経産省・資源エネルギー庁の第26回総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会電力・ガス基本政策小委員会が7月13日に開かれました。資料3「非効率石炭のフェードアウト及び再エネルギーの主力電源化に向けた送電線利用ルールの見直しの検討について」です。オンライン会議は配信されています(1:47:07)。
1.本日ご議論いただきたいこと
●本日ご議論いただきたいこと
●本日ご議論いただきたいこと
●【参考】エネルギー基本計画(2018年7月3日閣議決定)における石炭の位置づけ等
●【参考】7/3(金)閣議後会見における冒頭発言:大臣による「検討指示」
2.非効率石炭のフェードアウトに向けた検討の方向性について
●石炭の位置付け
●日本の石炭技術の高効率化・次世代化の推進
●CCUS/カーボンリサイクル
●非効率石炭火力のフェードアウト
●石炭の位置付け
●日本の石炭技術の高効率化・次世代化の推進
●CCUS/カーボンリサイクル
●非効率石炭火力のフェードアウト
スライドA
●非効率な石炭火力の設備容量の割合
スライドB
●旧一般電気事業者及び電源開発における非効率な石炭火力の発電電力量の割合
スライドC
●エネルギーミックスの実現に向けた取組
●発電事業者に対する措置(省エネ法)
●小売電気事業者に対する措置(高度化法)
●【参考】非化石価値取引市場
●石炭火力に関する海外の動向(1)
●【参考】非化石価値取引市場
●石炭火力に関する海外の動向(1)
●石炭火力に関する海外の動向(2)
●石炭火力に関する海外の動向(3)
●ESG投資やダイベストメントの動向
●石炭火力に関する海外の動向(3)
●ESG投資やダイベストメントの動向
●3メガ銀行の石炭火力発電向ファイナンスの方針
●非効率石炭火力のフェードアウト・新陳代謝の必要性
●災害リスクの高まりと安定供給の確保
●【参考】過去5年の主な災害の規模等
●【参考】北海道胆振東部地震に伴うブラックアウトについて
●【参考】脱炭素化・レジリエンス強化のための電力インフラの在り方
●安定供給とエネルギーミックスの実現
●容量市場の創設
●【参考】北海道胆振東部地震に伴うブラックアウトについて
●【参考】脱炭素化・レジリエンス強化のための電力インフラの在り方
●安定供給とエネルギーミックスの実現
●容量市場の創設
●【参考】海外の容量メカニズム
●今後の検討に当たっての論点(例)新たな規制的措置
●今後の検討に当たっての論点(例)早期退出を誘導する仕組み
3.再エネの主力電源化に向けた送電線利用ルールの見直しの検討について
●日本の再生可能エネルギー発電量の現状(導入の伸び)
●「エネルギーミックス」実現への道のり
●再生可能エネルギー普及に係る送電線の問題と対策
●「エネルギーミックス」実現への道のり
●再生可能エネルギー普及に係る送電線の問題と対策
●日本版コネクト&マネージの進捗状況と残された課題
●【参考】千葉エリアにおけるノンファーム型接続の先行実施
●【参考】北東北エリアにおけるノンファーム型接続の先行実施
●【参考】各一般送配電事業者の基幹系統(上位2電圧)の送変電等設備
●ノンファーム型接続の全国展開について
●【参考】北東北エリアにおけるノンファーム型接続の先行実施
●【参考】各一般送配電事業者の基幹系統(上位2電圧)の送変電等設備
●ノンファーム型接続の全国展開について
スライドD
●ノンファーム型接続における課題について
●【参考】系統接続における先着優先ルール
●今後の検討に当たっての論点(例)基幹送電線の利用ルールの見直し
●今後の検討に当たっての論点(例)基幹送電線の利用ルールの見直し
4.今後の検討の進め方について
●今後の検討スケジュール(案)
←非効率な石炭火力を廃止し再エネ導入を拡大
温暖化対策の観点から、国際的に逆風を受ける石炭火力発電。日本でも非効率な石炭火力の廃止を促し、再生可能エネルギーの導入拡大を促す新たな制度設計の議論がスタートした。
経済産業省は2020年7月13日、梶山弘志経済産業大臣が打ち出した石炭火力の縮小方針を受け、具体的な政策内容について検討する有識者会議を開催。非効率な石炭火力の将来的なフェードアウトを実現する新たな規制措置の内容と、再生可能エネルギーの利用を広げる新たな送配電網の利用ルールを検討する-というのが大筋の目的だ。
ただ、その実現に向けては、詳細な議論と綿密な制度設計が必要になりそうだ。非効率石炭を廃止とエネルギー安定供給の両立をどう実現するかという点も大きな議題の一つであり、廃止に向け事業者側にどのような経済的インセンティブを設計するかなど、検討すべき点は多い。エネルギーの安定供給という観点では、足元で再稼働がほぼ進んでいない原子力発電の将来の稼働率についてどう考えるのか、といった問題も大きく関係してくる。



現在、政府が掲げる2030年の日本の電源構成における石炭火力の比率目標は26%となっているが、足もとの2018年度における同比率は32%。2030年度の電源構成目標を達成するためには、さらなる石炭火力の削減が必要な状況にある。
政府が廃止を目指す「非効率石炭火力」とは、主に発電効率が40%以下の亜臨界圧、超臨界圧と区分される火力発電を指す。2018年度の電源構成の32%を占める石炭火力だが、その約半分(電源構成に対して16%)が非効率石炭による発電となっている。台数ベースでみると、現在国内にある140基の石炭火力のうち、114基が非効率石炭に該当する。
114基の非効率石炭について、地域ごとの設置設備容量を見ると、全国で大きなばらつきがある。そのエリアにおける全発電容量(出力ベース)に対し非効率石炭が占める割合では、関西は0%なのに対し、沖縄では34.8%である。また、発電電力量ベースでみると、地域間での差はより拡大する他、多くのエリアで出力ベースでみた比率以上に、非効率石炭への依存度が高い状況もうかがえる。これは原子力発電所の再稼働が進んでいないことも影響していると考えられる。

今回、梶山経済産業大臣が打ち出した「既存の非効率な火力電源を抑制しつつ、再生可能エネルギーの導入を加速化するような基幹送電線の利用ルールの抜本見直し」については、現在検討が進められている「ノンファーム接続」におけるルールを見直し、再エネを接続しやすくする制度に変更する方針だ。
これまでの議論で送配電網の効率的な利用に向けては、従来の電力会社に認められた電源のみが系統に接続できる「ファーム接続」ではなく、系統の混雑状況によって出力制御を受けることを条件に新規接続を許容する「ノンファーム接続」の導入を進めていく、いわゆる「日本版コネクト&マージ」の実現を目指すという方向性が示されている。
既に2019年9月に千葉エリアで、2020年1月には北東北および鹿島エリアでノンファーム接続が先行的に実施された。同時に東京電力パワーグリッドらが必要なシステムの開発に着手しており、経産省ではこ2021年中にはノンファーム接続を全国展開する目標を掲げている。
ただし、これまでの議論で想定されていたノンファーム接続では、「先着優先ルール」を採用する方針となっていた。これは系統が混雑した場合、先にファーム接続していた電源を優先し、後から接続した電源に出力抑制を行うことで、系統の安定を保つというもの。低炭素化という観点から見た場合、この先着優先ルールでは、ファーム接続されたCO2排出係数の大きい非効率石炭が優先され、同係数が小さい再生可能エネルギーが抑制されるという矛盾が発生する可能性がある。