麦刈り 春日部市庄和町史編さん資料13 民俗Ⅲ 日々の暮らしと仕事(春日部市教育委員会、2006年)105頁~106頁

麦刈り 麦のカリシン(刈り芯)は5月末から6月初めであった。大麦はまだ青い状態でも刈ることができる。コムギは、赤くならないと刈ることができないので、6月15日から20日ごろである。
 麦刈りは、鎌を使って前に進みながら行う。刈った麦は、畝と平行に置いていく。このとき、刈った麦の穂は、その前に置いた麦のカラの部分に載せるようにして置く。このため、刈った麦は穂でない方の部分を広げるようにして置く。刈った後の麦は、乾燥させるために1、2日間、そのまま畑に置いておく。しかし、雨でも降ると家に引き上げなければならない。
 その後、刈った麦束を14、5束で一抱えとし、大束にする。大束にする際には、ユツラと呼ばれるすぐった稲藁を7、8本ずつ分け、穂先で結んだもので束ねる。この大束の状態で運搬し、この作業をムギアゲ(麦揚げ)という。
・(略)
・麦が熟してくると少し穂の先が曲がってきて、穂の色が黄色になる。麦刈りのコツは「鎌を回すように刈る」ことである。引っ張って刈ると刃が抜けてしまうこともある。刈った麦は、1束の量で広げて置いていき、後から腰に藁を下げて1束ずつ束ねていく。1ワの大きさは手で持てる量である。これが16束(4束×4段)で大束になる。穂を上にして、竹槍で挿して畦まで運んで、そこからは荷車やリヤカーで家まで運んだ。【東中野】
・5月20ごろに大麦が熟してきて、青みがなくなってから赤らみ、そして城っぽくなったら刈る。小麦は6月5日頃になる。麦は稲のように垂れない。麦刈りは、刈ったものを寝かしておき、後から丸めて束ねていく。小束が12束(4列×3段)で大束になり、これをタケヤリ(竹槍)で担いで運んだ。田植えが終わるまでは、軒下に積んでおいた。麦刈りは入梅時期になり、麦の芽が出ないように保管した。二毛作のときには忙しいが、小麦を中心に作業をした。麦刈りが終わってから田起こしをして田植えとなる。【永沼】
・麦刈りは大麦が5月末、小麦が6月10日ころを中心に行われる。麦を運ぶには小束を16束で大束を作って運び、バラックの中に立てておいた。穂を上にして2段に積んで、上の段は穂を下にして積んだ。麦刈りごろには雨が多いと刈った麦が乾かないので、屋敷の周りの木を利用して棒を縛ってそこに干した。田植えが終るまで干しておく。【上金崎】
・【略】