市民の森保全クラブ日曜日の活動日。参加者は芦田さん、新井さん、江原さん、金子さん、木庭さん、鳥取さん、細川さん、鷲巣さん、渡部さん、Hikizineの10名でした。今日からナラ枯れ枯死木の伐採を始めます。今日は作業道から尾根の道上がり口近くのコナラ(枯死№14、フラス№6、目通り直径37㎝)です。
P1150003P1230011P1230012

P1230018P1230030P1230033

P1230013P1230014P1230016

近くに10月24日に伐採したコナラ(フラス№3、目通り直径35㎝)があるので、コナラ枯死木の伐採は2本目です。
P1230035

細川さんが持ってきてくれたサツマイモを焼き芋にしました。
P1230002P1230003

P1230005P1230029
江原さんは焼き芋に凝って自宅でシルキースィートを焼いて、近所の方にお裾分けしているそうです。来年のイベントには、スタッフ一同、焚火が上達して、今年よりずっとおいしい焼き芋が食べられるようになっていそうです。

木庭さんが作ってくれたキーホルダー
P1230021P1230026

テッポウムシ(カミキリムシの幼虫)
P1230036P1230042
昆虫食。焼いて食べるとおいしい?

    (フマキラーHP『For your LIFE』 2021年2月19日記事)

◆ ------------------------------------------------------------ ◆

カシノナガキクイムシの穿孔によって枯死したコナラの特殊伐採
   ~ GRCSとポータラップによるリギング技術研修 ~
        (『Tree Climbing Japan』HP 2010年6月15日記事)
はじめに
1.カシノナガキクイムシとは
……雌が飛翔して来ると雄は孔から出て来て交尾し、その後に雌と一緒に孔の中に戻って、雌が持参したラファエレア菌(アンブロシア菌)を培養して酵母を食料とします。
[ラファエレア菌(アンブロシア菌)? ラファレア菌(ナラ菌) 酵母(アンブロシア菌)]
2.どうして木が枯れるのか?原因はラファエレア菌
……カシノナガキクイムシは「養菌性キクイムシ」と呼ばれ、樹木の木部に孔道(トンネル)を掘って、孔道壁面で栽培して酵母を摂食します。
 カシノナガキクイムシが培養する菌はラファエレア菌(Raffaelea またはナラ菌)と呼ばれ、雌が運ぶこの菌が繁殖すると辺材部で通水機能が低下して樹木が枯死します。
3.カシノナガキクイムシの生態
……昆虫の多くは卵を産む親と、卵から孵った子供が同居することは殆どありません。しかしキクイムシは人間と同様に一夫一妻制や一夫多妻制などの結婚生活を営み、子育てをします。
 この世代交代(繁殖)に成功した集団が加害した樹木は、夏に水分不足で枯損します。仮にカシノナガキクイムシに侵されても、繁殖に成功しなければその樹木は枯れません。このカシノナガキクイムシに対する予防および駆除手法として1) ケルスケットなど殺菌剤を樹幹注入する方法、2) 殺虫剤と粘着剤の混合液を樹幹に散布する方法、3) ビニールシートで幹を皮膜する方法、4) NCSくん蒸剤処理、5) 伐倒粉砕処理などがあります。
4.伐倒して薪にすること
 枯死した個体からは翌年の6~7月に大量のカシノナガキクイムシが脱出して、周辺の樹木を侵します。胸高直径30cm、樹高15mのミズナラの場合、1本の枯死木から2万匹の成虫が脱出し、これらが10本の枯死木を発生させると考えられています。
 森林内や伐採した現場にカシノナガキクイムシしか存在しないのであれば、殺菌剤注入や殺虫剤散布、NCSくん蒸剤処理有効かもしれません。しかし一方的に薬剤処理したり、環境に良くない処理をしたりするよりも、効果が少なくても少しでもカシノナガキクイムシの生息密度を低下させることが重要と考えます。
 そこで、カシノナガキクイムシが幼虫である状態の時、枯死木を伐採して薪状に割材することにより、ラファエレア菌の増殖を抑えて幼虫が死んで行くと同時に、周辺のアリ(蟻)類による食餌行動による駆除を実施しました。
 なお、この方法であれば、割材した木材を「薪材」として有効利用することが出来ます。

5.GRCSとポータラップによるリギング技術研修
おわりに
……また、カシノナガキクイムシ被害木は、伐採してNCS燻蒸剤処理するのが一般的ですが、今回の伐倒木はすべて割材して薪に利用しました。キクイムシがサナギになる前に、割材すると木材が乾燥して幼虫のある程度が死んでしまいます。また、割材して積み上げると、どこからともなく何種類かのアリ(蟻)が寄ってきて幼虫を補食してしまいます。
 割材はカシノナガキクイムシの完全防除には至りませんが、環境に対する影響は低く、かつ薪材として有効利用で木など、それなりの利点があります。
 自然界ではキクイムシは衰弱木を早く枯死させたり、腐りにくい材部を分解してくれたり、物質循環を促進するという重要な役割を担っているのですが、単に密度が高くなり過ぎたのが問題のようにも考えます。
 循環型社会が提唱される昨今、カシノナガキクイムシだけが悪者のように捉えられるような考え方では、新しい時代は見えてこない気(木)がします。(副代表 川尻秀樹)

