岩殿I地区
市民の森保全クラブ追加作業日。参加者は新井さん、江原さん、金子さん、木谷さん、鳥取さん、新倉さん、細川さん、丸山さん、Hikizineの9名。風が強いので市民の森での作業はあきらめて入山沼下の岩殿I地区下段のヤナギを伐採しました。大半は2019~21年に新井さん、橋本さん、田島さんが伐採してくれたあと、再生したものです。太さはいろいろですが、水路の杭や斜面の土留めに使います。また2月上旬の雪で折れた上段のハンノキは玉切りして西縁水路を跨ぐ橋にしました。
上段のハンノキ



下段の萌芽枝など伐採、伐採根株等切り下げ
今日は学びの道の斜面下を岩殿D地区に下る土水路(東縁水路)の掘り下げをしました。
学びの道斜面のクワの大木の下のカラーコーンまでできました。
I地区下段に降った雨水をどこから入山沼用水に流すのかは昨年からの課題です。6月3日にB地区上段に漏れ出しているのを見つけました。
岩殿I地区の下段を横断する土水路(排水溝)の落ち葉や泥を浚って掘りさげました。
入山沼下の岩殿I地区都市民の杜作業道との間のドクダミで覆われている斜面と谷底でオオブタクサ(キク科)を抜き取りました。
岩殿I地区~D地区中段にひろがっているキショウブ(アヤメ科)を刈払機で刈りました。I地区上段の一部では抜根しました。
※オオブタクサ、キショウブは旧要注意外来生物です。要注意外来生物リストは、生態系被害防止外来種リストの作成に伴い2015年3月に廃止されました。当ブログのオオブタクサを含む記事とキショウブを含むの記事。
入山沼下のI地区は、ヤナギ・ハンノキの伐採・更新とキショウブの抑制が課題です。キショウブは毎年、これ以上は増やさないことを目指しいますが、掘りあげ等の作業時間を確保できずに、花を落とすことだけの手ぬきになっています。
下段
学びの道と岩殿D地区上段~I 地区下段の間の刈り草を燃して片付けが終わりました。
今日もゴミを集めました。
藪状になっていたアズマネザサの根元にあった白色のかたまり(ハンペン・はんぺん、放線菌)。
※Facebook 微生物談義第3回「放線菌」の働き
(農業革命!サンビオティック 2020年12月28日記事)
今日はお昼頃から雨が降るという予報でしたがそのとおりになりました。12日の続きでクワの大木のところまで片づけました。
ゴミが多い場所で、捨てやすかったのでしょうか。一升瓶やジュース缶、栄養ドリンク、衣類や生活雑貨、コンクリート片など捨てられて何年も経ったものが出てくるとガッカリします。
岩殿I地区下段と学びの道の間の斜面の笹苅りと土水路の泥上げをしました。
根茎が横に広がっているのが判ります。岩殿では毎年開花前に花茎を切り取って種子散布による分布拡大を防止してきましたが、いまだ眼にみえるような効果は出ていません。
退治方法
①掘り出す :土の中に太い根っこ、根茎(こんけい)が横に長く埋まっている(生姜に少し似ている)。種から育ったばかりの若い株であれば葉の部分を持って引き抜ける。大抵はしっかり根付いているので葉だけがちぎれてしまう。根から引き抜くのはコツが必要だが、駆除及び根絶のためには欠かせない作業。
②花を落とす :湿原全体に広がってしまった外来種を全て短期間で抜くのは困難。よって、これ以上の拡大を防ぐために花を鋏などで切り落とす。その個体は種子を残せないので、新しく増えることがない。もちろん根茎は残っているため、来年も花を咲かせる可能性はある。しかし外来種とのイタチごっこを終わらせるためには必須の作業である。鋏で手軽にできることもポイントが高い。
※中嶋佳貴「外来水生植物キショウブの繁殖特性と適切な管理法」(『岡山大学農学部学術報告』111巻、2022年)
はじめに
キショウブについて
