東松山市民文化センターで開かれた関東森林学会の講演と発表を聴講しました。
古谷益朗さんの『森林から丘陵、平坦地へ拡大する野生動物被害 ~拡大させないために~』講演
●野生動物はなぜ、拡大する? 食欲を満たす食べ物がある 安心・安全な身を隠せる場所がある
●鳥獣害は原因転嫁、責任転嫁のヒューマンエラー 思い込み! 気づきの遅れ!ひとまかせ!
●なぜ被害が減らないのか? 正しい事実が伝わっていない! 正しい技術が伝わっていない!
●鳥獣害は原因転嫁、責任転嫁のヒューマンエラー 思い込み! 気づきの遅れ!ひとまかせ!
●なぜ被害が減らないのか? 正しい事実が伝わっていない! 正しい技術が伝わっていない!
●被害対策の考え方
被害管理 追い払い、環境管理、侵入防止柵、捕獲
個体数調整・侵入拡大防止 シカ、アライグマなど捕獲
●野生動物を拡大させないためには?
相手を知る!
餌となるものを放置しない!
休息場所・繁殖場所をつくらない!
特性を利用した有効な柵を設置!
被害管理のための計画的な捕獲!
●夜行性、昼間は行動しないという思い込み
イノシシ(昼間行動する動物)、ニホンジカ(昼夜問わずに活動)
被害管理 追い払い、環境管理、侵入防止柵、捕獲
個体数調整・侵入拡大防止 シカ、アライグマなど捕獲
●野生動物を拡大させないためには?
相手を知る!
餌となるものを放置しない!
休息場所・繁殖場所をつくらない!
特性を利用した有効な柵を設置!
被害管理のための計画的な捕獲!
●夜行性、昼間は行動しないという思い込み
イノシシ(昼間行動する動物)、ニホンジカ(昼夜問わずに活動)
ニホンザル(昼行性)、タヌキ(夜間活動するする動物)
アナグマ(昼間活動する動物)、ハクビシン(完全な夜行性)
アライグマ(完全な夜行性ではない)、
●人里は最高の栄養源!…なぜ?
●人里は最高の栄養源!…なぜ?
意図的なエサやり 無意識なエサやり(食っても怒られないエサ!)
●集落へ呼びよせる大きな原因
廃棄果樹・野菜、廃園となった果樹園、収穫しない柿
対策をしない田畑、無防備な市民農園
●集落へ呼びよせる大きな原因
廃棄果樹・野菜、廃園となった果樹園、収穫しない柿
対策をしない田畑、無防備な市民農園
●野生動物を拡大させないためには?
相手がいやなことをする(来ても食えなかった! 安心できない!)
侵入防止柵、追い払い、環境整備
●自分たちの地域は自分たちで守る!
正しい情報と知識を共有!
餌場、餌付け、隠れ場所の撤去!
ひとりひとりの意識改革!
野生動物と戦うための意識改革!(講演配布資料から)
相手がいやなことをする(来ても食えなかった! 安心できない!)
侵入防止柵、追い払い、環境整備
●自分たちの地域は自分たちで守る!
正しい情報と知識を共有!
餌場、餌付け、隠れ場所の撤去!
ひとりひとりの意識改革!
野生動物と戦うための意識改革!(講演配布資料から)
……自然環境下には年や気象条件などにより変動はあるものの野生動物が暮らすだけの食べ物は十分存在する。しかし、山の中で食べ物を探し空腹を満たすのは大変な作業だ。人里にある農作物や果樹はこのような動物にとって魅力的な存在になるのは当然である。ようするに「楽」を選択し、生活環境周辺で快適な生活を手に入れたのだ。……山から人里へ移った生活圏が平坦地や市街地に拡大しつつある。……
野生動物が生活するためには「空腹を満たす」と「安心・安全」が必要である。被害は何処でも発生しているように見えるが、実はこの2つが揃わないと発生しない。つまり、原因は食べ物と隠れ場所の存在、そして人の圧力の著しい低下である。原因がわかれば対策は見えてくる。生活環境周辺から食べ物を無くし、安心して生活できる環境をなくしていくことが対策の第一歩だ。……長い年月をかけて人里での快適な生活を手に入れた野生動物を人の都合で一夜にして山に返すことはできない。時間をかけて築いてきたものは時間をかけて崩していく、遠回りに思える対策でもそれが一番大切である。
生活環境周辺で野生動物食べ物になっているものについて考えてみよう。被害面積や額といった数字で表れてくるのが収穫前の作物である。このほかに、傷ついたり規格外の廃棄作物、収穫後の残渣、廃園となった果樹の放置、家庭菜園、庭の果樹など数字に表れないものが存在するはずだ。実はこの数字に表れない食べ物が野生動物を人の生活環境に依存させ、増加させている大きな要因なのだ。……
次に隠れ場所の問題である。野生動物の発生現場を見ていると安心して隠れていられる場所が多くある。遊休化した農地、林縁部の山林内の草、荒れ放題の竹林などあげればきりがない。そして市街地には空き家など中型の動物が入り込める建物も増加している。作物を狙うための前線基地ができているようなものだ。野生動物は人里に馴れていても警戒心は強く、開かれた場所を好まない。被害に遭わないためには見通しを良くすることや建物に入り込めなくすることなど休息場所をなくすことが大切だ。見通しが良くなれば動物も出にくくなり、人も入って行けるようになるため林縁部の圧力も高くなる。……
