中村桂子・板橋涼子『生きもの上陸大作戦 ー絶滅と進化の5億年ー 』(PHPサイエンス・ワールド新書026、2010年)を読みました。巻頭の「生きもの上陸大作戦絵巻」、素晴らしいです。

 絶滅が大きな進化をうながす
今日、私たちが地上で目にするさまざまな樹木、美しい草花、周りを飛びかう虫たち、そして動物たち。こうした豊かな生態系の出発点はいまから5億年前ー地球に生物が誕生して33億年、生きものたちが住み慣れた「水圏」を離れ、陸に上がることを決意したときのこと。まずは植物、そして昆虫、脊椎動物が上陸。5億年で5度の大きな絶滅を乗り越え、たくましく進化する生物の一大イベントを活き活きと描く。(カバーから)

 『生きもの上陸大作戦 ー絶滅と進化の5億年ー』目次
生きもの上陸大作戦絵巻

第1章 植物たちの上陸大作戦
 1 最初の挑戦者は植物
  浅瀬は生物で大混雑
  最初に上陸に成功した植物とは?
  クチクラと気孔
  胞子を作るという工夫
  胞子体と配偶体の関係と進化
 2 森への道
  シダ植物と維管束の発明
  リンボク類は石炭紀の森林の主役
  森と土づくりと生態系
 3 現代の森へ
  森の産物が川を豊かにした
  寒冷・乾燥化がシダ植物を滅ぼす
  種子植物が優勢となったわけ
 4 花はどのようにして生れたか
  花を咲かす被子植物はいつ頃生れたか
  離弁花と合弁花
  花づくり遺伝子は古くから存在した
コラム
  花はどのようにしてできる?
  三つの遺伝子の組み合わせで

第2章 昆虫たちの上陸大作戦
 1 昆虫の上陸
  地球上で最も成功した生きもの
  無翅昆虫から有翅昆虫へ
  無翅昆虫の祖先はカブトエビか
  小型化こそが繁栄の秘密
 2 翅ができるしくみ
  翅の発明をめぐる二つの仮説
  遺伝子から「翅の獲得」を見る
  翅の枝分れと平たく伸びる性質の組み合わせ
 3 遺伝子と発生とから描く昆虫の進化
  羊膜ができることが進化の鍵
  分子系統樹と重ね合わせると
 4 植物と昆虫の共進化
  チョウの進化と食べる草の微妙な関係
  イチジクとイチジクコバチの共進化

第3章 脊椎動物たちの上陸大作戦
 1 筋肉のついたヒレから足へ
  「魚類時代」と顎の誕生
  常鰭類と肉鰭類ー「生きた化石」シーラカンス
  水中にいる間に進化した!?
 2 上陸した脊椎動物の先祖たち
  四足動物につながる最古の生物
  水中ですでに足ができていた
  浅瀬で暮らすー肺と肋骨と顎
  ディクターリクの奇妙な顎とうろこ
  陸上で暮らし始めたイクチオステガ
 3 手はどうやってできたのか?
  四本の足から二本の足へ
  アカンソステガの「八本の指」
  ヘッジホッグ遺伝子のはたらき
 4 ゲノム重複
  脊椎動物の進化とゲノム重複
  トラフグに起こった三回目の重複
  真骨魚類と四足動物のゲノム進化

第4章 絶滅が大きな進化を促した
 1 生きものの歴史の一つである絶滅
  恐竜の絶滅と隕石の落下
  絶滅の後で生き残ったものたち
  絶滅に気づいたとき
  浮き彫りになった「五回の絶滅」
  絶滅の原因を求めて
 2 五回の絶滅を追う
  超大陸パンゲアとスーパーブルーム説
  大噴火とメタンガスの放出
  四・四億年前(オルドビス紀末)、種の八五%が絶滅
  三・六億年前(デボン紀後期)、種の八二%が絶滅
  二・一億年前(三畳紀/ジュラ紀境界)、種の七六%が絶滅
 3 恐竜から鳥へ
  鳥類は恐竜の仲間から生れた
  恐竜は運動能力の高い混血動物
  化石からわかったもう一つの秘密
  恐竜の巧みな呼吸法

あとがき
生きもの上陸大作戦-003