3月19日の環境学習会の講師、前真之さんの『エコハウスのウソ 2 』(日経BP、2020年8月)を読みました。
市民環境会議img-230201225559-0001

『新著:エコハウスのウソ 2  』~エコハウスの常識が、この動画で変わる?~ 19:28
(YouTube「未来のための家づくり大学」有識者や専門家に学ぼう! by Eco Works 2020.08.29)
 

前真之『エコハウスのウソ 2 』PART1 目次
 はじめに
 エコハウスのウソ2はじめに
  みんながエコハウスで暮らせるために
   健康・快適な室内環境が家づくりの最重要課題に
   新型コロナ問題で生活の中心は再び住宅に
   エコハウスを実現できなかった住宅・エネルギー業界
   全ての人がエコハウスで暮らせる幸せな時代

   
  PART1 変わる常識-基本編
  エコハウスのウソpart1

  エコハウスづくりに関係する環境・エネルギー問題や気候、新技術などの情報は常に更新され続けている。
  これまでの常識がいつの間にか“ウソ”に変わっていることも。
  設計に取り掛かる前に、前提となる常識をアップデートしよう。
    第1章 環境・エネルギー
  地球温暖化やエネルギー問題というと、家づくりには関係ないこと、もしくは個人ではどうしようもないことと思うかもしれない。だが本当は、電気代に直結する身近な問題であり、子どもたちの未来に影響する切実な課題でもあるのだ。国やつくり手に任せきりで大丈夫なのだろうか。
    Q1 地球の温暖化はウソだよね?
 8752
  ▶冬は暖かく、夏はさらに暑くなっている事実を、日本全国の気象データは裏付けている。
  ▶地球温暖化は「リアル」な脅威であり、全世界の早急な対応が求められる。
   世界の結論は「温暖化は疑う余地なし」「人間が原因」
   建築物省エネ法「地域区分の見直し」の衝撃
   冬の寒さは和らいできている
   夏の暑さは危険レベルに突入
   暑さと風水害への備えを忘れずに

    Q2 住宅のCO2削減は他人ごと?
  ▶電力会社と家電メーカーのツートップに頼り過ぎた結果、住宅の質の向上が遅れる痛恨。
  ▶省エネ・省CO2と健康・快適の両立は、一人ひとりが自分ごとと認識する必要あり。
   世界はCO2排出量ゼロに向けて動き出している
   パリ協定順守のため住宅分野に厳しいCO2削減目標
   人口減でも増え続ける少人数世帯がCO2排出を下支え
   CO2削減は電力会社と家電メーカーの仕事?
   ツートップ戦略の栄光と崩壊、京都議定書もお金で補填
   日本で重視されてこなかった住宅そのものの性能確保
   家の寒さでヒートショックが大問題に
   家中を暖かくできない無断熱住宅は健康・快適の大敵

    Q3 安い電気は良い電気?
  ▶電力の全面自由化で登場した「新電力」のコストメリットは、電力消費の多い世帯限定。
  ▶電気は燃料次第でCO2排出量が変わる。安さだけでなく「きれいな」電気を選ぼう。
   電力の小売り全面自由化で好きな電気を選べる時代に
   小売電力事業者は必要な電気を個別に調達
   需要と発電の「同時同量」守れないとペナルティー
   新電力の小売シェアは都市部で増加中
   新電力の安さのカラクリはフラットな単価設定にあり
   電源の燃料構成で電気代とCO2排出量が大きく変化する
   どうせ買うならきれいな電気を選ぼう

    Q4 電気代はずっと上がらない?
 8703
  ▶将来的には、需要がひっ迫する「時間帯」や「季節」に電気単価が上がる可能性大。
  ▶買電単価上昇に備えて、太陽光を活用したエネルギー自立の家づくりが求められる。
   電気代の値上げは戦後直後とオイルショックの2回
   電気の従量単価の内訳は?
   住宅の託送料金は割高、さらなる負担の増加も
   「夏はオフィス」「冬は住宅」が需要のピークをつくる
   夏は昼下がり、冬は朝と夕方が電力需要のピーク
   電気が不足する時間帯は電気単価が高くなる時代に
   電気単価上昇に備え太陽の都合に合わせた家づくりを

