市民の森保全クラブ活動日。参加者は新井さん、江原さん、金子さん、木庭さん、鳥取さん、新倉さん、細川さん、丸山さん、鷲巣さん、渡部さん、Hikizineの11名。3~5日に雨や雪が降りました。降水量は岩殿C地区で50㎜ほどです。
[蒸気圧?⇒「富士山の山頂でご飯がおいしく炊けないのはなぜ?」(『リケラボ』2024年10月28日記事)]
2月末に干上がっていた無名沼ロ号にも水が溜まっています。
この間のナラ枯れ枯死木伐採により、キノコのホダ木置き場に直射日光がさすようになったのでホダ木を移動し、一部に遮光ネットをかけました。
21年1~3月に皆伐し、11月に拾ってきたどんぐりを直播きした皆伐・更新エリアの篠刈りをしました。
亀山章編『雑木林の植生管理~その生態と共生の技術~』(ソフトサイエンス社、1996年)松田こずえ「第2章第7節 コナラの種生態」(69~77頁)
7-4 林床における実生の生き残り
林床に落下するドングリの数は年によってまちまちであるが、それらはどのような運命をたどるのだろうか。ドングリは貯蔵養分に富むのでネズミ、リス、鳥などの動物の格好の食料となる。落下したドングリのほとんどがそれらの動物に持ち去られ、芽生えとして確立するものはごく少数である。しかし一方で、動物によって貯蔵されたドングリがそのまま忘れられて実生が成立してくる場合もある。捕食者が種子散布者として機能していると考えられる。それらの大型の捕食者の数は林の周囲の環境に影響されるが、筆者の調べた都市近郊の残存林では大型の捕食者による被害は小さかった。代わりにドングリの内部に寄生する昆虫類やカビなどによって、定着する以前に死亡するドングリが多かった。これは捕食者の間で相補的な関係があることを示すのかもしれない。
動物に食われることなく確立できた実生は独立栄養の段階に入る。この時期に実生が生き残るか否かは何に左右されるのだろうか。筆者の調べた雑木林では、ある年に成立した実生は4年後におよそ60%に減少した。調査を始める前には下草刈りや落葉かきなどの手入れが行き届いていたために低木層は疎で、8月に相対照度は平均で4%程度であった。死亡した個体は生き残った個体に比べて、最初の実生高がより小さく、生育場所の相対照度はより低く、また葉の被食率はより大きいという傾向が認められた。成長の悪い個体は毎年1つのシュート(1本の茎と数枚の葉よりなる)を積み重ねていくのみで、その結果1本の幹をもつだけであるが(図6、Aタイプ)、幾分元気な個体では、分枝して複数のシュートを形成する。林外の明るい所で生育したコナラの実生の場合には、枝の頂点の芽からでたシュートが他の芽からでたシュートよりも太く長く成長して上へ上へと伸びていくのだが、暗い林床では主幹と側枝の区別がはっきりしなくなり、各々の枝が横方向に広がる傾向が強くなる。結果として各々の葉が上の葉の陰になることなく、より多くの光を受けられるようになる(図6、B、BSタイプ)。分枝した個体では5年目で高さ約30㎝、分枝しない個体では約20㎝に達した。
一方、放置後に時間が経って低木層が繁茂した雑木林で行われた調査では、実生が成立後3年のうちに全滅した。低木層を除去した場合には実生の生存率が上昇する。また、放置後しばらく経ち、地上10㎝の相対照度が3%位の林床では、成長は非常に悪いが5年生くらいまでの実生は比較的多く見られる。林縁から林内に向かって、明るさの傾度にそって実生の成立状態を調査した例では、林内で林床の相対照度が5%を下回る地点でも、㎡当たり数本の10~20年生の稚樹が生育していた。これらのことから、雑木林の林床で照度が3~5%程度であれば少なくとも数年間は実生の生き残りが可能のようである。それらの実生は、なんらかの原因で林冠が空いて光条件が好転した場合、次世代の林冠木となる可能性を持っている。林齢が高くなり萌芽力が衰えてしまった雑木林では、このような前生稚樹によって更新を図ることも考えられよう。(74~75頁)