寒さを感じる季節になりました。二宮さん、坂田さん、小野さんで実施しました。
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レポート「スギナの生き方連想」(坂田智代さん作成)
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畑の雑草図鑑〜スギナ編〜【畑は小さな大自然vol.30】(『マイナビ農業』2020年2月4日)
     生命力が高く、栄養豊富な雑草
     スギナの祖先は電柱サイズだった!?
     スギナはどんな場所で増える?
     スギナが生える土地の地力レベルは?
     スギナはどう対策する?
     スギナの役割とそれを肩代わりする方法
     スギナの特徴をうまく活かそう

スギナの研究 つくしの生える条件(『自然科学観察コンクール』HP)
  自然科学観察コンクール第56回中学校の部入賞・杉江実咲さんの作品
   (2016年1月、文部科学大臣賞表彰)

中谷敬子「スギナの繁殖特性と環境応答に関する基礎的研究(『雑草研究』60巻4号、2015年)
スギナは世界的に広く分布するトクサ科の多年生雑草で、国内でも、畑地、樹園地、牧草地、畦畔、路傍、造成地など農耕地、非農耕地を問わず、古くから広範な地域で発生が認められ、重要な防除管理対象雑草とされてきた)。1980年代以降、畑作における不耕起栽培の普及、農耕地および緑地管理の省力化にともない、本種の防除の困難さが強調されるようになったが、笠原(1951)以降、農耕地における発生や雑草害の実態は不明なままであった。また、スギナは胞子、根茎、塊茎の3種類の繁殖器官を持つこと、また、増殖力が強大であることが知られているが、その発生生態、増殖機構等についてはまだ不明な点が多く残っているのが現状である。本研究は、本草種の効果的また合理的な防除・管理技術の開発に資するために、農耕地における発生や雑草害の実態を明らかにするとともに、繁殖に関与する生理生態的特性、特に環境応答に関する特性の解明を行ったものである。
   1.発生および防除に関する実態調査
   2.繁殖器官の定着・増殖特性と環境応答
    (1)胞子からの発芽定着
    (2)地下部栄養繁殖器官からの増殖
    (3)繁殖器官形成に及ぼす除草剤処理効果
   3.畦畔植生群落をモデルとした繁殖特性と環境応答
   4.繁殖器官形成制御要因

(『雑草研究』41巻3号、1996年)
要約 スギナの防除技術を確立するために、繁殖の主体と考えられる地下部繁殖器官の形成あるいは死滅に及ぼす環境要因の影響を検討した。第1にスギナの各器官の成長に及ぼす日長の影響について検討した。8時間日長よりも16時間日長条件下で、根茎伸長、塊茎形成数および各器官の乾物重は顕著に増加した。第2に各器官の発育に及ぼす土壌水分の影響を検討した。その結果、萌芽前から湛水状態にすると塊茎は休眠状態となり萌芽しないが、萌芽後生育途中で湛水状態とした場合には塊茎形成のみが抑制され、地上部生育、根茎伸長は抑制されなかった。また、萌芽後生育途中で冠水状態(地上部が水面下にある状態)とすると地上部生育、根茎伸長、塊茎形成とも抑制された。第3に不良な環境条件に対する耐性について塊茎および根茎で比較した結果、高温および乾燥に対する耐性は塊茎よりも根茎が優れた。
総合考察 近年、農耕地への分布拡大が指摘されているスギナは、一度圃場に侵入すると防除が非常に困難な雑草である。スギナは地下部に強大な栄養繁殖器官を形成するが、効率的な防除法を確立するためにはその増殖機構の解明とともに器官の死滅に関与する環境条件を明らかにする必要がある。本研究において、スギナは長日条件で各器官の生育が優れること、萌芽前から湛水状態にすると塊茎は休眠状態となり萌芽しないが、萌芽後生育途中で湛水状態とした場合には塊茎形成のみが抑制され、地上部生育、根茎伸長は抑制されないこと、高温および乾燥等の不良な環境条件に対する耐性は塊茎よりも根茎が優れること等が明らかになった。先述したように、長日条件によるスギナの地下部の生育促進が日長反応性のみに因るのではなく、光合成器官である地上部の生育量と連動している可能性から、地上部の生育を抑制し、地下部繁殖器官の増殖を防ぐような防除技術を策定する必要も考えられる。また、転換畑等にスギナが繁茂してしまったような場合、湛水状態にすることによって防除する方法も考えられる。しかし、本実験の結果から、スギナはかなり高い湛水耐性を持っていることが示され、中途半端な湛水処理はかえって根茎伸長を助長すると思われる。また、かなり早期の萌芽前の湛水処理によって新たな増殖を抑制することは可能でも、根絶することは困難と思われる。なお、田畑輪換においては、3~4か月以上の長期間の湛水が行われるが、こうした条件におけるスギナの繁殖器官の生存については今後さらに検討が必要である。著者らは以前、スギナの根茎と塊茎では、新根茎の伸長力が異なり、塊茎から発生した根茎の方が根茎の節から発生した根茎よりも伸長力が優っていることを明らかにしている18)。土中の分布域拡大を担う根茎が高温や乾燥などの不良環境に対して強い耐性を示すのに対し、不良環境に対し耐性の弱い塊茎は、根茎より分離すると根茎から発生するものよりも速い速度で新たに根茎を伸長させ、さらに分布域を拡大するという生態的特性を持っているといえる。この両器官の巧みな連携によりスギナの繁殖戦略は強化されていると考えられる。環境に対する反応性は一つの植物種であっても、その前歴により異なる可能性があり、種内における変異性が大きく現れる部分でもある。今回の試験は一地域のみで採取した材料のみを用いて行ったものであり、具体的に防除方法等を考える際には、採取地の異なる材料等を用いて、さらに、自然条件下における環境変化に対する耐性を検討する必要があり、今後の課題であると考えられる。
中谷敬子・野口勝可・草薙得一「スギナの乾物生産特性および地下部繁殖器官の温度反応性(『雑草研究』41巻3号、1996年)

