岩殿満喫クラブ 岩殿 Day by Day

市民の森保全クラブ Think Holistically, Conduct Eco-friendly Actions Locally

2022年06月

松風公園のトラップ見学 6月30日

ブルーベリーの出荷前、高坂丘陵地区の松風公園のトラップを短時間、見学しました。
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トラップの捕虫部を覗いてみると、新規に捕獲されたカシナガは少ない一方で、株元にフラスが落ちているコナラがかなりあるので、カシナガの脱出・飛翔の時期が一段落し、コナラに穿入済みになってしまっているのかもしれません。






『クビアカツヤカミキリの防除法』(森林総研) 6月29日

国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所(森林総研)から3年間の共同研究の成果をまとめたクビアカツヤカミキリの防除マニュアル『クビアカツヤカミキリの防除法』(2022年3月)リーフレットが発行されました。「クビアカツヤカミキリは大変にたちが悪い害虫です。知らない間に新たな地域へと分布を拡げて木を食い荒らし、気が付いたときにはどこから手を付けたらいいのかという位に果樹園や街路樹の木が衰弱してしまうことがしばしばです。しかし、被害の初期から丁寧に防除をすると、その土地のモモやサクラを守ることができます。」(1頁)。第3章地域での総合防除への提言(24~26頁)では、早く見つけてしっかり伐るが強調されています。
(3)侵入間もない被害先端地域~オンラインマッピングの活用~
クビアカツヤカミキリの分布が拡大しつつある地域近辺で、被害がまだ確認されていない箇所では、注意深く警戒することにより、被害木が少数のうちに被害の発生を発見し、防除活動を行うことができます。そのような被害先端地域では、被害の初期に積極的な防除を行い、局所的に根絶させることによって、長期的に見ると最も防除コストを小さくすることができます。そのため、この段階では被害木全てを伐倒駆除することを強く推奨します。伐倒以外の防除方法では、 100%の駆除はできません。長い間丁寧に排糞孔の処理を重ねても、本種は産卵数が非常に多いので、低密度のままで保つことはとても難しいです。早期に被害を発見ができた地域では、後顧の憂いを断つよう次の夏までに全被害木を地域から無くしてしまうのが一番です。実際に、海外で外来種対策が進んでいる国では、穿孔性の外来害虫の侵入をひとたび発見すれば被害木を即伐採し、その周辺地域での被害モニタリングを何年も継続して行うことが対策の基本とされています。
被害先端地域での被害の早期発見には、周辺地域での被害状況に基づく侵入警戒が重要です。そのためには、行政区を超えた情報共有が重要となります。情報共有には、リアルタイムオンラインマッピングができるクビアカツヤカミキリアンケートのサイト (27ページ)を活用していただきたいと考えています。自治体等の対策担当者は、被害地図を閲覧可能な団体である「クビアカツヤカミキリ被害リアルタイムオンラインマッピングシステム閲覧管理協議会」にご加入の上、情報共有のプラットフォームとしてご利用いただくことをお勧めしています。この協議会はクビアカツヤカミキリによる被害情報を共有することによって、被害対策の効率化をめざすオンラインのバーチャルな組織です。(26頁)[下線引用者]
終わりに
クビアカツヤカミキリの被害は瞬く間に全国的な問題となってしまいました。被害の深刻な場所では少し街中や園地を見回るだけで、オレンジ色のフラスにまみれた、この先の枯死を防ぐことが難しそうな木を見つけることができます。しかし、難防除の外来種であっても、科学的に効果が高いと認められた防除方法を用いて、計画と検証をしっかりしながら対策を進めることで、被害の進行を食い止めていくことが十分可能になってきました。……
本種の対策は、被害地に直接関係する一部の人だけで進められるものではありません。被害エリアを正確に把握するための探索や幼虫・成虫の駆除活動に、本種の被害の恐ろしさを知る様々な立場の人が継続的に関わっていくことで、はじめて有効な対策が可能になっていきます。……(28頁)[下線引用者]
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7月17日(日曜日、11:00~12:30)、東松山市・環境基本計画市民推進委員会主催2022年度第1回市民環境会議が開催されます。『東松山市の桜が危ない クビアカツヤカミキリの脅威と対策』をテーマに埼玉県環境科学国際センターの三輪誠さんの講演「サクラの外来害虫クビアカツヤカミキリの生態と防除」、東松山市環境政策課から「東松山市のクビアカツヤカミキリ駆除奨励品交付事業」の紹介があります。(7/12市民環境会議案内(2022年6月15日記事

市民の森にニホンカモシカ? 6月27日

市民の森の舗装園路でトラップの点検作業をしている時に、坂戸市民の加藤さんからスマホの写真を見せてもらいました。6月20日の午前中に市民の森で撮ったそうです。
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牙があったのでイノシシだと言って写真を見せていたとおっしゃっていましたが、姿や体色は6月8日の記事に載せているニホンカモシカと似ています。ニホンカモシカには生え替わらない角はあっても牙はないので、「牙があった」は気になります。

トラップ点検(~石坂の森活動広場方向分岐) 6月27日

今日、梅雨明けしました。暑い日が続いています。お昼過ぎまで舗装園路のトラップの点検をしましたが、18日と同様、市民の森物見山駐車場から石坂の森活動広場への分岐点までしかできませんでした。新たにフラスが出ているコナラ(目通り18㎝、株元直径28㎝)があってトラップの新設をし、分岐点の石坂の森側のコナラに仕掛けたトラップにはカシナガが入り、裏側の株元にフラスが落ちていたのでトラップを増設しました。
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トラップ点検と皆伐地の手刈り 6月26日