キショウブ(Iris pseudacorus L.)はアヤメ科アヤメ属の多年生抽水植物で、自然高は0.4~1.5 m に達し、 4 ~6 月に鮮黄色の美しい花を咲かせて、湖沼や河川の沿岸帯に美観を創出する)。岡山市民の憩いの場である西川緑道公園のキショウブ群落も、開花期には散歩する市民の目を癒している。朔果は断面がほぼ三角形をした4.0~7.5 ㎝程度の長楕円形をしており、 9 ~11月に成熟して裂開し、種子を散布する。秋季には新しい分蘖が出現し、越冬後、春季には一部の分蘖から花茎が伸長し始める。繁殖力は旺盛で、高い窒素要求性を有するため、富栄養化の進んだ水域環境下でも多く見出される。
ダム貯水池のように貯水量の増減に伴って大きく水位変動が生じ、冠水条件や乾燥条件が繰り返される水辺環境でも生育することが可能である。耐乾性や、水中の窒素・リン除去及び重金属除去などの水質浄化能にも優れた特性を有している。地下部は直径 1 ~ 4 ㎝の根茎を有し、不定根を地表面付近でマット状に発達させるため護岸の土壌浸食も抑制できる。
原産はヨーロッパから中央アジアであり、日本には明治時代に園芸植物として導入され、現在では全国各地の湖沼、ため池、河川、水路などに帰化している。世界ではヨーロッパ全土に分布し、特にイギリスやアイルランドでは河川や湖沼の水辺緑化に利用されている事例が多い。また、北アメリカ全土、アジアではコーカサス地方、シリアやシベリア地方、さらに北アフリカや、南半球のニュージーランドまで分布が広がっている。これらの地域の大部分が日本と同じように、当初は園芸用として導入された経緯がある。
我が国では植生護岸を始めとした水辺緑化において、景観形成を特に期待する場合、花の美しさを水辺のアクセントとして盛んに利用されてきた。しかし、2005年に制定された外来生物法において、重点対策外来種(旧要注意外来生物リスト)にリストアップされた。
キショウブの開花特性
キショウブの種子繁殖特性
キショウブの栄養繁殖特性
キショウブの耐冠水性
お わ り に
既に日本全土に分布が拡大している現在、制定された法律上、注意すべき存在とはいえ、修景効果などのメリットを尊重しなくてよいのでしょうか。今後、キショウブ群落が他の生物に対して与える生態的影響については継続的に評価を続けます。それを踏まえて、これまでに得た繁殖特性の知見を活用することで、適切な管理によってその場で許容される群落が維持されることを期待しています。……[注番号は略]
岩殿I地区の上段で刈草と落葉を燃しました。
ついでに焼き芋もしました。
2022年9月3日から11月27日まで三芳町歴史民俗資料館で企画展『三芳とさつまいも』が開催されていました。江戸時代の焼き芋の歴史について進藤つばらさんの「レシピが123種類も!? 江戸時代の「焼きいもブーム」がアツすぎる!!」(『日本文化の入り口マガジン和楽web』10月26日記事)はビジュアルでわかりやすいです。Wikipediaの「焼き芋」の参考文献から井上浩「わが国の焼き芋関係年表」。
第1次ブーム:文化・文政期(1804年)~明治維新(1868年)第2次ブーム:明治時代~関東大震災(1923年)第3次ブーム:1951年~大阪万博(1970年)第4次ブーム:2003年~現在
いも類振興会理事長矢野哲男さんの「最近の焼きいもの動向」(「野菜情報」2022年10月号)
国内での焼きいもの歴史さつまいもは約400年前にわが国に伝来したとされるが、いつの時点から焼きいもが誕生したかは定かではない。地域によって、人と焼きいもとの接点はさまざまであったと思われるが、文献として確認できるのは、1719年(享保4年)の朝鮮通信使の記録で、京都郊外の道端で焼きいもを売っている情景が記述されている。
