鈴木宏昭さんの『認知バイアス 心に潜むふしぎな働き』(講談社ブルーバックスB-2152、2020年10月)を読みました。

「なぜあの時あれを見逃してしまったのか」「なぜこんなものを買ってしまったのか」「どうしてあんな簡単な問題が解けなかったのか」-誰しもが日常的に経験しているであろう、なぜか誤って認識したり、いつもならするはずのない判断や行動。それはなぜ起こるのか。このようなふつうの行動に現れる心の働きの偏り、歪みのようなものである「認知バイアス」について、わかりやすい事例を挙げて解説。
認知バイアスという言葉は、心の働きの偏り、歪みを指す。ただしだからと言って、精神疾患などに見られる心の働きを指すわけではない。こうした疾患を持たない人たちの行動の中に現れる偏りや歪みに対して認知バイアスという言葉が用いられる。(はじめに4頁)
本書ではバイアスを列挙するのではなく、また人は愚かですねと嘆いたり、驚いてみせるのでもなく、人の認知の仕組みとそれが用いられる状況の双方から認知バイアスに迫っていこうと思う。(はじめに5頁)
人間の認知は、本質的にこうしたブリコラージュのようなもの[あり合わせのもので、とりあえず必要なものをこしらえるようなこと]と考えることができる。私たちは将来のことはあまりうまく予測できないので、将来起こる可能性があることに対し事前に準備しておくことは困難だ。だからあり合わせのものでなんとかしのぐしかないのだ。こうした次第だから、認知はエレガントではないことも多い。また、非効率きわまりないことをやらざるを得ない場合もある。でも、それが認知の姿なのだ。(第9章⑧246頁)
鈴木宏昭『認知バイアス 心に潜むふしぎな働き』目次
はじめに
第1章 注意と記憶のバイアス チェンジ・ブラインドネスと虚偽の記憶
①注意は限られている
②注意をしても見えない
③2種類の注意
④記憶のバイアス、改変
⑤目撃者証言を考える
⑥見えてもあるとは限らない
ブックガイド
第2章 リスク認知に潜むバイアス 利用可能性ヒューリスティック
①人は起こりやすさをどう推定するか
②少ないことは多め、多いことは少なめ
③リハーサル効と利用可性性ヒューリスティックの起源
④メディアと利用可性ヒューリスティック
⑤記憶に作用する諸々の要因
⑥ヒューリスティックの誤作動と逆利用
ブックガイド
第3章 概念に潜むバイアス 代表性ヒューリスティック
①連言錯誤
②概念とカテゴリー
③カテゴリー化を支えるブロトタイプ
④ブロトタイプはどう作られるか
⑤サンプリング
⑥代表性ヒューリスティック
⑦社会的ステレオタイプ
⑧心理学的本質主義
⑨帰属と対応バイアス
⑩代表例が役立つ時、間違う時
ブックガイド
第4章 思考に潜むバイアス 確証バイァス
①論理からの逸脱〜4枚カード問題
②確証バイアス〜2-4-6の後には何が続くか
③第一印象
④因果関係と確証バイアス
⑤確証バイアスはなぜ生まれるか
⑥仮説検証のためのデータ選択
⑦初歩的な問題を間達いに導くものとは
ブックガイド
コラム 因果関係についてのバイアス
第5章 白己決定というバイアス
①欲求・意図・自由意志
②行動の本当の原因は自覚できない
③伝染する意図、日標
④好き嫌いの原因も意識できない
⑤私たちは脳の奴隷なのか
⑥現代の無意識研究
⑦人はなぜ宇宙人に誘拐されるのか〜作話の正体
⑧さまざまな因果とその服用
⑨意恵と行動、そして意図を超えて
ブックガイド
第6章 言語がもたらすバイアス
①言語のもたらすもの
②言語は記憶を阻害する
③言語は思考を停滞させる
④言語は絵を下手にする
⑤言語の苦手科目
⑥世界と言語
⑦武器としての言語、害につながる言語
ブックガイド
付録
第7章 創造(について)のバイアス
①想像を阻む制約
②制約を緩和する多様性
③制約を緩和する評価
④徐々にひらめく
⑤知らないうちにひらめく
⑥失敗が見方の変化を促す
