第1章 一般廃棄物処理計画
 1.一般廃棄物処理計画の概要
 2.一般廃棄物処理計画の点検、評価、見直し
 3.他の計画等との関係
 4.関係目標・指標等(以上は前記事

第2章 ごみ処理基本計画
 1.基本的事項
 (1)ごみ処理基本計画の位置づけ
 (2)施設の有効活用及び広域的な取組の推進
 2.策定に当たって整理すべき事項
 (1)市町村の概況
 (2)ごみ処理の現況及び課題
 (3)ごみ処理行政の動向
 (4)計画策定の基本的考え方
 3.ごみ処理基本計画の策定
 (1)ごみの発生量及び処理量の見込み
 (2)ごみの排出の抑制のための方策に関する事項
 (3)分別して収集するものとしたごみの種類及び分別の区分
 (4)ごみの適正な処理及びこれを実施する者に関する基本的事項
 (5)ごみの処理施設の整備に関する事項
 (6)その他ごみの処理に関し必要な事項
 4.計画策定に当たっての留意事項
第2章 ごみ処理基本計画
 1.基本的事項
 (1)ごみ処理基本計画の位置づけ
ごみ処理基本計画は、市町村が長期的・総合的視点に立って、計画的なごみ処理の推進を図るための基本的な方針となるものであり、ごみの排出の抑制及びごみの発生から最終処分に至るまでの、ごみの適正な処理を進めるために必要な基本的事項を定めるものである。
 (2)施設の有効活用及び広域的な取組の推進
ごみの処理に関する事業の実施に当たっては、適正な循環利用や適正処分を進める上での必要性を踏まえ、他の地方公共団体及び民間事業者との連携等による広域的な取組を図るとともに、既存施設の有効活用及び長寿命化・延命化を図るものとする。
   ①施設の有効活用
   ②広域的な取組の必要性
   ③一部事務組合、広域連合によるごみ処理基本計画の策定
   ④広域臨海環境整備センター法に基づく広域処理対象区域

 2.策定に当たって整理すべき事項
ごみ処理基本計画の策定に当たっては、(1)人口や産業の概況、(2)ごみ処理の現況や課題、(3)国、関係都道府県、関係市町村におけるごみ処理行政の動向等の計画策定の背景を整理した上で、計画策定の基本的考え方を示すものとする。
 (1)市町村の概況
   ①人口動態
   ②産業の動向
   ③市町村の総合計画等との関係
 (2)ごみ処理の現況及び課題
   ①ごみ処理フロー
   ②ごみ処理体制
   ③ごみ処理の実績
ごみの種類別発生量、減量化・再生利用、収集・運搬、中間処理、最終処分、ごみの性状(組成、ごみの発熱量を含む)、温室効果ガス排出量等の状況について、原則として過去5年間以上の実績を把握・整理することが適当である。
さらに、ごみ処理に係る財政及び処理コストなどについて、原則として過去5年間以上の実績を把握・整理するよう努める。また、一般廃棄物会計基準に基づくコスト分析を実施している場合は、その結果を掲載することが適当である。
   ④ごみ処理の評価
③で整理した実績を基に、市町村は、分別収集区分や処理方法といった一般廃棄物処理システムについて、環境負荷面、経済面等から客観的な評価を行い、住民や事業者に対して明確に説明するよう努めるものとする。
評価に当たっては、環境負荷をできる限り低減する循環型社会づくりという面から見た処理システムの水準、住民等に対する公共サービスという面から見た処理システムの水準及び処理システムの費用対効果から評価を行う必要がある。
特に、循環型社会づくりという面から見た処理システムの水準に係る評価軸については、循環基本計画において社会におけるものの流れ全体を把握する物質フロー指標として3つの指標(資源生産性、循環利用率及び最終処分量)が設けられていること及び廃棄物処理法基本方針において減量化の目標として3つの目標値(排出量、再生利用量及び最終処分量)が設けられていること、さらには地球温暖化防止のための地球温暖化対策計画において、廃棄物分野に関係する施策及び対策が盛り込まれていることを考慮する必要がある。
客観的な評価の方法は、標準的な評価項目について数値化し、当該数値について次の方法のいずれか、又は次の方法の組合せにより評価を行うこととする。
 ア.当該市町村で設定した目標値を基準値とした比較による評価
 イ.国の目標値を基準値とした比較による評価
