2021年05月
二宮さん、坂田さん、小野さんで岩殿F地区の植物調査枠と入山谷津の植物調査をしました。
休憩時に話題になっていた「群集」と「群落」。『改訂版ビオトープ管理士資格試験 公式テキスト』22頁(日本生態系協会、2016年)では、「群集と群落:動物も植物も、個体が集まると個体群のレベルになる。個体群が集まると動物は動物群、植物は群落となる。単に「群集」という場合は、一般に、動物と植物を合わせた生物群集を指す。植物は動物に比べ移動が難しいため、その地域の気候や地質の特性に影響を受け、固有の群落を形成する。それを餌やすみかとする動物は、その影響を受けて特色ある動物群集となる場合が多い。」(22頁)。「植物調査:植物は生態系の基礎であり、環境把握のためには欠かせない調査項目です。目的によって様々な手法がありますが、一般的には、何が生育しているかを調べる植物調査(フロラ調査)と、植物群落の組成を記載するための植生調査(植物群落組成調査)などがあります。」(176頁)。同書4.1 ビオトープ計画のために (166~178頁)のまとめとして、「ビオトープを計画するには、その地域の生物相や自然環境に関する知識、特に代表的な生物についての基本的な知見(種名、生態)が必要となる。生物調査には、目的に応じた様々な種類と手法がある。調査結果(生物種リストなど)を理解するには、調査手法を理解している必要がある。種種の生物の生息状況だけでなく、生物環境の全体像を理解する。そのためにはGISなどが有効である。」(178頁)とあります。
古典的な書物に、沼田真編『図説 植物生態学』(朝倉書店、1969年)、沼田真編『植物生態 野外観察の方法』(築地書館、1962年、1966年改訂再版、増補改訂第3版)があります。これまでの岩殿入山谷津の植物調査(フロラ調査)で植物種のリストはほぼできていると思っていますが、現在すすめている植物調査枠の群落調査において座右の書として活用していきたいと考えています。
沼田真編『植物生態 野外観察の方法』目次
はしがき
改訂再版にさいして
第1部 野外観察の方法
野外観察のねらい
1 校庭内外の雑草の生活
2 田畑の雑草
3 帰化植物の生活
4 日本の草原
5 森や林のつくり
6 竹林のつくり
7 山を調べる
8 水辺の植物の生活
9 湿原を調べる
10 河原の植物
11 海岸の植物
12 磯の潮だまり(タイドプール)
13 植物季節を調べる
14 環境の調べ方
15 生活型を調べる
第2部 指導計画と生態教材
1 中学校の生態教材
2 高校の生態教材
3 観察のための学校園
4 生物クラブの活動とその方法
あとがき
索引
市民の森保全クラブ金曜日の定例活動日(FFF21=Fridays For Forest 21)。参加者は芦田さん、新井さん、澤田さん、木庭さん、鳥取さん、橋本さん、細川さん、鷲巣さん、渡部さん、Hikizineの10名。昨年までに植えたコナラ苗木の周り草刈りと昨年度の伐採・更新エリアの伐採株を切る作業を開始しました。伐倒作業の「最後の仕上げ」(『伐倒造材術』90頁)です。
※切り株の検証・切り株を切る
(ジェフ・ジェプソン著、全国林業改良普及協会発行、2012年初版)
14日に続いて、殿山共同農場の高野さんの仲介で確保できたコシヒカリ10箱と彩のかがやき20箱を熊谷市と吉見町の農家から児沢の田んぼに運びました。毛塚一反田、児沢、岩殿の田んぼで使います。ありがとうございました。
市民の森保全クラブ、日曜日の定例作業日。参加者は芦田さん、片桐さん、金子さん、澤田さん、木庭さん、鳥取さん、細川さん、鷲巣さん、渡部さん、Hikizineの10名。伐採・更新エリアから岩殿F地区に下ろした伐採残材の整理。不揃いの残材をドーナツ状に積み上げるスイス積み(ホルツハウゼン)をして、今日で終了としました。
F地区植物調査枠西側に整理して積んでいる残材はボッシュ林側に運んで沢沿いに並べ、水路保全に使用してみます。
※薪の販売 それって儲かるの?副業としての収支(『山暮らし始めよう』2021年2月27日更新記事)
アオマダラタマムシ(タマムシ科)。川越市の松本さんからいただきました。市民の森にいました。
「腹端は♀では円く, ♂では三角形に刳られる」(『京都九条山自然観察日記』2012年8月15日記事)そうですが、これは♂でしょうか?
