ナラ枯れ対策に現場で奮闘する研究者がナラ枯れの原因や対策をどのように解明していったのか。小林正秀さん達の研究を全国森林病虫獣害防除協会の森林保護機関誌『森林防疫』のバックナンバーから辿ってみました。(前回は小林・清水・藤下・矢尾・吉井「京都府向日市におけるナラ枯れ対策奮闘記」(2013年)(2022年3月12日記事)、前々回は小林・野崎・細井・村上「カシノナガキクイムシ穿入生存木の役割とその扱い方」(2008年)(2022年3月10日記事)、それ以前は小林・上田「京都府内におけるナラ類集団枯損の発生要因解析」(2001年)(2022年3月9日記事))
小林正秀・吉井優・竹内道也「ペットボトルを利用したカシノナガキクイムシの大量捕獲-京都市船岡山での事例」(『森林防疫』63巻1号 №700 2014年1月)(以下、下線は引用者)
1.はじめに
……様々な防除法が開発されているが、成功例は少ない。防除に失敗するのは、実績のない新しい防除法に飛びついたり、単一の方法に固執することも要因となっている。防除を成功させるためには、利用可能な全ての手法について経済性を考慮し、適切な手段を組み合わせて講じる総合防除(IPM)の考え方が重要である。2.船岡山の概要
……2009年に筆者らが初期段階で被害を発見した船岡山でも、ブナ科樹木が多くて全木のシート被覆は困難であった。そこで、ペットボトルで作成したトラップ(以下PT)を併用した総合防除を実施した結果、被害を抑えることに成功した。これは、シート被覆を主体とせずに面的な防除に成功した初めての事例であるため、その概要を報告するとともに、他の場所で実施する場合の留意点を指摘する。
3.2010年と2011年の対策
4.2012年の対策
5.PTを用いた総合防除の利点
6.PTを用いた総合防除の進め方
7.おわりに
※貴重木へのヒノキ木屑の設置、カシナガ飛来モニタリング用の接着紙
カシナガトラップを用いた総合防除の進め方、カシナガトラップの設置方法
カシナガトラップを用いた総合防除の進め方、カシナガトラップの設置方法