市民の森定例作業日。参加者は、木庭さん、澤田さん、鳥取さん、細川さん、渡部さん、Hikizineの6名でした。コナラとクヌギのドングリの苗床を岩殿C地区の沼下の畑に作りました。ポット苗とバラまきしたものがあり、上に稲ワラをかけました。
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今日はほかの作業はせずに、ヒラタケのみそ汁を作って味わいました。
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11月13日(金曜日)の定例作業日は昼食会を実施します。
新しいテーブルが増設されているかもしれません。
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※石川基子『ほしじいたけ ほしばあたけ』(講談社の創作絵本、2015年9月)
  『ほしじいたけ ほしばあたけ』キャラクター紹介!(YouTube)
   

   「ほしじいたけ ほしばあたけ」の朗読(YouTube)
   

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交尾中のヤマナメクジ?
キノコのホダ木の下にいたのを採集しました。
ナメクジやカタツムリは雌雄同体で,1匹のナメクジのなかに雄の性器と雌の性器を持っています。
 

   
 
ナメクジの分布を明らかにする市民科学プロジェクトから
●ナメクジ人気の現状

ナメクジはカタツムリと同じく、陸上に生息する貝、陸貝です。日本では、大きく発達した殻を持つものを「カタツムリ」、殻が退化してしまったものを「ナメクジ」と呼んでいます。ナメクジは、都市部から離れた自然の多い地域に生息しており、だれでも一度は見たことがある生き物のひとつではないかと思います。しかしその外見から、親しみを持ってみられることはなかなかありません。研究の世界でも状況は同じで、日本のナメクジについての研究はほとんど進んでいない現状です。
●日本全国に分布する「チャコウラナメクジ」
現在日本でよく見られるナメクジのひとつが、体長5cmくらいで、背中に2〜3本の線を持つ「チャコウラナメクジ」です。チャコウラナメクジは、第二次世界大戦後に日本に入ってきた移入種で、約50年で北海道から沖縄にまで分布を拡大しました。移入前は、キイロナメクジという別のナメクジが繁栄していたのですが、現在国内でキイロナメクジの姿を見ることはできません。キイロナメクジが移入する前は、もともと日本にいた在来種のナメクジが繁栄していたと考えられています。
このように、日本で見られるナメクジ類の種は、ナメクジからキイロナメクジ、チャコウラナメクジへと変化しました。しかし、このような種の変化がどのような過程で起こっていったのかは、全く明らかになっていません。
マダラコウラナメクジが次なる覇者に?
私は、日本のナメクジの分布や種構成がどのように変化するのかを明らかにしたいと考えています。チャコウラナメクジは、移入から約50年で分布を全国に広げました。50年と聞くと長いように思えるかもしれませんが、環境に生活史が大きく左右される無脊椎動物にとって、日本の幅広い気候に対応していくには、少ない年数です。すでにチャコウラナメクジは日本中に分布しており、キイロナメクジもほぼ生息していない状況なので、過去にどのようなことが起こったのかを知ることはできません。
現在、私が研究対象にしているのが、2000年初頭に茨城県で移入が確認されたマダラコウラナメクジです。マダラコウラナメクジは成長すると15cmになる大型のナメクジで、チャコウラナメクジやナメクジと生息環境が重なります。そのため、これら2種は特にマダラコウラナメクジの進出による影響を受け、今後日本におけるナメクジ類の種構成が再度変化する可能性が考えられます。その影響を知るためには、「今」の日本のどこにどの種がいるのかを知る必要があるのです。
●マダラコウラナメクジの生息地を特定したい!
しかし、特に移入種は人間の活動に伴って移動するため私有地に生息していることが多く、研究者ひとりでその分布域を明らかにすることは容易ではありません。そこで私は、「ナメクジ捜査網」と名づけたプロジェクトで、Twitterやホームページでの呼びかけなどを通じて、主にマダラコウラナメクジの目撃情報を集め、その分布を明らかにしようと試みています。
これまでに、マダラコウラナメクジ以外の目撃情報も含めると、2年間で約300件もの目撃情報を寄せていただき、現在のマダラコウラナメクジの分布が明らかになりつつあります。しかし現在の手法では、情報提供をしていただく市民のみなさんの心理的負担(やり取りがめんどくさそう、知らない人にメールするのが嫌だなど)や手間、情報共有・公開のしにくさが課題となっています。また、多くの方はナメクジ類を見慣れていないため、種名を判別するのが困難です。そのため、実はマダラコウラナメクジや、まったく日本で知られていない別の種を見つけていても、情報提供の手法が煩雑であれば、見過ごされてしまうこともあるでしょう。
   ナメクジとあなたで始める新しい科学201708_1