中谷敬子・野口勝可・草薙得一「スギナ胞子の発芽および前葉体の形成条件(『雑草研究』41巻3号、1996年)

中谷恵子「スギナの繁殖特性と防除(『農業技術』45巻10号、1990年)
   1.はじめに
   2.スギナの発生と防除の実態
   3.スギナの生態的特性
    (1)胞子からの増殖
    (2)地下茎繁殖器官からの増殖
   4.防除のポイント

伊藤操子『多年生雑草対策ハンドブック 叩くべき本体は地下にある(農山漁村文化協会、2020年9月)
やっかいな雑草の本体は地下にあり。多年草の特性と効果的な対策(草刈り、耕起、除草剤、防草シート、地被植物など)を平易に解説。草種ごとに地下部の貴重な写真とイラストを満載し、生態と管理法を具体的に示す
まえがき
Ⅰ.生活圏の雑草状況―悪化する植生
 1.深刻化する雑草問題
 2.対策が必要な場面は多種多様
 3.主な対象雑草は多年生
 4.近年やっかいな雑草が増え続けている原因
  1)直接的要因―雑草地の増加、草刈りなど
  2)間接的要因―温暖化、CO2濃度上昇など
Ⅱ.多年生雑草とは―やっかいな特性
 1.生活サイクルと繁殖戦略
 2.基本構造とタイプ―拡張型と単立型
 3.地下拡張型の特徴
  1)地下部の基本構造
  2)地下器官系の大きさと土中分布
 4.再生のしくみ
 5.栄養繁殖・拡散のしくみ
Ⅲ.雑草管理の基本とは―踏むべき手順
 1.目的の設定―何が問題か
 2.関係要因に関する情報収集
  1)雑草の種類と発生状況
  2)利害関係者
  3)使用できる労力・コスト
  4)管理による環境負荷
 3.プログラムを作成し計画的に
Ⅳ.管理手段その1―機械的手法
 1.刈取り・刈払い
  1)刈取りは何のために行うのか
  2)刈取り回数・時期に関する事例
  3)生長の季節消長からみた刈取り時期
  4)イネ科中心の植生への移行と刈取り
 2.耕起
 3.手取り除草
Ⅴ.管理手段その2―化学的手法
 1.除草剤の利用
  1)多年生雑草の制御に必要な特性
  2)施用法
  3)長期的視野の必要性―処理後の種類の変化
 2.抑草剤の利用
Ⅵ.管理手段その3―地表を被覆する手法
 1.防草シート
 2.植物発生材
 3.地被植物
  1)センチピードグラス
  2)ダイコンドラ
  3)ほふく性タイム
Ⅶ.多年生強害草に対処するには
 1.対処の手順―標的雑草の特定・排除から
 2.各種の特性を知れば対処法がわかる
Ⅷ.主要38種の生態と管理法
■根茎で拡がる:イタドリ、オオイタドリ、セイタカアワダチソウ、フキ、アキタブキ、ヨモギ、ドクダミ、カラムシ、ヒルガオ、コヒルガオ、ハマスゲ、シバムギ、セイバンモロコシ、チガヤ、アズマネザサ、ネザサ、ヨシ、ススキ、スギナ、イヌスギナ、ワラビ
■クリーピングルートで拡がる:ヒメスイバ、ヤブガラシ、ガガイモ、セイヨウヒルガオ、ハルジオン、セイヨウトゲアザミ、ワルナスビ
■ほふく茎で拡がる:クズ、シロツメクサ、ヘクソカズラ
■短縮茎をもつ:エゾノギシギシ、スイバ、ヘラオオバコ
『田舎の本屋さん』書誌詳解情報から)