21日に東松山・自由学校主催で開かれた『デンマークの教育と福祉から考える』でのニールセン北村朋子さんのお話しの部分がYouTubeで限定公開されていましたので聴講しました。ニールセン北村朋子さんの講演は、3月21日、10月17日にも聴いています(10月17日記事)。
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今も書架のどこかに眠っている石見尚『協同組合論の系譜―その遺産と課題 』(家の光協会、1968年) や綱沢満昭『日本の農本主義』(紀国屋新書、1971年)をはるか昔に読んで以来、大正・昭和期の「日本国民高等学校」、「塾風教育」の歴史に関心を持っていますが、人生のための学校という視点からデンマークのフォルケホイスコーレについて学び直してみたいと思いました。
フォルケフオイスコーレとは・意味(『IDEAS FOR GOOD』の「用語集」から)
フォルケホイスコーレとは?
フォルケホイスコーレ(Folkehøjskole)とは、17.5歳以上(*1)であれば誰でも学べる全寮制の学校のこと。デンマークを発祥として北欧に広がっている。現地語では「ホイスコーレ」「ホイスコーレン」と呼ばれることが多い。
デンマークには約70校あり、学校によって特色はあるが、対話を中心とした授業を行うことや、生徒が主体となって学ぶことなどが共通している。入学資格やテストはなく、年齢、国籍、学歴を問わず誰でも入学できる。そして、成績評価がなく、単位も学位も与えられないという独自の制度を持つ。
フォルケホイスコーレの特徴をまとめると、下記の5つである。
    入学試験、資格がない
    成績の評価はされない
    単位や学位は与えられない
    校舎の中、あるいは校舎から近い宿舎で共同生活をする
    対話、民主主義教育をする
授業の合間には、教員と生徒が食事をともにし、立場やバックグラウンドの違いも関係なく対話する。片付けや掃除なども自分たちで分担して行うところが多い。……10代の学生から社会人、高齢者まで、さまざまな世代が生徒となって学び、それぞれが納得するまで自身の知的好奇心を追求するのだ。
フォルケホイスコーレは何のためにある?
「民衆の(フォルケ)高等学校(ホイスコーレ)」という名前の通り、フォルケホイスコーレはもともと、教育格差の激しかった1800年代前半のデンマークで「すべての人に教育を」というコンセプトのもと生まれたものだ。デンマークの教育の父、NFS・グルントヴィが理念を提唱し、同じくデンマークのクリステン・コルが実際には創始した。コルは、デンマークのオルタナティブ教育の創始者でもある。
1844年にデンマークの南部に創設された最初のフォルケホイスコーレでは、冬の11月から3月にかけて授業が行われた。対象者は地方部に住む農民などアカデミックな教育を受けられない人々で、彼らは冬以外の季節は農作業をしていたからだ。はじめは男性の参加者のみだったが、徐々に女性の参加も認められるように。
フォルケホイスコーレは、デンマークの国民意識、そして民主主義教育に大きく寄与したと言われている。それが今、デンマークの「幸福度ランキング」の好成績もあいまって、日本でも注目されているのだ。フォルケホイスコーレは、民主主義を育てる場であると同時に、すべての人が学べる「生涯学習」の体験の場でもある。

特集:デンマークの“人生の学校” 「フォルケホイスコーレ」とは?(【違う】で立ち止まり、観察する ライフジャーナルマガジン『考える。暮らし、雛形』HP)
大人が仕事をしないで、自分の暮らしや働き方と向き合おうとするとき、「ニート」と呼ばれたり、「ぶらぶらしている」と言われたりする。日本には、積極的に立ち止まったり、能動的に迷うときの選択肢が、少ないのかもしれない。社会のペースから少し外れて、自らの暮らしや将来、幸せについて考える時間を持つという考え方が根付いたら、日本はどんなふうに変わるだろう?
人生のための学校、デンマークの「フォルケホイスコーレ」って、どんな学校?【前半】2019年5月24日更新記事
年齢や性別の重圧から開放されて。デンマーク・人生の学校「フォルケホイスコーレ」から持ち帰ったもの。【後半】2019年5月30日記事
  


