岩殿G地区
12月20日に市民の森作業道下の斜面で伐倒したナラ枯れ枯死木。岩殿G地区で玉切りし、そのままになっていましたが、軽トラに載せて岩殿C地区に運び出し片づけました。
江原さん、雪の中の作業お疲れさまでした。
岩殿G地区でオオブタクサを刈り取りました。4m近く伸びているものまであります。
カヤネズミの巣
※澤邊久美子・夏原由博「小規模半自然草地におけるカヤネズミの冬季の営巣環境」(『保全生態学研究』24巻1号、2019年)
抄録:カヤネズミMicromys minutus (Pallas, 1771)は、イネ科の高茎草地を生息地とする草地性生物の一種であり、7月から10月ごろの繁殖期にイネ科またはカヤツリグサ科の草本など多様な単子葉草本の茎葉を利用し、地上部約1 m前後の高さに球状の巣を作る。一方、本種は冬季には地上付近に巣を作ると言われているが、冬季の生態についてはまだ明らかになっていない。本研究では本種の冬季の営巣環境において、冬季植生の存在の影響と営巣の位置について明らかにした。2014年-2015年の2年間の繁殖期に継続して生息が確認されていた11地点と生息が確認できていなかった9地点の計20地点で、2016年冬季に越冬巣の調査を行った。巣ごとに巣高、営巣植物種、営巣植物高、群落高を記録し、より広域の環境要因として草地ごとに、冬季の全面刈取りの有無、カヤネズミの移動を想定した隣接する森林・水田の有無、冬季全植被率、冬季茎葉層植被率(10 cm以上)、ススキとチガヤの植被率合計を記録した。
越冬巣は9地点(12巣)で確認され、越冬巣の巣高は群落高に関わらず平均28.92 cm(SD=13.12)であった。これは繁殖期の巣高より低く、越冬巣は草高にかかわらず一定の高さであった。草地における越冬巣の有無は過去2年間の繁殖期の営巣の有無とほぼ対応していた。冬季の茎葉層植被率、全植被率またはススキとチガヤの植被率が高いと越冬巣が有意に多く、冬期の全面刈取りがあると越冬巣が有意に少なかった。カヤネズミの移動を想定した森林・水田の隣接については関連が見られなかった。本研究で対象とした小規模な半自然草地における本種の冬季の営巣環境としては、特に越冬巣が多く見られた30 cm程度の位置に植物体が存在することが重要であり、全面刈り取りを避けることが重要であると示唆された。[下線は引用者]
岩殿G地区のヤナギの近くと市民の森作業道寄りで群生しているオオブタクサを引き抜きました。
芽生えの99%を5年間除去しないと除去できないそうですが、拡大は防ぎたい!
※鷲谷いづみ『オオブタクサ、闘う 競争と適応の生態学』(平凡社・自然叢書34、1996年10月)
「まえがき」にかえて
「種」を語るということ
「闘い=競争」が支配する植物の世界
闘いにどう対処するか
1章 オオブタクサの素性
オオブタクサ、日本の河原に住み込む
豆腐とゴミが助けた侵入
大きくとも一年草-キク科の異端児
2章 故郷(北アメリカ)でも勇名をはせる
植生遷移を止めてしまう草
雑草としても超一流
花粉の煙幕・迷惑
3章 巨大化をもたらすもの
植物が生きるための糧(資源)
資源は必ず枯渇する
環境要因の影響はほかの要因次第
肥沃な土地で不足する光
光を求めて上へ上へ
4章 植物の技はほかにもいろいろ
融通無碍な体
資源が一様に分布していれば不精を決め込む
柔軟に環境に対処する能力
込み合う前に察知する鋭い「感覚」
闘いはいつも「備えあれば憂いなし」
オオブタクサが草であって木にならないわけ
5章 強さのヒミツ総点検
多年草とも闘える-オギ原への侵入
ブタクサと比べてみる
植物の成長は複利の貯金?
