岩殿満喫クラブ 岩殿 Day by Day

市民の森保全クラブ Think Holistically, Conduct Eco-friendly Actions Locally

植物調査

岩殿入山谷津の植物調査 第24回 9月29日

二宮さん、加倉井さん、小野さんと木谷さん、木庭さん、細川さんで入山谷津の植物観察・調査をしました。
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岩殿グループ写真館(2022.08.26) ②

8月26日の植物調査から二宮さん撮影の写真とコメントです。①はこちら

キョウチクトウアブラムシ
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エゴノネコアシアブラムシ
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ニッポンマイマイ 
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加倉井さん、伊藤様、ありがとうございます。

ヒダリマキマイマイ オオカマキリ
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ハラビロカマキリ
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オオシロカネグモ
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イオウイロハシリグモ
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アズチグモ
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ナガコガネグモ
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オオフトメイガ幼虫
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カノコガの交尾 ツバメシジミ
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キスジホソマダラ
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タイワンヒゲナガアブラムシ
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エビイロカメムシ
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タテスジグンバイウンカ
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カシナガトラップに落ちたカシノナガキクイムシ
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岩殿グループ写真館(2022.08.26) ①

8月26日の植物調査から二宮さん撮影の写真とコメントです。②はこちら

コバノカモメヅル
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ミゾカクシ ヤノネグサ
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ヒヨドリジョウゴ
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スズメウリ センニンソウ
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ネコハギ イヌホタルイ
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イヌザンショウ ミゾソバ
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キンエノコロ タマガヤツリ
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ノアズキ
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クヌギエダイガフシ
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クヌギハケタマフシ
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ホコリタケ
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ドクツルタケ
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岩殿入山谷津の植物調査 第23回 8月26日

二宮さん、小野さんで入山谷津の植物調査を実施しました。
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二宮さんが撮影した写真は「岩殿グループ写真館(2022.08.26)」をご覧ください。


岩殿入山谷津の植物調査 7月22日

二宮さん、小野さんと橋本さんが参加して入山谷津の植物調査をしました。
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学びの道に接する林でもナラ枯れがおきています。
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1月15日の記事のタヌキのため糞からイチョウの実生が出ていました。
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※「多摩のタヌキも仕事きっちり! イチョウの種運び環境保全に一役」(『東京新聞 TOKYO Web 』2021年2月5日記事)


岩殿グループ写真館(2022.07.22)②

7月22日の植物調査から二宮さん撮影の写真とコメントです。はこちら。

ヤブキリ
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ヒシバッタ
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ショウリョウバッタ
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ササキリ
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ダイミョウセセリ
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ツバメシジミ
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セイヨウミツバチ
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サメハダツブノミハムシ
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土砂災害
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岩殿グループ写真館(2022.07.22)①

7月22日の植物調査から二宮さん撮影の写真とコメントです。②はこちら

ヤマユリ
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イヌザンンショウ
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サンショウ
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コケオトギリ
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オオバギボウシ
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ミズヒキ
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ヤブデマリ
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ボントクタデの根
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ミゾカクシ(アゼムシロ)
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ヌマトラノオ
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イヌホタルイ
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ヤブツルアズキ
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タイヌビエ
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神代植物公園植物多様性センター 7月6日

東京都調布市深大寺北町にある神代植物公園植物多様性センターに行き、学習園の武蔵野ゾーンと情報館を見学しました。
6

帰化植物がくぐり抜けてきた試練
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帰化植物の問題点
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地域個体群を守ろう!
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武蔵野ってどんなところ?
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植物から「繊維」を取りだそう!というパネルがあって、ヒメコウゾから取り出した繊維でつくった「太布」(たふ)も展示されていました。
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ヒメコウゾは青木ノ入の果樹園に4本あります。


岩殿グループ写真館(2022.06.21)②

6月21日の植物調査から二宮さん撮影の写真とコメントです。①はこちら

キアゲハの初齢幼虫
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ウスイロトラカミキリ
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イチモンジカメノコハムシ
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シマサシガメ

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ドクガ幼虫
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キマダラセセリ
9910

ノコギリカメムシ
9919

キンモンガ
9916

マダラホソアシナガバエ
9915

ヒメギス
9912

岩殿グループ写真館(2022.06,21)①

6月21日の植物調査から二宮さん撮影の写真とコメントです。②はこちら

コバノカモメヅル
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コボタンヅル
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ヒメドコロ
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ヤナギイノコズチ
9696

ネコハギ
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セイタカアワダチソウ
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ヤノネグサ、コウガイゼキショウ、ドクダミ
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ドクダミ、ヌマトラノオ
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アキノウナギツカミ
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ニワトコ
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クヌギハマルタマフシ
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岩殿グループ写真館(2022.05.23) ②

岩殿グループ写真館(2022.05.23)①こちら
フタホシオオノミハムシ
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ルリタテハの幼虫
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キタテハ
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シラボシカミキリ
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ヤマジノホトトギス
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岩殿グループ写真館(2022.05.23) ①

5月23日の植物調査から二宮さんの写真とコメント。
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トウゴクシソバタツナミ
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ゲンゲ
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シロアヤメ
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ヒバカリ
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岩殿入山谷津の植物調査 第20回 5月23日

二宮さん、小野さんで入山谷津の植物調査をしました。今回も、岩殿C地区の奥のセメント林、入山沼下のI地区と市民の森作業道の間の法面の今後の保全の方向性について有益な提案をいただきました。ありがとうございます。
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無名沼イ号でヒバカリがニホンアカガエルのオタマジャクシを食べていました。
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岩殿F地区のラインベルト調査区(坂田さん作成)
 22年春4月谷津田の春_02
 22年春4月谷津田の春_03

岩殿グループ写真館(2022.04.09) ②

ヤブキリ
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コハナバチ
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ビロードツリアブ
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イチモンジカメノコハムシ
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岩殿グループ写真館(2022.04.09) ①

4月9日の植物調査時に二宮さん撮影の写真とコメント。前回3月30日,前々回12月9日
入山谷津の春
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ヤマザクラ
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ミツバツツジ
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ゲンゲ
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ウリカエデ
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ミヤマウグイスカグラ・ウグイスカグラ
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セトガヤ・スズメノテッポウ
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ツボスミレ
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ニオイタチツボスミレ
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岩殿入山谷津の植物調査 第19回 4月9日

二宮さん、坂田さん、小野さん、渡部さんで入山谷津の植物調査をしました。
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岩殿グループ写真館(2022.03.30)

本日の植物調査から、二宮さん撮影の写真とコメント
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岩殿入山谷津の植物調査 第18回 3月30日

二宮さんが入山谷津の植物調査をしました(→岩殿グループ写真館)。
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サクラを眺めると花の色が異なっています。
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足元にはクサボケやレンゲが咲いていました。
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谷津に白菜や大根を持ちこんで食べている生きものがいます。
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岩殿グループ写真館(2021.11.29) ②

岩殿丘陵入山谷津の植物調査をしている皆さんでLINEに岩殿グループを作っています。今回の写真も二宮さん撮影です。
ウリカエデ
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成木は葉が不分裂。実生など若木は3裂するものが多い。
見分けは葉が対生。翼果。幹、枝に緑色の筋が入る。よく似るモミジイチゴは互生、棘がある。
ウリカエデは丘陵、ウリハダカエデは丘陵にもあるが、県民の森など少し高い山地に多い。

コアジサイ
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カマツカ、ウグイスカグラ
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ヤマコウバシ、マルバウツギ
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ツクツクボウシの抜け殻
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岩殿グループ写真館記事2021年12月2日

岩殿グループ写真館(2021.11.29) ①

岩殿丘陵入山谷津の植物調査をしている皆さんでLINEに岩殿グループを作っています。その中で二宮さんが11月29日に撮影した写真を掲載します。
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記事のカテゴリーを「岩殿グループ」にして掲載を続けたいので、二宮さん投稿よろしくお願いします。

岩殿入山谷津の植生調査 第17回 11月29日

二宮さん、坂田さんで岩殿F地区の植物調査枠と入山谷津の植生調査をしました。
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ウリカエデ(ムクロジ科)の黄葉と分裂
岩殿C地区に接するボッシュ林北向き斜面。コアジサイ(アジサイ科)も混じって黄葉真っ盛りです。
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葉縁は若い木では3~5浅裂するが、成葉では分裂しないものが多い。

ノダケ(セリ科)の果実
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岩殿F地区のトラノオ(サクラソウ科)
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オカトラノオとヌマトラノオの雑種?

