放送大学の総合科目『危機の時代に考える』第4回、加藤和弘さんの「生物多様性の危機とその管理」を視聴しました。




生物多様性の危機とその管理
 1.生物多様性とその意義
  生物多様性とは
・地球上で多数の生物が絶滅に瀕している現状を憂えた研究者らの問題意識から生まれた考え方。
・1992年にリオデジャネイロで開かれた「国連サミット」で、「生物多様性条約」が採択。生物多様性は「全ての生物の間の変異性を指すものとし、種内の多様性、種間の多様性、および生態系の多様性を含むものとする」と定義された。
  生物多様性の意義 (1)生態系サービス
・人間生活に必要不可欠の生態系サービス
 1.供給サービス(有用な物質を生産する。)
 2.調整サービス〈土地やその環境を安定化させる。)
 3.文化的サービス(人間生活を文化的に豊かにする。)
 →これらを維持する上で
  生物多様性が健全な状態に保たれる必要がある。
  生物多様性の意義 (2)未発見・未確定の意義
・将来明らかにされ、利用されるかもしれない生物の価値や機能を、将来に向けてほぜんしておかなければならないという考え方。潜在的価値
・遺伝(遺伝子)価値
・生物多様性保全の道義的(倫理的)重用性
 2.生物多様性の危機の現状
  地球上における生物多様性の実態
・地球上の種の数:500万?~5000万?
 ・うち、記載済み175万種(環境省 2008)
 ・昆虫95万種、維管束植物27万種、鳥類9000種、
  哺乳類6000種……(同上)
・未発見の種が多数あると考えられている。
  (例UNEP(2011)は、未発見の種を含む総種数を焼く870万と推定。)
  絶滅危惧の生物の例
   放送大学「危機の時代に考える」 - 210101-221728
  日本での絶滅危惧動物種数
   放送大学「危機の時代に考える」 - 210101-221836
  こんな生物も減っている
・スズメ(三上ほか、2009)
 個体数は2005年頃には1960年代の1/10程度まで減少していた可能性を指摘。
・秋の七草
・キキョウ(絶滅危惧Ⅱ類)、フジバカマ(準絶滅危惧種)
 身近にいた当たり前だった生物が、気づいたらいなくなってい、ということがこれから続々と起こる?
  生物多様性における「4つの危機」
・第1の危機:開発など人間活動による危機
 (例)生物の生息場所の消失、縮小
・第2の危機:自然に対する働きかけの縮小による危機
 (例)里山の変容に伴う生物多様性の低下
・第3の危機:人間により持ち込まれたものによる危機
 (例)外来生物による在来生物の個体群の衰退
・第4の危機:地球環境の変化による危機
  「第1の危機」の例
・開発に伴う生物生息場所の消失、縮小
・生物生息場所やその周辺空間の人為的改変
  生物の生息場所として意識されていなかった空間も多い
  生息場所の周囲を道路や建築物で囲むことにも問題あり?
・人間による捕獲
  クジラ、マグロ、アホウドリ……
・自然に対する撹乱の抑制
  「第1の危機」の例(河川整備に伴う水際の湿地の消失)
   放送大学「危機の時代に考える」 - 210101-222920
  「第1の危機」の例(圃場整備に伴う水路の人工化)
   放送大学「危機の時代に考える」 - 210101-222931放送大学「危機の時代に考える」 - 210101-222955
  「第1の危機」の例(河川の増水の抑制)
   放送大学「危機の時代に考える」 - 210101-223018放送大学「危機の時代に考える」 - 210101-223056
  「第2の危機」の例
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  「第3の危機」の例
・外来生物による影響
 ・在来の生物を捕食する。
 ・在来の生物の競争相手となる。
・人間が放出した(持ち込んだ)物質やエネルギー
 ・いわゆる汚染物質
 ・光や音、熱が生物の生息、生育を妨げることもある。
 ・特定の動物にとっての生息場所や植物を提供することがある。
  「第3の危機」の例(人間が持ち込んだ生物)
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   放送大学「危機の時代に考える」 - 210101-223734放送大学「危機の時代に考える」 - 210101-223811   
  「第4の危機」の例(地球温暖化の影響など)
   放送大学「危機の時代に考える」 - 210101-223838
 3.危機への対応の現状
   放送大学「危機の時代に考える」 - 210101-223954放送大学「危機の時代に考える」 - 210101-224055
   二次的自然の保全・再生のための人為的な管理・利用
   いわゆる雑木林について、伐採や下草刈りなど、適度な管理の必要性が理解されつつある。
   二次的自然の保全・再生のための人為的な管理・利用
   伝統的な農法を営む谷津田の再生も各地で行われている。
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  外来生物侵入の予防と発見、定着した外来生物の駆除
   放送大学「危機の時代に考える」 - 210101-224336
  低炭素社会を目指す活動
・CO2排出量の削減
 ・省エネルギー、再生可能エネルギーの利用促進、低炭素燃料への転換
 ・二酸化炭素の分離、隔離(貯留)
 ・経済社会システムの変革
・CO2吸収量の増大
 4.対応における課題
対応が予想したとおりに機能しない
・整備した生息場所が生息場所として機能しない。
・ある外来種の駆除が別の外来種を助長する。
・生態系ネットワークの構築が外来種を拡散させる。
・生息場所を保全する同意が得られない。
・CO2削減がなかなか進まない。
 5.今後に向けて
  2020年コロナウィルス感染症の世界的流行
・経済活動の世界的縮退
・生活様式の大きな変化
 →大気汚染の改善、動物の分布域の拡大の可能性
・一時的な変化にとどまるかもしれない。
  コロナウィルス感染症で社会はどう変わったのか
・人の集まりの最小化→人の移動の減少(国内、国際)
・「不要不急」の活動の抑制→新たな生活、産業のあり方
 ・情報通信の活用(テレワーク、遠隔教育、オンライン会合など)
 ・合意形成におけるインターネットの役割の増大
 ・人手をできるだけ介さない新たな輸送手段の検討
 ・購買様式、娯楽のあり方の変化
  現在起こっている社会の変化をどう生かすか
・人々の行動や正割が実際に変わった。
 しかもそれは持続するかもしれない。
 ……必要があれば人々は変わり得る。
 ・行動の持続可能な抑制
 ・生物多様性や環境への負荷が小さくなる生活形態、産業構造
 ・必要な情報の適切な伝達
※番組の最後に紹介されていた「Sim River
東京学芸大学の真山研究室を中心とした研究グループによって開発されている、パソコンで河川環境を創造しながら、珪藻(ケイソウ)を用いた水質判定を行い、人間活動と河川の水質(環境)を楽しみながら理解し、学ぶシミュレーションソフト。
 

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川原温「危機と社会~ペストは中世ヨーロッパ世界をどう変えたか」(『危機の時代を考える』第3回)


「ペストによる社会の変容」は興味深い内容でした。
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