川島町(かわじままち)ではパースですか。おこし、つっぱ。めんこは小さな財産。

※パース 川島町文化財保護審議会『川島町の文化財13 子どもの遊び・歌』(1993年) 10頁
 いためん・めんことか呼ばれた遊び、5、6人で遊んだ。各自一枚のパースを取り出し、指定された場所におきジャンケンで順番を決めた。
 “おこし”といって地面においてあるパースめがけて投げおろし、裏返しに出来れば自分のものとなる。成功している時は何回でも連続して出来た。裏返し出来なかった場合は次の順番となる。また、“つっぱ”といって、箱を裏返して底の平らな部分を利用して、それぞれのパースを置く。遊び方は、相手のパースめがけて、自分のパースのふちをあて、うまく台上の部分から突き出す。成功すると自分のものとなる。
 他にもパースの縁を立てかけてある戸板などにあて遠くへ飛ばす遊びもあった。また“おこし”にも“つっぱ”にもいろいろな条件をつけて遊びを工夫していた。
 パースには、大・中・小の三種類があった。円形のボール紙に武者絵が印刷されていた。
 どこの地区にも一軒か二軒、文具屋、雑貨店があり、その店先には駄菓子がおかれ、子どもの遊び道具がおかれていた。パースは、
 一銭で、大が四枚、中が六枚、小が十枚ぐらい買えた。(大正時代~昭和初期)(中山)
 パースは買い揃えたもんで貴重なものだった。遊びの中でも“ホンコ”と“ウソッコ”があり、“ホンコ”の場合はうまく成功すると自分のものとなるので、遊びといっても真剣で夢中になった。新しいパースで“ホンコ”の遊びをやると新しいものをめがけて皆から標的とされた。(長楽)
 パースが得意な子になると、ボール箱一杯集めて得意となり、小さな財産となっていた。