入山沼下の岩殿I地区下段に須田さんが排水路を掘りました。水溜まりの中での作業、シャベルが重くて大変だったと思います。ありがとうございました。
ここは、ヤナギ類の切り株から多数の萌芽枝が出ていますが、ヤナギの繁茂を抑え、湿地ビオトープとしてしていこうと考えています。
※ヤナギ類の伐採後の再繁茂を防ぐ管理方法
・国交省水管理・国土保全局河川管理課『大河川における多自然川づくり』(2020年3月一部改訂版)
市民の森保全クラブ Think Holistically, Conduct Eco-friendly Actions Locally
6.1 タコノアシの生態的特性
個生態に関する実験および自然環境下における生育状況の調査結果から次のように考えられる。
6.1.1 生活環
種子は主に春季に発芽し、その年の夏季~秋季に開花・結実するとともに地下茎による栄養繁殖体を形成する。栄養繁殖体は、春季に伸長開始し、種子からの生育と同じく、夏季~秋季に開花・結実し、栄養繁殖体を形成する。冬季にはその年に生育した個体は枯死し、種子および栄養繁殖体から新たな個体ができる。
6.1.2 繁殖特性
タコノアシは種子と地下茎による繁殖を行う。種子繁殖では、多くの種子を生産し、水流などで広い範囲に散布しておき、発芽に適した裸地的環境であれば発芽・生育するが、適さない場合はシードバンクを形成し、攪乱によりギャップが生じた場合に発芽・生育する戦略を持つ種と考えられた。また損傷を受けても再生可能であり、栄養繁殖により個体数が 8 倍に増えたことから高い栄養繁殖能力を有していると考えられた。
6.1.3 生活史戦略
植物の生活史戦略を知ることはその種に適した生育環境を推定する有効な方法である 9)。Grime は植物の進化を支配した重要な淘汰圧として、競争、ストレス、撹乱の 3 つがあり、この作用のもとに、3 つの主要な戦略型、即ち、競争種、ストレス耐性種、撹乱依存種が進化したと考えた10)。これらの特性はトレードオフの関係にあり、現実の植物は 3 つの戦略をそれぞれ異なる程度で兼ね備えていると考えられている。…………耕田では、ストレスとして降雨による冠水があるがその度合は小さい。休耕田では耕起や刈取りなどの農的管理が撹乱として機能し、それによりタコノアシの生育が継続できるが、管理が行われないと他種との競争に負けて消失する。調整池では、ストレスとして同様に冠水があるが、比較的度合は小さいため、休耕田と同様に競争的環境になり、短期間で消失する。ただし刈取りや耕起を行うことで個体数の増加や再出現が確認された。
このような各生育地での生育状況および個生態学的特性から、タコノアシは撹乱のない競争的環境では他種に負けて消失するが、冠水ストレスと撹乱に対する高い耐性を有しており、また大量の種子生産量やシードバンク形成などにより撹乱条件下でいち早くニッチを開拓できると考えられることから、総括的にはストレス耐性を兼ね備えた撹乱依存種と位置付けられる。[165~166頁]
6.2 タコノアシの保全と再生のための方法6.2.2 休耕田における保全
休耕田の土壌分析および継続的な生育地の観察の結果、タコノアシの生育場として湿田状態が維持されていることが重要であった。また耕起、刈取りによる農的管理が行なわれている休耕田ではタコノアシの継続的な生育が見られたが、管理が行われなくなると、数年のうちに消失したことから、河川での洪水による撹乱を代替するような農的管理の実施が必要である。
6.2.3 タコノアシの再生のための方法
1) 発芽・生育適地
実験結果から、タコノアシはギャップ検出機構を有する撹乱依存種であり、また調整池の植栽基盤では冠水あるいは土壌水分が適である場所より、過湿状態の場所で最も長く生育が維持されていた。これらから裸地であり、常時は冠水していない、過湿な土壌状態が維持されるような植栽基盤を構築する必要がある。
2) 導入方法
播種およびポット苗での導入が可能である。ポット苗と同様に現地生育個体の移植も全て活着したことが確認されている。またシードバンクからの再出現も確認されており、これら 4 つの方法が現地の状況に応じて利用可能である。種子の生産量が多く、長期の保存も可能なため、再生や復元に際しては、種子を採取し、それを保存しておき、ポット苗を育成し、現地に導入する方法が最も確実性が高いと考えられる。
3) 維持・管理方法