その後、江戸時代には商品として庶民に広く親しまれるようになり、300年の時を経て、現在ではスーパーやコンビニエンスストアの店頭で誰もが気軽に買えるようになった。現在にいたるまで4回ほどあった「焼きいもブーム」については、東京を中心に以下のように整理している。
【第1次ブーム】 江戸時代後期の文化文政期(1800年頃)から江戸末期まで
・木戸番屋(町ごとに警備のために設けられた詰め所)で、甘くておいしく、値段が安い焼きいもが売られ、人気を博した。
・原料のさつまいもは、新河岸川で結ばれる川越と、海路がある幕張から大量に送られてきた。
・土のかまどに焙烙(素焼きの平たい土鍋)を載せていもを丸ごと、あるいははす切りにして並べ、蒸し焼きにした。
【第2次ブーム】 明治維新(1868年)から関東大震災(1923年)まで
・東京の人口が急増し、低所得者も多かったため、安価な焼きいもが大人気となった。
・大きなかまどを幾つも並べた大型専門店が続々現れ、最盛期には2000軒を数えた。
・関東大震災を境に食習慣がパンや洋菓子に移り、かまど焼きの焼きいもは衰退した。
【第3次ブーム】 太平洋戦争後の食糧事情がやや緩和して、さつまいもの統制が解除された頃(1950年)から大阪万博(1970年)まで
・墨田区向島の三野輪万蔵氏が「石焼きいも」を考案、リヤカーで「引き売り」を開始。
・これが東京中に広まり、冬場の出稼ぎに来た売り子は1000人以上に達した模様。
・しかし、大阪万博を機にファストフードやコンビニエンスストアに押されて、売れなくなった。
【第4次ブーム】 2000年初頭から現在まで
・甘くてねっとり系の「安納芋」の焼きいもが若い女性を中心にスイーツ感覚で注目され、2007年に公表された食味の良い品種「べにはるか」の登場でブームに一気に火が付いたとされる。
・この背景には、電気式焼きいも機が開発されてスーパーやコンビニエンスストアなどに設置され、ねっとり系の焼きいもが気軽に購入出来るようになったことが大きな要因としてある(写真1)。
・寒い時期のみならず夏でも人気の「冷やし焼きいも」が定着するなど、季節を問わず一年を通じて国民生活に浸透している。
岩殿I地区下段の排水溝あたりを刈りました。一面の落ち葉の下は枯れたアシボソとアオミズで刈払機の刃と飛散防護カバーの間に詰まり、度々、刈払機が止まることになります。アシボソやアオミズは枯れるまで放置すると刈るのが大変。
※ヌルデミミフシとヌルデシロアブラムシ(左木山祝一さんの『そよ風のなかで Part2』2018年10月28日記事)
※冬を越したヌルデシロアブラムシ?(『そよ風のなかで Part2』2021年2月27日記事)
※ヌルデミミフシ(生きもの写真家安田守『イッカク通信発行所』2003年10月8日記事)
入山沼下の岩殿I地区中段で背丈ほどにものびたオオブタクサとセイタカアワダチソウを刈り取りました。
……人が管理する場所すなわち公園、芝地、道路の法面などでも、植栽や景観を維持するために除草剤が利用されている場面があります。傾斜地や民家周辺も同じで、人手による除草作業では非常に多くの労力と経費、時間がかかるためです。
このように、除草剤の上手な使用で効率的な雑草管理ができるようになっています。
ちなみに水田では、手取り除草や手押し除草機など人力による除草が主な手段であった1950年以前の雑草防除は、10a当たり50.6時間、約1週間を要していました。その後除草剤の普及が進むにつれ除草労働時間は大幅に削減されて、今では10a当たりわずか1.1時間程度となっています。
岩殿満喫クラブ、市民の森保全クラブは除草剤を使っていません。その分、除草は人手による作業となって多くの時間を費やしています。除草機のハンマーナイフモアを使えば肩掛けの刈払機の6~7倍のスピードで刈れますが、谷津の耕作放棄地では除草機が使えない場所もあります。
