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環境基本計画市民推進委員会

川崎市が太陽光パネル設置義務化条令を可決(3月17日) 3月20日

川崎市議会は2023年3月17日、定例会本会議で、新築建物に太陽光パネル設置などを義務づける「川崎市地球温暖化対策推進条例改正案」を可決。太陽光パネルの設置義務化は東京都、京都府・京都市(2022年)、群馬県(2023年予定)に次いで4例目。設置の義務化については2025年4月に開始を予定している。
★川崎市・太陽光発電設備等に関するQ&A_01

川崎市・太陽光発電設備等に関するQ&A
(仮称)建築物太陽光発電設備等総合促進事業 編
  更新日:23年1月17日 作成日:22年11月15日

  Q&A目次
1 よくあるご質問
1.1 経済メリット・コストなど
 Q1-1 太陽光発電システム(4kW)の支出と収入は?
  ★川崎市・太陽光発電設備等に関するQ&A_05
 Q1-2 太陽光発電システム(2kW)の支出と収入は?
  ★川崎市・太陽光発電設備等に関するQ&A_07
 Q2 太陽光発電設備の初期費用は?
  ★川崎市・太陽光発電設備等に関するQ&A_08
 Q3 太陽光発電設備の初期費用を抑える方法はありますか?
 Q4 FIT価格が大幅に下落しているため、経済的なメリットは無いのでは?
 Q5 太陽光発電設備設置により固定資産税といった負担が上がるのではないか?
 Q6 義務に伴う補助制度はありますか?
1.2 建築的な課題・メンテナンスなど
 Q7 太陽光パネルやパワーコンディショナーの寿命はどれくらいですか?
 Q8 太陽光発電のメンテナンスは何をすればいいのでしょうか?
 Q9 雨漏りのリスクをどのように考えていますか?
 Q10 太陽光発電設備を設置すると外観が悪くなりませんか?
 Q11 屋根のメンテナンスはこれまでどおりできるのか?(一旦パネルを取り外すのか)
 Q12 屋根に重いものが載っているので建物に悪影響が出ないでしょうか?
 Q13 屋上が使えなくなりますか?
 Q14 壊れたらどうするのですか?
1.3 災害への備えなど
 Q15 太陽光発電設備のある場合、水による消火で感電のリスクはありますか?
 Q16 台風、地震、ひょう等の自然災害で壊れるリスクに対してどのように考えているのか。
 Q17 落雷を受けやすいのではないでしょうか?
 Q18 水没・浸水した際の対応は?
 Q19 自然災害で太陽光パネルが破損した場合、火災保険の対象になりますか?
1.4 廃棄・環境問題など
 Q20 太陽光モジュール(パネル)は何で構成されてますか?
  ★川崎市・太陽光発電設備等に関するQ&A_29

 Q21 太陽光発電設備のリサイクル費用はどの程度かかるのでしょうか?
  ★川崎市・太陽光発電設備等に関するQ&A_30

 Q22 太陽光発電設備のリサイクルや廃棄はしっかりとできているのですか?
  ★川崎市・太陽光発電設備等に関するQ&A_31

 Q23 太陽光発電設備のリサイクル時に有害物質が漏出しませんか?
  ★川崎市・太陽光発電設備等に関するQ&A_32

 Q24 反射光で近隣からの苦情の原因になりませんか?
  ★川崎市・太陽光発電設備等に関するQ&A_33
1.5 国際・人権問題など
 Q25 海外製品を使うのは不安ですが大丈夫でしょうか?
  ★川崎市・太陽光発電設備等に関するQ&A_35

 Q26 太陽光パネルの生産は中国に集中しており、ウイグル自治区における人権問題が心配ですが、社会的な問題はないのでしょうか?
  ★川崎市・太陽光発電設備等に関するQ&A_36

1.6 電力系統問題など
 Q27 電気料はなぜ高騰しているのでしょうか?
  ★川崎市・太陽光発電設備等に関するQ&A_38

 Q28 太陽光発電設備を設置すると社会全体として再生可能エネルギー発電促進賦課金の負担が増加するのでは?
  ★川崎市・太陽光発電設備等に関するQ&A_39

 Q29 普及が進むと出力制御により売電できなくなれば、コストメリットが出ないのではないでしょうか?
1.7 太陽光発電設備の機能など
 Q30-1 そもそも、太陽光発電設備とは何ですか?①
  ★川崎市・太陽光発電設備等に関するQ&A_42

 Q30-2 そもそも、太陽光発電設備とは何ですか?②
  ★川崎市・太陽光発電設備等に関するQ&A_43

 Q31 太陽光ではどの程度の発電ができるのですか?夜間や悪天候時は?
  ★川崎市・太陽光発電設備等に関するQ&A_44

 Q32 現在の国内における太陽光発電の導入状況は?
  ★川崎市・太陽光発電設備等に関するQ&A_45

 Q33 太陽光発電によるCO2削減効果は?
  ★川崎市・太陽光発電設備等に関するQ&A_46

2 制度に関するご質問
 Q34 市民に義務が課されるのですか?
 Q35 発電量が少ないと想定され、メリットが少ない(日射量、屋根面積が小さいなど)場合でも必ず設置しなければならないのか?
 Q36 義務を履行できない場合はどうなるのでしょうか?
 Q37 省エネの取組みは必要ないのですか?
 Q38 市の公共施設には太陽光発電設備を設置しないのか?
3 なぜ、川崎市がこれをやる?
 Q39-1 なぜ、川崎市が新たな制度をはじめるのか?①
 Q39-2 なぜ、川崎市が新たな制度をはじめるのか?②
4 その他
 Q40 太陽光パネルの製造、廃棄時のエネルギー(CO2排出量)が大きく、逆に環境問題を悪化させる原因となるのではないか?
  ★川崎市・太陽光発電設備等に関するQ&A_57
川崎市『太陽光発電設備について(Q&A(よくある質問)、導入シミュレーション、補助制度等)』(2023年2月9日)
  


市民環境会議開催 3月19日

22年度第2回市民環境会議『健康・快適で電気代も安心な新しい家づくりと暮らし方が総合会館とオンラインで開催され、多くの参加者がありました。
東松山市の環境問題について(環境政策課)
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健康・快適で電気代も安心な新しい家づくりと暮らし方 ~今、住宅用太陽光発電が必要な理由~ (前真之さん)
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前先生のお話は多くのスライドを使ってわかりやすい内容でした。学習会後に動画が公開されないのは残念です期間限定(4月16日まで)で、講演内容がYoutubeで公開されています。


2023年度東松山市既存住宅太陽光発電設備設置補助金事業について(環境政策課)
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 エコハウスで健康・快適な家づくり
⽇本の住宅の問題点 「暖かく涼しい健康・快適な暮らしをいつまでも最小のエネルギーですべての人に」。その実現のためにまず必要となるのが熱や空気の移動を減らす「断熱・気密」。ところが、⽇本の住宅は低断熱・低気密と⾔われている。「床が冷たい」「窓周りから冷気が伝わる」「住宅内で部屋間の温度差が大きい」といった、断熱性能が低いことに起因する不満が多くあがっている。
⽇本の家の弱点は窓と床 窓について:古い家などで⽊製サッシを利⽤している場合、断熱性能や気密性能はほぼゼロ。隙間から外の冷たく重い空気がどんどん侵入してくる。 床について:⽇本の家はたいてい床下空間を持っている。床下は外気がそのまま通り抜けるようになっているから、 その上に隙間だらけの板を乗せただけでは冷たく湿った外気が屋内に侵入してくる。その上で暮らしていれば、足もとが寒いのは当たり前。さらに気密性の低い住宅では、エアコンの暖気が床まで届かないという問題も発生する。「断熱・気密が足りないと、いくらリビングを暖房しても、その熱が家中に回らない。家の中で暖かいところ、寒いところがあると、血圧の急激な変化を起こす『ヒートショック』の原因となり、健康上も良くない。
断熱強化のカギ①窓の強化 高断熱の家が欲しいと思ったら、まずは窓をしっかりしたものに。窓の断熱・気密性能は急激に向上している。外気温が低いにも関わらず、断熱性が高い窓ほど熱が逃げず、室内の温度が高くなっている。Low-E複層ガラスや樹脂サッシ。
断熱強化のカギ②床の強化 床の断熱強化にはふたつの方法がある。床に断熱材を詰める「床断熱」と、基礎の⽴ち上がりの部分に断熱材を入れ、ある意味で床下空間を室内に取り込んで基礎から逃げる熱を減らす「基礎断熱」。床下空間が残ったまま、かつ床表面を積極的に暖めることがない限り、床表面の寒さは残ってしまう。だから床下空間がない工法と、床表面を暖めることのできる床暖房をすみずみまで敷設する工法を組み合わせれば、足元も部屋全体も暖かい状況をつくり出せる。快適さだけではなく健康のためにも、家のすみずみまで暖かいことが必要。「ヒートショックを防⽌できる洗面所・バスルーム」「料理をするのが楽しくなるキッチン」「快適に休養を取り、英気を養うことができる家」。

噂を検証・「家が健康を左右する」ってほんと? 3月18日 

新建ハウジングの『だん』12号(2022年4月)は「住まいと健康の深い関係」を特集しています。伊香賀俊治さんの「噂を検証 「家が健康を左右する」ってホント?」を読みました。
だん12号

噂その1 病院に通う頻度が減った 医療費が減った
 図1 断熱改修による入院率の減少
 図1
2020年に医学雑誌に掲載されたニュージーランドの調査では、約20面世帯で断熱改修の前と比べると、何らかの疾病で入院する頻度が明らかに減少した、という結果がでている。

 図2 高血圧予防から見た室温
 図2
国土交通省「スマートウェルネス住宅等推進事業」の調査(SWH調査)では、断熱改修することによって起床時の最高血圧が約3.1㎜Hg低下するという効果が明らかになっている。

 図3 各種疾病予防から見た室温
 図3
室内の温度が18℃未満である場合、18℃以上の家と比べて高血圧、糖尿病、脂質異常症などの疾病患者数が約1.5倍前後多いことも判明。関節症は18℃未満だと2.74倍、腰痛は2.83倍も患者数が増える。内臓だけでなく、関節にも室温の影響が及んでいる。

噂その2 室内が暖かいと介護の負担が減る。
 図4 介護予防から見た室温
 図4
2019年に日本建築学会環境系論文集に掲載された調査では、冬季の居間の平均室温が14.7℃の家よりも17.0℃の家の方が、要介護状態になる年齢が約2.9年遅くなる、ということがわかった。

噂その3 子どものアトピー症状が軽減した
 図5 子どもの疾病と諸病状の分析
 図5
SWH調査では、12歳未満の子どもを対象にした室内の温度・湿度と健康の関係のデータも調べている。居間の床付近の温度が16.1℃以上の住宅だと、16.1℃未満の住宅よりも喘息の子が約半数も少ないという結果。アレルギー性鼻炎については、床上の気温が18℃未満で湿度40%未満の家だと、40%以上60%未満の適正な湿度の家と比べて、約2.5倍多くなる。逆に居間の湿度が60%以上の家だと、アトピー性皮膚炎であるケースが約1.9倍多い。居間の温度が低いことに加えて、乾燥していたり、湿気が多すぎたりするのは、子どものとって健康的でない環境であるということ。

噂その4 子どもの運動量が増え活発になった
断熱改修前後の幼稚園で子どもたちの活動量を測定した調査では、改修後、温熱的に快適になった環境では1日の活動時間が平均12分ほど増えた。別のいくつかの幼稚園を比較した調査では、特に高断熱仕様の建物で床下温風式の床暖房を採用し、無垢の床材を張っていて足元が暖かく感じられる幼稚園では園児がもっとも活発。

噂その5 奥さんが元気になった
 図6 女性の疾病予防から見た室温
 図6
女性は男性よりも筋肉量が少なく基礎代謝が低いため、寒冷環境の影響を受けやすい。気密・断熱性能の低い家で室温が低い状態を過ごしていると、交換神経が緊張して、体温を奪われないように血管が収縮。体内を流れる血流の量が減り、手足の末端まで血流が行き届きにくくなり、冷えに悩まされることになる。交感神経が長時間活発になると、副交感神経の働きは低下するので、PMS(月経前症候群)が発生する可能性が高くなる。居間が寒いと1.29倍、居間の足元が寒いと1.44倍、廊下など居室以外が寒いときには1.45倍、その患者数が多くなる。

噂その6 ぐっすり眠れるようになった
 図7 空調方式と入眠潜時・睡眠効率
 図7
ZEH水準で、部屋ごとにエアコンが設置されている個別空調の家(排気を換気扇等で強制的に行い、給気口から自然吸気で外気を取り入れるので、外気に含まれる温熱や湿気をそのまま室内に取り込む)と、全館空調の家(吸気・排気とも機械設備で行うので、外気の熱を調整し、湿気を取り除いた空気を室内に廻らす)との比較。全室空調の家は個別空調の家よりも、起床時最高血圧が4.1㎜Hg低い。夏季の睡眠については、全館空調の家では、個別空調の家よりも入眠潜時は0.6倍に短縮、睡眠効率は1.09倍高い。寝付くまでの時間が短くなり、睡眠がとれている時間も長くなる。「ぐっすり眠れるようになった」と感じる。

噂その7 勉強や仕事の効率が上がる
 図8 オフィスの温熱環境と知的生産性
 図8
温熱効果が良好であれば健康の負担が減る。その結果として仕事の効率も高まる。オフィス内での空調が適切に使用されている状態でもっとも作業効率が高くなっている。

健康省エネ住宅の啓発リーフレット(日本サスティナブル建築協会、2020年)
  国の健康省エネ住宅の啓発リーフレット_1国の健康省エネ住宅の啓発リーフレット_2
  協力:国交省と厚労省が相乗り←画期的
  省エネ住宅:断熱性の高い住宅

 
目次:00:00 オープニング
  9265
02:02 WHOが勧告する最低室温18℃
   9267
03:37 寒冷地ほど、死亡リスクが少ない?
   9270
05:21 家の断熱性と死亡リスクの関係
   9273

06:42 国が推奨する健康住宅とは?
   9274

07:32 寒い家ほど健康リスクは高くなる!?
   92759276

12:48 エビデンスで証明された健康リスク
   9277

15:04 女性は、より暖かくするのが理想
   9278
16:46 省庁連名で健康住宅啓発はじまる
17:55 暖かい家は、子どもが活発に!
   9279
19:24 暖かい家は、子どもが健康的!
21:13 暖かい家なら脳年齢を若く保てる
   9282
23:43 暖かい家ほど、要介護期間が減る?
   9285

24:41 足元が暖かい家で冷えを抑制!
   9287
25:31 足元が暖かいと生産性が向上!
   9288
26:58 視聴者へのメッセージ

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★「住宅×健康」★jimosumu(ジモスム)住宅の断熱性能向上と健康の関係2023.01.23 等から検索
伊藤真紀「住宅の断熱リフォームと健康の関係〜国土交通省スマートウェルネス住宅等推進事業調査から〜2019.06.12  建築再生展2019 住宅リフォーム推進協議会セミナー
1. 住環境と健康、2. 日本版エビデンスの必要性、3. 得られつつある知見。4. 断熱改修事例

 住宅の温熱環境と健康の関連_01


高断熱住宅で暮らすとどんなメリットがあるのか。どうして高断熱住宅に住むべきなのか。住まいと健康、そして断熱性能の関係について調査・研究を続けている近畿大学建築学部学部長の岩前篤教授が解説。
●健康リスクが減り症状が改善。生活が変わり暮らしやすい家に
高断熱住宅は家が暖かく、涼しくなる。高断熱化の最大のメリットは、健康リスクを軽減し健康長寿に貢献すること。日本の家はこれまで「快適」を追求し、健康長寿という視点が抜けていた。快適を追い求めても健康長寿を得ることはできない。
  ●高断熱化が遅れた日本はいまだに「採暖」が中心
  ●室内の温度差で心臓発作や脳卒中に
  ●低温で免疫機能も低下。重ね着はストレスに
  ●高断熱住宅への引越しで健康状態が大きく改善
  ●高断熱化と室温、血圧の関係も明らかに
  ●民間の断熱基準「HEAT20」が目指す室温と断熱性能提示
  ●医療費と光熱費の削減で高断熱化のコストは回収

jimosumuの記事から「住まい×健康の専門家が解説!高断熱住宅で暮らすメリット(後編」2021.02.22
●高断熱住宅は暮らしやすい家。家で過ごす時間も増えた
  ●「毛布が一枚減った」「洗面所も15~20℃に」
  ●「お風呂のお湯が冷めにくく」「ひどい結露とカビが解消」
  ●寒くない吹き抜け実現。プランの自由度も増す


22年度国土交通省 国土技術政策総合研究所(国総研)講演会『気候変動への対応~国土交通グリーンチャレンジに向けた国総研の取り組み~2022.12.08
 国総研講演会(20221218)_1

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『健康で快適な暮らしのためのリフォーム読本』 3月12日

前真之監修・編集制作 新建新聞社/新建ハウジング『健康で快適な暮らしのためのリフォーム読本』(暮らし創造研究会発行、2020年)を読みました。
リフォーム読本_01
寒さは我慢すべき宿命ではなく「解決」しなければならない課題(前真之)
「冬は寒くて当たり前」「凍えながら我慢するしか仕方がない」――日本の家に住んでいる人たちの多くは、冬の寒さは避けられない宿命のようにとらえてしまっているのではないでしょうか。しかし、住まいの寒さがもたらす「ヒートショック」などの健康被害が知られるようになり、寒さは我慢すべき宿命ではなく、「解決」しなければならない課題としてしっかり対処すべき時代になりました。
新築の家では近年になって高断熱・高気密化が急激に進み、冬暖かい家が普通に手に入るようになりました。一方で、今建っている既存住宅の多くは、建物の性能不足と暖房の不備から、単に寒いだけでなく健康にもよくない温熱環境のまま取り残されています。
この読本を通して多くの方々に、寒さは解決しなければいけない問題であると認識していただくとともに、解決に向けた具体的な行動・選択をしていただき、暖かく健康な暮らしを手に入れていただきたいと願っています。……
はじめに
  日本の家の現状(改修前)1980年築
 日本の「普通の家」はこんなに寒い
 リフォーム読本_05

1 今の家の不満
  建物の性能が低く暖房設備が不適切だと、寒い・不快・暖房費が高い健康リスクも!
 今の家の不満は「冬の寒さ」
  「冬の寒さ」「夏の暑さ」「光熱費」といった快適性やエネルギーに関する部分について不満を感じている人が多くいます
 「床の冷たさ」や「温度差」がイヤ
  「寒い家」の不満として特に目立つのが「床が冷たい」ことや「脱衣室、浴室、トイレなど暖房をしていない部屋が寒い」ことです。

2 あったか知識
 「寒い家」が体にもたらす悪影響
  ヒートショックが常識に
  寒い家は体に悪い
  健康に過ごせる室温とは?
  リフォーム読本_08
 空気温度ではなく「作用温度」に注目!
  「作用温度」を整えることが快適で健康な室内環境のカギ!
   作用温度(体感温度)≒〔(壁・床・天井等の)表面温度(放射温度)+空気温度〕÷2
  高断熱+床暖房なら空気温度を上げずに快適性確保
  リフォーム読本_09
 「暖かい家」は建物と暖房でつくる
  まずは建物性能の確保。「断熱」「気密」を高めよう
  次に建物性能に合わせた暖房設備の選択を
  リフォーム読本_10
 リフォームこそ床暖房がおすすめ
  リフォームにこそ床暖房が有効なワケ

3 リフォーム経験者のホンネ
 断熱リフォームのメリットは?
 断熱までやるリフォームは多くない?
  他の工事の“ついで”に断熱リフォーム

4 ベストなリフォームを見つけよう
 リフォームの3つの不安と解決方法
  費用の不安
   生活する範囲を1階に絞り、そこだけ断熱リフォームする「1階おまとめ」でコストカットと暖かさを両立!
  工事中の不安
   工期も短く、家で生活しながら断熱リフォームする「居ながら工事」で引っ越ししなくても簡単あったか!
  仕上がりの不安
   「とってもあったかい」プランで暖かさと暖房費の目安を確認しよう!
  リフォーム読本_14
 「あったかリフォーム」4つの断熱プラン
 リフォーム読本_15
  リフォームプラン1 1階の窓だけを断熱強化
   簡単居ながら工法 内窓だけ取り付け
   本格工法 カバー工法
  リフォームプラン2 1階の窓と床を断熱強化
   簡単居ながら工法 床下断熱施工+温水マット後置き
   本格工法 床下断熱施工+温水パネル設置
  リフォームプラン3 1、2階の窓と床、天井をを断熱強化
   簡単居ながら工法 天井裏を断熱
   本格工法 天井を取り除いて断熱
  リフォームプラン4 住宅全体を断熱リフォーム
   簡単工法 内側改修タイプ・外付加タイプ
   本格工法 完全スケルトン化

 あなたにピッタリのあったかリフォームを見つけよう
  STEP1 断熱を強化する部位と生活範囲を決めよう
  リフォーム読本_24
  STEP2 エアコン?床暖房?暖房方式を決めよう
  リフォーム読本_25
 
 断熱リフォームの経験者に聞いてみたよ!

 断熱リフォームは丁寧な施工が大事!
 リフォーム読本_27
おわりに
 断熱リフォームとセットで考えたい床暖房
 リフォーム読本_28

 寒い浴室は浴室暖房で暖かく
 リフォーム読本_29

なぜ暖房しているのに不快なのか、快適な住まいにするにはどうすればよいのか。前真之さんの解説。
●採暖で得られるのは快適ではなく快感
1
●目指すは暖房による「快適」バランスの仕組みを知る
こうした快感と快適は大きく異なる。短い時間にだけ得られる快感とは異なり、快適はずっと長く続く。目指すべきはこの快適の方。一番大事なのは「体内からの代謝熱=体表面からの放熱」が釣り合うこと。
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人間の体の中では常に熱が生み出されており、それによって体温を正常に維持している(代謝熱)。体の表面からは、周辺の環境に熱が放出されます。冬の室内では、空気への対流・壁への放射という2つの放熱ルートがメイン。この「代謝熱量」と「放熱量」のバランスが肝心。
冬に周辺環境が低温になると、体表面からの放熱量が増加し、「代謝熱量<放熱量」の状態になります。このままでは体が冷え切ってしまいますから、体は血流を絞って皮膚の表面温度を下げ、放熱量を減らします。
こうして皮膚の表面温度が下降する際に体のセンサー(冷点)が感知して「寒い」という感覚が生み出されるのです。
寒い時に代謝熱量と放熱量のバランスを取り戻すには、体を動かして代謝熱を増やす、着衣量を増やして放熱量を減らす、などの方法があります。
ですが、ずっと体を動かし続けるのはしんどいですし、着衣が厚すぎるのも不便。そこで、「暖房」が必要になります。
暖房により空気と壁の温度を高く保つことで、体表面からの対流(→空気)と放射(→壁)による放熱量が自然に減少します。無理に放熱量を絞る必要がないので血流を増やし、体表面温度も高くできます。皮膚表面の冷点も寒さを感じなくなり、血流も増えて体全体の温度が上昇します。寒さを感じることなく、体も心もリラックスしたままずっと長く居続けることができるのです。
暖房とはこのように、人の周りの空気と壁の温度を整え、快適性を確保することなのです。
●暖房設備に頼る前に建物の高断熱・高気密化を
ストーブやヒーターなどの採暖機器で、一時の快感は得られる。しかし本当の快適を得ることは難しく、また体の各部位の温度が極端に異なり、血流も絞られるために、健康にも悪影響がある。断熱・気密の技術がなく、また熱と煙を分離できなかった時代のやり方。エアコンは温風を出して部屋を暖めようとするが、高温の暖気は軽いので、上に浮き上がって隙間から屋外に漏れる。逆に外の低温の冷気は重いので、下の隙間から侵入してくる。このため室内の上下で大きな温度ムラが発生し、足元が寒いまま、頭だけが暑くなってしまう場合が少なくない。顔に高温の空気があたると乾燥感の原因にもなる。
こうした温度ムラの原因は、暖房設備だけでは解決しません。建物の気密と断熱が不可欠なのです。気密により、暖気の漏れと冷気の侵入を防げます。断熱により、暖房に必要な熱が減少するので、エアコンは高温の温風を吹く必要がなくなります。壁の表面温度も上昇し、体全体を包む温熱環境全体が穏やかになります。
「本当の暖房」、つまり「暖かい空間」を実現するには、まずは建物の断熱・気密性能をしっかり確保することがなにより肝心です。建物の基本性能をしっかり確保した上で暖房設備により少しの熱を加えることで、本当に快適な温熱環境をつくることができるのです。

前真之「冬に備える家づくり」(2015-16) 3月8日

日経新聞電子版に2015年12月から16年1月に7回連載された前真之さんの「冬に備える家づくり」シリーズ。エコハウスのウソ』(2012年6月発行)は、15年12月に第2版『エコハウスのウソ(増補改訂版)』になりました。

第1回 「採暖」の落とし穴  体に優しい快適暖房の条件(『日本経済新聞電子版』2015/12/14 6:30)
 「冬にストーブで体を温める」という考え方は、暖房の手段として必ずしも正しくない。建物のプランや外皮(外壁や窓など開口部)をきちんと設計することで、冬の暖房にかかるエネルギーを大幅に減らし、快適な室内環境をつくることができる。しかし現実的に可能な断熱では、なかなか「無暖房」というわけにはいかない。やはり暖房器具の助けが必要である。
■暖房は人体を加熱するにあらず
 夏の冷房時はもちろんのこと、冬の暖房時においても「人体は常に熱を放出している」。体の熱収支がプラスになるほど体を温めては、人間はオーバーヒートして死んでしまう。体からの対流や放射による放熱量が過大にならないよう、適度に空気や放射温度を整えるのが暖房の役割。体の一部は加熱されていても、体全体としては熱を放出している。火に当たっている「オモテ面」は、確かに加熱されているが、火に当たらない「ウラ面」は、空気への対流・壁への放射により冷却されている。
■片側だけ加熱の「採暖」は不快で危険
 「体の一部を加熱する」やり方は暖を採るということで「採暖」と呼ばれ、暖房とは明確に区別されている。日本では韓国のオンドルのような本格的な暖房が発展せず、囲炉裏や火鉢といった採暖で冬をしのいできた経緯がある。現在でも根強く残っているストーブや電気ヒーターは、こうした採暖のなごり。
■究極の快適暖房は「コメの空間」
 日本人にとって究極のメニューとは「コメ」。毎日食べても食べ過ぎず、栄養バランスのとれた主食。「究極に快適な冷暖房」とは毎日長時間いても不快に感じず体に負担とならない、「コメのような」空間をつくるものである。究極の快適暖房をつくることは容易ではない。その実現のためには、暖房設備だけではなく、建物の外皮性能をセットで考えることが不可欠。高断熱・高気密による暖房負荷低減と空気・放射両方の環境改善、そこに必要最低温の暖房設備が組み合わさった時、究極の暖房が実現する。

第2回 空気は怠け者  性質の理解が「快適暖房」への一歩(『日本経済新聞電子版』2015/12/21 6:30)
 質の高い暖房とは、人体全体から「バランス良く放熱ができる空間」をつくること。
■対流はボールの流れ・性能で伝熱力が決まる
 熱の伝わり方は3つ。「伝導」はパンチ。直接接触することで熱を伝える。「対流」はボール当て。ボール(空位や水の粒)がエネルギーを伝える。「輻射」はレーザービーム。何もない真空でもエネルギーを伝えられる。
■空気は"当たり"が弱い
■空気は「パス」がヘタ
 2-5
■空気は対流放熱が穏やか
 気は「当たりが弱い」「パスワーク下手」「コントロールに難」と、三拍子そろった迷プレーヤー、つまりただの"怠け者"。過度な期待は禁物。そもそも空気と水では、はなから勝負にならない。空気が水のように"働き者"だったらどうなるのか。20℃の水風呂に入ることを想像していただきたい。働き者の水はせっせと熱を奪い運び去ってしまうので、体はあっという間に冷え切ってしまう。空気の対流による穏やかな熱のやりとりのおかげで、我々は日々快適に過ごせるのだ。

第3回 「エアコン隠し」は厳禁  床暖房にも熱ロスの弱点(『日本経済新聞電子版』2015/12/23 6:30)
 「設備を隠す」という設計の美学に対して、省エネの観点から疑問を投げかける。
■エアコンは醜い、されど隠すべからず
 3-1
 見た目はスッキリであるが、これで暖房をすると空気は下に吹き出せず、暖かい(軽い)空気が上に滞留するだけで、全く暖まらない。屋外機。これまた見栄えがせず、風も音も出すので嫌われるが、それもこれもヒートポンプが外気の熱を集めているから。この屋外機こそ、ヒートポンプの「心臓」であるコンプレッサーを内蔵し、外気と熱をやりとりする主役。見苦しいからと囲っては、夏の排熱・冬の集熱に必要な空気の流れを妨げてしまい、エネルギー効率が大幅に低下。
■床暖房ラブのホンネは「設備を隠せる」
 加熱能力が小さいために立ち上がりに時間がかかる。床表面温度を上げれば加熱量を増やせるが、身体に直接触れる床暖房では低温やけどのリスクがあるので限界がある。
 床暖房は放熱パネル下面や配管からの熱ロスが大きく、また熱源効率に限界があり、エネルギー効率が低くなりがち。床暖房で省エネするには、高効率な熱源や放熱パネルの採用・床下や配管の断熱強化など、注意深い設計と施工が不可欠。
■寡黙な電気ヒーターのエネルギー効率は「最悪」
 エネルギー効率は最悪だ。電気で暖房・給湯をする場合には、空気熱を集めて効率を稼ぐヒートポンプ式を絶対に選ぶことをお勧め。
■全ての細部が必然
 設備のディテールを知ることが、真のエコ設計への近道。

第4回 小型で高効率がベスト エアコン選びの極意(『日本経済新聞電子版』2015/12/28 6:30)
■年間エネルギー効率が高いエアコンを
 まずは何より、少ない電気で多くの熱を取り除いてくれる「エネルギー効率の高い」エアコンが望ましい。このエネルギー効率は「年間エネルギー効率:APF(Annual Performance Factor)」と呼ばれ、カタログや省エネラベルに必ず記載されている。
 能力が大きい機種ほどAPF が低下している、つまりエネルギー効率が低い。エアコンの屋内機や屋外機のサイズは、能力の差ほどには変わらない。5.0kW の機種が、2.5kW の機種より2 倍大きいわけではない。特に屋内機は日本家屋の柱の間に収まるよう、幅800mm 以下に抑えられている。自動車でいえば、全ての車種が「軽自動車」の車格に抑えられているようなもの。
■エアコンの効率向上はもはや限界に
 最近になってエアコンの効率向上が限界に達しつつある。現実的なコストでできる対策がほぼやり尽くされ、ハードウエア的な改善が限界に来ている。10年後に今のエアコンを買い替えたとしても、もはや大きな節電効果は望み薄。ハードウエアの改善のアテがなくなった今、さらなる省エネのためには「建物性能の向上」と建物性能に見合った「適切なエアコンの選定や配置計画」が重要になってきている。
■「◯◯畳」の目安は断熱等級3
 カタログに記載された暖冷房能力の目安「◯◯畳」という表示は、断熱等級3程度の貧弱な建物性能を想定したもの。
■つつましい冷房ができるプランを
 蒸し暑くなれば冷房はどうしても必要。プランを決める際には通風だけでなく、冷房をした時に効率良く冷やせることもきちんと考えておきたい。

第5回 エネルギー爆食住宅追放へ 「H25基準」のインパクト(『日本経済新聞電子版』2016/1/4 6:30)
 オイルショック直後の1980年(昭和55年)に住宅の省エネルギーの基準を初めて制定。1991年(平成4年)と1999年(平成11年)の2 度にわたってレベルアップを図ってきた。1980年、1991年、1999年の断熱のレベルは、それぞれ「断熱等級2」「断熱等級3」「断熱等級4」と呼ばれる。1999年の「断熱等級4」は、「H11基準」とも呼ばれる。ただし、こうした断熱基準は義務ではなかった。「守りたい人は守ってくださいね」という、任意の推奨にすぎなかった。必須ではない以上、この基準を満たしている住宅は長らく普及しないままだったのも無理はない。
■エネルギーを規制していなかったH11基準
 2011年の東日本大震災以降、エネルギー事情が急変するなかで、2013年(平成25年)に省エネ基準を大幅に改正。この通称「H25基準」の目玉は、なんといっても「義務化」。大きな建築物から徐々にH25基準を必ずクリアしなければならなくなり、2020年までには住宅を含めて全ての建築物において必須の規制となる。耐震基準と同じく、満たしていなければ確認申請が下りなくなる。「省エネあらずんば建てるべからず」の時代が、ついにやってきた。
■消費エネルギー量そのものを規制
■1次エネを「爆食」する電気生焚設備
■H25基準は「15年前の外皮」+「時代遅れの設備」
 H25基準の基準値はどのように決められたのか。建前としては、先の「H11基準の断熱・日射遮蔽を施した外皮性能」に、「2010年ごろに一般的だった機器」を組み合わせた場合とされている。しかし、H11基準は既に15年以上も前の外皮基準であり、現状ではごく当たり前にできるレベル。設備についても照明には白熱灯が含まれ、給湯も従来型のガス給湯器になっているなど、既に「時代遅れの機器」が多く想定されている。H25 基準の基準値はかなり大きく、レベルは低い。エネルギー効率が多少悪い建物や設備計画であっても、エネルギーを大量に使う給湯機を省エネ型にするなど少しの努力で楽々クリアできる程度のレベル。
■H25基準は「ミニマム」
 義務化にはもちろん一定の効果がある。"札付きの不良"な住宅や設備を排除する「底上げ効果」は確かに期待できる。しかし全ての住宅が無理なくクリアできるよう、そのレベルは「バカなことをやらなければクリアできる」程度にならざるを得ない。「H25基準を満たしているから省エネはバッチリ」などとは、なりようがない。H25基準は、エネルギー爆食住宅を市場から排除することが当面の使命なのである。過剰な期待は避け、より高い次元の住宅性能の確保に努めるべき。

