段丘崖にはケヤキの大木が多数あります。


市民の森保全クラブ Think Holistically, Conduct Eco-friendly Actions Locally
岩殿漫喫クラブは、岩殿丘陵の耕作放棄された谷津田を「岩殿市民田んぼ」として再生、市民に農業体験、里山体験、憩いの場として提供・活用することにより、生きものゆたかな里山環境と景観を回復・維持し、次世代へ継承することを目指して2014年4月に結成された市民ボランティア団体です。
活動エリアは、岩殿入山・青木ノ入・児沢・毛塚地区の30筆の耕作放棄地と隣接する雑種地・山林で、面積は2ヘクタールを越え、耕作地(田んぼや畑)や果樹園(ブルーベリー園)として利用し、湿地や草地として保全管理しています。
今年度の岩殿入山谷津の事業は、
① 岩殿G地区、岩殿I地区上段のヤナギ林の伐採をします。② 「岩殿丘陵入山谷津の植物調査」の継続。岩殿F地区でベルトトランセクト法による植生調査実施。日当たりや土壌の湿り具合などの環境条件が植物の分布とどのように対応しているかなど考えます。③ 殿山協同農場のみなさんと稲作を実施します。④ 九十九川の源流域にある岩殿丘陵入山谷津の里山再生は森を守り、田んぼを育む活動です。市民の森保全クラブと連携して活動し、イベントを共催します。
【事業名】岩殿丘陵生きものゆたかな谷津田・景観回復プロジェクト |
【事業の詳細】(実施日程等を含む) ① 「岩殿丘陵入山谷津の植物調査目録」作成のための補足調査を3月18日、4月15日、5月13日、6月7日、7月1日、8月22日、9月20日、10月24日、11月19日、12月23日、2月18日、3月16日に実調査員延べ41名で実施。 ② 岩殿A・B地区の田んぼ5枚で大東大国際関係学部須田ゼミ学生、殿山協同農場の皆さんと稲作実施。 ③ 市民の森保全クラブとの共催イベント(落ち葉掃き&焼き芋、キノコの駒打ち体験)は台風19号被災復興、新型コロナウィルス対策で開催中止となる。 ④ 4月に刈り残していた笹藪を10月刈り取り、岩殿満喫クラブ管理農地と周辺の雑種地~学びの道一帯のアズマネザサの大藪は完全に消滅。 ⑤ 2月~3月、岩殿I地区の下段のヤナギ林伐採。 |
【事業による効果】 ① 2012年の市民の森保全クラブ有志による耕作放棄地再生活動開始。14年谷津の耕作放棄地再生を目指して岩殿満喫クラブを結成。結成以来の課題であった耕作放棄地からアズマネザサ、オギなど高茎雑草の大藪の除去は今年度達成することができた。管理をしている耕作放棄地だけでなく周辺の雑種地~学びの道、入山沼堰堤、市民の森との境界部分の刈払い作業も実施したことにより、入山谷津周辺の里山景観の回復、向上は著しいものがある。 ② 耕作放棄地再生活動と並行して、2016年4月以来取り組んできた植物調査は今年度の補足調査により更に精度を高め、岩殿A地区~I地区、青木ノ入地区の全10地区での地区別調査としてまとめることができた。生きもの豊かな里山景観を回復、保全していくための活動において今後随時参照されるべき2010年代後半の地区別フロラ目録の草稿がひとまず準備できたといえる。 |
【今後の課題】 ① 未だ樹林化が進んでいる岩殿G地区、岩殿I地区上段のヤナギ林伐採。 ② 岩殿F地区を横断する形でラインベルト法による植生調査を実施。日当たりや土壌の湿り具合などの環境条件が植物の分布とどのように対応しているかなど考察する。 |
① 年度後半に参加、協力、共催を予定していたすべてのイベントが台風19号被災復興、コロナウィルス感染予防対策により中止となったが、落ち葉掃き12月15日、22日)、キノコの駒打ち(1月26日)は会員で実施した。
