2022年06月
(3)侵入間もない被害先端地域~オンラインマッピングの活用~
クビアカツヤカミキリの分布が拡大しつつある地域近辺で、被害がまだ確認されていない箇所では、注意深く警戒することにより、被害木が少数のうちに被害の発生を発見し、防除活動を行うことができます。そのような被害先端地域では、被害の初期に積極的な防除を行い、局所的に根絶させることによって、長期的に見ると最も防除コストを小さくすることができます。そのため、この段階では被害木全てを伐倒駆除することを強く推奨します。伐倒以外の防除方法では、 100%の駆除はできません。長い間丁寧に排糞孔の処理を重ねても、本種は産卵数が非常に多いので、低密度のままで保つことはとても難しいです。早期に被害を発見ができた地域では、後顧の憂いを断つよう次の夏までに全被害木を地域から無くしてしまうのが一番です。実際に、海外で外来種対策が進んでいる国では、穿孔性の外来害虫の侵入をひとたび発見すれば被害木を即伐採し、その周辺地域での被害モニタリングを何年も継続して行うことが対策の基本とされています。
被害先端地域での被害の早期発見には、周辺地域での被害状況に基づく侵入警戒が重要です。そのためには、行政区を超えた情報共有が重要となります。情報共有には、リアルタイムオンラインマッピングができるクビアカツヤカミキリアンケートのサイト (27ページ)を活用していただきたいと考えています。自治体等の対策担当者は、被害地図を閲覧可能な団体である「クビアカツヤカミキリ被害リアルタイムオンラインマッピングシステム閲覧管理協議会」にご加入の上、情報共有のプラットフォームとしてご利用いただくことをお勧めしています。この協議会はクビアカツヤカミキリによる被害情報を共有することによって、被害対策の効率化をめざすオンラインのバーチャルな組織です。(26頁)[下線引用者]
終わりにクビアカツヤカミキリの被害は瞬く間に全国的な問題となってしまいました。被害の深刻な場所では少し街中や園地を見回るだけで、オレンジ色のフラスにまみれた、この先の枯死を防ぐことが難しそうな木を見つけることができます。しかし、難防除の外来種であっても、科学的に効果が高いと認められた防除方法を用いて、計画と検証をしっかりしながら対策を進めることで、被害の進行を食い止めていくことが十分可能になってきました。……
本種の対策は、被害地に直接関係する一部の人だけで進められるものではありません。被害エリアを正確に把握するための探索や幼虫・成虫の駆除活動に、本種の被害の恐ろしさを知る様々な立場の人が継続的に関わっていくことで、はじめて有効な対策が可能になっていきます。……(28頁)[下線引用者]

牙があったのでイノシシだと言って写真を見せていたとおっしゃっていましたが、姿や体色は6月8日の記事に載せているニホンカモシカと似ています。ニホンカモシカには生え替わらない角はあっても牙はないので、「牙があった」は気になります。



ここのトラップではカシノナガキクイムシの初見が6月18日。新たに22基、トラップを増設したそうです(「丘陵みどりの会6月3週活動状況」から)。立派に育ったコナラが多数あり、東側は田んぼに接するきれいな緑地です。
第1章 イエネコによる絶滅の記録
ナチュラリストの灯台守
ニュージーランドの固有鳥類とその絶滅
多産系肉食獣・イエネコの狩猟能力が与える打撃