第6回 静かなブーム「薪ストーブ」 後悔しないための心得(『日本経済新聞電子版』2016/1/19 6:30)
 情緒豊かで環境にやさしい薪ストーブが静かなブームになっているが、実は薪ストーブは"手ごわい"暖房器具。
■薪かペレットか、それが問題だ
 6-3
■薪の用意は計画的に
 薪ストーブを選ぶのであればペレットと電気の恩恵を受けずに、「独力」で上手に木を燃やす必要が出てくる。最初のハードルは、薪を「計画的」に入手するコネの確保。そして薪は遅くとも「1年前」に割っておくこと。木はしっかり乾燥させることが不可欠。しけっていても薪は燃えるが、せっかく得られた熱の多くが薪の水分を水蒸気にするのに使われてしまい、薪を燃やした割には室内に熱が出てこない。効率が悪い。薪を割って軒下に積んでおくのは、カリカリに乾燥させて水分に熱を"盗まれない"工夫。
■1日の必要量は10kg以上
 事前に割っておくべき薪の量。薪1kg当たりの燃焼熱量は、20MJ(メガジュール)弱。同じ1kgの灯油の熱量は40MJ 以上なので、薪は灯油の半分程度の熱量しかない。つまり灯油1 缶(18L=14.4kg)分の熱量を得るには、約30kgもの薪が必要になる。1日の暖房にどれくらいの薪が必要になるのだろうか。暖房に必要な熱量は家の断熱性にもよるが、冬であれば200MJ程度が一つの目安。1日に10kg以上の薪が必要ということになる。 冬が何カ月も続くことを考えれば、10kg×100日=1000kgということで1トンのストックは必要ということになる。薪を割る作業自体、相当な重労働。薪を「買ってくる」のも一案。ただし、薪は買うとなると結構高い。「どこかからもらって」「自分で割って」こそ薪はコストパフォーマンスが良い。

第7回 情緒豊かでも手ごわい、薪ストーブは「ポジションが命」(『日本経済新聞電子版』2016/1/22 6:30)
 7-1
 薪ストーブの放熱は主に「放射」、サブで「対流」によって行われる。放射というと家中の隅々にまで届くという神秘の力を期待されがちだが、それは大きな間違いだ。薪ストーブは空間全体に比べれば小さなモノなので、赤外線を四方八方に放射する「点」といって差し支えない。
■煙突を侮るべからず
 7-2
 木に限らずモノが燃えるためには、燃焼に必要な空気がきちんと供給され、かつ煙がスムーズに排気される必要がある。ペレットストーブの場合は、電動ファンの力で給気・排気を強制的に行うことができる。一方、薪ストーブの給気・排気の動力は、加熱され軽くなった煙が自然と上昇する「煙突効果」だけしかない。
■素人仕事は危険がいっぱい
 冷地の郊外ではバイオマス暖房普及のポテンシャルが特に高そう。近くに森林資源が豊富で、薪やペレットの安定供給が期待できる。スペースに余裕があるのでストーブの置き場所や薪を乾燥させるための保管場所も確保でき、何より生活スケジュールにも柔軟性がある。寒冷地では日射不足や積雪・外気温の低さのため、太陽熱やヒートポンプといった"ライバル"も効率が低くなる。エネルギー効率の面からも、薪ストーブは相対的に有利。

usuk0824「断熱等性能等級4は寒い? 等級3との違いや基準値について解説」(昇高建設株式会社『418BASE』2022年12月6日記事)
usuk0824ペレットストーブは後悔しやすい?新築で失敗しないために注意すべき3つのこと」(昇高建設株式会社『418BASE』2022年12月6日更新記事)

宿谷・三澤・前「冬に備える家づくり」(2014-5) 2月25日

日経アーキテクチャに2014年10月から15年1月に6回連載された「冬に備える家づくり」。「家は夏を旨とすべし」。吉田兼好の「徒然草」から引用されたこの言葉が、日本の家づくりに大いなる誤解を招いているとして、「冬を旨とした家づくり」のために知っておきたいポイントを宿谷昌則さん、三澤康彦・三澤文子さん(『立てる前に読む 家づくりの基礎知識』日経BP社、2014年9月の第1章、第2章)、前真之さん(『エコハウスのウソ』日経BP社、2012年6月)が解説しています。
 家づくりの基礎知識

第1回 宿谷昌則「暖房の前にまず「断熱」 失敗しない家づくりの常識」(『日経アーキテクチュア』2014年10月16日)
「断熱」の基礎知識
 1-41-51-7

第2回 宿谷昌則「意外に知らない「遮熱」と「断熱」の違い」(『日経アーキテクチュア』2014年10月22日)
遮熱と断熱の違い
 2-C2-A2-4

第3回 三澤康彦・三澤文子「本当に怖い「内部結露」 断熱材取り付け誤ると命取り」(『日経アーキテクチャ』2014年10月30日)
冬場の快適性を高めるためには、まず断熱性を高めることが重要。断熱材の取り付け方を誤ると、「内部結露」という家の寿命を縮めかねない危険な状況に陥る。
 3-23-33-4

第4回 前真之「エコハウスのウソ 実は少ない冷房の電力消費」(『日経アーキテクチュア』2014年11月11日)

「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。暑き比[ころ]わろき住居[すまい]は、堪へ難き事なり。」 よく知られた『徒然草』の一節。この「夏を旨とすべし」はエコハウス設計に「害」をもたらしている。通風だけで夏を過ごそうと、大開口による「開けっぴろげ」で、間仕切りなし+吹き抜けの「開放的」な住宅が量産されている。

 ■通風や扇風機だけでは限界
 ■冬への備えは不可欠
 ■視覚イメージと実際のズレ
 ■給湯・照明・家電はなぜ多い
  4-6

第5回 前真之「おしゃれな「吹き抜け空間」は省エネの敵」(『日経アーキテクチュア』2014年11月20日 )
大きな吹き抜け空間があっても、そこにイメージどおりに風の流れを作るのは簡単ではない。冬の暖房が難しい。
 ■エアコンもファンヒーターもジレンマに直面
 ■無人の空間を暖房するハメに
  5-A5-3

第6回 前真之「エアコン「暖房に不向き」はウソ 正しく使い最強の省エネ」(『日経アーキテクチュア』2015年1月4日)
エアコンが暖房に向かないと思っている人は少なくない。「省エネ」のためにエアコンよりも電気ヒーターや電気カーペットを使っているとしたら、それは明らかに判断を誤っている。
 ■エアコンの心臓「ヒートポンプ」
 ■「風量控えめ」は省エネにあらず
 ■小型2台で柔軟な運転
  6-26-3
   6-46-5

 

前真之「エコハウスのウソ」(2011年) 2月21日

前真之さんが建築総合誌『日経アーキテクチュア』(日経BP社)に2011年に連載した「エコハウスのウソ」を読みました。全16回の連載終了後、テーマ数を28に増やし、書き直された書籍が『エコハウスのウソ』(日経BP社、2012年6月発行)です。連載第1回が書籍のQ4に当たります。書籍の目次は2月14日記事にあります。

前真之「エコハウスのウソ」(2011年)
第1回 住まいは夏を旨とすべし?
(『日経アーキテクチュア』2011年5月10日号)
 夏は湿度と風でしのげる
 「エコハウス」の真実
 「良さげ」でなく「良い」家を
 2011-1

第2回 冷房のエネルギーが一番?
(『日経アーキテクチュア』2011年5月25日号)
 エネルギーを使っているのは
 給湯、照明、家電はなぜ多い
 誤解の原因は前月との比較

第3回 「パッシブ」で暖房は解決?
(『日経アーキテクチュア』2011年6月10日号)
 大窓の“エコハウス
 原理は簡単だが

第4回 空気は働き者?
(『日経アーキテクチュア』2011年6月25日号)
 空気は熱を「運ばない」
 空気は「届かない」

第5回 「気密」は息がつまる?
(『日経アーキテクチュア』2011年7月10日号)
 問題1:暖房するほど寒くなる
 問題2:断熱が効かない
 問題3:換気ができない
 やはり気密は不自然?
 2011-5

第6回 吹き抜けは最高?
(『日経アーキテクチュア』2011年7月25日号)
 温風が床に届かない
 無人の空間を暖房するハメに

第7回 もっと光を?
(『日経アーキテクチュア』2011年8月10日号)
 「もれなくオマケ」の日射熱
 足元に忍び寄る冷気

第8回 通風はクール?
(『日経アーキテクチュア』2011年8月25日号)
 クールな空気を探せ
 まず間隔、次に平面計画
 「過度な期待」をクールダウン

第9回 隠せばハッピー?
(『日経アーキテクチュア』2011年9月10日号)
 エアコンは隠すな
 「床暖房ラブ」の真実
 好都合な電気ヒーターは「×」
 設計が設備を飲み込むために
 2011-9

★10回~12回は太陽光と太陽熱の比較
第10回 ソーラーは太陽光発電だけ?
(『日経アーキテクチュア』2011年9月25日号)
 エコハウスのお約束
 太陽光発電は必要か
 電気は「りんごジュース」
 太陽光の圧勝か
 2011-10

第11回 エネルギーは創り出せる?
(『日経アーキテクチュア』2011年10月10日号)
 エネルギーを「創り出す」?
 化石エネルギー中毒
 太陽がない時に必要
 2011-11

第12回 屋根に太陽光発電を載せるべき?
(『日経アーキテクチュア』2011年10月25日号)
 自立といってもパラサイト
 ライバルは「田んぼ」
 太陽熱に必然あり
 2011-12

第13回 省エネよりもゼロエネ?
(『日経アーキテクチュア』2011年11月10日号)
 省エネは時代とともに変化
 ゼロエネの行き着く先は?
 2011-13

第14回 CO2は減らすべき?
(『日経アーキテクチュア』2011年11月25日号)
 CO2は計算できる?
 カネの切れ目で排出権も
 まずは「省コスト」から

第15回 オール電化はオールエコ?
(『日経アーキテクチュア』2011年12月10日号)
 ヒートポンプも使い方次第
 安けりゃいいじゃん?
 結局、原子力をどうするのか
 2011-15

第16回 結局、エコハウスは必要?
(『日経アーキテクチュア』2011年12月25日号)
 エコは「様式」にあらず
 まともな「暮らし」してますか
 エコハウスは何のため?
 2011-16

※FIX窓[フィクス窓]=開閉ができない「はめ殺し窓」

前真之『エコハウスのウソ』(2012年)② 2月14日


第4章 暖房
断熱・気密をしっかりとったとしても、なかなか「無暖房」は難しい。寒い冬を過ごすには、暖房の助けが不可欠である。ところが日本では暖房の「模範解答」が見つかっていない。快適で省エネな暖房はどうあるべきか、そもそも暖房とは何なのか、考えてみよう。
Q14 暖房で体を暖めよう?
  A.体を加熱するには「採暖」。暖房は空気や壁を温めて体の放熱を穏やかにするのが目的。
  熱の伝わり方は3通り[伝導・対流・放射]
  暖房は人体を加熱するにあらず
  片側だけの「採暖」は危険
  究極の快適暖房は「コメの空間」

Q15 空気は働き者?
  A.空気は「対流」で熱を伝える主役。決して優秀な働き者ではないが、おかげで我々は快適に過ごせる。
  対流はボールの流れ、ボールの性能で伝熱力が決まる
  空気は「当たりが弱い」
  空気は「パスがヘタ」「コントロールも難」
  空気が働き者だったら困ります

Q16 エアコンは暖房に向かない?
  A.使い方を間違えなければ、エアコンは究極の暖房器具。風量「控えめ」は逆効果。
  エアコンの心臓「ヒートポンプ」
 16-128
  ヒートポンプは「熱のブローカー」
 16-130
  効率試験のための「隠しコマンド」も
  効率命1「爆風モード」の教訓とは?
  エアコンは大1うより小2つ

Q17 隠せばハッピー?
  A.エアコンを隠すと性能が大幅に低下する。床暖やヒーターなど「隠しやすい設備」にもご用心
  エアコンは隠すべからず
  「床暖房ラブ」のホンネ
  寡黙な電気ヒーターは「ご法度」
  全ての細部が必然

Q18 放射は暖房の救世主?
  A.放射は手強い。対流とのバランスを忘れずに。
  放射は一本やり
  暖炉の前のソファの秘密
  放射の正体は「電磁波」
  「究極の冷暖房」は6面冷温水パネル
  四方八方に目配りせよ

Q19 薪ストーブは原始的?
  A.薪ストーブはハイテク。ポイントは「置き場所」と「煙突」。素人判断は危険。
 19-149
  薪かペレットか、それが問題だ
  薪のご用意は計画的に
  薪ストーブはポジショニング命
  煙突を侮るべからず
  薪ストーブはハイテク、やるならトコトン

第5章 太陽エネルギー
「太陽光発電載せずんば家にあらず」の今日この頃。確かに発電できるのは魅力だが、それだけでいいのだろうか。そういえば太陽熱利用って最近耳にしないけど、やっぱりダメなのか。太陽から、電気と熱の「2大エネルギー」の特徴を考えてみよう。
Q20 ソーラー=太陽光発電
  A.エネルギーの質では電気だが、熱利用なら太陽熱温水器も。
  太陽光発電はなぜ偉いのか
  電気は「りんごジュース」
 20-164
  太陽光発電の圧勝か?

Q21 エネルギーは創り出せる?
  A.存在していたエネルギーを利用しやすい形に変換しているだけ。
  エネルギーを「創り出す」?
  化石エネルギー中毒の末路
  太陽がない時にこそエネルギーは必要
 21-170

 21-171

Q22 屋根に載せるなら太陽光発電?
  A.条件の良い場合はシッカリ載せる。悪条件なら諦めて他の自然エネルギーを。
  系統連携はパラサイト、火力発電は不可決に
  ライバルは「田んぼ」、マーケットでは過酷な競争が
 22-176
  太陽熱に必然あり

Q23 平時でも蓄電は美徳?
  A.平時には電気の出し入れのロスが発生するだけ。非常時も家庭ならば発電機の方が手軽。
  完全自立には巨大な蓄電池が必要
  完全自立にコストメリットはない
  「穴あき」のタンス預金
  電気はさっさと売り飛ばせ
  今度の計画停電では鉄道・病院は大丈夫
  非常時はカセットボンベ式の発電機でもOK
  「エコ」と「安心」は別のもの、冷静に見極めを

第6章 電力と検針値
節電が注目されるなか、「スマートハウス」や「ゼロエネ」といった様々なキーワードが飛び交っている。そういえば、ちょっと前まではCO2削減が最大の目標だった。こうした問題の多くは実際のところ、「電力」の事情がそのコアに存在する。このムツカシイ電力の問題について、いま少し考えてみよう。
Q24 HEMSは最強の節電ツール?


  A.現時点では、導入費用の元が取れるかは疑問。家庭内で最も有効な節約行動は「節湯」。
  HEMSのホントの評判は?
  HEMSはペイするのか?
  日本の検針票は世界一!
  コスト削減は節湯一番!
 24-194

Q25 省エネよりゼロエネ?
  A.省エネと創エネは将来、競合する可能性あり。住宅の基本は「省エネ」。
  省エネは時代とともに変化
  ゼロエネの行き着く先は?
 25-199
  家は器、王道は省エネ

Q26 目指せCO2削減?
  A.誰もが共有できる目標は「省コスト」。ただし現状では「歪み」も。
  CO2は燃やした燃料の種類で決まる
 26-202

 26-203
  金の切れ目で排出権も…
  昭和30年、電気は10倍高かった!
 26-207
  まずは一番ピンとくる「省コスト」から

Q27 オール電化はオールエコ?
  A.使用機器や使い方によっては「増エネ」を誘発してしまう場合も。
  ヒートポンプ給湯器「エコキュート」も使い方次第
  安けりゃいいじゃん?
  結局、原子力はどうするのか

第7章 エピローグ
これまで6つの章27のテーマにわたり、エコハウスを様々な視点から論じてきた。残念ながら「ホント」のテーマには、いまだにたどり着いていない。エコハウスとは結局何なのか、そもそも本当に必要なものなのかどうかさえ分からなくなる。本書の締めくくりとして、この最後のテーマを検証する。あなたはエコハウスが好きですか?
Q28 結局、エコハウスは必要?
  A.必要。ただし、真剣に議論して「本物」を育てなければならない。
 28-217

  エコは「様式」にあらず
  まともな「暮らし」してますか
  結局、エコハウスは何のため?

※松尾和也『エコハウス超入門~84の法則ですぐ分かる~』(新建新聞社、2020年8月)
 エコハウス超入門カバーエコハウス超入門44


前真之『エコハウスのウソ』(2012年)① 2月14日

3月19日(日曜日)に開催される環境学習会『健康・快適で電気代も安心な新しい家づくりと暮らし方~今、住宅用太陽光発電が必要な理由~の講師、前真之さんの『エコハウスのウソ~27の誤解と1つのホント』(日経BP、2012年6月)を読みました。この本は2015年12月に増補改訂版『エコハウスのウソ~40の誤解と1つのホント~(詳細な目次は当ブログ記事)、2020年8月に第2弾『エコハウスのウソ 2』(詳細な目次は当ブログ記事)が出版されています。読みやすい文章とイラスト、データも豊富で、3冊とも読んでおきたい本です。
エコハウスのウソカバー

前真之『エコハウスのウソ~27の誤解と1つのホント』目次
はじめに
 1. 実体験から得られた「真実」を率直に
 2. 特定の案件について誹謗中傷はしない
 3. 普通の人が呼んで楽しいものに?

第1章 冷房
「節電」が最大の関心事となるなかで、目の敵にされているのが「エアコン冷房」。しかし、住宅からエアコンをなくせば全ての問題が解決するのか。そもそもエアコンで冷房する個とは、そんなに「イケナイ」ことなのだろうか。

Q1 家のエアコンは節電の敵?
  A.まず頑張るべきなのはオフィス。住宅は、小さなエアコンで冷房できるように工夫すべし。
  電力ピークをもたらす主犯は?
  オフィスこそ「冷房中毒」、節電はここから
  本当に「暑い」なら、つつましくエアコン冷房を

Q2 エアコンなしで夏は過ごせる?
 2-18
  A.人間は暑さに強い動物だが、それは「汗が乾く」から。湿度の高い日本の夏に、「冷房なし」は熱中症の危険。
  人間はウマ並みに暑さに強い?
 2-20
  「日本の夏」は「アフリカの夏」より過酷
 2-21
  本当に「暑い」なら、頼りはエアコンだけ
 2-22

Q3 冷房が最大?
  A.給湯や照明、家電のエネルギーの方がはるかに多い。
  イメージと実際のズレ
  給湯、照明、家電はなぜ多い?
  誤解の原因は前月との比較、ベースの消費を見逃すな

Q4 住まいは夏を旨とすべし?
  A.夏と冬のどちらかを優先するならば「冬を旨とすべし」。
  通風オンリーは真の「夏旨」にあらず
  冬の備えは不可決
 4-32
 4-33

Q5 選ぶならハイパワーのエアコン?
  A.「能力過大」は効率に難。小さなエアコンで効率良く冷やせる工夫を。
  まずはAPF[円環エネルギー効率]の高いエアコンを選ぼう
  つつましい冷房ができるプランを
  冷房の最低限必要な電気は何W?
  太陽光発電と相性が良いエアコン冷房
  通風と冷房のバランス

第2章 夏への備え
冬が大事と言ってみても、やはり夏への備えは気になるもの。実は、夏への備えはそんなに難しくない。夏を涼しく過ごすためには、まずは侵入してくる熱を減らすのが先決。風への期待は「ほどほど」が一番。冷静な敷地分析とディテールを忘れずに。
Q6 暑さ対策は設計段階から完璧に?
  A.夏の備えは「後付け」上等。内部発熱も、日射熱も、完成後の対策で効果を発揮。
  「電子レンジの法則」熱量(J)=ワット(W)×時間
  内部発熱撲滅!「マラソン家電」をマークせよ
 6-47

  内部発熱100Wで温度は何℃上がる?
 6-49
  西窓は「小さく小さく」
  南窓は夏・冬のバランスを
  夏の備えは「後付け」上等

Q7 通風はクール?
  A.通風で涼をとることは、光条件の敷地でないと難しい。
  クールな空気を探せ
  まず隣棟間隔、次に平面計画
  「過度な期待」には秋風を

Q8 卓越風を信じよ?
  A.住宅地の風は気まぐれ。どの方向からの風も捉えられるよう、窓の工夫を。
  気象台は全知全能にあらず
  風は気まぐれ、建物1つ建てば「想定外」に
  風は風来坊、どんな向きでも乗りこなす工夫を
  風は人にぶつけよう
  「開けるのが楽しい窓」こそ通風の鍵
  「ディテール命」で風をつかまえよう

第3章 吹き抜け・大開口
設計者も建て主も夢中にさせる吹き抜け・大開口。写真写りの良い空間をつくり出すのに欠かせない夢のアイテムだが、安易な乱用は禁物。光・熱・空気のそれぞれに、やっかいなトラブルが吹き出すことになる。その真実を見ていこう。
Q9 もっと光を?
  A.むやみに窓を大きくすると明暗比が過大になり、かえって暗く感じる。
  人る員目は太陽光に最適化されている
  残念、強すぎる!
  大窓は部屋を「暗く」する
  天窓光をつかまえよう

Q10 大窓でダイレクトゲイン?
  A.太陽熱を窓から直接取り込むダイレクトゲインは、簡単そうに見えて、実はとても難しい。
  ダイレクトゲインは「攻め」の手法
  真冬でも「オーバーヒート」を警戒せよ
  RC造は理想の素材にあらず
  ガラスは透明?

Q11 吹き抜けは最高?
  A.暖房するのが非常にやっかい。温風が床に届かずムダが多い。
  温風が床に届かない
  無人の空間を暖房するはめに

Q12 次世代基準で断熱は万全?
  A.仕様やQ値[熱損失係数]だけでは省エネ性・快適性は保証されない。「ワンランク上」も検討を
  「できたらいいね」の省エネ基準
  「3つのルート」の怪
 12-95
  ルートいろいろ、ダイエットもいろいろ
  ルートCの「食材しばり」ではカロリー決まらず
  ルートBの「カロリー制限」も万能にあらず
  ルートAが無理なら「ワンランク上の仕様」に

Q13 気密は息が詰まる?
  A.気密は暖房の要。気密なしでは換気も効果半減。
  問題1:暖房するほど寒くなる
  問題2:断熱が利かない
  問題3:換気ができない
  やっぱり気密は不自然?

前真之『エコハウスのウソ[増補改訂版]』(2015年)② 2月13日

第4章 夏への備え
 冬が大事と言ってみても、やはり夏への備えは気になるもの。実は、夏への備えはそんなに難しくない。夏を涼しく過ごすためには、まずは侵入してくる熱を減らすのが先決。風や放射冷却への期待は「ほどほど」が一番。ともすると過剰になりがちな夏対策のホントを明らかにしていこう。
Q.19 通風はクール?
 通風で涼をとることは、光条件の敷地でないと難しい。
 クールな空気はどこにある?
 まず隣棟間隔をチェック、次に平面計画で両面開口を
 通風への過度の期待は「クールダウン」を

Q.20 卓越風を信じよ?
 住宅地の風は気まぐれ。どの方向からの風も捉えられるよう、窓の工夫を。
 気象台は全知全能にあらず
 風は気まぐれ、隣に建物1つで風向きは「想定外」に
 採涼の風は「人のいるところ」へ届けよう
 「開ける」のが楽しい窓」こそ通風の鍵
 「ディーテール命」で風をつかまえよう

Q.21 暑さ対策は夏専用のやり方でないとダメ?
 吹き抜けや大きな庇など、夏専用の対策はほどほどに。まずは「夏冬共通」の対策をしっかりと施すべき。
 夏専用の「通風偏重」がもたらす悲劇
 家の中に潜む内部発熱をリストラせよ!
 西・東の日射遮蔽は徹底、南はどうする?
 日射遮蔽は「後付け上等」でお気楽に
 屋根は防衛ラインを積み重ねて対処せよ
 解放的なプランを可能にしてくれる「断熱・気密」
 
Q.22 夜間放射で夏の夜もヒンヤリ?
 「放射冷却」は乾燥地帯で有効。雲が多く、湿度が高い日本では過度の期待は禁物。
 サーモカメラで空を見てみると……
 夜間放射の強さは湿度と雲の量で決まる
 高温多湿の日本では夜間放射は効かない
 放射冷却は両刃の剣、冬の冷え込みの原因にも
 日本では夏のメリットより冬のデメリットに注意

第5章 吹き抜け・大開口
 吹き抜け・大開口は、設計者も建て主も夢中にさせる「空間の魔術師」。見栄えの良い夢のアイテムだが、乱用すれば、光・熱・空気それぞれに、やっかいなリスクを抱え込むことになる。見かけの良さに隠された「不都合な真実」を見ていくことにしよう。
Q.23 吹き抜けは最高?
 暖房するのが非常にやっかい。温風が床に届かずムダが多い。
 温風は軽い。下に向いても床にはなかなか届かない
 吹き抜けがあると無人の空間を暖房するハメに

Q.24 気密は息が詰まる?
 気密は快適・省エネ暖房の要。気密なしでは機械換気も効果が半減する。
 問題1:低気密では暖房するほど寒くなる。
 問題2:低気密では断熱が利かない
 問題3:低気密では機械換気が機能しない
 それでも気密はやっぱり不自然?

Q.25 もっと光を?
 むやみに窓を大きくすると直射光で明暗比が過大になり、かえって暗く感じてしまう。
 人間の目は太陽光に最適化されている
 太陽の直射光は照明に強すぎる!
 太陽からの直射光は部屋を「暗く」する
 空に開いて天空光をつかまえよう

Q.26 大窓でダイレクトゲイン?
 太陽熱を窓から直接取り込むダイレクトゲインは、簡単そうに見えて、実はとても難しい。
 真冬でも「オーバーヒート」を警戒せよ
 ガラスは透明に見えても透明にあらず?
 RC造[Reinforced Concrete 鉄筋コンクリート造]は理想の素材にあらず。木造の熱量アップが課題

第6章 暖房
 断熱・気密をしっかりとったとしても、なかなか「無暖房」は難しい。寒い冬を過ごすには、暖房の助けが不可欠である。ところが日本では暖房の「模範解答」がいまだ見つかっていない。快適で省エネな暖房はどうあるべきか、そもそも暖房とは何なのか。分かっているようで分かっていないこの問題を、いま一度考えてみよう。
Q.27 暖房で体を温めよう?
 体を加熱するのは「採暖」。暖房は空気や壁を温めて体の放熱を穏やかにするのが目的。
 暖房は人体を加熱するにあらず
 27-263
 片側だけ加熱の「採暖」は不快で危険
 27-265
 究極の快適暖房はいつまでも飽きない「コメの空間」

Q.28 エアコンは暖房に向かない?
 使い方を間違えなければ、エアコンは究極の暖房器具。「必要最低温」が省エネのカギ。
 エアコンの高効率は「ヒートポンプ」のおかげ
 ヒートポンプは熱をつくらず、熱を移動させるのみ
 ヒートポンプは素晴らしい技術、されど魔法にはあらず
 エアコン暖房の生命線は外皮の断熱気密にあり

Q.29 空気は働き者?
 空気は「対流」で熱を伝える主役。決して優秀な働き者ではないが、おかげで我々は快適に過ごせる。
 対流はボールの流れ、ボールの流れで伝熱力が決る
 空気は当たりが弱い、次善対流では特に弱い
 空気は「パスがヘタ」「コントロールにも難」
 空気は怠け者、だから対流放熱が穏やか

Q.30 隠せばハッピー?
 エアコンを隠すと性能が大幅に低下する。床暖やヒーターなど「隠しやすい設備」にもご用心。
 エアコンは醜い、されど隠すべからず
 床暖房ラブの本音は「設備を隠せる」から?
 寡黙な電気ヒーターはH25省エネ基準で「御法度」に
 全ての細部が必然
 30-289


Q.31 放射は暖房の救世主?
 放射は手強い。対流とのバランスを忘れずに。
 放射は一本やり、後ろに回り込まない
 欧米のリビングは暖炉前のソファに秘密あり
 放射の正体は電磁波の仲間の「遠赤外線」
 四方八方に目配りして放射環境の改善を

Q.32 薪ストーブは原始的?
 薪ストーブはハイテク。ポイントは「置き場所」と「煙突」。素人判断は危険。
 薪かペレットか、それが問題だ
 32-301
 薪のご用意は計画的に
 薪ストーブは超高温暖房、置き場所が最重要
 32-305
 薪ストーブでは煙突を侮るべからず
 32-306
 薪ストーブは意外と難しい、素人仕事はキケンがいっぱい

第7章 再生可能エネルギー
 「太陽光発電を載せずんば家に有らず」の今日この頃。身近に発電できるのは魅力だが、太陽光発電を載せておけばエネルギー問題は解決するのだろうか。そういえば、最近耳にしない太陽熱給湯はどうなったのか。太陽から得られる「電気」と「熱」。この2つを中心に、地球に優しい「再生可能エネルギー」を考えてみよう。
Q.33 エネルギーは創り出せる?
 地球上のエネルギーはほぼ100%太陽起源。我々にできるのは、太陽エネルギーの「形」をちょっと変えることだけ。
 地球上のエネルギーはほぼ全て太陽の恵み
 太陽を忘れ化石エネルギー中毒になった現代人
 太陽がない時にこそエネルギーは必要という不都合
 世界の再生可能エネは風力中心、PV[太陽光発電]は夏のピーク専用?

Q.34 ソーラー=太陽光発電?
 エネルギーの質は電気有利も、太陽熱利用にも長所あり。
 太陽光発電はなぜ偉いのか
 電気は「リンゴジュース」、りんごよりも高密度
 太陽光発電の圧勝か?
 要は導入コストの問題、安ければ太陽熱にもチャンス

Q.35 太陽光発電が日本を救う?
 太陽光発電は素晴らしい再エネだが、限界もある。ブームやバッシングではなく着実な普及が望ましい。
 系統連携のPVはパラサイト、火力発電が不可決
 ライバルはメガソーラー、いい屋根かどうかを見きわめよう
 迫りくる「2019問題」、10年後もPVは発電している?
 固定期間終了後、PV売電価格は10円以下に?
 可愛さ余ってソーラーバッシング?