タコノアシは撹乱が起きずに植生遷移が進むと消失する。また調整池で起こるような水位変動だけでは遷移を戻すような作用は期待できない。そのためタコノアシを継続的に生育させるためには、休耕田で行われていたような耕起や刈取りのような農的管理、即ち、撹乱依存種が好む裸地的環境を創出・維持することを念頭においた順応的な管理の実践を行う必要がある。[166頁]
はじめに:凡人だからこそ、地域を変えられる
第1章 シャッター街へようこそ
突然の帰郷
不本意な再会
名店は路地裏にある
コラム1 ─ 1 どんな地域にも「人材」は必ずいる
コラム1 ─ 2 地方は資金の流出で衰退する
第2章 たった一人の覚悟
役所の誤算、自立する民間
嗤う銀行
「逆算」から始めよ
コラム2 ─ 1 なぜ、今の時代に「逆算開発」が必須なのか
コラム2 ─ 2 地方に必要なのは、「天才」ではなく「覚悟」である
第3章 見捨てられていた場所
そこでしか買えないもの
仲のよさこそ命取り
次の一手
コラム3 ─ 1 地方のビジネスにおける「場所選び」で重要なこと
コラム3 ─ 2 資金調達で悩む前にやるべきこと
第4章 批評家たちの遠吠え
田舎の沙汰も金次第
「子どもじゃないんだからさ」
覚悟の先の手応え
コラム4 ─ 1 地方の事業に「批判」はつきもの
コラム4 ─ 2 地方でビジネスを始める悩みと不安
第5章 稼ぐ金、貰う金
「欲」と「隙」
お役所仕事
名ばかりコンサルタント
コラム5 ─ 1 役所の事業がうまくいかない構造的理由
コラム5 ─ 2 見せかけの地方分権のジレンマ
第6章 失敗、失敗、また失敗
成功続きの成功者はいない
原点回帰
丁稚奉公の旅
コラム6 ─ 1 本当の「失敗」とは何か
コラム6 ─ 2 「よそ者・若者・馬鹿者」のウソ
第7章 地域を超えろ
資金調達
小さな成果、大きな態度
血税投入
コラム7 ─ 1 他地域連携でインパクトを生むための思考法
コラム7 ─ 2 地方で成功することにより生まれる「慢心」
第8章 本当の「仲間」は誰だ
他人の茶碗を割る権利
仲良し倶楽部を超えて
金は霞が関ではなく、地元にある
他人の金で、人は動かない
コラム8 ─ 1 嫌われる決断をすべきとき
コラム8 ─ 2 孤独に耐え、各地域のストイックな仲間とつながる
最終章 新しいことを、新しいやり方で、新しい人に
さよなら、シャッター街
コラム9 ─ 1 今の組織を変えるより、ゼロから立ち上げよう
おわりに
よそ者としての心得1:どうしたらこの地域がよくなるのかという謎を解く2:政治性を理解して、まずはその社会に尊敬を持って入り込む3: データを活用する4: 外科医・内科医・心療内科医・漢方医という4つの視点を持つ
……雌が飛翔して来ると雄は孔から出て来て交尾し、その後に雌と一緒に孔の中に戻って、雌が持参したラファエレア菌(アンブロシア菌)を培養して酵母を食料とします。
……カシノナガキクイムシは「養菌性キクイムシ」と呼ばれ、樹木の木部に孔道(トンネル)を掘って、孔道壁面で栽培して酵母を摂食します。3.カシノナガキクイムシの生態
カシノナガキクイムシが培養する菌はラファエレア菌(Raffaelea またはナラ菌)と呼ばれ、雌が運ぶこの菌が繁殖すると辺材部で通水機能が低下して樹木が枯死します。
……昆虫の多くは卵を産む親と、卵から孵った子供が同居することは殆どありません。しかしキクイムシは人間と同様に一夫一妻制や一夫多妻制などの結婚生活を営み、子育てをします。
この世代交代(繁殖)に成功した集団が加害した樹木は、夏に水分不足で枯損します。仮にカシノナガキクイムシに侵されても、繁殖に成功しなければその樹木は枯れません。このカシノナガキクイムシに対する予防および駆除手法として1) ケルスケットなど殺菌剤を樹幹注入する方法、2) 殺虫剤と粘着剤の混合液を樹幹に散布する方法、3) ビニールシートで幹を皮膜する方法、4) NCSくん蒸剤処理、5) 伐倒粉砕処理などがあります。
枯死した個体からは翌年の6~7月に大量のカシノナガキクイムシが脱出して、周辺の樹木を侵します。胸高直径30cm、樹高15mのミズナラの場合、1本の枯死木から2万匹の成虫が脱出し、これらが10本の枯死木を発生させると考えられています。