     (『Energy Democracy Salon』2015年9月10日記事)
 エネルギーと社会のあり方が分散型へと変化していくなかで、個別の取り組みを長期的な時間軸の中で体系的に位置付ける思想、哲学、コンセプト、アイデアなどを探るEnergy Democracy Salon。今回は「デンマークに見る現代エネルギーデモクラシーの源流」をテーマに、中島健祐氏(デンマーク大使館)と飯田哲也(環境エネルギー政策研究所)の対話をお届けします。
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豊かさを支える社会システムづくり
デンマークのエネルギーデモクラシー
信頼と価値創造
− いろいろキーワードや切り口があると思いますが、長期的な時間軸で考えて、過去・現在・未来という流れで議論を進めていきたいと思います。まずは過去について、歴史的背景からデンマークと日本を見たときに、社会システムや価値創造の面で共通点や相違点はどのようなところにあるのでしょうか。
− 「豊かさ」の話について、北欧は高い税負担のもとで社会を支える分配のシステムがつくられていますが、それはどのように維持しているのでしょうか。
地域の未来と価値創造
− 日本とデンマークの過去から現在の流れを踏まえた上で、「分散型」「共生デザイン」といったようなキーワードがあるかと思いますが、未来について、地域からの視点も交えつつ、これから先の20〜30年はどのような価値を生み出し、現実をつくっていくことが必要でしょうか。
経験とアイデンティティ
− 未来を考えて、新しい価値をつくり出す上で、若い世代がどのような教育を受け、経験を積んでいくことが必要でしょうか。
共創のダイナミズム

※中島健祐『デンマークのスマートシティ ~データを活用した人間中心の都市づくり~ 』(学芸出版社、2019年12月)
1章 格差が少ない社会のデザイン
 1 格差を生まない北欧型社会システム
 2 税金が高くても満足度の高い社会を実現
 3 共生と共創の精神
 4 課題解決力を伸ばす教育
 5 働きやすい環境
 6 格差がないからこそ起きること
2章 サステイナブルな都市のデザイン
 1 2050 年に再生可能エネルギー100 %の社会を実現
 2 サーキュラーエコノミー(循環型経済)の推進
 3 世界有数の自転車都市
 4 複合的な価値を生むパブリックデザイン
3章 市民がつくるオープンガバナンス
 1 市民が積極的に政治に参加する北欧型民主主義
 2 市民生活に溶け込む電子政府
 3 高度なサービスを実現するオープンガバメント
 4 サムソ島の住民によるガバナンス
4章 クリエイティブ産業のエコシステム
 1 デンマーク企業の特徴
 2 世界で活躍するクリエイティブなグローバル企業
 3 デジタル成長戦略と連携して進展するIT産業
 4 スタートアップ企業と支援体制
 5 新北欧料理とノマノミクス
5章 デンマークのスマートシティ
 1 デンマークのスマートシティの特徴
 2 コペンハーゲンのスマートシティ
 3 オーフスのスマートシティ
 4 オーデンセのスマートシティ
6章 イノベーションを創出するフレームワーク
 1 オープンイノベーションが進展する背景
 2 トリプルヘリックス(次世代型産官学連携)
 3 IPD(知的公共需要)
 4 社会課題を解決するイノベーションラボ
 5 イノベーションにおけるデザインの戦略的利用
 6 社会システムを変えるデザイン
7章 デンマーク×日本でつくる新しい社会システム
 1 日本から学んでいたデンマーク
 2 デンマークと連携する日本の自治体
 3 北欧型システムをローカライズする
 4 新たな社会システムの構築
おわりに
第1章格差の少ない社会のデザイン1 格差を生まない北欧型社会システム◈デンマーク社会を支えた哲学にフオルケホイスコーレの理念を提唱したニコライ・フレデリク・セヴェリン・グルントヴィ(Nikolaj Frederik Severin Grundtvig、1783年9月8日 - 1872年9月2日)が取りあげられいます。
グルントヴィの理念は、現在のデンマーク社会に次のような影響を与えている。
・国民はすべてが平等な生活を送ることに価値をおく=格差の少ない北欧型社会システム
・知識ではなく対話を重視=コンセンサス型社会システム
・死の学校から生のための学校=知識から、知恵や問題解決能力を習得する教育(同書27頁)
また、◈ヤンテの掟とフラットな社会(同書32~36頁)では、ヤンテの掟(Janteloven)の影響として、「こうした国民の振る舞いが、格差を感じることの少ない社会をつくりだしている一因だろう」と肯定的に評価しています。近藤浩一『スウェーデン 福祉大国の深層 ~金持ち支配の影と真実~ 』(水曜社、2021年2月)47~50頁の本音を言わず主張もしない「ヤンテの掟」での、「自己主張をせず、本音をなかなか言わず、人との衝突を避ける国民性をもたらす」、「日本人以上に建て前社会であり、社会体制に逆らわない国民性」という否定的評価とは対照的です。