市民の森保全クラブ6月第4日曜日の活動日。参加者は芦田さん、金子さん、木谷さん、鳥取さん、新倉さん、細川さん、丸山さん、鷲巣さん、Hikizineの9名。2班に分かれて昨日中断した谷の道のトラップ増設と皆伐地の手刈りをしました。
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皆伐地の草刈りグループ。必ず写真を撮って、メールに添付するか、LINEで送って下さい。
スマホで撮影する当番を決めて、写真が送れないのなら誰かに送り方を教えてもらって下さい。

※鷲巣さんが駐車場から岩殿C地区にくるルートにあるクリアファイルトラップを点検して、水の抜けているカバーを持ってきてくれることになっています。水が抜けないように注意して作っているのですが中々実現しません。水が抜けたトラップではカシナガがシートを食い破って穴を開けているいるものがあります。さすがキクイムシの顎は丈夫ですね。

カシナガ君、パニックにならなければ脱出できます。

桜山緑地のトラップ見学 6月26日

いなほてらすにブルーベリーを出荷する前、高坂丘陵地区の桜山台東にある桜山緑地を見学しました。
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ここのトラップではカシノナガキクイムシの初見が6月18日。新たに22基、トラップを増設したそうです(「丘陵みどりの会6月3週活動状況」から)。立派に育ったコナラが多数あり、東側は田んぼに接するきれいな緑地です。

コロギス(コロギス科)
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樹上性、肉食、鳴きません

落枝片付け 6月25日

市民の森の舗装園路で作業をしに来ると、園路や園路近くに落枝があるのが目につき、気になります。落枝の片付けは誰かがしなければいけない作業です。気をきかせて片づけてくれる散策者もありますが、ル-ティンワークの向き不向きはあると思います。24日、斉藤さんが知らせてくれた舗装園路の落枝。誰かがまとめておいてくれたのでしょう。今日、移動して片づけました。
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この落枝には丸い穴(成虫の脱出孔?)が多数開いていて、断面を見ると電ノコで彫ったような穴があります。どのような生きものがいたのでしょう。
木が枯れる、朽ちるとは、倒木・幹折れ・落枝のメカニズムなど知りたいことが山ほどあります。公益社団法人ゴルフ緑化促進会編『緑化樹木腐朽障害ハンドブック』(日本緑化センター、2007年)や深澤遊『キノコとカビの生態学ー枯れ木の中は戦国時代ー』 (共立出版、2017年)、黒田 慶子・太田 祐子・佐橋 憲生(編)『森林病理学ー森林保全から公園管理までー』(朝倉書店、2020年)。読むべき本も多数あります。

入山沼フェンスの穴 6月24日

入山沼の安全対策として単管パイプの柵が5月2日に新設されました。4日には釣り人が駐車場として使っていた愛弘園の管理地が封鎖され、沼のフェンスの穴も塞がれました。駐車スペースが減って釣り人も減っていますが、市民の森側のフェンスの穴をくぐって水面の近づき釣り糸をたれている釣り人を見かけます。フェンスのきれる場所にできた沼面至る小道は伐採残材でふさぎましたが、3箇所は沼の管理者がふさぐべきでしょう。
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スパイダーモアで草刈り 6月22日

スパイダーモアの借用ついでに車堀公園の畑と市ノ川右岸の道路沿いの草刈りをしました。
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オニグルミ(クルミ科)
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岩殿グループ写真館(2022.06.21)②

6月21日の植物調査から二宮さん撮影の写真とコメントです。①はこちら

キアゲハの初齢幼虫
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ウスイロトラカミキリ
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イチモンジカメノコハムシ
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シマサシガメ

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ドクガ幼虫
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キマダラセセリ
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ノコギリカメムシ
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キンモンガ
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マダラホソアシナガバエ
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ヒメギス
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岩殿グループ写真館(2022.06,21)①

6月21日の植物調査から二宮さん撮影の写真とコメントです。②はこちら

コバノカモメヅル
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コボタンヅル
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ヒメドコロ
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ヤナギイノコズチ
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ネコハギ
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セイタカアワダチソウ
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ヤノネグサ、コウガイゼキショウ、ドクダミ
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ドクダミ、ヌマトラノオ
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アキノウナギツカミ
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ニワトコ
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クヌギハマルタマフシ
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トラップ点検(駐車場~石坂の森活動広場方向分岐) 6月18日

市民の森物見山駐車場から石坂の森活動広場方向分岐までの間に設置しているトラップの点検をしました。写真のコナラにはカシナガトラップ1基とクリアファイルトラップ10枚をつけています。
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この木にはカシノナガキクイムシが集まっています。赤テープがまいてないのは昨年、フラスが出ていなかった、カシナガが穿入していないということです。
※この木は6月12日に斉藤さんがLINEの市民の森グループで報告してくれた木です。マスアタックが続いています。



への字稲作の田植え見学 6月17日

昨年7月14日の記事にある田んぼでへの字稲作の田植えを見学しました。育苗期間に肥料をやらないので窒素が切れ気味で苗が黄色っぽくなっていて、出穂45日前にドカンと硫安などをやります。
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ツル性の多年草コヒルガオ(ヒルガオ科)
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多年草ムラサキカタバミ(カタバミ科)
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南米原産。江戸時代末期に観賞用に導入。
雄しべの葯[やく]の色が白なのでムラサキカタバミ。同じ大きさで似ているイモカタバミは黄色。