Q.36 平時でも蓄電は美徳?
 平時には電気出し入れロスが発生するだけ損。非常時も家庭ならば発電機の方が手軽。
 完全自立には巨大な蓄電池が必要に
 「完全自立」にランニングコストのメリットはない
 蓄電は「穴あき」のタンス預金。出し入れでロス発生
 電気はさっさと売りとばすのが吉
 今度の計画停電では鉄道・病院は大丈夫(らしい)
 非常時はカセットボンベ式の発電機でもOKなのだ
 「エコ」と「安心」は別もの、冷静に見極めを

第8章 電気
 節電が注目されるなか、「スマートハウス」や「ゼロエネ」といった様々なキーワードが飛び交っている。CO2の削減も世界中の最大テーマ。こうしたエネルギー問題のコアには、必ず「電気」が絡んでくる。これからは自由に買えるようになる電気、このムツカシイ問題について、いま少し考えてみよう。
Q.37 HEMS[Home Energy Management System]は最強の節電ツール?
 現時点では元が取れるか疑問だが、将来には期待。一番お得な省エネは「節湯」。
 HEMSのホントの評判は?
 HEMSはペイするのか?
 月々の検針票、活用しないのはもったいない!
 スマートメーターなら30分間隔の電力値が分かる
 「元がとれる」省エネなら節湯シャワーが一番おトク

Q.38 省エネよりゼロエネ?
 建物外皮・設備・PVどれにお金をかけるべきか。メリットをよく考えよう。
 遂に減り始めた日本のエネルギー消費
 これからは「ゼロエネ住宅」が当たり前に?
 経産省ZEHはHEAT20G1レベルの外皮+高効率設備+PV5KW
 ゼロエネ目標だとPVは必須アイテムだが……

Q.39 目指せCO2削減?
 電力のCO2原単位は変動大。みんなが共有できる目標はまず「省コスト」。
 電気のCO2は地域や粘土でコロコロ変わる
 やっぱりコスト一番、昭和30年は電気が10倍高かった!
 まず一番ピンとくる「省コスト」から

Q.40 オール電化はオールエコ?
 使用機器や使い方によっては「増エネ」を誘発してしまう。自由化で電気vsガスは無意味に。
 ヒートポンプ給湯機「エコキュート」の効率はモード次第
 深夜電力といえどもムダ使いは許されない時代に
 電気はもっとメーンのエネルギー源になっていく
 「電気VSガス」の闘いは小売自由化で過去のことに

エピローグ
 これまで8つの章40のテーマにわたり、エコハウスを種々な視点から論じてきた。残念ながら「ホント」の答えにはいまだたどり着いていない。エコハウスとは結局何なのか、そもそも「本当に必要なのか」さえ分からなくなってくる。本書の締めくくりとして、この禁断のテーマを検証する。
 あなたはエコハウスが好きですか?
Q.41 結局、エコハウスは必要なの?
 必要。ただし、真剣に努力して「本物」を増やさなければならない。
 そもそもなぜエコハウスを目指すのか?
 結局、エコハウスは誰のため?
 41-377
 エコハウスのウソをみんなで測って「ガッテン」理解
 エコハウスはみんなのもの、努力すれば必ず手に入る


前真之『エコハウスのウソ[増補改訂版]』(2015年)① 2月13日

3月19日(日曜日)に開催される環境学習会『健康・快適で電気代も安心な新しい家づくりと暮らし方~今、住宅用太陽光発電が必要な理由~の講師、前真之さんの『エコハウスのウソ[増補改訂版]40の誤解と1つのホント』(日経BP、2015年12月)を読みました。2020年8月に『エコハウスのウソ 2』(詳細な目次は当ブログ記事を見て下さい)が出版されていますが、併せて読んでおくとよいでしょう。
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前真之『エコハウスのウソ 増補改訂版  40の誤解と1つのホント』目次
はじめに

プロローグ 省エネ基準義務化
 欧米では省エネ基準がとっくに義務化され、省エネ基準か「任意」の日本は遅れているといわれてきた。ついに日本でも、2020年までに全ての住宅で省エネ基準がぎむかかされるらしい。義務化というと、全ての家がエコハウスになるビッグなことが熾きそうな気がしてしまうが、実際のところはどうなのだろう。
Q.1 2020年以降、全ての家がエコハウスに?
 2020年に省エネ基準が義務化されるが、レベルは低く設定されている。「クリア」できて当たり前」。
 エネルギーを規制していなかった「外皮のみ」H11基準
 H25基準は消費エネルギー量そのものを規制
 1次エネを「漠食」する電気生焚設備は永久追放
 H25基準は「15年前の外皮」+「時代遅れの設備」
 なぜ基準値は低レベルになってしまうのか?
 H25基準は「ミニマム」、さらに上を目指すべき
 
Q.2 新省エネ基準を守るだけで暖かい家になる?
 2-22
 H25基準には断熱の規定はあるが、特に温暖地では最低限レベル。さらに上を目指すべき。
 気候区分は6区分⇒8区分に
 断熱性が「Q値」⇒「外皮平均熱貫流率UA」へ変更
 日本の断熱基準は温暖地で緩すぎる
 まずは民間規格「HEAT20」のG1・G2レベルを目指そう
 暖房時熱負荷のザックリ見積もりは意外と簡単
 気密なき断熱は無力なり!

Q.3 地域の気候は「8区分」でバッチリ?
 省エネ基準の8区分は気候の一要素を取り出して決めたもの。日射量なども考慮した総合的な気候分析がエコハウス実現のカギ。
 ケッペンの世界気候区分では日本は「温帯湿潤」
 夏は地域間で大差なし、冬は寒冷地と温暖地で大きな差

Q.4 家なんてどこに頼んでも同じ?
 選び方を間違うと、「寒い」「増エネ」な家になる。建築主の勉強が不可決。
 4-41
 大手メーカーは「H25基準」をほぼクリア
 建築課ルートでは「一点突破」型に要注意
 ハイレベルな「スーパー工務店」が続々登場
 4-47
 「安かろう悪かろう」の建売事業者も侮れない?
 信頼できる会社を見つけられれば「8割成功」

第1章 人と気候
 エコハウスの第一歩は、敷地の気候を丁寧に読み解くこと。そして、建物の中に暮らす我々人間の体の特徴をしっかり認識することが欠かせない。ところが、気候や人間を素直に理解することは結構難しい。思い込みやイデオロギーは横に置いて、いま一度この日本の気候と我々の体を見つめ直してみよう。
Q.5 人間は暑さに弱い?
 人間は動物のなかでも「暑さにめっぽう強い」。弱点は「寒さ」。
 恒温動物は「熱を捨てる」宿命を負った生き物
 人間は1時間に1500グラムの汗をかける
 乾燥した気候を「持久力」で生き延びた人類の祖先
 アフリカ育ちの体で世界に広がった人類
 
Q.6 湿度はパーセント(%)が当たり前?
 6-60
 湿度にはいろいろな表現があり、「相対湿度(%)」よりも「湿球温度(℃)」の方が実感に近いこともある。
 湿度は「髪の毛」や「水」で計測できる
 1日のなかで湿球温度はほとんど変わらない
 「暑さ指数」の主役は湿球温度

Q.7 エアコンなしでも日本の夏は大丈夫?
 人間は暑さに強い動物だが、それは「汗が乾く」から。湿度の高い日本の夏に、「冷房なし」は熱中症の危険。
 アメリカでは湿球温度の快適上限21℃
 湿球25℃では汗をかいても乾かない
 日本の夏と冬はどちらも結構厳しい
 日本の夏、「温度を下げる」「湿度を下げる」どちらかは必要
 高齢者は熱中症のリスクを忘れずに
 
Q.8 温暖地は冬の朝も温暖?
 気温は「日平均」の値だけ見ていてはダメ。一番冷え込む明け方の「日最低」のチェックが肝心。
 気温は「時々刻々」変化している
 明け方の冷え込みは「日最低の月平均」でチェック
 冬の昼に晴れる地域ほど明け方の冷え込みに注意

Q.9 日ノ本の国はどこでも太陽サンサン?
 冬の日射量は地域差が大きい。冬に開口部から日射を入れるには高性能なガラスの選定が必要。
 年間の水平面日射量は地域差が小さい
 冬の南垂直面への日射は地域差3倍!
 晴れと曇の日射量をチェック
 ダイレクトゲインの損得は地域とガラス次第
 
Q.10 結局、住まいは夏を旨とすべし?
 「夏旨(なつむね)」は通風偏重・断熱気密軽視の言い訳に使われていることが多い。日本の家はまず「冬旨(ふゆむね))でつくっておくべし。
 夏は大事、されど「夏旨」にはご用心
 10-96
 快適性モデル「PMV・PPD」で「快・不快」を知る
 温度と湿度の関係をオルゲーとPMV・PPDで比較
 通風でどこまで涼しくできる?
 日本では外気そのままで快適な時間はごく短い
 本当に備えが必要なのは、やはり冬
 夏冬どちらかとすれば、まずは「冬を旨とすべし」
 10-105

第2章 建物の外皮性能
 高効率エアコンや太陽光発電に比べて、地味な感じのある外皮性能。家を買うときに、建物の「皮」まで気にする人は少ないかもしれない。けれども、外皮の断熱・気密は建物の温熱環境や省エネ性を支える基礎体力。建物の「足腰」を鍛えることが、真のエコハウスへの王道なのだ。
Q.1 1 離れた壁や窓、天井の温度は快適性に無関係?
 人間の体は離れた物体と放射で熱をやりとりしている。周辺放射温度は快適性に影響大。
 11-111
 熱の伝わり方は3通り[伝導・対流・放射]
 室内での人体放熱は「対流」と「放射」がメーン
 快適に空気温度と放射温度の組み合わせを探す
 一番不快なのは「熱い天井」、次に「冷たい壁」
 
Q.12 ローイーガラスって日射を遮蔽するガラスでしょ?
 ローイー(Low-E)は「低放射」の意味で、主目的は放射による熱ロスのカット。日射に関しては「透過型」と「遮蔽型」がある。
 日本の「ガラス障子」は窓にあらず
 熱ロスの3ルート[伝導・対流・放射]を遮断せよ!
 ローイーガラスは当たり前に、でもその選び方は?
 「目に見えない」太陽光を入れるべきか防ぐべきか?
 南窓には透過型、東・西窓には遮蔽型がセオリー

Q.13 日本の窓はずっと世界サイテー?
 アルミサッシの成功体験で、高断熱窓の普及が遅れたのは事実。しかし、日本でも世界水準の高断熱窓が続々登場している。
 13-130
 アルミサッシの成功体験が裏目に出た?
 「アルミ死守」(?)のサッシ業界
 13-134
 ドイツではUw値1.3超の低断熱窓はは禁止されている
 窓が進化すると家は「明るく」「暖かく」?

Q.14 断熱材と構法にこだわれば断熱はバッチリ?
 あらゆる断熱材・断熱構法には長所・短所がある。丁寧な施工が性能確保のカギ。
 住宅着工は激減するも断熱材の売り上げは堅調
 断熱材は小さな穴で空気をフリーズさせる
 それぞれに一長一短、「完璧な断熱材はない」
 14-147
 断熱の種類と構法は「適材適所」で

第3章  冷房
 「節電」が最大の関心事になるなかで、目の敵にされているのが「エアコン冷房」。しかし、住宅からエアコンをなくせば全ての問題は解決するのか。そもそもエアコンで冷房することは、そんなに「イケナイ」ことなのだろうか。
Q.15 家のエアコンは節電の敵?
 まず頑張るべきはオフィス。住宅はエアコンで賢く冷房できるように工夫すべし。
 夏の昼に電力ピークをもたらす真犯人は?
 15-156
 オフィスこそ「冷房中毒」、節電はこっちから
 ついに減り始めた夏の昼間の電力ピーク
 PV[太陽光発電]普及しつつある今、夏の冷房は恐るに足らず!
 太陽光発電と相性抜群のエアコン冷房
 15-163

Q.16 冷房が最大?
 給湯や照明、家電のエネルギー消費の方がはるかに多い。
 16-164
 一番エネルギーを使うのは?イメージと実際のズレ
 16-166

 16-166-2
 給湯、照明、家電の消費エネはなぜ多い?
 誤解の原因は前月との比較偏重、通年での消費を見逃すな

Q.17 選ぶならハイパワーのエアコン?
 「能力過大」は効率に難。小さなエアコンで効率良く冷やせる工夫を。
 まずは年間エネルギー効率APFが高いエアコンを
 エアコンの効率向上はもはや限界に
 「○○畳」の目安は断熱等級3の貧弱な建物を想定
 つつましい冷房ができるプランを

Q.18 除湿は冷房よりもエコ?
 きちんと気密防湿がされていない家で除湿すると、膨大なエネルギーが必要になる。
 18-178
 温度を下げるか湿度を下げるか?それが問題だ
 空気が持つ熱量「エンタルピー」は顕熱・潜熱の2種類
 夏の炎天下、1時間の電気代はいくら?
 「冷房」と「除湿」、エアコンの効率にも大きな違いが
 冷房を毛嫌いせず、温度・湿度の制御を真面目に考えよう
 18-189

前真之『エコハウスのウソ 2 』(2020年)② 2月4日


前真之『エコハスノウソ 2 』PART2 目次
   PART2 変わらない真実-対策編
 エコハウスのウソpart2
  省エネ技術が進み、社会や家づくりへのニーズも変わってきた。
  だが、真のエコハウスに必要な対策は、実は大きく変わってはいない。
  理想とする暮らしや地域制、予算に応じて数ある手法を組み合わせ、健康・快適・ゼロエネのエコハウスを確実に手に入れよう。
    第6章 冬の備え
  吉田兼好には申し訳ないが、『エコハウスは冬を旨とすべし』。低断熱・低機密の“スカスカ外皮”の住宅に太陽光発電を載せたところで、期待した効果は得られない。それどころか、寒さに耐えながら高い電気代を払い続けるハメになる。数値だけに惑わされない「冬の備え」について考えてみよう。
    Q15 空気の温度さえ高ければ冬も快適?
  ▶快適な温熱環境とは、ずっとその場所に居続けられる「不快がない」環境を表す。
  ▶代謝熱と放熱のバランスが取れていることと、局所不快がないことの2つが大前提。
   建築物省エネ法の断熱等級4では暖かい家にならない
   空気温度だけではなく放射温度込みの「作用温度」が肝心
   冬に最も快適な作用温度は「24℃」
   局所不快①上下温度差:断熱・機密の徹底が唯一の解決法
   局所不快②床表面温度:素足なら床仕上げ材の選択が重要
   局所不快③気流感:吹き出し空気は人体に直接ぶつけない
   局所不快④:放射不均一:単板がらすの窓は体の片面が冷える
   湿度何%なら乾燥感はなくなるの?
   高温空気をなくすことが乾燥感の低減につながる
   冬の不快を解消するのは断熱・気密+全館24時間空調

    Q16 [小さな複数連続させた]ポツ窓住宅は省エネ?
 8618
  ▶窓は外皮断熱における最大の弱点。
   ガラスやフレームは必ず高断熱タイプを選ぶ。
  ▶大きさや開き方を詳細に検討すれば、ポツ窓でなくても高断熱にすることが可能。
   断熱等級2・3・4からHEAT20 G1・G2・G3へ
   建築物省エネ法の断熱指標Ua値は換気と湿気をカバーしない
   部位の熱貫流率U値に面積をかけた合計が外皮熱損失量q値
   窓の断熱はガラスとフレームの両方を対策すること
   窓の高断熱化は戸建てでは進むも集合住宅では普及途上
   窓の熱貫流率Uw値は計算方式で大きく違う
   Uw値を下げるにはフレーム面積を小さくするのが効果的
   同じ窓面積ならフレームの細いFIX・片引きがUw値小

    Q17 UA値さえ小さければ気密なんて気にしなくていい?
 8643
  ▶省エネ法の「外皮平均熱貫流率Ua値」は、熱損失のうち熱貫流率しか考慮していない。
  ▶漏気・換気による熱損失低減も含めた総合的な熱損失の削減が重要。
   壁もシングル断熱からダブル断熱へ
   漏気を減らすためには気密化で相当隙間面積C値を減らす
   熱貫流・換気・漏気の削減は熱損失全体のバランスで
   「熱貫流→漏気→熱交換換気」で建物全体の熱損失を削減

    Q18 健康・快適な全館24時間暖房は高くつく?
  ▶暖房コストは、「熱暖房負荷」と熱器効率と燃料単価による「暖房燃費」で決まる。
  ▶全館24時間暖房は建物の熱損失削減と低燃費暖房で、リーズナブルな暖房費で運用可能。
   断熱・気密を改善すればエアコン暖房でも快適に
   家全体を温めるには「断熱気密+全館24時間空調」が有効
   床暖房は温水床パネルを広めに敷き詰めるのが吉
   放射パネルはパネル面積と設置場所がポイント
   温水暖房は熱源効率も高効率タイプを
   薪ストーブを採用するなら設置場所に注意
   家全体の熱収支の赤字分が「暖房熱負荷」
   暖房費は暖房熱負荷と燃料単価・エネルギー効率で決まる
   暖房熱負荷低減と低燃費暖房で全館24時間暖房をお安く

    Q19 冬の無暖房なんて絶対無理?
  ▶暖房負荷などの熱損失を減らし、日射熱で熱取得を増やせば、無暖房化は実現可能。
  ▶窓性能の詳細計算と、ガラス・開き方まで考慮した「窓全体の最適化」が低コストのカギ。
   日射熱取得を増やすには窓の断熱・日射取得の詳細計算が有効
   南の窓は必ず「日射取得型」のガラスを選ぶ
   ガラス面積率が減る「引き違い」は損
   値の削減に木を取られて安易な窓面積ダウンは禁物
   日射取得型ガラス・FIX窓に変更するだけで改善できる
   無暖房住宅は夢物語にあらず、既に実現している
   日射熱が広がるプランと蓄放熱で住宅全体を1日中暖かく

    Q20 部分リフォームでは寒くても仕方ない?
  ▶部分リフォームの「ついでに断熱」でも、暖かい家に改修することは十分に可能。
  ▶効果の大きい場所から壇越強化するのが肝心。「最大の弱点」の窓を優先し、床の断熱気密も
   部分リフォームでも「ついでに断熱」がおススメ
   断熱リフォームで全ての「赤点住宅」を合格点に引き上げる
   「まずは窓・床から」が断熱リフォームの定石
   内窓は断熱リフォームの第1候補、コスパの抜群
   床の断熱気密と気流止めで床下冷気の侵入を防ぐ
   リフォームでは新築以上に暖房設備の選択を慎重に
   健康・快適な生活ゾーンをコンパクトにまとめる
   廊下や寝室も生活ゾーンに取り込むプランで健康温度を確保
   浴室・脱衣室やトイレにも暖房設備を設置
   リフォームに正解なし、条件に合わせた合格点を

 第7章 夏の備え
  高断熱・高気密な住宅ほど重要になるのが、日射遮蔽をはじめとした「夏の備え」。昔ながらの遮熱や通風だけの暑さ対策では、限界がきている。近年ますます暑さが増す日本において、快適な冷房を低コストで実現するための対策も重みを増している。
    Q21 冷房はギリギリまでガマン?
  ▶冷房の不快の元は、低断熱の屋根による放射温度上昇と無理やりな低温空気冷房。
  ▶外皮断熱を強化のうえ、日射遮蔽の徹底を。
  ▶暑さ指数25℃オーバーなら躊躇せずに冷房ON。
   日本伝統の夏対策では限界、気温上昇で冷房が必要に
   暑さ指数が警戒レベルなら躊躇せずに冷房ON
   暑さ指数WBGTは空気温度・湿度・放射温度を総合的に評価
   夏の不快要因には「湿度」の他、「高温の天井」も影響
   人間特有の発汗蒸散は、乾燥環境なら強力な冷房効果あり
   夏に最も快適な作用温度は26℃、湿度の影響は?
   除湿は省エネにあらず、温度を下げる方が快適で節電に
   夏の不満は高い放射温度と日射熱が主因
   冬も夏も快適な室内環境のためには建物外皮の性能が肝心

    Q22 日射遮蔽は軒や庇で安心?
  ▶高断熱住宅ほど日射遮蔽の徹底が必須。
   無対策の「のっぺら住宅」はもってのほか。
  ▶直達・天空日射の両方を、窓外側の「面」で防御。
   軒・庇の出が大きいと冬の日射取得の障壁に。
   冷房期の平均日射熱取得率ηAC値[イータエーシー値]の計算はUa値より面倒
   図面では確認できない日射遮蔽の付属部材は無視される
   安易なηAC値削減で日射遮蔽型ガラスの採用はNG
   高断熱に見合った日射遮蔽の基準値が定められていない
   日射遮蔽を強化しない高断熱化はオーバーヒートの原因に
   効果的な日射遮蔽は太陽の位置の理解から
   日射は「直達」と「天空」の2つ、夏は天空の割合が多い
   庇・軒は高い高度からの直達日射しか防げない
   窓外側の面で天空日射と低高度からの直達日射を防ぐ
   ガラスの外で防げない場合の次善の策は「反射」の利用
   日射遮蔽のやり方はいろいろ、窓は方位ごとにしっかり対策

    Q23 全館24時間冷房は電気代が高い?
  ▶ヒートポンプのスイートスポットを生かせば、全館24時間冷房は低コストで運用可能。
  ▶簡易な定風量型の登場で設置コストもダウン。
   快適性が向上し、太陽光発電とも相性抜群。
   最もメジャーな個別エアコン冷房は「居室間欠運転」専用
   壁掛けエアコンのファンは空気を遠くに送る力「静圧」が弱い
   ダクト式全館冷房は各部屋に冷気をしっかり届ける
   全館空調は簡単安価な定風量(CAV)が主流に
   庇の日射遮蔽と内部発熱が冷房最大の敵
   暖房の暖気は下に、冷房の冷気は横に吹き出す
   冷房をきちんと効かせるには送風量の確保が絶対条件
   屋根の断熱+窓の日射遮蔽+全館24時間冷房は非常に快適
   全館24時間冷房でも電気代は意外と安い

    第8章 空気とお湯
  新型コロナウィルスの感染拡大の影響があり、一気に関心が高まった「換気」。実はこれまでかなりいいかげんに扱われたきた設備である。メンテナンスを含めた空気質の維持と、省エネを確立する丁寧な設計・施工が求められる。「給湯」もまだまだ工夫の余地あり。
    Q24 花粉対策は空気清浄機が1番?
  ▶空気清浄機は室内空気質確保の脇役。屋外から室内への花粉持ち込みを防ぐのがカギ。
  ▶換気の吸気口にフィルターを付け、外から侵入する花粉をブロックするのが効果的。
   空気清浄機の脱臭試験はたばこ煙の3成分だけが対象
   「換気」と「付着」の花粉侵入ルートを塞ぐ
   侵入した花粉は床面に沈下するので床掃除が肝心
   新型コロナ対策でも「換気不足を補う」脇役

    Q25 換気設備は設置さえすればOK?
  ▶室内空気質確保の「主役」は換気設備。
   給気・排気がしっかりできる設計・施工を
  ▶換気の生命線はメンテナンス。給気口やフィルターの清掃のしゃすさは超大事!
   昔の家は漏気メイン「局所換気」で臭いを排出
   1990年代には気密化と合成建材でシックハウスが大問題に
   2003年の建築基準法改正で換気設備が義務化
   全館換気は第一種・第二種・第三種の3タイプ
   建築基準法改正で義務化されたのは換気装置の「設置」だけ
   1年8760時間動く換気ユニットは省電力タイプを選ぶ
   ダクトは「太く」「滑らか」にしないと空気が通らない
   換気システムの生命線は「メンテナンス」のしやすさ
   第三種換気では各居室の給気口メンテナンスも必要

    Q26 換気をしたら寒くなる?
  ▶外気を給気する第三種換気システムは、寒さを感じさせない給気口位置の工夫が必要。
  ▶排気の熱を給気に使う熱交換換気なら、暖房熱負荷減と冷気を防ぎながらの換気が可能
   寒さ防止と熱ロス削減が無暖房化のカギ
   生の空気は寒さと暑さの原因に
   第三種換気の省エネならデマンド換気で換気量を抑制
   熱交換換気で排気の熱を取り戻し給気を予熱する
   熱区間換気システム選びのチェックポイント
   局所換気の多用は第一種換気の給排気バランスを崩す
   ダクトレス熱交換換気は2個1セットの換気ユニット

    Q27 給湯は湯水のごとく?
  ▶高効率給湯機は、住宅省エネの最重要設備。必ず高効率タイプを選択すること。
  ▶給湯省エネのためには「節湯」もコスパ良。様々な手法があるので積極的に採用しよう。
   給湯は住宅で2ばんめにCO2排出量が多い
   個別給湯から住戸セントラル給湯へ
   高効率給湯機が2000年以降に続々登場
   高効率給湯機は住宅省エネの最重要設備
   エコキュートは低温沸き上げ・適量貯湯が高効率発揮のカギ
   ハイブリッドは電気ヒートポンプを貸す瞬間式がサポート
   昼間沸き上げの老舗「太陽熱給湯設備」
   コージェネは「マイホーム発電」で排熱を有効利用
   節湯も給湯省エネがカギ! 節水もできてコスパはピカイチ

    エピローグ
  これまで8つの章27のテーマにわたり、エコハウスを様々な視点から論じてきた。取り入れるべき対策や解決すべき課題がたくさんあり過ぎると感じたかもしれない。それでも、「誰もがエコハウスに住める」のか。本書の締めくくりとして、この禁断のテーマを検証する。
  あなたはエコハウスに住みたいですか?
    Q28 みんなエコハウスに住めるかな?
  ▶誰でもエコハウスに住むことはできる。
  ▶快適な生活を絶対に諦めないこと。
   冬に無暖房・ゼロエネで健康・快適に暮らす方法は色々ある
   敷地と建物詳細を考慮できる設計ツールが最後のカギ
   「差別化」に惑わされず学び続ける優良事業者を見つけよう
   信頼できるつくり手を見つければエコハウスは建ったも同然
   優良な設計者・施工者に腕を振るってもらうために

  キーワード索引
  最後に

前真之『エコハウスのウソ 2 』(2020年)① 2月4日

3月19日の環境学習会の講師、前真之さんの『エコハウスのウソ 2 』(日経BP、2020年8月)を読みました。
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『新著:エコハウスのウソ 2  』~エコハウスの常識が、この動画で変わる?~ 19:28
(YouTube「未来のための家づくり大学」有識者や専門家に学ぼう! by Eco Works 2020.08.29)
 

前真之『エコハウスのウソ 2 』PART1 目次
 はじめに
 エコハウスのウソ2はじめに
  みんながエコハウスで暮らせるために
   健康・快適な室内環境が家づくりの最重要課題に
   新型コロナ問題で生活の中心は再び住宅に
   エコハウスを実現できなかった住宅・エネルギー業界
   全ての人がエコハウスで暮らせる幸せな時代

   
  PART1 変わる常識-基本編
  エコハウスのウソpart1

  エコハウスづくりに関係する環境・エネルギー問題や気候、新技術などの情報は常に更新され続けている。
  これまでの常識がいつの間にか“ウソ”に変わっていることも。
  設計に取り掛かる前に、前提となる常識をアップデートしよう。
    第1章 環境・エネルギー
  地球温暖化やエネルギー問題というと、家づくりには関係ないこと、もしくは個人ではどうしようもないことと思うかもしれない。だが本当は、電気代に直結する身近な問題であり、子どもたちの未来に影響する切実な課題でもあるのだ。国やつくり手に任せきりで大丈夫なのだろうか。
    Q1 地球の温暖化はウソだよね?
 8752
  ▶冬は暖かく、夏はさらに暑くなっている事実を、日本全国の気象データは裏付けている。
  ▶地球温暖化は「リアル」な脅威であり、全世界の早急な対応が求められる。
   世界の結論は「温暖化は疑う余地なし」「人間が原因」
   建築物省エネ法「地域区分の見直し」の衝撃
   冬の寒さは和らいできている
   夏の暑さは危険レベルに突入
   暑さと風水害への備えを忘れずに

    Q2 住宅のCO2削減は他人ごと?
  ▶電力会社と家電メーカーのツートップに頼り過ぎた結果、住宅の質の向上が遅れる痛恨。
  ▶省エネ・省CO2と健康・快適の両立は、一人ひとりが自分ごとと認識する必要あり。
   世界はCO2排出量ゼロに向けて動き出している
   パリ協定順守のため住宅分野に厳しいCO2削減目標
   人口減でも増え続ける少人数世帯がCO2排出を下支え
   CO2削減は電力会社と家電メーカーの仕事?
   ツートップ戦略の栄光と崩壊、京都議定書もお金で補填
   日本で重視されてこなかった住宅そのものの性能確保
   家の寒さでヒートショックが大問題に
   家中を暖かくできない無断熱住宅は健康・快適の大敵

    Q3 安い電気は良い電気?
  ▶電力の全面自由化で登場した「新電力」のコストメリットは、電力消費の多い世帯限定。
  ▶電気は燃料次第でCO2排出量が変わる。安さだけでなく「きれいな」電気を選ぼう。
   電力の小売り全面自由化で好きな電気を選べる時代に
   小売電力事業者は必要な電気を個別に調達
   需要と発電の「同時同量」守れないとペナルティー
   新電力の小売シェアは都市部で増加中
   新電力の安さのカラクリはフラットな単価設定にあり
   電源の燃料構成で電気代とCO2排出量が大きく変化する
   どうせ買うならきれいな電気を選ぼう

    Q4 電気代はずっと上がらない?
 8703
  ▶将来的には、需要がひっ迫する「時間帯」や「季節」に電気単価が上がる可能性大。
  ▶買電単価上昇に備えて、太陽光を活用したエネルギー自立の家づくりが求められる。
   電気代の値上げは戦後直後とオイルショックの2回
   電気の従量単価の内訳は?
   住宅の託送料金は割高、さらなる負担の増加も
   「夏はオフィス」「冬は住宅」が需要のピークをつくる
   夏は昼下がり、冬は朝と夕方が電力需要のピーク
   電気が不足する時間帯は電気単価が高くなる時代に
   電気単価上昇に備え太陽の都合に合わせた家づくりを

    第2章 健康
  汚れた空気は体に悪い。もちろんウィルスも。健康意識の高まりから、食事に気を使う人は多いが、何か大事なものを忘れてはいないだろうか。1日3度どころか四六時中、常に体に取り入れている空気。目には見えない「室内空気質」にも、これまで以上に意識を向けるべきなのだ。
    Q5 汚れた空気は健康とは無関係?
  ▶人が体内に取り込む物質で最も多いのは「空気」。肺がん急増で死因のトップに。
  ▶健康で快適な暮らしのため、食べ物や水だけでなく、身の回りの空気質にも注意を。
   体に取り込む物質で最も多いのは「空気」
   死因で急増するのは「肺がん」と「肺炎」
   肺がんの最大の原因はやっぱり「喫煙」
   空気の汚染は発がん性が確実な「グループ1」に
   大気汚染物質は減少したが微小粒子PM2.5が問題に
   大気汚染の新たな難敵「PM2.5」
   体内に吸い込む「室内空気」にも関心を

    Q6 ウィルス対策は加湿でバッチリ?
  ▶低断熱住宅で無理に加湿すると、低温部に結露が発生してカビやダニの温床に。
  ▶それでも加湿する場合は、外皮の断熱や防湿・換気設備など総合的な計画が必要。
   インフルエンザの予防は合わせ技で
   水1日33リットル・電気代1ヵ月2万円
   低断熱住宅の加湿にはリスクがいっぱい
   湿気とカビは世界共通の大問題
   インフルエンザの感染経路は「飛沫」と「接触」
   それでも加湿するなら建物全体で計画を

    第3章 家電
  エアコンや冷蔵庫、テレビなど、いかにも電気を食っていそうな家電製品を買い替える。それが最もお手軽な節電・節約技だと思っている人は少なくない。ところが、省エネ家電の性能向上は完全に頭打ち。お手軽な省エネのネタが尽きる中、住宅そのものの性能向上が求められている。
    Q7 最新家電ならどれでも省エネ?
 8380
  ▶主な家電はトップランナー基準の目標年度を終えており、さらなる省エネは期待薄。
  ▶家電の高効率化をアテにせず、建物側で省エネ性能の向上を図っていく必要がある。
   「しんきゅうさん」で家電買い替えの節電効果をチェック
   2005年以前の冷蔵庫の消費電力量は実態と乖離
   古い冷蔵庫の買い替えはコスパ良でおススメ
   テレビの省エネは液晶化で進むも今は一段落
   益昌テレビでも大画面・高画素数なら増エネに
   貯湯式の温水洗浄便座なら買い替えがおススメ
   家電のお手軽な省エネから建物と設備の地道な省エネへ

    Q8 エアコンを買い替えれば節電に?
 8382
  ▶エアコン効率COPやAPFは長らく頭打ち。機種交換による節電は、もはや期待できない。
  ▶「畳数の目安」は大昔の低性能住宅を想定したもの。過大な能力の機種を選ぶと増エネに。
   APFは冷房と暖房の両方をカバーする効率指標
   「畳数の目安」は無断熱・日射遮蔽なしの住宅を想定
   COPはまさかの低下傾向、APFも近年は足踏み
   エアコンは中間能力に効率のスイートポットがある
   エアコンの実運転は高負荷 or 超低負荷がほとんど
   エアコン効率のスイートポットを生かす使い方

    第4章 太陽光発電
  太陽光発電は住宅の再生可能エネルギーでは、ほぼ唯一の選択肢。設置コストも手ごろになっており、割高に電気を買い取ってくれる制度も或る。蓄電池の省エネ効果には検討の余地があるが、太陽光発電を設置しない理由はもはやない。エネルギー自立に向けて抑える[押さえる?]べきポイントと「損得」をみてみよう。
    Q9 太陽光発電はもう載せなくていい?
 8719
  ▶太陽光発電は、ネガティブな情報が広がっているが、住宅の再エネではほぼ唯一の選択肢。
  ▶エネルギー自立にも必須であり,住宅用は優遇されているので絶対に載せるべき。
   設置事との補助から固定買い取り制度「FIT」へ
   買い取り価格の急変に伴う太陽光バブルの発生と崩壊
   10年経過の「アフターFIT」で買い取り価格暴落
   アフターFITの買い取り単価≒回避可能費用
   電気代に占める発電コストの原価は意外と小さい
   高価買い取りの原資「再エネ賦課金」が上昇中
   太陽光発電からの売電が断られる「出力制御」が発動
   再エネをもっと増やすことは絶対必要

