川越市の松本さんからクワガタの幼虫をいただきました。最後まできちんと飼いましょう。
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NHK for School ど~する?地球のあした

scene01 クワガタの世界に起きていることって?
今日のお話は、こん虫の王様ともいわれるクワガタについてです。今、このクワガタの世界にたいへんなことが起こり始めているのです。小島啓史さんは、子どものころから40年以上もクワガタをかいつづけているクワガタ研究家です。クワガタが森のどこにいるのか、とてもよく知っています。小島さんに案内してもらったのは4月の半ば。クワガタはこの時期、かれ木の中でたまごからかえって育ちます。実は、かれ木の中でクワガタが成長していくことが、森にとってとても役に立つのです。

scene02 森が生まれかわるのに必要なクワガタ
たまごからかえったクワガタの幼虫は、まわりの木を食べます。食べた木はクワガタの体の中にいる微生物によって、空気にふくまれる窒素というものといっしょになり、とても栄養のあるウンチになります。これがさらにまわりの窒素とむすびついて、クワガタの巣は、栄養たっぷりのウンチでいっぱいになります。クワガタのいた木は、やがて土になります。そしてこの土で新しい木が成長し、森が生まれかわるのです。クワガタは森に必要な生きものなのです。

scene03 毎年100万びきが輸入されている!
森にとって大切なクワガタ。でも、最近心配なことが起こっています。日本には、外国からいろいろなものが運ばれてきます。ずらりとならんだ黒いもの。実はこれ、生きているクワガタです。今、日本で大人気のクワガタは、毎年およそ100万びきが東南アジアなどから輸入されています。しかし、かう人のなかにはとちゅうで外に放してしまう人も出てきました。やがて、本来いるはずのない日本の森に、外国のクワガタが入っていくようになりました。

scene04 外国産クワガタと日本産クワガタ
国立環境研究所では、外国から入ってきた生きものが日本の自然環境にあたえるえいきょうを調べています。外国産のクワガタを研究している五箇公一さんは、外国のクワガタと日本のクワガタはいっしょにくらすことはできないと考えています。「東南アジアなどからやってくるクワガタは体も大きく、力も強い。性格もあらいのです」。台湾のオオクワガタと日本のオオクワガタを同じ場所においてみます。すると、日本のオオクワガタはおさえこまれて動けなくなってしまいました。

 scene05 最後まで責任をもってかおう
小島さんは、外国のクワガタが森に入ることで、日本の自然に悪いえいきょうが出るのではないかと考えています。「地元でつかまえたものをもとのところに帰してやるのならいいのですが、フィリピンとかアフリカからつれてきたものを日本で放してしまうと、地元にもともといた日本産のクワガタやカブトムシを全部追いはらって、そこをひとりじめしてしまうかもしれません」。自分でかった生きものは最後まで責任をもってかいましょう、ということだと小島さんは言います。

scene06 ペットとして輸入された動物が…
実はもう、日本の自然をあらしている外国の動物がいます。本来、北アメリカにすんでいるアライグマです。今から30年ほど前、アライグマを主人公にした本やテレビアニメが日本でブームになると、アライグマはたちまち人気者になり、ペットとしてたくさん輸入されました。しかしアライグマは成長すると気があらく、凶暴になります。かいつづけられなくなった人たちが森に放してしまうということが起き、すてられたアライグマが畑や民家をあらしたりするようになりました。

scene07 日本の自然をあらしているアライグマ
山あいのゆたかな自然がのこる神奈川県横須賀市。金田正人さんは、このあたりの自然環境を長いあいだ観察しています。もともとこのあたりはイモリやサワガニ、トウキョウサンショウウオなどの動物がたくさんくらしていました。そうした動物がめっきり少なくなっています。「毎年ヤマアカガエルがたくさん集まってたまごをうんでいた場所も、全部アライグマにほりかえされて、たまごを見かけなくなってしまいました」。今、アライグマは各地でつかまえられています。

scene08 ふえすぎないようにする方法をさぐる
北海道にある酪農学園大学には、一年に500頭以上のアライグマが送られてきます。そして、ここで処分されます。つかまえた場所を記録し、年れいを調べ、どの地域で子どもがたくさん生まれているかを調べます。的場さんはこうした研究を通して、アライグマがふえすぎないようにする方法をさぐっています。「ころしたくないという気持ち。でも日本の生態系を守るためにしなければいけないことなんだという気持ち。むじゅんした気持ちです」。

scene09 悪いのはアライグマ?
アライグマが日本の自然におよぼすえいきょう。でもそれはアライグマのせいなのでしょうか。アライグマも、生きていくために畑に入ったり魚をとったりしているのです。すきで日本にやってきたわけではない。そう考えると、つれてこられたアライグマも被害者です。外国から日本にやってきた生きものは、植物も合わせると全部で83種もいます。ザリガニやカメのほとんどは外国から来たものになっています。日本の自然にえいきょうをあたえる外国の生きものたち。この問題を見て、みなさんはどう思いましたか。
環境儀№18ヒラタクワガタの分布拡大経路

アジアに生息するヒラタクワガタ地域系統
 ●研究者に聞く  生物多様性への影響を遺伝子組成にまで踏み込んで解明(五箇公一)
  1: 生物多様性と外来生物の影響
  2:クワガタムシの系統樹からわかったこと
  3:ハウスから逃げ出して野生化するのが問題
  4:生物多様性の保全には当事者の理解が基本
 ●輸入昆虫の生態影響評価研究の成果から - セイヨウオオマルハナバチとヒラタクワガタを例として
 ●外来生物問題、世界の視点と動向研究をめぐって
 ●「生物多様性の減少機構の解明と保全プロジェクト」の全体構成


