雨間に市民の森のカシナガトラップを点検し、捕獲数が多いコナラにはクリアファイルトラップ(TWT)を追加しました。
6月4日の記事で、小平市緑化推進委員会の「小平市におけるナラ枯れ病対策の緊急提言」を紹介しています。小平市緑化推進委員会は、緑の保護と緑化の推進を広い視野から検討するため、小平市緑化推進委員会設置要綱により設置された委員会で、学識経験者2名と、団体推薦5名及び公募6名の市民11名の13名の委員で構成され、任期は2年間です。2022年1月27日に開催された第17期第8回会議要旨に小平市水と緑と公園課データによる椎名豊勝さんの「2020・2021年ナラ枯れ被害状況データ解析」が添付されています。
2021年の上水新町一丁目特別緑地保全地区一帯のトラップ未設置[枯死木75本]、1基設置[設置木36本、枯死木2本]、集中設置[設置木8本、枯死木0本]の違いによる効果を比較したグラフです。未設置は全体数がわかりませんので被害率は不明ですが、1基設置では6%の被害、集中設置[9~12基]では被害なしとなっています。1基設置で効果あるように見えますが、むしろトラップ方式実施の被害率が4.5%と見るべきでしょう。これを如何にして0%できるかです。【[]内は引用者追加】
小平市緑化推進委員会は各期とも「緑化推進計画提言書」をまとめ市長に手交しています。第17期の提言書は『370 年以上続く小平の水と緑を今に活かす緑化推進提言』(2022年3月24日)です。以下目次です[下線引用者]。
第1章 小平市の成り立ちは先人がつくり上げた―水と緑と桜―
歴史的背景
水:上水用水路網
緑:雑木林屋敷林短冊形農地
桜:御上水桜(小金井サクラ)
第2章 水と緑の緑化推進
1、上水用水復活再生への提言
1)用水路50km全線通水への方策
①用水流入量季節変化の把握
②新規水源流入用水路を絞る
③鎌倉鷹の台の新規整備公園に雨水貯留施設を設置し用水水源とする
2)用水路の見える化の実現
①鎌倉公園に小平農業の礎である用水を再現する
②鷹の台公園に引込用水路と水車および水車可動のための流れを整備する
3)用水および用水網への市民の理解を深める
①用水路名称表示の実現
②用水路特別構造の解説版の設置
③用水路散策コースの設定と市民による用水路&自然文化ガイドマップの作製
2、雑木林屋敷林農地の保護再生への提言
1)雑木林ナラ枯れ病への対応
①緊急提言の対応策は引き続き実施し、市民参加を図る
②コナラクヌギ発芽育苗システム(どんぐり里親制度)の拡充
③コナラ等育苗施設の新設
④ナラ枯れ病死樹発見通報システムの創設
⑤緊急提言についての検証
⑥ナラ枯れ病対策の市内雑木林管理機関との連携および民間雑木林助成制度の創設
2)雑木林植生の質の向上による生物多様性の確保
①雑木林では定期的な下草刈り等管理の徹底
②クズ掃きの抑制
③保護と利用をゾーニングで明確に分離する
3)雑木林を市民にとって身近にする方策
①雑木林の愛称を公募し命名する
②雑木林解説版の設置
4)屋敷林の保護保全
①屋敷林まるごと保護保全
②屋敷林並木の保存
③ヒイラギモクセイ生垣の復活
5)農地の保全
①短冊形農地の保全
②ブルーベリー栽培農地の拡充
③たからみちの保存
6)復活協力、御上水桜(小金井サクラ)
第3章 市民協働で水緑をつくる提言
1)水と緑のボランティア応援ポイント制度
2)危機状況を市民にリアルタイムで知らせ体験で問題意識を共有する
3)具体的体験の緑の啓発行事で市民参加の推進
4)さまざまな緑のワークショップ開催参加で緑の意識を育む
5)都市緑化功労者表彰制度の強化と拡大
6)クラウドファンデングによる緑化公募で市民参加
7)民間企業団体国都の機関敷地の緑化、市民開放への方策の検討
第4章 都市計画事業への緑の提言
1)新府中街道に小平南北“緑”の軸線を提案
2)鎌倉公園についての提案
①鎌倉公園は「都市農業公園」とすべき
②民間農地と共存する鎌倉公園(都市農業公園)のあり方
③持続可能な循環型農業の仕組みを鎌倉公園で見せる
④鎌倉公園に小平農業の礎である用水を再現する。
⑤鎌倉公園で自然エネルギー発電を
⑥インクルーシブ公園の整備提案
3)鷹の台公園についての提案
①鷹の台公園鎌倉公園に防災機能の提案
②鷹の台公園に用水路と水車、水車のための流れを提案します
4)駅前広場にシンボルツリーを提案
第5章 花落ち葉小公園
1)ハンギングバスケットによる花の街化
2)落ち葉
①落ち葉に感謝するイベント開催の提案
②各公園に「落ち葉ステーション」を設ける
③公園や雑木林隣接住宅等に「雨どい清掃券」の無料配布
3)小公園
①市民アイデアで小公園を魅力あるものに
第6章 提言のその先にある小平市「水と緑」の体系
その他提言書には盛り込めなかった提案
第1章小平市の成り立ちは先人がつくり上げた-水と緑と桜-に府中で生まれた川崎平右衛門の名前が出ていますが、鶴ヶ島市高倉に陣屋跡があるのを思いだしました(8代将軍吉宗、大岡越前に登用され、1739年から10年間武蔵野の新田開発の立役者として活躍した人物)。
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※第3次小平市みどりの基本計画(2021~2030)
※(仮称)小平市第三次みどりの基本計画素案作成に向けて(環境審議会資料2020年6月22日)