『薪ストーブライフ』42号(発行:沐日社、発売:星雲社、2021年7月、1870円)が、「近年、日本の薪を取り巻く環境は徐々に、でも確実に変化している。ここでは“薪がなくなる日”がないように、薪を使って虫の被害を回避する術を考えたい」として、ログショックを乗り越えろ! 薪を使う暮らしが地球を救うをナラ枯れ専門家、カキノナガキクイムシ研究の第一人者小林正秀さんの協力・執筆で特集しています。(小林さんには友達5000人のFacebookページがあり、7月9日の記事にこの雑誌のことが書かれています)
薪ストーブライフ42号

 ナラ・シイ、カシ類を枯らす「ナラ枯れ」とは 小林正秀

 薪は持続可能なエネルギーなのに 編集部
  弊誌編集長が直面した“薪にする木がない”という現実
   身近の森林公園がカシナガ被害に直面
   老齢のコナラに集中して巣くう?
   薪事情は最悪へ向かう ログショックの訪れか?

 カシノナガキクイムシってどんな虫だ 小林正秀
  ブナ科の樹木が集団的に襲われる
   嫌われ者だが物質循環に役立っている
   ナラ枯れ防除のためカシナガの一生を解明
   それぞれの役をこなす真社会生物か?

 ナラ枯れの真の原因は何だろう? 小林正秀
  主因、誘因、素因に分けて考えてみよう
   薪炭林の放置による大径木の増加が原因か
   暖かくなると動き出す 温暖化でかなり活動的に
   大径木が温暖化で衰弱しその衰弱木に穿入
薪炭林の放置によって大径木が増えている状況下で、温暖化や大気汚染などで樹木が衰弱したり、台風や人為的伐採による倒木が発生すると、衰弱木や倒木を利用して増えたカシナガが立木に穿入してナラ枯れが発生し、周辺にも大径木が多いので、どんどん拡大しているのでしょう。(25頁)

 ナラ枯れから樹木を守ろう! 小林正秀
  薪を使い続けるためにカシナガの穿入を阻止する方法
   殺菌剤の樹幹注入は待った! ナラ枯れを助長する危険性が
   25㎞以上飛翔するカシナガ 皆伐でなく択伐を推奨
   カシナガは針葉樹が嫌い 樹木自身もタンニンで防護
この方法[カシナガトラップ]はカシナガの大量捕獲で被害を抑えるのではありません。
カシナガの攻撃を受けたのに生き残った木(穿入生存木)は、幹の内部がタンニンなどで黒褐色になり、カシナガが穿入しても繁殖できません。カシナガトラップは、穿入生存木を増やすことで、繁殖に失敗するカシナガを増やし、ナラ枯れを抑える方法です。(27頁)

 薪はカーボンニュートラル 小林正秀
  薪ストーブ生活は知らぬ間に地球を守っている!
   木を燃やせばCO2は出すが別の木がCO2を吸収する
   日本はエコテロリスト? でも薪焚き人は天国へ
縄文時代の生活に戻らなくても、せめて、木質バイオマスの利用を増やすべきです。現世で悪事を働けば、あの夜では地獄行きになることは、多くの宗教に共通した考えです。薪ストーブユーザーは天国行きが確定していますが、日本人の多くは、このままでは地獄行きです。(30頁)
※小川眞「ナラ類の枯死と酸性雨」(『環境技術』25巻10号、1996年)
 ●ナラ類の枯死と酸性雪(小川真)_1●ナラ類の枯死と酸性雪(小川真)_2
 ●ナラ類の枯死と酸性雪(小川真)_5●ナラ類の枯死と酸性雪(小川真)_6
※斉藤正一・柴田銃江「山形県におけるナラ枯れ被害林分での森林構造と枯死木の動態」(『日本森林学会誌』94巻5号、2012年)
 ●日林誌 (2012) 94巻223‒228_1
※中島春樹・松浦崇遠「「ナラ枯れ」はその後どうなったのか」(富山県農林水産総合技術センター森林研究所『 研究レポート』 No.10、2015年3月)
 ナラ枯れはその後どうなったのか?_1
枯死した樹木の様態変化について述べている部分を抜き出しました。