大きな種子と早い発芽-母の強い支配
高成長だ、生産工場は使い捨て
6章 仲間うちでの競り合い
不公平社会の最たるもの、ジニ係数は語る
競争は対称/非対称
大富豪になるのは誰だ?-コーホート追跡調査
まず因果関係をモデルの形に
芽生えの身になって環境をみる
成功は、能力・環境・運次第
母も悩む、大きさと数のジレンマ
母はあくまでも強く賢し、格差も母がつくる
7章 性と繁殖成功
虫媒花と風媒花の損得勘定
下手な鉄砲の玉と的の数
種子をつくらずに遺伝子が残せる雄が得か、それとも雌が得か?
トレンドは「小さければ雄」なのに
8章 ヒトに助けられスーパースピーシスへの道を歩む
競争力と分散力のトレードオフ
スーパースピーシスと地球生物相の均質化生物の世界には、さまざまな形のトレードオフが認められる。それによって、競争力の強い種による競争排除が抑えられ、多くの種が共存できるのだとも考えることができる。しかし、もし、天に二物を与えられた種、つまりスーパーマンならぬスーパースピーシスが現れれば、たちまち圧倒的に優占して、資源を独占してしまうであろう。ヒトが改変した環境のもとでは、競争に強く、しかも分散能力もそれほど足枷にはならないようなスーパーピーシスが現れることがあるらしい。実際に、生物学的侵入はときとして、そのような人為的スーパースピーシスを生むようである。オオブタクサは本来、競争には強いが種子の分散力が小さい植物であった。しかし、種子の分散における足枷をヒトが種子の混ざった農作物あるいは土を運搬することによって外してしまった。そのため、本来ありえないような分布の拡大をなしとげ、出会うはずのない植物と出会って、それを競争によって排除してしまう可能性が生まれたのである。参考文献
ヒトによるすさまじい環境改変は、農地や都市などヒトがこの地球上に出現するまではほとんどそんざいしなかったタイプの生育場所を、広大な面積でつくり出した。そこには、それまで氾濫原や荒地などでっつましく生きていた植物が、やはりヒトの手を借りて進出した。ヒトの活動によって広大な生育適地が用意され、しかも分散まで保証されるとなれば、もしその植物が大きな競争力をもってさえいるなら、もはやその蔓延を抑制するものは何らない。そうなった時その種は、やはりスーパースピーシスの道を歩むことになるであろう。それは、古くから存在する生態系における侵入生物の影響などによる在来生物の絶滅とともに、この地球上の生物相の均質化の主要な原因の一つとなっている。少数のスーパーピーシスだけが景観をつくっている世界でのヒトの生活は、ずいぶん味気ないものとなるであろう。というよりは、そのような環境におかれたら私たちヒトには、もっと深刻な精神面・身体面の変調が現れないとも限らない。
残念ながらオオブタクサは、そのような問題さえ提起する可能性のある植物なのである。
あとがき
※日本植物調節剤研究協会編『自然植生中における外来植物の防除マニュアル(暫定版)~問題化している外来植物の特徴と防除方法~ 』(2008年3月26日)
※石川 真一・吉井弘昭・高橋和雄「利根川中流域における外来植物オオブタクサ(Ambrosia trifida)の分布状況と発芽・生長特性」(『保全生態学研究』8巻1号、2003年)
※鷲谷いづみ「さとやまの恵みとヒトの持続可能なくらし」(2014年度東京大学公開講座「恵み」) YouTube 1:01:25
概要:縄文時代から里山とともに生き、植物の生態系を管理してきた日本人。 世代を超えて知識を蓄え、生態系の持続可能性に配慮することができるのは人間だけがもつ特性です。 自然の豊かな恵みを守り、伝えていくために、私たちは何ができるのでしょうか。保全生態学の視点から考えます。