森林内や伐採した現場にカシノナガキクイムシしか存在しないのであれば、殺菌剤注入や殺虫剤散布、NCSくん蒸剤処理有効かもしれません。しかし一方的に薬剤処理したり、環境に良くない処理をしたりするよりも、効果が少なくても少しでもカシノナガキクイムシの生息密度を低下させることが重要と考えます。
そこで、カシノナガキクイムシが幼虫である状態の時、枯死木を伐採して薪状に割材することにより、ラファエレア菌の増殖を抑えて幼虫が死んで行くと同時に、周辺のアリ(蟻)類による食餌行動による駆除を実施しました。
なお、この方法であれば、割材した木材を「薪材」として有効利用することが出来ます。
……また、カシノナガキクイムシ被害木は、伐採してNCS燻蒸剤処理するのが一般的ですが、今回の伐倒木はすべて割材して薪に利用しました。キクイムシがサナギになる前に、割材すると木材が乾燥して幼虫のある程度が死んでしまいます。また、割材して積み上げると、どこからともなく何種類かのアリ(蟻)が寄ってきて幼虫を補食してしまいます。
割材はカシノナガキクイムシの完全防除には至りませんが、環境に対する影響は低く、かつ薪材として有効利用で木など、それなりの利点があります。
自然界ではキクイムシは衰弱木を早く枯死させたり、腐りにくい材部を分解してくれたり、物質循環を促進するという重要な役割を担っているのですが、単に密度が高くなり過ぎたのが問題のようにも考えます。
循環型社会が提唱される昨今、カシノナガキクイムシだけが悪者のように捉えられるような考え方では、新しい時代は見えてこない気(木)がします。(副代表 川尻秀樹)
カシノナガキクイムシはコウチュウ目ナガキクイムシ科の昆虫で、成虫の体長は4~5mmの円筒状、雌の前胸背板には共生菌を貯蔵する器官(マイカンギア)である円形の小孔があります。
この昆虫は本州、四国、九州、沖縄に分布しており、一夫一妻性で親が子どもの世話をする家族生活を営んでいます。繁殖期を迎えた雄成虫は午前中に繁殖場所から脱出して飛翔し、繁殖場所にふさわしい樹木を見つけて幹に穴(孔)を開けて、集合フェロモンを発散します。
孔を開けた時に発生する木屑と集合フェロモンに誘引された雄が次々に飛来して集合フェロモンを発散するため、多くの雌雄成虫が飛来して幹に多数の孔を掘る集中加害が引き起こされます。集中加害はマスアタックと呼ばれ、樹木の抵抗力(樹液などを出す能力)を回避する方法です。カシノナガキクイムシは同時に多数の成虫がマスアタックするために、気温20℃以上で日差しがある二条件が揃う午前中に飛翔します。
雌が飛翔して来ると雄は孔から出て来て交尾し、その後に雌と一緒に孔の中に戻って、雌が持参したラファエレア菌(アンブロシア菌)を培養するため、木部の水分移動が阻害されて木が枯れるのです。
キクイムシは名前の通り、樹木の木材部分や内樹皮を食べる種類が多いのですが、他にはドングリなどの種子を食べる種類や菌類を培養して餌にする種類がいます。 カシノナガキクイムシは菌類を食べる養菌性キクイムシと呼ばれ、樹木の奥深くに孔道(トンネル)を掘って、孔道壁面で栽培して摂食します。 1836年にキクイムシが白い物を食べていることを発見した研究者は、この食べ物をアンブロシア(ギリシャ神話に登場する不老不死をもたらす神の食べ物)に例えたため、養菌性キクイムシが食べる菌類はアンブロシア菌と総称されています。4.カシノナガキクイムシの生態
カシノナガキクイムシが培養する菌はラファエレア菌(Raffaelea またはナラ菌)と呼ばれ、雌が運ぶこの菌が繁殖すると辺材部で通水機能が低下して樹木が枯死します。培養するため、木部の水分移動が阻害されて木が枯れるのです。
1)万能な殺菌剤は無い。ラファエレア菌の殺菌は極めて困難である。
2)ラファエレア菌を運ぶカシノナガキクイムシも樹幹内にいて殺虫は難しい。
・薬剤注入による防除方法
1.生き残っている樹木にドリルで穿孔し、NCSくん蒸剤を2ml注入してカシノナガキクイムシとラファエレア菌を殺す。
2.加害木を伐倒してNCSくん蒸剤処理するかチップ工場等へ搬出破砕処理、残った伐根部分はNCSくん蒸剤処理する。
・その他の防除方法
1.着剤と殺虫剤の混合剤を樹幹に散布して駆除する。
2.シイタケ菌など、きのこ菌とラファエレア菌と拮抗させてカシノナガキクイムシを殺虫する。
3.ベンレートなど殺菌剤を樹幹注入して菌類の繁殖を抑制する。
以上の方法などがとられていますが、現時点で画期的な手法はありません。またキクイムシは衰弱木を早く枯死させたり、腐りにくい材部を分解してくれたり、物質循環を促進するという重要な役割を担っているとも言えます。