判明していない絶滅前の分布
イエネコの破壊力――ほんの数年で起きた絶滅
第2章 イエネコの誕生と北米大陸での脅威
野生動物の生息地復元とエコロジカル・トラップ
イエネコのルーツ ――ヨーロッパヤマネコ
イエネコの進化と拡散
保全生物学の誕生
環境汚染物質と自然保護
絶滅種の14パーセントに関与
ソコロ島における外来種の影響と対策
野放しネコの影響を科学する
第3章 愛鳥家と愛猫家の闘い
野鳥フィールドガイドの誕生
イエネコと人間の関係史
ネコは社会制度のフィルター――ネコの待遇の変化
銃から双眼鏡へ――フィールドガイドの功績
自然界と人をつなぐバードウオッチング
バードウオッチングとネコの経済効果
屋外ネコと人の関係
野放しネコの実態と世話人
野放しネコに対する世話人の認識
第4章 ネコによる大量捕殺の実態
野鳥への脅威を初めて世に問うたアメリカ人
ナチュラリスト大統領の自然保護政策
法律と現状のミスマッチ
鳥類保護に立ち塞がる困難
野鳥個体群の変動とネコの捕食の影響
ネコの脅威は在来捕食者を超える
野放しネコの直接的影響
全米の野放しネコによる野生動物被害数
嵐の勃発――愛猫家らの反応
第六の大量絶滅
第5章 深刻な病気を媒介するネコ――人獣共通感染症
飼いネコから人に感染するペストの脅威
ネコひっかき病のバルトネラ菌
ネコも媒介する狂犬病
アメリカにおける狂犬病感染の主犯、ネコ
ネコ科動物から大拡散するトキソプラズマ症
「寄生生物操作仮説」の実証
人も発症するトキソプラズマ症
人への感染――妊婦に及ぼす危険と統合失調症
野生動物への影響――カラスと海棲哺乳類の事例
ネコ白血病のネコ科野生動物への感染
第6章 駆除 vs 愛護――何を目標としているのか
絶滅危惧種フエコチドリ
フエコチドリ保護のためのネコ狙撃事件
野放しネコの法的位置づけ
希少種保護のための二つの法律
野生化ネコに対する提案と炎上する議論
拒否された投票結果
オーストラリアのネコ問題
人道的駆除計画
固有動物相を大切にするオーストラリア国民
ニュージーランドの取り組み――キャッツ・トゥ・ゴー
自然保護のジレンマ
動物福祉と環境倫理
第7章 TNR[Trap Neuter Return 捕獲・不妊去勢・再放逐]は好まれるが、何も解決しない
動物愛護協会で譲渡を待つ子ネコ
ボランティアが支えるTNR活動
TNRへの期待、それに続く失敗と限界
動物倫理から見たTNR
不妊去勢手術
地域ネコのTNR活動の現場
殺処分からTNRへ――地域ネコ管理の転換
TNRを支える迷信
TNRが個体数減少に成功するための条件――高い不妊化率と移入ゼロ
TNR失敗要因とバキューム効果の有無
TNRのさらなる問題点――軽視される生態系
オレゴン州の捕獲ワナ――その後
第8章 鳥、人そしてネコにとって望ましい世界
野放しネコの影響をどう考えるか
野放しネコが減らない背景
ネコシェルターの実状
飼い主側の問題
関連団体やペット業界の役割
飼育許可制を目指す
野放しネコの捕獲排除を巡る科学と非科学
TNRの広がりとその効果への疑問
島の捨てネコを減らす――オレゴン州での事例
多様な団体の協同――ハワイの事例
TNRとネココロニーが容認される特例
野放しネコ対策を現実的に考える
野生化ネコ対策の成功事例と費用
致死的排除法と生物多様性への投資
自然に関心を持つことの重要性
第9章 どのような自然が待ち受けているのか?
