市民の森保全クラブ定例活動日。参加者は芦田さん、片桐さん、金子さん、木谷さん、木庭さん、斉藤さん、鳥取さん、橋本さん、細川さん、丸山さん、鷲巣さん、渡部さん、Hikizineの13名。江原さんは欠席でしたが、麦茶のジャーを用意しておいてくれました。ありがとうございます。

4月8日に仮伏せしたキノコ原木を本伏せしました。
P6170025P6170027P6170028

20年度皆伐エリアのササ刈り
656657933

アカマツの実生
643

チョウセンカマキリ or オオカマキリの幼虫
648652

クサグモ(タナグモ科)
653

トゲナナフシ(トビナナフシ科)
642

オカトラノオ(サクラソウ科)
654

トラップの巡視
木庭さん、細川さん、丸山さんのグループと木谷さん、鳥取さんのグループでトラップの点検・メンテナンス・回収作業をしました。

655668

話題:今日も岩殿C地区に黒猫がいて、休憩時にペットの犬や猫が迷子になったり、捨てられたりした際に、飼い主を特定しやすくするため、繁殖・販売業者に所有者情報を登録したマイクロチップの装着を義務づける改正動物愛護法が6月1日に施行されたことが話題になりました。東松山市では、「地域猫活動・さくらねこ無料不妊手術事業(行政枠)」を実施しています。
chip01_1
国立環境研究所の『侵入生物データベース』に「ネコ」が出ています。domestic cat[イエネコ]は国際自然保護連合(IUCN)の侵略的外来種ワースト100にも選ばれています(環境省自然環境生物多様性「希少種とノネコ・ノラネコ」)。田中淳夫さんの『森林ジャーナリストの「思いつき」ブログ』には、「ネコは害獣?ペットか野生動物か」(2020年2月22日記事)があります。
鹿児島大学鹿児島環境学研究会編『奄美のノネコ 猫の問いかけ』(南方新社、2019年3月)の書評:宮晶子「野生化猫 排除をめぐって」(東京新聞TOKYO Web 2019年6月23日記事)
 142071911
鹿児島大学・鹿児島環境学研究会編ノネコ問題普及啓発冊子『人もネコも野生動物も住みよい島』(2017年3月)
 170327noneko

ピーター・P・マラ+クリス・サンテラ[著]岡 奈理子+山田文雄+塩野﨑和美+石井信夫[訳]『ネコ・かわいい殺し屋 生態系への影響を科学する』(築地書館、2019年4月)
 1580
  目次
第1章  イエネコによる絶滅の記録
 ナチュラリストの灯台守
 ニュージーランドの固有鳥類とその絶滅
 多産系肉食獣・イエネコの狩猟能力が与える打撃
 判明していない絶滅前の分布
 イエネコの破壊力――ほんの数年で起きた絶滅
第2章  イエネコの誕生と北米大陸での脅威
 野生動物の生息地復元とエコロジカル・トラップ
 イエネコのルーツ ――ヨーロッパヤマネコ
 イエネコの進化と拡散
 保全生物学の誕生
 環境汚染物質と自然保護
 絶滅種の14パーセントに関与
 ソコロ島における外来種の影響と対策
 野放しネコの影響を科学する
第3章  愛鳥家と愛猫家の闘い
 野鳥フィールドガイドの誕生
 イエネコと人間の関係史
 ネコは社会制度のフィルター――ネコの待遇の変化
 銃から双眼鏡へ――フィールドガイドの功績
 自然界と人をつなぐバードウオッチング
 バードウオッチングとネコの経済効果
 屋外ネコと人の関係
 野放しネコの実態と世話人
 野放しネコに対する世話人の認識
第4章  ネコによる大量捕殺の実態
 野鳥への脅威を初めて世に問うたアメリカ人
 ナチュラリスト大統領の自然保護政策
 法律と現状のミスマッチ
 鳥類保護に立ち塞がる困難
 野鳥個体群の変動とネコの捕食の影響
 ネコの脅威は在来捕食者を超える
 野放しネコの直接的影響
 全米の野放しネコによる野生動物被害数
 嵐の勃発――愛猫家らの反応
 第六の大量絶滅
第5章  深刻な病気を媒介するネコ――人獣共通感染症
 飼いネコから人に感染するペストの脅威
 ネコひっかき病のバルトネラ菌
 ネコも媒介する狂犬病
 アメリカにおける狂犬病感染の主犯、ネコ
 ネコ科動物から大拡散するトキソプラズマ症
 「寄生生物操作仮説」の実証
 人も発症するトキソプラズマ症
 人への感染――妊婦に及ぼす危険と統合失調症
 野生動物への影響――カラスと海棲哺乳類の事例
 ネコ白血病のネコ科野生動物への感染
第6章  駆除 vs 愛護――何を目標としているのか
 絶滅危惧種フエコチドリ
 フエコチドリ保護のためのネコ狙撃事件
 野放しネコの法的位置づけ
 希少種保護のための二つの法律
 野生化ネコに対する提案と炎上する議論
 拒否された投票結果
 オーストラリアのネコ問題
 人道的駆除計画
 固有動物相を大切にするオーストラリア国民
 ニュージーランドの取り組み――キャッツ・トゥ・ゴー
 自然保護のジレンマ
 動物福祉と環境倫理
第7章  TNR[Trap Neuter Return 捕獲・不妊去勢・再放逐]は好まれるが、何も解決しない
 動物愛護協会で譲渡を待つ子ネコ
 ボランティアが支えるTNR活動
 TNRへの期待、それに続く失敗と限界
 動物倫理から見たTNR
 不妊去勢手術
 地域ネコのTNR活動の現場
 殺処分からTNRへ――地域ネコ管理の転換
 TNRを支える迷信
 TNRが個体数減少に成功するための条件――高い不妊化率と移入ゼロ
 TNR失敗要因とバキューム効果の有無
 TNRのさらなる問題点――軽視される生態系
 オレゴン州の捕獲ワナ――その後
第8章  鳥、人そしてネコにとって望ましい世界
 野放しネコの影響をどう考えるか
 野放しネコが減らない背景
 ネコシェルターの実状
 飼い主側の問題
 関連団体やペット業界の役割
 飼育許可制を目指す
 野放しネコの捕獲排除を巡る科学と非科学
 TNRの広がりとその効果への疑問
 島の捨てネコを減らす――オレゴン州での事例
 多様な団体の協同――ハワイの事例
 TNRとネココロニーが容認される特例
 野放しネコ対策を現実的に考える
 野生化ネコ対策の成功事例と費用
 致死的排除法と生物多様性への投資
 自然に関心を持つことの重要性
第9章  どのような自然が待ち受けているのか?
 対応の遅れがもたらす悲劇
 大災害としての野放しネコ問題
 乗り越えるべき二つの障壁
 野放しネコの影響と私たちの未来