循環型社会が提唱される昨今、カシノナガキクイムシだけが悪者のように捉えられるような考え方では、混乱の時代は乗り切れないような気(木)がします。
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矛盾だらけの食品表示法改正
私たちが知らない間に遺伝子組み換えの食品を食べていることの原因は、国が定める食品表示法に大きな原因がある。
遺伝子組み換え品種を用いた場合には、食品のパッケージに表示する制度が2001年春から実施され、対象は現在、遺伝子組み換えの8作物と、それを主要原材料とする33の加工食品となっている。認可されている8つの作物については、遺伝子組換えであれば「遺伝子組換え」と表示しなければならないことになっている。(図④参照)当然、これらを原料とする加工食品や飼料にも表示すべきだが、実際に表示が義務づけられているのは33の食品群のみで、豆腐、納豆、味噌には表示義務があるが、同じく大豆を原料とする食品であっても醤油、食用油や甘味料は対象外となっている。
なぜか?その理由は「高度に精製されているので、組み換えられたDNAやそれによって発生したタンパク質を最終製品で検出できない」ためと政府は説明している。遺伝子組み換え作物を原料にしても表示されないのはこのためである。世界の国々では、全表示している国も少なくないというのに。
さらに、家畜のえさには表示義務はなく、遺伝子組換えの飼料を与えた家畜の肉や卵・牛乳・乳製品などの畜産品も表示を免れている。
2019年4月25日食品表示法が改正され、遺伝子組み換え作物及びそれを原材料とした加工食品の表示は、現行遺伝子組み換え作物の5%以下の混入を認めて「遺伝子組み換えでない」「非遺伝子組み換え」となされているが、その表示ができなくなる。
これは何を意味するのか。
輸入に際して、生産地からの集積、流通の過程で遺伝子組み換え作物と非遺伝子組み換え作物との「意図せざる混入」がおきる可能性があるので混入率が5%以下であれば「遺伝子組み換えではない」と表示してきた。(ちなみに韓国は3%、EUは0.9%の混入率を許容している)(図⑤参照)
遺伝子組み換え表示の改正に先立ち2017年度に消費者庁が設置した「遺伝子組み換え表示制度に関する検討会」で、「遺伝子組み換えでない」との表示を認める混入率を、現行の5%から「不検出」に引き下げる報告がまとめられた。
私はこの検討会に注目していただけにその報告は衝撃的であった。
「意図せざる混入の許容率を引き下げてほしいとの消費者の要望がある」と言いつつ「誤認防止、表示の正確性担保及び消費者の選択幅の拡大の観点から、『遺伝子組換えでない』表示が認められる条件を現行制度の『5%以下』から『不検出』に引き下げることが適当」と聞き食品業界、特に安心・安全を目指すメーカーは戸惑いを見せていた。
遺伝子組み換えを使用している場合の表示義務には触れられず、「不検出」、いわば混入率0%だけが「遺伝子組み換えではない」表示が認められることは、すなわち原材料にこだわりIPハンドリング(IdentityPreserved Handling・分別生産流通管理)にコストをかけてきた良心的な食品メーカーに負担を強いることに他ならない。
流通の過程で混入率0%は不可能なので、この表示改正によってこれまでの遺伝子組み換え大豆を使わないメーカーの取り組みが続けられないことが危惧される。[下線引用者]
改正によってこれまでと同じ5%以下の混入率の大豆を使う場合、「原材料に使用している大豆は、遺伝子組換えの混入を防ぐため分別生産流通管理を行っています」、「大豆(分別生産流通管理済み)」といったわかりにくい表示が義務化される。
消費者庁は消費者の利益のためと言いつつ、消費者の「知る、選ぶ」権利である表示をわかりにくく改悪して2023年4月1日からこの表示法が実施される。
2016年5月17日、米国科学アカデミー(NSA)は遺伝子組み換え食品を人間や動物が食べても安全だとしている。日本もそれに追従して安全だとしているが…。
世界ではここ数年、EUをはじめ遺伝子組み換え作物の安全性を疑問視する国が増えている。中国やロシアでは遺伝子組み換え作物の輸入をストップし、国内栽培は終了させてオーガニック栽培へと方向転換している。