明日は天気が悪くなりそうなので夕方、岩殿I地区の草刈りをしました。草丈が高くなって地面の状態がよく見えないので、刈り取りの高さを高くしました。上・中段はヤナギの萌芽枝とアカメガシワを刈り取りました。
写真は左が草刈り後、右は草刈り前。
写真は撮れませんでしたがウチスズメ(スズメガ科)がいました。刈払機に驚いて後翅の眼玉模様を見せて威嚇したので気がつきました。幼虫はヤナギの葉など食べるそうです(Google検索:ウチスズメの画像)。
岩殿I地区でオオブタクサを引き抜きました。
オオブタクサの葉にあるほこほこ穴(新開孝『虫のしわざ観察ガイド』)



ブタクサハムシ(ハムシ科)の食痕です。老齢幼虫が食事中でしたが成虫もオオブタクサを食草とします。ブタクサハムシは1990年代後半に日本への侵入が確認された北米原産の外来昆虫です。ブタクサの天敵ですが日本に入って原産地では食べることのなかったオオブタクサも食べるようになりました。ヨーロッパでは「天敵の投入で花粉が8割減!?」という研究があります。ブタクサハムシがブタクサ、オオブタクサだけを餌植物として利用するだけなら花粉症の生物的防除の益虫ですが、ゴボウ、ヒマワリ、キクイモなど農作物を摂食する害虫でもあります。



ブタクサハムシ(ハムシ科)の食痕です。老齢幼虫が食事中でしたが成虫もオオブタクサを食草とします。ブタクサハムシは1990年代後半に日本への侵入が確認された北米原産の外来昆虫です。ブタクサの天敵ですが日本に入って原産地では食べることのなかったオオブタクサも食べるようになりました。ヨーロッパでは「天敵の投入で花粉が8割減!?」という研究があります。ブタクサハムシがブタクサ、オオブタクサだけを餌植物として利用するだけなら花粉症の生物的防除の益虫ですが、ゴボウ、ヒマワリ、キクイモなど農作物を摂食する害虫でもあります。
※江村薫「有害帰化雑草を食害するブタクサハムシについて」(『植物防疫』53巻4号、1999年)
※「花粉症の元になるブタクサを、“天敵”の虫を放って食べさせる? 研究で示された「生物的防除」の現実味」(『WIRED』2020年5月13日記事)
天敵の投入で花粉が8割減!?
ブタクサの再生能力vs虫の食欲
年間10億ユーロの節約に?
導入前に、10年かけた調査が必要……ブタクサハムシを大量に輸入して放出すればいいというわけではない。意図的に外来種を導入することがブタクサ防除に効果的だとしても、それが在来種の植物も餌にしてしまうかもしれないからだ。自然生息地でブタクサを主食にしているとはいえ、新たな環境におかれたブタクサハムシが、ほかの重要な穀物を食べる可能性がないとは言い切れない。それゆえ、まずはブタクサハムシがほかの植物にどう反応するのか検証する必要がある。
また、ブタクサハムシがほかの生物とどのように影響し合う可能性があるかについても確認する必要がある。その過程を怠れば、取り返しのつかない厄介な事態を引き起こしてしまう恐れもあるのだ。……
※深野祐也・土居勇「ブタクサの天敵昆虫は日本で独自の進化をしていた~20 年でオオブタクサをも摂食可能に~」(東京農工大学、2016年1月16日広報)
……北米原産の外来植物であるブタクサの天敵で、1995 年に北米から日本に侵入したブタクサハムシが、原産地では食べることのできなかったオオブタクサを餌として利用する能力を、約20年という短期間で進化させていることを発見しました。ブタクサやオオブタクサは花粉症の原因植物として知られている侵略的な外来植物ですが、日本のブタクサハムシで起こった進化によって、ブタクサ・オオブタクサの花粉生産量が抑えられている可能性があります。今後は、この進化によって日本のブタクサ・オオブタクサがどのような影響を受けているのか、また、どのような生理メカニズムがハムシの進化に関わっているのかを明らかにする予定です。
