12日の市民の森保全クラブ作業日の休憩中の話題。冬、「たっぺ」が立つので稲ワラを庭にしいた話。「たっぺ」とは「霜柱」のこと。

goo辞書では、「さみー日の朝はたっぺが立つ(寒い日の朝は霜柱が立つ)」(埼玉県)今朝はさみーともったら、たっぺがはりやんしたねー(今朝は寒いと思ったら、霜柱が立ちましたね)」(栃木県南)「今朝はたっぺがはって、さむがんすね」(栃木県佐野市HP)。篠田勝夫『埼玉のことば[県北版](さきたま出版会、2004年)では、「霜柱がたっぺだってるよ」。

ノッペのタッペ
里やまのくらし11
 ……馬内(もうち)の土壌は粘土(ねばつち)まじりのノッペです。冬になり地表が冷えて零度以下になるとよく霜柱がはりました。霜柱をタッペといいます。ノッペは粒の細かい火山灰土でタッペが10㎝も立つことがありました。馬内ではひと冬の間、束をほぐした稲ワラを庭中に散らして、タッペを防ぎました。この敷きワラは、春になるとサツマ床に使いました。古里(ふるさと)地内の内出(うちで)や尾根(おね)では土質が違うので、ワラを敷くことはしていません。……

1960年頃の菅谷中学校(嵐山町)の生徒の詩

    しもばしら
  畑も道もまっ白だ

  道に花をさかしたように
  たっぺがはっている
  足をのせてみた
  のせるたびにぐつぐつといった
  たっぺをふむのがおもしろい
     菅谷中学校生徒会報道部『青嵐』12号 1961年(昭和36)4月
 
   登校

  「さむいなあ」
  と言いながら家を出た
  けさも
  きのうと同じ霜がおりていた
  「ギュギュ」と
  たっぺをふみしめる音が
  いかにも勇ましい
  「つめたい」
  そう言いながら二百メートルの
  たっぺの道を歩く
  その向こうは
  いよいよ学校だ

     菅谷中学校生徒会報道部『青嵐』13号 1962年(昭和37)3月

    たっぺの道

  畑中の登校の道
  あたり一面真白
  「もう初霜かな」
  「まさか」とつぶやく
  片足を踏み入れたとたん
  ざくざくざく
  「なんだろう」と思って下を見ると
  背丈がやっと一寸そこそこのたっぺが
  太陽の光を受けて光っていた
  「おお寒い」「もう冬か」
  とつぶやきながら歩いて行く
  さすがに登校の生徒もまばら
  厚さ三分位のくつ底もだんだん冷えてくる
  百歩ぐらい歩いただろうか
  くつ底も冷えきって
  足がいう事をきかない
  下をむきながら歩いた
  白い息が胸元をおおう
  そのたびにわずかに暖かさを感じる
  長かったたっぺの道
  わずか二百歩余りの道が

    菅谷中学校生徒会報道部『青嵐』13号 1962年(昭和37)3月