キノコ原木を本伏せ 6月17日

市民の森保全クラブ定例活動日。参加者は芦田さん、片桐さん、金子さん、木谷さん、木庭さん、斉藤さん、鳥取さん、橋本さん、細川さん、丸山さん、鷲巣さん、渡部さん、Hikizineの13名。江原さんは欠席でしたが、麦茶のジャーを用意しておいてくれました。ありがとうございます。

4月8日に仮伏せしたキノコ原木を本伏せしました。
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20年度皆伐エリアのササ刈り
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アカマツの実生
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チョウセンカマキリ or オオカマキリの幼虫
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クサグモ(タナグモ科)
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トゲナナフシ(トビナナフシ科)
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オカトラノオ(サクラソウ科)
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トラップの巡視
木庭さん、細川さん、丸山さんのグループと木谷さん、鳥取さんのグループでトラップの点検・メンテナンス・回収作業をしました。

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話題:今日も岩殿C地区に黒猫がいて、休憩時にペットの犬や猫が迷子になったり、捨てられたりした際に、飼い主を特定しやすくするため、繁殖・販売業者に所有者情報を登録したマイクロチップの装着を義務づける改正動物愛護法が6月1日に施行されたことが話題になりました。東松山市では、「地域猫活動・さくらねこ無料不妊手術事業(行政枠)」を実施しています。
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国立環境研究所の『侵入生物データベース』に「ネコ」が出ています。domestic cat[イエネコ]は国際自然保護連合(IUCN)の侵略的外来種ワースト100にも選ばれています(環境省自然環境生物多様性「希少種とノネコ・ノラネコ」)。田中淳夫さんの『森林ジャーナリストの「思いつき」ブログ』には、「ネコは害獣?ペットか野生動物か」(2020年2月22日記事)があります。
鹿児島大学鹿児島環境学研究会編『奄美のノネコ 猫の問いかけ』(南方新社、2019年3月)の書評:宮晶子「野生化猫 排除をめぐって」(東京新聞TOKYO Web 2019年6月23日記事)
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鹿児島大学・鹿児島環境学研究会編ノネコ問題普及啓発冊子『人もネコも野生動物も住みよい島』(2017年3月)
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ピーター・P・マラ+クリス・サンテラ[著]岡 奈理子+山田文雄+塩野﨑和美+石井信夫[訳]『ネコ・かわいい殺し屋 生態系への影響を科学する』(築地書館、2019年4月)
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  目次
第1章  イエネコによる絶滅の記録
 ナチュラリストの灯台守
 ニュージーランドの固有鳥類とその絶滅
 多産系肉食獣・イエネコの狩猟能力が与える打撃
 判明していない絶滅前の分布
 イエネコの破壊力――ほんの数年で起きた絶滅
第2章  イエネコの誕生と北米大陸での脅威
 野生動物の生息地復元とエコロジカル・トラップ
 イエネコのルーツ ――ヨーロッパヤマネコ
 イエネコの進化と拡散
 保全生物学の誕生
 環境汚染物質と自然保護
 絶滅種の14パーセントに関与
 ソコロ島における外来種の影響と対策
 野放しネコの影響を科学する
第3章  愛鳥家と愛猫家の闘い
 野鳥フィールドガイドの誕生
 イエネコと人間の関係史
 ネコは社会制度のフィルター――ネコの待遇の変化
 銃から双眼鏡へ――フィールドガイドの功績
 自然界と人をつなぐバードウオッチング
 バードウオッチングとネコの経済効果
 屋外ネコと人の関係
 野放しネコの実態と世話人
 野放しネコに対する世話人の認識
第4章  ネコによる大量捕殺の実態
 野鳥への脅威を初めて世に問うたアメリカ人
 ナチュラリスト大統領の自然保護政策
 法律と現状のミスマッチ
 鳥類保護に立ち塞がる困難
 野鳥個体群の変動とネコの捕食の影響
 ネコの脅威は在来捕食者を超える
 野放しネコの直接的影響
 全米の野放しネコによる野生動物被害数
 嵐の勃発――愛猫家らの反応
 第六の大量絶滅
第5章  深刻な病気を媒介するネコ――人獣共通感染症
 飼いネコから人に感染するペストの脅威
 ネコひっかき病のバルトネラ菌
 ネコも媒介する狂犬病
 アメリカにおける狂犬病感染の主犯、ネコ
 ネコ科動物から大拡散するトキソプラズマ症
 「寄生生物操作仮説」の実証
 人も発症するトキソプラズマ症
 人への感染――妊婦に及ぼす危険と統合失調症
 野生動物への影響――カラスと海棲哺乳類の事例
 ネコ白血病のネコ科野生動物への感染
第6章  駆除 vs 愛護――何を目標としているのか
 絶滅危惧種フエコチドリ
 フエコチドリ保護のためのネコ狙撃事件
 野放しネコの法的位置づけ
 希少種保護のための二つの法律
 野生化ネコに対する提案と炎上する議論
 拒否された投票結果
 オーストラリアのネコ問題
 人道的駆除計画
 固有動物相を大切にするオーストラリア国民
 ニュージーランドの取り組み――キャッツ・トゥ・ゴー
 自然保護のジレンマ
 動物福祉と環境倫理
第7章  TNR[Trap Neuter Return 捕獲・不妊去勢・再放逐]は好まれるが、何も解決しない
 動物愛護協会で譲渡を待つ子ネコ
 ボランティアが支えるTNR活動
 TNRへの期待、それに続く失敗と限界
 動物倫理から見たTNR
 不妊去勢手術
 地域ネコのTNR活動の現場
 殺処分からTNRへ――地域ネコ管理の転換
 TNRを支える迷信
 TNRが個体数減少に成功するための条件――高い不妊化率と移入ゼロ
 TNR失敗要因とバキューム効果の有無
 TNRのさらなる問題点――軽視される生態系
 オレゴン州の捕獲ワナ――その後
第8章  鳥、人そしてネコにとって望ましい世界
 野放しネコの影響をどう考えるか
 野放しネコが減らない背景
 ネコシェルターの実状
 飼い主側の問題
 関連団体やペット業界の役割
 飼育許可制を目指す
 野放しネコの捕獲排除を巡る科学と非科学
 TNRの広がりとその効果への疑問
 島の捨てネコを減らす――オレゴン州での事例
 多様な団体の協同――ハワイの事例
 TNRとネココロニーが容認される特例
 野放しネコ対策を現実的に考える
 野生化ネコ対策の成功事例と費用
 致死的排除法と生物多様性への投資
 自然に関心を持つことの重要性
第9章  どのような自然が待ち受けているのか?
 対応の遅れがもたらす悲劇
 大災害としての野放しネコ問題
 乗り越えるべき二つの障壁
 野放しネコの影響と私たちの未来