対応の遅れがもたらす悲劇
大災害としての野放しネコ問題
乗り越えるべき二つの障壁
野放しネコの影響と私たちの未来
注
訳者[外来ネコ問題研究会]あとがき参考文献
索引
本書はネコを生態系の外来捕食者として捉えた初めての本格本である。著者のマラや登場人物のテンプルらと同じように、私たち訳者のほとんどは、生まれ育った国の自然を愛する鳥類学や生態・保全生物学の研究者で、もともとは「ネコ問題」の専門家ではなかった。海鳥、野生のウサギやネズミの研究、保全に携わるなかで「ネコ問題」に直面し、のっぴきならない状況に身を置いてきた。その危急性は、私たちにではなく、ネコに追い詰められる野生動物にこそ存在する。私が研究対象にする東アジア固有繁殖鳥のオオミズナギドリの世界最大繁殖地では、繁殖鳥の95パーセントが滅びた。ある人は、それはネコのせいではないという。他にも原因がある、だからネコに構うな、どの場所も今はネコの定住地なのだから、と。だが、仮にその言葉を容認すれば、その先には野生動物の絶滅が見える。今やネコは日本の多くの平野や山間地で最も巧みな肉食獣となっているだけに、日本の自然は危機的な状況に追い込まれている。とりわけ島でネコのもたらす脅威は目を覆うほどすさまじい。
本書が取り上げるネコは、使役あるいはペット由来のネコである。生物学的にはヨーロッパヤマネコに近縁なリビアヤマネコを祖先にする、イエネコと呼ばれる家畜である。主にネズミ駆除のために人が同伴し、南極を除く世界のすべての大陸と、ほぼすべての有人島に渡った。その子孫たちは今や、所有者がいるネコだけでも世界で5億頭、人と接点を持つ野良ネコや、自立して暮らすノネコにいたっては、推定値すら出ていない。この家畜であるイエネコは、ネコ科動物はもとより、現生哺乳類のなかで人とともに最も繁栄しているといって過言ではないだろう。優れた肉食獣の能力をいかんなく発揮して、分布を広げた多くの地で野生動物を追いやりながら、管理の手をすり抜ける魔法の杖を持っている。その魔法の杖とは、言うまでもなく、人という地球最強の応援団である。そして今や人々のなかに、ある種の戦争をも引き起こしている。ネコ擁護者と野生動物擁護者の間に続く、不毛ともいえる「ネコ戦争」(原著タイトルのCat Wars)である。
振り返れば、「ネコ戦争」が日本で起こったのは、マラらが生まれ育ったアメリカよりも半世紀遅れた。その理由は、ネコ戦争が経済的豊かさの指標と都市化の指標に深く関係するためだろう。両手に得た物質的豊かさと便利な暮らしと引き換えに、両指の間から、ぱらぱらとこぼれ落ちていった自然の豊かさと、都市の暮らしや核家族の寂しさを紛らわす存在として、多くの現代人がペットに生き物の温もり、連帯、心の安らぎを求めた側面が、ネコ問題の根源に存在するからだ。
ネコ問題に潜むもう一つ重要なことは、ネコたちがネコ科特有の感染症を広げ、野生動物のみならず人に脅威をもたらしていることである。これはあまり知られていないが、人とネコが共犯で拡散する怖さがネコ問題に潜む。人獣共通感染症の密かな進行は、愛猫家も動物愛護団体もあまり意識していない盲点といえるだろう。コンパニオンアニマルの双璧をなすイヌに比べてネコの管理が遅れたのは、野外にいるネコの危険性が認識されていないからである。ネコは田舎では害獣駆除の役割を担わされ、街中では散歩の手間が要らない野放しできるペットとして、今も人間側の都合に振り回されているからだ。本書にはネコの感染症の危険性が丁寧に述べられている。
本書は、ネコが生態系に与える影響を測るために、ネコを以下のようにひとくくりにしている点で特徴がある。飼いネコであっても、終日あるいは限られた時間、屋内から外に出るネコは、野外のみで生活する野良ネコ、ノネコとともに、野放しネコと認識されている。外に出る飼いネコも野外に暮らすネコ同様に、多くの野生動物を殺していることが、最新のテクノロジーを使った野外研究からも判明しているからである。[後略]
7月17日(日曜日、11:00~12:30)、東松山市・環境基本計画市民推進委員会主催