岩殿D地区、I地区のキショウブを刈りました。昨年は4月22日に実施しています。
今年は冬場に水路を掘って排水しているので、地面が乾いていて刈払機で刈り取りやすくなりましたが、I地区下段とD地区中段は分布が拡大気味なのが気になります。刈り取り条件(時期、高さ)、冠水条件(深さ)の組み合わせで、キショウブ群落の拡大を抑制することをめざしていますが、試行錯誤の繰り返しで長期の取り組みにになりそうです。←キショウブの花の切り取り(2021年5月20日記事)
3月28日に枯草を刈った岩殿I地区上段の4枚目で、刈草を集めて燃しました。
夜中に雨が降ったようなので、岩殿D地区でハンマーナイフモアを使うのは後日にして、I地区上段の4枚目の区画の草刈りを刈払機でしました。
日曜日~月曜日に降雪の予報が出ているので、岩殿I地区下段の土水路(東縁水路)の泥あげをして、3日に須田さんが掘りあげた排水路に接続しました。
泥濘の中での作業で休憩時に腰を下ろす場所もないので、廃材でベンチを2箇所に設置しました。
昨日刈ったアシやヤナギの萌芽枝などを岩殿B地区上段に移動しました。明日、明後日は雪の予報が出ているので、できるだけ多く運びだしておきたかったのですが、午後、舗装園路沿いのナラ枯れ被害木の調査に時間がかかり暗くなってきたので、取り敢えず上段に集めたものにブルーシートを掛けておきました。
写真追加(2月12日撮影)
入山沼下の岩殿I地区下段に須田さんが排水路を掘りました。水溜まりの中での作業、シャベルが重くて大変だったと思います。ありがとうございました。
ここは、ヤナギ類の切り株から多数の萌芽枝が出ていますが、ヤナギの繁茂を抑え、湿地ビオトープとしてしていこうと考えています。
※ヤナギ類の伐採後の再繁茂を防ぐ管理方法
・国交省水管理・国土保全局河川管理課『大河川における多自然川づくり』(2020年3月一部改訂版)
6月から入山沼堰堤下の岩殿I地区は放置状態になり草に覆われていました。セイタカアワダチソウの黄色の花序を切除したら土のう袋2袋分になりました。昨年土手に生えていたオオブタクサが拡大してきています。引き抜く時期を過ぎてしまっているので、いまさら感もありますが、刈払機で刈りました。
入山沼下のキショウブはこれ以上、分布が拡大しないように刈り取りや花茎の摘み取りをしています。今日はD地区とI地区で花茎29本を切除しました。
※中嶋佳貴・沖陽子「重点対策外来種キショウブの異なる刈取処理による耐冠水性の差異」(『雑草研究』62巻3号、短報、2017年)(下線は引用者)
緒言
外来生物法により、重点対策外来種としてリストアップ(環境省 2016)されているキショウブ(Iris pseudacorus L.)はアヤメ科アヤメ属の多年生抽水植物である。ヨーロッパから中央アジア原産で、日本には明治時代に園芸植物として導入され、現在では全国の湖沼や河川などの沿岸帯に帰化している(角野 1996)。キショウブは、4月~6月に鮮黄色の美しい花を咲かせて美観を創出する(Alaska 2010)。草高は1.5 mに達し、朔果は秋季に成熟して裂開し、種子を散布する(角野 1996)。同じ頃、分げつの側芽として越冬芽が出現し、翌春には一部の分げつから花茎が伸長する。繁殖力は旺盛で、冠水や乾燥が繰り返される水辺環境でも生育が可能である(Alaska 2010)。近年まで水辺の緑化にもキショウブは積極的に植栽されてきた(桜井 1989)。しかし、外来生物法により、重点対策外来種として総合的な対策が必要とされている現状では、植栽されてきた既存群落や、野生群落を適切に管理する必要性がある。