岩殿入山谷津の植生調査 第16回 10月29日

二宮さん、坂田さんと岩殿F地区の調査枠と入山谷津の植物調査をしました。調査枠一帯は昨年末(12月25日26日28日29日30日1月2日)に草刈りをし、その後、調査枠内は草刈りをしていません。イノシシなど夜間に調査枠を通っている生きものはいますが、人が枠内に入ったのは市民の森伐採残材整理のためにA2区、B2区を横断した時(8月20日のチッパー作業など)と植物調査の時(2月24日3月14日4月24日5月17日5月30日6月20日9月28日)だけです。人やイノシシが通れば、「踏み分け道」や「けもの道」ができてその痕跡が枠内に残ります。調査枠の外側は草刈りをしているので、調査枠のラインを境にして草刈りの有無での植物の違いがあることが、紅葉・枯草の季節となって実感できるようになりました。
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タデ科のアキノウナギツカミ(左)とヤノネグサ(右)の基部の比較
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アキノウナギツカミのは茎を抱くようにつく。
ヤノネグサは基部が切形または浅い心形。

草刈り後に再生して花がつけているベニバナボロギク(キク科)(枠外)
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草刈りを免れたダンドボロギク(キク科)(枠外)
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キッコウハグマ(キク科)(市民の森谷の道)
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岩殿入山谷津の植生調査 第15回 9月28日

二宮さん、小野さんと植物調査をしました。除草機が入らないので刈り残した耕作放棄地の畦の法面のコセンダングサや、オギの間のセイタカアワダチソウなど背丈以上に伸びていました。
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植物に限らず、ひろく生きもの観察をしました。
キバナアキギリ
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キクモキカシグサ
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アオオサムシセスジツユムシヒメスズメバチ
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アナグマの糞
 

岩殿入山谷津の植生調査 第14回 6月20日

二宮さん、坂田さんで岩殿F地区の植物調査枠と入山谷津の植物調査を実施しました。
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枠内の高低・乾湿条件と植物(2021年5月30日現在)
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左:A・B1~5(作業道側)
右:A・B6~10(ボッシュ林側)
坂田さん作成の資料です。ありがとうございます。

ヤマトシリアゲ(シリアゲムシ科)
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3種のトラノオ(サクラソウ科)
入山谷津にはヌマトラノオ、オカトラノオ、イヌヌマトラノオが自生しています。
調査枠内では大半がヌマトラノオ、作業道下がオカトラノオです。
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※岩殿G地区のコブシに実(集合果)がついていました。
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岩殿入山谷津の植生調査 第13回 5月30日

二宮さん、坂田さん、小野さんで岩殿F地区の植物調査枠と入山谷津の植物調査をしました。
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休憩時に話題になっていた「群集」と「群落」。『改訂版ビオトープ管理士資格試験 公式テキスト』22頁(日本生態系協会、2016年)では、「群集と群落:動物も植物も、個体が集まると個体群のレベルになる。個体群が集まると動物は動物群、植物は群落となる。単に「群集」という場合は、一般に、動物と植物を合わせた生物群集を指す。植物は動物に比べ移動が難しいため、その地域の気候や地質の特性に影響を受け、固有の群落を形成する。それを餌やすみかとする動物は、その影響を受けて特色ある動物群集となる場合が多い。」(22頁)。「植物調査:植物は生態系の基礎であり、環境把握のためには欠かせない調査項目です。目的によって様々な手法がありますが、一般的には、何が生育しているかを調べる植物調査(フロラ調査)と、植物群落の組成を記載するための植生調査(植物群落組成調査)などがあります。」(176頁)。同書4.1 ビオトープ計画のために (166~178頁)のまとめとして、「ビオトープを計画するには、その地域の生物相や自然環境に関する知識、特に代表的な生物についての基本的な知見(種名、生態)が必要となる。生物調査には、目的に応じた様々な種類と手法がある。調査結果(生物種リストなど)を理解するには、調査手法を理解している必要がある。種種の生物の生息状況だけでなく、生物環境の全体像を理解する。そのためにはGISなどが有効である。」(178頁)とあります。
古典的な書物に、沼田真編『図説 植物生態学』(朝倉書店、1969年)、沼田真編『植物生態 野外観察の方法』(築地書館、1962年、1966年改訂再版、増補改訂第3版)があります。これまでの岩殿入山谷津の植物調査(フロラ調査)で植物種のリストはほぼできていると思っていますが、現在すすめている植物調査枠の群落調査において座右の書として活用していきたいと考えています。

   沼田真編『植物生態 野外観察の方法』目次
    はしがき
    改訂再版にさいして
    第1部 野外観察の方法
    野外観察のねらい
    1 校庭内外の雑草の生活
    2 田畑の雑草
    3 帰化植物の生活
    4 日本の草原
    5 森や林のつくり
    6 竹林のつくり
    7 山を調べる
    8 水辺の植物の生活
    9 湿原を調べる
    10 河原の植物
    11 海岸の植物
    12 磯の潮だまり(タイドプール)
    13 植物季節を調べる
    14 環境の調べ方
    15 生活型を調べる
    第2部 指導計画と生態教材
    1 中学校の生態教材
    2 高校の生態教材
    3 観察のための学校園
    4 生物クラブの活動とその方法
    あとがき
    索引


岩殿入山谷津の植生調査 第12回 5月17日

二宮さん、加倉井さん、小野さんで入山谷津、入山沼下の植物調査をしました。F地区の作業道寄りの調査枠はセイタカアワダチソウ、カナムグラの下にアシボソがビッシリです。スギナの輝き(排水作用による水滴)。スギナは枝先にある水気孔から、根に水分が多い時や湿度が高い時に、体内の水分を排出します。
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草が伸びるのが速いので、草刈りや片付けを急がなければいけないところが何カ所もあります。
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無名沼イ号はまた水がなくなっています。毎年、何回か繰り返し、生きものには住みにくい場所になってきました。
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アオダイショウ

コチャバネセセリダイミョウセセリ
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ハスオビエダシャク幼虫?
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ハスオビエダシャク(シャクガ科)(『みんなで作る日本産蛾類図鑑』記事)

ヒメシロモンドクガ幼虫?orモンシロドクガ幼虫?
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ユウマダラエダシャク
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ユウマダラエダシャク(シャクガ科エダシャク亜科)(『福光村昆虫記』記事)

ルリタテハ幼虫
サルトリイバラの葉裏についていました。
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岩殿入山谷津の植生調査 第11回 4月24日

