市民の森保全クラブ活動日。参加者は芦田さん、木庭さん、鳥取さん、細川さん、鷲巣さん、渡部さん、Hikizineの7名でした。今日はいろいろな仕事をしました。
①木庭さんが持ってきてくれたペットボトルをカッターで切断しました。上の口の部分は鳥取さんがカシナガトラップ作成に使用、残りの下の部分はコナラのドングリや発根した実生を育てるポット苗作り、カブトムシの幼虫を入れる容器に使います。
②ミニホダ木の駒打ち。13日のイベントで残ったシイタケの駒をホダ木に打ち込みました。打ち込み後は必ずたっぷり散水する。木口に菌糸が発菌するまでは一周間に2回程度、ホダ木全体が濡れるように水を撒くことが肝要です。
③コナラの苗作り。ドングリを地面に直に撒くほか、植木鉢、プランター、宅配ボックス、樹脂ポット、ペットボトル、牛乳パックなどを使ってみます。水やりなしで野外で育てることになるので、場所や置き方など試していきます。
④熊手の点検。落ち葉掃きに使う熊手の柄を子ども用に短く切りました。現在使えるものは27本あります。12月26日、1月8日は参加者全員に1本宛わたせるように準備しておきます。
⑤ドラム缶で焼き芋づくり。今日は紅はるかです。ねっとり系は紅はるか、安納芋、ホクホク系は紅あずま、鳴門金時。美味しい焼き芋の作り方や焚き火の仕方など研修しています。戸外なので、薪、小枝、落ち葉、稲ワラなど燃すものや焼き方(焚き火やドラム缶、石焼き芋)なども試せます。
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京都府林業試験場(現・森林技術センター)業務月報(2014年6月号)
当センターではカシノナガキクイムシの穿入に伴うナラ枯れ被害を抑えるため、さまざまな防除法を開発してきました。特に、ペットボトルの先端を重ねたトラップを幹に吊すことで、幹周辺でホバリングする成虫を大量捕獲する方法は、メディアでも大きく取り上げられました。
このトラップは、カシノナガキクイムシの生態を徹底的に調べ、視力が弱く、歩行が苦手なことを解明した基礎研究によって開発できました。また、これを改良した既製品「カシナガトラップ」は、京都府内だけでなく、近畿府県でも設置され、貴重木の保護に活躍しています。
※京都府のナラ枯れ対策
京都府生物多様性地域戦略(2018)資料74頁
カシナガの攻撃を受けた木が枯れるのは、カシナガが樹体内に持ち込む病原菌(ナラ菌)によって、水を通す管が詰まるためです。近年になって被害が拡大したのは、薪炭林の利用が低下し、カシナガが好む太い木が増えたためと考えられています。
ナラ枯れは伝染病であり、枯れ木を放置すると、翌年に成虫が脱出して被害が拡がってしまいます。そのため、枯れ木を切り倒して毒ガスで殺虫する方法や、木にビニールシートを巻いたり塗布剤を塗ったりしてカシナガの攻撃を防ぐ方法が取られます。
しかし、これらの方法だけでは被害を減らすことが難しいため、京都府では「カシナガトラップ」を活用しています。
このトラップはペットボトルの先端をつなげた形をしており、下部にエタノールの入った容器を取り付けています。すると、エタノールに誘われてやってきたカシナガが木に穴を開け、同時にフェロモンを発散してたくさんの仲間を呼び寄せます。こうして集まってきたカシナガを、漏斗状のトラップに誘い込むことで、捕獲するという仕組みです。この方法で、1週間で1万頭以上が捕れることがあります。
カシナガによって一気にたくさんの穴を開けられた木は抵抗できずに枯れてしまいますが、少しの穴なら枯れません。カシナガトラップは、木に飛来したカシナガの大半を捕獲することで、一気にたくさんの穴が開くのを防ぎ、木を守ります。こうして守られた木は、樹体内にタンニンなどが蓄積され、カシナガに対する抵抗力が増し、枯れにくくなります。守りたい森に3年程度継続してトラップを設置すれば、抵抗力が高い木が増え、その木自身がカシナガを駆除するようになります。