平岡豊さんの『実践型農業マーケティング』(全国農業会議所新書2、2006 年8月発行、2012年5刷)を読みました。

  平岡豊『実践型農業マーケティング』目次
第1章 マーケティングの基礎知識
 はじめに 「マーケティング」をひとことで言えば
 1 マーケティングの基本的な展開
 2 マーケティング戦略を構成する「4つのP」
 3 消費者・市場・流通への目くばり
  (1)消費者はいろいろ
  (2)市場をどう捉えるか
  (3)農産商品の流通をどう構築するか
 4 実需者の動きに対応し、実需者の新しい動きをつくろう
 5 「認定農業者」と「農業経営」をどうとらえるか?
 6 2極分解していく中での「消費者・生活者」との関わり
 7 消費者・生活者への目くばり
     食に対しての対応
      ①頭脳タイプ、②五感タイプ、③心情タイプ
      ④胃袋タイプ、⑤財布タイプ
 8 「連携展開マーケティング」と「個別展開マーケティング」
  (1)連携展開マーケティング
  (2)個別展開マーケティング

第2章 農業マーケティングで重要な5つの力
 はじめに
     4P戦略(product price place promotion)
 1 状況力
  (1)社会環境
  (2)暮らしの変化
  (3)競合の多様化
 2 商品力  納得購入してもらうには
  (1)つくり保証
  (2)えらび保証
  (3)とどけ保証
  (4)ブランド
  (5)谷山農産物、優位差別化の3つのポイント
    ①鮮度
    ②風味と食感
    ③地域個性品
 3 情報発信力(広告力)
  (1)パブリシティへの目くばり
  (2)マスコミ、ミニコミ、クチコミの連動
 4 販売促進力
  (1)特定ルートコミュニケーション
  (2)マスベディア
    ①マスメディアイベントの仕組み方
     イベントのタイトルを面白くする
     絵になる工夫をする
     国際色のある大会にする
     公共性があること
     話題をつくる
     継続性を大事にする
     予告への工夫をする
    ②マスメディアイベントの目的ーたとえば、モノが違うことを実感してもらう
 5 組織力
  (1)プロジェクトマネージャー
  (2)情報担当
  (3)企画担当
  (4)渉外担当
  (5)広報担当
 効果をあげるマーケティングの実践のため「3×3適」への目くばり
  (1)適地・適作・適技
  (2)適量・適質・適価
  (3)適層(ターゲット)・適流・適時

第3章 農業者が主体的に展開するマーケティング活動
 はじめに マーケティング活動は5K力で推進しよう
 1 企画活動での5K力
  (1)行動力
  (2)考察力
    ①「雑学」を踏まえた「多視点考察」
    ②先進地視察プラス事例考察
    ③3つのキセイ概念から自由になろう
      キセイ1 既成概念
      キセイ2 規制概念
      キセイ3 気勢概念
        勢いに乗って深く考えずに行動を起こす
  (3)興味力
  (4)構築力
      「なにを」「だれに」「どのように」
      ①現状把握、②問題点の発見、③課題の明確化、④課題解決のための企画立案
  (5)協調力
 2 取引活動での5K力
  (1)交流力
      交流を高める損得、体面、好き嫌い
  (2)交渉力
    ①意味(コトバ)←→イメージ(絵)
    ②納品におけるマイナス3K=欠品失格、規格厳守、価格競争、への対応
    ③礼、理、利を踏まえた交渉力
  (3)協働力
  (4)改良力
  (5)完遂力
 3 社会活動での5K力
  (1)共感力
  (2)規範力
  (3)貢献力
  (4)共益力
  (5)共生力
 共通して必要なのは「継続力」
 「農業マーケティング」をはじめよう
   現状把握、問題点の発見、課題の明確化、課題解決のための企画立案
 心をこめて「観察」し、日常的にマーケティング活動を続けよう