② コナラ林(旧エリア、1ヘクタール)では例年どおり、枯損木伐採、刈払機主体の林床管理(南向き斜面、北向き斜面)、10月中旬からはコナラ林更新のためにチェンソーによる伐倒を実施した。
③ 新エリア(1ヘクタール)の内、南向きの緩斜面と無名沼イ号~作業道付近では昨年度刈り取ったアズマネザサと落ち葉を斜面下に掃き下して片付け、刈払機で裾刈りを実施した(4月・5月・6月・7月)。
④ 新エリアの尾根部分(園路から南側20m幅のゾーン)のアカマツ林では、4月・8月・9月に鎌と刈払機で林床整理実施。
⑤ 尾根の園路付近(新・旧エリア)では業者が緊急処理した台風19号による掛かり木や倒木の幹・太枝などをチェンソー、ノコギリで再処理して片付け、スツール材やホダ木など資材として使えるものを選定した(3月)。
⑥作業エリア林床に残っている小枝(粗朶[ソダ])はチッパーで細断し、木チップとして利用した(6月)。① 市民の森保全クラブは結成以来、環境基本計画市民プロジェクトに、「市民の森保全事業」(2012・13・14年度)、「市民の森保全事業&森の魅力発見プロジェクト」(2015年度)、「市民の森のコナラ林若がえりプロジェクト」(2016・17・18年度)、今年度は「市民の森のコナラ林&アカマツ林育成プロジェクト」を登録して事業を展開してきた。最初の3年間は、「みどりの埼玉づくり県民提案事業」県補助金(50万円×3年)を使って刈払機・チェンソー・チルホール・滑車・ハシゴなど森林整備作業に必要な道具を揃えた時期である。会員個人がそれぞれ手持ちのノコギリ・手鎌など持ち寄っただけでは放置されたコナラの大径木林には手がだせなかっただろう。
② 活動を始めて驚いたことの一つが「市民の森」が市民に認知されていないということだった。こども動物自然公園までは来ても市民の森まで足を運んだことはない。そこではじめたのが「市民の森の魅力発見」プロジェクト。「落ち葉掃き」(現在「落ち葉掃き&焼き芋」、「キノコの駒打ち体験」)などイベントの開催につながる。
③ コナラ大径木の伐倒を通じてわかってきたこと。この森は萌芽更新では再生できない。樹齢50年のコナラは伐っても萌芽しない。ドングリから苗を育てていかなければならない(2016年度からの「市民の森のコナラ林若がえりプロジェクト」)。
④ 枯損木除伐・大径木伐採、林床のアズマネザサ刈りを続けて林内が見通せるようになってきた。見えて来たものは林床の草本類、ヤマツツジなど小低木だけではない。市民の森のマツ林(アカマツ・テーダマツ)をどうするのかという問題。かつて台地の平地林や丘陵の尾根にあったアカマツ林は松食い虫の被害と土地利用の変化によりほぼ消滅し、市内で美しいマツ林があるのはゴルフ場。市民の森では松食い虫の被害を受けて防除施策が実施されてきたが樹勢を回復するまでにはいたっていない(やがて消滅へ?)。そこで、今年度から「尾根みち」(園路)のアカマツ林を作業エリアに追加して再生に取り組むことにした(「市民の森のコナラ林&アカマツ林育成プロジェクト」)。50~60年代?に植林されたテーダマツは巨木となり、倒木は谷間に放置されている。テーダマツ林をどうするのかは次の課題。
⑤ 8種類に分類される森林の多面的機能の内、「土壌保全機能」は生物多様性保全機能と並ぶ根源的機能である。落ち葉掃き、斜面下部・林縁の裾刈は、林床の植物再生・保全の試みであるが、表面土壌を喪失しないようにしなければならない。裸地化して表層土壌層が失われないよう、急斜面には「土留め工」を実施するなど土壌流出対策を実施していきたい。