2021年の上水新町一丁目特別緑地保全地区一帯のトラップ未設置[枯死木75本]、1基設置[設置木36本、枯死木2本]、集中設置[設置木8本、枯死木0本]の違いによる効果を比較したグラフです。未設置は全体数がわかりませんので被害率は不明ですが、1基設置では6%の被害、集中設置[9~12基]では被害なしとなっています。1基設置で効果あるように見えますが、むしろトラップ方式実施の被害率が4.5%と見るべきでしょう。これを如何にして0%できるかです。【[]内は引用者追加】
第1章 小平市の成り立ちは先人がつくり上げた―水と緑と桜―
歴史的背景
水:上水用水路網
緑:雑木林屋敷林短冊形農地
桜:御上水桜(小金井サクラ)
第2章 水と緑の緑化推進
1、上水用水復活再生への提言
1)用水路50km全線通水への方策
①用水流入量季節変化の把握
②新規水源流入用水路を絞る
③鎌倉鷹の台の新規整備公園に雨水貯留施設を設置し用水水源とする
2)用水路の見える化の実現
①鎌倉公園に小平農業の礎である用水を再現する
②鷹の台公園に引込用水路と水車および水車可動のための流れを整備する
3)用水および用水網への市民の理解を深める
①用水路名称表示の実現
②用水路特別構造の解説版の設置
③用水路散策コースの設定と市民による用水路&自然文化ガイドマップの作製
2、雑木林屋敷林農地の保護再生への提言
1)雑木林ナラ枯れ病への対応
①緊急提言の対応策は引き続き実施し、市民参加を図る
②コナラクヌギ発芽育苗システム(どんぐり里親制度)の拡充
③コナラ等育苗施設の新設
④ナラ枯れ病死樹発見通報システムの創設
⑤緊急提言についての検証
⑥ナラ枯れ病対策の市内雑木林管理機関との連携および民間雑木林助成制度の創設
2)雑木林植生の質の向上による生物多様性の確保
①雑木林では定期的な下草刈り等管理の徹底
②クズ掃きの抑制
③保護と利用をゾーニングで明確に分離する
3)雑木林を市民にとって身近にする方策
①雑木林の愛称を公募し命名する
②雑木林解説版の設置
4)屋敷林の保護保全
①屋敷林まるごと保護保全
②屋敷林並木の保存
③ヒイラギモクセイ生垣の復活
5)農地の保全
①短冊形農地の保全
②ブルーベリー栽培農地の拡充
③たからみちの保存
6)復活協力、御上水桜(小金井サクラ)
第3章 市民協働で水緑をつくる提言
1)水と緑のボランティア応援ポイント制度
2)危機状況を市民にリアルタイムで知らせ体験で問題意識を共有する
3)具体的体験の緑の啓発行事で市民参加の推進
4)さまざまな緑のワークショップ開催参加で緑の意識を育む
5)都市緑化功労者表彰制度の強化と拡大
6)クラウドファンデングによる緑化公募で市民参加
7)民間企業団体国都の機関敷地の緑化、市民開放への方策の検討
第4章 都市計画事業への緑の提言
1)新府中街道に小平南北“緑”の軸線を提案
2)鎌倉公園についての提案
①鎌倉公園は「都市農業公園」とすべき
②民間農地と共存する鎌倉公園(都市農業公園)のあり方
③持続可能な循環型農業の仕組みを鎌倉公園で見せる
④鎌倉公園に小平農業の礎である用水を再現する。
⑤鎌倉公園で自然エネルギー発電を
⑥インクルーシブ公園の整備提案
3)鷹の台公園についての提案
①鷹の台公園鎌倉公園に防災機能の提案
②鷹の台公園に用水路と水車、水車のための流れを提案します
4)駅前広場にシンボルツリーを提案
第5章 花落ち葉小公園
1)ハンギングバスケットによる花の街化
2)落ち葉
①落ち葉に感謝するイベント開催の提案
②各公園に「落ち葉ステーション」を設ける
③公園や雑木林隣接住宅等に「雨どい清掃券」の無料配布
3)小公園
①市民アイデアで小公園を魅力あるものに
第6章 提言のその先にある小平市「水と緑」の体系
その他提言書には盛り込めなかった提案
樹木が病気になることが近年増えてきています。特に最近首都圏に広がってきて、猛威をふるっている樹木の病気に「ナラ枯れ」があります。ナラ枯れは直接的には菌が樹木の水あげを阻害して起こります。その菌はキクイムシという甲虫の一種カシノナガキクイムシによって運ばれます。ナラ枯れはどんぐりがなるコナラのなかま、しかも大きな木に集中して発生します。なぜ、大きな木に集中するのでしょうか。
