8日(金曜日)は台風13号で作業ができなかったので、今日を追加作業日として参加者を募集しましたが、都合がつけられない会員が多く、5名で実施しました。木庭さん、鳥取さん、新倉さん、鷲巣さんとHikizineです。2組に分かれてカシナガトラップの保守点検をし、カシナガを大量に回収をしました。カシナガの幼虫の中には秋までに羽化して脱出するものがあります(部分2化。年に2回羽化すること)。猛暑や少雨など気象条件の影響で、カシナガの幼虫の成長が早まり、羽化して、樹外に脱出して飛翔している新成虫が増えているのかもしれません?
P9110050P9110057

カシナガの部分2化について
●●『ナラ枯れの被害をどう減らすか -里山林を守るために-』(森林総研関西支所、2,012年2月改訂版)
幼虫・蛹・新成虫:卵から孵った幼虫は孔道内で生育して短期間で終齢幼虫(5齢)になり、その後垂直方向に幼虫室(個室)を形成する(図12)。幼虫室内で羽化した新成虫は、翌年の6~9月に親成虫が掘った孔道を逆戻りして脱出する。一部の個体は、終齢幼虫で越冬するが、秋までに羽化して分散飛翔を行うか、もしくは成虫越冬する場合もある。そのため部分2化と考えられる。(8頁)
11207

●●小林正秀・上田明良「カシノナガキクイムシとその共生菌が関与するブナ科樹木の萎凋枯死-被害発生要因の解明を目指して-」(『日本森林学会誌』87巻5号、2005年)
2.生活史
カシナガは雌雄共同で子育てを行う一夫一妻制の亜社会生活を営んでいる(Kirkendall、1983;野淵、1993a)。
カシナガの孔道の模式図を図-3に示す。雄が最初に寄主を見つけて穿入孔を掘り、その先に長さ数cmの穿入母孔を材の中心に向かって掘り進む(Kobayashietal、2001)。雌の受け入れ準備が整った雄は、穿入孔に雌が飛来すると、穿入孔の外に出て雌を孔道内に導いた後、穿入孔で交尾する(OhyaandKinuura、2001;KobayashiandUeda、2002)。交尾後の雌は、雄よりも先に孔道内に入り、穿入母孔を延長して水平母孔を完成させる(熊本営林局、1941;加辺、1955;Kobayashietal.、2001)。穿入母孔と水平母孔を加えた母孔の総延長は13~15cmに達し、母孔から数本の分岐母孔が掘られる(熊本営林局、1941;加辺、1955)。巣を完成させた雌は、共生菌を孔道壁に植え付けて随所に産卵する(熊本営林局、1941)。卵期間は1週間程度で、艀化幼虫は共生菌を摂食して終齢の5齢に達し、分岐母孔から繊維方向に長さ1cm程度の分岐孔(幼虫室)を掘り、そこで蝋化する(熊本営林局、1941;衣浦、1994a)。ほとんどは幼虫態で越冬するが、一部は秋に羽化してそのまま成虫態で越冬したり、翌春に幼虫室が掘られることもある(松本、1955;衣浦、1994a)。分岐孔内で羽化した新成虫は、孔道を逆戻りして穿入孔から外部に脱出する(熊本営林局、1941)。幼虫が成虫になるまでの間、雌は巣の中にいて菌類を管理し、雄は穿入孔付近にいて外敵や雑菌の侵入を防いだり、腹部を細かく動かして換気を行う(野淵、1992)。しかし、カシナガは長梯子型と呼ばれる複雑で長い孔道を構築するため(加辺、1955)、材内生態は、穿入孔付近における成虫の観察や繁殖木の割材結果から推察されたものがほとんどで、未解明な部分が多い。
材内生態の本格的な研究は、1990年代に始まった。X線断層撮影装置(CTスキャン)を用いて孔道が追跡された結果、水平母孔から4本程度の分岐母孔が枝分かれし、鉛直方向にも分岐して多重構造になることが明らかにされた(曽根ら、1995a;Soneetal、1998a)。また、丸太や人工飼料を用いた飼育が可能となり(小林・上田、2003a;野崎ら、2003;KitajimaandGoto、2004)、交尾直後に産卵が開始され、艀化幼虫は2週問程度で終齢に達することが明らかにされた(小林ら、2002;野崎ら、2003)。この他、雌はプラスを穿入孔まで運搬し、雄がそれを外部に排出すると考えられていたが(野淵、1992)、雄も孔道深くに侵入してプラスを運搬すること(梶村ら、2002)や、カシナガは1年1化と考えられていたが(野淵、1993a)、新成虫の一部が秋に脱出する部分2化であることも明らかにされた(Soneetal、1998a;野崎・小林、未発表)。さらに、幼虫が孔道の掘削と共生菌の培養を行う可能性が示唆されるなど(野崎ら、
2003)、常識を覆す知見も得られている。(437頁)
小林正秀・上田明良「カシノナガキクイムシとその共生菌が関与するブナ科樹木の萎凋枯死-被害発生要因の解明を目指して-」(『日本森林学会誌』87巻5号、2005年)については、以下の記事でもとりあげています。