社会をもっとよくするアイデアを集めたウェブマガジンIDEAS FOR GOODのサイトで「デンマーク」を検索すると150以上の記事がヒットし、「デンマーク特集」(#0~10)がありました。特集の記事からニールセン北村朋子さんが関わっている#0、#1、#3を読みました。ホイスコーレとはフォルケホオイスコーレの略称です。前記事「デンマークの教育と福祉から考える」をご覧下さい。
※【デンマーク特集#0】よい人生ってなんだろう?北欧の小さな国で問い直す、私のしあわせ、あなたのしあわせ by IDEAS FOR GOOD 編集部 2019年4月8日記事
デンマークは本当に幸せな国なのか?デンマークにおける「幸せ」とは何なのか?そしてデンマークの何がそこまで人を惹きつけるのか?デンマーク国内の2つの地域(首都コペンハーゲン、ロラン島)を訪問し、特集を始めるにあたって編集部が見つけた「デンマークの今をひも解く切り口」となるキーワードを紹介。
1.エネルギー自給率800%の小さな島、ロラン島
2.興味をとことん追求する学校、フォルケホイスコーレ
3.ニュー・ノルディック・キュイジーヌ(新北欧料理)
4.サステナブルな街づくり
5.サステナブルな暮らし
※【デンマーク特集#1】自分の幸せは、地球規模の幸せ。ロラン島で気づかされた、成熟社会の行きつく先。 by 宮木志穂 2019年4月10記事
Q:今回の「New Nordic Cuisine」プログラム開催のきっかけは?
Q:なぜ、食をテーマに選んだのか?
●身近なテーマから、民主主義のあり方を考える
Q:目指す未来について
※【デンマーク特集#3】「気づいたら、分かってた」が理想。ニールセン北村さんに聞く、デンマーク流・民主主義の学び方 by 木原優佳 2019年4月15日記事
デンマークは本当に幸せな国なのか?デンマークにおける「幸せ」とは何なのか?そしてデンマークの何がそこまで人を惹きつけるのか?デンマーク国内の2つの地域(首都コペンハーゲン、ロラン島)を訪問し、特集を始めるにあたって編集部が見つけた「デンマークの今をひも解く切り口」となるキーワードを紹介。
1.エネルギー自給率800%の小さな島、ロラン島
2.興味をとことん追求する学校、フォルケホイスコーレ
3.ニュー・ノルディック・キュイジーヌ(新北欧料理)
4.サステナブルな街づくり
5.サステナブルな暮らし
※【デンマーク特集#1】自分の幸せは、地球規模の幸せ。ロラン島で気づかされた、成熟社会の行きつく先。 by 宮木志穂 2019年4月10記事
IDEAS FOR GOOD編集部は、デンマークのロラン島に降り立ち、「ニュー・ノルディック・キュイジーヌ(新北欧料理)」のワークショップに参加した。ニュー・ノルディック・キュイジーヌについては次回の記事で言及するが、ここではロラン島にフォーカスをあてたい。●「食」という切り口から、暮らしを考える
ロラン島とは、人口4万2千人程度で面積は沖縄本島と同じくらいの小さな島である。毎年人口が減少し続けており、日本と同じように少子高齢化という問題を抱える。ここには日本からデンマークに移住したニールセン北村朋子さんが住んでおり、デンマークの教育やデンマークで大事にしている生き方を日本に伝えるアドバイザーやコーディネーター、ジャーナリストとして活動している。今後はデンマーク出身のニコライ・フロストらとともにフォルケホイスコーレを立ち上げる予定だ。
Q:今回の「New Nordic Cuisine」プログラム開催のきっかけは?
Q:なぜ、食をテーマに選んだのか?