 ウ.全国又は都道府県における平均値や類似団体の平均値を基準値とした比較による評価
なお、この3つの方法の中で、類似団体間の比較分析を行う方法は、他市町村と比較して優れている点、不十分な点を把握し、その理由を分析し、市町村間で情報共有することによって、市町村が自らの一般廃棄物処理システムを改善することが可能となる。したがって、類似団体間の比較分析をできるだけ実施することが望ましい。
評価した結果については、住民及び事業者に分かりやすい方法により公表することとし、評価結果のうち、標準的な評価項目に係る評価結果については、次に示す市町村一般廃棄物処理システム比較分析表を作成して表示し、公表する。
また、評価に当たっては、市町村等が類似市町村の取組と比較分析を行うことによって、市町村のごみ処理事業を支える職員及びその経営に当たる責任者が自らのごみ処理事業について、環境保全面の水準や費用効率性の点で、我が国の市町村の中でどのレベルにあるのかを把握し、目指すべき改善・進歩の方向を認識することができる。
  ⑤課題の抽出
実績を整理した結果を基に、排出抑制、収集・運搬、中間処理、最終処分、ごみ処理経費などの項目ごとに課題を抽出する必要がある。上記の各種指標によるこれまでの実績や施策への取り組み状況、他自治体との比較などの現状整理を基に、課題を分析し整理することが適当である。
   図4 ごみの種類の例
   ごみ処理基本計画策定指針(環境省)2016_7
   表5 標準的な評価項目
   ごみ処理基本計画策定指針(環境省)2016_8
   標準的な指標1(指標値によるレーダーチャート)
   図5 市町村の一般廃棄物処理システム分析比較表
   ごみ処理基本計画策定指針(環境省)2016_9
 (3)ごみ処理行政の動向
 (4)計画策定の基本的考え方
   ①計画策定の趣旨
   ②計画の位置付け
    ア.他の計画等との関係
    イ.計画対象区域
    ウ.計画の範囲
    エ.計画目標年次

 3.ごみ処理基本計画の策定
ごみ処理基本計画では、廃棄物処理法第6条第2項に基づき、次に掲げる事項を定める必要がある。
(1)ごみの発生量及び処理量の見込み
(2)ごみの排出の抑制のための方策に関する事項
(3)分別して収集するものとしたごみの種類及び分別の区分
(4)ごみの適正な処理及びこれを実施する者に関する基本的事項
(5)ごみの処理施設の整備に関する事項
(6)その他ごみの処理に関し必要な事項
 (1)ごみの発生量及び処理量の見込み
計画目標年次におけるごみの発生量及び処理量の見込みは、将来人口の予測、排出抑制及び集団回収等によるごみ減量効果、自家処理量等の見込み、他の市町村からの搬入(あるいは、他の市町村への搬出)等を勘案して、ごみの種類別に定めるものとする。
特に、近年ごみの発生量が一般に減少傾向にあることを考慮すること。
   ①人口及び事業活動等の将来予測
    ア.人口の将来予測
    イ.事業活動等の将来予測
   ②ごみ発生量の将来推計
   図6 ごみの発生量及び処理量の予測方法の例
   ごみ処理基本計画策定指針(環境省)2016_10
   図7 目標年次のごみの処理状況フローの例
   ごみ処理基本計画策定指針(環境省)2016_11
 (2)ごみの排出の抑制のための方策に関する事項
ごみの排出の抑制のための方策については、市町村、住民及び事業者において講ずべき方策について、それぞれ定めるものとする。
廃棄物については、循環基本法に定められた基本原則に則り、まず、①できる限り廃棄物の排出を抑制し、次に、②廃棄物となったものについては不法投棄・不適正処理の防止その他の環境への負荷の低減に配慮しつつ、再使用、再生利用、熱回収の順にできる限り循環的な利用を行い、こうした排出抑制及び適正な循環的利用を徹底した上で、なお適正な循環的利用が行われないものについては、③適正な処分を確保することが基本である。ごみの排出抑制は最優先に検討されるべき事項であることから、循環的利用を促進するためには、国民、事業者、行政が適切な役割分担の下でそれぞれが積極的な取組を図ることが重要である。
   ①市町村の役割
    ア.ごみ処理有料化の実施