    Q10 太陽光発電は売電で大儲け?
 8708
  ▶これから太陽光発電を設置するなら、「全量買い取り」ではなく「余剰買い取り」が基本。
  ▶従来の系統への売電中心から、住宅内の需要を賄う「自家消費」が重要に。
   売電方法は発電容量10㎾を境に2種類ある
   かつては「余剰買い取り」より「全量買い取り」がトクだった
   もう全量買い取りは儲からない、これからは余剰買い取り
   自家消費できるだけの適性容量の太陽光を載せるのが基本
   初期費用ゼロでも太陽光は載せられる
   売電ではなく自家消費優先で太陽光発電は必ず載せる
   
    Q11 蓄電池で停電とアフターFIT対応は万全?
  ▶「太陽光発電の自家消費」と「停電対策」を定置型蓄電池の容量で両立するのは困難。
  ▶当面はポータブル蓄電池での備えが現実的。電気自動車を活用するV2Hも有望。
   蓄電計画にはカバーしたい用途の見極めが重要
   蓄電池の「定格容量」はフルに使えない
   自家消費と停電対応の両立は?
   経年劣化は蓄電池最大の弱点
   深夜電力充電モードで使うなら蓄電池はただの「増エネ設備」
   定置型蓄電池は現状では採算がとれない
   電気の「基本料金」は将来値上がりするリスク大
   基本料金が上がればオフグリッドが採算に乗る
   オフグリッド化を見越して使い切れる容量の太陽光発電を
   完璧を目指すなら電気自動車を活用するV2H
   移動を含めたゼロエネは究極の目標、まずは建物をしっかりと

    第5章 エコハウスの目標
  真のエコハウスが腐朽していくためには、正しい政策誘導が欠かせない。だが、本当の主役はあなた自身。適切なゴール設定の下、住まい手が健康・快適な暮らしを諦めず、作り手が工夫を凝らせば、誰もがエコハウスを建てられる日は決して夢ではないのだ。
    Q12 省エネの義務化なんて必要ないよね?
  ▶建築物省エネ法の住宅の適合義務化は見送り。
  ▶低性能な「ハズレの家」を引けば、暑さ寒さと高額なエネルギーコストに苦しむことに。
  ▶政策誘導による早急な性能確保は不可決。
   建築物省エネ法は一次エネルギーの規制がメイン
   建築省エネ法「住宅」は適合義務ならず!
   トップランナー制度は「大手事業者のボトムアップ」が必要
   戸建て住宅は多すぎて手に負えない?
   一次エネ計算ができず「省エネ適合」が判定できない設計者
   住宅の適合義務化を吹きとばした「未達4割」
   「建て主は省エネを求めていない」は本当?
   適合義務化の先送りで終わらぬ悲劇
   断熱は本当に「ペイしない」のか?
   「住宅業界への忖度」で住宅ストックの9割が無断熱に
   建築の省エネが急務なワケはロックイン効果にあり
   低所得者の家こそ暖かくする国ドイツ
   
    Q13 ZEHは究極のエコハウス?
 8742
  ▶ZEHの仕様は「今どき当たり前」で、真のエコハウスというには力不足。
  ▶系統への売電に大きく依存しているため、FIT終了後はエネルギーコストが高額に。
   経産省ZEHは断熱・高効率設備・太陽光発電の3点セット
   一次エネ消費量の「その他抜き」と「その他込み」
   強化バージョンのZEH+/ZEH+Rも疑問だらけ
   ZEHならゼロエネで絶対に健康・快適?
   WEBプロでは実際の建物や生活を再現できない
   ネット・ゼロはあくまで「年間で差し引きゼロ」
   ネット・ゼロエネはゼロコストにあらず、FIT終了後は赤字に
   エネルギー消費と発電の季節変化を小さくする建物の工夫を

    Q14 エネルギーコストゼロで快適な生活は無理?
  ▶究極のエコハウスを実現するために必要な建築関係の部材は、既に一通りそろっている。
  ▶適正な容量・傾斜角の太陽光発電と年中安定のエネルギー消費量の2つがカギ。
   エコハウスは何よりもまず住まい手のために
   オフグリッドに備えたエネルギー自立住宅を目指す
   太陽光の傾斜角を大きくすれば冬場の発電量が増える
   エネルギー自立は実質ゼロコストで実現できる
   夏は高効率ヒートポンプと太陽光発電でノープロブレム
   冬は昼間の太陽熱で夜を無暖房に
   新築時はFIT活用で売電優先、FIT終了後に蓄電池を検討
   必要な部材は既にある、後は住まい手の思いと設計の知恵


市民環境会議(3/19)参加者募集 2月1日

健康・快適で電気代も安心な新しい家づくりと暮らし方をテーマにした3月19日に開催される市民環境会議のチラシ(環境基本計画市民推進委員会『ひがしまつやまニュースレター』13号)が市広報とともに各戸配布されました。
表_ニュースレターNo.13市民環境会議

テーマ:健康・快適で電気代も安心な新しい家づくりと暮らし方
       ~今、住宅用太陽光発電が必要な理由~
基調講演:東京大学大学院工学系研究科 前真之 准教授
日時:3月19日(日)10:00 ~ 11:30
   東松山市総合会館3階303会議室・オンライン(Zoom)
参加費:無料
申込方法:KANKYOSEISAKUKA@city.higashimatsuyama.lg.jp
問合せ:東松山市役所環境政策課(0493-63-5006 直通)

市民環境会議・クビアカツヤカミキリの脅威と対策 7月17日 

22年度第1回市民環境会議『東松山市の桜が危ない クビアカツヤカミキリの脅威と対策』が総合会館とオンラインで開催されました。
埼玉県環境科学国際センターの三輪さんの『サクラの外来害虫“クビアカツヤカミキリ”の生態と防除-被害防止の手引きを中心にして』の資料はこちら
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※埼玉県環境科学国際センター『クビアカツヤカミキリ発見大調査マニュアル 2022』。クビアカウォッチャーズ募集中です!

環境政策課から『東松山市クビアカツヤカミキリ駆除奨励品交付事業について』の説明がありました。
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※東松山市のクビアカツヤカミキリ駆除奨励品交付事業について、詳細ページはコチラです。
クビアカツヤカミキリ駆除奨励品交付事業チラシ


※YouTube『捕まえると賞金が貰える外来昆虫を乱獲して市役所に持っていきました。』(もりぽこ/
エマスチャンネル10:46)2021年7月18日公開
 

7/17市民環境会議案内 6月15日

717日(日曜日、11:00~12:30)、東松山市・環境基本計画市民推進委員会主催2022年度第1回市民環境会議が開催されます。『東松山市の桜が危ない クビアカツヤカミキリの脅威と対策』をテーマに埼玉県環境科学国際センターの三輪誠さんの講演「サクラの外来害虫クビアカツヤカミキリの生態と防除」、東松山市環境政策課から「東松山市のクビアカツヤカミキリ駆除奨励品交付事業」の紹介があります。申し込み用メールアドレス( KANKYOSEISAKUKA@city.higashimatsuyama.lg.jp )。

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紹介:行田市のクビアカツヤカミキリ奨励品事業(21年度)

 駆除総数 1936匹
 奨励品交付 人数38人、件数62件
 クビアカツヤカミキリの駆除には発見場所(分布図)のデータ公表が必要です。

『2021年夏の市民の森と冬の落ち葉掃きイベント』完成 8月18日

8月22日(日曜日)10:00~11:30、オンラインZOOMで実施する市民環境会議で市民の森保全クラブ&岩殿満喫クラブは『2021年夏の市民の森と冬の落ち葉掃きイベント』を発表します。パワーポイントのスライドショーを7分10秒の動画にしました。スライド10枚はクリックして拡大し、動画3本はYouTubeで見て、確認してください。


夏の市民の森0818版_09夏の市民の森0818版_10

夏の市民の森0818版_11


子ども版環境基本計画・白書・サイト 8月17日

子ども版(向け)環境基本計画(白書)としてどのようなものがあるか。近年つくられたもの、イラスト、「地球温暖化」、「持続可能な社会」等に注目してサイトを調べました。

 
 ①こどものページ★地球、だいじょうぶ?
 ➁あちこち具合がわるそうだ…
 ➂地球の熱はこれからどうなる?
 ➃長野県はこれからどうなる?
 ➄地球が熱を出したのはなぜ?
 ⑥熱の原因=CO2はどこから?
 ⑦何かできること(お薬)は?
 ⑧CO2をへらすには(エネルギー・森林)
 ⑨CO2をへらすには(省エネ・節電)
 ⑨CO2をへらすには(省エネ・節電)その2
 ⑨CO2をへらすには(省エネ・節電)その3
 ⑩高熱(温暖化)にそなえるには
 ⑪長野県が気候非常事態宣言!
 パンフレット(2020年2月)
 地球だいじょうぶ?(長野県パンフ)_01地球だいじょうぶ?(長野県パンフ)_02地球だいじょうぶ?(長野県パンフ)_03

地球だいじょうぶ?(長野県パンフ)_04地球だいじょうぶ?(長野県パンフ)_06地球だいじょうぶ?(長野県パンフ)_07
地球だいじょうぶ?(長野県パンフ)_08地球だいじょうぶ?(長野県パンフ)_09地球だいじょうぶ?(長野県パンフ)_10

地球だいじょうぶ?(長野県パンフ)_11


新潟県こども環境白書(2019年)
対象等:小学校高学年以上、A4版16ページ、カラー
 内容:自然・環境に関する4つのテーマ「生物多様性」「大気や水」「地球温暖化」「ごみ」について解説し、新潟県の状況や取組を紹介しています。
 特徴:たくさんの写真やイラストを見ながら、レルヒさんと一緒に楽しく学ぶことができます。また、わかりやすい動画やより詳しい資料を掲載したホームページもご案内しています。
 新潟県こども環境白書(2019)_01新潟県こども環境白書(2019)_07新潟県こども環境白書(2019)_10

新潟県の「なるほど!自然・環境ブック」新潟県環境ポータルサイト「環境にいがた」
新潟県の自然や環境をもっと知ってもらい興味をもってもらうきっかけになればと思い、環境学習に使える資料を作成しました。
 小中学校での総合的な学習の時間や地域での環境学習などの参考になるいろいろな情報がいっぱいです。
 生物多様性に関する「なるほど!自然・環境ブック」
 大気や水に関する「なるほど!自然・環境ブック」
 地球温暖化に関する「なるほど!自然・環境ブック」
 ごみに関する「なるほど!自然・環境ブック」

子ども環境白書、総合計画、ごみ処理基本計画 8月14日

計画は誰がいつまでに何をするかを定めています。誰がにあたるのは、行政・市民・事業者の3者で、「協働」することになっています。市民については市民運動、団体としているものが僅かですがあります。環境基本計画・白書だけでなく、総合計画、ごみ処理基本計画についても子ども版がつくられています。子ども版には大きく2つのタイプがあることに気がつきました。行政の施策(取り組み)の紹介重視型(○○をしています、○○をするよ)と、呼びかけ重視型(○○をしよう、みんなにできることは何だろう)です。呼びかけ重視型の方が多いようですが、「子ども版」は、何歳位の子どもを読者として想定しているのでしょう。『子ども環境白書』(環境省)は小学校4年程度から、「こどもも おとなも みんなつかえる」とあります。

ぐんま こども環境白書』(2020年3月)全32頁
このたび、次代を担うこどもたちへの環境学習の教材として、また環境白書の普及啓発資料として、令和2年版「ぐんまこども環境白書」を作成しました。

 この白書は、小学生以上(主に3~6年生)を対象とし、環境に関する5つの分野(地球温暖化・自然・水・大気・ごみ)についての基本的な内容を分かりやすく解説しています。
 また、県内の環境の状況や、小中学校等での取組、環境を守るための行動例などについても写真やイラスト等を交えながら紹介しています。

  群馬県こども環境白書(2020年版)_01群馬県こども環境白書(2020年版)_02群馬県こども環境白書(2020年版)_16
 学習教材の案内 教材リスト(群馬県環境サポートセンター)

 本市では、市政運営を総合的、計画的に進めるための指針として、また、最上位の行政計画として平成28年度から平成35年度までの8年間を計画期間とする新たな総合計画を策定しました。
 総合計画は、将来どのようなまちにしていくか、またそのためにどのように取り組んでいくかについて体系的にとりまとめたものであり、本市を取り巻く状況を踏まえ、施策の方針を定めた「基本計画」と基本計画に示した施策を具体化していくための「実施計画」により構成しています。
 また、国は地方創生の実現を目指して地方自治体に地方版の「人口ビジョン」と「総合戦略」の策定を求めています。なお、本市では総合計画と「総合戦略」を一体的に策定しており、総合計画の重点施策が平塚市総合戦略にあたります。
 平塚市の現状や取組みを学び、子どもたちが自分なりに「平塚の未来」を描き、自分たちに何ができるのかを考えるきっかけになるよう、総合計画の“子ども版”を作成しました。
  子ども版ごみ処理基本計画(小金井市)_36子ども版ごみ処理基本計画(小金井市)_37
本編、資料編(小金井市の取組や働く車について紹介)におまけのページがついて、子どもも大人もみんな使える内容です。

こども版環境計画・白書・サイト 8月12日

子ども版(向け)環境基本計画(白書)としてどのようなものがあるか。近年つくられたもの、イラスト、「地球温暖化」、「持続可能な社会」等に注目してサイトを調べました。

こども環境白書(環境省、2019年1月発行)
こども環境白書2019_13-001

こども環境白書2019_01こども環境白書2019_02こども環境白書2019_04

こども環境白書2019_07こども環境白書2019_12こども環境白書2019_13
 
   2021年5月19日(水)からは1991~2020年の観測値による新平年値が使用開始
   

  お家で学べる環境学習
  授業などで使える学習資料
  環境に関する様々なデータ集
   神戸市の計画・取り組みなど
   ごみ・リサイクル
   地球温暖化・エネルギー
   生物多様性
   公害など

  NHKが開設している学校カリキュラムに合わせた学習動画を提供しているサイト
  9000本の動画教材をキーワード・教科・学年・動画の種類(番組・クリップ)で検索
   


    (京都府地球温暖化防止活動推進センター、2018年)
   子ども向け地球温暖化問題について知ろう
     【子ども向け再生可能エネルギーについて知ろう
        大人向け地球温暖化問題の基礎知識
          【大人向けCOOL CHOICE具体例

市民の森園路ガイド② 8月3日

8月1日の記事「市民の森園路ガイド①」の続きの映像です。岩殿雪見峠の四阿[あずまや]までです。

市民の森の地球観測センターに向かう舗装園路から分かれて入山沼方面に進み、さらに途中で尾根の道を通り雪見峠の四阿に到着します。このあたりのアカマツ林・コナラ林が市民の森保全クラブの活動エリアです。





市民の森園路ガイド① 8月1日

昨日の映像を手直ししました。

物見山駐車場から、市民の森保全クラブの作業エリアにある四阿[あずまや]まで歩きます。①は地球観測センターに至る舗装されている園路です。東松山市の市民の森と鳩山町の石坂の森の境界を通る園路で、途中のボッシュ林入口には四阿とバイオトイレが設置されています。(2021年7月31日撮影)



市民の森園路映像 7月31日

8月22日(日曜日)10:00~11:30、オンラインZOOMで実施する市民環境会議で使う映像・写真を市民の森で撮影しました。
市民環境会議とは、第3次東松山市環境基本計画において推進する環境まちづくり活動の普及啓発や市民団体の活動PRを行うイベントです。今回は地球温暖化やごみ問題など、ニュースで注目される環境問題に対し、東松山市ではどのように計画を立てて対策を進めようとしているのかを子ども版環境基本計画で紹介します。丘陵ホタルを守る会、東松山おもちゃの病院、子ども理科教室・東松山、市民の森保全クラブ&岩殿満喫クラブ、児沢探検隊の活動報告もあり、小学生から理解できるように説明しようという企画です。参加申込は8月19日(木曜日)正午までに、環境政策課宛に電子メールで参加者氏名及び電話番号を連絡してください。連絡先は下のチラシに出ています。

市民環境会議20210822

動画は撮るのも、編集するのも超初心者なのでどうすればよいのかわからなくて準備が大変です。物見山駐車場から、市民の森保全クラブの活動エリアまで撮影しました。
静止画を切りだしてスライドショーにしてみました。舗装されている園路の部分だけで2分弱です。


『週刊東洋経済』特集 SDGs 日本を代表する500社 6月28日

『週刊東洋経済』7月3日号が発売されました。SDGs 日本を代表する500社が特集しています。
東洋経済20210703img-210703184700-0004

目次

 基礎編
  サステナビリティが企業にもたらす課題
  サステナビリティ専門家に聞く 企業経営直撃!重要6テーマ

 SDGs 日本を代表する500社ランキング【2021年版】
 SDGs企業ランキング評価項目90
  人材活用/環境/社会性/企業統治

 テーマ別に見るSDGs
  ①[ダイバーシティ]女性部長比率ランキング
  ②[カーボンニュートラル]炭素利益率(ROC)ランキング
  ③[生物多様性]生物多様性保全支出額ランキング
  ④[社会参加]ボランティア休暇取得者数ランキング
  ⑤[リスクマネジメント]内部通報件数ランキング

 SDGs企業ランキング トップ企業インタビュー
  [総合]オムロン 取締役会長 立石文雄
     「『非財務価値』が約6倍に 有報や短信に開示拡大へ」
  [人材活用部門]ファンケル 理事、SDGs推進室室長 山本真帆
  [環境部門]J.フロント リテイリング 執行役常務 平野秀一
  [社会性部門]帝人 取締役常務執行役員 小山俊也
  [企業統治部門]SOMPOホールディングス サステナブル経営推進室長 平野友輔

 ニッポンはSDGsをどう達成するのか
  「危機感が足りない まず目標を設定せよ」 慶応大学大学院教授 蟹江憲史
  「限界値を超える前に社会システム変革を」 ジャーナリスト 国谷裕子

 SDGs企業×高年収企業、長寿企業

 投資編
  評価会社のプロはここをチェック ESGファンドの選び方
  SDGs銘柄のパフォーマンス比較 上昇期待は中下位企業、上位はTOPIX下回る
  「ESGの対応いかんで市場の企業選別が進む」
    GPIF 投資戦略部次長 チーフ・ストラテジスト 塩村賢史
  売り手は熱心 「ESGファンド」の人気度
  かつては東芝、シャープがトップ  CSR企業ランキング 15年興亡史

 実践編
  「やっているふり」は経営にマイナス SDGsウオッシュ予防の10原則
  持続可能性の観点で整理 サプライチェーンで発生する大損害を防ぐ
  SDGsと『論語と算盤』の共通点
  気候変動軸にESGの情報開示規制強まる
  ポストコロナのSDGs 経営の羅針盤として活用へ
  欧州企業が存在感放つ 世界のSDGsランキング
   SDGs企業 業種別ランキング

※『東松山市第3次環境基本計画』が2021年4月発行されました。19年から東松山市環境基本計画市民推進委員会のメンバーとして関わってきましたが、当初、「SDGs」について聞いた事が一度もない人がかなりいた印象です。サスティナビリティやレジリエンスなども同様でしたが、この2年間で様変わりしています。SDGsウォッシュという言葉があり、「SDGsに真剣に取り組んでいないのに、取り組んでいるフリをすること」「うわべだけのSDGs」という意味で使われています。
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東松山市第3次環境基本計画_01_2東松山市第3次環境基本計画_01_1
環境基本計画では5つの環境目標脱炭素に向けた暮らしを推進するまち廃棄物の削減と資源循環に取組むまち生き物、自然と共生するまち安全で快適に暮らせる生活環境が整ったまち市民・地域のチカラが発揮される協働のまち)毎に、SDGsとの関連性について東松山市の施策とのつながりを示したページがありますが、市の取組みにとりあえずSDGsのアイコンを貼りつけている見かけ倒しのウォッシュ自治体にならないよう取り組んでいきましょう。

課題解決先進都市京都からのSDGs発信~レジリエンスをキーワードに~ 12月24日

11月25日~28日、エコプロOnline 2020(主催:日本経済新聞社、サステナブル経営推進機構)が行われました。25日10:30~11:30にライブ配信された藤田 裕之さん(レジリエント・シティ京都市統括監・元京都市副市長)の講演『課題解決先進都市・京都からのSDGs発信 ~ レジリエンスをキーワードに ~』(YouTube 59:58)です。ポスト・コロナ社会に向け、利便性や経済性だけではない、心豊かで安全に過ごせる持続可能な社会の実現へとつながる京都市での取り組みについて、SDGs、レジリエンスをキーワードに京都ならではの持続可能なまちづくりについてのお話しです。
京都市は、アメリカの慈善事業団体ロックフェラー財団が設立100周年を記念して創設した「100のレジリエント・シティ」(100RC)のプロジェクトに参加する世界100都市の1つとして、2016年5月にレジリエント・シティ(RC)に選定されました(日本では14年に富山市)。京都市は自然災害や人口減少をはじめとする様々な危機に対し粘り強くしなやかに対応し、将来にわたって人々がいきいきとくらせる、魅力と活気に満ちた都市(=レジリエント・シティ)の実現に向けた取り組みを進め、19年3月18日、今後の取組指針となる「京都市レジリエンス戦略」(~2040年)を策定しています。
京都市レジリエンス戦略201903_3

※統括監(チーフ・レジリエンス・オフィサー CRO)とは?
CROはレジリエンス戦略の策定と実行を指揮・監督します。レジリエンスに係る上級アドバイザーとして市長を支え、地域において、また世界に対して、レジリエンスという考え方を発信し推進する。また、都市レジリエンスに関係する市役所内外の関係者及び関係都市との連携を図るとともに、他の加盟都市CRO、100RCスタッフ、各種パートナーとの連絡・調整を行います。




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はじめに
 京都市予算編成方針から京都市の都市特性と市政の役割

「SDGs」の意義と背景
 SDGsとは?
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 SDGsのもう一つの捉え方 5つのP(People、Prosperity、Planet、Peace、Partnership)
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 SDGsについて考える大前提として(Sustainable、Development、Goal)
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京都ならではの持続可能なまちづくり
 京都の歴史は危機と再生の繰り返し
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 京都議定書誕生(1997年)の環境先進都市としての使命
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 持続可能な都市文明の構築を目指す京都宣言(2017年)
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 番組小学校……京都における人づくりの伝統
 持続可能なまちづくりを支える様々な市民の活動

もう一つのキーワード 「レジリエンス」の視点
 想定を超えた近年の大きな出来事
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 時代を先取りしたキーワード 「レジリエンス(Resilience)」
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 先行き不明で前例のない社会に直面する中での新たな課題
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 ロックフェラー財団の提唱による「世界100のレジリエント・シティ」として
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 我が国における動き 〈強くて、しなやかな ニッポンへ〉
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 レジリエンスの対象
  突然襲いくる外的ショック
  じわじわ忍びよる内的ストレス
  〈決して自然災害に特化した概念ではない!〉
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 「持続可能性(Sustainability)と表裏一体のレジリエンス(Resilience)
  レジリエンスの繰り返しが持続可能性
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 SDGsにおいて何が問われているのか? ~レジリエンスの視点から~
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 SDGs推進における留意点 ~「成長」社会から「定常型社会」へ~
 決して立ち止まることではない「現状維持」
  〈社会の担い手の育成によってのみ持続可能性は実現〉
 持続可能な定常型社会→人が育ち続ける社会→生涯学習社会→「レジリエンス」のある社会
 持続可能な未来を志向する レジリエンスとSDGs融合のイメージ
 現代社会の「不幸」と「不安」

むすびに あらゆる危機を乗り超えるために
 SDGs推進とレジリエンス構築 ~ライフスタイル・施策・組織・活動の総点検を~
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※「都市のレジリエンス」の定義づけ(「推進本部会議資料」2018年7月4日)
  RC推進本部資料201807_1
 
※レジリエンスについて(「レジリエント・シティの取組説明資料」2017年4月26日)
  RC取組説明資料04-1_1RC取組説明資料04-1_2

  RC取組説明資料04-1_3RC取組説明資料04-1_6

  RC取組説明資料04-1_4RC取組説明資料04-1_5
※レジリエンスとは? 都市をおびやかす危機について(『京都市レジリエンス戦略』5頁)
  京都市レジリエンス戦略201903_1

※「個人・家庭」や「地域・企業等」のレジリエンスの取組例(『京都市レジリエンス戦略』13頁)
  京都市レジリエンス戦略201903_2

  富山市レジリエント戦略_1富山市レジリエント戦略_2

レジリエンスとは?(2020年12月13日ブログ記事)

どうする?プラごみ問題(後編) 12月20日

10月31日の記事「どうする?プラごみ問題(前編)」の続きです。

 

 [目次]
256

01:34 バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックについて
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 ・プラスチックは石油が原料
 ・バイオマスプラスチックは生物資源が原料
 ・生物によって分解される性質が生分解性
 ・バイオプラスチックにはバイオマスプラスチックと生分解性プラスチックがある
 ・バイオマスプラスチックは紛らわしいのでバイオ起源プラスチックと呼ぶことを提唱
 ・バイオマスプラスチック(バイオ起源プラスチック)のすべてが生分解性というわけではない
 ・バイオ起源プラは温暖化対策に意味がある
 ・生分解性プラはごみの分解性を促進する

02:52 指定ごみ袋の全国の導入状況
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 ・全国の市町村の64%でゴミ出しは有料化
 ・指定ごみ袋制の市町村は全国の6割
 ・指定ごみ袋制でも有料化でない場合もある
 ・指定ごみ袋制でない自治体
   2023
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   ごみ袋には市販ごみ袋よりレジ袋の法が多く使われている
   レジ袋は捨てるのに便利に使われてしまう
 ・レジ袋はごみ袋の子袋・孫袋に使われる
 ・ごみ袋に必要な分だけ自分で買おう

08:11 海洋プラごみで多い漁網への対策
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 ・漁具(漁網等)への対応はたしかに重要
 ・漁具プラスチックによる海洋汚染問題が発生する原因
   ①不適正処理(意図的)
   ②台風などで流出(非意図的)
   ③入網ごみ(むしろ被害者)
    環境省「漁業系廃棄物処理ガイドライン」
    水産庁「漁業系廃棄物計画的処理処理推進指針」
 ・経済的インセンティブに問題

12:10 プラスチックは紙よりもコストが安いのか
 ・プラスチックは費用・機能面(軽くて丈夫)でのメリットがある
 ・プラスチック施用量は半世紀で20倍以上
 ・外部費用=海洋ゴミや温暖化対策への費用
 53
 ・日本はプラスチックや複合資材等の費用の区別がされていない

54

15:03 ①プラスチックの代わりに紙を使うのは?
 ・コーディング材の使用量が多いとプラと同様の問題
 ・接着剤、蛍光増白剤の使用量や森林の持続可能性にも注意
 ・紙は再生可能な資源という意味でのメリット
 ・海に流出しても分解性の面ではプラよりもよい
 ・ライフサイクルでの温室効果ガス排出は紙はプラの半分
 63
 ・小売店向け「3R見える化ツール
   こういう行動をとればよいというオプションが示されている

18:09 ②スーパーなどの無料のポリエチレンの袋は有料化しなくてよい?
 ・課金の仕方が難しい
 ・消費者が実行できる代替行動がない

19:30 ③チラシやDMなど家庭に入り込んでくるプラ製の袋はどうする?
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 ・雨天時の新聞の袋やポスティングのチラシやDM等
 ・提供者と消費者が議論する場が必要

21:39 ④ペットボトルを使わずに済む方法は?
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 ・マイボトル、給水スポットを広げる
 ・水Do!ネットワーク
 ・日本のペットボトルは無色透明でリサイクルしやすい

25:11 ⑤量り売りはどうか?
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 ・量り売りの良し悪しの判断はなかなか難しい
 ・かえってごみが増える可能性も
 ・全体でいかにごみを減らせるか
 ・全体のリデュースが大切
 ・容器包装、内容物、品質保持

27:11 プラスチックをどう減らすか
86
 ・消費者と生産者がどう一緒に減らせるか
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 ・メーカーからの取り組みと消費者からの訴えかけ

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※「知ってほしい、リサイクルとごみのこと
   (国立環境研究所社会対話・協働推進オフィス、2017年11月30日)
  
  焼却主義からリサイクルへ
  世界各国のリサイクル事情
  リサイクル率とは?
   リサイクル率=リサイクルされたモノの量/もともとあった廃棄物などの総量
    ①缶、びん、ペットボトルなどの主要な資源ごみ(家庭系)だけの場合
    ②その他の家庭系資源ごみ(例:生ごみ)を含む場合[①+生ごみなど]
    ③家庭ごみ全体の場合[②+その他の家庭ごみ(可燃ごみなど)]
    ④家庭ごみだけでなく事業系ごみを含む場合[③+事業系ごみ]
  サーマルリサイクルについて
  日本のリサイクル率を上げるには?
  ごみ問題とこれから

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※「リサイクルの現場が様変わり 「家電やプラスチックごみについて考えよう」
   (国立環境研究所社会対話・協働推進オフィス、2018年7月26日)
  
  引っ越し業者のエアコン横流し
  本来は、分解・選別し、リサイクル
   20180726-002
  雑品スクラップの山積みで大規模火災
 非正規業者が(日本側で)仕分けをせずにまとめた状態のものを、雑品スクラップと呼んでいます
 雑品スクラップという言葉は2014年ごろに環境省が使い始めた用語で、鉄、プラスチックや家電などが仕分けされないまま集められているもので、「金属スクラップ」「ミックスメタル」などと呼ばれることもあります。
 雑品スクラップには、次の3つの問題があります。
①有害物質管理が不備で輸出先で環境汚染
鉛など有害物質を含んでいるため、輸出先(中国など)の業者が解体などをするときに有害物質が環境を汚染する。
②本来、日本国内で回収すべき資源が流出
正規ルートであれば日本国内で活用できる資源が海外に流れてしまう。
③大規模火災
集めたスクラップは(日本国内の港周辺などで)山積みの状態で置きっぱなしにされ、時に大規模な火災が発生する。消火に長時間かかり、原因不明なことが多いという問題も。
  雑品スクラップ、扱いに新たな基準設ける
 雑品スクラップは一見、ごみに見えるのですが、廃棄物処理法の対象として規制するのも難しい存在でした。廃棄物処理法は、廃棄物の処分の仕方を決めた法律ですが、同法で定めた廃棄物は無価物(値段のつかないもの、不要品)が対象です。
 一方で、雑品スクラップは、「海外の業者が買い取る」ために有価物(つまり値段のついたもの)であり、廃棄物ではない、というわけです。
 その結果、上記のような問題が発生しても、廃棄物処理法では、業者に対する雑品スクラップの管理についての指導はできませんでした。
 そこで、廃棄物処理法が改正され「有害使用済機器」の項目を新設。2018年4月から、家電リサイクル法と小型家電リサイクル法で定められた計32品目を「有害使用済機器」に指定しました。
 これらの品目については、都道府県への届出義務や保管方法などについての基準を設け、保管している業者を指導できるようにしたのです。
 この措置によって、非正規業者は、雑品スクラップについて、これまでは山積みのままでよかったのに、保管方法を整えるためのコストが必要になります。その結果、利益が減り、非正規業者の廃業が相次ぐ可能性があります。
 先のサカイ引越センターの例でいえば、横流し先の業者がいなくなるかもしれないということです。
 雑品スクラップの量は、中国向けだけで年間約100万トン以上とされていますが、この量が今後どう処理されるか、注目されます。
  「資源ごみ輸入大国」中国が方針転換
 そして、リサイクルの現場の様変わりをもたらしている、もう一つの原因が、中国の資源ごみ輸入規制です。中国政府が2017年7月に規制方針を明らかにし、今年1月から実施されています。
 今年から輸入禁止になったのは、4種類24品目。4種類は、生活現場から出る廃プラスチック、古紙(未選別のもの)、繊維系廃棄物、鉄鋼用添加剤などです。
 中国はこれまで「資源ごみ輸入大国」と言われてきました。中国国内の業者が、世界各国から資源ごみを輸入し、リサイクルして、製品を製造してきたのです。
 輸入業者が扱う資源ごみには、先に説明した雑品スクラップのほか、ペットボトルなどの廃プラスチックなど様々なものがありますが、例えば、廃プラスチックの場合、破砕し加工して、布団などにつめる中綿や繊維製品などとして出荷する、という具合です。
 国連資料などによると、世界各国が輸出している廃プラスチックの約7割を中国(香港経由含む)が輸入しているといわれます。
 しかし、海外からの輸入される資源ごみ(中国では『洋ごみ』と呼ばれています)には、異物や汚れたものが混ざっている場合や鉛などの有害物質が含まれている場合があり、リサイクルの際に環境汚染につながる問題が再三指摘されてきました。
 日本の雑品スクラップについての説明で指摘したのと同様の問題です。
  健康被害懸念し、「洋ごみ禁止」
 リサイクルに伴う環境汚染により、地域住民の健康被害も懸念されるようになり、中国政府が「洋ごみ禁止」に大幅に強化するようになったのです。
 今年の禁止措置で、日本で影響が目立つのは、ペットボトルなどの廃プラスチックです。中国(香港を含む)への輸出は年間約130万トン(2016年)をいかに処理するかが課題となります。
 そして雑品スクラップも、今年の禁止措置に伴う影響を受けています。
 非正規ルートでの廃棄物の処分は、日本国内(廃棄物処理法の改正)と中国(受け入れ禁止措置)双方の措置のために、極めて困難になりつつあります。
 非正規業者は「無料で引き取ります」などとスピーカーで宣伝しながら住宅街を車で巡回したり、郵便受けにチラシを入れたり、またインターネットでPRしたりもしています。
 環境省が6月7日に発表した2017年度の家電リサイクル法の実績によると、正規ルートでの処分量が増加しています。同省は「中国の受け入れ禁止で、正規ルートでの処分に移ってきた」と分析しています。
  日本国内でのリサイクル施設充実を
   (国立環境研究所社会対話・協働推進オフィス、2018年9月3日)
    
  ポイント1 キャップははずすのに、リングははずさなくていいのですか?
  ポイント2 リングが処理されるのなら、キャップもはずさなくていいのでは?
  ポイント3 駅やお店でキャップをはずさないこともありますが、なぜですか?

