29日の岩殿入山谷津植生調査の際、20年度の伐採・更新エリアで虫こぶ(虫えい)の写真を撮りました。
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今日、再度現場に行って調べたところ、糸状菌(カビ)が原因のこぶ(えい)だったことがわかりました。
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枝を切り取り、コブの部分は堅いのでノコギリで切断してみました。
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ネットで調べると「虫こぶ? かと思って切ってみたら… コナラの「こぶ病」のようです」(『あうるの森』2021年2月21日記事)がありました。この記事にあるリンクをたどって「コブ病。木の枝や幹にできるコブ状に見える樹の病気(奇形)です。」(『趣味の自然観察、デジカメ持ってお散歩』2017年3月21日記事)を読みました。写真の解説の部分は元の記事を読んで下さい。
コブ病(コナラのコブ病 、サクラコブ病、サクラがんしゅ病、テング巣病、ヤマモモコブ病、マツコブ病、スギコブ病、フジコブ病、シラカシ樹幹コブ病等)は樹木の枝や樹幹に発生する病気で細菌と糸状菌が原因になっています(注意・シラカシ樹幹コブ病は原因がまだ分かっていません)。樹木にコブができる病気をコブ病と総称的に呼んでいるようです。コブ状に奇形した部位の樹皮の表面はザラザラしていて、大きいものは握り拳ほどにも肥大します。樹幹から伸びる枝に発生した場合、枝の元の部分(枝が出る部分)はザラザラした状態で盛り上がります。枝にできて大きくなったコブの部分から折れて枝が落下している枝もあります。コブの内部はやがて空洞になって折れやすくなっているようです。樹木にしたらかなり厄介な病気に感染してしまったことになります。原因が糸状菌の場合はブナ科に多く発生するようです。この原因となる菌がマツに移り、マツにも発生するそうです。感染を防ぐ予防(対処)はコブのできた枝や幹を早期に切って捨てることで菌の広がりを防ぎます。菌が残っているとまた発生してしまいます。薬品を散布して病気が発生することを防ぐ方法もあるそうです。……
コブ病にはかかりやすい樹種があります。コナラのコブ病、サクラのコブ病、マツのコブ病、スギのコブ病、ヤマモモのコブ病、フジのコブ病が良く知られていますが、タケ類にも発生するということです。主に幹や枝にできる病気なので、広葉樹にできるコブ病の場合は、葉の落ちた時期に観察すると見つけやすいです。葉の茂っている時期ですと葉に隠れて見つけにくくなってしまいます。病名のコブ病や テング巣病 は総称的に呼ばれています。……
・コナラのコブ病。コナラの木の全体の枝に、木の実がなっているように沢山ついています。コナラにできやすいようです。枝に沢山の小さなコブがついている木もあります。この原因菌は糸状菌になるようですが、コブ病を発生させる原因菌は多いようです。コブ病はナラ類(コナラ、ミズナラ、カシワなど)に多く発生しています。コブ病については詳しくは分かっていないそうです。葉の落ちた時期に見つけると木全体の枝にびっしりとできているものまであります。原因菌はクロナルティウム・クエルカムという糸状菌(カビの1種)です。この菌はマツに感染します。
・マツにできるマツコブ病。マツに発生するコブ病はクロナルティウム・クエルカムという糸状菌(カビの1種)が原因になっているそうです。樹幹に球状の塊ができます。近くにコナラのコブ病菌にかかった樹があるとマツにも感染してしまうそうです。コナラのコブ病も同じクロナルティウム・クエルカムという糸状菌(カビの1種)が原因です。
コナラにできたコブ病です[写真略]。コナラのコブ病。ナラ類にできる病気ですが、クヌギ、アベマキの樹では見ていません。コナラが感染に弱い種類になるのか、コナラに特有に発生する菌種になるのかは分かりません。、樹の枝にこれでもかという位にできていました。枝全体にコブが発生していて、知らないと枝にコブコブができる樹かと思ってしまうほどです。大きさは大きい塊でゴルフボール程でした。樹には薬品(おそらく予防薬だと思います)の入ったペットボトルがぶら下がっていました。、1部を拡大しました。このコブは大きいものになります。綺麗な球形ではないのですがゴルフボールよりも大きかったです。、落下していた枝にできていたものです。細い枝の分かれ目や細い枝の途中など、コブの大きさ、できている部位はまちまちです。
こちら[写真略]もコナラのコブ病ですが、コブのでき方が違って見えるものです(原因菌は同じかも知れません)樹の枝の途中にできているコブです。数は少なく樹の全体を見ても2つの枝にできていて、1つには大きく握りこぶし大になったものと、他の部位の枝には3個のゴルフボール程~ウズラの卵位の大きさのコブができていました。、このコブの大きさはウズラの卵ほどです。枝の途中にできているようです。、かなり大きなコブで握りこぶしほどの大きさがあります。
・日本大百科全書「ニッポニカ」の解説によるとネクトリア属の菌が植物のがんしゅを作るようですが、専門的すぎて良く分かりません。またコナラのコブ病とマツコブ病はクロナルティウム・クエルカムという糸状菌(カビの1種)が原因になっているそうです。
樹の幹(樹幹)や太い枝にできる樹のコブは、何らかの原因で傷を受けた樹が、傷を治すために細胞を増殖させてできたものになるようです。できている場所は幹が多いです。傷を受けた場所は、傷が修復されて盛り上がって瘢痕状になっていることが多いのですが、稀に傷が修復された後でも細胞が増え続けることで大きくなっていく事があるようです。この場合はコブが大きくなり続けることになります。これは樹皮等の細胞が増殖をして成長を続けることでコブ状の塊になっっていくもので、人間に例えると細胞が増え続ける癌腫のようなものです。このように細菌やウイルス以外にも樹にコブを作る原因があることになります。これは樹幹にできた細菌やウイルス以外を原因とする植物の奇形の1種と思って良いと思います。……


虫えい(虫こぶ)とは(『北海道の虫えい(虫こぶ)図鑑』はじめに)
 えいとは、えい形成者から出されるなんらかの刺激に対して、植物が組織分化の途中で反応し、その結果、植物の一部の細胞が異常に増殖したり、肥大したり、無核や巨大核、多核など核に異常が生じたり、あるいは、組織分化の過程が狂ったりすることによって引き起こされる、組織や器官の病理学的に異常な形状のことをいう。異常形状のなかには、肥大したものだけではなく、縮小したものもふくまれる。
 このようなえいが植物の特定の組織だけに形成されたものを組織えい、器官全体がえいになったものを器官えいという。茎や葉、根などの一部の組織が肥大したえいは組織えい、芽や花、実など全体がえいになったものは器官えいに相当する。ただし、組織と器官がともにえいとなり、両者が明確に区別できない場合も多い。
 えいは、ウイルス、バクテリア、菌類、線虫類、昆虫類、ダニ類などさまざまな生物によって形成される。それらのうち、特に昆虫類によって形成されるものは昆虫えい、ダニ類によるものはダニえいなどと呼ばれている。
 (独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)サイトの『NITEキッズ』生活に役立つ微生物の話)
糸状菌類とは、糸状の菌糸で生活する微生物で、一般的に「カビ」と呼ばれている生物である。単細胞性で生活する酵母や肉眼で見えるほどの大きな繁殖器官を作るキノコとともに真菌類に属する。
 生活に役立つ微生物の話(バイオテクノロジー分野)
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