私たちは遺伝子組み換え作物を知らないで食べている。2年後には遺伝子組み換え作物を使った食品を避けるのがもっと困難になる。そうなればグローバル企業にとって都合のいい市場の確保につながる。
昨年は「合成」、「人工」の食品表示の削除が決まり、「無添加」、「不使用」も表示されなくなる可能性が高い。
日本の消費者は安全な食品を選べなくなっていく。
1.貧困をなくそう
世界のあらゆる場所のあらゆるかたちの貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
飢えをなくし、だれもが栄養のある食料を十分に手に入れられるよう、地球の環境を守りながら農業を発展させよう
3.すべての人に健康と福祉を
子どももお年よりもだれもが健康で幸せな生活を送れるようにしよう
4.質の高い教育をみんなに
だれもが平等によい教育を受けられるようにし、また一生にわたって学習できる機会を増やそう
5.ジェンダー平等を実現しよう
男女差別をなくし、すべての女性と女の子の能力を伸ばし可能性を広げよう
6.安全な水とトイレを世界中に
だれもが安全な水とトイレを利用できるようにし、自分たちでずっと管理していけるようにしよう
7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
だれもが、安全で現代的なエネルギーを安い価格でずっと利用できるようにしよう
8.働きがいも経済成長も
だれもが人間らしい仕事をしながら、持続可能な経済発展を進めていこう。働かなければならない子どもをなくそう
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
災害に強いインフラを整え、新しい技術を開発し、みんなが参加できる経済発展を進めよう
10.人や国の不平等をなくそう
国と国の間にある不平等や、国の中にある不平等を減らそう
11.住み続けられるまちづくりを
だれもがずっとくらしていける、安全で、災害にも強いまちをつくろう
12.つくる責任つかう責任
地球の環境と人々の健全な生活を守るため、責任を持って生産し、消費しよう
13.気候変動に具体的な対策を
気候変動から地球と人々を守るために、今すぐ行動を起こそう
14.海の豊かさを守ろう
海や海の資源を守り、持続可能な方法で利用しよう
15.陸の豊かさも守ろう
森林を管理し、砂漠化を防いで、多様な生きものが生きられるようにしよう
16.平和と公正をすべての人に
だれもが受け入れられ、すべての人が法律で守られる平和な社会をつくろう
17.パートナーシップで目標を達成しよう
世界中の人が協力し合い、これらの目標を達成しよう
本書のタイトルは「みんな政治でバカになる」である。
「バカなんて許せない!」とイラッとした人も多いかもしれない。しかし、ちょっと待って欲しい。本は読まれなければ、意味がない。人間は「理性」よりもまず「感情」が反応することがわかっている。「バカ」という乱暴な物言いで、あなたの「道徳感情」に訴えかけて、本書を手に取ってもらったわけである。
ところで、「許せない!」という「道徳感情」は政治に大きな影響を与えることがわかっている。「思想」や「利益」以上に「道徳」に基づいて私たちは政治を判断するようなのだ。しかも、「道徳感情」は私たちに「バカ」な言動を引き起こさせる原因でもある。
2020年のアメリカ大統領選で民主党のジョー・バイデンが共和党のドナルド・トランプに勝利した。トランプは選挙に不正があったとして票の再集計を求め、その翌年にはトランプの勝利を信じる支持者たちが国会議事堂を襲撃し、多数の死傷者を出した。ドナルド・トランプが小児性愛者の秘密結社と闘うヒーローだという「Qアノン」と呼ばれる陰謀論が流行した。驚いたことに、日本においてもバイデンの当選をフェイクニュースだと唱える人びとがいた。
なぜフェイクニュースや陰謀論が後を絶たないのか。それは私たちがバカだからだ。もう少し正確にいうと、私たちには人間本性上「バカ」な言動をとってしまう傾向がある。しかも、この傾向は政治がかかわるとさらにひどくなる。注意して欲しいが、これは「民衆は愚かだ」と決めつける愚民思想ではない。専門家や知識人といった知的能力が高い人でさえ、「バカ」な言動をとってしまうからだ。
認知バイアスゆえにバカげた言動をする