    第2章 健康
  汚れた空気は体に悪い。もちろんウィルスも。健康意識の高まりから、食事に気を使う人は多いが、何か大事なものを忘れてはいないだろうか。1日3度どころか四六時中、常に体に取り入れている空気。目には見えない「室内空気質」にも、これまで以上に意識を向けるべきなのだ。
    Q5 汚れた空気は健康とは無関係?
  ▶人が体内に取り込む物質で最も多いのは「空気」。肺がん急増で死因のトップに。
  ▶健康で快適な暮らしのため、食べ物や水だけでなく、身の回りの空気質にも注意を。
   体に取り込む物質で最も多いのは「空気」
   死因で急増するのは「肺がん」と「肺炎」
   肺がんの最大の原因はやっぱり「喫煙」
   空気の汚染は発がん性が確実な「グループ1」に
   大気汚染物質は減少したが微小粒子PM2.5が問題に
   大気汚染の新たな難敵「PM2.5」
   体内に吸い込む「室内空気」にも関心を

    Q6 ウィルス対策は加湿でバッチリ?
  ▶低断熱住宅で無理に加湿すると、低温部に結露が発生してカビやダニの温床に。
  ▶それでも加湿する場合は、外皮の断熱や防湿・換気設備など総合的な計画が必要。
   インフルエンザの予防は合わせ技で
   水1日33リットル・電気代1ヵ月2万円
   低断熱住宅の加湿にはリスクがいっぱい
   湿気とカビは世界共通の大問題
   インフルエンザの感染経路は「飛沫」と「接触」
   それでも加湿するなら建物全体で計画を

    第3章 家電
  エアコンや冷蔵庫、テレビなど、いかにも電気を食っていそうな家電製品を買い替える。それが最もお手軽な節電・節約技だと思っている人は少なくない。ところが、省エネ家電の性能向上は完全に頭打ち。お手軽な省エネのネタが尽きる中、住宅そのものの性能向上が求められている。
    Q7 最新家電ならどれでも省エネ?
 8380
  ▶主な家電はトップランナー基準の目標年度を終えており、さらなる省エネは期待薄。
  ▶家電の高効率化をアテにせず、建物側で省エネ性能の向上を図っていく必要がある。
   「しんきゅうさん」で家電買い替えの節電効果をチェック
   2005年以前の冷蔵庫の消費電力量は実態と乖離
   古い冷蔵庫の買い替えはコスパ良でおススメ
   テレビの省エネは液晶化で進むも今は一段落
   益昌テレビでも大画面・高画素数なら増エネに
   貯湯式の温水洗浄便座なら買い替えがおススメ
   家電のお手軽な省エネから建物と設備の地道な省エネへ

    Q8 エアコンを買い替えれば節電に?
 8382
  ▶エアコン効率COPやAPFは長らく頭打ち。機種交換による節電は、もはや期待できない。
  ▶「畳数の目安」は大昔の低性能住宅を想定したもの。過大な能力の機種を選ぶと増エネに。
   APFは冷房と暖房の両方をカバーする効率指標
   「畳数の目安」は無断熱・日射遮蔽なしの住宅を想定
   COPはまさかの低下傾向、APFも近年は足踏み
   エアコンは中間能力に効率のスイートポットがある
   エアコンの実運転は高負荷 or 超低負荷がほとんど
   エアコン効率のスイートポットを生かす使い方

    第4章 太陽光発電
  太陽光発電は住宅の再生可能エネルギーでは、ほぼ唯一の選択肢。設置コストも手ごろになっており、割高に電気を買い取ってくれる制度も或る。蓄電池の省エネ効果には検討の余地があるが、太陽光発電を設置しない理由はもはやない。エネルギー自立に向けて抑える[押さえる?]べきポイントと「損得」をみてみよう。
    Q9 太陽光発電はもう載せなくていい?
 8719
  ▶太陽光発電は、ネガティブな情報が広がっているが、住宅の再エネではほぼ唯一の選択肢。
  ▶エネルギー自立にも必須であり,住宅用は優遇されているので絶対に載せるべき。
   設置事との補助から固定買い取り制度「FIT」へ
   買い取り価格の急変に伴う太陽光バブルの発生と崩壊
   10年経過の「アフターFIT」で買い取り価格暴落
   アフターFITの買い取り単価≒回避可能費用
   電気代に占める発電コストの原価は意外と小さい
   高価買い取りの原資「再エネ賦課金」が上昇中
   太陽光発電からの売電が断られる「出力制御」が発動
   再エネをもっと増やすことは絶対必要