学びの道から岩殿D地区に除草機を下ろす道の草刈りをしました。
坂を下りたところにコナラの実生稚樹があって、半分ほど刈ってしまってから気づいて、保護のための目印に竹で囲っておきました。
D地区には1月5日に伐採したヤナギやコナラ、ヤナギ等の切株があって、コナラ2本は萌芽していました。
入山沼下のキショウブはこれ以上、分布が拡大しないように刈り取りや花茎の摘み取りをしています。今日はD地区とI地区で花茎29本を切除しました。
※中嶋佳貴・沖陽子「重点対策外来種キショウブの異なる刈取処理による耐冠水性の差異」(『雑草研究』62巻3号、短報、2017年)(下線は引用者)
緒言
外来生物法により、重点対策外来種としてリストアップ(環境省 2016)されているキショウブ(Iris pseudacorus L.)はアヤメ科アヤメ属の多年生抽水植物である。ヨーロッパから中央アジア原産で、日本には明治時代に園芸植物として導入され、現在では全国の湖沼や河川などの沿岸帯に帰化している(角野 1996)。キショウブは、4月~6月に鮮黄色の美しい花を咲かせて美観を創出する(Alaska 2010)。草高は1.5 mに達し、朔果は秋季に成熟して裂開し、種子を散布する(角野 1996)。同じ頃、分げつの側芽として越冬芽が出現し、翌春には一部の分げつから花茎が伸長する。繁殖力は旺盛で、冠水や乾燥が繰り返される水辺環境でも生育が可能である(Alaska 2010)。近年まで水辺の緑化にもキショウブは積極的に植栽されてきた(桜井 1989)。しかし、外来生物法により、重点対策外来種として総合的な対策が必要とされている現状では、植栽されてきた既存群落や、野生群落を適切に管理する必要性がある。これまでに、キショウブと同じ多年生抽水植物のヒメガマ(Typha angustifolia L.)やヨシ(Phragmites australis (Cav.) Trin. ex Steud.)の防除及び管理については、刈取処理による機械的防除法が検討されている(Nelson 1966; 桜井 1991)。これに対し、キショウブにおいては機械的防除法に関する知見は未だ報告されていない。そこで本研究では、重点対策外来種であるキショウブが過繁茂することなく適切に管理できる方策を模索する目的で、時期の異なる刈取処理後の耐冠水性を検討した。(134頁)
考察
キショウブと同じ抽水植物のヒメガマを刈取りによって機械的に防除するには、生育盛期の複数回の刈取処理が必要とされる。米国では、生育盛期の夏季にシュートを地際の0 cmで2回刈取り、冠水深を7.6 cm以上にすると、刈取後翌年の夏季には100%の防除に成功した(Nelson 1966)。ヨシも水面下で複数回刈取れば再生が防げられる(桜井 1991)。そこで本研究では、生育盛期に刈取高と冠水深を段階設定した結果、キショウブは生育盛期に刈取高を1 cm以下とし、冠水深を4 cm以上に設定すれば、1回の刈取処理で再生を防げることが明らかとなった(第4表 )。ヒメガマのシュートの刈取後に枯死に至るメカニズムとして、Sale(1983)やSojda(1993)は、シュートを水面下で刈取ると地下部への酸素供給が困難となり、地下茎の生長力が低下することを述べている。本研究において、キショウブも刈取高より冠水深が深い場合、分げつの刈取面が冠水し、酸素獲得が困難となって、再生が妨げられたと考えられる。耐冠水性を有する植物は、冠水に伴う嫌気的な環境に代謝経路の変化(Fitter et al. 1992; ハルボーン 1981)や、通気組織を離生的もしくは破生的に発達させることで酸素不足に適応している(Fitter et al. 1992)。キショウブは嫌気的条件下においてSOD(Superoxide Dismutase)活性の上昇(Monk et al.1987)、AEC(Adenylate energy charge)によるAT Pの生産(Hanhijarvi et al. 1995)によって冠水条件に耐えることが確認されている。