これまでに、キショウブと同じ多年生抽水植物のヒメガマ(Typha angustifolia L.)やヨシ(Phragmites australis (Cav.) Trin. ex Steud.)の防除及び管理については、刈取処理による機械的防除法が検討されている(Nelson 1966; 桜井 1991)。これに対し、キショウブにおいては機械的防除法に関する知見は未だ報告されていない。そこで本研究では、重点対策外来種であるキショウブが過繁茂することなく適切に管理できる方策を模索する目的で、時期の異なる刈取処理後の耐冠水性を検討した。(134頁)
考察
キショウブと同じ抽水植物のヒメガマを刈取りによって機械的に防除するには、生育盛期の複数回の刈取処理が必要とされる。米国では、生育盛期の夏季にシュートを地際の0 cmで2回刈取り、冠水深を7.6 cm以上にすると、刈取後翌年の夏季には100%の防除に成功した(Nelson 1966)。ヨシも水面下で複数回刈取れば再生が防げられる(桜井 1991)。そこで本研究では、生育盛期に刈取高と冠水深を段階設定した結果、キショウブは生育盛期に刈取高を1 cm以下とし、冠水深を4 cm以上に設定すれば、1回の刈取処理で再生を防げることが明らかとなった(第4表 )。ヒメガマのシュートの刈取後に枯死に至るメカニズムとして、Sale(1983)やSojda(1993)は、シュートを水面下で刈取ると地下部への酸素供給が困難となり、地下茎の生長力が低下することを述べている。本研究において、キショウブも刈取高より冠水深が深い場合、分げつの刈取面が冠水し、酸素獲得が困難となって、再生が妨げられたと考えられる。耐冠水性を有する植物は、冠水に伴う嫌気的な環境に代謝経路の変化(Fitter et al. 1992; ハルボーン 1981)や、通気組織を離生的もしくは破生的に発達させることで酸素不足に適応している(Fitter et al. 1992)。キショウブは嫌気的条件下においてSOD(Superoxide Dismutase)活性の上昇(Monk et al.1987)、AEC(Adenylate energy charge)によるAT Pの生産(Hanhijarvi et al. 1995)によって冠水条件に耐えることが確認されている。また、嫌気的条件によって誘導される有害なエタノールや乳酸を生成する発酵過程を回避するために、無害なシキミ酸を生合成する代謝経路に変化してAT Pを獲得している(ハルボーン 1981)。しかし、このシキミ酸の集積は休眠期である冬季の湛水状態でのみ確認されており(Mcmanmon et al. 1971)、この代謝経路のAT Pの生産量は非常に少ない(Fitter et al. 1992)。秋季の越冬芽出現期以降は冬季の生育停止期に近づくため、AT Pの生産が少なくて済むことに加え、湛水状態で生育する条件でも徐々に温度が低下するため、夏季ほど嫌気的になりにくい環境下にあると考えられる。ゆえに、本研究において9月の越冬芽出現期に地上部を刈取って酸素の供給が抑制されても、代謝経路の変化で適応が可能な範囲であり、生育盛期と比較して良好に再生したと推察される。また、越冬芽出現期の刈取処理は、刈取高が2 cm以上では翌年の分げつ数を減少させなかったが、花茎の発生については著しく抑制させることが明らかとなった。ゆえに、9月上旬の越冬芽出現期における刈取処理は、キショウブが重点対策外来種として懸念されている近縁種との遺伝的攪乱や、種子散布による分布拡大を防ぐ意味で重要である。本研究は、キショウブに対する刈取りと冠水の効果を分げつ数のみで評価したことから、キショウブの管理については直接、言及できないものの、生育盛期及び越冬芽出現期の刈取処理と冠水条件を組み合わせて活用すれば、様々な状況に応じてキショウブ群落を適切かつ効率的に維持することが可能である。(137~138頁)