第4章 マーケティングアイデア55
 1 農産物の使い勝手
 2 浅漬け、みそ汁の地位向上を
 3 消費者の「損得」「体面」「好き嫌い」
 4 加工グループ連携プロジェクト
 5 「レンジでおいしい焼き芋」の売り方
 6 「顔の見える農業」で成果をあげる
 7 目標数字で実現を具体化
 8 品切れをチームで防げ
 9 「モチの日常化」のヒント
 10 “また来たい”につながる未体験演出
 11 観光農園に平日客を呼ぶ
 12 牛乳鍋で消費拡大
 13 企業への通販で農産物を売る
 14 物語のあるギフトシステム
 15 周辺都市化を差別化に
 16 茶園見学者を顧客に
 17 ちょっとした手土産は300円まで
 18 知恵とセンスで施設をつくる
 19 大豆の研究で小学生と生産者が近づく
 20 「爽冷地野菜」のプロジェクト
 21 人気の棚田オーナー、次の展開
 22 イベントを盛り上げるスペインのジューサー
 23 総額5万円の花火大会が大盛況
 24 残り野菜を個人病院へ販促
 25 「高くても国産物」選らんでもらうには?
 26 ブランドとは、「責任」と「自信」の表明
 27 3つの保証でブランド化
 28 だれに売るかで変わる商品の味
 29 地元こだわり品種への愛着
 30 「正しい活動」で「良い噂」を広げる
 31 生産者と消費者共同で自給率をあげる
 32 農業経営者が連携してマーケティング活動を
 33 「卵かけご飯」に「江戸たまご」。卵もお土産に
 34 薬効情報で消費量アップ
 35 易しい言葉で語りかけ
 36 「コトバと絵」で風評被害防止へ
 37 話題素材提供でワイドショー広報を
 38 「明確なコトバづくり」を進めよう
 39 ブレンド米への消費者の誤解を解くには?
 40 効果抜群!「実需者」を生かしたPR手法
 41 テレビCMを戦略的にとらえる
 42 農産物直売所を情報発信の拠点に
 43 料理提案を活かす解説
 44 「情報発信プランナー」になろう
 45 お客様からの質問をきっかけに
 46 目くばりと工夫で経営改善
 47 時代の先を見越して対応する
 48 「習練」でプロとしての商品づくり
 49 「お箸づかいコンテスト」で消費拡大
 50 給食を「食育ランチ」にしよう
 51 10年後の大人の消費者を育てる
 52 地域連携の食育推進
 53 給食で食技練習、のススメ
 54 農業にも「インフォームド・コンセント」を
 55 百貨店の危機管理に学ぶ

マーケティングの4Pと農業マーケティング
農業経営診断実践マニュアルに関する調査研究報告書』(中小企業診断協会、2010年)87頁
●製品 (Product)
 ・作目、品種およびそれらの組み合わせ、 パッケージング、品質、 ブランド
 ・加工を加える (例:カット野菜にして業務用に販売)、サービスを加える(例:観光農園、直売所) 複合経営(栽培時期を組み合わせ、人や設備の繁閑期を平準化する、生産物を再利用する(藁→畜産→堆肥→米作など)
●価格 (Price)
 ・市場や JA(少品種多量、低マージン、価格不安定)と直売や直販(多品種少量、高マージン、価格安定)のバランス
 ・コストプラス型の価格設定がしっかりできていない。販売価格・仕入(資材)価格が市価により変動→リスク
 ・価格決定権の保持(直売所での販売、加工業者・外食産業との契約栽培)
●流通(Place)
 ・系統流通(JA)
  一般の流通(卸業者、加工・外食・小売との直接契約)
 ・重い、かさばる、鮮度が落ちる農産物の運搬コスト。
 ・作ってから売る(系統流通)から、売ってから作る(契約栽培)への移行。ブランド化できれば通販も有効。
●販促(Promotion)
 ・販売の方法・手法 (場所、人、宣伝)
 ・現状では、販売の現場では、品種×産地の「ブランド」が最も重視されている。商品の高付加価値化→目で見てわかりにくい「品質」「こだわり」「安全・安心」をどう伝えるか?→販促ツール、
販売員教育、自社販売などの検討。