01:30 保全生態学からみた「さとやま」11:06 縄文時代のさとやま植生管理25:51 「持続可能性へのまなざし」こそ人間の証41:30 生物多様性が失われることはなぜ問題なのか?54:18 ヒトの対環境戦略のモデル
岩殿F地区から一段下がったG地区のオギを刈りました。オギを刈った地面を見ると水溜まりがあり、この場所の地下水位が高い(浅い)ことがわかります。
G地区で自然発生したヒラタケ
5日の続きで、岩殿H地区との境界にある軽トラの角材進入橋あたりまで、谷底側から裾刈りをしました。
地上に落ちたコナラのドングリが根を出し、さらに芽生えへ。
発根から芽生えへ 小田英智・久保秀一『ドングリ観察事典』(偕成社、1998年)34~36頁から
岩殿G地区のオギ群落の周辺でオオブタクサを抜き取りました。高さが2m50㎝位のものが10本ほどありました。F地区寄りでセイタカアワダチソウの花序を切り取りました。
オオブタクサのぬき方(NPO法人エコシティ志木)
冬緑シダ植物のフユノハナワラビ(ハナヤスリ科)
「明るい芝生や、雑木林の下の明るいところに生える」(『日本野生植物館』151頁)とありますが、生育環境がよくなったようです。
今日は岩殿G地区からF地区の植物調査枠までの草刈りをしました。
岩殿F地区
岩殿G地区
イヌシデについた虫こぶ、イヌシデメフクレフシ。
イヌシデメフクレフシ ソロメフクレダニというダニの一種によって芽が変形するえいで、頂芽の鱗片が肥大し、1つの芽が松かさ状に大きく膨らんだもの。芽の幅は28mm、長さ25mmで褐色になる。鱗片の外側は黄白色の長毛を密生した堅い皮殻となり、内側は柔組織が縦の方向に多数ひだ状に突出し、たがいにからみ合ったもので、その間に無数のダニが見られる。(『松江の花図鑑』から)
市民の森保全クラブ定例活動日。参加者は芦田さん、金子さん、澤田さん、木庭さん、鳥取さん、細川さん、鷲巣さん、渡部さん、Hikizineの9名でした。ナメコの駒600個をサクラとヤナギに打ち、仮伏せしました。4月2日と合わせて今年は1400個です。
10月30日に蒔いたコナラのドングリの点検をしました。
鷲巣さんは落葉掃き下ろし作業の続き、鳥取さんは物置の屋根の点検をしました。
軽トラ進入路づくりは、角材の調整と土留めに使う土のう作り。38袋できました。
岩殿G地区のヤナギの間で、コブシ(辛夷)の花が咲いていました。
この花は花弁が7枚です。花の付け根に小さな葉が1枚あります。
※コブシの花弁数
中島美幸・坂井至通「シデコブシ花弁の形態に関する調査」(『岐阜県森林研研報』31、2002年)から
表-1 日本に分布するモクレン科植物
表-2 図鑑に記載されている日本産モクレン科植物の花弁数
表-2 図鑑に記載されている日本産モクレン科植物の花弁数
表-4 シデコブシ、タムシバ、コブシ集団の花弁の特徴
2.シデコブシ花弁の多数性と変異性
シデコブシ集団における各個体の平均花弁数の分布を図-3に示した。平均花弁数は、1個体あたり5個の花について得られた花弁数の平均値を示しているが、個体内での花弁数のバラツキは、1~5枚の範囲であつた。全集団をとおして、ほとんどの個体の平均花弁数は12枚以上18枚未満であり、マこれは、シデコブシが持つ花弁数としては、もつとも頻度の高いものと考えられた。
しかし、調査したシデコブシ集団のうち、6集団において9枚以上12枚未満という少ない花弁数を持つ個体が見られた。また、これら6集団のうち“菰野"を除く5集団(“多治見"、“土岐"、“瑞浪"、“恵那"、“飯地")はすべて東濃地域に位置する集団であつた。