太く大きいコナラにはキクイムシが集まる……ナラ枯れの根本的な対策は、雑木林を皆伐更新(伐採して、切り株から出るひこばえを育てて若返らせること)することです。それは15年以上前に確立された学説です。生態系に配慮するなら、数百平方メートルずつ小面積皆伐更新を行うのがよいとされています。しかし、現実には小面積皆伐更新はほとんど実施されておらず、対症療法的に、ナラ枯れにかかった樹木からカシノナガキクイムシが飛び立たないようにしたり、ナラ枯れで枯死した樹木だけを伐採したりすることにとどまっています。
人が手を加えたことによってできた「豊かな自然」もある市民の暮らしが里山から離れて、里山を使っていた時代の記憶が薄れた昭和の終わりから、公共の場や目立つ場所の樹木の伐採に対して強い反対が行われるようになりました。……丘陵地の大規模な公園における雑木林を維持するための小面積皆伐更新に対しても、ヤマザクラを伐採してはいけないという苦情がありました。ヤマザクラの樹形は根元から幹が分かれた株立ちでコナラと同じです。この樹形からヤマザクラも雑木林の一部としてくりかえし伐採されひこばえが再生してきたことがわかります。さらに、ヤマザクラは大きな樹冠を作るので谷戸の水田を日陰にしてしまい、農業に必要な光環境を維持できなくしてしまいます。それは、暮らしとは切れてしまった樹木愛護の精神によるものだと思います。私たちには生きている者同士の連帯感のようなものがあって、樹木にも連帯感を持ち、まして長く生きてきて大きな樹木には尊敬の念を抱くものです。……
雑木林を楽しむことも、資源の活用要は、もともとの自然だけが大事なわけではないし、周囲の環境に与える影響を考えずに人が手を加えることも決して良いことではないのです。そのバランスは、私は配置と面積の問題と考えています。山の向こうは、草原であった方が良いのかもしれません。でも、さらにその奥は原生林であった方が良いでしょう。また、都市の近くの林は、人の手が入った雑木林の方が良いのです。行政には、その配置と面積のバランスを考えた環境計画を立てていくことが求められるのです。そうした環境をこれからも維持していくためには、植生管理が必要なことを知ってもらえればうれしいです。それは、物質循環や自然の大きなサイクルを学ぶことにも繋がっていくと思います。……一方、私たち市民は、とにかく木を伐ってはダメという姿勢を少し変えてみましょう。……
また、木の伐採を受け入れる雰囲気を社会に広めるためには、伐採した木を資源として活用できる社会を構築していくことが必要だと考えています。
もちろん、江戸時代のように、木を薪や炭などのエネルギー源として利用することは現実的ではありませんし、チップにして燃やし、発電するのも費用対効果を考えれば、効率的とは言えません。
そこで、いま考えているのは、「楽しむ」ことです。伐採した木で木工を楽しんだり、そもそも、伐採に参加するのも楽しいと思います。特に、切り株のひこばえを育てることは心ときめく夢のある管理です。
雑木林を若返らせることも、そこに生きる植物や動物にふれることも、きっと楽しい体験になると思います。それはお金に換えられない体験です。
身近にある雑木林から、新しい発見や、面白いと思うこと、びっくりすることを感じるのは、そこに自然と人の営みがあるからです。
それを「楽しむ」ことが、雑木林のような「人手の入った自然」をこれからも残していくことに繋がると思っています。
倉本さんの著作は『雑木林をつくる―人の手と自然の対話・里山作業入門』改訂新版 (百水社、1998年)以来、里山再生活動で利用してきました。最近では高齢化したコナラ林の萌芽更新・再生にかかわる論文、松本薫・倉本宣「40年以上放置されたコナラ主体の雑木林における萌芽更新」(『明治大学農学部研究報告』65巻2号、2015年)、松本薫・倉本宣「小面積皆伐更新が行われてきた都立小宮公園における雑木林の更新の現状」(『関東森林研究』66巻2号、2015年)や日本生態学会大会での発表「丘陵地公園の雑木林における萌芽更新の成功と失敗」、「樹冠と後生枝から考察する大径化したコナラの萌芽規定要因」などから多くのことを学習しました。島田和則さんを講師に迎えての学習会「環境学習会・市民参加による里山林の保全・管理を考える(2018年2月18日記事)や都立小宮公園を見学(「都立小宮公園(2018年8月6日記事」)してから4年経ち、市民の森保全クラブの活動エリアのコナラ林をどのようにして更新していくのかその輪郭がようやく見えてきたところです。