クワガタブーム (フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』から
『クワガタブーム』とは1990年代後半より始まった日本産オオクワガタ、外国産クワガタを中心とした飼育、販売のブームである。子供から大人までを巻き込み、一時はオオクワガタの大きさを巡って大型個体が高額で取り引きされるなどマスコミにも取り上げられ大きな話題となった。
概要:1990年代中頃、菌糸によるクワガタムシの幼虫飼育法が確立、ビンに入った幼虫の餌が流通し始めるとこれまで困難であった成虫を産卵させて再び次世代の成虫まで育てる累代飼育が手軽になり、一気にファン層が広がる。またこの方法は天然には存在しえない程の大型個体を生育する事が可能であり、それまでオオクワガタを筆頭に大型や採集困難であった種の生体が高額で取り引きされていたこともあり、投機目的も絡んでクワガタ飼育が一気に大ブームとなる。さらには植物防疫法の改正によりこれまで禁止されていた外国産クワガタ、カブトムシの輸入が解禁され外国産のクワガタが流通しはじめるとブームにさらに拍車をかけた。やがて飼育ノウハウの普及やショップの乱立により流通個体が増加し価格は沈静化、一時のブームは収まったが過剰な採集圧による自然での生育環境の破壊、ショップの過剰在庫や飼育に飽きた個体の自然への放虫による遺伝形質の混乱等の問題を残しながらも クワガタの累代飼育が趣味として定着する基盤となった。

imidasオピニオン2008/08/08 クワガタムシ好きの日本人がクワガタムシを滅ぼす
五箇公一「10時間で破壊される500万年の進化の歴史  
2000年以降、急速に輸入量が増加して、一大飼育ブームを巻き起こした「外国産クワガタムシ」。現在でもその熱は冷めることなく、毎年夏休みになれば、ペットショップやデパートで、雌雄のペアが大量に販売されている。これほどまでにクワガタムシを愛する国民は、世界広しといえども、日本人だけである。しかし、この日本人のクワガタ愛好心が日本の、そして世界のクワガタの衰退を招く恐れがある。
●外国産クワガタムシの飼育ブーム
●外来生物としてのクワガタムシ
●人的な介在でもたらされた新たな雑種個体
●原産地の生物多様性や経済にまで影響
●日本人のクワガタムシ好きは日本人の固有性
●「生き物」の輸入や売買は自然の法則の逸脱

※五箇公一さんの『クワガタムシが語る生物多様性』(発行:創美社、発売:集英社、2010年)の第3章、6章、7章を読み直しました。
  五箇公一『クワガタムシが語る生物多様性目次
第1章 「生物多様性」とは何か?
第2章 生物多様性が危ない
第3章 クワガタムシが語る生物多様性
デパートへ虫捕りに行く時代/クワガタムシの輸入解禁/外国のクワガタムシがやってきた!/クワガタムシのDNA/クワガタムシの家系図/ヒラタクワガタのフランケンシュタイン化? 雑種誕生/なぜ雑種が問題なのか?/外来生物法の登場/外国産クワガタムシの受難/日本人は世界一のクワガタムシ好き/日本人はなぜクワガタムシが好きか-里山クワガタ論/日本人と生物多様性
第4章 マルハナバチが語る生物多様性
第5章 ミジンコが語る生物多様性
第6章 ダニが語る生物多様性
ダニの多様性/ハダニの薬剤抵抗性/ハダニの遺伝的多様性/ハダニの海外旅行?/ハダニの進化的重要単位の危機!? 植物防疫システムの崩壊/クワガタのダニ/ダニCGの切手
第7章 カエルが語る生物多様性
カエルの病気/カエルツボカビ日本上陸?/カエルツボカビの起源は日本か?/日本産カエルツボカビのリスク評価/海を渡ったカエルツボカビ/感染症の流行にも生物多様性の撹乱がからむ/目に見えない生物多様性・寄生生物との共生/カエルの未来と人間の未来
  浅川満彦「書評 五箇公一著『クワガタムシが語る生物多様性』」
この問題[外来種問題]を扱ったこれまでの書籍とは異なり、農業振興や新規の愛玩あるいは実験動物などの目的で日本に持ち込まれた動物群とそれに寄生する病原体が自然生態系のリスク因子となっているという主張である。見落とされがちであるが、プリオンやウイルスなど一部例外を除けば、多くの病原体もやはり生物なので、やはり外来種の範疇に入ると啓蒙している。評者も、爬虫類・鳥類・哺乳類などの動物とその蠕虫類との進化的な固有の歴史の中で醸成された宿主-寄生体関係が、外来種の介在で撹乱されつつあるという点を疫学という手法で追いかけているので、非常に参考になった。この手の研究は、基盤となる在来の寄生生物相を押さえるのが重要な鍵なのだが、時間も手間もかかる。その間、外来種がどんどん入り込み、何が在来なのか、それとも外来なのか決めがたい状況になった。そういった時間がかかる研究も、外来種問題がクローズアップされ一気に進行することもある。その実例が両生類のツボカビ類である(7章)。両生類保全という視点で急速に調査研究を展開していたら、なんと、外来病原体と信じられていたこの真菌が、実は日本列島で分岐した可能性があるという。このどんでん返しは驚嘆させられた。……(『生物科学』第63巻第3号、2012年)
最後まできちんと飼おうね_1外国種に注意(鹿児島県立博物館、2017年)_1さがみはら生物多様性ネットワークニュース13_1

※【TVでおなじみ、ダニ博士が語る】(YouTube、2020年4月12日公開、17:19)