訳者[外来ネコ問題研究会]あとがき
参考文献
索引
  訳者あとがき
 本書はネコを生態系の外来捕食者として捉えた初めての本格本である。著者のマラや登場人物のテンプルらと同じように、私たち訳者のほとんどは、生まれ育った国の自然を愛する鳥類学や生態・保全生物学の研究者で、もともとは「ネコ問題」の専門家ではなかった。海鳥、野生のウサギやネズミの研究、保全に携わるなかで「ネコ問題」に直面し、のっぴきならない状況に身を置いてきた。その危急性は、私たちにではなく、ネコに追い詰められる野生動物にこそ存在する。
 私が研究対象にする東アジア固有繁殖鳥のオオミズナギドリの世界最大繁殖地では、繁殖鳥の95パーセントが滅びた。ある人は、それはネコのせいではないという。他にも原因がある、だからネコに構うな、どの場所も今はネコの定住地なのだから、と。だが、仮にその言葉を容認すれば、その先には野生動物の絶滅が見える。今やネコは日本の多くの平野や山間地で最も巧みな肉食獣となっているだけに、日本の自然は危機的な状況に追い込まれている。とりわけ島でネコのもたらす脅威は目を覆うほどすさまじい。
 本書が取り上げるネコは、使役あるいはペット由来のネコである。生物学的にはヨーロッパヤマネコに近縁なリビアヤマネコを祖先にする、イエネコと呼ばれる家畜である。主にネズミ駆除のために人が同伴し、南極を除く世界のすべての大陸と、ほぼすべての有人島に渡った。その子孫たちは今や、所有者がいるネコだけでも世界で5億頭、人と接点を持つ野良ネコや、自立して暮らすノネコにいたっては、推定値すら出ていない。この家畜であるイエネコは、ネコ科動物はもとより、現生哺乳類のなかで人とともに最も繁栄しているといって過言ではないだろう。優れた肉食獣の能力をいかんなく発揮して、分布を広げた多くの地で野生動物を追いやりながら、管理の手をすり抜ける魔法の杖を持っている。その魔法の杖とは、言うまでもなく、人という地球最強の応援団である。そして今や人々のなかに、ある種の戦争をも引き起こしている。ネコ擁護者と野生動物擁護者の間に続く、不毛ともいえる「ネコ戦争」(原著タイトルのCat Wars)である。
  振り返れば、「ネコ戦争」が日本で起こったのは、マラらが生まれ育ったアメリカよりも半世紀遅れた。その理由は、ネコ戦争が経済的豊かさの指標と都市化の指標に深く関係するためだろう。両手に得た物質的豊かさと便利な暮らしと引き換えに、両指の間から、ぱらぱらとこぼれ落ちていった自然の豊かさと、都市の暮らしや核家族の寂しさを紛らわす存在として、多くの現代人がペットに生き物の温もり、連帯、心の安らぎを求めた側面が、ネコ問題の根源に存在するからだ。
  ネコ問題に潜むもう一つ重要なことは、ネコたちがネコ科特有の感染症を広げ、野生動物のみならず人に脅威をもたらしていることである。これはあまり知られていないが、人とネコが共犯で拡散する怖さがネコ問題に潜む。人獣共通感染症の密かな進行は、愛猫家も動物愛護団体もあまり意識していない盲点といえるだろう。コンパニオンアニマルの双璧をなすイヌに比べてネコの管理が遅れたのは、野外にいるネコの危険性が認識されていないからである。ネコは田舎では害獣駆除の役割を担わされ、街中では散歩の手間が要らない野放しできるペットとして、今も人間側の都合に振り回されているからだ。本書にはネコの感染症の危険性が丁寧に述べられている。
   本書は、ネコが生態系に与える影響を測るために、ネコを以下のようにひとくくりにしている点で特徴がある。飼いネコであっても、終日あるいは限られた時間、屋内から外に出るネコは、野外のみで生活する野良ネコ、ノネコとともに、野放しネコと認識されている。外に出る飼いネコも野外に暮らすネコ同様に、多くの野生動物を殺していることが、最新のテクノロジーを使った野外研究からも判明しているからである。[後略]
外来ネコ問題研究会ブログ:野外にいるネコから日本の固有な自然生態系を守ることを目的に2016年に結成された。日本の島嶼などの在来希少種や生態系に影響をあたえる外来種問題として、イエネコ問題を考える研究会。イエネコの適正飼養、適正管理、適切対策などによって、島や地域の在来種や在来生態系・生物多様性が保全されることを考え、シンポジウムや研究集会を行っている。