二宮さん、坂田さん、小野さんで岩殿F地区の方形20枠の植物調査をしました。

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グリーンベルト植物調査枠
岩殿F地区の谷津底を横断する10m×50mのグリーンベルトを20区画(5m×5mの方形枠、A1~10、B1~10)に分け、2020年6月から区画毎に植生を調査しています。
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(2021年4月27日撮影)

市民の森とその周辺でもキンラン、ギンラン、ササバギンランが開花してきました。ササバギンランは昨年5月17日の調査でリストに追加しました。2014年5月8日の記事でWikipediaから引用しています。今回『キンラン』の項目を閲覧してみると、編集されて書き換えられている部分がありました。再度引用しておきます。
人工栽培に関して

キンランの人工栽培はきわめて難しいことが知られているが、その理由の一つにキンランの菌根への依存性の高さが挙げられる。

園芸植物として供させるラン科植物の、菌根菌(ラン科に限ってはラン菌英語版という言葉も習慣的に用いられる)はいわゆるリゾクトニア英語版と総称される、落ち葉や倒木などを栄養源にして独立生活している腐生菌である例が多い。 ところがキンランが養分を依存している菌は腐生菌ではなく、樹木の根に外菌根を形成するイボタケ科、ベニタケ科(担子菌門)などの菌種である[2][3]。外菌根菌の多くは腐生能力を欠き、炭素源を共生相手の樹木から得、一方で樹木へは土中のミネラル等を供給し共生している。キンランはその共生系に入り込み、養分を収奪し生育している。

ラン科植物は多かれ少なかれ菌類から炭素源(糖分など)や窒素源(アミノ酸など)を含め、さまざまな栄養分を菌根菌に依存している[4]。菌への依存度はランの種類によって異なり、成株になれば菌に頼らなくても生きていける種類(独立栄養性種=栽培できる有葉ラン)から、生涯を通じてほとんどすべての栄養分を菌に依存する種類(菌従属栄養性種=一般に‘腐生ラン’と総称される)までさまざまな段階がある。本種の菌依存度は独立栄養植物と菌従属栄養植物の中間(混合栄養性植物)で、坂本らの調査[5]によれば本種は炭素源の34~43%、窒素源の約49%を菌から供給されており、同属のギンランでは炭素源の48~59%、窒素源の90%以上と、さらに高い依存度を示している。

このような性質から、キンラン属は菌類との共生関係が乱された場合、ただちに枯死することは無いが長期的に生育することは困難になる。そのため、自生地からキンランのみを掘って移植しても5年程度で枯死してしまう。外生菌根菌と菌根共生するラン科植物は多くあり、キンランと同様に里山に生育するオオバノトンボソウ(ノヤマトンボソウ)も同様の性質を持つ[6]

理論上は菌根性樹木・菌根菌・キンランの三者共生系を構築すれば栽培が可能である。実際Yagame and Yamato(2013)[7] は、キンランからイボタケ科の菌根菌を分離培養後、外生菌根性の樹種であるコナラの根に分離株を接種し菌根を形成させ、そこへ無菌培養条件下で種子発芽から苗まで育てたキンランを寄せ植えし、30ヶ月育成させることに成功している。この実験では、植え付けたキンランの多くの苗が地上部を形成せず、根のみを伸長させ生育する様子が観察されている。この現象から、キンランが高い菌従属栄養性を有することがわかる。しかし、このキンラン・菌根菌(イボタケ科)・樹木(コナラ)の3者共生系の構築は①菌根菌の分離・培養、②菌根菌の樹木への接種、③安定した共生系の維持(ほかの菌根菌のコンタミネーションの防止)といった技術上解決しなければならない問題点が多く、一般家庭で行うことは困難である。自然環境中に外菌根菌は6000種程度存在し[8]、キンランが生育する環境下にも多様な外生菌根菌が共存していると考えられる。その中でキンランに養分を供給する菌種は限られているため、単純にキンランと樹木を寄せ植えにしても、その樹木にキンランと共生関係を成立させうる外菌根菌が共生していなければ、キンランを生育させることはできない。

※「里山のランラン[前編]キンラン・ギンラン」(『サカタのタネ園芸通信』連載の小杉波留夫さん『東アジア植物記』の2017年4月18日記事)

 


長谷川啓一・上野裕介・大城温・井上隆司・瀧本真理・光谷友樹・遊川知久「キンラン属 3 種の生育環境と果実食害率:保全に向けての課題(『保全生態学研究』22巻2号、2017年)

要旨:キンラン属は、我が国の里山地域を代表する植物種群であり、菌根菌との共生関係を持つ部分的菌従属栄養植物である。全国的に、里山林の荒廃や樹林の減少に伴って生育地が減少しつつある。本研究では、キンラン、ギンラン、ササバギンランの 3 種を対象に、(1)樹林管理の有無とキンラン属の分布にどのような関係があるか、(2)キンラン属が生育するためにどのような環境整備が必要か、(3)ハモグリバエ類の食害はどの程度生じているのか、を明らかにし、今後、キンラン属の保全のためにどのような方策が必要かを検討した。……

キンラン属の生育地保全のための樹林管理手法
 本研究の結果、3 種とも樹林管理を行っている区域に生育地が集中し、同所的に出現していた一方で、種ごとの生育環境にはほとんど違いが見られなかった(図 3)。このことは、保全上、2 つの重要な示唆を含んでいる。第 1 に、キンラン属の生育地の保全には、樹林管理がきわめて重要であること、第 2 に、管理手法を種ごとに検討することは必須ではなく、共通の対策で 3 種の共存が可能なことである。……

 一方、本研究では、5 月の開花期の環境条件を基に検討を行っているが、下草刈りの時期や実施内容については、キンラン属植物の年間の生活史を踏まえて検討する必要がある。通常の樹林管理では、草本が繁茂する初夏~秋に雑草の繁茂抑制を目的とした下草刈りが行われるが(例えば、川崎市(2010))、この時期はキンラン属の果実の成長・成熟期にあたり、草刈りにより多くの株が消失してしまう危険性が高い。また、初夏~秋は翌年の開花期に向けて個体に栄養を蓄える時期であり、十分な光を受けて光合成を行える環境が重要と考えられる。そのためキンラン属の生育エリアでは、キンラン属のフェノロジーにあわせ、4 ~ 5 月の花期に生育位置を確認し、初夏~秋には光環境の種間競争を手助けするための生育箇所周辺の部分的な草刈等が必要である。その上で、種子散布後の 1 ~ 2 月に全面的な樹林管理を行い、生育エリア全体としてアズマネザサの繁茂抑制を行う等、持続的に明るい林床環境を維持するための対応が必要であろう。……


