市野川水系の会in滑川主催のキツネノカミソリ鑑賞会が開かれ、雨天の中、滑川町の吉田町長、滑川町民など40名が参加しました。東上線の森林公園駅の近くです。
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上流も豪雨だったのでしょう。市野川の水量が一気に増えました。
高橋から撮影。左は9時15分。右は40分後の9時55分頃。
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キツネノカミソリはヒガンバナ科です。ヒガンバナはカンカン日が照りつける農道でも元気に育ちますが、キツネノカミソリは木漏れ日のある落葉広葉樹(ここではクヌギ)の林床に育ちます。
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代表の日下さん、澄川さん、上野さん、朝早くからの会場準備、ありがとうございました。
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※キツネノカミソリの育成管理の仕方 
  重松敏則『新しい里山再生法-市民参加型の提案 (林業改良普及双書 (No.130)) 』62~64頁から引用。

 里山のある場所を訪れると、林床一面に草花が開花しているとしたら、どんなに素晴らしく、楽しいことであろうか。チューリップやスイセンのような園芸植物を用いた例なら、これまでにもみられるが、これらは植え替え、施肥、雑草取り、消毒などに、多大な労力や費用を必要とし、面積も限られる。その点、野菜の草花であれば、写真1-4例に示すように、刈取り程度の簡単な管理だけで、ほとんど自生状態で存続させることができる。また、森林景観の上でも、野趣を添える草花類は園芸種よりも適切である。
 ただし、野生種といえどもその定着と繁殖には、各々の種類に適した土壌水分条件や光条件が必要であり、それぞれの生育環境の要求に適した管理を行うことによって、目的とする草花の開花と繁殖を達成することができるのである。
 以下にその例として、キツネノカミソリ、ササユリの管理手法を述べる。
 ①キツネノカミソリ
 写真1ー5(略)は、夏期のクリ園の林床を彩るキツネノカミソリの開花と、その冬期の様子である。キツネノカミソリはこのように、落葉広葉樹のクヌギ、コナラ、クリなどの林床を生育地とし、林内が明るくなる冬の落葉期に葉を広げ、光合成をする。その後、樹々が若葉を出して林内が暗くなると休眠期に入り、地上から姿を消す。そうして、7月下旬~8月下旬ころに休眠から覚め、花を咲かせるのである。落葉広葉樹林の環境に、実にうまく適合した植物だと言える。
 さらにクリ園の場合では、秋の収穫期に先んじて、毎年9月上旬に下刈りが行われるので、他の低木類や草本植物の繁茂は抑えられる。キツネノカミソリは影響を受けることなく、冬期の光条件が確保されるので、いっそう都合が良いことになる。
 落葉広葉樹林であれば、キツネノカミソリは鱗茎の植え付けによって、容易に林床に導入することができるが、立地には斜面下部から谷部の土壌水分条件に恵まれた場所、すなわち栗園に適したような場所を選定する必要がある。
 キツネノカミソリの育成管理は、基本的には栗園の場合と同じ時期に、年1回の下刈りを行うだけで良いわけだが、花柄が地上部に伸長してくる直前の7月上・中旬ごろに、下刈りを実施するほうが、他の競争植物を抑える点では効果的である。しかし、これだとキツネノカミソリの花柄だけが目立つことになり不自然であるから、草丈の低い青草との共存を考慮すると、刈取りは6月下旬か9月上旬ころということになる。(後略)