ナラ枯れ枯死木№8に続いて、峠の道のコナラ(枯死№11、フラス№240)を伐採しました。
ナラ枯れ枯死木伐採(2022.02.27) YouTube 0:35
今週の作業予定:3月3日(木曜日)、3月4日(金曜日)。岩殿C地区に集合してください。
市民の森保全クラブ Think Holistically, Conduct Eco-friendly Actions Locally
本書は樹木病害の事例を図鑑的に網羅するのではなく、病理学の基礎と応用力の習得を目標としている。第1章~第4章までは、樹木とその病気について定義した上で、植物病理学の基本事項、病原微生物の種類、病気の診断法について解説した。第5章では樹木(木本植物)の特性を細胞構成や防御機能の面から解説した。第6章~第7章は樹木の主要病害について、幹や枝などの被害部位別、萎凋・腐朽などジャンル別に解説した上で、予防と防除の考え方と実際の技術を示した。第8章~第9章では森林生態系の健康管理の考え方、グローバル化に伴って深刻化する病害、敏樹木の管理など、農作物と概念の異なる課題を取りあげた。
1 はじめに
1.1 森林病理学とは
1.2 宿主の樹木―木本植物とは―
1.3 樹木病害の特徴
1.3.1 生育期間・構造・生育環境
1.3.2 生産物の利用・安全性
1.3.3 研究
1.4 森林生態系の中での病気の扱い方
2 樹木(植物)の病気とは
2.1 樹木の病気と病原(体)
2.1.1 病徴と標徴
2.1.2 発病に至る過程
2.1.3 発病のトライアングル
2.1.4 病原体の証明
2.1.5 病原体の栄養摂取様式
2.2 病原体と植物の相互関係
2.2.1 抵抗性の構成要素
2.2.2 病原性の構成要素
2.3 病気の伝搬と予防
2.3.1 伝搬方法
2.3.2 フィールド衛生
2.4 病気の発生と環境
3 病原微生物
3.1 菌類
3.1.1 菌類の基本構造と分類
3.1.2 担子菌類の形態的特徴
3.1.3 子嚢菌類の形態的特徴
3.1.4 接合菌類
3.1.5 ツボカビ類
3.1.6 卵菌類(偽菌類)
3.1.7 不完全菌類
3.2 細菌 石賀康博
3.2.1 細菌の分類
3.2.2 細菌の構造と機能
3.2.3 細菌の感染機構
3.2.4 細菌の病徴発現に関わる因子
3.3 ウイルス
3.3.1 ウイルスの分類
3.3.2 ウイルスの構造と機能
3.3.3 ウイルスの感染・増殖・移行
3.3.4 ウイルスの伝搬
3.4 ウイロイド
3.4.1 ウイロイドの構造
3.4.2 ウイロイドの感染と増殖
3.4.3 ウイロイドの伝搬と発病
3.5 線虫
3.5.1 植物寄生性線虫
3.5.2 移動性内部寄生線虫
3.5.3 定着性内部寄生線虫
3.5.4 外部寄生線虫
3.5.5 木材居住性線虫
4 病気の診断
4.1 診断とは
4.1.1 フィールド診断
4.1.2 植物診断
4.1.3 生物害(病害,虫害)・非生物害(気象害,生理的異常)の区別
4.2 微生物検出から同定までの手順、技術
4.2.1 菌類
4.2.2 ウイルス・ウイロイド
4.2.3 細菌
4.2.4 線虫
4.3 原因不明の場合の対処方法
4.3.1 罹病木の周囲の樹木の観察
4.3.2 顕微鏡による異常部位の観察
5 樹木組織の機能と防御機構
5.1 樹木組織の構造
5.1.1 葉の組織
5.1.2 枝と樹幹の組織と成長
5.1.3 根の構造
5.2 樹木組織の形成と機能
5.2.1 形成層の細胞生産
5.2.2 あて材の形成と役割
5.2.3 コルク形成層による外樹皮の形成
5.3 樹木組織の水分通導と同化産物の転流
5.3.1 水分通導―木部樹液の運搬―
5.3.2 師部の糖類輸送
5.4 柔細胞による貯蔵と二次代謝
5.4.1 放射組織による物質移動
5.4.2 樹幹木部の心材化
5.5 樹木の防御機構
5.5.1 物理的・化学的防御および静的・動的防御
5.5.2 感染の成功と発病
6 主要な樹木病害の発生生態と特徴
6.1 葉・枝の異常および胴枯れ・がんしゅ(癌腫)
6.1.1 うどんこ病
6.1.2 さび病
6.1.3 輪紋葉枯病
6.1.4 マツ類の葉枯性病害
6.1.5 バラ科樹木ごま色班点病
6.1.6 サクラてんぐ巣病
6.1.7 マツ類こぶ病
6.1.8 スギこぶ病
6.1.9 スギ赤枯病・溝腐病
6.1.10 スギ・ヒノキ暗色枝枯病
6.1.11 ヒノキ樹脂胴枯病
6.1.12 ヒノキ漏脂病
6.1.13 がんしゅ(癌腫)症状
6.1.14 キバチ類による星形変色