●身近なテーマから、民主主義のあり方を考える
Q:企画側として特にこだわった点は?●大切なのは、皆が納得できる「最上の妥協点」を探すこと
例えばプログラム内の料理セッションでは、料理が得意な生徒も、包丁をほとんど持ったことがないという生徒も、シェフでさえもフラットに参加するシステムです。
最低限のレシピだけが与えられ、絶対的な答えや手本がない状態で、進むべき道筋を明らかにしていく。そのために皆で徹底的に対話する。やるべきことが割り出せたら、できる人ができる部分を担当、協力しながら同じ目標を目指す。……これができなければ、その日の食事にありつくことはできませんでした。「料理をつくる」という一連のプロセスを通じて、民主主義をうまくまわす「体験」をしていた、ということですね。
学校ごとに扱う内容は違いますが、このように一つのテーマを通じて「民主主義のあり方」を考えるのは、どこのフォルケホイスコーレでも同じ大きな目標なんです。その意味でも、フォルケホイスコーレは「民主主義の学校」と言われます。
民主主義と自分とのつながりが分からない状態では、それがいかに大切なものかを知るのは難しいことです。子どもたちが自然に「民主主義ってこんなもの」ということを体得してくれたら、それが一番です。「こういうことができるのも社会のシステムがいい方向に働いているからだ」「こういう社会の仕組みなら、もっとこういうことができる」というような「気づきを得られる機会」をつくることが重要だと考えています。だからこそ、民主主義を学ぶことを目的とするのではなく、身近な題材から考えてみる、ということが必要なんですね。
デンマークでは実際に、フォルケホイスコーレで学んだ人が政治家となり、国を変えていったんです。「良い民主主義とは何か」を普段から考える機会と、考えたことをほかの人とじっくり話せる場があり、そこで学んだ人が少しずつ増えていく……そうすれば、実際に世の中を変えられるのだということを表すパワフルな例ですよね。
Q:目指す未来について
Q:ニールセンさんが考えるフォルケホイスコーレの価値とは?●編集後記
フォルケホイスコーレという場所では、誰からも否定されません。先生が生徒へ教えるという一方通行の関係ではなく、皆がフラットな立場で向き合います。日本でもそういう雰囲気のなかで、社会について気軽に話しあえる場がつくれるといいなと思うんですよね。
一人ひとりが大切な存在だから、誰もが自分の意見を持てるのは当たり前のこと。違う人間なのだから意見がぶつかるのも当たり前。大切なのは「じゃあどうやってコンセンサスをとっていこうか?」ということ。皆が納得できる「最上の妥協点」を探すこと、それが一番大切なことなんです。デンマークの人たちは、ルールを「自分の自由を制限するもの」ではなく「発想を膨らませていくためのベースライン」として捉えているように感じます。「~してはいけない」というルールがあったら「じゃあ、それ以外のものならいいんだよね?」「どういう方法ならできるかな?」というふうに考えようとする人が多いんですね。考え方を少しだけ変えてみるだけで、世界は変わるんですよ。
とはいっても、そのような考え方ができるためには「自分は社会を構成するひとりの大切な存在で、暮らしたい社会に変えていく権利があるし、実際に変えていくことができる」という自己効力感が必要です。だからこそ、日本の子どもたちにも「否定されずに自分の意見を気兼ねなく言える経験」をたくさんしてほしいと思います。
教育体制を今すぐに変えるのは難しい。ですが、学校とは違う形で「民主主義をきちんと考え、語れる場」をつくることはできます。そういう場で学び、「今のままだといけないな」と思う人が少しずつ増えていけば―デンマークでそうだったように―「根本から教育を変えていこう」という動きだって生まれていくはずです。
自分という存在の重要さを知ること―それこそが、すべての始まりなのではないか、と感じさせられた。「自分は、この社会を構成する一員なのだ」という感覚や「自分の意見を聞いてもらうことができる」という他者への信頼感がなければ、社会を良くしようなんて思えるはずがない。自分を大切に想い、自らの心身の安全を確保できなければ、同じ時代を生きる人たちにやさしい目を向けることもできないだろう。
「自分の意見は大切、相手の意見も同じように大切」そう気づけたとき、そして「互いにハッピーになるにはどうしたらいい?」という疑問が浮かぶようになったとき──遠いものだったはずの民主主義が、自分ゴトになる。
教育体制を今すぐに変えることは難しいかもしれないが、「否定しない/されない関係づくり」や「制限を活かす発想の仕方」などをヒントにして身の回りに小さな変化を起こすことはできる。
「じゃあ、どうする?」
答えはあなたの中にある。
※【デンマーク特集#3】「気づいたら、分かってた」が理想。ニールセン北村さんに聞く、デンマーク流・民主主義の学び方 by 木原優佳 2019年4月15日記事
異なる意見を持つ人々どうしで、じっくりと対話しながら答えを探す―そんな「民主主義的な問題解決の方法」を学べる場所がデンマークのフォルケホイスコーレだ。フォルケホイスコーレは17歳以上ならだれでも入学できる全寮制の学校で、それぞれの興味を追求するため年齢も国籍も異なる生徒たちが集まっている。授業はディスカッションが中心で、教室でも寮でもとにかく「対話すること」が大切にされている。暮らしのなかで生徒一人ひとりの「社会」観や「民主主義」観を育むスタイルは、言葉の通りまさに「民衆の・高等学校(=フォルケ・ホイスコーレ)」といえるだろう。
2月末、デンマーク・ロラン島にて、「食」を切り口にフォルケホイスコーレ教育を体験するプログラム「New Nordic Cuisine(ニュー・ノルディック・キュイジーヌ)」が開催された。前回の記事「新しい」北欧料理のワークショップから、食がもたらす豊かさを知るでは5日間のプログラム概要について紹介したが、今回の記事では「企画側の意図」や「プログラムに込められた想い」に焦点を当てていく。●「食」という切り口から、暮らしを考える
編集部は、プログラム企画者の1人、2001年からロラン島に移住した日本人・ニールセン北村朋子さんにお話を伺うことができた。彼女はロラン島のサステナブルな地域づくりに感銘を受け、地域の再生エネルギー施策や農業、教育について世界中に発信することを決意。以来、島の知名度向上や島外地域との関係づくりに大きく貢献し続けてきた。同僚からは「ロラン島の歴史は、朋子“前”と朋子“後”に分けて説明できる」との声が上がるほどだ。
彼女がプログラムを通して伝えたかったこととは?そして、デンマーク流の学び方の可能性とは?