クリアファイル設置(見晴らし台東向き斜面) 6月17日 

市民の森見晴らし台の東向き斜面にクリアファイルを設置しました。ここはナラ枯れ被害の発見がおくれ、枯死木を伐採せずに春を迎えてしまったので、園路付近のように林床が刈られていませんが被害拡大要注意地区です。
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ホオノキ(モクレン科)の幼樹
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カノコガ(ヒトリガ科)
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狭山丘陵いきものふれあいの里センターエリア見学 6月16日

公益財団法人 トトロのふるさと基金が指定管理する狭山丘陵いきものふれあいの里のセンターエリアを見学しました。
センター棟と荒幡浅間神社(荒幡富士)
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狭山丘陵いきものふれあいの里のナラ枯れ対策
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ウマノスズクサ(ウマノスズクサ科)とジャコウアゲハ幼虫(アゲハチョウ科)
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7/17市民環境会議案内 6月15日

717日(日曜日、11:00~12:30)、東松山市・環境基本計画市民推進委員会主催2022年度第1回市民環境会議が開催されます。『東松山市の桜が危ない クビアカツヤカミキリの脅威と対策』をテーマに埼玉県環境科学国際センターの三輪誠さんの講演「サクラの外来害虫クビアカツヤカミキリの生態と防除」、東松山市環境政策課から「東松山市のクビアカツヤカミキリ駆除奨励品交付事業」の紹介があります。申し込み用メールアドレス( KANKYOSEISAKUKA@city.higashimatsuyama.lg.jp )。

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紹介:行田市のクビアカツヤカミキリ奨励品事業(21年度)

 駆除総数 1936匹
 奨励品交付 人数38人、件数62件
 クビアカツヤカミキリの駆除には発見場所(分布図)のデータ公表が必要です。

大東大生の田植え 6月14日

須田先生の農業食糧問題受講生の実習で田植えを岩殿A地区ミニ田んぼですることになっていましたが、雨が降り始めて途中で中止しました。参加者が多いのでビックリしました。
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上太田田んぼ再訪 6月13日

茨城県牛久市上太田(かみおおた)にある谷津田を再訪しました。NEC田んぼ作りプロジェクトで「100年後にトキの野生復帰」を目指して始めた耕作放棄地再生活動で復田しました。前回訪れたのは2013年11月23日です。その時の写真は当ブログ2014年2月18日の記事にあるので比べてみてください。
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牛久市は人口84,432人、東松山市は90,373人で、面積は58.92平方㎞と65.35平方㎞。人口密度と高齢者率は牛久市1,433人、29,78%、東松山市1,383人、29.69%です。地形は異なっていますが、ともに東京50㎞圏の都市なのでいろいろと比較できそうです。
牛久市の概況『牛久市環境報告書』2021年版、1頁)
牛久市環境報告書(2021)_1

牛久市の位置と面積(『牛久市第4期環境基本計画』2022年、12頁)
牛久市第4期環境基本計画_1

トラップ点検(駐車場~分岐点) 6月12日

物見山駐車場から峠の道分岐点まで市民の森舗装園路沿いのトラップの点検をしました。
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トラップ点検(尾根の道) 6月11日

市民の森尾根の道の四阿付近のトラップの点検をしました。樹液の出ているコナラにはハチやチョウが集まっていました。
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果樹園の除草 6月10日

須田さんが青木ノ入の果樹園の除草をしました。お疲れ様でした。
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11日、ユウゲショウを抜き取りました。
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チッパー作業 6月10日

市民の森保全クラブの定例作業日。市民の森の指定管理者・文化まちづくり公社の皆さんとチッパー作業を尾根の道でしました。参加者は芦田さん、江原さん、片桐さん、木庭さん、鳥取さん、新倉さん、丸山さん、鷲巣さん、渡部さん、Hikizineの10名。麦茶の当番は芦田さん、ジャー(6.1ℓ)を新調しました。
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芦田さん、鳥取さんが20年度コナラ皆伐エリアのササ刈りを始めました。伐採により林床が明るくなり、コナラやアカマツの実生が成長をしていますが、アズマネザサや雑草木も繁茂して掻き分けないと実生が見えないような状態になっています。当面は刈払機を使わずに鎌や剪定バサミでの手作業です。
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入山沼堰堤近くの作業道上に散乱していた市民の森の朽木の倒木を片付けました。
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谷の道片付け 6月9日

梅雨入りし、入山沼に集まっている市民の森の雨水がどう流れているかチェックし、道端に置いていた30㎝長にカットした伐採残材を岩殿C地区に移動して片付けました。
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市民の森にニホンカモシカ 6月8日

市民の森の見晴らし台付近でニホンカモシカ(ウシ科)を坂戸市民の吉田さんと目撃しました。黒っぽい個体でした。丘陵部でも見られるようになったようです。
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※動画:「埼玉県の動物ガイド(ニホンカモシカ)」 埼玉県こども動物自然公園 YouTube 3:56
市民の森の近くの埼玉県こども動物自然公園には岩殿丘陵の高低差20mの谷の地形を活かしたシカとカモシカの谷があります。

オオスズメバチ 6月8日

今日も市民の森の舗装園路沿いのトラップの点検をし、カシノナガキクイムシの捕獲数の多いコナラにクリアファイルトラップを増設しました。見晴らし台への分岐点付近のトラップはカシナガが多いようです。
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オオスズメバチ
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クリアファイルトラップに落ちていました。体長が5㎝もあります。女王バチ?