「二重過程理論」という認知科学の有力な仮説がある。人間の脳内には「直観システム」と「推論システム」という異なる認知システムがあるという説である。図にまとめたように、ふたつの認知システムにはさまざまな呼称がある。本書では読者がぱっと見てわかりやすい「直観システム」「推論システム」を採用する。
「直観システム」は、経験や習慣に基づいて直観的な判断をくだす。非言語的・自動的・無意識的であるため、素早く判断できる。しかし、間違いも多い。その間違いには一定のパターン=「認知バイアス」がある。
「推論システム」は言語的・意識的な推論をおこなう。「直観システム」に比べて間違いは少ないが、時間や労力を必要とする。ざっくりいうと、「直観システム」と「推論システム」は「感情」と「理性」と言い換えられるかもしれない。
すでにおわかりかもしれないが、「許せない!」という「道徳感情」は「直観システム」に当てはまる。「直観システム」は非常に重要な認知機能である。それなしでは私たちは日常生活を営めない。しかし、一定の間違いのパターン=認知バイアスがある。専門家や知識人といった知的能力の高い人でも、「認知バイアス」ゆえに「バカ」な言動をとってしまう(ジャン=フランソワ・マルミオン編『「バカ」の研究』田中裕子訳、亜紀書房、2020年)。
池谷裕二『自分では気づかない、ココロの盲点』(朝日出版社、2013年)はクイズ形式で認知バイアスを学ぶことができる良書だが、ここから「政治」に関係する「認知バイアス」をざっと書き出してみよう。
◆後知恵バイアス 生じた出来事について「そうなると思った」と後付けする傾向
◆確証バイアス 自分の考えに一致する情報ばかりを探してしまう傾向
◆現状維持バイアス 「いままで通りでよい」と変化を好まない保守的な傾向
◆公正世界仮説 (世界は公正にできているから)失敗も成功も自ら招いたものだと因果応報や自己責任を重視すること
◆自己奉仕バイアス 成功したときは自分の手柄だと思い込み、失敗したときは自分に責任がないと思う傾向
◆システム正当化 たとえ一部の人に不利益があろうとも、現状を正当化したくなる傾向
◆ステレオタイプのバイアス 人種や性別や職種などの付加情報があると、その典型的なイメージに引きずられて記憶が歪められること
◆正常性バイアス 非常事態への対応を避けたがる傾向
◆生存者バイアス 成功者には注目するが、その背後に多くいるはずの敗者や犠牲者には注意を向けない傾向
◆ダニング=クルーガー効果 無能な人ほど(無能がゆえに自分の無能さに気づかず)自己を高く評価する傾向
◆敵対的メディア効果 自分の信念に沿わない報道は誤解や偏見に満ちているように感じる傾向
◆同調圧力 少数派が暗黙のうちに多数派の意見に迎合すること
◆内集団バイアス 仲間や家族を優遇する傾向。誕生日や名前が同じというだけでも仲間意識は生まれる
◆バックファイア効果 自分の考えに合わないことに出会ったとき、これを否定しつつ、自分の考えにさらに固執してしまう傾向
◆フレーミング効果 同じ情報であっても置かれた状況によって判断が変わること
◆利用可能性ヒューリスティック 事例を容易に思い出せるというだけで「正しい」と判定してしまう傾向(池谷裕二『自分では気づかない、ココロの盲点』)
あなたの周りにこんな人はいないだろうか。会議では多数派にすぐに同調する(同調圧力)。経営者のビジネス書を読んで憧れを抱いている(生存者バイアス)。自分は優秀なのに正しく評価されていないと感じている(ダニング=クルーガー効果)。転職したいと思いながら、会社にズルズルと居続けている(現状維持バイアス)。
もちろん、これらのケースで不利益を被るのは自分一人だ。しかし、政治になると話は別である。ニュースや新聞を見ても、自分の考えをなかなか変えようとしない(確証バイアス)。むしろ、最近のメディアは偏向報道ばかりだと怒っている(バックファイア効果、敵対的メディア効果)。少子高齢化、人口減少、貧困、格差社会、気候変動といった社会問題は知っているが、いまのままでよいと思っている(現状維持バイアス、システム正当化)。さまざまな危機が予測されているが、なんとなく大丈夫だろうと楽観視する(正常性バイアス)。
注意すべきは、認知バイアスによって知的能力が高い人でも「バカ」な言動をとってしまうことだ。「自分の信念を裏付ける情報だけを集める」という「確証バイアス」があるが、「認知能力が優れている人ほど、情報を合理化して都合の良いように解釈する能力も高くなり、ひいては自分の意見に合わせて巧みにデータを歪めてしまう」ことが指摘されている(ターリ・シャーロット『事実はなぜ人の意見を変えられないのか-説得力と影響力の科学』上原直子訳、白揚社、2019年)。
