通勤時間帯の車内・駅構内の混雑を避けて、二宮さん、坂田さん、加倉井さんで日曜日に植生調査を実施しました。
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昨日13日の鳩山アメダスの日積算降水量は66.0 ㎜で、入山沼下の土水路には水がとうとうと流れ、谷津の耕作放棄地は各所で浅く広く湛水していました。
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岩殿I地区
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岩殿F・G地区
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無名沼イ号にも水が溜まったので、岩殿B地区の上の池のニホンアガガエルの卵塊を元の場所に戻しました。
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『日本経済新聞』(2021年3月6日)に船橋玲二「アカガエルの産卵 多様な命 復活支える」が掲載されていました。
 3月になると小さな草の芽が出てきて日ごとに春を感じる機会が増えてくる。関東地方では2月の半ば頃から田んぼや水路でカエルたちがすでに動き始めている。暑さの苦手なアカガエルの仲間が卵を産みに水辺に集まってくるのだ。
 条件が良ければ1枚の田んぼに数百個もの卵塊が見られる。一つの卵塊は1千個以上の卵が集まっているから、数十万~数百万もの命が生まれたことになる。地域によって産卵の時期は少しずつ違い、九州では年末から、東北地方では3月から5月に行われる。
 産卵は陽の光を受けて水温が上がりやすい水深の浅い場所が選ばれる。産み落とされた場所が浅すぎると明け方の冷え込みで凍ってしまうし、深すぎれば水温が低くて成長が進まない。
 私が湿地を歩いて卵塊を見つけた時の水深記録は、約2千例の平均で7センチメートルであった。この深さは冬も田に水を張る「ふゆみずたんぼ」を行うとちょうど実現できる。アカガエルは10メートル四方ほどの庭先でも、池や草むらがあれば卵を毎年産み、世代を繰り返せる。早春の田んぼに水があれば無数の卵であふれるはずだ。
 かつて、排水が思うようにできない湿田が全国各地に存在していたので、アカガエルはどこでもごく普通の種だった。それが近代化によって冬に乾かせる田んぼが増えると、どんどん姿を消していった。
 埼玉県のさいたま市から川口市にまたがる見沼田んぼは、洪水対策で緑地空間こそ残されたものの乾燥化が進む。かつてほぼすべてが水田だった約1千ヘクタールの中で卵が確認できる場所は数ヶ所しか残っていない。多くの生きものを育む湿地環境が、私たちの身近な空間からどんどん消えていることがわかる。……