチ
  CSRはもう死語だ
  新しい物語

 第6章 技術革新を解き放つ
  技術革新の新しい波
  世界のエネルギー・システムを脱炭素化する
  すべての人のための持続可能な食料生産の増強
  循環経済への変革
  回復力のある都市の構造
  持続可能な交通手段
  想像力を解き放つ
  政策的手段
 この新たなパラダイム、すなわち、安定的で回復力のある地球とともに発展する世界のコミュニティを作るために、革新や技術、協働、そして普遍的な価値が結び付くというパラダイムを作るのに必要なものは何だろうか?そのために、私たちは以下の領域で、包括的な政策手段を構想している。

 1.地球上の安全な機能空間を世界的に規制すること:生物多様性の損失率をゼロとし地球温暖化を2℃以内にとどめることなど、世界の発展のための科学に基づく地球の持続可能性に関する基準に基づいて規制すること。
 2.地球に残された生物物理学的な余地空間を公平に分け合う方法について世界的に合意すること:鄭玄のある地球上の炭素排出量の配分、土地利用の配分、窒素とリン排出量の配分、また淡水利用量の配分に関する責任を分担すること、および残された重要な森林システムの保全や生物多様性の損失を食い止めるのに合意することを含む。
 3.世界的な炭素価格制度を導入すること:二酸化炭素1トンあたり少なくとも50ユーロ(60米ドル)が必要。
 4.政策的手段とガバナンスのあり方に幅広い多様性を許容すること:提携や誓約、市民運動、アクティビズムなどの「ボトム・アップ」の活動が、世界の国々や地域のガバナンスや組織的な統合など「トップ・ダウン」の取り組みと組んで発展すること。
 5.「GDPを超えて」成長と進歩に関する新しい基準を定義すること:進歩を測る新たな指標と環境志向の経済発展の概念を基礎にして構築する。
 6.対応能力の開発に莫大な投資をすること:世界の途上国への自由な技術移転と「第二の機械時代」を本格化するのに必要な大きな投資資金を含む。(153頁)

第三部 持続的な解決策
 第7章 環境に対する責任の再考
  新しいゲームのルール
  新しい緑の色合い
  計測することの重用性
  グローバル・コモンズに別れを

 第8章 両面戦略
  パワー・アップ
  新しい緑の革命 三つの課題
  青い大理石
  賢い投資

 第9章 自然からの解決策
  ウジを好きになる
  展望と解決策をつなげる
  実効性を確保するために

あとがき 新たなプレイ・フィールド

写真に関する補足情報
主要な出典および参考文献
著者紹介
謝辞
※監修者・武内和彦さんの本書紹介から(『UTokyo BiblioPlaza』HP)
地球に限界があることを指摘したのではない。プラネタリー・バウンダリーの範囲内でこそ、持続可能な経済や社会の成長と繁栄が保障されうるとの提案

ロックストロームらがプラネタリー・バウンダリーの概念を提唱した目的は、単に人間活動の加速化が地球システムの限界を超えるリスクを増大させていることに警告を発することにとどまるものではない。そうした限界を十分把握したうえで、人間活動をいかに回復力があり安定した生物物理的な「安全な機能空間」に収れんさせていくか、という新しい方向性を導こうとしているのである。この考え方は、かつてローマクラブが提唱した「成長の限界」とは一線を画している。むしろ、プラネタリー・バウンダリーの範囲内でこそ、持続可能な経済や社会の成長と繁栄が保障されうるとの提案である。この考え方は、国連が採択した2030年までの持続可能な開発目標 (SDGs) の捉え方にも大きな影響を与えている。すなわち、環境に関する目標の達成が、社会や経済に関する目標を達成するための大前提となるとの考え方である。


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