そして政治に大きく関係するのが、内集団バイアスである。「あいつら」=自らが所属しない集団(外集団、他集団)よりも、「われわれ」=自らが所属する集団(内集団、自集団)に無意識的な選好を持つ傾向である。たとえば、白人の担当者が就職面接をすると、同じ白人の候補者が合格しやすくなる。また、「われわれ」に比べて、「あいつら」を過度に一般化し、事実とは異なるステレオタイプに当てはめる傾向がある(外集団同質性バイアス、ステレオタイプ化)。このような内集団バイアスは幼少期から確認されていて、たとえば三歳児は自分と同じ人種の顔を好むことがわかっている(ニコラス・クリスタキス『ブループリント-よい未来を築くための進化論と人類史(上・下)』鬼澤忍、塩原通緒訳、ニューズピックス、2020年)。
内集団バイアスは「われわれ」に忠誠を尽くすだけではない。注意すべきは、「われわれ」と「あいつら」との「差」にすごく敏感なことだ。自集団と他集団に報酬を割り振る実験をおこなったところ、自集団が得る総額を最大にするよりも、自集団と他集団が得る報酬の「差」が最大になるように選択する傾向があった。つまり、どちらの集団にも利益がある「ウィン‐ウィン」の関係を目指すのではなく、「われわれ」が少し損をしても、もっと「差」が開くように「あいつら」を蹴落とすことを好むのである(クリスタキス『ブループリント(下)』)。
私たちは仲間かどうかを直観的に判断し、自分の仲間だと認めたものをひいきしてしまう。このような傾向は「部族主義」と呼ばれる。近年の政治状況は「部族主義」を掻き立てている。だから、「みんな政治でバカになる」というタイトルは文字通りに受け取って欲しい。
ほとんどの人が政治的無知= バカであるこの本については、小田嶋隆さんの「みんな政治でバカになるのだろうか」(2021.10.15)が日経ビジネス電子版 小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」~世間に転がる意味不明に掲載されています。
くわえて問題なのは、ほとんどの人が政治的に無知=バカである、ということだ。
たとえば、2014四年にロシアがウクライナのクリミア半島に侵攻した際、アメリカでは軍事介入すべきか、という議論が起こった。しかし、ワシントン・ポスト紙の調査によると、ウクライナの位置を地図上で示すことができたのは、六人中一人しかいなかった(トム・ニコルズ『専門知は、もういらないのか-無知礼賛と民主主義』高里ひろ訳、みすず書房、2019年)。しかも、ウクライナから離れた場所を示した人ほど、アメリカの軍事介入を支持する割合が高かった。
そのほかにもこんな例がある。アメリカの共和党支持者の45パーセントが「バラク・オバマは合衆国で生まれたのでないから、大統領になる資格がない」と思っていた。たいして民主党支持者の35パーセントが「ジョージ・ブッシュ大統領が9.11同時多発テロの攻撃を事前に知っていた」と信じていた(イリヤ・ソミン『民主主義と政治的無知-小さな政府の方が賢い理由』森村進訳、信山社、2016年)。多くの人が政治を正しく判断できるほどの知識を持っていないのである。このような政治的無知はアメリカだけでなく、日本においても見られるという。
むかしに比べて教育制度は充実している。知能指数(IQ)も上昇している。インターネットで情報も簡単に手に入るようになった。にもかかわらず、政治についての知識は低いままなのだ。その理由は単に人びとが愚かだからではない。政治について学ぶ意欲を持てないからだ。法哲学者のイリヤ・ソミンによれば、私たちが選挙で投票しても、自分の一票が選挙の結果を左右することはほぼない。そのため、私たちは政治的な知識を獲得する努力をしない(「合理的無知」)。たとえば、2020年の東京都知事選挙の有権者数は1129万229人であった。もし東京都民であれば、あなたの意見は1129万229分の1に過ぎないわけである。投票しようがしまいが、結果は変わらない。であれば、趣味や仕事に時間を使ったほうがいい、となる。