個体数が既に増加してしまっている現在の状況では捕獲も進めなければならない。……
野生動物の対策は被害が増加した原因を理解し、関係する人々が同じ方向を向いて進めていかなければならない。「ここはまだ大丈夫!」の時代はすでに終焉である。「どこに出てもおかしくない!」時代に突入した。事実を見据えてそれぞれの立場で考える時期ではないだろうか。
ブログ掲載記事(古谷益朗氏講演)
アライグマ捕獲従事者養成研修会(2017年2月9日)
生きものフォーラム~外来生物アライグマの実態に迫る~(2016年2月14日)
3本の発表を聴きました。『要旨集』が配布されています。
森田厚さん『堂平鳥獣保護区を中心としたニホンジカの行動圏について』(要旨集№43)
埼玉県内ではシカの個体数の削減や生息地の縮小を目的として捕獲を強化しているが、増加・拡大に歯止めがかかっていない。シカの移動実態(ルート、範囲、時期等)や利用環境を明らかにするため、埼玉県内のシカ生息地域の中央に位置する堂平山鳥獣保護区内で捕獲したシカ7頭にGPS首輪をつけて1時間に1回即位して移動実態を追跡した。秩父高原牧場では昼間は林内、夜間は採草地。観音山北麓のエリア(東秩父村役場の西方)では逃げやすい場所(尾根など)で休んでいる。
埼玉県内ではシカの個体数の削減や生息地の縮小を目的として捕獲を強化しているが、増加・拡大に歯止めがかかっていない。シカの移動実態(ルート、範囲、時期等)や利用環境を明らかにするため、埼玉県内のシカ生息地域の中央に位置する堂平山鳥獣保護区内で捕獲したシカ7頭にGPS首輪をつけて1時間に1回即位して移動実態を追跡した。秩父高原牧場では昼間は林内、夜間は採草地。観音山北麓のエリア(東秩父村役場の西方)では逃げやすい場所(尾根など)で休んでいる。
岩本宏二郎さん『都市近郊林における皆伐後9年間の天然更新過程』(要旨集№87)
●調査
森林総研多摩森林科学館の2調査区で2m×2mの方形区38を設けて5月末から6月に植生調査
出現種を生活型(高木・小高木・低木・小低木・つる・ササ・多年生草本)にわけて、各型出現種の被度と最大高記録
●検討
階層ごとの出現頻度の年変化の検討
樹高2m以上の樹木と高木については2調査区の本数密度を検討
●まとめ
更新時のアズマネザサの被度の違いが高木・亜高木性樹種の更新に影響することが示唆された。
広葉樹林育成のためには、更新木がやぶの高さを抜けるまでは刈払いなどの更新補助作業が必要と考えられた。
●調査
森林総研多摩森林科学館の2調査区で2m×2mの方形区38を設けて5月末から6月に植生調査
出現種を生活型(高木・小高木・低木・小低木・つる・ササ・多年生草本)にわけて、各型出現種の被度と最大高記録
●検討
階層ごとの出現頻度の年変化の検討
樹高2m以上の樹木と高木については2調査区の本数密度を検討
●まとめ
更新時のアズマネザサの被度の違いが高木・亜高木性樹種の更新に影響することが示唆された。
広葉樹林育成のためには、更新木がやぶの高さを抜けるまでは刈払いなどの更新補助作業が必要と考えられた。
荻原謙さん『30年生を超えて伐採されたコナラ林の萌芽状況』(要旨集№88)
埼玉県内の7地区で伐採したコナラ203本とクヌギ78本の萌芽について2年間の調査報告
●高齢化したコナラ林は更新が必要
放置されると荒廃が進行 ナラ枯れの危険性大
●更新方法の検討
萌芽更新低コストで成長優れるが高齢木の萌芽力低下
萌芽更新は可能か? →萌芽調査
●コナラ・クヌギ伐採株の計測
年輪を数えて年齢記録
放置されると荒廃が進行 ナラ枯れの危険性大
●更新方法の検討
萌芽更新低コストで成長優れるが高齢木の萌芽力低下
萌芽更新は可能か? →萌芽調査
●コナラ・クヌギ伐採株の計測
年輪を数えて年齢記録
株直径・伐採高
●萌芽枝の計測(1成長期経過後)
萌芽本数(基部直径4㎜以上すべて)
萌芽高(群生型は1群生ごとの最大値)
萌芽直径(最大萌芽高を計測した萌芽枝の基部)
●まとめ
高齢化したコナラ・クヌギでも萌芽の発生はあるが、萌芽株率は若年性よりかなり低い
●萌芽枝の計測(1成長期経過後)
萌芽本数(基部直径4㎜以上すべて)
萌芽高(群生型は1群生ごとの最大値)
萌芽直径(最大萌芽高を計測した萌芽枝の基部)
●まとめ
高齢化したコナラ・クヌギでも萌芽の発生はあるが、萌芽株率は若年性よりかなり低い
→目標とする林相によっては他の更新方法との併用が必要
萌芽の発生・成長に何がどの程度かかわっているのか、明確にならなかった
萌芽の発生・成長に何がどの程度かかわっているのか、明確にならなかった
→より多くのデータ収集・解析が必要