    Q10 太陽光発電は売電で大儲け?
 8708
  ▶これから太陽光発電を設置するなら、「全量買い取り」ではなく「余剰買い取り」が基本。
  ▶従来の系統への売電中心から、住宅内の需要を賄う「自家消費」が重要に。
   売電方法は発電容量10㎾を境に2種類ある
   かつては「余剰買い取り」より「全量買い取り」がトクだった
   もう全量買い取りは儲からない、これからは余剰買い取り
   自家消費できるだけの適性容量の太陽光を載せるのが基本
   初期費用ゼロでも太陽光は載せられる
   売電ではなく自家消費優先で太陽光発電は必ず載せる
   
    Q11 蓄電池で停電とアフターFIT対応は万全?
  ▶「太陽光発電の自家消費」と「停電対策」を定置型蓄電池の容量で両立するのは困難。
  ▶当面はポータブル蓄電池での備えが現実的。電気自動車を活用するV2Hも有望。
   蓄電計画にはカバーしたい用途の見極めが重要
   蓄電池の「定格容量」はフルに使えない
   自家消費と停電対応の両立は?
   経年劣化は蓄電池最大の弱点
   深夜電力充電モードで使うなら蓄電池はただの「増エネ設備」
   定置型蓄電池は現状では採算がとれない
   電気の「基本料金」は将来値上がりするリスク大
   基本料金が上がればオフグリッドが採算に乗る
   オフグリッド化を見越して使い切れる容量の太陽光発電を
   完璧を目指すなら電気自動車を活用するV2H
   移動を含めたゼロエネは究極の目標、まずは建物をしっかりと

    第5章 エコハウスの目標
  真のエコハウスが腐朽していくためには、正しい政策誘導が欠かせない。だが、本当の主役はあなた自身。適切なゴール設定の下、住まい手が健康・快適な暮らしを諦めず、作り手が工夫を凝らせば、誰もがエコハウスを建てられる日は決して夢ではないのだ。
    Q12 省エネの義務化なんて必要ないよね?
  ▶建築物省エネ法の住宅の適合義務化は見送り。
  ▶低性能な「ハズレの家」を引けば、暑さ寒さと高額なエネルギーコストに苦しむことに。
  ▶政策誘導による早急な性能確保は不可決。
   建築物省エネ法は一次エネルギーの規制がメイン
   建築省エネ法「住宅」は適合義務ならず!
   トップランナー制度は「大手事業者のボトムアップ」が必要
   戸建て住宅は多すぎて手に負えない?
   一次エネ計算ができず「省エネ適合」が判定できない設計者
   住宅の適合義務化を吹きとばした「未達4割」
   「建て主は省エネを求めていない」は本当?
   適合義務化の先送りで終わらぬ悲劇
   断熱は本当に「ペイしない」のか?
   「住宅業界への忖度」で住宅ストックの9割が無断熱に
   建築の省エネが急務なワケはロックイン効果にあり
   低所得者の家こそ暖かくする国ドイツ
   
    Q13 ZEHは究極のエコハウス?
 8742
  ▶ZEHの仕様は「今どき当たり前」で、真のエコハウスというには力不足。
  ▶系統への売電に大きく依存しているため、FIT終了後はエネルギーコストが高額に。
   経産省ZEHは断熱・高効率設備・太陽光発電の3点セット
   一次エネ消費量の「その他抜き」と「その他込み」
   強化バージョンのZEH+/ZEH+Rも疑問だらけ
   ZEHならゼロエネで絶対に健康・快適?
   WEBプロでは実際の建物や生活を再現できない
   ネット・ゼロはあくまで「年間で差し引きゼロ」
   ネット・ゼロエネはゼロコストにあらず、FIT終了後は赤字に
   エネルギー消費と発電の季節変化を小さくする建物の工夫を

    Q14 エネルギーコストゼロで快適な生活は無理?
  ▶究極のエコハウスを実現するために必要な建築関係の部材は、既に一通りそろっている。
  ▶適正な容量・傾斜角の太陽光発電と年中安定のエネルギー消費量の2つがカギ。
   エコハウスは何よりもまず住まい手のために
   オフグリッドに備えたエネルギー自立住宅を目指す
   太陽光の傾斜角を大きくすれば冬場の発電量が増える
   エネルギー自立は実質ゼロコストで実現できる
   夏は高効率ヒートポンプと太陽光発電でノープロブレム
   冬は昼間の太陽熱で夜を無暖房に
   新築時はFIT活用で売電優先、FIT終了後に蓄電池を検討
   必要な部材は既にある、後は住まい手の思いと設計の知恵