オスでもあり、メスでもあり、まったりな一生/ナメクジは害虫?/ナメクジの世界は「置き換わる」/「置き換わり」はなぜ起こる?/巨大ナメクジが国内に侵入している/「ナメクジ捜査網」開始!/マダラコウラナメクジに「置き換わる」のか?/身近な小さな生きものに興味をもって

・宇高寛子・田中寛『ナメクジ おもしろい生態とかしこい防ぎ方』(農文協、2010年)
・中嶋康裕編著『貝のストーリー 「貝的生活」をめぐる7つの謎解き』(東海大学出版会、2016年4月)
はじめに  中嶋康裕
第1章 暴走する愛 ― カタツムリの交尾と恋の矢  木村一貴
第2章 ナメクジたちの春夏秋冬  宇高寛子
第3章 ヒザラガイの繁殖リズム
     ― 繁殖現象の同期をめぐって  吉岡英二
第4章 イソアワモチの暮らし  濱口寿夫
第5章 食われる前に食え ― 戦慄の共食いウミウシ  中嶋康裕
第6章 チリメンウミウシの使い捨てペニス  関澤彩眞
第7章 カイメンに居候するホウオウガイ
     ― 二枚貝とカイメンのユニークな共生関係  椿 玲未
おわりに  中嶋康裕
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※松尾亮太『考えるナメクジ ―人間をしのぐ驚異の脳機能』(さくら舎、2020年5月)
第1章 ナメクジってどんな生き物?
第2章 すごい「脳力」があふれている動物界
第3章 ナメクジは賢い!
第4章 人間をはるかにしのぐナメクジの「脳力」
第5章 ナメクジの生き方
第6章 愛と青春のナメクジ研究
  「なめくじだって悩むんだ」(『朝日新聞』夕刊 2020.06.16宮田富士男)
   考えるナメクジA200616夕
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・脇司[わき つかさ]「寄生虫を研究している僕がカタツムリとナメクジについて語りたいときに語ること」(『科学バー』サイトから )
職業柄、カタツムリやナメクジを加熱することがある。熱した個体から立ちのぼるのは、浜焼きのすごくいい香り。そのとき僕は「彼らは間違いなく貝だ」と実感する。寄生虫を研究している僕なりに、好きな陸貝の話をしてみたい。誰にとってもたのしい陸貝入門になるのかどうかはわからないけれど。
(以下の目次から記事へリンクしています。5話、6話、12話など)
  ※脇司『カタツムリ・ナメクジの愛し方 日本の陸貝図鑑』(ベレ出版、2020年7月)
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ナメクジとカタツムリが教えてくれる 生物学者の考える住まい方(『リビンマガジンBizエンタメ』 2017.07.03)
朝日新聞毎週連載「福岡伸一の動的平衡」が面白い
6月15日のコラムでは「家に住むなら賃貸と購入どちらが良いか」という長きに渡って語られる命題について書かれています。
この難問を福岡博士はナメクジとカタツムリを使って考察します。
コラムはまず、ナメクジが進化してカタツムリになった、という読者の思い込みをひっくり返します。
カタツムリはナメクジの進化形ではなく、もともとあった殻をカタツムリが捨ててナメクジへと進化したのが真相だそうです。世界には殻の痕跡を残したナメクジがおり、そのことから進化の過程がはっきりわかったそうです。初めて知りました。
ではなぜカタツムリは安全で快適な殻という「自宅」を捨てたのか、謎は深まります。福岡博士によると、
「持ち家」の負担に耐えかねたからである。殻を作り維持するには膨大なカルシウム摂取とエネルギーが必要。いっそ殻を脱げば、そんな苦労もないし身軽、隠れたいときは隙間にも潜れる。すると新しい餌にもありつける。
そう維持管理費が問題なのだそうです。確かに、古くなりアチコチ痛んでくる建物の修理代はバカになりません。ましてや建て替えとなると、負担はさらに大きい。そんなものは大家さんに任せて、さっさと別天地に移動してしまおうというわけですね。昨今の空き家問題を考えると深くうなずける話しです。
生物の進化からみれば賃貸派の圧勝ということですね。と、早合点してはいけません。福岡博士はこうまとめて、コラムを終えています。
大切なことは、たった今、ナメクジもカタツムリもちゃんと共存共栄しているという事実。どちらが有利・不利ということではなく、選択の自由があり、生き方の違いが許されていること。これが生物多様性の要諦(ようてい)である。
自分なりの生き方、住まい方をすれば良いのであって、誰かと比較してどちらが賢いかなんて考えなくていいんですね。……
※森口満『ゲッチョ先生のナメクジ探検記』(木魂社、2010年4月)