※中嶋佳貴・沖陽子「管理指針に必要なキショウブの繁殖特性の解明」(『日本緑化工学会誌』43巻2号、2017年)(下線引用者)
キショウブの自然条件下における分布域拡大には根茎断片の拡散及び種子散布が大きく寄与している。根茎断片は波浪等の自然攪乱、刈取などの管理作業による人為的攪乱によって既存群落から発生し、水流にのって拡散後、漂着して新たに群落を形成する。水位変動等により干陸地に漂着する場合もあるが、根茎断片は大気中に根茎が露出した乾燥条件下でも3ヶ月間生存が可能とされ、再び水位変動や降雨等によって生育に好適な水分条件下におかれると、定着する可能性も十分にある。定着時は1個体の根茎断片であっても翌年は旺盛に抽苔して開花結実するため、開花に至る個体の外部形態を把握しておくことは重要である。(373頁)
外部形態から春季に新鮮重が重く、緑葉数の少ない分蘖は花芽である割合が高く、逆に新鮮重が軽く、緑葉数が多ければ葉芽である確率が高いことが明らかとなった。また、開花に至らない個体は旺盛な生育を示す傾向にあるため、分蘖を刈取れば翌年の生殖生長を抑制することが可能である。
既に日本全土に分布が拡大している現在、根絶を望む考えは現実的ではない。キショウブ群落が他の生物に対して与える生態的影響については今後も検討する必要があるが、環境圧の高い場所において修景を目的とした緑化が期待される場合、キショウブは有用種である。ゆえに、今後の水辺の景観形成の場面では、本研究で明らかにした花芽を有する割合の高い分蘖を活用して、春季に植栽後、開花による美観を速やかに創出することを推奨する。開花後は花茎を切除して種子散布を防ぐとともに、地上部を夏季から秋季に1回刈取って、翌年の稔実朔果数を5割~8割まで減少させる。更なる生殖生長を抑制するためには、刈取り回数を増加するなど検討して、群落の拡大を抑制し、その場で許容される群落を適切に維持することが望ましい。(374頁)
※キショウブを抜きとる(2018年10月月6日記事)
入山沼の余水吐け周辺のオオブタクサが堰堤下の岩殿I地区にも広がってきています。キショウブのようににならないよう、見つけ次第抜き取りましょう。
岩殿H地区のイボタノキが花をつけています。周りのヤナギを伐って日当たりがよくなったせいでしょうか。大きくなっています。
岩殿D・E地区では4月末からオヘビイチゴやケキツネボタンの黄色の花が学びの道散策者を楽しませてくれています。E地区のセイタカアワダチソウと入山沼下のI地区からD地区に分布が拡大してきているキショウブの群落の刈り取りをしました。
今日は丸山製作所のBIG-M刈払機で刈ってみました。渡部さんからいただいたモノです。燃料が漏れるのでタンクの交換が必要ですが、満タンにしなければ当面は使っていけそうです。
市民の森保全クラブ・岩殿満喫クラブの刈払機は全てスチールの製品ですが、今回使用した丸山製作所の刈払機は始動がとても楽にできました。マジックスタートいうそうです。ほかにRスタートというものもあるようですが、エンジンが軽くかかるものは助かります。
マジックスタートは、リコイルロープを一定の位置までゆっくり引き、戻すだけでエンジンがかかる、始動がとてもラクな新リコイル方式です。Rスタートは、従来のスタータにスプリングの力を利用するリコイル方式です。スプリングがアシストするので、引き力が軽くエンジン始動がスムーズにできます。これまで刈払機をお使いいただいている方にお奨めです。【丸山製作所刈払機カタログから】
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