キンラン属3種の環境ごとの生育株数の違いと樹林管理
 生育株数を目的変数とした GLMM の結果から、本調査地のように成立年代や地質、気候、植生的によく似た樹林であっても、微環境の違いによって生育株数が異なることがわかった。すなわち、キンランとギンランは樹冠が開け、草本被度の小さい、明るい林床環境ほど株数が多くなる傾向があったのに対し、ササバギンランは植生や光環境に対する増減傾向は検出されなかった(表2)。他方、ギンランとササバギンランは、土壌硬度が高いほど(山中式土壌硬度計の目盛りで 15 mm 以上)、株数が減少する傾向が確認されたのに対し、キンランは土壌硬度よりもリター厚が厚くなるほど株数が少なくなる傾向が確認された(表 1)。これらのことから、キンラン属 3 種の生育株数を増加させるためには、光条件やリター厚、高木層や草本類との相互作用(例:光や空間をめぐる競争)がキンラン属の生育に適した状態に近づくように、枝打ちや下草刈り、落ち葉かき等の樹林の人為的管理が重要であることが示唆された。その際、踏みつけなどによって土壌硬度が高まらないよう配慮が必要である。
 生育地点近くの樹種についても、キンランとギンランでは違いが見られた。キンランは、落葉・常緑問わずにブナ科樹木の近くで生育株数が多く、ギンランは、アカマツまたはクヌギやコナラ等の落葉性のブナ科樹木の近くほど生育株数が多いことがわかった(表 2)。この理由として、樹種ごとの共生する菌種の違いが考えられる。土壌中の菌根菌の把握は、播種試験法(辻田・遊川 2008)を用いることで局所的な菌根菌の種や分布を把握可能であるが、広域的に把握する手法はない。他方、分子生物学的手法の急速な発展により、これら土壌中の菌とキンラン属との関係性も明らかにされつつある(例:Sakamoto et al. 2016)。さらに近年、土壌中の菌類の調査技術が急速に発達しており(谷口 2011)、これまでブラックボックスであった土壌中の菌根菌と外生菌根性の樹木、キンラン属の 3 者の相互関係の解明が期待されている。将来的には、それらの成果を活用することで、地上部の樹種の違いだけでなく、菌根菌の分布も考慮した保全手法の開発につながるだろう。

3種間での袋がけの効果とハモグリバエ類の影響の違い(略)

【コラム】スマート農業 研究第一人者に聞く「スマート農業最前線」SMART AGRI
農業とITの未来メディア

  ●「菌根菌」とタッグを組む新しい農法とは? 〜理化学研究所 市橋泰範氏 前編
    日本の農業に貢献するための微生物研究施設
    植物と微生物の関係性がやっと見え始めた

  ●「アーバスキュラー菌根菌」とは何者か?〜理化学研究所 市橋泰範氏 中編

    無機成分の土壌診断だけでは通用しなくなっている
    リン酸を植物に“供給”してくれる菌根菌という存在
    日本は貴重なリン肥料を無駄に使いすぎている

  ●「フィールドアグリオミクス」により微生物と共生する農業へ 〜理化学研究所 市橋泰範氏 後編
    土壌、植物、微生物を解析する「フィールドアグリオミクス」とは
    世界の土壌は病んでいる。では、日本は?
    微生物と共生する、21世紀型の緑の革命を



岩殿入山谷津の植生調査 第10回 3月14日

通勤時間帯の車内・駅構内の混雑を避けて、二宮さん、坂田さん、加倉井さんで日曜日に植生調査を実施しました。
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昨日13日の鳩山アメダスの日積算降水量は66.0 ㎜で、入山沼下の土水路には水がとうとうと流れ、谷津の耕作放棄地は各所で浅く広く湛水していました。
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岩殿I地区
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岩殿F・G地区
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無名沼イ号にも水が溜まったので、岩殿B地区の上の池のニホンアガガエルの卵塊を元の場所に戻しました。
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『日本経済新聞』(2021年3月6日)に船橋玲二「アカガエルの産卵 多様な命 復活支える」が掲載されていました。
 3月になると小さな草の芽が出てきて日ごとに春を感じる機会が増えてくる。関東地方では2月の半ば頃から田んぼや水路でカエルたちがすでに動き始めている。暑さの苦手なアカガエルの仲間が卵を産みに水辺に集まってくるのだ。
 条件が良ければ1枚の田んぼに数百個もの卵塊が見られる。一つの卵塊は1千個以上の卵が集まっているから、数十万~数百万もの命が生まれたことになる。地域によって産卵の時期は少しずつ違い、九州では年末から、東北地方では3月から5月に行われる。
 産卵は陽の光を受けて水温が上がりやすい水深の浅い場所が選ばれる。産み落とされた場所が浅すぎると明け方の冷え込みで凍ってしまうし、深すぎれば水温が低くて成長が進まない。
 私が湿地を歩いて卵塊を見つけた時の水深記録は、約2千例の平均で7センチメートルであった。この深さは冬も田に水を張る「ふゆみずたんぼ」を行うとちょうど実現できる。アカガエルは10メートル四方ほどの庭先でも、池や草むらがあれば卵を毎年産み、世代を繰り返せる。早春の田んぼに水があれば無数の卵であふれるはずだ。
 かつて、排水が思うようにできない湿田が全国各地に存在していたので、アカガエルはどこでもごく普通の種だった。それが近代化によって冬に乾かせる田んぼが増えると、どんどん姿を消していった。
 埼玉県のさいたま市から川口市にまたがる見沼田んぼは、洪水対策で緑地空間こそ残されたものの乾燥化が進む。かつてほぼすべてが水田だった約1千ヘクタールの中で卵が確認できる場所は数ヶ所しか残っていない。多くの生きものを育む湿地環境が、私たちの身近な空間からどんどん消えていることがわかる。……

岩殿入山谷津の植生調査 第9回 2月24日

新型コロナウィルスの感染拡大に伴い発令された2回目の緊急事態宣言が継続する中、岩殿F地区の植物調査枠(5m×5m)のポールを再設定して調査再開です。12月に調査枠内の草刈りをして枠外に移動して焼却したので、一見何も生えていないように見えますが、カナムグラ、ケキツネノボタン、ミゾソバなどすでに出芽しています。
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冬芽や虫えい(虫こぶ)の観察からアカシデ、イヌシデを判別する方法などど二宮さんから教わりました。
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※「アカシデの虫えいの虫探し」(廣野郁夫さんの『木のメモ帳』から)

植物調査区の草刈り終わる 1月2日

植物調査区の草刈りが終わりました。
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ヤナギが生えている辺りは正午になっても日が当たりません。
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草刈り機の刃が当たるとシャリシャリと音がします。

植物調査区の草刈り 12月30日

岩殿の耕作放棄地の9名の地主さんにこの1年間のお礼と活動報告をして、3時頃から植物調査区の枯草を刈り取りました。今日からボッシュ林側(岩殿1382)です。ヤナギが2本生えているところまでしました。
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帰宅途上、青木ノ入で月が東の空に昇っていくのを眺めました。満月です。
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撮影時刻は午後5時。今日の東松山市の日の出は午前6時52分、日の入りは午後4時38分。
日の出時刻は毎日まだ遅くなっていますが日長時間はのびています。

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夕方から北西の風が吹き始め、鳩山アメダスでは午後9時に11.7m/sの風速を記録しています。気象用語では平均風速10m/s以上15m/s未満を(強風の一段階下の)「やや強い風」とよぶそうです。気象庁が採用している世界気象機関(World Meteorological Organization、WMO)の13段階のビューフォート風力階級表では風力6の雄風[ゆうふう](風速10.8〜13.8m/s)。陸上では大枝が動く・電線が鳴る・傘はさしにくいとされています。

植物調査区の草刈り 12月29日

昨日、積み上げていた刈り草を焼いたばかりですが、今日も草刈りをしてまた小山ができました。
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岩殿F地区④を刈りました。アシボソがこんなに生えていたのかなと思いながら片づけました。

植物調査区の刈り草を焼却 12月28日

岩殿F地区の植物調査区の刈り草を区外に集めて2箇所で燃しました。
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夕方、暗くなるまで三本さんが火の始末を手伝ってくれました。ありがとうございました。