GRCS(グッドリギングコントロールシステム)
グレッグ・グッドによって開発されたグッド・リギング・コントロール・システム(GRCS)。重量物を安全確実に吊り下ろすプロ用のツール。

◆ ------------------------------------------------------------ ◆

.※カシノナガキクイムシについて
(『Tree Climbing Japan』HP  2010年1月15日記事)
1.カシノナガキクイムシで木が枯れる経緯
 カシノナガキクイムシはコウチュウ目ナガキクイムシ科の昆虫で、成虫の体長は4~5mmの円筒状、雌の前胸背板には共生菌を貯蔵する器官(マイカンギア)である円形の小孔があります。
 この昆虫は本州、四国、九州、沖縄に分布しており、一夫一妻性で親が子どもの世話をする家族生活を営んでいます。繁殖期を迎えた雄成虫は午前中に繁殖場所から脱出して飛翔し、繁殖場所にふさわしい樹木を見つけて幹に穴(孔)を開けて、集合フェロモンを発散します。
 孔を開けた時に発生する木屑と集合フェロモンに誘引された雄が次々に飛来して集合フェロモンを発散するため、多くの雌雄成虫が飛来して幹に多数の孔を掘る集中加害が引き起こされます。集中加害はマスアタックと呼ばれ、樹木の抵抗力(樹液などを出す能力)を回避する方法です。カシノナガキクイムシは同時に多数の成虫がマスアタックするために、気温20℃以上で日差しがある二条件が揃う午前中に飛翔します。
 雌が飛翔して来ると雄は孔から出て来て交尾し、その後に雌と一緒に孔の中に戻って、雌が持参したラファエレア菌(アンブロシア菌)を培養するため、木部の水分移動が阻害されて木が枯れるのです。
[ラファエレア菌(アンブロシア菌)? ラファレア菌(ナラ菌)]
2.どんな樹木が加害されるのか?
3.キクイムシの食べ物(ラファエレア菌)
[ラファエレア菌(ナラ菌)ではなくアンブロシア菌とすべきでは?]
 キクイムシは名前の通り、樹木の木材部分や内樹皮を食べる種類が多いのですが、他にはドングリなどの種子を食べる種類や菌類を培養して餌にする種類がいます。 カシノナガキクイムシは菌類を食べる養菌性キクイムシと呼ばれ、樹木の奥深くに孔道(トンネル)を掘って、孔道壁面で栽培して摂食します。 1836年にキクイムシが白い物を食べていることを発見した研究者は、この食べ物をアンブロシア(ギリシャ神話に登場する不老不死をもたらす神の食べ物)に例えたため、養菌性キクイムシが食べる菌類はアンブロシア菌と総称されています。
 カシノナガキクイムシが培養する菌はラファエレア菌(Raffaelea またはナラ菌)と呼ばれ、雌が運ぶこの菌が繁殖すると辺材部で通水機能が低下して樹木が枯死します。培養するため、木部の水分移動が阻害されて木が枯れるのです。
4.カシノナガキクイムシの生態
5.対策はあるのか?
 1)万能な殺菌剤は無い。ラファエレア菌の殺菌は極めて困難である。
 2)ラファエレア菌を運ぶカシノナガキクイムシも樹幹内にいて殺虫は難しい。
 ・薬剤注入による防除方法
  1.生き残っている樹木にドリルで穿孔し、NCSくん蒸剤を2ml注入してカシノナガキクイムシとラファエレア菌を殺す。
  2.加害木を伐倒してNCSくん蒸剤処理するかチップ工場等へ搬出破砕処理、残った伐根部分はNCSくん蒸剤処理する。
 ・その他の防除方法
  1.着剤と殺虫剤の混合剤を樹幹に散布して駆除する。
  2.シイタケ菌など、きのこ菌とラファエレア菌と拮抗させてカシノナガキクイムシを殺虫する。
  3.ベンレートなど殺菌剤を樹幹注入して菌類の繁殖を抑制する。
 以上の方法などがとられていますが、現時点で画期的な手法はありません。またキクイムシは衰弱木を早く枯死させたり、腐りにくい材部を分解してくれたり、物質循環を促進するという重要な役割を担っているとも言えます。
 循環型社会が提唱される昨今、カシノナガキクイムシだけが悪者のように捉えられるような考え方では、混乱の時代は乗り切れないような気(木)がします。