Q:今回の「New Nordic Cuisine」プログラム開催のきっかけは?
Q:なぜ、食をテーマに選んだのか?
●身近なテーマから、民主主義のあり方を考える
Q:企画側として特にこだわった点は?
今回のプログラムで、単に料理のレシピを教えたかったのではありません。食というテーマを通して「人と一緒に良い社会をつくる」ということについて考えてもらうのが、大きなテーマでした。●大切なのは、皆が納得できる「最上の妥協点」を探すこと
例えばプログラム内の料理セッションでは、料理が得意な生徒も、包丁をほとんど持ったことがないという生徒も、シェフでさえもフラットに参加するシステムです。
最低限のレシピだけが与えられ、絶対的な答えや手本がない状態で、進むべき道筋を明らかにしていく。そのために皆で徹底的に対話する。やるべきことが割り出せたら、できる人ができる部分を担当、協力しながら同じ目標を目指す。……これができなければ、その日の食事にありつくことはできませんでした。「料理をつくる」という一連のプロセスを通じて、民主主義をうまくまわす「体験」をしていた、ということですね。
学校ごとに扱う内容は違いますが、このように一つのテーマを通じて「民主主義のあり方」を考えるのは、どこのフォルケホイスコーレでも同じ大きな目標なんです。その意味でも、フォルケホイスコーレは「民主主義の学校」と言われます。
民主主義と自分とのつながりが分からない状態では、それがいかに大切なものかを知るのは難しいことです。子どもたちが自然に「民主主義ってこんなもの」ということを体得してくれたら、それが一番です。「こういうことができるのも社会のシステムがいい方向に働いているからだ」「こういう社会の仕組みなら、もっとこういうことができる」というような「気づきを得られる機会」をつくることが重要だと考えています。だからこそ、民主主義を学ぶことを目的とするのではなく、身近な題材から考えてみる、ということが必要なんですね。
デンマークでは実際に、フォルケホイスコーレで学んだ人が政治家となり、国を変えていったんです。「良い民主主義とは何か」を普段から考える機会と、考えたことをほかの人とじっくり話せる場があり、そこで学んだ人が少しずつ増えていく……そうすれば、実際に世の中を変えられるのだということを表すパワフルな例ですよね。
Q:目指す未来について
Q:ニールセンさんが考えるフォルケホイスコーレの価値とは?
