2010年度食品廃棄物発生抑制推進事業の報告書(日本有機資源協会、2011年3月)12~13頁に食品の製造から販売段階における食品ロスの発生要因がまとめられています。  
食品ロスは食品の特徴(消費期限・賞味期限、保存温度等)によって異なると考えられることから、ここでは食品の分類ごとに発生要因を整理した。

図 消費期限・賞味期限および保存温度に基づく食品分類の例
食品分類
  (1)賞味期限が数時間~2日程度の食品(惣菜、弁当等)
  (2)賞味期限が数日~1か月程度の要冷蔵の食品(日配品)
  (3)賞味期限が数か月以上の食品
      常温で保存する食品(缶詰・レトルト食品、菓子類等)
      -18℃以下で保存する食品(冷凍食品)

1 惣菜・弁当
惣菜・弁当などは、通常、受注してから生産するのでは納品に間に合わないため、受注量を予測し、欠品とならないよう多めに見込み生産を行う。この結果、販売できなかったものが食品ロスとなっている。また、営業時間の長期化が進み、惣菜・弁当なども24時間体制で製造・出荷する工場も増加しているが、消費期限を従前の製造年月日のように日付単位で設定すると、朝製造したものも夕方製造したものも消費期限が同じとなってしまい、品質の実情に合わないケースが生じる。

2 日配品
日配品は、販売量の管理や配送の効率化のために中間流通(卸売業)を経由しているが、賞味期限が短いことから、基本的に倉庫での保管が困難であり、中間流通における受注調整を行いにくいという特徴がある。このため、メーカーは販売量(注文量)を見込んで生産し、自社倉庫等において、小売店からの注文数に応じて出荷調整を行い、出荷している。
一方、小売店では売上予想に基づいて発注するが、実際の販売数は天候や近隣店での販売状況の影響を受けるため、発注量と販売量に大幅なミスマッチが生じると、売れ残った食品がロスとなる。

3 缶詰・レトルト食品・菓子及び冷凍食品
これらの食品は、メーカーが販売目標に基づき効率的な生産計画を立てて製造している。中間流通(卸売)による受注調整も可能で、先入れ先出しなど保管庫における適切な管理や、納入期限に近付いた商品を関係流通業者等に協力を求めて積極的に販売すること等により、ロスを出さないための対応が行われている。しかしながら、新商品などで販売目標と実販売量の大幅なずれ(見込み違い)や、適期に販売できなかった季節商品、大幅リニューアルした商品の旧版商品等が食品ロスとなっている。
一方、流通上の問題として、外箱の凹みや汚れ、日付の逆転等による受取拒否などがあり、これらは、商品の品質的には問題ないが、通常のルートでは販売することができない。

図 食品ロスの発生と課題
食品ロスの発生と課題

(1)賞味期限が数時間~2日程度の食品(惣菜、弁当、生菓子など)では、製造業では、発注分+αの見込み生産をするので、追加注文がなければ+α分は食品ロスになり、小売業では売れ残りが食品ロスになります。
(2)賞味期限が数日~1か月程度の要冷蔵の食品(日配品 豆腐、牛乳、ヨーグルト、プリン、ジュースなど)では、製造業では見込み生産による食品ロス、中間流通では追加注文に即応する在庫分が追加発注がなければ食品ロスに、小売業では売れ残りが食品ロスになります。
(3)賞味期限が数か月以上の長期保存ができる食品(缶詰、レトルト、菓子類、インスタント食品など)では、外箱の汚れや凹み、日付の逆転(先入れ先出しのルールにより、例えば12月25日製造の製品を納品した後、12月24日の製品は納品できない)、品質以外の基準による返品による新たな在庫が食品ロスとなっています。

食品業界では、製造業者、中間流通業者、小売業、それぞれが独自に需要量を予測して見込み生産、在庫、発注をしています。その結果、生産量や注文量が食い違い、廃棄や返品といったムダが生じています。そこで、需要予測の精度を高めて食品ロスを削減することが大きな課題となっています。