市町村は、経済的インセンティブを活用した一般廃棄物の排出抑制や再使用、再生利用の推進、排出量に応じた負担の公平化及び住民の意識改革を進めるため、一般廃棄物処理の有料化の更なる推進を図るものとする。市町村が一般廃棄物処理の有料化を進めるに当たっては、「一般廃棄物処理有料化の手引き」を参考にされたい。
この他、ごみの排出抑制や再生利用の推進を図るため、一般廃棄物処理の有料化と併せて、分別収集区分の見直しや資源ごみの集団回収への助成、排出抑制や再生利用に取り組む小売店等の支援、再使用の促進などを実施することも有効と考えられる。
    イ.環境教育、普及啓発の充実
    ウ.多量の一般廃棄物排出事業者に対する減量化指導の徹底
    エ.容器包装廃棄物の排出抑制
    オ.リユースびん等のリユース容器の利用促進
    カ.食品ロス・食品廃棄物の排出抑制
    キ.環境物品等の使用促進
   ②住民の役割
    ア.住民団体等を通じた集団回収の促進等
    イ.容器包装廃棄物の排出抑制
    ウ.リユースびんを始めとする環境物品等の使用促進、使い捨て品の使用抑制等
   ③事業者の役割
    ア.発生源における排出抑制
    イ.過剰包装の抑制
    ウ.流通容器包装廃棄物の排出抑制、
      リユース容器の利用・回収の促進と使い捨て容器の使用抑制
    エ.環境物品等の使用促進、使い捨て品の使用抑制等
    オ.食品廃棄物の排出抑制
 (3)分別して収集するものとしたごみの種類及び分別の区分
家庭、事業所から排出されたごみを資源化するためには、なるべく排出する段階で再生利用に配慮した区分で分別収集することが必要であるので、市町村においては、ごみ処理基本計画に分別区分等を定め、計画的な分別収集、再生利用を進めるものとする。
   1)分別収集の基本的考え方
   2)個別品目の分別収集
    表6 ごみの標準的な分別収集区分
    ごみ処理基本計画策定指針(環境省)2016_12
 (4)ごみの適正な処理及びこれを実施する者に関する基本的事項
ごみの性状を勘案した区分ごとの処理方法及び当該処理方法ごとの処理主体について定めるものとする。
また、処理の方法については、①収集・運搬計画、②中間処理計画(再生利用を含む。)及び③最終処分計画について、それぞれ定めるものとする。
   ①収集・運搬計画
   ②中間処理計画(再生利用を含む。)
   ③最終処分計画
    表7 適正な循環的利用・適正処分の方法(例)
    ごみ処理基本計画策定指針(環境省)2016_13
    ごみ処理基本計画策定指針(環境省)2016_14
 (5)ごみの処理施設の整備に関する事項
ごみ処理施設については、「(4)ごみの適正な処理及びこれを実施する者に関する基本的事項」に基づき、施設の種類ごとに施設能力、処理方式等について定めるものとする。
 (6)その他ごみの処理に関し必要な事項
廃棄物減量化等推進協議会の設置・審議事項、廃棄物減量化等推進員の委嘱・活動、事業者の協力内容、廃棄物再生事業者の協力内容等について、基本方針等を定める。
また、災害時に発生する廃棄物にかかる対策について基本的な考え方を定めるものとする。
   ①廃棄物減量化等推進審議会及び廃棄物減量化等推進員
   ②事業者の協力
   ③災害廃棄物対策
    (1) 基本的考え方
    (2) 各種計画を踏まえた災害廃棄物処理計画の策定等
    (3) 災害時における一般廃棄物処理事業の継続性の確保
   ④不法投棄・不適正処理対策

 4.計画策定に当たっての留意事項
ごみ処理基本計画の策定にあたっては、地域のごみの処理のみならず、低炭素社会や自然共生社会との統合の観点等の地球規模における環境保全の視点から検討を行うことが望ましい。
また、本計画に基づき、地域の実情に応じた長期的な展望に立ったごみ処理システムの構築を行っていくこととなるため、廃棄物処理技術の進展等に十分留意しながら計画を策定することが望ましい。
本計画で定めた目標値を達成するためには、基本施策を計画的に実現する必要があることから、計画を実現するためのスケジュールを立てることが適当である。
 (1)低炭素社会や自然共生社会との統合への配慮
 (2)地域の実情に応じた長期的展望に基づくごみ処理システムの選択
 (3)計画の実現スケジュール
 (4)ごみ処理基本計画の公開