植物調査区の草刈り 12月26日

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入山谷津には河川堆積物とみられる礫が多数あります。礫を拾ってピザ釜の側に追加しました。
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岩殿F地区で初めてみつけたオオムラサキの越冬幼虫
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市民の森四阿付近のアカマツ
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入山沼に向かう学びの道(九十九川の橋付近)から撮影しました。
市民の森尾根道の四阿(あずまや)近くのアカマツです。
尾根に生えているので、コナラ林の上に梢が出ています。
ここには7本ですが、尾根道をさらにすすむと市民の森保全クラブのアカマツ林保全エリアがあります。

植物調査区の草刈り  12月25日

岩殿F地区の植物調査区の草刈りを作業道側から始めました。
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新井さんが規格外れのまきと枝を持って来てくれました。
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リンゴもいただきました。ありがとうございます。

岩殿入山谷津の植生調査 第8回 11月10日

寒さを感じる季節になりました。二宮さん、坂田さん、小野さんで実施しました。
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レポート「スギナの生き方連想」(坂田智代さん作成)
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畑の雑草図鑑〜スギナ編〜【畑は小さな大自然vol.30】(『マイナビ農業』2020年2月4日)
     生命力が高く、栄養豊富な雑草
     スギナの祖先は電柱サイズだった!?
     スギナはどんな場所で増える?
     スギナが生える土地の地力レベルは?
     スギナはどう対策する?
     スギナの役割とそれを肩代わりする方法
     スギナの特徴をうまく活かそう

スギナの研究 つくしの生える条件(『自然科学観察コンクール』HP)
  自然科学観察コンクール第56回中学校の部入賞・杉江実咲さんの作品
   (2016年1月、文部科学大臣賞表彰)

中谷敬子「スギナの繁殖特性と環境応答に関する基礎的研究(『雑草研究』60巻4号、2015年)
スギナは世界的に広く分布するトクサ科の多年生雑草で、国内でも、畑地、樹園地、牧草地、畦畔、路傍、造成地など農耕地、非農耕地を問わず、古くから広範な地域で発生が認められ、重要な防除管理対象雑草とされてきた)。1980年代以降、畑作における不耕起栽培の普及、農耕地および緑地管理の省力化にともない、本種の防除の困難さが強調されるようになったが、笠原(1951)以降、農耕地における発生や雑草害の実態は不明なままであった。また、スギナは胞子、根茎、塊茎の3種類の繁殖器官を持つこと、また、増殖力が強大であることが知られているが、その発生生態、増殖機構等についてはまだ不明な点が多く残っているのが現状である。本研究は、本草種の効果的また合理的な防除・管理技術の開発に資するために、農耕地における発生や雑草害の実態を明らかにするとともに、繁殖に関与する生理生態的特性、特に環境応答に関する特性の解明を行ったものである。
   1.発生および防除に関する実態調査
   2.繁殖器官の定着・増殖特性と環境応答
    (1)胞子からの発芽定着
    (2)地下部栄養繁殖器官からの増殖
    (3)繁殖器官形成に及ぼす除草剤処理効果
   3.畦畔植生群落をモデルとした繁殖特性と環境応答
   4.繁殖器官形成制御要因

(『雑草研究』41巻3号、1996年)
要約 スギナの防除技術を確立するために、繁殖の主体と考えられる地下部繁殖器官の形成あるいは死滅に及ぼす環境要因の影響を検討した。第1にスギナの各器官の成長に及ぼす日長の影響について検討した。8時間日長よりも16時間日長条件下で、根茎伸長、塊茎形成数および各器官の乾物重は顕著に増加した。第2に各器官の発育に及ぼす土壌水分の影響を検討した。その結果、萌芽前から湛水状態にすると塊茎は休眠状態となり萌芽しないが、萌芽後生育途中で湛水状態とした場合には塊茎形成のみが抑制され、地上部生育、根茎伸長は抑制されなかった。また、萌芽後生育途中で冠水状態(地上部が水面下にある状態)とすると地上部生育、根茎伸長、塊茎形成とも抑制された。第3に不良な環境条件に対する耐性について塊茎および根茎で比較した結果、高温および乾燥に対する耐性は塊茎よりも根茎が優れた。
総合考察 近年、農耕地への分布拡大が指摘されているスギナは、一度圃場に侵入すると防除が非常に困難な雑草である。スギナは地下部に強大な栄養繁殖器官を形成するが、効率的な防除法を確立するためにはその増殖機構の解明とともに器官の死滅に関与する環境条件を明らかにする必要がある。本研究において、スギナは長日条件で各器官の生育が優れること、萌芽前から湛水状態にすると塊茎は休眠状態となり萌芽しないが、萌芽後生育途中で湛水状態とした場合には塊茎形成のみが抑制され、地上部生育、根茎伸長は抑制されないこと、高温および乾燥等の不良な環境条件に対する耐性は塊茎よりも根茎が優れること等が明らかになった。先述したように、長日条件によるスギナの地下部の生育促進が日長反応性のみに因るのではなく、光合成器官である地上部の生育量と連動している可能性から、地上部の生育を抑制し、地下部繁殖器官の増殖を防ぐような防除技術を策定する必要も考えられる。また、転換畑等にスギナが繁茂してしまったような場合、湛水状態にすることによって防除する方法も考えられる。しかし、本実験の結果から、スギナはかなり高い湛水耐性を持っていることが示され、中途半端な湛水処理はかえって根茎伸長を助長すると思われる。また、かなり早期の萌芽前の湛水処理によって新たな増殖を抑制することは可能でも、根絶することは困難と思われる。なお、田畑輪換においては、3~4か月以上の長期間の湛水が行われるが、こうした条件におけるスギナの繁殖器官の生存については今後さらに検討が必要である。著者らは以前、スギナの根茎と塊茎では、新根茎の伸長力が異なり、塊茎から発生した根茎の方が根茎の節から発生した根茎よりも伸長力が優っていることを明らかにしている18)。土中の分布域拡大を担う根茎が高温や乾燥などの不良環境に対して強い耐性を示すのに対し、不良環境に対し耐性の弱い塊茎は、根茎より分離すると根茎から発生するものよりも速い速度で新たに根茎を伸長させ、さらに分布域を拡大するという生態的特性を持っているといえる。この両器官の巧みな連携によりスギナの繁殖戦略は強化されていると考えられる。環境に対する反応性は一つの植物種であっても、その前歴により異なる可能性があり、種内における変異性が大きく現れる部分でもある。今回の試験は一地域のみで採取した材料のみを用いて行ったものであり、具体的に防除方法等を考える際には、採取地の異なる材料等を用いて、さらに、自然条件下における環境変化に対する耐性を検討する必要があり、今後の課題であると考えられる。
中谷敬子・野口勝可・草薙得一「スギナの乾物生産特性および地下部繁殖器官の温度反応性(『雑草研究』41巻3号、1996年)

中谷敬子・野口勝可・草薙得一「スギナ胞子の発芽および前葉体の形成条件(『雑草研究』41巻3号、1996年)

中谷恵子「スギナの繁殖特性と防除(『農業技術』45巻10号、1990年)
   1.はじめに
   2.スギナの発生と防除の実態
   3.スギナの生態的特性
    (1)胞子からの増殖
    (2)地下茎繁殖器官からの増殖
   4.防除のポイント