クリアファイルトラップ追加 6月7日

雨間に市民の森のカシナガトラップを点検し、捕獲数が多いコナラにはクリアファイルトラップ(TWT)を追加しました。
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6月4日の記事で、小平市緑化推進委員会の「小平市におけるナラ枯れ病対策の緊急提言」を紹介しています。小平市緑化推進委員会は、緑の保護と緑化の推進を広い視野から検討するため、小平市緑化推進委員会設置要綱により設置された委員会で、学識経験者2名と、団体推薦5名及び公募6名の市民11名の13名の委員で構成され、任期は2年間です。2022年1月27日に開催された第17期第8回会議要旨に小平市水と緑と公園課データによる椎名豊勝さんの「2020・2021年ナラ枯れ被害状況データ解析」が添付されています。
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2021年の上水新町一丁目特別緑地保全地区一帯のトラップ未設置[枯死木75本]、1基設置[設置木36本、枯死木2本]、集中設置[設置木8本、枯死木0本]の違いによる効果を比較したグラフです。未設置は全体数がわかりませんので被害率は不明ですが、1基設置では6%の被害、集中設置[9~12基]では被害なしとなっています。1基設置で効果あるように見えますが、むしろトラップ方式実施の被害率が4.5%と見るべきでしょう。これを如何にして0%できるかです。【[]内は引用者追加】
小平市緑化推進委員会は各期とも「緑化推進計画提言書」をまとめ市長に手交しています。第17期の提言書は『370 年以上続く小平の水と緑を今に活かす緑化推進提言』(2022年3月24日)です。以下目次です[下線引用者]。
第1章 小平市の成り立ちは先人がつくり上げた―水と緑と桜―
 歴史的背景
 水:上水用水路網
 緑:雑木林屋敷林短冊形農地
 桜:御上水桜(小金井サクラ)
第2章 水と緑の緑化推進
 1、上水用水復活再生への提言
  1)用水路50km全線通水への方策
   ①用水流入量季節変化の把握
   ②新規水源流入用水路を絞る
   ③鎌倉鷹の台の新規整備公園に雨水貯留施設を設置し用水水源とする
  2)用水路の見える化の実現
   ①鎌倉公園に小平農業の礎である用水を再現する
   ②鷹の台公園に引込用水路と水車および水車可動のための流れを整備する
  3)用水および用水網への市民の理解を深める
   ①用水路名称表示の実現
   ②用水路特別構造の解説版の設置
   ③用水路散策コースの設定と市民による用水路&自然文化ガイドマップの作製
 2、雑木林屋敷林農地の保護再生への提言
  1)雑木林ナラ枯れ病への対応
   ①緊急提言の対応策は引き続き実施し、市民参加を図る
   ②コナラクヌギ発芽育苗システム(どんぐり里親制度)の拡充
   ③コナラ等育苗施設の新設
   ④ナラ枯れ病死樹発見通報システムの創設
   ⑤緊急提言についての検証
   ⑥ナラ枯れ病対策の市内雑木林管理機関との連携および民間雑木林助成制度の創設
  2)雑木林植生の質の向上による生物多様性の確保
   ①雑木林では定期的な下草刈り等管理の徹底
   ②クズ掃きの抑制
   ③保護と利用をゾーニングで明確に分離する
  3)雑木林を市民にとって身近にする方策
   ①雑木林の愛称を公募し命名する
   ②雑木林解説版の設置
  4)屋敷林の保護保全
   ①屋敷林まるごと保護保全
   ②屋敷林並木の保存
   ③ヒイラギモクセイ生垣の復活
  5)農地の保全
   ①短冊形農地の保全
   ②ブルーベリー栽培農地の拡充
   ③たからみちの保存
  6)復活協力、御上水桜(小金井サクラ)
第3章 市民協働で水緑をつくる提言
  1)水と緑のボランティア応援ポイント制度
  2)危機状況を市民にリアルタイムで知らせ体験で問題意識を共有する
  3)具体的体験の緑の啓発行事で市民参加の推進
  4)さまざまな緑のワークショップ開催参加で緑の意識を育む
  5)都市緑化功労者表彰制度の強化と拡大
  6)クラウドファンデングによる緑化公募で市民参加
  7)民間企業団体国都の機関敷地の緑化、市民開放への方策の検討
第4章 都市計画事業への緑の提言
  1)新府中街道に小平南北“緑”の軸線を提案
  2)鎌倉公園についての提案
   ①鎌倉公園は「都市農業公園」とすべき
   ②民間農地と共存する鎌倉公園(都市農業公園)のあり方
   ③持続可能な循環型農業の仕組みを鎌倉公園で見せる
   ④鎌倉公園に小平農業の礎である用水を再現する。
   ⑤鎌倉公園で自然エネルギー発電を
   ⑥インクルーシブ公園の整備提案
  3)鷹の台公園についての提案
   ①鷹の台公園鎌倉公園に防災機能の提案
   ②鷹の台公園に用水路と水車、水車のための流れを提案します
  4)駅前広場にシンボルツリーを提案
第5章 花落ち葉小公園
  1)ハンギングバスケットによる花の街化
  2)落ち葉
   ①落ち葉に感謝するイベント開催の提案
   ②各公園に「落ち葉ステーション」を設ける
   ③公園や雑木林隣接住宅等に「雨どい清掃券」の無料配布
  3)小公園
   ①市民アイデアで小公園を魅力あるものに
第6章 提言のその先にある小平市「水と緑」の体系
その他提言書には盛り込めなかった提案
第1章小平市の成り立ちは先人がつくり上げた-水と緑と桜-府中で生まれた川崎平右衛門の名前が出ていますが、鶴ヶ島市高倉に陣屋跡があるのを思いだしました(8代将軍吉宗、大岡越前に登用され、1739年から10年間武蔵野の新田開発の立役者として活躍した人物)。