⑥台風19号被災。各所で倒木、落枝、ボッシュ林と石坂の森見晴らしの丘下の斜面では表層崩壊(土砂崩れ)がおきていた。市民の森のリル(深さ30㎝程度までの表面流)、ガリ侵食(深い溝)についてはかねてより注視してきたが、入山沼の集水域の谷間(谷みち)にも最近目につくようになってきている。岩殿満喫クラブが管理する入山沼の奥にある無名沼イ号、太平洋セメントの所有する「セメント林」(仮称)に接している市民の森の谷底では人の背丈ほどの深さの穴があいている箇所があり洗掘がすすんでいる。市民の森は九十九川の水源林である。土砂災害に備えた「自然災害に強い森づくり」も心がけたい。
市民の森保全クラブは、2012年に結成された市民ボランティア団体です。市民の森(32ヘクタール)内の作業エリア1ヘクタールで保全作業を実施して、生きもの豊かな里山づくり、里山と暮らす知恵、里山文化、良好な自然環境を次世代に継承することを目的にして活動しています。
作業エリアは樹齢40~50年のコナラ、アカマツ、ヤマザクラの高木からなる里山林で、近年は樹勢の衰えが目だっています。市民の森保全クラブでは、斜面部にあるコナラは皆伐、市により松枯れ対策が行われている尾根部にあるアカマツは枯損木を伐採、散在するヤマザクラは原則残す方針で保全作業をすすめてきました。
一般に里山のコナラ二次林の更新方法として、①伐採木からの萌芽更新、②林床に落ちたドングリの成長、③苗の植栽の3つがあげられています。伐採してそのまま放置していたのではコナラ林を再生することは不可能なので、伐採後の更新補助作業(育林)が必要になります。
「市民の森のコナラ林若がえりプロジェクト」は、コナラ林の伐採と育林を行う事業です。伐採だけでなく、切株から伸びてきた萌芽枝の保護、落ち葉掃き・林床管理による実生の保護、更新が不良な場合の苗の補植などを含みます。
今年度は、①年間作業サイクルとなっている枯損木の除伐、林床のササ刈り、伐採作業を継続、②植物調査・モニタリングによりこれまでの作業成果の確認、③かんきょう未来フェアに出展(松ボックリを利用したクラフト作り)、④「落ち葉掃き・堆肥場作り&焼き芋体験」イベントを実施(ホームセンターなどで輸入された腐葉土が販売されていますが、もったいないことです。この地域では落ち葉堆肥で有機農業が可能です)、⑤伐採後、林内に積まれている残材をチップ化して活用、⑥伐採木を加工してベンチやテーブル作り、⑦玉切りしてキノコのホダ木をつくり、「シイタケの駒打ち体験」イベントを実施します。イベントは岩殿満喫クラブと共催し、広く参加者を募ります。
岩殿漫喫クラブは、岩殿丘陵の耕作放棄された谷津田を「岩殿市民田んぼ」として再生、市民に農業体験、里山体験、憩いの場として提供・活用することにより、生きものゆたかな里山環境と景観を回復・維持し、次世代へ継承することを目指して2014年4月に結成された市民ボランティア団体です。現在、岩殿入山・児沢地区の耕作放棄地150アールを再生・管理し、その半分で耕作をしています。
2017年度の事業は、
①岩殿入山地区で植物調査を継続し、再生した耕作放棄地とその周辺の植物リストを作成します。
②農ある暮らしを楽しみたい、農作業をしてみたい市民や学生に農地や農産物を提供することを続けながら、土作りや農法について研鑽、試行し、再生した農地を的確に維持・管理できる力量を高めます。
③九十九川の源流域にある岩殿丘陵入山地区の里山再生は森を守り、田んぼを育む活動です。市民の森保全クラブとの連携を深め、「落ち葉掃き・堆肥場作り&焼き芋体験」、「シイタケの駒打ち体験」を共催し、かんきょう未来フェアには共同で出展します。
④入山谷津の最深部(岩殿C地区)に活動の拠点として、雨天でも作業ができる作業小屋や農具・農産物収納庫をつくります。D.I.Y( Do it Yourself)の基本を学んで、里山を楽しむ道具やモノづくりを楽しむ講座を企画します。