浅野智彦さんの著作『自己への物語論的接近 家族療法から社会学へ』(勁草書房、2001年)等を読もうと思っています。先ず、浅野智彦編著『考える力が身につく社会学入門』(中経出版、2010年)を読んでみました。「はじめに」「第1章 社会学でわかる「私」という存在」「おわりに」が淺野さんの執筆です。

浅野智彦編著『考える力が身につく社会学入門』目次
はじめに
 ◎「生きるための道具」として、社会学を使う
 ◎「先の見えない時代」への不安
 ◎社会学は「現代社会を見るためのレンズ」

第1章 社会学でわかる「私」という存在
 ①「自分探し(磨き)」を強いる現代社会
  ◎社会学への招待
  ◎「自分探し」に夢中な人々
  ◎なぜ、人々は「自分探し」をするようになったのか?
  ◎「ゲームをうまくやること」「ゲームのルールを知ること」
 ②「二つの関係」から成り立つ私
  ◎「他者との関係」から成り立つ私
  ◎「私を中心としたネットワーク」と「私」
  ◎「私」と「鏡に映った私」は何が違うのか?
 ③「複数の私」を生む二つの要素
  ◎「もっと○○があるかもしれない」という意識の広まり
  ◎「私」という存在が不安定になっていく
  ◎「伝統」という枠組みが崩壊していく
  ◎「よりどころ」が失われていく
 ④「終りのない自分探し」のはじまり
  ◎ゲマインシャフトとゲゼルシャフト
  ◎「第二の個人化」が自由をもたらす
  ◎「キャラを立てる」という戦略
  ◎「終りない自分探し」を余儀なくされる
 ⑤成熟の新しい形へ
  ◎これからの社会の流れと「私」について

第2章 社会学でわかる「人間関係」
 ①社会学から見た「人間関係」とは?
  ◎「社会学の視点」から人間関係を考える
  ◎人間関係には「普遍的な側面」と「社会的な側面」がある
  ◎社会によって「人間関係の常識」は異なる
  ◎「理解しがたい他者」と共存するには?
 ②人間関係は希薄化したのか?
  ◎現代人の「対人関係能力」は低下している?
  ◎「濃密な人間関係」を求める現代人
 ③「現代社会の人間関係」をつくるさまざまな要素
  ◎「伝統重視」から「個人重視」へ
  ◎個人の「人格」が大きな意味を持つ
  ◎「人間関係のルール」は一つではない
  ◎「人間関係マニュアル本」が売れる理由
  ◎携帯電話はメールは人間関係を変えた?
  ◎「全面的なつきあい」と「部分的なつきあい」のバランス
 ④「三つの可能性」からこれからの人間関係を考える
  ◎第一の可能性、「精神的な満足感」に基づく関係へ
  ◎「純粋な関係性」が持つ不安定さ
  ◎第二の可能性、「その場限りの欲求」に支配される
  ◎第三の可能性、「古きよき人間関係」に戻る
  ◎「伝統的な人間関係」から「新しい人間関係」へ

第3章 社会学でわかる「家族」
 ①「ALWAYS 三丁目の夕日」のヒットと現代家族
  ◎「家族」とは何か?
  ◎「すでにある家族」と「こらからつくられる家族」
 ②社会とともに変化する「子ども像」
  ◎「家族の個人化」とは?
  ◎「小さな大人」から「無垢で愛されるべき存在へ」
  ◎児童虐待は「増えている」のか?
 ③変化し続ける「恋愛観」と「結婚観」
  ◎「婚活」時代の到来?
  ◎「できちゃった結婚」が生れた背景
  ◎「婚活」と「できちゃった結婚」からわかること
  ◎世界各国の自由な結婚や恋愛の形
  ◎多様な恋愛や結婚の形が広がった後は
 ④「専業主婦」に未来はあるのか?
  ◎「近代家族」とは何か?
  ◎「女性は社会進出を果たした」?
  ◎「専業主婦」は近代によって生み出された
 ⑤「少子高齢化」と日本の行く末
  ◎少子化と晩婚化の密接な関係
  ◎高齢化社会と介護の現実
  ◎少子高齢化への特効薬はあるのか?
 ⑥「家族の個人化」=「わがまま」?
  ◎みんなが「わがまま」になっている?
  ◎家族を「支援要因」として考える

第4章 社会学でわかる「会社と仕事」
 ①〈普通〉に働くことが困難な時代
   「自己責任」か「社会の責任」か?
  ◎「派遣切り」は他人ごとか?
  ◎「正社員でいること」が難しい時代
  ◎自己責任論の問題点
    ニートは怠け者か?
  ◎「ニート」が増加した理由
  ◎「やりたいこと」にこだわってはダメなのか?
  ◎「やりたいこと」を求める現代社会
 ②日本型雇用システムは崩壊したのか?
  ◎日本型雇用システムとは何か?
  ◎なぜ日本型雇用システムが成立したのか?
  ◎社会学から見た終身雇用と年功賃金
  ◎徐々に変化してきた日本型雇用システム
  ◎日本の雇用システムが変化した理由
 ③「正社員が減る」と、社会はどうなるのか?
  ◎大きな経済格差
  ◎「豊かな社会」における貧困
  ◎セーフティネットの格差
  ◎ほんとうに正社員は勝ち組か?
  ◎標準モデルという前提の見直し
 ④新しい働き方へ
   絶望を希望に変えることは可能か?
  ◎従来の日本型雇用システムへ回帰すればよいのか?
  ◎社会保障の二つの立場
    ベーシックインカムとワークフェア
  ◎ベーシックインカムとは
    すべての人に「最低限度の生活」を
  ◎ワークシェアとワークライフ・バランス
  ◎働くことの「純粋な関係」へ

第5章 社会学でわかる「文化・流行」
 ◎「オーラの泉」の流行を社会学的に考える
 ①「文化」を社会学的に見る
  ◎文化とは何か?
  ◎「ちょっと斜めからの視点」で世界を眺める
 ②「流行」はどのように生れるのか?
  ◎流行を知れば、社会がわかる!?
  ◎流行の持つ「三つの特性」
  ◎人はなぜ流行に乗るのか?
  ◎「マイブーム」が表す現代社会
 ③スピリチュアリティの流行から何が見える?
  ◎「スピリチュアリティ・ブーム」って何?
  ◎なぜ「スピリチュアリティ」は流行したのか?
  ◎「神秘性」が人々を動かした?
  ◎「カウンセラー」という肩書の力
  ◎「スピリチュアル」でほんとうの自分を知る
 ④なぜ人は自殺するのか?
  ◎自殺大国ニッポン
  ◎現代社会における自殺の原因トップ3
  ◎精神疾患と自殺の深い関わり
  ◎女性より男性の自殺率が高い理由
  ◎自殺対策を社会学的に考える
  ◎文化・流行から見えてくる社会の新しいカタチ

おわりに
 ◎「見通しの悪い社会」で生きるために

※「第4章 社会学でわかる「会社と仕事」」後半ではベーシックインカムが紹介されています。
ワークシェアなどによって、働く時間を減らすことができ、かつ[ベーシックインカム等によって]基礎的な所得が保障されているのであれば、働き方の選択肢も広がることになるでしょう。賃金を得ることのできない、家事や育児に専念したり、地域活動に力を入れたりすることも可能になり、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の実現にもつながっていくものと考えられます。(218頁)
                   [ ]はHikizine挿入

※ベーシックインカムについては、『BUSINESS INSIDER JAPAN』HPに、



 映画『七つの会議』(WOWOWオンライン
      12/27(金)午後4:45~
      1/1(水・祝)よる8:50~