くわえて、政治を判断するために必要な知識量は膨大になっている。政府の活動は多岐にわたる。いくつもの省庁に分かれ、テレビの国会中継を見ればわかるように、担当大臣でさえ把握できないほど、政策は細分化している。個々の政策を正しく理解しているのは、専門家や官僚といった一部のエリートだけだろう。しかし、そのエリートでさえも、自分の精通する分野以外は素人同然となる。
ただし繰り返すが、ここで言いたいのは「民衆は愚かだ」と決めつける愚民思想ではない。ほとんどの人が政治について無知=バカであるのは事実である。しかし、その理由は政治に興味を持てないからだ。政治に興味を持てないのは、自らの意思が政治に反映されない無力感のためである。そのような無力感を生んでいるのは現在の政治制度にほかならない。つまり、私たちは単に愚かなのではない。「環境」によって政治的無知=バカになっている。
私たちは人間本性上バカな言動をとってしまう。くわえて、ほとんどの人が政治について無知=バカである。いわば、「人間本性」によるバカ(認知バイアス)と「環境」によるバカ(政治的無知)とがかけ合わさった「バカの二乗」である。これがフェイクニュースや陰謀論が後を絶たない理由である。とはいえ、「やはり民衆は愚かだ」とシニカルに冷笑するつもりはない。私もバカのひとりでしかないからだ。しかし、そのいっぽうで、バカとして居直るつもりもない。自らのバカさを認めるには、自分を客観視できる程度のシニカルさは必要だと思っている。むしろ、重要なのは、バカとシニカルのあいだなのだ。そして読者の皆さんもそのあいだを進んで欲しい、と思っている。本書がその一助になれば幸いである。
インテリを気取ってはいるけれど、そのじつ耳学問で仕入れた受け売りの知識をひけらかしているだけの人々-丸山眞男はいまから50年以上前にこうした存在を「亜インテリ」と呼びましたが、じつは現代こそが「亜インテリ」というキーワードによって特徴づけられるのかもしれません。『みんな政治でバカになる』(晶文社)を上梓した、批評家の綿野恵太氏が解説します。
コロナの先にはどんな未来がやってくるのか?
資本主義を否定し、「人新世」の新たな世界を提唱する斎藤幸平、現場主義で様々な社会問題に挑む安部敏樹、“若者の政治参加が日本を変える”と活動する能條桃子、各分野で活躍する2~30代の若者3人が、気候変動、格差・貧困などをテーマに激論を交わす。2022年の幕開け、未来を大きく展望する激アツの新春トーク番組をお届けする。
要求項目エクスティンクション・レベリオンの掲げる目標はウェブサイトにおいて、以下のように述べられている: [1][12][13]
- 「政府は気候とより広範な生態学的な緊急事態について事実を語り、矛盾する政策を撤回し、メディアと協力して市民に情報伝搬する。
- 政府は2025年までに炭素排出量をゼロとし一般物品の消費量を減らすべく、法的拘束力のある政策措置を講じる。
- これらの変化を監督するための国民の議会を設立し、正しく機能する民主主義を確立する。」
基本方針エクスティンクション・レベリオンはウェブサイト上で次の内容を説明している:[14][15]
- 「XRは後世代の人々が暮らしていける世界を作るため、変革を起こすという理念を共有している。
- XRが変革に必要として挙げる使命は、集団の推進力を活用した運動を実行するべく、総人口に対する3.5%の市民の参加を目指す。
- 人類は、健康的で対応性と再生力を備えた、循環的な文化体質を確立する必要がある。
- XRは自らの在り方も含め、現状に安住せず、既存の有害な社会構造に対して明白な疑問を投じ、変革を進めるべく活動を行っていく。
- XRは自らの経験、自己反省から学び、外部からの情報を吸収して常に活動内容の改善と開発に努める。
- XRはいかなる人々のいかなる規模の参加も歓迎し、積極的に安全で敷居の低い活動環境を提供する。
- XRは意図的に権力を握ることを避け、内部の上下関係を排除し、より公平な参加体制を築く。
- XRは非難や侮辱と言った手法を避ける。社会構造は有害であるが、その中の個人に責任を課し責めることはしない。
- XRは非暴力の組織であり、変化を起こすには非暴力の作戦・手段が最も有効であると考える。
- XRは自立的で拡散型の活動スタイルを基盤とし、既存の権力体制に挑戦するための手法・構造は集合的に創造していく。この基盤を用いた、いかなる市民活動も "RisingUp!" の名の下に実行することが出来る」[16]