6.1.15 カラマツ先枯病
6.1.16 ファイトプラズマによるてんぐ巣病
6.1.17 ウメ輪紋病
6.1.18 気象害(凍害・寒風害・乾燥害)
6.1.19 スギの黒心材
6.1.20 緑化樹の枝枯れ・枯れ上がり
6.2 萎凋病
6.2.1 マツ材線虫病
6.2.2 ナラ・カシ類萎凋病(ナラ枯れ)
6.2.3 オフィオストマ様菌類による萎凋病
6.2.4 エゾマツ萎凋病
6.2.5 果樹・緑化樹の萎凋病
6.3 生立木の腐朽病害
6.3.1 ならたけ病およびならたけもどき病
6.3.2 まつのねくちたけ病
6.3.3 非赤枯性溝腐病
6.3.4 南根腐病
6.3.5 国内主要造林木の腐朽病
6.3.6 緑化樹の腐朽病
6.3.7 海外の腐朽病
6.4 世界的に重要な樹木病害
6.4.1 ニレ類立枯病
6.4.2 クリ胴枯病
6.4.3 ストローブマツ発疹さび病
6.4.4 ナラ類萎凋病(Oak wilt)
6.4.5 樹木疫病菌Phytophthora属菌
6.4.6 フトモモ科植物ユーカリさび病
7 予防および防除の考え方と実際
7.1 植物の防疫・検疫
7.1.1 国際検疫
7.1.2 国内検疫
7.2 発生予察
7.2.1 植物病害の発生予察事業
7.2.2 森林病害における発生予察
7.2.3 マツ材線虫病の発生予察
7.3 防除法
7.3.1 耕種的防除
7.3.2 物理的防除
7.3.3 化学的防除
7.3.4 生物的防除
7.3.5 バイオテクノロジーの利用
7.3.6 総合的病害虫管理
7.4 森林病害の防除
7.4.1 森林における防除の特徴
7.4.2 防除のための法律制定と政策
7.4.3 具体的な防除の手順
7.4.4 抵抗性種と抵抗性品種(系統)の利用
7.5 長期予防と予防医学
7.5.1予防医学の概念
7.5.2発生の予防
7.6 発病メカニズムの解明
7.7 病原体の伝染環と媒介昆虫の生活史
7.7.1 伝染環
7.7.2 媒介昆虫の生活史
7.7.3 キクイムシ類と菌類の相互依存
8 森林の健康管理
8.1 生態系としての森林の健康
8.1.1 森林タイプによる健康の概念の違い
8.1.2 予防医学のための植生遷移の把握
8.1.3 健康維持と回復のための手法
8.2 森林生態系における樹木病原体の役割
8.2.1 樹木と病原菌の相互作用
8.2.2 樹木病原菌のその他生物への直接的影響
8.2.3 森林生態系の多様性維持と病原菌
8.2.4 森林の林分構造と樹木病害
8.2.5 森林生態系における樹木病害の役割
9 今後の課題
9.1 グローバル化に伴って深刻化する病害
9.1.1 マツ類漏脂胴枯病
9.1.2 Ash dieback
9.1.3 Sudden oak death(Phytophthora ramorumによる樹木の被害)
9.1.4 Fusarium属菌による病害とキクイムシ類の関与
9.2 老齢化と大木化時代における倒木リスクの把握と対策
9.2.1 倒木の原因と注意点
9.2.2 診断と対策
コラム 植物の病名
コラム 遺伝子配列に基づく菌類の種同定と系統樹による分類学的位置の決定
コラム PCR関連用語の解説
コラム 樹木医の役割
2021年7月に欧州委員会(EC)は、2030年にGHG排出量55%削減(1990年比)の達成のために「Fit for 55政策パッケージ」を発表した。パッケージというのは、特定の目的のために複数の政策を同時に策定・改正するもので、今回は12の政策の策定・改訂が提示されている(現状では案であり、今後、欧州議会・欧州理事会での議論を経て、数年かけて制度化される)。 ……欧州の「再生可能エネルギー指令(RED)」は、当初2009年に策定され、その後2018年に改正されている(RED II)。2018年当時の欧州連合のGHG削減目標は1991年比40%であったが、今回の改正案(以下「RED III案」とよぶ)ではこれを55%にかさ上げし、再エネ分野で欧州のリーダーシップ確立と雇用拡大に寄与することを目指している(なおREDはあくまでも再エネ拡大の政策であるので、水素でも「グリーン水素」に特化した政策である)
研究論文を書くことは研究者の仕事ですが、それと同時に、「成果を社会に役立つ形にする」ことが重要です。森林の環境保全機能(CO2吸収など)には期待が高まっていますが、単に「大切に見守る」だけでは森林は維持できないため、里山整備のNPO団体などに科学的根拠のある手法を伝えることも積極的に行っています。