フォルケホイスコーレという場所では、誰からも否定されません。先生が生徒へ教えるという一方通行の関係ではなく、皆がフラットな立場で向き合います。日本でもそういう雰囲気のなかで、社会について気軽に話しあえる場がつくれるといいなと思うんですよね。●編集後記
一人ひとりが大切な存在だから、誰もが自分の意見を持てるのは当たり前のこと。違う人間なのだから意見がぶつかるのも当たり前。大切なのは「じゃあどうやってコンセンサスをとっていこうか?」ということ。皆が納得できる「最上の妥協点」を探すこと、それが一番大切なことなんです。デンマークの人たちは、ルールを「自分の自由を制限するもの」ではなく「発想を膨らませていくためのベースライン」として捉えているように感じます。「~してはいけない」というルールがあったら「じゃあ、それ以外のものならいいんだよね?」「どういう方法ならできるかな?」というふうに考えようとする人が多いんですね。考え方を少しだけ変えてみるだけで、世界は変わるんですよ。
とはいっても、そのような考え方ができるためには「自分は社会を構成するひとりの大切な存在で、暮らしたい社会に変えていく権利があるし、実際に変えていくことができる」という自己効力感が必要です。だからこそ、日本の子どもたちにも「否定されずに自分の意見を気兼ねなく言える経験」をたくさんしてほしいと思います。
教育体制を今すぐに変えるのは難しい。ですが、学校とは違う形で「民主主義をきちんと考え、語れる場」をつくることはできます。そういう場で学び、「今のままだといけないな」と思う人が少しずつ増えていけば―デンマークでそうだったように―「根本から教育を変えていこう」という動きだって生まれていくはずです。
自分という存在の重要さを知ること―それこそが、すべての始まりなのではないか、と感じさせられた。「自分は、この社会を構成する一員なのだ」という感覚や「自分の意見を聞いてもらうことができる」という他者への信頼感がなければ、社会を良くしようなんて思えるはずがない。自分を大切に想い、自らの心身の安全を確保できなければ、同じ時代を生きる人たちにやさしい目を向けることもできないだろう。※デンマークが教えてくれる持続可能な都市経営5つの視点
「自分の意見は大切、相手の意見も同じように大切」そう気づけたとき、そして「互いにハッピーになるにはどうしたらいい?」という疑問が浮かぶようになったとき──遠いものだったはずの民主主義が、自分ゴトになる。
教育体制を今すぐに変えることは難しいかもしれないが、「否定しない/されない関係づくり」や「制限を活かす発想の仕方」などをヒントにして身の回りに小さな変化を起こすことはできる。
「じゃあ、どうする?」
答えはあなたの中にある。
https://note.com/output_shukan/n/n1e556f6fcbb4
by shunsuke kaminaka@都市経営 2021年1月15日記事
デンマーク・川崎市の都市経営について、ニールセン北村さんと対談させていただきました。
デンマーク ロラン島在住の北村さんは、ジャーナリスト、国賓クラスの通訳、デンマークの教育機関で食のフォルケホイスコーレの立ち上げといった幅広い分野で活躍中です。
幸福度ランキングで常に上位にある国で有名ですが、(2020年はデンマーク2位、日本は62位)
幸福の一言には表せない、ものすごく洗練された社会システムがありました。そして日本と私たちの、未来へのメッセージも。
今回は、北村さんからのお話、そして中島健祐さんの書籍から、デンマークを都市経営の視点で紹介したいと思います。
はじめに
・デンマークとは
・電力自給率800%のロラン島
・「デザインDNA」と4方よし
1.複合的に課題を解決するパブリックデザイン
①ゴミ処理場から健康、教育、熱供給
②移民の文化が共存する公園
③歩行者専用空間と自動車のあり方
④食からアプローチする地球環境
2.本質や課題解決を学ぶ教育
①デンマークの教育
②レゴブロックに学ぶアプローチ
3.デンマークにおける社会でのアプローチ手法
①PPP(トリプルヘリックス)
②デザイン・ドリブン・イノベーション
③Denmark design center(DDC)
4.都市と地方の関係をデザインする
5.改めて問われる日本の民主主義
(デザインコンサルティング『ロフトワーク』HPから by 岡田恵利子 2020年6月13日記事)
プレゼン3つに共通していたデンマークらしい民主主義の話
1. デンマークの参加型デザイン・共創の現場あれこれ
2. インキュベーション施設 Institut for (X) と、そこで実践されていた民主主義的建築
3. デンマークの教育事情と世界一の学生寮 Tietgen での生活風景
1. デンマークの参加型デザイン・共創の現場あれこれ
2. インキュベーション施設 Institut for (X) と、そこで実践されていた民主主義的建築
3. デンマークの教育事情と世界一の学生寮 Tietgen での生活風景
デンマークとオンラインで繋ぐ! 自治が生まれる場作りのヒント YouTube 2:40:53
デンマークにおける「共創・参加型デザイン」についての事例を紐解きながら、日本における共創・参加型自治が生まれる場作りについての可能性を議論します。……Withコロナ/Afterコロナ における、デンマークの状況・対応についても触れながら、自分たちの暮らしや仕事のあり方を自分たちごととして納得しながらデザインすることが上手なデンマークから、日本に活用できるヒントを探ります。