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 みどり率

関東甲信地方が梅雨入り 6月6日

関東甲信地方が梅雨入りしました。明日、須田先生の農業食料問題の実習で田植えをする予定でしたが、来週に延期となりました。
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小峯さんからキヌヒカリ(ウルチ)の苗をいただきました。ありがとうございます。

ナラ枯れ文献・里山の生物多様性を持続させるために必要なことは 6月6日

明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト『Meiji.net』2021年11月24日の記事。農学部教授倉本宣さんの「里山の生物多様性を持続させるために必要なことは」です。
樹木が病気になることが近年増えてきています。特に最近首都圏に広がってきて、猛威をふるっている樹木の病気に「ナラ枯れ」があります。ナラ枯れは直接的には菌が樹木の水あげを阻害して起こります。その菌はキクイムシという甲虫の一種カシノナガキクイムシによって運ばれます。ナラ枯れはどんぐりがなるコナラのなかま、しかも大きな木に集中して発生します。なぜ、大きな木に集中するのでしょうか。
太く大きいコナラにはキクイムシが集まる
……ナラ枯れの根本的な対策は、雑木林を皆伐更新(伐採して、切り株から出るひこばえを育てて若返らせること)することです。それは15年以上前に確立された学説です。生態系に配慮するなら、数百平方メートルずつ小面積皆伐更新を行うのがよいとされています。しかし、現実には小面積皆伐更新はほとんど実施されておらず、対症療法的に、ナラ枯れにかかった樹木からカシノナガキクイムシが飛び立たないようにしたり、ナラ枯れで枯死した樹木だけを伐採したりすることにとどまっています。
人が手を加えたことによってできた「豊かな自然」もある
市民の暮らしが里山から離れて、里山を使っていた時代の記憶が薄れた昭和の終わりから、公共の場や目立つ場所の樹木の伐採に対して強い反対が行われるようになりました。……
丘陵地の大規模な公園における雑木林を維持するための小面積皆伐更新に対しても、ヤマザクラを伐採してはいけないという苦情がありました。ヤマザクラの樹形は根元から幹が分かれた株立ちでコナラと同じです。この樹形からヤマザクラも雑木林の一部としてくりかえし伐採されひこばえが再生してきたことがわかります。さらに、ヤマザクラは大きな樹冠を作るので谷戸の水田を日陰にしてしまい、農業に必要な光環境を維持できなくしてしまいます。

 それは、暮らしとは切れてしまった樹木愛護の精神によるものだと思います。私たちには生きている者同士の連帯感のようなものがあって、樹木にも連帯感を持ち、まして長く生きてきて大きな樹木には尊敬の念を抱くものです。……

雑木林を楽しむことも、資源の活用
要は、もともとの自然だけが大事なわけではないし、周囲の環境に与える影響を考えずに人が手を加えることも決して良いことではないのです。そのバランスは、私は配置と面積の問題と考えています。
山の向こうは、草原であった方が良いのかもしれません。でも、さらにその奥は原生林であった方が良いでしょう。また、都市の近くの林は、人の手が入った雑木林の方が良いのです。行政には、その配置と面積のバランスを考えた環境計画を立てていくことが求められるのです。

一方、私たち市民は、とにかく木を伐ってはダメという姿勢を少し変えてみましょう。……

そうした環境をこれからも維持していくためには、植生管理が必要なことを知ってもらえればうれしいです。それは、物質循環や自然の大きなサイクルを学ぶことにも繋がっていくと思います。……

また、木の伐採を受け入れる雰囲気を社会に広めるためには、伐採した木を資源として活用できる社会を構築していくことが必要だと考えています。

もちろん、江戸時代のように、木を薪や炭などのエネルギー源として利用することは現実的ではありませんし、チップにして燃やし、発電するのも費用対効果を考えれば、効率的とは言えません。

そこで、いま考えているのは、「楽しむ」ことです。伐採した木で木工を楽しんだり、そもそも、伐採に参加するのも楽しいと思います。特に、切り株のひこばえを育てることは心ときめく夢のある管理です。

