昨日のB地区上段に続き、隣にあるD地区上段の草刈りを始めました。
D地区上段とB地区上段ののカヤは刈ってシイタケのホダ木の仮伏せの時に使う予定です。
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今日は学びの道下の土水路(東縁水路)の部分を刈りました。D地区上段を入山沼方面に向かって進むとI地区との高低差がなくなって、どこがD地区とI地区との境界になるのかわからなくなります。水路の標柱があるところまで刈っておきました。
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枯れたタコノアシが目に付くところはD地区中段~I地区
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※米村惣太郎「絶滅危惧植物タコノアシの保全と再生に関する生態学的研究」(清水建設技術研究所『研究報告』90号、2,013年1月)
6.1 タコノアシの生態的特性
個生態に関する実験および自然環境下における生育状況の調査結果から次のように考えられる。
6.1.1 生活環
種子は主に春季に発芽し、その年の夏季~秋季に開花・結実するとともに地下茎による栄養繁殖体を形成する。栄養繁殖体は、春季に伸長開始し、種子からの生育と同じく、夏季~秋季に開花・結実し、栄養繁殖体を形成する。冬季にはその年に生育した個体は枯死し、種子および栄養繁殖体から新たな個体ができる。
6.1.2 繁殖特性
タコノアシは種子と地下茎による繁殖を行う。種子繁殖では、多くの種子を生産し、水流などで広い範囲に散布しておき、発芽に適した裸地的環境であれば発芽・生育するが、適さない場合はシードバンクを形成し、攪乱によりギャップが生じた場合に発芽・生育する戦略を持つ種と考えられた。また損傷を受けても再生可能であり、栄養繁殖により個体数が 8 倍に増えたことから高い栄養繁殖能力を有していると考えられた。
6.1.3 生活史戦略
植物の生活史戦略を知ることはその種に適した生育環境を推定する有効な方法である 9)。Grime は植物の進化を支配した重要な淘汰圧として、競争、ストレス、撹乱の 3 つがあり、この作用のもとに、3 つの主要な戦略型、即ち、競争種、ストレス耐性種、撹乱依存種が進化したと考えた10)。これらの特性はトレードオフの関係にあり、現実の植物は 3 つの戦略をそれぞれ異なる程度で兼ね備えていると考えられている。……
……耕田では、ストレスとして降雨による冠水があるがその度合は小さい。休耕田では耕起や刈取りなどの農的管理が撹乱として機能し、それによりタコノアシの生育が継続できるが、管理が行われないと他種との競争に負けて消失する。調整池では、ストレスとして同様に冠水があるが、比較的度合は小さいため、休耕田と同様に競争的環境になり、短期間で消失する。ただし刈取りや耕起を行うことで個体数の増加や再出現が確認された。
このような各生育地での生育状況および個生態学的特性から、タコノアシは撹乱のない競争的環境では他種に負けて消失するが、冠水ストレスと撹乱に対する高い耐性を有しており、また大量の種子生産量やシードバンク形成などにより撹乱条件下でいち早くニッチを開拓できると考えられることから、総括的にはストレス耐性を兼ね備えた撹乱依存種と位置付けられる。[165~166頁]
6.2 タコノアシの保全と再生のための方法
6.2.2 休耕田における保全
休耕田の土壌分析および継続的な生育地の観察の結果、タコノアシの生育場として湿田状態が維持されていることが重要であった。また耕起、刈取りによる農的管理が行なわれている休耕田ではタコノアシの継続的な生育が見られたが、管理が行われなくなると、数年のうちに消失したことから、河川での洪水による撹乱を代替するような農的管理の実施が必要である。
6.2.3 タコノアシの再生のための方法
 1) 発芽・生育適地
実験結果から、タコノアシはギャップ検出機構を有する撹乱依存種であり、また調整池の植栽基盤では冠水あるいは土壌水分が適である場所より、過湿状態の場所で最も長く生育が維持されていた。これらから裸地であり、常時は冠水していない、過湿な土壌状態が維持されるような植栽基盤を構築する必要がある。
 2) 導入方法
播種およびポット苗での導入が可能である。ポット苗と同様に現地生育個体の移植も全て活着したことが確認されている。またシードバンクからの再出現も確認されており、これら 4 つの方法が現地の状況に応じて利用可能である。種子の生産量が多く、長期の保存も可能なため、再生や復元に際しては、種子を採取し、それを保存しておき、ポット苗を育成し、現地に導入する方法が最も確実性が高いと考えられる。
 3) 維持・管理方法
タコノアシは撹乱が起きずに植生遷移が進むと消失する。また調整池で起こるような水位変動だけでは遷移を戻すような作用は期待できない。そのためタコノアシを継続的に生育させるためには、休耕田で行われていたような耕起や刈取りのような農的管理、即ち、撹乱依存種が好む裸地的環境を創出・維持することを念頭においた順応的な管理の実践を行う必要がある。[166頁]

学びの道から見た入山沼下と市民の森の眺め(景観)です。眺めは視点(見る場所)で違ってきます。この写真では、帯状に入山沼堰堤まで続く学びの道下の斜面が大きく写っています。
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この場所からアズマネザサの大藪が消えたのは2019年4月です。「放っておけばこの景観はこれからどうなっていくのか?」、「景観をよくするというのはどういうことなのか?」、「法面緑化をどうすすめるのか?」問いを共有して考えていきましょう。
・法面の笹刈り(2019年3月29日30日4月3日