   (国立環境研究所社会対話・協働推進オフィス、2019年9月11日)
  
  はじめに
  【話題提供】
   ①プラごみの海洋汚染とは?-近年急増し生態系に影響
   ②どのようにリサイクルしているのか?-地元つくば市を見学
   ③分別・リサイクルしているのになぜ散乱するのか?
  【ディスカッション】
   ・プラスチックをリデュース(削減)するために、私たちに何ができる?
   ・消費者として何ができるか?
   ・社会の仕組みをどう変えればいいの?
     ①プラスチックごみの海洋汚染とは?
     ②どのようにリサイクルしているのか?
     ③分別・リサイクルしているのになぜ散乱するのか?
    参加者とディスカッション……

レジリエンスとは? 12月13日

平野勇さんの『国土は叫ぶだけでは強靭化できない』(古今書院、2015年)という本があります。最近、目にしたり聞いたりすることが多い強靱化レジリエンスという言葉ですが、どのような意味合いで使われているのでしょうか。

内閣官房に「国土強靱化地域計画を策定した地方公共団体別一覧及び地域強靱化計画取組MAP」(2020年12月1日現在)があり、県内では、埼玉県さいたま市、 熊谷市、 春日部市、 三郷市が「国土強靱化地域計画」を策定済み、12自治体(川口市、本庄市、羽生市、鴻巣市・深谷市、戸田市、志木市、横瀬町、美里町、神川町、上里町、宮代町)が策定中(21年3月完了予定)で、東松山市を含む47自治体が策定予定です。

国土強靱化地域計画策定ガイドライン(第7版) 基本編』(内閣官房国土強靱化推進室、2020年6月)では強さ」と「しなやかさ
(1)理念と基本目標
基本計画においては、概ね以下の通り記載されています。
○我が国は、その国土の地理的・地形的・気象的な特性ゆえに、数多くの災害に繰り返し、さいなまれてきました。そして、規模の大きな災害であればある程に、まさに「忘れた頃」に訪れ、その都度、多くの尊い人命を失い、莫ばく大な経済的・社会的・文化的損失を被り続けてきました。しかし、災害は、それを迎え撃つ社会の在り方によって被害の状況が大きく異なります。

○大地震等の発生の度に甚大な被害を受け、その都度、長期間をかけて復旧・復興を図る、といった「事後対策」の繰り返しを避け、今一度、大規模自然災害等の様々な危機を直視して、平時から大規模自然災害等に対する備えを行うことが重要です。 ○東日本大震災から得られた教訓を踏まえれば、大規模自然災害等への備えについて、予断を持たずに最悪の事態を念頭に置き、従来の狭い意味での「防災」の範囲を超えて、まちづくり政策・産業政策も含めた総合的な対応を、いわば「国家百年の大計」の国づくり、地域づくりとして、千年の時をも見据えながら行っていくことが必要です。

○そして、この地域づくり、国づくりを通じて、危機に翻弄されることなく危機に打ち勝ち、その帰結として、地域、国の持続的な成長を実現し、次世代を担う若者たちが将来に明るい希望を持てる環境を獲得する必要があります。

○このため、いかなる災害等が発生しようとも、
 ① 人命の保護が最大限図られること
 ②  国家及び社会の重要な機能が致命的な障害を受けず維持されること
 ③  国民の財産及び公共施設に係る被害の最小化④ 迅速な復旧復興を基本目標として、「強さ」と「しなやかさ」を持った安全・安心な国土・地域・経済社会の構築に向けた「国土強靱化」(ナショナル・レジリエンス)を推進するものです。  (ガイドライン5~6頁)

2)防災との違い
「国土強靱化」と「防災」は、災害への対策という点で共通しますが、以下のような違いがあります。なお、国土強靱化地域計画と地域防災計画の関係については、後述します(44頁)。

○「防災」は、基本的には、地震や洪水などの「リスク」を特定し、「そのリスクに対する対応」をとりまとめるものです。したがって、例えば、防災基本計画では、「各災害に共通する対策編」を設けつつ、「地震災害対策編」「津波災害対策編」など、リスクごとに計画が立てられています。 ○一方、国土強靱化は、リスクごとの対処対応をまとめるものではありません。それは、①あらゆるリスクを見据えつつ、②どんな事が起ころうとも最悪な事態に陥る事が避けられるような「強靱」な行政機能や地域社会、地域経済を事前につくりあげていこうとするものです。そのため、基本計画では、事前に備えるべき目標として、以下の8つを設定しています。
 i  直接死を最大限防ぐ
 ii  救助・救急、医療活動が迅速に行われるとともに、被災者等の健康・避難生活環境を確実に確保する
 iii  必要不可欠な行政機能は確保する
 iv  必要不可欠な情報通信機能・情報サービスは確保する
 v  経済活動を機能不全に陥らせない
 vi  ライフライン、燃料供給関連施設、交通ネットワーク等の被害を最小限に留めるとともに、早期に復旧させる
 vii  制御不能な複合災害・二次災害を発生させない
 viii  社会・経済が迅速かつ従前より強靱な姿で復興できる条件を整備する

○つまり、基本目標に掲げた人命の保護や維持すべき重要な機能に着目し、あらゆる大規模自然災害等を想定しながら「リスクシナリオ(起きてはならない最悪の事態)」を明らかにし、最悪の事態に至らないための事前に取り組むべき施策を考えるというアプローチです。国土強靱化は、そうした最悪の事態を起こさない、(重要な機能が機能不全に陥らず迅速な復旧復興を可能とする)強靱な仕組みづくり、国づくり、地域づくりを平時から持続的に展開していこうとするものです。そして、そうした強靱化の取組の方向性・内容をとりまとめるものが、強靱化の計画です。

○さらに、国土強靱化は、土地利用のあり方や、警察・消防機能、医療機能、交通・物流機能、エネルギー供給機能、情報通信機能、ライフライン機能、行政機能等様々な重要機能のあり方をリスクマネジメントの観点から見直し、対応策を考え、施策を推進するものです。実施主体も、地域においては、地方公共団体内の関係部署・部局にとどまらず、自治会や住民、商工会議所等の経済団体や交通・物流、エネルギー、情報通信、放送、医療、ライフライン、住宅・不動産等に係る民間事業者など、広範な関係者と連携・協力しながら進めるものです。

〇このようにして、大規模自然災害時に、人命を守り、経済社会への被害が致命的にならないようにする「強さ」と、受けた被害から迅速に回復する「しなやかさ」を備えた国土、経済社会システムを平時から構築することを目指すものです。  (ガイドライン6~7頁)
SDGsの目標9と11の日本語訳では、強靱(レジリエント)
SDGsの目標9:強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図
SDGsの目標11:包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
レジリエンスについては、枝廣淳子さんの『『レジリエンスとは何かー何があっても折れないこころ、暮らし、地域、社会をつくる』(東洋経済新報社、2015年)があり、「レジリエンスとは」(イーズ未来共創フォーラム『幸せ経済社会研究所』HP)という記事もあり、レジリエンスは「しなやかさと強さ」と訳しています。

放送大学では今夏、新型コロナウイルス感染問題の拡大の中で、今日の社会の危機をさまざまな角度から考えるシリーズ『危機の時代に考える』を放送していました。第13回は、奈良由美子さんの『リスク管理とレジリエンス~危機の時代を考える~』でした。リスクを小さくし、さらには危機を乗り越えるにはどうすればよいか。リスクをゼロにすることは不可能という現実があるなかで注目されているレジリエンスという概念の意義についての講義でした。レジリエンスとは「危機や逆境に対して柔軟に適応・回復する力
 

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番組中、山本太郎さんと山極寿一さんのお話し部分もぜひ、ご覧下さい。

12/4 労働者協同組合法成立 12月8日

組合員が資金を出し合って運営にも関わる「労働者協同組合」と呼ばれる非営利の法人形態を新たに認める法律「労働者協同組合法」が4日、参院本会議で全会一致で可決、成立しました。NPO法人などよりも簡単な手続きで設立でき、さまざまな事業を担える利点があり、人口減少に悩む地方を中心に、介護や緑化活動など多様な分野で新たな担い手となることが期待されています。「労働者協同組合法」については、『東京新聞』に多くの記事が掲載されて来ました(←東京新聞TOKYO Web「協同組合法」の検索結果)。

  「協同労働」実現する労働者協同組合法が成立 多様な雇用機会の創出に期待
 働く人が自ら出資し、運営に携わる「協同労働」という新しい働き方を実現する労働者協同組合法が4日の参院本会議で、全会一致で可決、成立した。2年以内に施行される。やりがいを感じられる仕事を自ら創り、主体的に働くことを後押しする仕組み。介護、子育てといった地域の需要にかなう事業が生まれ、多様な雇用機会の創出につながる効果が期待される。(坂田奈央)
  これまで介護や障害福祉、子育て支援、街づくりなど地域の課題に取り組む人たちは、NPOや企業組合などの形態で活動していたが、認可を得るのに時間がかかったり、活動分野が限られたりしていた。そうした課題を克服する「労働者協同組合」という新たな形態が考え出された。
 労働者協組法は全137条で、労働者協組を設立する規則を定める。①組合員が出資②組合員の意見を反映③組合員自ら事業に従事 ーの3原則に基づいて運営されると規定。官庁の認可は必要とせず、3人以上の発起人がいれば届け出のみで設立できるとした。
 組合員が組合の運営に携わると、労働者ではないとみなされ、労働法制の保護を受けられず低賃金などを強いられる懸念があった。このため法律は、組合が組合員と労働契約を締結するよう義務付け、労働者として保護されるようにした。
 法制化の動きは1990年代にスタート。2008年に最初の超党派議連が発足し、与野党の枠を超えて検討を続けてきた。100条を超える議員立法の成立は珍しい。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で企業の経営難や雇用不安が広がる中、雇用の受け皿となることも期待されている。各組合が経営基盤をどう安定させるかなどが課題となる。
「協同労働」 法案成立へ

 労働者協同組合法の要旨は次の通り。
【目的】
・組合員が出資し、それぞれの意見を反映して事業が行われ、組合員自ら事業に従事することを基本原理とする組織に関し、設立、管理その他の事項を定める。多様な就労の機会創出を促進し、地域の多様な需要に応じた事業を促進する。
【労働者協同組合】
・基本原理(①組合員が出資する②事業に組合員の意見が適切に反映される③組合員が組合の事業に従事する)を通じ、持続可能で活力ある地域社会の実現に資する目的のものでなければならない。
・組合員と労働契約を締結しなければならない。
・組合員の議決権及び選挙権は、出資口数にかかわらず平等。
・営利を目的として事業を行ってはならない。
・特定の政党のために利用してはならない。
・労働者派遣事業を行うことができない。
・組合の設立は準則主義(官庁の認可は不要)。3人以上の発起人を要する。
・役員として理事3人以上及び監事1人以上を置く。
・毎年度の剰余金の10分の1以上を準備金として積み立てなければならない。
・毎年度の剰余金の20分の1以上を就労創出等積立金として積み立てなければならない。
・組合員の知識向上を図るため、毎年度の剰余金の20分の1以上を教育繰越金として翌年度に繰り越さなければならない。
【その他】
・法律は一部を除き、公布後2年以内に施行する。
・施行の際、現存する企業組合またはNPO法人は、施行後3年以内に、総会の議決により組織を変更し、組合になることができる。   (東京新聞TOKYO Web 2020.12.05 13:53
労働者協同組合制度とは…?
労働者協同組合制度とは?

協同労働とは…?
私たちの働き方3つの協同
 協同ではたらくガイドブックー入門編ー(協同総合研究所)
  


『高齢者ごみ出し支援事例集』 12月7日

高齢者ごみ出し支援事例集』(国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センター、2017年8月)は『高齢者ごみ出し支援ガイドブック』の副読本として、全国で行われているごみ出し支援の取り組み12事例について、自治体、事業者、地域コミュニティの主体別に紹介しています。
事例集_1

I. 自治体による支援
 A. 直接支援型
 ①直営部隊による支援体制
 事例1 神奈川県横浜市政令市が直営で行う大規模な「ふれあい収集」
 事例2 埼玉県所沢市自治体職員が戸別訪問、声掛けも行う「ふれあい収集」でごみ出し安心
 ②委託による支援体制
 事例3 千葉県我孫子市体制やマニュアルを整備して、委託によるごみ出し支援・声掛けを行う
 事例4 福岡県大木町高齢者が活躍!小さな自治体だからできる親身な支援
 B. コミュニティ支援型
 事例5 新潟県新潟市ごみ出しを行う地域団体に支援金を交付して「共助」を支え、育てる
 事例6 千葉県千葉市行政によるバックアップで地域にあった継続的な支援を狙う
 C. その他
 事例7 東京都日野市戸別回収での対策:介護ヘルパーがいつでもごみ出しできる仕組み

II. 事業者による支援
 事例8 有限会社新津清掃社(新潟県新潟市)
     収集事業者が地域の社会貢献として、ごみ出し支援に取組む
 事例9 株式会社日野環境保全(東京都日野市)
     収集事業者が地域包括支援センターと連携して、声掛け収集を行う

III. 地域コミュニティによる支援
 事例10 稲毛ファミールハイツ自治会(千葉県千葉市)
     マンション団地で、ごみ出し支援に取り組むボランティア・グループ
 事例11 森の里自治会(茨城県つくば市)
     高齢化の進む団地で、自治会が自主的に高齢者の生活支援に取り組む
 事例12 亀田西小学校区コミュニティ協議会(新潟県新潟市)
     地域と学校の連携による助け合いと多世代コミュニケーション


ごみ出し支援制度の事例(『東松山市ごみ処理基本計画(素案)』から)
【資料2】東松山市ごみ処理基本計画素案_1【資料2】東松山市ごみ処理基本計画素案_2


『高齢者ごみ出し支援ガイドブック』 12月6日

高齢者ごみ出し支援ガイドブック』(国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センター、2017年5月)を読みました。国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センターの小島英子さん、多島良さん執筆です。
ガイドブック_1

高齢者のごみ出しの課題を詳しく説明
 「介護保険制度を利用していれば、ごみ出し支援は必要ないのでは?」「支援がないとどうなってしまうの?」といった疑問を持つ人も多いでしょう。本書では、高齢者のごみ出しを巡る課題を詳しく解説し、なぜ支援が必要なのかを理解できるようにしています(第1章)。
制度の検討プロセスをわかりやすく解説
 制度設計では関係主体と連携しつつ、①現状を把握し、②基本方針を検討し、③さらに仕組みの詳細を検討していきます。本書では、こうしたプロセスをわかりやすく解説しています(第3章1~3節)。
こまかなノウハウを解説
 ごみ出し支援で高齢者の見守りを行う方法には、①毎回必ず声を掛ける、②ごみが出ていないときだけ声を掛ける、③基本的に声掛けしないが、連続してごみが出ていない場合や異変に気づいたときには声を掛けるといった様々な方法があります。本書では、こうした支援のノウハウを紹介しています(第3章4節)。
役立つ情報をコラムで紹介
 12の「コラム」を掲載し、用語の解説、参考になる関連事例や興味深い研究成果など役立つ情報を紹介しています。
⑤「他の自治体はどうしている?」がよくわかる
 10のトピックについて「データ」を掲載し、自治体規模別にみた支援の取り組み状況や声掛けの実施状況など、全国自治体アンケート調査の結果を紹介しています。
高齢者ごみ出し支援ガイドブック目次
1.  高齢者のごみ出しをめぐる課題と本書の狙い
1.1  高齢者のごみ出しをめぐる課題
   2035年には3人に1人が高齢者に
   高齢者のごみ出しを巡る課題の構造
    ガイドブック_2
   ごみ出しが困難な状態は3つに分けられる
   状態1:ごみ出しができなくなる
   状態2:不適切なごみ出しをする
   状態3:無理にごみ出しを続ける
1.2  高齢者のごみ出し支援の現状
   廃棄物部局による取り組み
   高齢者福祉部局による取り組み
   地域コミュニティによる取り組み
1.3  本書の位置づけと狙い

2.  ごみ出し支援のしくみ・いろいろな側面
2.1  ごみ出し支援とは?
   ガイドブック_4
2.2  ごみ出し支援のための連携
   廃棄物、高齢者福祉、地域コミュニティの様々な主体
   なぜ連携が必要なのか?
2.3  支援制度の 2 つのタイプ
    ガイドブック_5
2.3.1  直接支援型
   直接支援型とは
   直営で行う場合の特徴
   委託で行う場合の特徴
2.3.2  コミュニティ支援型
   コミュニティ支援型とは
   コミュニティ支援型の特徴

3.  ごみ出し支援のしくみ・つくり方と回し方
3.1  検討プロセスの概要
  ガイドブック_6
3.2  現状把握
   ガイドブック_7
   収集の現状整理
   ニーズの検討
   支援の現況と今後の見込みの整理
3.3  基本方針の検討
   ガイドブック_8
   制度がカバーする範囲
   期待する副次的効果
   コスト
   担い手
   総合判断による支援制度タイプの決定
3.4  仕組みの詳細の検討
   ガイドブック_9
3.4.1  利用者の範囲
   利用要件の設定での留意点
    ①「支援すべき範囲」を整理する
    ②「支援できる範囲」を整理する
    ③「支援する範囲」を要件として明確かつ柔軟に設定する
     ガイドブック_10
   高齢者福祉部門との協議
   コミュニティ支援型では
3.4.2  利用の申請と審査
   申請受付の留意点
   支援開始前までに把握すべき情報
   審査では共通した判断基準を
   面談の留意点
   コミュニティ支援型では
3.4.3  収集方法
   ガイドブック_11
   ごみの種類と運搬範囲
   人員の配置
   収集車両
   利用者のごみ出しの方法
3.4.4  コミュニティ支援型の体制
   支援団体を募り、増やす
   協力員の募集と利用世帯とのマッチング
   補助金の使途や利用者負担は支援団体の判断で
   腰を据えた体制づくりを
3.4.5  声掛け・安否確認
   ごみ出し支援は高齢者の異変に気づくチャンス
   見守り・声掛けの方法や頻度
   異変に気づいたときの対応
   円滑な安否確認を行うための様々な工夫
   高齢者に接するときの心掛け
   コミュニティ支援型では
3.4.6  運用と改善の方法
   高齢者への周知
   関係者間での定期的な会合
   記録と報告
   停止・再開・取り消し
   個人情報の取り扱い
   支援体制の見直し

これまでの主な調査・研究活動
参考文献

特集:高齢者のストックごみ(『廃棄物資源循環学会誌』28巻3号、2017年)
  ストックごみ:家庭内に蓄積されている使わなくなったモノであって,潜在的なご
・高齢者のストックごみ ―特集にあたって―(山川肇・渡辺浩平)
  高齢者のストックゴミ_A高齢者のストックゴミ_B
   高齢者のストックゴミ_C
・自治体による高齢者のごみ出し支援の取り組み  ―支援タイプ別の事例と特徴―(小島英子・多島良)
・モノをため込む心理:誰が,何を,なぜため込むのか?(池内裕美)
・いわゆる「ごみ屋敷」の実態とその背景に潜むもの(岸恵美子)
・高齢世帯における「退蔵物」の実態に関する研究(鈴木慎也・高田光康・沼田大輔・多島良・立藤綾子・松藤康司)
・遺品整理における現状の問題点と今後の対応策(北村亨)
・高齢者等に配慮したごみ収集と3Rの取り組み事例(當摩卓)
・ストックごみの削減に向けた地域の取り組み(堀孝弘・森下真紀)

藤井誠一郎『ごみ収集という仕事』 12月5日

藤井誠一郎さんの『ごみ収集という仕事』(コモンズ、2018年)を読みました。
ゴミ収集という仕事
若手研究者が新宿区内で9カ月間にわたってごみ収集を体験
清掃という仕事の奥深さ、日があたらない場所で真摯に働く職員の姿、
歌舞伎町や新宿二丁目のごみ事情、民間委託の問題点、
そして本来の地方自治のあり方について論じる


藤井誠一郎『ごみ収集という仕事目次
プロローグ
 1 9カ月間の清掃現場体験
 2 本書の視点と成り立ち

第1章 初めてのごみ収集
 1 梅雨空のもとでの収集作業
    1日目は強い雨
    小型プレス車での収集作業の始まり
    過酷な労働環境
    清掃車の体制と待ち時間
    収集業務の奥深さ
    清掃職員の寛大な受けとめと使命観
    ごみやごみ汁を浴びる体験
    収集後は応援作業
    1時間の昼休憩
    午後の作業
    洗身と退庁
 2 新宿区の清掃行政
    23区・一部事務組合・東京都による分担・連携
    新宿区と成層行政の概要
    清掃行政の職員数
    新宿区の保有車数と配車計画

第2章 研究者が体験した収集現場
 1 過酷な炎天下
    炎天化での作業への心構え
    猛暑で体力を消耗
    暑さの中で寒さを感じる
    さらに過酷となる真夏の作業
    もう1台分の収集は可能か
 2 新たな発見と年始の惨状
    注意喚起のシールの貼付と簡易な清掃指導
    作業員と運転手の連携の上に成り立つ収集業務
    収集業務の妨害者と協力者
    年末年始のごみ事情
    ごみが積みきれない
    繁忙期の収集作業の問題点
 3 軽小型車の機動的収集
    軽小型車はオールラウンドプレーヤー
    さまざまな配慮が必要
    収集されたごみの流れ
    危険と背中合わせの作業
    職人的な運転技術と地理感、運転手と作業員のコンビネーション
    高齢や障がいがある単身者などへの訪問収集
    福祉サービスとしての訪問収集
    ボランティアごみへの対応
    動物死体の引き取り
    軽小型車の稼動時間と本当の効率
 4 不燃ごみと破袋選別
    なぜ破袋選別が必要なのか
    中継センターの役割
    不燃ごみの収集
    危険が伴う破袋選別作業
    新宿中継センターへの破袋選別作業の集約
 5 ごみから見える新宿二丁目
    ごみ出しの無法地帯
    回収しても、すぐにまた出されるごみ
    現場での破袋調査
    ごみから分かる情報と考えられる対策
 6 さまざまな現場と向き合う
    シュレッダーごみをとおして考える
    雪の日の収集
    問題が多いごみボックス
    災害時の応援
    運転手の収集業務への思い
    収集業務の安全対策

第3章 多様な仕事
 1 収集を支える
    整備士という仕事
    あらゆるトラブルへの対応
    直営車の購入とリース
 2 歌舞伎町での奮闘
    東宝ビル前の惨状
    新宿区集積所の廃止と移設により一変
    業務委託とその陥穽
    反社会組織の事務所に近接する集積所
    ルールを守らない外国人が多い
    清掃指導の根拠が必要
 3 女性の活躍と運転手
    アルバイト→雇上[ようじょう]→清掃職員
    家庭との両立、仕事のやりがい
    清掃現場で女性が活躍する意義
 4 ふれあい指導
    役割が増している、ふれあい指導
    あくまで「お願い」
    指導におけるメンタリティとジレンマ
    収集と清掃指導の正のスパイラル
 5 環境学習
    清掃職員による環境教育
    紙芝居と分別ゲーム -保育園での環境学習
    小学校での環境学習
 6 巡回で見えてくること
    清掃指導後の苦情
    「取り残しがある」という苦情
    住民エゴの抑制による清掃行政の効率化
    有効な対応ができないケース
    苦情対応を景気とした清掃行政への参加者の醸成
 7 檜舞台の裏で
    新宿区政の檜舞台
    檜舞台を支える清掃部門と清掃職員

第4章 委託の現場
 1 委託の仕組み
    東京二十三区清掃協議会
    清掃車両の雇い上げの経緯
    雇上[ようじょう]と車付雇上[しゃつきようじょう]
    労働者供給事業
    労働者供給事業による就労者の待遇と三保摘要問題
 2 雇上・車付雇上の声
    苦労したインタビュー
    作業員の生の声
     ①清掃の仕事に従事できて幸せ
     ②自由はあるけど将来は不安
     ③若者のニーズを満たす職
     ④委託のほうが直営職員より作業が大変
     ⑤委託に求められているのは定型業務だけ
    運転手の生の声
     ①真面目に業務に向き合っている
     ②仕事ができれば、それでいい
     ③自分の裁量で仕事ができ、責任も負わずにすむ
    多様な価値観やニーズを満たす業務委託
 3 委託化の問題点
    業務のブラックボックス化
    現場レベルでの調整の欠如と潜在的に受けている恩恵の喪失
    業務に対する姿勢の徹底
    主体間に生じる問題解決コストの把握
    作業員の労働環境
    官製ワーキングプアの創出
    清掃指導の崩壊と職員の資質への影響
 4 委託化に対する区民の選択権

第5章 清掃行政の展望
 1 自治体の行政改革と委託化の進行
    地方行革の始まり
    行革大綱の策定と行政改革の推進
    近年の地方行革の推進
    定員管理の適正化と外部委託化
    委託化の現状
 2 清掃職員が創造している価値
    現場への配慮による質の高い行政サービスの提供
    信用・信頼の涵養と協働の担い手づくり
    業務委託による機会費用は受け入れられるのか
 3 これからの清掃事業
    厳しい現状での団体交渉とその結果
    清掃部門が歩むべき方向性
    清掃のリソースを活用した新たなサービスの提供
    清掃部門が主導する行政サービスの展開
    地域担当職員への参加
    地域情報を有効に活かす
    不法滞在者の情報収集
    空き屋やごみ屋敷への対応
    腰痛対策の担い手
    実施に向けた創意工夫
 4 現業職員と地方自治の活性化
    地方分権と現業職員の役割
    ボトムアップ型の政策形成による活性化
    現業系と事務系の相互理解による自治体の強靱化
    収集基準の統一の検討
    安全性の追求
 5 公共サービス提供への示唆
    直営・委託論争の展開
    今後の公共サービス提供に向けた危機管理の必要性

おわりに

ごみ収集からみる地方自治 早川由紀美・論説委員が聞く(『東京新聞 Tokyo Web』2018.10.27 02:00)
高齢化やコミュニティーの変容…。ごみを集める清掃作業員たちは、小さな変化にも気付くそうです。九カ月にわたり、東京都新宿区で収集作業を体験した大東文化大の藤井誠一郎准教授(48)と一緒に、ごみから見える街の姿や今後の地方自治について考えました。
地方自治の研究者がアイルランドに住んでみた話(朝日新聞『好書好日』じんぶん堂 2020.05.13)
日本ではほとんど知られていない、アイルランドの地方自治のしくみ。在外研究員として首都ダブリンで1年間生活し、現地在住の研究者M.キャラナンさん(著者)や小舘尚文さん(監訳者)と意見交換しながら翻訳書『アイルランドの地方政府:自治体ガバナンスの基本体系』を出版した大東文化大学准教授の藤井誠一郎さんにお話を伺いました。
             小舘尚文監訳・藤井誠一郎訳(明石書店、2020年4月)
釜田陽介【書 評】『 藤井誠一郎 著: ごみ収集という仕事―― 清掃車に乗って考えた地方自治 ―― 』(『廃棄物資源循環学会誌』30巻2号、2019年)
職業ソング第5弾「ゴミ清掃員さん」(作詞・作曲 missato)
  

まだもやがかる早朝 支度を始める午前5時 
家族を起こさないように 頬張る朝食 「くもり」を願う
俺らを待つ獲物の山がそびえ立つ街 暗号化された地図はもう記憶している
「おはようございます」 気持ちいい挨拶が 始まりのgong!

破かぬように 見逃さないように 撒き散らさぬように Separation!

Boom ババッ Garbage clean fighter  2トンのゴミ 一気にダンプ
収集車のメロディ 口ずさんで トゥルラリララ トゥルラリララ
Boom ババッ Garbage clean fighter  分別に分別(ふんべつ)を
街が綺麗になっていく達成感で トゥルラリララ トゥルラリララ

Sh sh sh 春夏秋冬 ひしと感じる このひざ関節に鞭を打ち 
たまにもらえる 「ありがとう」が沁みる
(オーライ オーライ)左から人くるよ
(オーライ オーライ)ゴミ汁飛びそうだよ 安全確認第一

生ゴミ絞って! 曜日は守って! 食品ロスなくして! Separation !

ババッ Garbage clean fighter  2トンのゴミ 一気にダンプ
収集車のメロディ 口ずさんで トゥルラリララ トゥルラリララ
Boom ババッ Garbage clean fighter  分別に分別(ふんべつ)を
街が綺麗になっていく達成感で トゥルラリララ トゥルラリララ

誰かの人生(ひび) に支えられて 俺らがいるなら
みんなの日々を支えるため 俺らもいるんだ
1・2・3・4!!