⑦イノベーションを考える
⑧創造の女神が徴笑むのは
ブックガイド
第8章 共同に関わるバイアス
①集合知をどう考えるか
②同調〜右へならう心
③共同を阻害する要因
④分散、分業がもたらすもの
⑤共感というバイアス
⑥1たす1は2にならない時に起こること
ブックガイド
第9章 「認知バイアス」というバイアス
①二重過程理論の間題
②直感の方がうまくいく
③認知の文脈依存性
④限定合理性と生態学的妥当性
⑤心理実験のワナ1~別の問題を解いてしまう
⑥心理実験のワナ2~言葉の裏を読んでしまう
⑦愚かさを裏側から考える
⑧修繕屋としての知性
⑨現代社会とバイアス
⑩人の知性、そしてAI、チンパンジー
ブックガイド
おわりに 結局、人は賢いのか、バカなのか
さくいん
第1章 注意と記憶のバイアス チェンジ・ブラインドネスと虚偽の記憶
①注意は限られている
②注意をしても見えない
③2種類の注意
④記憶のバイアス、改変
⑤目撃者証言を考える
⑥見えてもあるとは限らない
ブックガイド
第2章 リスク認知に潜むバイアス 利用可能性ヒューリスティック
①人は起こりやすさをどう推定するか
②少ないことは多め、多いことは少なめ
③リハーサル効と利用可性性ヒューリスティックの起源
④メディアと利用可性ヒューリスティック
⑤記憶に作用する諸々の要因
⑥ヒューリスティックの誤作動と逆利用
ブックガイド
第3章 概念に潜むバイアス 代表性ヒューリスティック
①連言錯誤
②概念とカテゴリー
③カテゴリー化を支えるブロトタイプ
④ブロトタイプはどう作られるか
⑤サンプリング
⑥代表性ヒューリスティック
⑦社会的ステレオタイプ
⑧心理学的本質主義
⑨帰属と対応バイアス
⑩代表例が役立つ時、間違う時
ブックガイド
第4章 思考に潜むバイアス 確証バイァス
①論理からの逸脱〜4枚カード問題
②確証バイアス〜2-4-6の後には何が続くか
③第一印象
④因果関係と確証バイアス
⑤確証バイアスはなぜ生まれるか
⑥仮説検証のためのデータ選択
⑦初歩的な問題を間達いに導くものとは
ブックガイド
コラム 因果関係についてのバイアス
第5章 白己決定というバイアス
①欲求・意図・自由意志
②行動の本当の原因は自覚できない
③伝染する意図、日標
④好き嫌いの原因も意識できない
⑤私たちは脳の奴隷なのか
⑥現代の無意識研究
⑦人はなぜ宇宙人に誘拐されるのか〜作話の正体
⑧さまざまな因果とその服用
⑨意恵と行動、そして意図を超えて
ブックガイド
第6章 言語がもたらすバイアス
①言語のもたらすもの
②言語は記憶を阻害する
③言語は思考を停滞させる
④言語は絵を下手にする
⑤言語の苦手科目
⑥世界と言語
⑦武器としての言語、害につながる言語
ブックガイド
付録
第7章 創造(について)のバイアス
①想像を阻む制約
②制約を緩和する多様性
③制約を緩和する評価
④徐々にひらめく
⑤知らないうちにひらめく
⑥失敗が見方の変化を促す
⑦イノベーションを考える
⑧創造の女神が徴笑むのは
ブックガイド
第8章 共同に関わるバイアス
①集合知をどう考えるか
②同調〜右へならう心
③共同を阻害する要因
④分散、分業がもたらすもの
⑤共感というバイアス
⑥1たす1は2にならない時に起こること
ブックガイド
第9章 「認知バイアス」というバイアス
①二重過程理論の間題
②直感の方がうまくいく
③認知の文脈依存性
④限定合理性と生態学的妥当性
⑤心理実験のワナ1~別の問題を解いてしまう
⑥心理実験のワナ2~言葉の裏を読んでしまう
⑦愚かさを裏側から考える
⑧修繕屋としての知性
⑨現代社会とバイアス
⑩人の知性、そしてAI、チンパンジー
ブックガイド
おわりに 結局、人は賢いのか、バカなのか
さくいん
※鈴木宏昭「あなたの記憶にかかっているバイアスを心理科学的に検証してみた 簡単上書き、目撃者証言だって問題あり」(講談社現代ビジネス、2020年10月13日)