雑木林を若返らせることも、そこに生きる植物や動物にふれることも、きっと楽しい体験になると思います。それはお金に換えられない体験です。

身近にある雑木林から、新しい発見や、面白いと思うこと、びっくりすることを感じるのは、そこに自然と人の営みがあるからです。

それを「楽しむ」ことが、雑木林のような「人手の入った自然」をこれからも残していくことに繋がると思っています。

倉本さんの著作は『雑木林をつくる―人の手と自然の対話・里山作業入門』改訂新版 (百水社、1998年)以来、里山再生活動で利用してきました。最近では高齢化したコナラ林の萌芽更新・再生にかかわる論文、松本薫・倉本宣「40年以上放置されたコナラ主体の雑木林における萌芽更新」(『明治大学農学部研究報告』65巻2号、2015年)、松本薫・倉本宣「小面積皆伐更新が行われてきた都立小宮公園における雑木林の更新の現状」(『関東森林研究』66巻2号、2015年)や日本生態学会大会での発表「丘陵地公園の雑木林における萌芽更新の成功と失敗」、「樹冠と後生枝から考察する大径化したコナラの萌芽規定要因」などから多くのことを学習しました。島田和則さんを講師に迎えての学習会「環境学習会・市民参加による里山林の保全・管理を考える(2018年2月18日記事)や都立小宮公園を見学(「都立小宮公園(2018年8月6日記事」)してから4年経ち、市民の森保全クラブの活動エリアのコナラ林をどのようにして更新していくのかその輪郭がようやく見えてきたところです。


カシノナガキクイムシ(動画) 6月5日

市民の森峠の道の21年度コナラフラス木(№116)に仮設置したクリアファイルトラップの捕虫部に落ちたカシノナガキクイムシ成虫です。カバーをつけていない(石鹸水をいれていない)ので生きています。
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ナラ枯れ文献・小平市緑化推進委員会緊急提言 6月4日

2021年4月15日、第17期小平市緑化推進委員会が、「小平市におけるナラ枯れ病対策の緊急提言」として小平市に提出した提言書資料です。市民の森には東松山市内・市外から多くの散策者が訪れています。市民の森保全クラブ員が園路沿いに設置したナラ枯れトラップの点検作業をしている時に何をしているのか説明を求められることがしばしばあります。市民にナラ枯れについて説明できる絶好の機会です。ナラ枯れについて普段からしっかりと学習・議論しておいて、その場の状況に応じて的確に情報を伝えられるようにしておきましょう。
小平市におけるナラ枯れ病対策の緊急提言(2021年3月)
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小平市緑化推進委員会緊急提言別添資料(小平市緑化推進委員会委員長椎名豊勝)から
ナラ枯れとは
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カシノナガキクイムシとは カシナガの生活史 感染しやすい樹種
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都立公園の被害状況 穿入生存木 幹の太さによる被害状況 被害部位(高さ)
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カシ枯れ病の見分け方 根本的対策(雑木林の更新等)
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トラップ点検・設置 6月3日

6月最初の活動日です。参加者は芦田さん、江原さん、金子さん、木谷さん、木庭さん、斉藤さん、鳥取さん、新倉さん、橋本さん、細川さん、丸山さん、鷲巣さん、渡部さん、Hikizineの14名。麦茶の当番は鳥取さんでした。
3グループに分かれ、峠の道グループはクリアファイルトラップ[トランク・ウィンドウ・トラップ(Trunk Window Trap 、幹に設置するトラップ)]の設置、他のグループはペットボトルトラップ[市販の商品名はカシナガトラップ]で捕まえたカシノナガキクイムシの巡視(点検・メンテナンス・回収)を実施しました。
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目薬屋さんから座卓を戴いてきました。
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脚部を玉切り丸太に乗せてテーブルとして使います。
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サトイモを植える 6月2日

片桐さん、平賀さんで岩殿C地区無名沼イ号下の3段目にサトイモを植え、F地区の無名沼ロ号下の一部を耕しました。
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岩殿E地区の草刈り 6月1日

E地区でも5月19日に刈り残していたアオスゲ、ワレモコウ、ヌマトラノオなど、全滅しない程度に刈り取りました。
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穂がついているチガヤは刈り残しました。

岩殿H地区の草刈り 6月1日

新たに購入した草刈り機(STIHL FS24C 21.4cc 4.4㎏)で岩殿H地区の刈り残していたゲンゲ、ススキ、ヤナギの萌芽枝を刈り取りました。H地区と接しているG地区境の橋周辺も除草しました。
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青木ノ入の除草 6月1日

青木ノ入の学びの道と東側の果樹園の除草をスパイダーモアでしました。
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学びの道は舗装されていますが、道端はスパイダーモアでの除草回数を増やしてシバを育て芝生化ていきます。
外来種のユウゲショウ(アカバナ科)とニワゼキショウ(アヤメ科)。ニワゼキショウは3本のすじのある花被片(花びら)と、5本すじの花被片(がく片)が、それぞれが3枚ずつ交互にあり、合わせて6枚。道端のシバの中や果樹園にも生えていてきれいですが、これ以上増えないように抑制し、在来野草による緑化が優先です。
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芝生の中に生えているのは抜くのがやっかいです。
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スパイダーモアの返却ついでに、車堀公園をチョッピリ除草しました。
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※6月7日、青木ノ入果樹園のユウゲショウを抜き取りました。
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雨あがりは、やはり引き抜きやすいです。

サトイモを植える 6月1日

片桐さんがコマメで岩殿C地区の無名沼イ号下の3段目の区画を耕しました。
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ハナビラニカワタケ 6月1日

市民の森作業道のコナラの伐採残材についていました。ハナビラニカワタケ(シロキクラゲ科)です。
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