Boom ババッ Garbage clean fighter  2トンのゴミ 一気にダンプ
収集車のメロディ 口ずさんで トゥルラリララ トゥルラリララ
Boom ババッ Garbage clean fighter  分別に分別(ふんべつ)を
街が綺麗になっていく達成感で トゥルラリララ トゥルラリララ

環境省「ごみ処理基本計画策定指針」(2016年)② 11月24日

第1章 一般廃棄物処理計画
 1.一般廃棄物処理計画の概要
 2.一般廃棄物処理計画の点検、評価、見直し
 3.他の計画等との関係
 4.関係目標・指標等(以上は前記事

第2章 ごみ処理基本計画
 1.基本的事項
 (1)ごみ処理基本計画の位置づけ
 (2)施設の有効活用及び広域的な取組の推進
 2.策定に当たって整理すべき事項
 (1)市町村の概況
 (2)ごみ処理の現況及び課題
 (3)ごみ処理行政の動向
 (4)計画策定の基本的考え方
 3.ごみ処理基本計画の策定
 (1)ごみの発生量及び処理量の見込み
 (2)ごみの排出の抑制のための方策に関する事項
 (3)分別して収集するものとしたごみの種類及び分別の区分
 (4)ごみの適正な処理及びこれを実施する者に関する基本的事項
 (5)ごみの処理施設の整備に関する事項
 (6)その他ごみの処理に関し必要な事項
 4.計画策定に当たっての留意事項
第2章 ごみ処理基本計画
 1.基本的事項
 (1)ごみ処理基本計画の位置づけ
ごみ処理基本計画は、市町村が長期的・総合的視点に立って、計画的なごみ処理の推進を図るための基本的な方針となるものであり、ごみの排出の抑制及びごみの発生から最終処分に至るまでの、ごみの適正な処理を進めるために必要な基本的事項を定めるものである。
 (2)施設の有効活用及び広域的な取組の推進
ごみの処理に関する事業の実施に当たっては、適正な循環利用や適正処分を進める上での必要性を踏まえ、他の地方公共団体及び民間事業者との連携等による広域的な取組を図るとともに、既存施設の有効活用及び長寿命化・延命化を図るものとする。
   ①施設の有効活用
   ②広域的な取組の必要性
   ③一部事務組合、広域連合によるごみ処理基本計画の策定
   ④広域臨海環境整備センター法に基づく広域処理対象区域

 2.策定に当たって整理すべき事項
ごみ処理基本計画の策定に当たっては、(1)人口や産業の概況、(2)ごみ処理の現況や課題、(3)国、関係都道府県、関係市町村におけるごみ処理行政の動向等の計画策定の背景を整理した上で、計画策定の基本的考え方を示すものとする。
 (1)市町村の概況
   ①人口動態
   ②産業の動向
   ③市町村の総合計画等との関係
 (2)ごみ処理の現況及び課題
   ①ごみ処理フロー
   ②ごみ処理体制
   ③ごみ処理の実績
ごみの種類別発生量、減量化・再生利用、収集・運搬、中間処理、最終処分、ごみの性状(組成、ごみの発熱量を含む)、温室効果ガス排出量等の状況について、原則として過去5年間以上の実績を把握・整理することが適当である。
さらに、ごみ処理に係る財政及び処理コストなどについて、原則として過去5年間以上の実績を把握・整理するよう努める。また、一般廃棄物会計基準に基づくコスト分析を実施している場合は、その結果を掲載することが適当である。
   ④ごみ処理の評価
③で整理した実績を基に、市町村は、分別収集区分や処理方法といった一般廃棄物処理システムについて、環境負荷面、経済面等から客観的な評価を行い、住民や事業者に対して明確に説明するよう努めるものとする。
評価に当たっては、環境負荷をできる限り低減する循環型社会づくりという面から見た処理システムの水準、住民等に対する公共サービスという面から見た処理システムの水準及び処理システムの費用対効果から評価を行う必要がある。
特に、循環型社会づくりという面から見た処理システムの水準に係る評価軸については、循環基本計画において社会におけるものの流れ全体を把握する物質フロー指標として3つの指標(資源生産性、循環利用率及び最終処分量)が設けられていること及び廃棄物処理法基本方針において減量化の目標として3つの目標値(排出量、再生利用量及び最終処分量)が設けられていること、さらには地球温暖化防止のための地球温暖化対策計画において、廃棄物分野に関係する施策及び対策が盛り込まれていることを考慮する必要がある。
客観的な評価の方法は、標準的な評価項目について数値化し、当該数値について次の方法のいずれか、又は次の方法の組合せにより評価を行うこととする。
 ア.当該市町村で設定した目標値を基準値とした比較による評価
 イ.国の目標値を基準値とした比較による評価
 ウ.全国又は都道府県における平均値や類似団体の平均値を基準値とした比較による評価
なお、この3つの方法の中で、類似団体間の比較分析を行う方法は、他市町村と比較して優れている点、不十分な点を把握し、その理由を分析し、市町村間で情報共有することによって、市町村が自らの一般廃棄物処理システムを改善することが可能となる。したがって、類似団体間の比較分析をできるだけ実施することが望ましい。
評価した結果については、住民及び事業者に分かりやすい方法により公表することとし、評価結果のうち、標準的な評価項目に係る評価結果については、次に示す市町村一般廃棄物処理システム比較分析表を作成して表示し、公表する。
また、評価に当たっては、市町村等が類似市町村の取組と比較分析を行うことによって、市町村のごみ処理事業を支える職員及びその経営に当たる責任者が自らのごみ処理事業について、環境保全面の水準や費用効率性の点で、我が国の市町村の中でどのレベルにあるのかを把握し、目指すべき改善・進歩の方向を認識することができる。
  ⑤課題の抽出
実績を整理した結果を基に、排出抑制、収集・運搬、中間処理、最終処分、ごみ処理経費などの項目ごとに課題を抽出する必要がある。上記の各種指標によるこれまでの実績や施策への取り組み状況、他自治体との比較などの現状整理を基に、課題を分析し整理することが適当である。
   図4 ごみの種類の例
   ごみ処理基本計画策定指針(環境省)2016_7
   表5 標準的な評価項目
   ごみ処理基本計画策定指針(環境省)2016_8
   標準的な指標1(指標値によるレーダーチャート)
   図5 市町村の一般廃棄物処理システム分析比較表
   ごみ処理基本計画策定指針(環境省)2016_9
 (3)ごみ処理行政の動向
 (4)計画策定の基本的考え方
   ①計画策定の趣旨
   ②計画の位置付け
    ア.他の計画等との関係
    イ.計画対象区域
    ウ.計画の範囲
    エ.計画目標年次

 3.ごみ処理基本計画の策定
ごみ処理基本計画では、廃棄物処理法第6条第2項に基づき、次に掲げる事項を定める必要がある。
(1)ごみの発生量及び処理量の見込み
(2)ごみの排出の抑制のための方策に関する事項
(3)分別して収集するものとしたごみの種類及び分別の区分
(4)ごみの適正な処理及びこれを実施する者に関する基本的事項
(5)ごみの処理施設の整備に関する事項
(6)その他ごみの処理に関し必要な事項
 (1)ごみの発生量及び処理量の見込み
計画目標年次におけるごみの発生量及び処理量の見込みは、将来人口の予測、排出抑制及び集団回収等によるごみ減量効果、自家処理量等の見込み、他の市町村からの搬入(あるいは、他の市町村への搬出)等を勘案して、ごみの種類別に定めるものとする。
特に、近年ごみの発生量が一般に減少傾向にあることを考慮すること。
   ①人口及び事業活動等の将来予測
    ア.人口の将来予測
    イ.事業活動等の将来予測
   ②ごみ発生量の将来推計
   図6 ごみの発生量及び処理量の予測方法の例
   ごみ処理基本計画策定指針(環境省)2016_10
   図7 目標年次のごみの処理状況フローの例
   ごみ処理基本計画策定指針(環境省)2016_11
 (2)ごみの排出の抑制のための方策に関する事項
ごみの排出の抑制のための方策については、市町村、住民及び事業者において講ずべき方策について、それぞれ定めるものとする。
廃棄物については、循環基本法に定められた基本原則に則り、まず、①できる限り廃棄物の排出を抑制し、次に、②廃棄物となったものについては不法投棄・不適正処理の防止その他の環境への負荷の低減に配慮しつつ、再使用、再生利用、熱回収の順にできる限り循環的な利用を行い、こうした排出抑制及び適正な循環的利用を徹底した上で、なお適正な循環的利用が行われないものについては、③適正な処分を確保することが基本である。ごみの排出抑制は最優先に検討されるべき事項であることから、循環的利用を促進するためには、国民、事業者、行政が適切な役割分担の下でそれぞれが積極的な取組を図ることが重要である。
   ①市町村の役割
    ア.ごみ処理有料化の実施
市町村は、経済的インセンティブを活用した一般廃棄物の排出抑制や再使用、再生利用の推進、排出量に応じた負担の公平化及び住民の意識改革を進めるため、一般廃棄物処理の有料化の更なる推進を図るものとする。市町村が一般廃棄物処理の有料化を進めるに当たっては、「一般廃棄物処理有料化の手引き」を参考にされたい。
この他、ごみの排出抑制や再生利用の推進を図るため、一般廃棄物処理の有料化と併せて、分別収集区分の見直しや資源ごみの集団回収への助成、排出抑制や再生利用に取り組む小売店等の支援、再使用の促進などを実施することも有効と考えられる。
    イ.環境教育、普及啓発の充実
    ウ.多量の一般廃棄物排出事業者に対する減量化指導の徹底
    エ.容器包装廃棄物の排出抑制
    オ.リユースびん等のリユース容器の利用促進
    カ.食品ロス・食品廃棄物の排出抑制
    キ.環境物品等の使用促進
   ②住民の役割
    ア.住民団体等を通じた集団回収の促進等
    イ.容器包装廃棄物の排出抑制
    ウ.リユースびんを始めとする環境物品等の使用促進、使い捨て品の使用抑制等
   ③事業者の役割
    ア.発生源における排出抑制
    イ.過剰包装の抑制
    ウ.流通容器包装廃棄物の排出抑制、
      リユース容器の利用・回収の促進と使い捨て容器の使用抑制
    エ.環境物品等の使用促進、使い捨て品の使用抑制等
    オ.食品廃棄物の排出抑制
 (3)分別して収集するものとしたごみの種類及び分別の区分
家庭、事業所から排出されたごみを資源化するためには、なるべく排出する段階で再生利用に配慮した区分で分別収集することが必要であるので、市町村においては、ごみ処理基本計画に分別区分等を定め、計画的な分別収集、再生利用を進めるものとする。
   1)分別収集の基本的考え方
   2)個別品目の分別収集
    表6 ごみの標準的な分別収集区分
    ごみ処理基本計画策定指針(環境省)2016_12
 (4)ごみの適正な処理及びこれを実施する者に関する基本的事項
ごみの性状を勘案した区分ごとの処理方法及び当該処理方法ごとの処理主体について定めるものとする。
また、処理の方法については、①収集・運搬計画、②中間処理計画(再生利用を含む。)及び③最終処分計画について、それぞれ定めるものとする。
   ①収集・運搬計画
   ②中間処理計画(再生利用を含む。)
   ③最終処分計画
    表7 適正な循環的利用・適正処分の方法(例)
    ごみ処理基本計画策定指針(環境省)2016_13
    ごみ処理基本計画策定指針(環境省)2016_14
 (5)ごみの処理施設の整備に関する事項
ごみ処理施設については、「(4)ごみの適正な処理及びこれを実施する者に関する基本的事項」に基づき、施設の種類ごとに施設能力、処理方式等について定めるものとする。
 (6)その他ごみの処理に関し必要な事項
廃棄物減量化等推進協議会の設置・審議事項、廃棄物減量化等推進員の委嘱・活動、事業者の協力内容、廃棄物再生事業者の協力内容等について、基本方針等を定める。
また、災害時に発生する廃棄物にかかる対策について基本的な考え方を定めるものとする。
   ①廃棄物減量化等推進審議会及び廃棄物減量化等推進員
   ②事業者の協力
   ③災害廃棄物対策
    (1) 基本的考え方
    (2) 各種計画を踏まえた災害廃棄物処理計画の策定等
    (3) 災害時における一般廃棄物処理事業の継続性の確保
   ④不法投棄・不適正処理対策

 4.計画策定に当たっての留意事項
ごみ処理基本計画の策定にあたっては、地域のごみの処理のみならず、低炭素社会や自然共生社会との統合の観点等の地球規模における環境保全の視点から検討を行うことが望ましい。
また、本計画に基づき、地域の実情に応じた長期的な展望に立ったごみ処理システムの構築を行っていくこととなるため、廃棄物処理技術の進展等に十分留意しながら計画を策定することが望ましい。
本計画で定めた目標値を達成するためには、基本施策を計画的に実現する必要があることから、計画を実現するためのスケジュールを立てることが適当である。
 (1)低炭素社会や自然共生社会との統合への配慮
 (2)地域の実情に応じた長期的展望に基づくごみ処理システムの選択
 (3)計画の実現スケジュール
 (4)ごみ処理基本計画の公開

環境省「ごみ処理基本計画策定指針」(2016年)① 11月23日

「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(昭和 45 年法律第 137 号)第5条の2第1項の規定に基づく基本方針が16年1月に変 更され、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(平成 12 年法律第 116 号)第 3条第1項の規定に基づく基本方針が15 年7月に変更されました。これ を踏まえて、1993年に策定され、2008年、13年に改定された「ごみ処 理基本計画策定指針」が、再度改定されました(改正部分に傍線を付したごみ処理基本計画策定指針新旧対照表)。

ごみ処理基本計画策定指針(環境省、2016年9月)目次
第1章 一般廃棄物処理計画
 1.一般廃棄物処理計画の概要
 2.一般廃棄物処理計画の点検、評価、見直し
 3.他の計画等との関係
 4.関係目標・指標等

第2章 ごみ処理基本計画
 1.基本的事項
 (1)ごみ処理基本計画の位置づけ
 (2)施設の有効活用及び広域的な取組の推進
 2.策定に当たって整理すべき事項
 (1)市町村の概況
 (2)ごみ処理の現況及び課題
 (3)ごみ処理行政の動向
 (4)計画策定の基本的考え方
 3.ごみ処理基本計画の策定
 (1)ごみの発生量及び処理量の見込み
 (2)ごみの排出の抑制のための方策に関する事項
 (3)分別して収集するものとしたごみの種類及び分別の区分
 (4)ごみの適正な処理及びこれを実施する者に関する基本的事項
 (5)ごみの処理施設の整備に関する事項
 (6)その他ごみの処理に関し必要な事項
 4.計画策定に当たっての留意事項

第1章 一般廃棄物処理計画
 1.一般廃棄物処理計画の概要
市町村は廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45 年法律第137 号。以下「廃棄物処理法」という。)に基づき、同法の目的である生活環境の保全と公衆衛生の向上を図りつつ、一般廃棄物の適正な処理を行うため、当該市町村の区域内の一般廃棄物処理に関する計画(以下「一般廃棄物処理計画」という。)を定めなければならない。
 (1)法的根拠
 (2)適用範囲
   ①対象地域
   ②対象となる廃棄物
 (3)一般廃棄物処理計画の構成
   図1 一般廃棄物処理計画の構成
   ごみ処理基本計画策定指針(環境省)2016_1
 (4)一般廃棄物処理基本計画
 (5)一般廃棄物処理実施計画
 (6)一般廃棄物処理計画策定の時期
   ①基本計画
   ②実施計画
 (7)市町村の一般廃棄物処理事業の3R化のための支援ツール

 2.一般廃棄物処理計画の点検、評価、見直し
市町村は、一般廃棄物処理計画について、Plan(計画の策定)、Do(施策の実行)、Check(評価)、Act(見直し)のいわゆるPDCA サイクルにより、継続的に自らの一般廃棄物処理計画の点検、評価、見直しを行う必要がある。
 (1)一般廃棄物処理計画の策定(Plan)
 (2)施策の実行(Do)
 (3)評価(Check)
 (4)見直し(Act)
   図2 一般廃棄物処理計画におけるPDCAサイクル
   ごみ処理基本計画策定指針(環境省)2016_2

 3.他の計画等との関係
一般廃棄物処理計画の策定に当たっては、国や都道府県の計画等を踏まえたものとする。
 (1)環境基本計画
 (2)循環型社会形成推進基本計画
 (3)廃棄物処理法基本方針
 (4)廃棄物処理施設整備計画
 (5)食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律等個別リサイクル法
 (6)地球温暖化対策計画
 (7)廃棄物処理計画
 (8)他の市町村の一般廃棄物処理計画
 (9)その他関連する市町村計画
   図3 一般廃棄物処理計画と他の計画との関係
   ごみ処理基本計画策定指針(環境省)2016_3

 4.関係目標・指標等
一般廃棄物処理計画の策定に当たっては、国や都道府県の計画等における関連目標・指標等にも留意すること。
 (1)廃棄物処理法基本方針における目標・指標等
   表1 一般廃棄物の減量化の目標量(平成32 年度)
   ごみ処理基本計画策定指針(環境省)2016_4
   表2 食品ロス、家電リサイクル法及び小型家電リサイクル法に係る目標値
   ごみ処理基本計画策定指針(環境省)2016_5
 (2)廃棄物処理施設整備計画における目標・指標等
   表3 廃棄物処理施設整備計画における重点目標(平成29 年度)
   ごみ処理基本計画策定指針(環境省)2016_6
 (3)その他

 (参考)廃棄物処理法基本方針における一般廃棄物の排出量及び再生利用率目標の達成に向け、排出量の削減や再生利用量の増加のために、地域の実情等に応じて進めるべき施策の例を以下に示す。
  【排出量を削減する施策例
   ・ ごみ有料化の推進
   ・ 生活系厨芥類の削減
   ・ 食品リサイクル法に基づく事業系厨芥類削減の推進
   ・ 粗大ごみのリユースの推進
  【再生利用量を増加させる施策例
   ・ 可燃ごみから分別した紙類及び厨芥類等のメタン化の推進
   ・ 食品リサイクル法に基づく事業系厨芥類の再生利用の推進
   ・ 容器包装プラスチックのリサイクルの推進
   ・ 雑紙類の分別の推進
   ・ 古着リサイクルの更なる推進
   ・ 小型家電リサイクルの推進

堅達京子『脱プラスチックへの挑戦 』② 11月19日


堅達京子『脱プラスチックへの挑戦 』
  序章 なぜストローは紙になったのか

  第1章 海のプラスチックごみを回収する
 オーシャン・クリーンアップの挑戦
 魚の量を上回る海洋プラスチックごみ
 なぜ挑戦するのか ポイヤンの思い
 謎の実態 太平洋ごみベルト
 日本のプラごみが一番多い!
 マイクロプラスチックの脅威
 私たちはクレジットカード1枚分のプラスチックを毎週摂取している
 世界のどこにいても、プラスチック汚染から逃れられない
 マイクロプラスチック化を食い止めろ!
 温暖化とプラスチック
 ハワイ大学の衝撃の研究成果
  素顔のボイヤン 番組ディレクター 小林俊博
 ボイヤン、太平洋での苦闘
 ごみ回収システムが大ピンチ!
 ついに、太平洋のプラごみを捕らえた!
この章のポイント(69頁)
●世界のプラスチック生産量は、年間4億トン。そのうち、世界の海に毎年910万トンものプラスチックごみが流出。(500ミリリットルのペットボトル5000億本に相当)
●このまま増え続ければ、海洋のプラスチックごみは、2050年には魚の量を超える。
●5ミリメートル以下のプラスチック、マイクロプラスチックの問題が深刻化。空気や水、プランクトン、小魚、鳥、そして人間の体内からも検出されている。
●マイクロプラスチックの人体への影響は未知数。だが今後、プラスチックの量が増えると、食物連鎖によって有害物質が濃縮され、影響が出る懸念がある。
●石油使用料の8%は、プラスチックの原料を作るために使われ、さらに海洋プラスチックごみからはメタンガスなど温室効果ガスが出ている。
●世界各地の海や河川でプラごみの回収への試みが始まっている。
  第2章 一歩先を行く世界の取り組み
 プラスチック大国アメリカも動く
 プラスチックからのダイベストと新しい潮流
 さらに先を行くヨーロッパの対策
 「プラスチックバレー」の戸惑い
 始まった循環経済 プラスチックを資源に
 誰が主導権を握るのか
 日本は新規ビジネス市場で生き残れるか
  循環経済とスタートアップ 番組ディレクター 橋本直樹
 巨大企業も脱プラに動きだした
 ピンチをチャンスに変える企業の戦略
 大企業を動かした消費者の力
 エシカルファッション 変わるアパレル業界
 脱プラへの道 企業の野心的な取り組み
 イノベーションを起こせ! 日本の企業のビジネスチャンス
 循環経済に挑戦する日本環境設計
 変わり始めた廃棄プラスチック事情
 いまこそ、リサイクルを真のビジネスに!
 残された課題と変革の兆し
この章のポイント(151頁)
●フランスでは国民の88%が使い捨てプラスチックの規制に賛成。ニューヨーク市では発泡プラスチック容器に最大1000ドルの罰金。レジ袋に関して何らかの規制をしている国は120か国以上。
●温暖化の原因となる化石燃料からのダイベスト(投資撤退)だけでなく、プラスチックからのダイベストも視野に。
●世界の400以上の大企業は「2025年までにプラスチックごみをなくす」共同宣言に署名。ビジネスチャンスとしても捉えており、脱プラに向けた競争が始まった。
●2018年1月1日、中国政府はプラスチックごみの輸入を禁止。日本のプラスチックリサイクルは大きな転機を迎えた。
●日本の動きは遅く、「海洋プラスチック憲章」に署名しなかったが、オリンピックの年にレジ袋の有料化がスタート。
●EUは「循環経済」の実現に向けて、野心的な戦略を強化、グローバルルール・メイキングの主導権を握ろうとしている。
●日本企業の技術力には世界が注目。
  第3章 プラスチックを検出する地質年代に生きて
 人新世(アントロポセン)とは何か
 SDGsのウェディングケーキとプラネタリー・バウンダリー
 温暖化の被害予測は戦争以上に
 「イノベーションへの期待」だけでいいのか
 パリ協定と1.5度報告書の衝撃
 地球はすでに非常事態 1.5度が意味するもの
 16歳の少女グレタ・トゥーンベリさんの訴え
 科学のもとに団結する“Unite Behind the Science”
 手遅れだけにはしたくない
 私たちは何から始めればいいのか
 プラスチックを減らすためのアクション
 日本企業の新たなチャレンジ
 地球のミライのために私たちができる「5つのこと」
  ①科学の声を聞く
  ②人に伝える
  ③生活を見直す
  ④企業・政治を選ぶ
  ⑤地域の気候変動対策に参加する
 気候危機を回避せよ! 激変する金融業界
 ビジネスの仕組みそのものを変える
 “総力戦”でパラダイムシフトを起こせ!
この章のポイント(222頁)
●現在は「人新世(アントロポセン)」[人間の活動が地球に地質学的なレベルの影響を与えている時代(155頁)]と呼ばれる地質年代であり、プラスチックが特徴となるだろう。
●SDGsのウェディングケーキが示すように、持続可能な発展のためには地球環境がすべての目標を支える根幹になっている。
●プラネタリー・バウンダリー(世界の限界)の9つの領域のうち、すでに「気候変動」「生物多様性」「土地利用」と、リンや窒素などの「化学物質の循環」の4つの分野でリスクが拡大、限界値を超えている。
●石炭火力発電所は「座礁資産」となる可能性が高い。
●西日本豪雨のあった2018年の保険金仕払い額は1.7兆円。2019年の台風等による仕払い総額は2兆円を超える見込み。
●2018年の自然災害による世界の経済損失は、約25兆円に上った。
●今後5年以内に気候変動が事業に影響を与える累計損失額は1兆ドルと推計される一方で、気候変動に適応する利益の総額は2兆ドルを超えると見られる。
●地球はすでに気候非常事態にあり、このままでは「ティッピングポイント」を超える可能性が高い。
●手遅れにしないためには、科学者の声に耳を傾ける必要がある。
  第4章 未来への提言 世界の英知からのメッセージ
 ヨハン・ロックストローム博士
 トーマス・フリードマン
この章のポイント(266頁)
●産業革命前から2度前後の気温上昇で、ホットハウス・アース(灼熱地球)へのスィッチを押してしまう危険性がある。
●いったんスィッチが入ると、氷床の融解が止まらなくなり、温暖化のドミノ倒しが起きてしまう。10メートル以上の海面上昇など、人類文明崩壊のリスクに直面する。
●早ければ2030年にも、防衛ラインである1.5度まで上昇。これを食い止めるには、2030年までに二酸化炭素の排出量を半減する必要がある。この10年が正念場となる。
●従来の使い捨て経済は行き詰まり、破綻している。プラスチックの使用を劇的に削減し、循環経済に転換しない限り、未来はない。
●地球の限界に気づくのは、超えてしまった時。今すぐ始めて、ぎりぎり間に合うだけの時間しかない。
●4つのゼロ(廃棄物ゼロ産業、ゼロエネルギーの建物、排出量ゼロ交通、炭素ゼロ発電)をめざすべき。
●循環経済はビジネスチャンス。次世代の巨大なグローバル産業で先頭に立つ国が、世界一クリーンで豊かになる。
  第5章 正念場の10年をどう生きるか
 2030年の私と地球
 ホットハウス・アースのスィッチボタン
 地球温暖化4度上昇の惨劇
 “時間がない”という科学者たちの懸念
 パラダイムシフトと日本のチャンスに!
 カギを握る人材育成
  あとがきにかえて

江守正多さんの「地球のためにわたしたちができる5つのこと」
  NHK『クローズアップ現代プラス』地球のミライ(2019年10月14日)
  ①科学の声を聞く
  ②人に伝える
  ③生活を見直す
  ④企業・政治を選ぶ
  ⑤地域の気候変動対策に参加する
  


総合計画3か年実施計画書(2020-22年)における環境施策評価と今後の取り組み 11月18日

第5次東松山市総合計画3か年実施計画書(2020-22年)における環境施策の評価と今後の取組を抜き出してみました。

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基本構想(2016年度~2025年度) :目指すべきまちの将来像を示し、取り組むべき施策の柱を定め、10年間のまちづくりの方向性を明確化する構想 。
前期基本計画(2016年度~2020年度)後期基本計画(2021年度~2025年度):基本構想に掲げるまちの将来像を実現していくための施策・取組を体系的に示した計画。
3か年実施計画(2020年度~2022年度):基本計画で示した、施策・取組を実施するための3年間の計画。社会情勢等により毎年度見直す。前期基本計画期間は2020年度までのため、21年度及び22年度の取組等は、後期基本計画の内容により変更となる場合がある。

3か年実施計画の概要:3か年実施計画は、東松山市の最上位計画である「第五次東松山市総合計画」に示された将来像「住みたい、働きたい、訪れたい 元気と希望に出会えるまち 東松山」の実現のために、基本計画で示された施策を具体化するもので、中期的な展望により各施策・事業を効率的・効果的に実施するために作成する。3か年実施計画書に基づいて予算を編成し、毎年ローリング方式で事業を見直すことから、翌年度以降の計画については、財政状況や社会状況に応じて変更等することもある。※ローリング方式:実施計画の内容と実績の違いを検証し、環境などの変化にあわせた施策・事業の部分的な見直し・修正を定期的に行う手法。

 3か年実施計画書は、①施策ごとの方向性と主な取組②事務事業③行政改革の視点④計画期間における総合計画の目標⑤目標達成に対する前年度取組の結果・成果の分析と今後の取組から構成されています。まちづくりの柱3 環境」(30~35頁)以外の頁からも策定中の『環境基本計画』に関わると思われる施策の④計画期間における総合計画の目標⑤目標達成に対する前年度取組の結果・成果の分析と今後の取組を分を抜き出しました。


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評価と今後の取組_3評価と今後の取組_5評価と今後の取組_4


第5次総合計画後期基本計画(案)の地区別の環境取り組み 11月16日

第5次東松山市総合計画後期基本計画(案)の地区別計画(松山・大岡・唐子・ 高坂・野本・高坂丘陵・平野)から環境分野の取組を抜き出してみました。
地区別の取組(環境)_1地区別の取組(環境)_2

4 高坂地区 [計画(案)110~112頁]
目指すべき地区の姿: 伝統と計画的なまちづくりが調和する 安全でにぎわいのあるまち
高坂地区の現況と課題
《現況》
・市の南部に位置し、西側の丘陵地、中央の台地、東側の低地と起伏に富んだ地形は、 豊かな自然環境を育んでいます。歴史的施設や文化財が数多く存在し、埼玉県こども 動物自然公園や大東文化大学などの地域資源も豊富です。
・高坂駅周辺は、土地区画整理事業や地区計画制度によって本市の副次核の形成が進ん でいますが、既存集落の生活道路の整備や地域内の交通安全対策などを求める声も高 まっています。
・高坂駅東口を中心に若い世代の転入が増加していますが、子育てや教育に関する社会 資源の不足と合わせ将来の急速な高齢化も懸念されます。
・令和元年東日本台風により、都幾川、越辺川、九十九川の流域で甚大な水害を被り、 早期の復旧・復興とともに、防災・減災に向けた取組が求められています。
《課題》
・子どもの遊び場が少ない
・保育園や幼稚園が足りない
・高齢者の移動手段が不十分
・医療機関が不足している
・荒れた農地が多い
・車通りが多く、スピードの出しすぎや騒音が気になる
・緊急車両が通れない狭い道路がある
・幹線道路を外れると防犯灯が少なく暗い
・観光地の案内標示や駐車場の整備が不十分
・地域の特産品がない

高坂地区の取組
子ども
子どもを育てやすい地域づくり 【事業者・行政】
子育て支援センターを拠点として子育て世代の交流と情報交換を推進することで、 子育て世代を応援します。また、医療機関の連携強化や適切な情報提供により、子ど もを安心して育てられるまちを目指します。
地域で子どもを守り育てる環境づくり 【市民・事業者・行政】
新市街地と既存集落のコミュニティの調和を図り、経験豊富な地域の人材を活用し ながら、地域一体で子どもを守り育てる意識を醸成するとともに、必要に応じた安全 対策を進めます。
地元への愛着の育成 【市民・事業者】
地域で育った子どもたちが将来も住み続けたいと思えるよう、地域の人々とのふれ あいや豊かな歴史・文化に親しむ機会を充実させ、地元への愛着を育みます。
健康福祉
運動と外出の機会づくりによる高齢者の健康増進 【行政】
豊富な地域資源と起伏に富んだ地形を生かし、ウォーキングを推進するとともに、 高齢者ニーズに応じた公共交通の充実により移動手段を確保することで、高齢者の運 動と外出の機会を創出し、心身の健康増進を図ります。
三世代がいきいきと暮らす地域づくり 【市民・事業者】
若年層や学生、子どもが多いことを生かし、地域活動やボランティアに積極的に参 加できる機会をつくるとともに、高齢者と子どもが交流し、三世代がともに支え合う 地域を目指します。
環境
体験活動や自然とのふれあいによる交流の促進 【市民・事業者】
豊かな自然や歴史・文化的財産を交流拠点として活用し、野外活動や環境学習など の自然体験活動によって地域の魅力を再発見するとともに、人と人との交流を促進し ます。
良好な自然環境の保全と観光的利活用の調和 【行政】
「まなびのみち」で結ばれた市民の森や物見山公園などの魅力ある自然環境を保全 するとともに、多くの人が自然に親しむ場として多様な利活用を進めます。
生活基盤
住宅の増加に対応した防犯対策の推進 【市民・事業者・行政】
今後も予想される住宅の増加などの状況を踏まえながら、防犯灯の設置をはじめと する地域内の安全を高める取組を推進し、防犯対策の進んだ地域を目指します。
地域一体となった交通安全対策の推進 【市民・事業者・行政】
高坂駅周辺の道路整備などが進んだことにより、今後も地域内の交通量増加が見込 まれることから、東松山警察署など関係機関と連携し、地域一体で交通安全意識を高 めます。
生活道路の整備 【行政】
日常生活の利便性の向上と緊急時の安全確保のため、狭あい道路の整備を推進しま す。
災害に強い地域づくり 【行政】
令和元年東日本台風からの復旧・復興を加速させるとともに、国や県の治水対策の 早期完成を働きかけます。
活性化
観光 PR の強化と効果的な情報発信 【行政】
観光客に分かりやすい案内標示の整備や観光パンフレット・マップ等の配布により 地域の持つ魅力を広く市内外へ発信します。 ○特産品の開発等による地域の魅力アップ 【市民・事業者・行政】
地域で古くから伝えられる歴史のある食べ物の特産品化等、地域ならではの名産品 の開発によって魅力を更に高め、地元への愛着を深めます。
地域資源を活用したにぎわいの創出 【市民・事業者・行政】
地域内に点在する観光拠点をウォーキングルートによって結び、観光客の回遊性を 高めることで、にぎわいを創出します。
市の副次核としての都市機能の充実 【行政】
都市基盤整備がおおむね完了した高坂駅周辺は、市の副次核として都市機能の更な る充実を図ります。


第5次総合計画後期基本計画(案)の環境指標 11月15日

第5次東松山市総合計画後期基本計画(案)の施策に対応する2025年度までの広く環境に関わる指標を抜き出してみました。
第5次総合計画後期基本計画(案)施策指標_1第5次総合計画後期基本計画(案)施策指標_2第5次総合計画後期基本計画(案)施策指標_3
ホタルの生息確認箇所数(現状12箇所→13箇所)、アライグマ調査捕獲頭数(-→50頭)など、?と思う指標があります。

オンラインセミナー『気候危機withコロナ』 11月11日

11月10日、国立環境研究所のオンラインセミナー『気候危機withコロナ』-その先にある未来のカタチは?(1:35:55)が開催されました。「気候危機コロナ危機。今世界を襲っているこの2つの危機から、私たちが学ぶべき教訓は何でしょうか。また、この危機をどのように乗り越え、どんな社会へと移行していくべきなのでしょうか。」ということで、5人のパネリストが議論に参加しています。このイベント開催のきっかけとなったのは、2020年5月に国立環境研究所で行われた気候危機とコロナ危機についての所内公開意見交換会だそうです。
 

今回のテーマは、みんながそれでいい!と思える新しい社会のカタチを、視聴者と一緒に考えると言うことで、前半は江守正多さん、西廣淳さん、亀山康子さんの話題提供、後半は視聴者アンケートや意見・質問を取りあげてパネリストが議論しました。
江守正多さんの話題提供
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西廣淳さんの話題提供
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亀山康子さんの話題提供(32:43~37:10)
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Climate tipping points — too risky to bet against(Nature Vol 575 2019年11月28日)

気候変動の複合的リスクに備える(国立環境研究所、2020年9月)
著者:シヴァプラム・プラバカール、田村堅太郎、池田まりこ
編者:亀山康子
出版日:2020年9月
出版者:国立環境研究所
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第5次総合計画後期基本計画(案)まちづくりの柱3 環境 11月9日

11月2日に行われた東松山市総合計画審議会(2020年度第8回)に提出された第5次東松山市総合計画後期基本計画(案)の分野別計画の「まちづくりの柱3 環境」(56~61頁)の部分です。第5次総合計画後期基本計画は、「総論」(第1章)、2016~25年の「基本構想」(第2章)と21~25年の「後期基本計画」(第3章)で構成され、後期基本計画は、分野別計画(子ども・健康福祉・環境・生活基盤・活性化・協働)と地区別計画(松山・大岡・唐子・ 高坂・野本・高坂丘陵・平野)、リーディングプロジェクト (第2 期東松山市まち・ひと・しごと創生総合戦略)からなっています。

まちづくりの柱3 環境
3-1.良好な地域環境の保全
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3-2.自然に親しむ空間づくりの推進
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3-3.循環型社会の構築
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持続可能なまちづくり② 11月8日

東松山市市民環境会議『協働による持続可能なまちづくり』後半は、勝浦さん自身でデータ収集した入間・比企11市の統計グラフをもとにして話が進みました。市民意識調査で「このまちにずっと住んでいたい」、「できれば住みつづけたい」、「当分は住んでいたい」など「居住意向」を尋ねる質問が必ずありますが、今はやりの「シティプロモーション」事業(自治体が行う宣伝・広報・営業活動)による地域のイメージ向上やブランドの確立が成果をあげられるか否かは、市民の「我が街LOVE」(市民の地域愛着や誇り)醸成にかかっています。協働による住み続けたいまちづくりは大きな課題です。今後も取り組んでいきたいと思いました。
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「外国からの隣人との共生」!!