伊藤操子『多年生雑草対策ハンドブック 叩くべき本体は地下にある(農山漁村文化協会、2020年9月)
やっかいな雑草の本体は地下にあり。多年草の特性と効果的な対策(草刈り、耕起、除草剤、防草シート、地被植物など)を平易に解説。草種ごとに地下部の貴重な写真とイラストを満載し、生態と管理法を具体的に示す
まえがき
Ⅰ.生活圏の雑草状況―悪化する植生
 1.深刻化する雑草問題
 2.対策が必要な場面は多種多様
 3.主な対象雑草は多年生
 4.近年やっかいな雑草が増え続けている原因
  1)直接的要因―雑草地の増加、草刈りなど
  2)間接的要因―温暖化、CO2濃度上昇など
Ⅱ.多年生雑草とは―やっかいな特性
 1.生活サイクルと繁殖戦略
 2.基本構造とタイプ―拡張型と単立型
 3.地下拡張型の特徴
  1)地下部の基本構造
  2)地下器官系の大きさと土中分布
 4.再生のしくみ
 5.栄養繁殖・拡散のしくみ
Ⅲ.雑草管理の基本とは―踏むべき手順
 1.目的の設定―何が問題か
 2.関係要因に関する情報収集
  1)雑草の種類と発生状況
  2)利害関係者
  3)使用できる労力・コスト
  4)管理による環境負荷
 3.プログラムを作成し計画的に
Ⅳ.管理手段その1―機械的手法
 1.刈取り・刈払い
  1)刈取りは何のために行うのか
  2)刈取り回数・時期に関する事例
  3)生長の季節消長からみた刈取り時期
  4)イネ科中心の植生への移行と刈取り
 2.耕起
 3.手取り除草
Ⅴ.管理手段その2―化学的手法
 1.除草剤の利用
  1)多年生雑草の制御に必要な特性
  2)施用法
  3)長期的視野の必要性―処理後の種類の変化
 2.抑草剤の利用
Ⅵ.管理手段その3―地表を被覆する手法
 1.防草シート
 2.植物発生材
 3.地被植物
  1)センチピードグラス
  2)ダイコンドラ
  3)ほふく性タイム
Ⅶ.多年生強害草に対処するには
 1.対処の手順―標的雑草の特定・排除から
 2.各種の特性を知れば対処法がわかる
Ⅷ.主要38種の生態と管理法
■根茎で拡がる:イタドリ、オオイタドリ、セイタカアワダチソウ、フキ、アキタブキ、ヨモギ、ドクダミ、カラムシ、ヒルガオ、コヒルガオ、ハマスゲ、シバムギ、セイバンモロコシ、チガヤ、アズマネザサ、ネザサ、ヨシ、ススキ、スギナ、イヌスギナ、ワラビ
■クリーピングルートで拡がる:ヒメスイバ、ヤブガラシ、ガガイモ、セイヨウヒルガオ、ハルジオン、セイヨウトゲアザミ、ワルナスビ
■ほふく茎で拡がる:クズ、シロツメクサ、ヘクソカズラ
■短縮茎をもつ:エゾノギシギシ、スイバ、ヘラオオバコ
『田舎の本屋さん』書誌詳解情報から)


岩殿入山谷津の植生調査第7回 10月21日

天気に恵まれ、二宮さん、小野さんで実施しました。
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今日も岩殿C地区の掲示板でクモやミノムシの観察をしました。

ジョロウグモ(♀・♂)(岩殿D地区で撮影)
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写真の♂は脚を2本失って6本になっています。

※クモの一生 短命派のジョロウグモはあわただしい1年を送る
  石川県教育センター『石川の自然第24集生物編(11)』(2000年3月)
    身近なクモの不思議と魅力_1
      (『金沢・新おもてなし考』2007年10月31日記事)

シゼコン(自然科学観察コンクール)入賞作品(2013年、14年)
 岐阜県関市立武芸小学校

オオミノガの終齢幼虫(2018年1月24日児沢ブルーベリー園記事)

岩殿谷津の秋は赤が主役 10月20日

10月12日の植物調査のトピックス。12日17日に続く第3弾。二宮さんありがとうございます。

岩殿谷津の秋は赤が主役
岩殿谷津の秋の色_1
タコノアシ、クサキビ、チカラシバ
ヤブレベニガサ、ヤノネグサ、トキリマメ


ミゾソバ・アキノウナギツカミ・ヤノネグサ タデ科の花3種の見分け方
タデ科の花 3種の見分け方_1
アキノウナギツカミ、ヤノネグサ、ミゾソバ(牛の額)

岩殿丘陵入山谷津の生きもの 10月17日

10月12日の植物調査時に撮影した入山谷津の生きものについて、二宮さんがトピックス4本、NPO法人エコ.エコの加倉井さんがブログに90点の写真を掲載して下さいました。ありがとうございます。リンクから是否ご覧下さい。

岩殿の谷津の秋の景 林床を彩るキノコたち
キノコたちが彩る秋の風景_1

岩殿・谷津の秋  訪花昆虫の風景
訪花する昆虫たち_1
コガネグモ・ジョロウグモが巣を張る谷津の秋
コガネグモ・ジョロウグモが巣を張る谷津の秋_1

クヌギにつく虫こぶ
クヌギにつく虫こぶ_1

※YouTube登録チャンネル『NPO法人エコ.エコ kaerunomaru』から「昆虫博士になろう」シリーズ
   

   

   

   

岩殿入山谷津の植生調査第6回 10月12日

久しぶりに小野さん、加倉井さんが参加して、4名で実施しました。
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無名沼イ号下ではイノシシが餌を求めて、土を掘り返していました。
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強い風が吹かず、岩殿A・B地区の稲架は無事でした。
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児沢の田んぼも無事でしたが、毛塚一反田で稲架棒の折れがありました。

二宮さん作成の今日のトピックス。ありがとうございます。
休耕田の水たまりは湿性植物の箱庭
休耕田の植物_1
アゼトウガラシ、キカシグサ、ミズマツバ
イヌホタルイ、アゼトウガラシ、スズメノトウガラシ
ハシカグサ、コナギ、ハリイ


掲示板を巧みに利用する生きもの
掲示板の生きもの_1
シロガネイソウロウグモ、ネグロミノガ、コガネグモ
 
掲示板の生きもの_2
コガネグモ、ジョロウグモ
ツノマタタケ

コガネグモの団居[まどい]
 コガネグモの団居_1
シロガネイソウロウグモ、ネグロイノガ、コガネグモ

岩殿入山谷津の植生調査第5回 9月13日

二宮さん、坂田さんで岩殿F地区の調査枠(A列・B列①~⑩、各5m×5mのコドラート)の植生調査。
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トイレ休憩後、児沢[ちござわ]の田んぼに寄ってミズオオバコの観察もしました。
早速、二宮さんが今日のレポートを作成して送って下さいました。1600×1200のjpegに変換しています。サムネイルを拡大してご覧下さい。

「初秋の岩殿・谷津田」、「岩殿谷津の植物」
入山谷津の植物2_1入山谷津の植物1_1

「岩殿谷津湿地の植物 キカシグサ」、「ミズオオバコ生える児沢の田んぼ」
キカシグサ 1_1ミズオオバコ_1

「スギナの排出作用 トクサのなかまのもっている特徴」、「コガネグモ」
スギナの排出作用_1コガネグモ 卵のう_1

植物調査枠東縁の草刈り 9月11日

明日は1日雨で作業ができそうもないので、日曜日の植物調査に向けて植物調査枠(10m×50m)の東縁を刈り、ついでに奥のボッシュ林側のミゾソバを刈りました。ヤブミョウガの手前です。
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岩殿入山谷津の植生調査第4回 8月9日