訳者[外来ネコ問題研究会]あとがき
参考文献
索引
  訳者あとがき
 本書はネコを生態系の外来捕食者として捉えた初めての本格本である。著者のマラや登場人物のテンプルらと同じように、私たち訳者のほとんどは、生まれ育った国の自然を愛する鳥類学や生態・保全生物学の研究者で、もともとは「ネコ問題」の専門家ではなかった。海鳥、野生のウサギやネズミの研究、保全に携わるなかで「ネコ問題」に直面し、のっぴきならない状況に身を置いてきた。その危急性は、私たちにではなく、ネコに追い詰められる野生動物にこそ存在する。
 私が研究対象にする東アジア固有繁殖鳥のオオミズナギドリの世界最大繁殖地では、繁殖鳥の95パーセントが滅びた。ある人は、それはネコのせいではないという。他にも原因がある、だからネコに構うな、どの場所も今はネコの定住地なのだから、と。だが、仮にその言葉を容認すれば、その先には野生動物の絶滅が見える。今やネコは日本の多くの平野や山間地で最も巧みな肉食獣となっているだけに、日本の自然は危機的な状況に追い込まれている。とりわけ島でネコのもたらす脅威は目を覆うほどすさまじい。
 本書が取り上げるネコは、使役あるいはペット由来のネコである。生物学的にはヨーロッパヤマネコに近縁なリビアヤマネコを祖先にする、イエネコと呼ばれる家畜である。主にネズミ駆除のために人が同伴し、南極を除く世界のすべての大陸と、ほぼすべての有人島に渡った。その子孫たちは今や、所有者がいるネコだけでも世界で5億頭、人と接点を持つ野良ネコや、自立して暮らすノネコにいたっては、推定値すら出ていない。この家畜であるイエネコは、ネコ科動物はもとより、現生哺乳類のなかで人とともに最も繁栄しているといって過言ではないだろう。優れた肉食獣の能力をいかんなく発揮して、分布を広げた多くの地で野生動物を追いやりながら、管理の手をすり抜ける魔法の杖を持っている。その魔法の杖とは、言うまでもなく、人という地球最強の応援団である。そして今や人々のなかに、ある種の戦争をも引き起こしている。ネコ擁護者と野生動物擁護者の間に続く、不毛ともいえる「ネコ戦争」(原著タイトルのCat Wars)である。
  振り返れば、「ネコ戦争」が日本で起こったのは、マラらが生まれ育ったアメリカよりも半世紀遅れた。その理由は、ネコ戦争が経済的豊かさの指標と都市化の指標に深く関係するためだろう。両手に得た物質的豊かさと便利な暮らしと引き換えに、両指の間から、ぱらぱらとこぼれ落ちていった自然の豊かさと、都市の暮らしや核家族の寂しさを紛らわす存在として、多くの現代人がペットに生き物の温もり、連帯、心の安らぎを求めた側面が、ネコ問題の根源に存在するからだ。
  ネコ問題に潜むもう一つ重要なことは、ネコたちがネコ科特有の感染症を広げ、野生動物のみならず人に脅威をもたらしていることである。これはあまり知られていないが、人とネコが共犯で拡散する怖さがネコ問題に潜む。人獣共通感染症の密かな進行は、愛猫家も動物愛護団体もあまり意識していない盲点といえるだろう。コンパニオンアニマルの双璧をなすイヌに比べてネコの管理が遅れたのは、野外にいるネコの危険性が認識されていないからである。ネコは田舎では害獣駆除の役割を担わされ、街中では散歩の手間が要らない野放しできるペットとして、今も人間側の都合に振り回されているからだ。本書にはネコの感染症の危険性が丁寧に述べられている。
   本書は、ネコが生態系に与える影響を測るために、ネコを以下のようにひとくくりにしている点で特徴がある。飼いネコであっても、終日あるいは限られた時間、屋内から外に出るネコは、野外のみで生活する野良ネコ、ノネコとともに、野放しネコと認識されている。外に出る飼いネコも野外に暮らすネコ同様に、多くの野生動物を殺していることが、最新のテクノロジーを使った野外研究からも判明しているからである。[後略]
外来ネコ問題研究会ブログ:野外にいるネコから日本の固有な自然生態系を守ることを目的に2016年に結成された。日本の島嶼などの在来希少種や生態系に影響をあたえる外来種問題として、イエネコ問題を考える研究会。イエネコの適正飼養、適正管理、適切対策などによって、島や地域の在来種や在来生態系・生物多様性が保全されることを考え、シンポジウムや研究集会を行っている。