埼玉県内の人口動態、地域属性
  第1回埼玉県スーパー・シティプロジェクト有識者会議(2020年9月11日)資料から
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協働による持続可能なまちづくり① 11月8日

東松山市市民環境会議がオンラインで実施されました。『協働による持続可能なまちづくり』。講師は城西大学の勝浦信幸さんです。2011年に鶴ヶ島市役所を早期退職されています。在職中は高齢者保健福祉計画、介護保険事業計画、障碍者計画、次世代育成支援行動計画、地域福祉計画など福祉のまちづくりに関わる政策の立案・提案に奮闘されました。そこで、多様な主体の協働・連携による「新しい公共」の構築の必要性を痛感したそうです。講義の前半は200年代の鶴ヶ島市の先進的な取り組みを軸にして語られました。

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市民が策定する地域福祉計画
「行政主導のパソコン教室」(高齢者のデジタルデバイド解消)改革
鶴ヶ島市「市民協働推進条令」、「寄付によるまちづくり条令」(2008年)
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市民協働を推進するための、行政ではない中間支援組織
非営利株式会社「地域協働推進機構」(2008年10月)
地域協働ポータルサイト「つるがしまタウンチップ」
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川越市環境基本計画(2016年)における各主体(市・市民・事業者・民間団体・滞在者)の責務と役割
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川越市協働指針(第3版、2018年)
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林健太郎「人類の食料生産・消費がもたらす窒素問題」 11月5日

10月29日、オンラインで開催された公開フォーラム「『世界の一酸化二窒素(N2O)収支2020年版』と食料システム」の講演2:「人類の食料生産・消費がもたらす窒素問題」です。YouTubeの54:42~1:14:55にあります。林健太郎(農研機構 農業環境変動研究センター 物質循環研究領域 広域循環評価ユニット長)さんの講演です。
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「窒素」の特徴窒素利用という問題問題解決への取り組みキーワードと参考資料という構成です。

「窒素」の特徴
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窒素利用という問題
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問題解決への取り組み
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キーワードと参考資料
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最後のスライドの窒素問題の解決 IGESは、窒素問題の解決:窒素循環汚染から窒素の循環型経済(11月3日の記事)。

※『自給粗飼料生産による温室効果ガス削減-環境に配慮した草地飼料畑の持続的生産体系調査事業(普及版)-』(日本草地畜産種子協会、2010年3月)の付表「環境に配慮した草地飼料畑の持続的生産体系調査事業に係る用語集」から
●草地・飼料畑における温室効果ガス
草地・飼料畑における温室効果ガスの収支は、一定面積の圃場に、流入する温室効果ガスの量と、流出する温室効果ガスの量の差である。流入量の方が多ければ、温室効果ガスを吸収することから地球温暖化を抑制し、流出量の方が多ければ草地は温室効果ガスを放出するため地球温暖化を促進するということになる。
草地・飼料畑から吸収・放出される温室効果ガスには、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)の 3 つがある。CO2 は、光合成によって、大気から植物体に吸収され、有機物として蓄積されるが、枯死体や残渣、堆肥、土壌中の有機物が分解することで大気中に放出される。さらに、植物体に蓄積された有機物は、収穫時に系外へ持ち出されるが、肥料として投入される堆肥には多量の有機物を含む。そこで,CO2 収支には、これらを全て勘定に入れなければならない。CH4とN2Oは土壌中の微生物の活動によって吸収・放出される。とくに、N2Oは堆肥や化学肥料の施用によって、その放出が増大する。そのため、草地・飼料畑における温室効果ガスの年間収支を考える場合は、施肥や収穫に伴うこれらのガスの収支を求める必要がある。なお N2OやCH4の地球温暖化に及ぼす影響は、単位ガス重量あたりで比較するとCO2よりも大きく、CO2量に換算して求める(地球温暖化指数)。
●温室効果ガス
二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)、クロロフルオロカーボン(CFC)などは、温室のガラスと同じように、太陽からの日射エネルギーをほぼ完全に通過させるが、地表から放射させる熱(赤外線)を吸収し、熱が地球の外に放出されるのを妨げる。温室効果ガスはこのような大気圏の気温を上昇させる効果(温室効果)をもつ気体の総称である。
●地球温暖化指数(GWP)
ガスの種類ごとに異なる地球温暖化への影響を、二酸化炭素(CO2)を基準として相互に比較するための係数である。IPCC の 2001 年報告書によれば、今後100年間の積算効果を考える場合、各ガス種の単位重量当たりのGWPは、CO2の1に対して、メタン(CH4)が23、亜酸化窒素(N2O)が296倍の影響をもたらすとされている。
●二酸化炭素(CO2)
主に石炭、石油、天然ガス、木材など炭素分を含む燃料の燃焼により発生する。大気中濃度は、産業革命以前280ppm程度であったが、産業革命以降、化石燃料の燃焼、吸収源である森林の減少などによって、年々増加し、2005年に379ppm にまで上昇した。地球温暖化の原因の60%を占める。
●メタン(CH4)
有機物が嫌気状態で腐敗、発酵するときに生じる。有機性の廃棄物の最終処分場や、沼沢の底、家畜のふん尿、下水汚泥の嫌気性分解過程などから発生する。大気中濃度は、産業革命以前0.715ppm 程度であったが、2005年に1.774ppm にまで上昇した。単位重量あたりの温
室効果はCO2の23倍。地球温暖化の原因の20%を占める。
●亜酸化窒素(N2O)
有機物の燃焼や窒素肥料の施肥などが発生原因であると言われている。大気中濃度は、産業革命以前0.270ppm であったが、2005年に0.319ppm にまで上昇した。近年、中国など発展途上国の農業は生産性向上のために多量の化学肥料が使用されるようになり、大気への亜酸化窒素ガスの放出が急増し、地球温暖化に大きな影響を及ぼすことが懸念されている。単位重量あたりの温室効果は、CO2の296 倍。
●土壌炭素含量
土壌は2000Gt植物体量の約4倍の炭素を保持する。土壌へ炭素を蓄積させることは、大気への二酸化炭素(CO2)放出の抑制、つまり地球温暖化を抑制することを意味する。そこで、土壌に炭素を多く含む堆肥を施与することは、地球温暖化の緩和策として期待される。また、草
地は陸地の37%を占め、また耕地よりも炭素蓄積能力が高い。このため、EUでは土壌へ炭素を蓄積させる農法、特に永年草地の維持及び耕地から永年草地への転換を奨励している。


1.はじめに
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2.日本の窒素問題
 2.1.窒素負荷に起因する環境影響の現状
 2.2.構造的に大きくなりやすい窒素負荷
日本の人口密度の高さは窒素負荷が集中しやすい要因となるものの、食料生産・消費に伴う廃棄物や排せつ物に由来する窒素の大部分が有機肥料としてリサイクルされていれば窒素負荷を抑えることが可能である。しかし、日本では特に一部の湖沼・地下水の水質において窒素負荷の影響が顕在化している。よって、日本には窒素のリサイクルを妨げる構造的な問題が存在することが示唆される。
現在の日本は食料と飼料の多くを輸入に頼り、2013年の食料自給率(供給熱量ベース)は39%、飼料自給率は26%である。食料・飼料の消費に伴い発生する窒素の量は、その栄養価が同様であれば国内産でも国外産でも同程度である。ならば、農業生産に伴う窒素負荷が国内で発生しない点で、食料・飼料を国外に頼る現状はうまい戦略に見える(ただし、輸出国で窒素問題が深刻化すれば、この環境コストが将来的に内部化される可能性がある)。一方で、食料・飼料の高い輸入依存は、廃棄物や排せつ物の窒素を有機肥料としてリサイクルする点で不利である。なぜなら、リサイクル窒素を受け入れられる国内生産の場が限られるためである。ましてや、リサイクル窒素を国外に送ることは現実味に乏しい。結果として、食料・飼料の消費に伴い発生する窒素の大部分が余剰となって環境に負荷される。言い換えれば、日本は世界中から食料・飼料に含まれる形で窒素をかき集め、最終的に環境にばらまいている。日本は輸入額と輸出額の差分では世界一の食料輸入超過国である。よって、窒素の輸入超過でも世界一であるのかも知れない。
食生活の変化は窒素負荷を変える。経済発展に伴い畜産物(肉類、鶏卵、および乳製品)の消費量が増えるのは世界共通のことであり、日本も例外ではない。肉類はたんぱく質に富むため、その消費は結果として窒素負荷を増やすことになる。また、国内飼養の家畜について、その飼料の国内生産および家畜排せつ物が窒素負荷をもたらす。日本では1965年から2012年にかけて一人あたり年間の供給純食料が肉類で9.2kgから30.0kg、鶏卵で11.3kgから16.7kg、牛乳・乳製品で37.5kgから89.5kgに増加した。この間に総人口は9920万人から12750万人に増加し、消費増加に人口増加を乗じた分の窒素負荷が増えたことになる。
加えて、現在の日本では、本来食べられるのに廃棄される食品(食品ロス)が多い。食品関連事業者および一般家庭における食品ロスは年間500~800万トン(2010年)に達する(参考:世界全体の食料援助が年間400万トン、日本のコメ生産量が年間850万トン)。ここには生産現場から出荷されずに捨てられる農産物が含まれておらず、実際にはさらに多くが食品として消費されずに処分されている。食品ロスが増えるだけ窒素負荷も増えてしまう。
窒素負荷が空間的に集中すれば、そこでは環境影響(典型的には地下水や湖沼の水質汚染や富栄養化)が生じやすい。集約的畜産地域では地域内の農耕地に比して多量に発生する家畜排せつ物が、肥料多投入型作物の生産地域では農耕地からの溶脱が増える窒素肥料が、窒素負荷の原因となる。これらの窒素負荷源が集水域のどこに位置し、水の流れと他の土地利用がどう関わるかといった要素もまた、窒素負荷がもたらす環境影響を大きく左右する。

 2.3.切り口で形が変わる窒素問題
窒素がもたらす環境影響の空間スケールは多様である。よって、窒素問題を評価する指標には、総量、一人あたり、および面積あたりなど様々な切り口がある。例えば、温室効果ガスとしてのN2O発生量を評価するには国の総量がよく、食料消費に伴う窒素負荷を国別に比較するならば人口あたりがよく、生態系への影響評価に用いるには面積あたりがよい。目的に応じた指標は重要である。しかし同時に、指標が複数あることは、切り口によって見え方が変わることを意味する。単一の指標に頼っては窒素問題の本質を見誤る危険性がある。
ここまでを読む限り、読者の多くが日本の窒素負荷は大きいと思うであろう。しかし、国民一人あたりの窒素負荷を比べると日本はOECD諸国の中で2番目に小さい(日本:21.2kgNcap–1yr–1、OECD平均:47.9kgNcap–1yr–1)。その原因は食料生産に伴う窒素負荷がとても小さいことにある(日本:3.8kgNcap–1yr–1、OECD平均:26.2kgNcap–1yr–1)。これは日本が輸入する食料・飼料を生産する国における窒素負荷が日本の負荷として考慮されていないためである。将来的には、食料・飼料輸入国はその生産国における窒素負荷を補償すべきという議論が起こるかも知れない。一方、国土面積あたりの窒素負荷を比べると日本はアジア諸国の中で3番目に大きく、2000年時点で約50kgNha–1yr–1であった。環境への窒素負荷の観点では、日本の負荷は決して小さくない。また、農耕地の余剰窒素(耕地面積あたりの窒素負荷)という指標もある。これは農耕地への窒素投入量(施肥、大気沈着、窒素固定など)から作物として収穫される窒素量を差し引いたものである(ただし、事例により考慮する過程が若干異なる)。2002–2004年の日本の農耕地の余剰窒素は171kgNha–1であり、これはOECD諸国の中で韓国、オランダ、ベルギーに次いで4番目に大きく、OECD平均74kgNha–1より約100kgNha–1も多い。日本の農耕地には廃棄物や排せつ物由来の窒素をこれ以上に受け入れる量的な余地はなく、余地を作るには化学肥料としての窒素投入量を減らす必要がある。このように、指標ごとに様々な状況を読むことができる。個々の指標の切り口を考慮しつつ、多様な指標を用いて全体像をあぶりだすことが大切である。ただし、総合評価を行うには、各指標の統合的な解釈方法の開発が必要となる。
補足として、上記の指標はいずれも窒素の化学種を区別しない。冒頭で述べたとおり、窒素は環境中において酸化態、還元態(有機物を含む)、およびN2と多様な化学種として存在し、ガス、溶存イオン、固体などの多様な化学形態をとる。そして、諸反応により化学種や
化学形態がめまぐるしく変化する。これらのために特定の化学種を対象とした指標を定めにくい。対流圏で安定なガスとして存在するN2Oは例外的である。
3.世界における窒素問題への取り組み例
 3.1.国際窒素イニシアティブ(INI)
 3.2.FutureEarth(FE)
 3.3.経済協力開発機構(OECD)
4.おわりに

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世界の一酸化二窒素収支2020 11月4日

国立環境研究所、海洋研究開発機構、フューチャー・アース日本ハブは10月5日、国際的な地球環境研究プログラム(GCP)で得た「世界の一酸化二窒素収支2020年版(N2O Budget 2020)」を公開しました。
研究の背景と結果と分析10月5日プレスリリースより]

 研究の背景

  一酸化二窒素(N2O)は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの主要なものの1つです。N2Oは、二酸化炭素やメタンといった他の温室効果ガスと比べて大気中の濃度は低いですが、単位濃度あたりで温暖化をもたらす能力(地球温暖化係数)が高く重要な成分です。また、成層圏オゾン層の破壊物質でもあります。これまでの大気中のN2Oは1750年の270 ppb (十億分率、1 ppb = 0.0000001%)から2018年の331 ppbまで増加してきました。この増加傾向は今後も数十年間続き、食料、飼料、繊維、エネルギーの需要が高まり、廃棄物や産業活動による排出が増えることで2050年までに倍増する可能性があります。こうした重要性にもかかわらず、世界のN2O排出の全体像を明らかにし、また、窒素(N)投入とN2Oの排出・吸収フラックスを決定する生物地球化学的プロセスとの相互作用(つまり異なるN2O排出源と吸収・消滅源の間の動的な関係)を解明するための研究は、これまで十分ではありませんでした。

 研究結果と分析
   2020年10月8日、過去数十年間にわたり全球のN2O放出量が増加し続けていたことを示す論文がNature誌に掲載されます。この増加の主な原因は、人間活動による放出が30%程度増えたことです。全体の中では、農業における窒素肥料の使用、そして家畜からの堆肥製造といった農業活動が増加したことが排出量増加の主要因となっていました。
   経済成長が急速な国、特にブラジル、中国、インド、におけるN2O排出の増加は最も顕著で、作物生産や家畜頭数の急増に伴うものでした。
   これらの知見は、私たちの食糧生産システムにおいてN2O排出を削減することが喫緊の課題であることを強く示しています。本研究で明らかになったN2O排出の増加は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2013年に第5次評価報告書で設定した将来の排出シナリオのうち、最も悲観的なシナリオと同等かそれ以上であり、この場合、世界の平均気温は3℃をはるかに超えるほど上昇することになります。……
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:赤色(図中の1)を付けたもの)の矢印は農業部門(農業)における窒素投入からの直接的な放出を指す。オレンジ色の矢印(同じく2))は、その他の直接的な人為起源の放出を指す。紫色(同じく3))の矢印は、人為的窒素投入からの間接的な放出を示す。茶色(同じく4))の矢印は、気候変動/CO2/土地利用によって影響を受けた排出フラックスを示す。緑色の矢印は、自然起源の放出と吸収・消滅を示す。人為及び自然起源のN2O排出はボトムアップ手法による推定である。青色の矢印は地表での吸収と大気中で観測された化学反応による消滅であり、そのうち約1%が対流圏で発生している。収支の合計(排出量+吸収・消滅量)は大気中で観測された増加量と厳密に一致はしていないが、それは、それぞれの排出量は別々の手法で推定されたことや、大気観測に合うように排出推定の調整を行ってはいないからである。この不一致の大きさは、各排出と吸収・消滅量の範囲に見られるように、N2O収支全体の推定不確実性の幅に十分収まっている。N2Oの排出量と吸収・消滅量の単位はTg N yr–1である(1Tg = 1012 g)。


「世界の一酸化二窒素収支2020年版」を公開(排出の増加止まらず最悪の場合平均気温が3℃超上昇:国立環境研究所ほか 2020年10月8日発表)公益財団法人 つくば科学万博記念財団『つくばサイエンスニュース』

(国)国立環境研究所、(国)海洋研究開発機構、フューチャー・アース日本ハブは10月5日、国際的な地球環境研究プログラムで得た「世界の一酸化二窒素(N2O)収支2020年版」を公開した。N2Oの排出増加は今後も続き最悪の場合世界の平均気温が3℃を超えるほど上昇することになると警鐘を鳴らしている。

 N2Oは二酸化炭素(CO2)やメタンと同様に地球温暖化の原因になっている気体。ただ、大気中の濃度は2018年時点で約330ppb(1ppbは10億分の1)、CO2の同400ppm(1ppmは100万分の1)の1,000分の1以下と遥かに低い。

 だが、地球温暖化係数と呼ばれる単位濃度当たりの温暖化能力は高くCO2を上まわる。

 しかもN2Oは、太陽からの有害な紫外線を吸収して地上の生態系を守ってくれているオゾン層の破壊物質でもある。オゾン層があるのは遥か高空の成層圏だがN2Oは大気中を上昇して成層圏に達し光化学反応で分解される過程でオゾン層の破壊を引き起こす。

 しかし、N2Oの発生と吸収・消滅の間の収支関係を解明する研究はまだ十分に行なわれていない。

 公開した研究報告は、各国の研究者が協力して世界のN2Oの全ての発生源と吸収源を今までになく詳細に集計し分析を行ってまとめたもので、日本の国立環境研と海洋研究機構の研究者など世界44機関の研究者70人が参加しての国際共同研究として行った。

 その結果、世界のN2O排出総量の内の実に82%が農業生産起源の排出であることが明らかになったとし、食糧生産システムからのN2O排出を削減することが世界の喫緊の課題だと強調。N2O排出の増加は「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2013年に第5次評価報告書で設定した将来の排出シナリオの内、最も悲観的なシナリオと同等かそれ以上」だとし「この場合、世界の平均気温は3℃を遥か超えるほど上昇することになる」と危機的状況にあることを訴えている。

10月29日、公開フォーラム「『世界の一酸化二窒素(N2O)収支2020年版』と食料システム」がオンラインで開催され、伊藤昭彦さん(NIES 地球環境研究センター 物質循環モデリング・解析研究室長)が、「世界の一酸化二窒素(N2O)収支2020年版」概要について講演(29:59)しています。

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窒素問題の解決:窒素循環汚染から窒素の循環型経済へ 11月3日

国連環境計画(UNEP:United Nations Environment Programme ユネップ)は、社会・経済・生態系に甚大な影響を及ぼすと考えられる新たな環境問題について検証・分析する「フロンティア」報告書(Frontiers: Emerging Issues of Environmental Concern)を毎年発表しています。第4回国連環境総会(UNEA4)に先立ち2019年3月に発表された「Frontiers 2018/2019: Emerging Issues of Environmental Concern(フロンティア2018/2019:新たに懸念すべき環境問題)」では、新たに懸念される環境問題として1)合成生物学の台頭、2)ランドスケープの断片化、3)泥炭地永久凍土の融解、4)窒素汚染、5)気候変動への不適切な適応を取り上げ、それぞれの解決策を検討し、循環型経済の実現に向けた窒素管理の重要性を指摘しています。
UNEP Frontiers 2018_19_1UNEP Frontiers 2018_19_2

窒素問題の解決:窒素循環汚染から窒素の循環型経済へ」(16頁)は『フロンティア2018/2019』(79頁)の窒素汚染に関する章「The Nitrogen Fix: From Nitrogen Cycle Pollution to Nitrogen Circular Economy」(52~64頁)の公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)による日本語翻訳版[日本語版翻訳:林健太郎(農研機構)・柴田英昭(北海道大学)、日本語版編集協力:一般社団法人 日本 UNEP 協会]です。

窒素問題の解決:窒素循環汚染から窒素の循環型経済へ
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はじめに 3頁
20世紀はじめに二人のドイツ人化学者、フリッツ・ハーバーとカール・ボッシュは、安価で大規 模に合成窒素を生産する方法を開発した。その発明は窒素肥料の大量生産を加速し、世界の 農業を転換させた。これは同時に、地球の窒素バランスに対する我々の長期的な干渉のはじま りでもあった。毎年、推定2,000億米ドル分の反応性窒素が環境に排出され、土壌を劣化させ、 大気を汚染し、河川や湖沼における「デッドゾーン」や有毒な藻類繁殖の拡大を引き起こして いる。 多くの科学者が「人新世(Anthropocene)」を現代の地質年代の公式名とすべきだと唱えるの も無理はない。ほんのここ数十年で、人類は自然変化の170倍もの速さで地球の温度を上昇さ せてきた。人類はまた、地球の陸面の75%以上を意図的に改変し、世界の河川の93%以上の流 れを不可逆的に変えてしまった。生物圏に大きな変化をもたらしているだけでなく、今や人類 は生命の基本構成単位を書き換えることや、新たに創り出すことさえも可能になった。 毎年、世界中の科学者、専門家、および研究機関のネットワークは、国連環境計画と協力して我々の社会、経済、および環境に大きな影響を与え うる新たな問題を見いだして分析している。これらの問題の幾つかは、思いがけない用途と不確定なリスクを伴う新技術とリンクし、その他は、 自然景観の断片化および長期間凍結していた土壌の融解といった永続的な問題である。もう一つの問題、窒素汚染は、生物圏における数十年 の人間活動の非意図的な結果をあらわしている。本報告書で取り上げた最後の問題、気候変動への不適切な適応は、変わりゆく世界に対する 十分かつ適切な順応に我々が失敗することに着目している。 良い知らせもある。当該箇所を読むとわかるとおり、窒素管理という世界的な問題に対する全体的なアプローチが始まりつつある。中国、イン ド、および欧州連合において、窒素肥料のむだを減らして効率を改善する前途有望で新たな取り組みが成されている。究極的には、その他の価 値ある栄養塩や素材と同様に窒素を回収して再循環させることが、クリーンで持続的な農業を助ける。真の循環型経済である。 本報告書で取り上げた問題を通じて、我々の自然への介入は常に、全球規模でも分子レベルでも、我々の住まう地球に長期的な影響を引き起 こすリスクを伴うことを認識すべきである。しかし、先見の明を持って協働することにより、問題の一歩先を進み続け、何世代も先までを見据え た解決策を創造できるだろう。

窒素問題の解決:窒素循環汚染から窒素の循環型経済へ

 地球規模の窒素問題 4頁
  環境中における窒素のさまざまな形態
  Frontiers2018-19_2
 窒素についてわかっていること・わかっていないこと 6頁
  2014年の対流圏二酸化窒素(NO2)の平均濃度
  

  

  運輸・エネルギー・産業部門における化石燃料の燃焼
  肥料製造
  Frontiers2018-19_4

  作物栽培における生物学的窒素固定
  廃棄物
  Frontiers2018-19_5

  窒素カスケード
  Frontiers2018-19_6

 政策細分化と循環経済の解決策 10頁
  窒素、栄養塩、そして循環型経済
2015 年に欧州連合(EU)で採択された「循環型経済パッケージ」 は、生産、消費、廃棄物管理、二次原料リサイクルというバリュー・ チェーン(価値連鎖)のすべての段階における資源利用効率を最 大化することを目指している42,43。その計画では、有機肥料と廃 棄物由来肥料の管理と取引が、EU 経済における窒素とリンなど の栄養塩の回収とリサイクルの伴になると認識されている。新た な規制では、国内で入手可能な生物性廃棄物、乾燥あるいは消 化した排せつ物などの畜産副産物、その他の農業由来残渣を用 いた有機肥料の持続可能かつ革新的な生産を奨励している。現 在、EUでは有機廃棄物(生ごみなど)の 5% のみがリサイクルお よび肥料として利用されているに過ぎない。生物性肥料の国境 を越えた自由度の高い流通を可能とすることで、EU 域内の二次 原料向け新規市場とサプライチェーン(供給網)の創出につなが る。その結果、約 12 万人の雇用が生み出されると試算されてい る。生物性廃棄物からの窒素の回収は、製造に伴う炭素とエネ ルギーのフットプリントが大きい合成無機肥料の需要を削減、代 替すると期待されている。同時に、環境への反応性窒素の排出 の削減に役立つだろう。 窒素と他の栄養塩の循環型経済への着手は農地から始まる。農 地からの窒素損失を減らすことによって、作物生育を支える栄養 塩の供給がより効率的になる。ここで主に必要なのは、この緩和 手法の実施により農地からの窒素損失が削減される分だけ、農 地への窒素投入量を減らすことができるという点を農家にわかり やすく伝える実用的なツールを提供することだ。このようなツー ルは、栄養塩レベルを細かく調整することになる農家への信頼を 得るために、適切な土壌診断によって裏付けられるべきである。 また一方、付加価値の高い産物の生産のために、窒素と他の栄 養塩の再利用を拡大する可能性も大いにある。大規模な投資が 社会を「低炭素経済」に転換しつつあるように(例:再生可能エ ネルギー資源の導入)、窒素の価値は、「窒素の循環型経済」に 向けての投資を通じた大きな経済機会を示唆している。
  1980年と2016年の窒素肥料の地域別消費量

 窒素に関する包括的な国際アプローチに向けて 12頁
  農業による大気汚染 2:01
  

  肥料が環境とあなたの問題である理由 1:55
  

  条約間窒素調整メカニズム
  農業のアンモニア問題 6:40
  

 参考文献 14頁
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The two faces of nitrogen 窒素のはなし~おもてとウラの顔 - 日本語字幕付き 5:05
2020年、ポルトガルの研究者チームが作成した動画。窒素の恩恵、窒素利用がもたらしている様々な問題、その解決の手立てについて紹介しています。日本窒素専門家グループ(JpNEG)のメンバーが字幕をつけています。
  

窒素の七変化(フロー図)
農研機構 農業環境変動研究センターが農業環境技術研究所(~2016年3月)であった2009年の記事「肥料と環境: 農地から流れ出す窒素」のフロー図です。
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肥料と環境: 農地から流れ出す窒素常陽新聞連載「ふしぎを追って ―研究室の扉を開く」の2008年11月12日の記事を転載したもの)
土に堆肥やきゅう肥を入れると作物がよくとれること、そしてそのような土には腐植がたくさん含まれていることは昔からよく知られていました。ですから200年ほど前まで、植物は土の中の腐植などさまざまな土壌有機物を吸収して生長すると信じられていました。これを有機栄養説といいます。
この考え方は、ドイツ人科学者のリービッヒがとなえた無機栄養説によって完全に否定されました。植物が土の中から吸収しているのは、土壌有機物が分解してできた無機塩であることが証明されたのです。その後、工業的に製造・加工された安価で扱いやすい化学肥料が使われるようになって、食料の生産は飛躍的に増大しました。
食料を生産するときに農地からもっとも失われやすい栄養素は、窒素、リン酸、カリです。足りなくなった三大栄養素を肥料として土に補給する必要があります。とくに失われやすい窒素については、大気中の窒素ガスに水素ガスを反応させてアンモニアを合成する方法が19世紀初めにドイツで開発されました。それ以来、大量の窒素肥料が農地に投入されるようになりました。
ところで、植物が吸収・利用できるのは、農地に投入された窒素のせいぜい半分くらいと見積もられています。土の中に残ったアンモニウムイオンは、微生物の働きによって亜硝酸イオンから硝酸イオンへと姿を変えます(硝酸化成)。土の中の腐植や粘土はマイナスの荷電を持っているので、プラスに荷電したアンモニウムイオンを捕まえておくことはできますが、マイナスの硝酸イオンを保持しておくことはできません。そのため、硝酸イオンは硝酸塩となって水環境へ流れ出してしまいます。
硝酸塩は大気中の窒素ガスとは違って生物に対する反応性が高く、いろいろな問題を引き起こします。身近なところでは、井戸水の硝酸汚染、河川・湖沼の富栄養化などが問題になっており、その流出を防止する技術が研究されています。また、硝酸化成の途中や、酸素の少ない土の中で硝酸イオンが窒素ガスに姿を変えるとき、副産物として亜酸化窒素が生成します。亜酸化窒素が大気中に出ると、二酸化炭素より強力な温室効果ガスとして地球全体に影響を及ぼすため、その発生を抑える技術が研究されています。(農業環境技術研究所 物質循環研究領域長 菅原和夫)

堅達京子『脱プラスチックへの挑戦 』① 11月1日

堅達京子『脱プラスチックへの挑戦 持続可能な地球と世界ビジネスの潮流』(山と溪谷社、2020年1月)です。アマゾンのサイトで下へスクロールしていくと、堅達さんの自著紹介動画(1:31)があります。
脱プラスチックへの挑戦
 目次
 第1章 海のプラスチックごみを回収する
 第2章 一歩先を行く世界の取り組み
 第3章 プラスチックを検出する地質年代に生きて
 第4章 未来への提言 世界の英知からのメッセージ
 第5章 正念場の10年をどう生きるか
  (詳しい目次は11月19日の記事にあります)