今年度は岩殿F地区を横断して5m×5mの正方形の枠を20個設置して谷津の野草群落の調査をします。今日も猛暑の中、二宮さん、坂田さんが各枠(A1~A10、B1~B10)の植生調査をしました。
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クヌギの樹液に群がる甲虫たち
樹液に群がる甲虫クヌギの樹液に群がる甲虫たち_1
  (二宮さん撮影、作成)

岩殿入山谷津の植生調査第3回 7月20日

二宮さんと植物調査枠を50m、30mの巻き尺を使って再設定しました。市民の森作業道とボッシュ林の間の谷津に10m×50mの長方形をつくり、それを5m×5mの正方形で区切りました。
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猛暑の中、お疲れさまでした。
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鳩山アメダスの記録
           日最高気温   最低気温   日積算降水量   日照時間 
  7月20日        33.8                21.2              7.5                  7.4



梅雨の晴れ間に柳絮舞う岩殿・谷津田の風景 6月28日

昨日の植物調査のレポートです。二宮さん作成。
梅雨の晴れ間に柳絮舞う谷津田の風景_1

岩殿入山谷津の植生調査第2回 6月27日

今回は、岩殿F地区のベルト内の5m×5mの仮区画毎に植物調査をしました。
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区画用には赤白ポール、トンネル栽培用のダンポール、園芸用イボ支柱、紐を張るのに使えそうなフック付きの防獣杭など市販のものと現場で調達できる篠竹棒を当面は試用していきます。


岩殿入山谷津の植生調査第1回 6月20日

岩殿入山谷津の植物調査。二宮さん、坂田さんで、市民の森、作業道、岩殿F地区、ボッシュ林と入山谷津を横断して幅10mの帯状区(70m×10m)を設定する作業をしました。
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次回は6月27日を予定しています。

初夏の岩殿ドローン映像 5月24日

NPO法人エコ・エコさんのYouTubeチャンネルkaerunomaruに岩殿の動画ファイルがUPされました。5月17日に加倉井隆一さんがドローンで撮影した映像を編集したものです。ありがとうございました。落葉している市民の森も見たいです。よろしくお願いします。




入山沼概要:貯水量3000㎥、筆面積3324㎡、天端幅3.6m、堤体積1300㎥、堤高4.3m





夏のドローン画像(Segawa Junichiroさんが2018年8月12日撮影)


   

岩殿入山谷津植物確認調査 5月17日

二宮さんが12日の植物調査の確認調査をし、ササバギンランをリストに追加しました(「キンラン、ギンラン」の同定)。また、加倉井さんが3名で参加しました。隆一さんはドローンで深緑の市民の森や入山谷津を撮影、憲一さんは岩殿入山谷津の土壌(土壌表面から60㎝以内に礫層または岩盤が現れる礫質普通低地水田土←農研機構『日本土壌インベントリー』の「土壌図」参照)について解説、範子さんは撮影した写真を記事にして『NPO法人エコエコ』のサイトにUPしてくださいました。「彩遊クラブ」の「岩殿」カテゴリーに掲載されています。これまでの岩殿の記事はこちら、今回はこちらです。皆さま、ありがとうございました。
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調査終了後、鳩山町の石坂の森に移動して散策道を歩きました。
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※NPO法人里山環境プロジェクト・はとやまのNewsLetter『里の環通信』№52(2020年4月から)
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キンラン、ギンラン 5月12日

ラン科キンラン属のギンランの同定について千葉県、神奈川県等の植物誌の記述です。

『千葉県の自然誌 別編4 千葉県植物誌』(千葉県、2003年)914頁
[ラン科]8.キンラン属 Cephalanthera L.C.Rich. 1818
 地生植物で、一部に半腐生の草本もある。短縮した根茎から肉質の根を出す。茎は直立して分岐せず、下部には鞘状葉があり、普通葉とともに互生、質は薄く、扇状にたたまれてしわがある。総状可除花序は頂生、花は平開せず、萼片は離生。花弁はこれより短い。唇弁は直立し3裂。基部は袋状、あるいは短い距となる。花粉塊は2個。ヨーロッパから東アジアにかけて約16種、日本には3種。
 A.花は黄色----------------------------------------------(1)キンラン
 A.花は白色
  B.花序の下に長い托葉がある。--------------------------(2)ササバギンラン
  B.このような托葉はない------------------------------------------------------------(3)ギンラン

(1)キンラン Cephalanthera falcata (Thunb.) Blume
 夏緑性、丘陵林下に生える、やや発達した根茎とひげ根をはる。茎は単立して40~50㎝あり、無毛、6~7葉を互生。葉は立てじわがあり、長楕円形、先はとがり、基部は茎をだく。5月頃茎頂に短い総状花序をつくり、3~10個ぐらいの半開の花をつける。苞は短い。花は長さ1.3㎝、花被は全体黄色く、唇弁ナインひだのみ赤く彩る。また、短い距をもち、横から見て三角に花外へ突き出る。蒴果は長さ2㎝の楕円体。シロバナキンラン form.albescens S.Kobayashi が佐倉市、四街道市、千葉市から報告がある(千資料№16)。これはときに幼い株に現れる現象とも言う。分布:本州、四国、九州;朝鮮、中国。●側向・黄花:虫媒:風散:互生・単葉・全縁・夏緑:中多年草(G)。定着度24。県評価:一般保護。国RD:絶滅危惧Ⅱ類(VU)
(2)ササバギンラン Cephalanthera longibracteata Blume
 林床に生える夏緑の多年草。短い根茎から春30~40㎝の1茎を立てる。基に数枚の鞘状葉があり、その上に5、6枚の広披針形の通常葉を螺旋状に配列する。5~6月茎頂に総状花序をつくり10花前後をつける。花序の下には特に長い苞葉があり、ときに花序の長さを超える。花は唇弁上のひだの黄褐色を除いて白く、半開で上を向いて開く傾向がある。長さ12㎜位。蒴果はごく短い柄を持ち、直立する。分布:北海道、本州、四国、九州;朝鮮、中国(東北部)。●側向・白花:虫媒+自媒:風散:互生・単葉・全縁・夏緑・中多年草(G)。定着度:25。県評価:要保護
(3)ギンラン Cephalanthera erecta (Thunb.) Blume
 林下、草地に生える夏緑の小草。ときに肥大する根がまざるのは菌根組織のためか。20㎝程の単立する茎の上部に3~4葉を互生するが、花の時期には十分に広がっていない。5~6月、頂きに7個前後の総状花序をつくる。花は半開で白く、唇弁に短い距があり、花外に突出する。県内では北部、西部からの報告が多い。分布:本州、四国、九州;朝鮮。ブナ群綱●側向・白花:虫媒+自媒:風散:互生・単葉・全縁・夏緑:低多年草(G)。定着度:25。県評価:要保護


