大舘勝治さんの『民俗からの発想』(幹書房、2000年)の「第4章 地域の中の子どもたち」を読みました。
民俗からの発想

第4章 地域の中の子どもたち
 日本に伝統的地域社会が存在していた昭和30年代までは、地域の子どもたちは地域社会の一員として、労働力として、あるいは祭り・行事・芸能の担い手として重要な役割を果たしてきた。大人たちも将来地域社会の円滑な運営の担い手になる子どもたちに対し、優しくあるときは厳しく見守ってきた長い歴史がある。
 子ども社会の中では、たとえば小学生であれば、底学年から高学年までが一緒になって遊んだり、祭りや行事を彼らが中心となって執行するという機会が日常的にあった。こうした子ども社会には、年齢に応じてそれぞれの役割分担があり、上級生は下級生の面倒を見。下級生は上級生に従って行動し、知らず知らずのうちに子ども社会のさまざまなルールを学んできた。ところが、近年子どもたちが主宰する遊びや祭り行事が衰退し、子どもたちが集団で行動する機会がなくなり、単独で遊び行動をするようになった。テレビと相対してバーチャルリアリティーの世界で遊び、あるいはリモコンで自動車などを動かして遊ぶなど、現実の社会での身の処し方やルールを学ぶ機会が失われてしまった。
 自然の豊かに残る山村の子どもたちでさえ自然の中で遊ぶことがなくなり、子どもの数が少ないこともあるが、親が子どものいる家まで送り届け、子どもは家の中でテレビゲームに夢中になっているというのである。
 また、労働をとおして子どもと大人が接する機会がなくなり、労働の厳しさに立ち向かっている大人たちを見る機会もなくなった。自分の父親や母親が何をして働いているのかさえ知らない子どもが多いのである。「会社に行っている」くらいの認識が普通で、家族のために汗水流している父母の姿を見る機会も少ない。
 本章では、「子どもと仕事」・「子どもと祭り・行事」・「子供と遊び」をとおして、現代の家庭や地域社会に失われている子どもたちの世界について考えてみる。(108~112頁)
第4章 地域の中の子どもたち 目次
1 子どもと仕事
 (1)仕事で学ぶ
 (2)お茶休み
 (3)田植え休み
 (4)蚕休み
2 子どもと祭り・行事・芸能
 (1)獅子舞を担う子どもたち
 (2)子どもの祭り・行事
   1 衰退した子どもの祭り(事例1)「初午行事」
   2 衰退した子どもの祭り(事例2)「厄除け獅子」
   3 祭りを担う子どもたち「お雛粥」「天神マチ」「トーカンヤ(十日夜)」
 (3)オヒナゲエ(お雛粥)
   1 河原沢のオヒナゲエ(お雛粥))
    ①お雛粥の準備
    ②お雛粥の当日
   2 と絶えたお雛粥
 (4)田ノ頭集落の天神マチ、トーカンヤ(十日夜)
   1 昭和59年の天神マチ
   2 平成12年の天神マチ
 (5)お雛粥・天神マチが教えるもの
3 自ら創造する遊び
 (1)「遊びの野球」の復活
 (2)べいごま・めんこの遊び