  山と溪谷社ニュースリリース(2020年1月16日配信)
 インプレスグループで山岳・自然分野のメディア事業を手がける株式会社山と溪谷社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:川崎深雪)は、堅達京子 + NHK BS1スペシャル取材班著『脱プラスチックへの挑戦』を刊行しました。
持続可能な地球と世界ビジネスの潮流
 SDGs(持続可能な開発目標)がキーワードとなった時代に、具体的には何を優先すれば良いのか、そしてどう行動するべきなのか、私たち一人一人に答えが求められています。健康や平等、貧困や飢餓。昨今の台風被害に見られるように、気候変動の問題も急がなければなりません。
 本書は「なぜストローは紙に変わったのか」という小さなきっかけからはじまり、地球規模の海洋プラスチックごみ問題と、気候変動の危機との深い関係、そして政府と企業を巻き込んだ世界の大きな潮流や、日本企業のビジネスとしての取り組みについても詳しく紹介しています。
 本書は、NHK BS1スペシャル『“脱プラスチック”への挑戦』のプロデューサー、堅達京子氏が、映像化されなかった数々の貴重な証言や驚きの事実とともに書き下ろした警鐘ドキュメントです。
本書で伝えていること
 WWFの資料によると、私たちは「毎週5グラムのプラスチックを食べている」という驚くべき報告があります。年間250グラムもの「マイクロプラスチック」を水や塩、海産物などから摂取しているのです。生態系への多大な影響も報道されている中、EUでは「脱プラスチック」が企業・政治・市民を巻き込む大きなうねりとなっています。企業の動きから市民としてできることまで、「脱プラスチック」についてわかりやすく解説します。
 今、ストローやレジ袋の禁止など、使い捨てのプラスチックをやめようという動きが加速しています。ウミガメの鼻に刺さったストローや、クジラのお腹から出てくるビニール袋といったショッキングな映像が世界を動かしたのですが、理由はそれだけではありません。
 石油という化石燃料から作られるプラスチックは、大量生産、大量消費の現代文明の象徴。実は、こうした私たちの文明そのものを、急速に“循環型”で“脱炭素”の経済に作り変えていかなければ、“地球が持たない”ほどに温暖化が加速していることが背景にあるのです。
 EUなどはそのことに気づいて、このパラダイムシフトをビジネスチャンスに変えようとしています。日本企業は、この大転換をビジネスチャンスに変えることができるのか。そして私たちにできることはなにか? を問う内容となっています。
気候危機を伝える数々の証言
 IPCCの報告書をはじめ、世界各国で数々の警告が発せられています。
「これからの10年が人類の運命を決める」 気候学者 ヨハン・ロックストローム
「プラスチック汚染に宣戦布告します!」 フランス環境担当副大臣 ブリュヌ・ポワルソン
「私たちの使命は、世界の海からプラスチックを取り除くこと」 社会起業家 ボイヤン・スラット
さらに、ピュリツァー賞3度受賞のジャーナリスト、トーマス・フリードマンのインタビューも収録。これらの証言に、なぜ今、耳を傾けなければならないのか、本書に詳しく書かれています。ぜひご高覧いただき、書評掲載・または著者インタビュー等をご検討いただければ幸いです。
[引用者]この番組『BS1スペシャル「“脱プラスチック”への挑戦~持続可能な地球をめざして~」第1部20190414』(50:00)、『BS1スペシャル「“脱プラスチック”への挑戦~持続可能な地球をめざして~」第2部20190414』(50:00)は動画共有サービスdailymotionのサイトから見られるようです。『Youtube』にごく類似したサービスを展開するフランスの動画サービスです。
ウイルス感染リスクがゼロかといえば、「危険性は低いが0ではない」、「動画を見るだけならほぼ安全」といった位置づけでしょうか。動画を見るだけでウイルスに感染するなどといったことは現状ありません。視聴するだけであれば基本的に安全です。ただし、視聴している画面に表示される広告や、概要欄のURLから外部リンクに飛ぶことを考えると、可能性はゼロではありません。……動画を視聴するだけでは、「違法」でも「危険」でもない可能性が極めて高いことも分かりました。[dailymotionの動画むしろ安全!なのに違法になる理由はこれ!PastelColorTV〜パスカラ 2020年4月22日更新記事]
山と溪谷社の商品詳細
「あなたは毎週5グラムのプラスチックを食べている。」
WWFの資料によると、年間250グラムの「マイクロプラスチック」を水や塩、海産物などから摂取しています。生態系への多大な影響も報道されている中、EUでは「脱プラスチック」が企業・政治・市民を巻き込む大きなうねりとなっています。企業の動きから市民としてできることまで、「脱プラスチック」についてわかりやすく解説します。今、ストローやレジ袋の禁止など、使い捨てのプラスチックをやめようという動きが加速しています。ウミガメの鼻に刺さったストローや、クジラのお腹から出てくるビニール袋といったショッキングな映像が世界を動かしたのですが、理由はそれだけではありません。石油という化石燃料から作られるプラスチックは、大量生産、大量消費の現代文明の象徴。実は、こうした私たちの文明そのものを、急速に“循環型”で“脱炭素”の経済に作り変えていかなければ、“地球が持たない”ほど温暖化が加速していることが背景にあるのです。EUなどはそのことに気づいて、このパラダイムシフトをビジネスチャンスに変えようとしています。日本企業、この大転換をビジネスチャンスに変えることができるのか。そして私たちにできることはなにか?NHK BS1スペシャル「“脱プラスチック”への挑戦」のプロデューサーが、映像化されなかった数々の貴重な証言や驚きの事実を伝える警鐘ドキュメント!
「脱プラは温暖化対策そのもの。災害を増やしているのは私たちの暮らし方」NEPプロデューサー堅達京子が語る[同書の企画・編輯者、岡山泰史さん(山と溪谷社・自然図書編集部)の著者へのインタヴュー(2020年2月12日サイト掲載記事)]NEP:NHKエンタープライズ
脱プラは温暖化対策そのもの
Q プラスチック問題に注目したきっかけを教えてください。
Q 帯に「あなたは毎週5グラムのプラスチックを食べている」という非常に強いメッセージがありますが、そこにはどんな危険性があるのですか?
Q マイクロプラスチックが生態系の中で濃縮しているという話が衝撃的でした。
取り組みはまだ始まったばかり
Q オランダの社会起業家ボイヤン・スラットさんがオーシャン・クリーンアップを立ち上げ、太平洋ごみベルトからプラごみを集める姿はNHKの番組でも取り上げていましたね。世界各地でも海や川でのプラごみ回収が始まっています。
Q 先進的な企業の取り組みも多数、本の中で紹介されています。
Q SDGsも浸透しつつありますが、「脱プラ」は具体的でわかりやすい目標ですね。
危機感からの呼びかけ
Q 去年の台風による被害は甚大で、2018年の西日本豪雨に続く爪痕を残しました。
Q 著名な科学者ヨハン・ロックストローム博士が「これからの10年で地球の未来が決まる」と本の中で述べていました。
Q ご自身も危機感を感じて報道していると伺いました。
インタビューの後で、読者から次々と届くメールの一部を紹介してくれた堅達さん。プラスチックを扱う会社の社長から、小学校の教員、ご家庭の主婦、企業でCSRを担当する方や社会活動家まで、広く反響を呼んでいるとのこと。本書が持続可能で安全な生活や経済活動のきっかけになることを願うばかりです。(岡山泰史)
  

 『市民ための環境公開講座2020』パート1 生きものと気候変動、2020年9月23日
 講座ダイジェスト[構成・文:伊藤彩乃(株式会社Fukairi)]
 絡み合う新型コロナウイルスと環境問題
質問1 山火事によって生き物の命が奪われる以外に、地球にはどういったダメージがありますか?
質問2 グリーンウォッシュの具体的な事例を教えてください。また、海外に比べて日本ではグリーンウォッシュに対する報道が少ないように感じていますが、理由はあるのでしょうか?
質問3 森林を再生させるために取り組んでいる、具体的な事例はありますか?
 パラダイムシフトとグリーンリカバリー
 プラスチックから考える循環型経済
質問4 パラダイムシフトを起こすためには、何から始めればいいのでしょうか?
質問5 気候変動が進み台風などの自然災害に発展した場合、水量調節のために海に水を流すことが増えると思います。その時の連動被害について教えてください。
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どうする?プラごみ問題(前編) 10月31日

7月1日から、レジ袋有料化がスタートしました。国立環境研究所資源環境・廃棄物研究センターの森朋子さん(司会・進行、特別研究員)、寺園淳さん(副センター長)、田崎智宏さん(室長)の3名の研究者が解説している『どうするプラごみ問題(前編)~レジ袋有料化だけじゃ終われない~』です。10月21日にYouTubeで配信されました。
どうする?プラごみ問題~レジ袋有料化だけじゃ終われない~(30:00)


①なぜ今、レジ袋有料化なのか?
Q1 レジ袋の有料化はあまり意味がない?
  日本のレジ袋の使用枚数
   年間 500~700億枚
    LとLLサイズとして算出
     (昔の推計では約300億枚)
  ・一人1日に1~2枚使っている計算
  ・2006年頃にレジ袋有料化の動き 業界の反対で自主的な取組へ
 「有料化」には優れた効果がある
  ①容器包装の有償提供(有料化)
  ②景品等の提供
  ③繰り返し使用が可能な買物袋等の提供
  ④容器包装の使用について消費者の意思を確認
  ⑤容器包装の量り売り
  統計的に有意に効果が検出できたのは、①のみ
   他は、効果が検出できるほどの効果はなかった
   ただし、「効果がない」とまではいえない
  一番「有料化」が重要だという結果
   レジ袋辞退率(コンビニ業界の場合)
    有料化前 約25%
    有料化後 セブンイレブン 75%
         ファミリーマート 77%
         ローソン 76%
 有料化が意味がない(やめるべき)、効果が小さい(他を優先させるべき)
  もっと効果的なものに取り組むなら、やめてよいが……
  レジ袋以外に、他に何をやったらいいか
 レジ袋は薄くて、軽くて、量的に効かない?
  プラごみ問題は、重量だけの話ではない
  ・海洋生物がプラごみを呑み込んだり絡まるケース
    →重量ではなく容積や表面積がより重要
  ・取り組みやすさは重量では表現されない
  ・取組の波及効果も重量では表現されない
  ・クリーンアップの邪魔:レジ袋の泥は除去しにくい
    回収しづらく、リサイクルにも影響
  ・多くの国が有料化あるいは禁止を実施している事実
    逆に、やらない理由を説明できるのか?
 何に対策すべきか?→無駄に使っているものから
  どっちを減らしたらいいか?
   使い捨てプラスチック>繰り返し使うプラスチック
   無料のプラスチック>有料のプラスチック
   容器包装プラスチック>製品プラスチック
  レジ袋が一番最初の取り組みに

Q2 レジ袋は、ごみ袋として有効に使えばよい?
 ごみ袋は30L以上のものが多い
 コンビニやスーパーのレジ袋は小さい
  →レジ袋はごみ袋の中のごみになる
  →レジ袋をごみ袋として出すと、ゴミ収集作業者の手間が増す
    一定の大きさのごみ袋に入れて出された方が作業は楽
 ごみ袋を無駄にたくさん使ってよいのか?
  親袋(=排出容器)、小袋、孫袋、曾孫袋、……
   小袋としてレジ袋4.2枚、孫袋として1.1枚使われている
   親袋の中にレジ袋が計5.4枚使われている
  こんなに使う必要があるのか考える
 “無料の袋”だと、減らす動機づけがない
  無料の袋はたくさん使ってしまう

②プラスチックは何が問題か?
Q3 日本人が、1日に廃棄するプラスチックはどのくらい?
 プラスチックは、家庭ごみの重量で約10%、容積で約45%
  プラスチックはごみ問題で重要なターゲットのひとつ
 日本のプラスチックの廃棄量(家庭と家庭以外の産業からでる) 
  日本全体で1人1年間70㎏
  35gの厚めのペットボトルが2000本で70㎏
  35gの厚めのペットボトルが1人1日5.5本

Q4 日本は、適正にリサイクルしており、海洋流出はあまりない?
 世界のプラスチックの海洋流出量は、年間480万トン~1200万トン程
 日本からの海洋へのプラスチック流出量 年間2~6万トン
            (プラスチック廃棄量の約0.5%)
 日本は2050年までに海洋プラスチックの追加汚染ゼロを提出
  2019年6月29日、G20大阪サミットで「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が首脳宣言に盛り込まれた
 2050年までに、海洋プラスチックの追加汚染をゼロにするには
  環境への流出量<クリーンアップ量(清掃活動)
   ①回収量の増加(ペットボトルは既に9割回収)
   ②利用量の削減
   ③クリーンアップ活動の拡大(10倍)
   努力と気合でやるにしては①では限界、②と③に頼るしかない
 回収され、リサイクルされている?
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   有効利用量(84%)
    リサイクル(マテリアル、ケミカル)とエネルギー回収(燃料化、焼却)
    焼却施設の発電効率は12~13%
    マテリアルリサイクルではペットボトル60数万トン
    容器包装に使われたプラスチックは焼却にまわされているものがかなり多い
    マテリアルリサイクルの3分の2位は産業廃棄物のプラスチック
    産業廃棄物のプラスチックは国内よりは中国でのリサイクルが多かった
     2017年末以降、中国が輸入しなくなった(→リサイクルが難しくなっている)

③技術でプラスチックごみ問題は解決できるのでは?
Q5 バイオマスプラスチックが普及すればOK?
 バイオマス起源のプラスチック
  生物(サトウキビなど)からつくられるでん粉・セルロースなどを原料とする
   耕作面積や水が多く必要
  コストが高い?から今まで普及しなかった
  リサイクルで普通のプラスチックと一緒に処理できるか?
 分解されやすい生分解性プラスチック
  ※バイオマス起源のプラスチックが、生分解性プラスチックというわけではない。

プラスチックの4つの問題:解決策との対応関係
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 海洋プラスチック汚染・マイクロプラスチック問題
 地球温暖化問題
 非再生資源依存(石油依存問題)
 大量生産・大量消費社会
  技術で解決できるのは問題の一部分にすぎない
  バイオマス起源プラスチック カーボンニュートラル
  生分解性プラスチック 海洋プラスチック汚染
  リデュース(全ての問題解決に貢献)
    プラスチックの使用を考え直す
プラごみを減らすためにはどうしたらいい?
 施用量を減らすことが大事
  要らないものはもらわないで済む社会
  必要なものを大切に使い続ける
リデュースの難しさを乗り越えるために〈注意点〉
 1)極論に走りがち
  ゼロイチの議論で思考停止しやすい。
  国の目標=使い捨てプラスチック25%減
  個人にできることは限界
  企業などと本当に必要なのか議論することが重要
 2)過剰性(使い過ぎ)は自らは気がつきにくい
日本のプラスチック資源循環戦略の概要
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(図・表は『生活協同組合研究』2020年9月号掲載の田崎論文から)
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『生活協同組合研究』2020年9月号、536号
 プラスチックは低コストで大量に生産され私たちが快適で便利な暮らしをするためにかかせないものとなっている。プラスチックの世界生産量は3.8億トン(2015年)に達し、その4割程度が包装に用いられている。確かに、プラスチック包装は品質の維持に適し商品が破損しにくく陳列しやすい。
 この包装用のプラスチックについては、今年7月より日本でもレジ袋が有料化され関心が高まった。また、女子高校生がお菓子の外袋・トレイ・個包装にプラスチックが使われるといった過剰包装を無くしてほしいという署名を集め製菓会社に届けたこともニュースになった。
 プラスチックは優れた点も多いが生分解せず廃棄物として河川や海洋に流出してしまうとマイクロプラスチック等として長期にわたり環境を汚染し生態系に悪影響を及ぼすという問題がある。さらに、プラスチックごみの多くは最終的に焼却処理され CO2等を発生し地球温暖化の要因となっている。プラスチックの原料である原油は数億年前の生物の遺骸が堆積し生成されたといわれているが、人類はこの原油を急速に消費し10~15㎞程度しかない大気層に CO2等として放出し続けている。
 また、プラスチック問題は大量生産・大量消費・大量廃棄社会という構造的な問題でもある。脱プラスチックを進めるためには個々人や企業の努力も必要ではあるが、プラスチックごみの回収や処分に対し生産者責任を拡大していくといった経済的手法も含めた構造的な対策が必要となる。EU は2018年の「欧州プラスチック戦略」で2030年までに使い捨てプラスチック包装を域内で無くし、すべてを再利用またはリサイクルすることを掲げた。国内では2019年5月の「プラスチック資源循環戦略」で2030年までに使い捨てプラスチックを25%排出抑制する等の目標が掲げられた。
 本特集ではこのようなプラスチックを取り巻く問題について、プラスチックの生産と消費の実態、プラスチック汚染の現状、脱プラスチックにむけた国際的な動向、欧州の生協の取り組み、国内の動向と企業や生協の取り組み、「プラなし生活」といった新たなムーブメント等を論じていただいた。プラスチック問題の理解と、脱プラスチックの取り組みへの示唆となれば幸いである。(渡部博文)
 特集:プラスチック汚染・脱プラスチック
     世界で広がる脱プラスチックの動き(原田禎夫)
     プラスチック問題に関する国内外動向と俯瞰的理解
      ─混乱する議論の解きほぐしから始める問題との向き合い方─(田崎智宏)
     欧州の生協におけるプラスチック削減の取り組み(佐藤孝一)
     トッパンのサステナブルパッケージソリューション(川田 靖)
     脱プラスチック社会の実現に向けたコープこうべの取り組み(鬼澤康弘)
     生活クラブのグリーンシステム(山本義美)
     プラスチックがもたらす生活革命 いかに仕組みをつくれるか(小松遥香)
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生分解性プラスチックを取り巻く環境:世界のプラスチック生産は1960年代から2019年では約20倍の4億トン/年となり、20年後にさらに2倍の予測がされています。このうちリサイクルされているものは10%弱に過ぎず、回収されたプラスチックごみの約80%が埋め立てや自然界(海洋等)へ投棄されています。ここまでは2050年までに海洋中のプラスチックが魚の重量を上回ると言われており、環境汚染が深刻化しています。これに対して、EUをはじめ世界各国ではプラスチックの資源循環への関心が高まっています。

生分解性プラスチックの定義:生分解とは、単にプラスチックがバラバラになることではなく、微生物の働きにより、分子レベルまで分解し、最終的には二酸化炭素と水となって自然界へと循環していく性質をいいます。「グリーンプラ」の生分解度は、国際的に規定された試験方法と、定められた基準により審査されます。さらに、重金属等の含有物、分解過程(分解中間物)での安全性などの基準をクリアした製品だけが、グリーンプラマークをつけることができます。

生分解性プラスチックの用途:生分解性プラスチックは、通常のプラスチックと同様に使うことができ、使用後は自然界に存在する微生物の働きで、最終的に水と二酸化炭素に分解され自然界へと循環するプラスチック。食品残渣等を生分解性プラスチックの収集袋で回収、堆肥化・ガス化することにより、食品残渣は堆肥やメタンガスに再資源され、収集袋は生分解されるため、廃棄物の削減に繋がる。また、マルチフィルムを生分解性プラスチックにすれば、作物収穫後にマルチフィルムを畑に鋤き込むことで、廃棄物の回収が不要となり、発生抑制に繋がる。
 主要用途
  農業・土木資材(マルチフィルム、燻蒸フィルム、獣害対策忌避ネット等)
  食品残渣(生ごみ)収集袋(堆肥化・メタンガス発酵施設へ)
  食品容器包装(食品容器包装・カトラリー・ストロー等)




『みどりのススメ』(埼玉県みどり自然課) 10月23日

埼玉県環境部みどり自然課の作成した46頁の冊子『みどりのススメ~これから緑化工事を行う方へ~』(2019年版)です。屋上緑化壁面緑化駐車場緑化樹木植栽などの緑化手法が紹介されています。
  緑の効果~なぜ緑が必要なのか~
 身近な緑は、人々に潤いと安らぎを与え、美しい街なみを創るうえで欠かせない要素です。
 また、近年では自然環境が持つ防災・減災機能やコミュニティ醸成の場の創生機能といった多様な機能を活用して持続可能なまちづくりを進める取り組み(=グリーンインフラ)も注目されており、緑に期待される効果は環境面だけでなく社会面・経済面にも広がっています。
 一つ一つの施設には美しい緑を生み出し、緑のネットワークとして広げていくことが、その施設にみならず地域全体の価値向上に繋がります。
環境改善生物多様性の保全ヒートアイランド現象の緩和
安全・防災避難路等の安全性向上火災の延焼防止
景観形成都市の魅力向上不動産価値の向上
潤いと安らぎ自然との触れ合いの場地域のコミュニケーションの促進

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  優良な緑化計画を立てるためのポイント
〈維持管理を見据えた植栽〉
 植物の生育要件には「日当たり」や「降雨量」、「風当たり」などがありますが、植物によって重視するポイントは異なります。
 植物を選ぶ上で植物の生育環境も踏まえて検討すると、その後の維持管理が容易になります。
 また、地域に元々ある植物の多くは、その地域の環境に合ったものです。そういった地域の緑との連続性を意識すると、まとまりのある、より保ちやすい植栽になります。
〈接道部における緑の活用〉
 接道部には生け垣などの植栽を設けることで、圧迫感を抑えつつ施設と道路の間を分離することができます。ブロック塀などの人工物に比べ、安全性が高いこともメリットのひとつです。
 その際、手前に低木、更にその手前に草花や芝などで緑化すると、見通しが良く、奥行きのある緑化になります。
〈緑の効果が十分に発揮される緑視率〉
 国土交通省が実施した調査で、景色の中で緑が見える量(緑視率)が高まるにつれ、潤い感、安らぎ感、さわやかさなどの心理的効果が向上するということが分かりました。
 緑視率は、25%以上で「緑が多い」と感じることも分かっています。 公開空地など人の目につきやすい場所を緑化する場合などは、高木などを活用し緑視率を高めることで、緑の効果が十分に発揮できます。
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  緑化樹木としてよく使われている在来植物(抜萃)
埼玉県生物多様性の保全に配慮した緑化木選定基準(在来植物による緑化推進のために)』(埼玉県環境部みどり自然課、2016年3月)からの抜萃です。
1 はじめに
(1) 在来種を使用した緑化の重要性
 生物の種は、将来世代に伝えなければならない人類共通の資産としてかけがえのないものですが、現在地球上で多くの動物や植物が絶滅しつつあります。このようなことから、生物多様性の保全の必要性が叫ばれ、日本を含む各国の努力により生物多様性条約が発効し、この条約の精神に基づき、生物多様性国家戦略が策定されています。
 生物多様性の保全とは、野生動植物が人間の生活や生産活動の影響を受けて絶滅したり、生息範囲を狭めたり減ったりしないように、それぞれの地域に固有な様々な生物全体を保全することです。
 このような考え方を受け、緑化に用いられる樹木についても地域固有の自然環境を損なわないよう配慮が必要と考えられるようになってきました。
 2013年6月には、「景観三法」の公布にあたり、国会で「地域在来の植物等の活用による緑化の推進に努めること」についての付帯決議があり、在来植物活用による緑化の推進は今や国の方針となっているのです。
 埼玉県においても、自然環境と調和した県土づくりを推進するため、2015年3月に生物多様性保全県戦略の第1弾として丘陵編を策定しました。
 この戦略の内容は、一般県民、企業・団体、地方公共団体などの多くの人々が生物多様性保全の取組に参加し、その活動の輪を広げることにより、保全を図ろうとするものです。生物多様性保全県戦略では、天然林や里山の保全や希少種の保護、外来種対策まで様々な保全のための取組を提案していますが、家庭をはじめ、公共施設、学校、事業所で行われている「緑化」についても、在来植物を用いて進めていくことが重要と考えています。

(2) 在来種を使用した緑化を推進するために
緑化木というと、その地域で見られない珍しいものを植えた方がよいという考え方や、見栄えがよい、病虫害に強く管理しやすいなどの理由で、これまで長い間外来種や移入種が多く植えられてきました。
 外来種又は移入種による緑化には、生態系に様々な問題を引き起こす可能性がありますので、使えるところには出来るだけ在来植物を使うようにしていただきたいと考えております。
 そのためには、様々な立場の方々が、「在来種を使用した緑化」の必要性を理解し、出来るところから取り組んでいただくことが重要です。
 今後、国や地方公共団体ばかりではなく、県内の事業体や一般家庭においても、在来種による緑化を積極的に取組んでいただくよう期待いたします。

  外来種又は移入種による緑化が生態系に引き起こす問題
    (ア) 緑化木の根に昆虫などの幼虫がついて移動し、本来の生息地ではない地域に生息するようになっている例があり、本来の自然の姿を攪乱することがある。
    (イ) 外来種や移入種による緑地では、在来の昆虫が生活できなかったり、逆に天敵がいないことなどから外来昆虫が蔓延する危険性もある。
    (ウ) 在来種であっても、他地域で生産されたものでは、遺伝的形質が異なる場合が多い。(ブナの例では、日本海側と太平洋側における積雪量の差による春季葉が開く時期の水分条件が異なることから、葉の大きさ等の遺伝的形質も異なるとされている。)
    (エ) 植栽した場所だけではなく、種子が鳥や風に運ばれて自然界に定着し、今まで生育していた種を駆逐したり、交雑による遺伝的特性を変えてしまうことなどにより、固有な生態系を変質させてしまうおそれのある種類(侵入的外来種)も多い。

(3) 生物多様性の保全に配慮した緑化木選定基準の作成
 在来種を使用した緑化を推進するといっても、「何が在来種かわからない」、「何をどのような所に植えるのが適当かわからない」ということもあり、在来植物の使用はなかなか進んでいません。
 今回作成した基準では、実際緑化に使用されている樹木はどのようなものがあるか、埼玉県の在来樹木はどのような種類があるか、在来樹木の種類ごとの植栽に適する環境等について明らかにしています。
 地域固有の生物に対する悪影響を防止しようとする「生物多様性の保全」の見地から、どのような種を選ぶことが適当かを判断する基準として作成しました。[下線引用者]

(4) 今後の課題
 今後、在来種の緑化を推進していくためには、県緑化関係部局のそれぞれの事業分野で環境条件や必要な緑化木の性質等が異なるため、この基準を参考にしながら、各担当部局の事業特性を反映した「緑化指針」を作成してい
ただくことが望ましいと考えます。

2 緑化木の種類
 実際緑化に使用されている主な樹木を選び、それぞれの種を、在来種、移入種、外来種・園芸種に区分し明らかにしました。
(1) 在来種
 埼玉県内で自生している種とする。ほとんど緑化や植林に使われていない種も含む
 希少種や分布が極めて限定される種は、なるべく除外した。
(2) 移入種
 国内に自生するが埼玉県内では自生していない種、中には森林内に定着しつつある種を含む。
(3) 外来種
 国内に自生していない種とする。すでに、自然生態系内に定着している種も数多く、外来種といっても、モウソウチク、マダケ、ハチク、セイヨウハコヤナギ(ポプラ)、シダレヤナギなど、人里や都市景観の重要な構成要素になっている種類も少なくない。
(4) 園芸種
 品種改良が行われている種であり、原種が外来種・移入種・在来種であるかは問わない。
(5) 侵入的外来種
 植栽した場所だけではなく、種子が鳥や風に運ばれて自然界に定着し、今まで生育していた種を駆逐したり、近縁の在来種との交雑により地域の個体群の遺伝的特性を変えてしまうことなどにより、固有な生態系を変質させてしまうおそれのある種類をいう。
 外国から入ってきた植物だけではなく、移入種で上記のような問題を引き起こす恐れのある植物を含む。
 侵入的外来種に該当する種は「侵入的外来種」と表示した。[1~3頁]
※『駐車場緑化ガイド~広げよう緑の駐車場~』(東京都環境局自然環境部計画課)
  駐車場緑化ガイド(東京都)_3

埼玉県地球温暖化対策の検討に関する専門委員会資料② 10月17日

『埼玉県地球温暖化対策実行計画(第2期)策定に当り2019年3月20日に開催された地球温暖化対策の検討に関する専門委員会配布資料です。

「平成30年度 第3回埼玉県地球温暖化対策の検討に関する専門委員会」配付資料
  (埼玉県環境部温暖化対策課、2019年3月20日)
はじめに
1 削減目標について
 削減目標の基本的考え方(第2回委員会までの整理)
 削減効果をBAUから積み上げる方法(第2回委員会提示)
 他の都道府県の目標設定の方法
 経済成長率の設定
 削減措置による削減量の算定①
 削減措置による削減量の算定②
 削減措置による削減量の算定③
 各部門における削減措置① 産業部門
 削減対策を推進するための県の施策① 産業部門
 各部門における削減措置② 業務部門
 削減対策を推進するための県の施策② 業務部門
 各部門における削減措置③ 家庭部門
 削減対策を推進するための県の施策③ 家庭部門
 各部門における削減措置④ 運輸部門
 削減対策を推進するための県の施策④  運輸部門
 各部門における削減措置⑤ 廃棄物部門 工業プロセス部門
 各部門における削減措置⑥ その他の温室効果ガス
 削減対策を推進するための県の施策⑤ 廃棄物部門 その他ガス
 部門別の温室効果ガス排出量削減見込み
第3回資料20190320_1第3回資料20190320_2
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2 次期計画について
 現行計画の構成
 現行計画の重点施策
 現行計画の施策構成(7つのナビゲーション)
 次期計画の基本的考え方
 次期計画検討事項①(目指すべき将来像・重点施策)
 次期計画検討事項①(目指すべき将来像・重点施策)
 次期計画検討事項②(施策指標)
 次期計画検討事項③(適応策) 1 適応策とは
 次期計画検討事項③(適応策) 2 気候変動適応法
 次期計画検討事項③(適応策) 3 地域気候変動適応計画
第3回資料20190320_3第3回資料20190320_4

第3回資料20190320_5第3回資料20190320_6

第3回資料20190320_7第3回資料20190320_8

第3回資料20190320_9第3回資料20190320_10
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県政サポーターアンケート調査結果
 質問1 あなたは、地球温暖化に対してどの程度関心を持っていますか。
 質問2 地球温暖化防止のための取組は、手間がかかったり、ある程度の我慢をしなくてはならない面もありますが、多くの方々が取り組むことでより大きな効果をもたらします。このことについて、あなたはどのように考えますか。
 質問3 温暖化対策として、あなたが現在、家庭で取り組んでいることは何ですか。(あてはまるものすべてを選択)
 質問4 本県では、家庭で手軽にできて効果の高い省エネルギー対策として、LED照明(LEDシーリングライトや電球形LEDランプなど)の普及を推進しています。現在、あなたの家庭の照明は、以下のどれに近いですか。
 質問5 家庭からの二酸化炭素排出量は、県全体の約1/4と大きな割合を占めています。また、家電製品の多様化や世帯数の増加等により、排出量は近年大きく増加しています。今後、家庭からの二酸化炭素排出量を削減するために、どのような取組が必要だとあなたは考えますか。(3つまで選択)
 質問6 自動車の利用によって排出される二酸化炭素は、県全体の約1/4と大きな割合を占めています。また、その排出量は、県内の自動車台数の増加などにより削減が進んでいない状況にあります。今後、自動車からの二酸化炭素排出量を削減するために、どのような取組が必要だとあなたは考えますか。(3つまで選択)
 質問7 今後、温暖化を抑えるために本県が実施する対策として、どのような取組を重点的に進めていくべきであるとあなたは考えますか。(5つまで選択)
 質問8 地球温暖化は、猛暑日・熱帯夜や大雨の頻度の増加など、気象及び気候の極端な現象の発生頻度を増加させることが科学的に証明されつつあります。このような温暖化の影響により、本県でも異常高温によるコメの品質不良や熱中症救急搬送者数の増加などの被害が発生しています。温暖化の影響について、あなたはどのようなことに関心がありますか。(あてはまるものすべてを選択)
 質問9 今年の6月に「気候変動適応法」が成立し、各自治体においては地域に応じた適応策への取組が求められています。「適応策」として、本県ではどのような分野を重点的に進めていくべきであるとあなたは考えますか。(3つまで選択)

埼玉県地球温暖化対策の検討に関する専門委員会資料① 10月17日

『埼玉県地球温暖化対策実行計画(第2期)策定に当り、2017年11月30日、2018年7月18日、11月14日、2019年3月20日、9月4日、11月13日に地球温暖化対策の検討に関する専門委員会が開催されています。

「平成30年度 第2回埼玉県地球温暖化対策の検討に関する専門委員会」配付資料
  (埼玉県環境部温暖化対策課、2018年11月14日)
はじめに
1 基準年度の検討
 計画の概要
 方向性の検討に際して(前回の課題)
 基準年度について
2 削減目標案の検討
 方向性の検討に際して
 削減目標の設定方法
  案1 削減効果を目標年度BAU排出量から積み上げる方法(スライド12~35)
 削減目標の設定方法
  案2 より長期の目標からバックキャストで設定する方法(スライド36~37)
第2回資料20181114_1
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2 削減目標案の検討
案1「削減効果を目標年度BAU排出量から積み上げる方法」による試算
 Step1:BAU排出量を推計
  現状趨勢(BAU:BusinessAsUsual)とは
  BAUの算定(1) エネルギー起源CO2排出量のモデル
  BAUの算定(2) エネルギー起源CO2排出量
  BAUの算定(3) 人口シナリオ
  BAUの算定(4) 経済成長シナリオ(1)
  BAUの算定(5) 経済成長シナリオ(2)
  BAUの算定(6) 自動車保有台数シナリオ
  BAUの算定(7) 鉄道輸送需要シナリオ(旅客)
  BAUの算定(8) 鉄道輸送需要シナリオ(貨物)
  想定する2030年度のすがた
  2030年度エネルギー起源CO2の推計結果
  BAUの算定(非エネ起+その他)
  2030年度非エネルギー起源CO2及びその他ガスの推計結果
  BAUの積算結果
 Step2:対策・施策を設定し、削減効果を積上げ
  2030年度削減措置に見込む対策について
  2030年度削減措置に見込む対策① 産業部門
  2030年度削減措置に見込む対策② 業務部門
  2030年度削減措置に見込む対策③ 家庭部門
  2030年度削減措置に見込む対策④ 運輸部門
  2030年度削減措置に見込む対策⑤ エネルギー起源CO2以外のガス
  供給側対策の見込み(電力排出係数)
  供給側対策の見込み(電源構成と電力排出係数)
案1による試算の結果
第2回資料20181114_2第2回資料20181114_3第2回資料20181114_4

第2回資料20181114_5第2回資料20181114_6第2回資料20181114_7

第2回資料20181114_8第2回資料20181114_9第2回資料20181114_10

第2回資料20181114_11第2回資料20181114_12第2回資料20181114_13
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案2「より長期の目標からバックキャストで設定する方法」による試算
 バックキャストで毎年度一定量の削減(線形)を想定
第2回資料20181114_14第2回資料20181114_15
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2 削減目標案の検討
 国のマニュアルに基づく試算結果
 削減目標の検討の目安
 削減目標を達成するためには(削減量)
 削減目標を達成するためには(対策)
 現在の国の温室効果ガス排出量の状況
 (参考)計画の目標年度を2030年度とした都道府県の状況
第2回資料20181114_16第2回資料20181114_17第2回資料20181114_18

第2回資料20181114_19第2回資料20181114_20第2回資料20181114_21






埼玉県地球温暖化対策実行計画(第2期) 10月17日

埼玉県では、計画期間を 2020(令和2)年度から 2030(令和 12)年度までの 11 年間とする『埼玉県地球温暖化対策実行計画(第2期)を策定しています。
実行計画第2期概要版_1実行計画第2期概要版_2

実行計画第2期概要版_3実行計画第2期概要版_4


実行計画第2期_4実行計画第2期_5実行計画第2期_6

実行計画第2期_7実行計画第2期_8実行計画第2期_9

実行計画第2期_10実行計画第2期_11実行計画第2期_12

実行計画第2期_13実行計画第2期_14実行計画第2期_15

実行計画第2期_16実行計画第2期_17実行計画第2期_18
『埼玉県地球温暖化対策実行計画(第2期)』策定に当り、今後追加的な対策を見込まないまま推移した場合の2030年の温室効果ガス排出量(現状趨勢[BAU:Business As Usual])を推計し、その上で、各部門で対策を行った場合の 2030 年度時点の削減見込量を算出し、2030 年度 BAUから差し引くことにより、県全体の総量目標(2030 年度に 2013 年度比 26%)を設定しています。

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