5th-chuukiseika12_5

第3章 地域での総合防除への提言では、被害の程度に応じて地域での防除法がまとめられています。
(1)被害が甚大な地域における防除 ~伐採と他種植栽・散布の効率化~
(2)被害が中程度の地域 ~モニタリング強化と化学・物理的防除の徹底~
   被害木が高密度になっておらず、中心の被害地でも被害木と無被害木が混在する地域
(3)侵入間もない被害先端地域 ~オンラインマッピングの応用~
   クビアカツヤカミキリの分布が拡大しつつある地域近辺で、被害がまだ確認されていない箇所
 5th-chuukiseika12_15th-chuukiseika12_2
 5th-chuukiseika12_35th-chuukiseika12_4

東松山市内ではこの間、数箇所でクビアカツヤカミキリが新たに見つけられているようです。被害木の伐採はしていないようですが、被害の程度に応じた防除法がとられているのでしょうか。

森林総研関西支所では、2022年6月11日(土)龍谷大学響都ホール校友会館で「外来カミキリムシから花咲く春を護る」というテーマで公開講演会を開催しました。そのときの講演内容をYouTubeで見ることができます。
6740

   

 ※加賀谷悦子「クビアカツヤカミキリは日本でなぜ脅威となったのか」(『森林科学』89巻、2020年)
 ※田村繁明・加賀谷悦子「日本におけるクビアカツヤカミキリの分布拡大の経過」(同上)

   

  

 ※春山直人「栃木県におけるクビアカツヤカミキリの発生と対応状況」(『森林科学』89巻)

   

   719372167217

   722072227223


 ※長竹優空・中嶋愛美・田中雅紀・根岸良行「特定外来生物からサクラを守る〜クビアカツヤカミキリの調査と対策について〜」(『森林科学』89巻、2020年)

※三輪誠・角田裕志・嶋田知英「埼玉県における県民参加による“クビアカツヤカミキリ発見大調査”とそのデータの活用」(『日本緑化工学会誌』47巻4 号、2022年5月)
74407441

 1. はじめに
 2. クビアカツヤカミキリ発見大調査
 3. 埼玉県内におけるクビアカツヤカミキリ被害の状況
 4. クビアカツヤカミキリの分布拡大予測
これまでに示したとおり、埼玉県内では、クビアカツヤカミキリによる被害地域の拡大が続いている。それでは、今後、県内では、クビアカツヤカミキリはどのように生息分布を拡大していくのだろうか。これを予測するために、「クビアカツヤカミキリ発見大調査」で得られた被害に関する分布情報と、コンピューターシミュレーション手法を組み合わせて、生息分布拡大を予測するシミュレーションモデルを開発した。なお、このモデル開発は、東京都立大学大学院都市環境科学研究科の大澤剛士博士との共同研究で行った。
その結果、開発した分布拡大を予測するシミュレーションモデルから、今後、県内のクビアカツヤカミキリは、①河川沿いのサクラ並木に沿って分布拡大する可能性があること、②山林の比率が高い県西部への分布拡大は限定的である一方、県中央部から東部にかけて分布拡大する可能性が高いことがわかった。このことは、クビアカツヤカミキリがサクラ並木を伝って移動し、そこを起点に拡散することで、県中央部から東部にかけて生息域を拡大する可能性があることを示唆している。この研究成果により、クビアカツヤカミキリの侵入や被害発生をより焦点をしぼって効率的に調査できることから、開発されたモデルは、被害の早期発見と防除に役立つと考えられた。(注略 下線引用者)
  ※大澤剛士・角田裕志・嶋田知英「 Establishment of an expansion-predicting model for invasive alien cerambycid beetle Aromia bungii based on a virtual ecology approach 」( Management of Biological Invasions (2022) Volume 13, Issue 1: 24–44 )

 5. まとめ
「クビアカツヤカミキリ発見大調査」の結果より、埼玉県内では、被害地点数の増加は頭打ちになりつつあるものの、年々被害地域が拡大していることが分かった(表―1 および図―2)。また、この調査で得られた被害情報を活用したシミュレーションモデルから、県内におけるクビアカツヤカミキリの分布拡大の傾向を予測することができた。
これらのことは、被害の早期発見と防除に極めて有用な情報である。これらの有用な成果が得られた背景には、これまで示してきたとおり、調査に参加していただいた県民の“力”が大きくかかわっていることは言うまでもない。それに対する感謝の意を込めて、県民が関わって得た情報が実際にどのように活用されているのかがわかるように示すことが大切であると考えられる。このことから、個人情報管理による制約はあるものの、この調査では、できる限り調査地点を地図上に示し、“見える化”することで被害情報を発信することを心掛けている。これにより、調査に関わった県民は、自らのデータが被害防止に活用されていることを知ることとなる。
当センターでは、今後も、「クビアカツヤカミキリ発見大調査」などで得た有用な情報を、ホームページなどを通して随時発信し、被害の早期発見と防除に役立てていきたいと考えている。埼玉のサクラを守るため、クビアカツヤカミキリの被害や成虫の発見情報の提供に、ぜひとも御協力いただきたいと考える次第である。(注略 下線引用者)

サクラの外来害虫“クビアカツヤカミキリ”情報(埼玉県環境科学国際センター)