『神奈川県植物誌2001』(神奈川県立生命の星・地球博物館、2001年)
500頁
[ラン科]13.キンラン属 Cephalanthera Rich.
 地上生。根茎は太く長い。茎は直立し、花は披針形~長楕円形、脈は顕著で数枚が互生する。花は総状につき白色または黄色。平開しない。苞は小さく開花時に脱落する。萼片は離生し、側花弁はやや小形。唇弁はずい柱の基部につき、3裂し、側裂片はずい柱を包み、中裂片は大きく幅広い。唇弁基部は短い距となる。花粉塊は4個。東アジア~ヨーロッパ、北アメリカにかけて約15種が知られ、日本には4種が分布し、いずれも県内に自生する。
 A.花は黄色。萼片は長さ15㎜以上、唇弁には5~7本の隆起線がある  ----------------------------------------------(1)キンラン
 A.花は白色。萼片は長さ12㎜以下、唇弁には3~5本の隆起線がある
  B.葉は線状披針形~狭長楕円形で長さ7~15㎝、葉の裏面や縁には白色の微毛がある--------------------------(2)ササバギンラン
  B.葉は長楕円形で長さ2~8㎝、稀に鱗片状に退化、微毛がなく平滑
   C.葉身の基部は平坦でなく、距は明かで側萼片の間から斜め後方に突き出る
    D.葉は数枚つき長さ3㎝以上--------------------------(3a)ギンラン
    D.葉は上部に1~2枚または鞘状葉で長さ3㎝以下--------(3b)ユウシュンラン
   C.葉身の基部は平坦となる。距は短くわずかに側萼片の間から出る    ----------------------------------------------(4)クゲヌマラン

(1)キンラン Cephalanthera falcata (Thunb.) Blume
 夏緑性。根は先が肥厚しない。茎は高さ20~70㎝。葉は長楕円状披針形で5~8枚が互生し、無毛で茎を抱く。花期は4~5月。花は3~12個を茎頂に上向きにつけ半開性。苞は3角形で小さい。萼片は卵状楕円形、側花弁は萼片よりやや短く同形。唇弁は3裂し、基部は距となり側萼片の間から少し突き出る。側裂片は3角形、中裂片は円心形である。蒴果は長楕円形。本州、四国、九州:朝鮮、中国に分布する。山地や丘陵の疎林内や林縁に生える。県内ではシイ・カシ帯~クリ帯に広く分布する。特に手入れの行き届いた雑木林内や林縁を好んで生えるが少ない。白花品はシロバナキンラン form. albescens S.Kobay. in:15(1966)といい、藤沢市六合発見され、記載された。標本:シロバナキンラン 藤沢市六合 1966.5.16 小林純子 MAK.
(2)ササバギンラン Cephalanthera longibracteata Blume
 夏緑性。根は先が肥厚しない。茎は高さ20~50㎝。葉は5~8枚が互生し、茎を抱く。花期は5~6月。花はまばらに数個を茎頂に上向きにつけ半開性。苞は線形。萼片は披針形。側花弁は卵状披針形。唇弁は3裂し、基部は短い距となって側萼片の間からやや突き出す。蒴果は長楕円形。北海道、本州、四国、九州;千島列島、朝鮮、中国(東北部)に分布する。丘陵やときに山地の疎林内に生える。県内ではシイ・カシ帯~ブナ帯に点在するが少ない。
(3a)ギンラン Cephalanthera erecta (Thunb.) Blume var.erecta
 夏緑性。根は先が一部肥厚する。茎は高さ10~30㎝。葉は3~6枚が互生し、無毛で基部は茎をわずかに抱く。花期は5~6月。花は茎頂に上向きに3~10個つき半開性。苞は3角形。萼片は披針形で先は尖り、側花弁はやや短く先は丸い。唇弁は先端が3裂し基部には距があり、キンランの距より長く側萼片の間から突き出す。蒴果は長楕円形。北海道、本州、四国、九州;朝鮮、中国に分布する。山地や丘陵の疎林内、林縁に生える。県内ではシイ・カシ帯~ブナ帯に広く点在するが少ない。
(3b)ユウシュンラン Cephalanthera erecta (Thunb.) Blume var.subaphylla (Miyabe & Kudo) Ohwi;C.subaphylla Miyabe & Kudo
 夏緑性。根は先が肥厚する。茎は高さ5~15㎝。葉は退化し、大部分が鞘状葉で、ときに花序のすぐ下に1~2枚の葉をつける。葉は狭長楕円形で長さ2~3㎝、幅は1~1.5㎝。花期は4~5月。花は茎頂に2~5個つけ半開性。苞は卵状楕円形でごく小さい。萼片は披針形。側花弁は卵状長楕円形で萼片よりやや小さい。唇弁は3裂し、距の先は3角状に尖りやや著しく突出する。蒴果は長楕円形。北海道、本州、四国、九州;朝鮮に分布する。山地の腐食土の多い林床に生える。県内では丹沢、箱根のシイ・カシ帯上部~ブナ帯のやや湿った腐食土の多い林床に生えるが稀。「神奈川RDB」では絶滅危惧種とされた。
(4)クゲヌマラン Cephalanthera shizuoi F.Maek., Iconogr. Pl. Orient. 1:58(1936)の基準産地は藤沢市鵠沼
 夏緑性。ギンランによく似た種類。根は先が1部肥厚する。茎は高さ20~40㎝。葉は4~7枚が互生し、無毛で基部は茎を抱く。花期は4月下旬~5月。花は茎頂に10個前後つける。苞は線状披針形。背萼片は狭卵形、側萼片は斜卵形。側花弁は卵形、唇弁は広卵形で先端は3裂し、中裂片は広卵形、側裂片は3角状卵形、距は側萼片の間からわずかに円頭状に頭を出す。蒴果は長楕円形。日本固有種。和名は鵠沼(藤沢市)という地名にちなみ、東京大学の生化学者服部静夫が採集し、同大学でランを研究されていた前川文夫が調べ、1936年に新種として東亜植物図説に図をつけて発表した。北海道(胆振、空知)、本州(青森県~和歌山県)、四国(香川県・徳島県)のおもに太平洋側に分布する。海岸地帯の疎林内の砂地や松林の林床に生える。県内では湘南海岸地帯のクロマツ林内や雑木林に生えるが稀。「神奈川RDB」では絶滅危惧種とされた。

『増補改訂版 フィールドで使える 図説 植物検索ハンドブック[埼玉2882種類]』(NPO法 埼玉県絶滅危惧植物種調査団、2016年)98~101頁
キンラン属 Cephalanthera
 1.花は黄色。唇弁に5~7本のすじが隆起する。茎や葉に乳頭状突起なし----------------------------------------------キンラン
 1.花は白色。唇弁に3本のすじが隆起する
  2.下部の苞葉は花序より長い。茎の稜や葉の脈上に乳頭状突起あり--------------------------ササバギンラン
  2.下部の苞葉は花序を超えない
   3.距は明かで、根元に大きな葉がある。茎や葉に乳頭状突起なし
     v.ユウシュンランは、根元に葉の退化した褐色の鱗片があり、花序のすぐ下には1-2枚の小さい葉あり--------ユウシュンラン
   3.距は全くない----------------------------------------------(4)クゲヌマラン

ユウシュンラン(HP『四国の野生ラン』)
キンラン属Cephalanthera
分布 世界には、温帯アジアを中心におよそ30種が分布する。
 ヨーロッパ・・・・9種
 アフリカ・・・・・3種
 温帯アジア・・・22種
 熱帯アジア・・・・8種
 北アメリカ・・・・1種
 (注)Kew WRLD CHECKLIST による。
    「種」には変種なども含まれる。(2015/11/13調べ)

 日本には、次の種が分布する。これらは、すべて四国での自生も確認されている。
 ・キンラン    C. falcata
 ・ギンラン    C. erecta
 ・ユウシュンラン    C. subaphylla
 ・クゲヌマラン    C. alpicola var. shizuoi
 ・ササバギンラン    C. longibracteata

 生態・形態
  地生種で、冬季には地上部がかれる。
  春に地上に直立の茎をだし、上部に花をつける。葉は互生する。
  ユウシュンランは半腐生ランで花を咲かせる株だけが地上に現れるが、キンラン属全般にラン菌への依存度が高いようである。
 

 

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