昨年11月、日本経済新聞出版から発行された気候変動が企業価値に影響する背景・経路・ロジックを解説した初の入門書、松尾雄介著・日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)協力『脱炭素経営入門 気候変動時代の競争力』出版されました。本日実施されたウェビナー『気候変動時代に求められる企業行動』(YouTube 1:59:52)を視聴しました。「なぜ、海外の企業・投資家と、日本企業や投資家との間に、取り組みレベルの大きなギャップがあるのか」、「なぜ、一部の日本企業は、脱炭素化に逆行する投資や意思決定を行ってしまうのか」。最重要KPI(重要業績評価指標)はカーボンバジェットです。効率的で効果的な気候リスクマネジメントの最善手が選択されているのか。現在の取り組みだけでは1.5℃達成は不可能です。
松尾雄介さんの基調報告「『脱炭素経営入門 気候変動時代の競争力』の概要」は、YouTubeの6:28~29:50、スライド資料はこちらです。



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自動車を動かすのに投じる燃料エネルギー投入100に対して、どれだけ動力になっているか。
熱効率(エネルギー変換効率):BEV(充電式電気自動車)77、FCV(水素燃料電池自動車)30、PtL(合成燃料自動車。CO2と水素を合成して製造される燃料。人工原油 Syncrude)13。

上図の出典:“Response to stakeholder consultation on an ‘EU strategy for Smart Sector Integration’”, Transport and Environment, 2021.
※ A clean shift for EU transport fuels? T&E recommendations for the RED review November 2021
TE Briefing REDⅡ review Autumn 2021 Final 2021.11.22 REDⅡ:2018年に改正された再生可能エネルギー指令.。
2021年7月から完全施行を迎えるタイミングで、次の改定案(以下、REDⅢ)が示された

※REDの「水素」は「グリーン水素」
丸田昭輝「欧州「Fit for 55」政策パッケージにおける水素・合成燃料の位置づけと今後の展開」(京都大学大学院経済学研究科再生可能エネルギー経済学講座コラム№273)
2021年7月に欧州委員会(EC)は、2030年にGHG排出量55%削減(1990年比)の達成のために「Fit for 55政策パッケージ」を発表した。パッケージというのは、特定の目的のために複数の政策を同時に策定・改正するもので、今回は12の政策の策定・改訂が提示されている(現状では案であり、今後、欧州議会・欧州理事会での議論を経て、数年かけて制度化される)。 ……欧州の「再生可能エネルギー指令(RED)」は、当初2009年に策定され、その後2018年に改正されている(RED II)。2018年当時の欧州連合のGHG削減目標は1991年比40%であったが、今回の改正案(以下「RED III案」とよぶ)ではこれを55%にかさ上げし、再エネ分野で欧州のリーダーシップ確立と雇用拡大に寄与することを目指している(なおREDはあくまでも再エネ拡大の政策であるので、水素でも「グリーン水素」に特化した政策である)
※水素には「グレー」「ブルー」「グリーン」がある!
(資源エネルギー庁HP2021年10月12日記事)
※資源エネルギー庁「2050年カーボンニュートラルどうやって実現する?」(YouTube 4:05)
※相模原市立環境情報センター「2050年カーボンニュートラル」
NPO法人アース・エコ製作(YouTube 9:22) NPO法人アース・エコ作成