最も少ない花弁数を持つ個体が見られた集団は“恵那"で、計数に用いた5個の花の花弁数は6~11枚であった。これに対し、18枚以上の花弁を持つ個体は、“各務原"が、“土岐"、“飯地"を除くすべての集団で見られた。特に、“豊園"は18枚以上の花弁を持つ個体が全体の65%を占めていた。また、“豊田"では個体当たりの平均花弁数が24枚以上27枚未満という花弁数の多い個体が見られた。調査したシデコブシ個体のうち、最も多い花弁数を持つ個体が見られた集回は豊田で、計数に用いた5個の花の花弁数は24~29枚であつた。
一方、タムシバとコブシは、ほとんどの個体の平均花弁数が6枚であつた。タムシバとコブシにおいて観察された最多花弁数はそれぞれ7枚と8枚で、7枚以上の花弁を持っていた個体は、タムシバで7個体、コブシで3個体と、シデコブシに比べると花弁数のばらつきは非常に小さかつた。これらのことから、シデコブシはタムシバやコブシに比べると、その花弁数において変化に富んでいることが示された。
多くの図鑑において、シデコプシの花弁数は12~18枚と記載されている(表-2)。その一方で、近年の調査報告や文献では、9~25枚(日本シデコブシを守る会、1996)や、12~33枚(Spongberg,1998)、9~32枚(植日、1987)など、図鑑に記載されている花弁数に比べてもバラツキが大きい。また、各地域のシデコブシ保存会等、地元の人々による調査でも、30枚以上の多花弁性を持つ個体の存在が確認されている。今回の調査でも、シデコブシの花弁数は6~29枚と図鑑の記載とは大きく異なっていた。また、個体あたりの平均花弁数が12枚未満といつた少ない花弁数を持つ個体が東濃地域に位置する5集団に共通してみられたことや、“豊日"では、24枚以上といった多い花弁数を持つ個体が他の集団に比べて高い割合で存在したことから、シデコブシの多花弁性は分布地間でも異なることが考えられた。
以上のことから、シデコブシは、愛知、岐阜、,三重の伊勢湾を取り巻く極めて限られた場所に分布する種であるにも関わらず、タムシバやコブシに比べて花弁数や色における変異の幅が大きいことがいえる。また、植田(1987)は、シデコブシの多花弁性は、モクレン科を通して極めて特徴的であると述べている。このように、シデコブシは、形態的に興味深い特徴を持った地域固有の貴重な植物であるといえる。
1月9日に落葉を燃した場所、谷津に人工的な段差を作ってきた田んぼの畦畔が消失する中で、谷底の雨水が集まり地面を削りながら流れてできた水みち(水路・溝)にH地区に置いてあったヤナギの条枝を入れました。H地区との境界付近では深さが30㎝にもなっています。
雨が降りそうなのでハンマーナイフの草刈りは正午で中止。繁殖力旺盛のカナムグラがぐんぐんと伸びてきていました。2月24日のF地区の写真と比較してみて下さい。それとわかる葉っぱの形になってきています。
午後は土木学会の第11回木材利用シンポジウム「土木でもウッド・チェンジ!」を視聴しました。
市民の森作業道~岩殿G地区の斜面、学びの道~岩殿I地区斜面で回収しまとめていた不法投棄ゴミを分別して片づけました。
■過去の記事■
市民の森に不法投棄されたゴミを回収[2015年5月8日]児沢にゴミ不法投棄[2015年1月15日]
今日は日が変わる頃から雨雲が発生し、午前6時までに鳩山町役場4㎜、鳩山アメダス3㎜、白山中学校10㎜、松山第2小学校9㎜の累加雨量がありました。雨量が違うのは雨雲が小さかったせいでしょう。地面が湿気ったのでオオブタクサが抜きやすくなっていて、岩殿G地区と入山沼堰堤で合わせて150本ほど抜き取りました。G地区のオギ群落内には3m位の高さに伸びているものもありましたが、前回は6月7日に抜き取っていたので本数はずっと減っていました。
G地区ではセイタカアワダチソウも抜きました。
F地区のボッシュ林側にはヤブミョウガが咲いています。
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