また、嫌気的条件によって誘導される有害なエタノールや乳酸を生成する発酵過程を回避するために、無害なシキミ酸を生合成する代謝経路に変化してAT Pを獲得している(ハルボーン 1981)。しかし、このシキミ酸の集積は休眠期である冬季の湛水状態でのみ確認されており(Mcmanmon et al. 1971)、この代謝経路のAT Pの生産量は非常に少ない(Fitter et al. 1992)。秋季の越冬芽出現期以降は冬季の生育停止期に近づくため、AT Pの生産が少なくて済むことに加え、湛水状態で生育する条件でも徐々に温度が低下するため、夏季ほど嫌気的になりにくい環境下にあると考えられる。ゆえに、本研究において9月の越冬芽出現期に地上部を刈取って酸素の供給が抑制されても、代謝経路の変化で適応が可能な範囲であり、生育盛期と比較して良好に再生したと推察される。また、越冬芽出現期の刈取処理は、刈取高が2 cm以上では翌年の分げつ数を減少させなかったが、花茎の発生については著しく抑制させることが明らかとなった。ゆえに、9月上旬の越冬芽出現期における刈取処理は、キショウブが重点対策外来種として懸念されている近縁種との遺伝的攪乱や、種子散布による分布拡大を防ぐ意味で重要である。本研究は、キショウブに対する刈取りと冠水の効果を分げつ数のみで評価したことから、キショウブの管理については直接、言及できないものの、生育盛期及び越冬芽出現期の刈取処理と冠水条件を組み合わせて活用すれば、様々な状況に応じてキショウブ群落を適切かつ効率的に維持することが可能である。(137~138頁)
※中嶋佳貴・沖陽子「管理指針に必要なキショウブの繁殖特性の解明」(『日本緑化工学会誌』43巻2号、2017年)(下線引用者)
キショウブの自然条件下における分布域拡大には根茎断片の拡散及び種子散布が大きく寄与している。根茎断片は波浪等の自然攪乱、刈取などの管理作業による人為的攪乱によって既存群落から発生し、水流にのって拡散後、漂着して新たに群落を形成する。水位変動等により干陸地に漂着する場合もあるが、根茎断片は大気中に根茎が露出した乾燥条件下でも3ヶ月間生存が可能とされ、再び水位変動や降雨等によって生育に好適な水分条件下におかれると、定着する可能性も十分にある。定着時は1個体の根茎断片であっても翌年は旺盛に抽苔して開花結実するため、開花に至る個体の外部形態を把握しておくことは重要である。(373頁)
外部形態から春季に新鮮重が重く、緑葉数の少ない分蘖は花芽である割合が高く、逆に新鮮重が軽く、緑葉数が多ければ葉芽である確率が高いことが明らかとなった。また、開花に至らない個体は旺盛な生育を示す傾向にあるため、分蘖を刈取れば翌年の生殖生長を抑制することが可能である。
既に日本全土に分布が拡大している現在、根絶を望む考えは現実的ではない。キショウブ群落が他の生物に対して与える生態的影響については今後も検討する必要があるが、環境圧の高い場所において修景を目的とした緑化が期待される場合、キショウブは有用種である。ゆえに、今後の水辺の景観形成の場面では、本研究で明らかにした花芽を有する割合の高い分蘖を活用して、春季に植栽後、開花による美観を速やかに創出することを推奨する。開花後は花茎を切除して種子散布を防ぐとともに、地上部を夏季から秋季に1回刈取って、翌年の稔実朔果数を5割~8割まで減少させる。更なる生殖生長を抑制するためには、刈取り回数を増加するなど検討して、群落の拡大を抑制し、その場で許容される群落を適切に維持することが望ましい。(374頁)
※キショウブを抜きとる(2018年10月月6日記事)
青木ノ入の畑の道端の草刈りをしました。5月中は散策者も多く、ユウゲショウの花を楽しんでいるようでしたので草刈りは延期していましたが、ツボミオオバコが目だってきたので刈りました。東から西に向かっている学びの道が北に向きを変えているカーブです。現在は半分程度がシバ主体になっていますが、草刈りを頻繁に行えば全体がシバになるでしょう。将来的にはここの道端はノシバによる芝地になればと思っています。
ユウゲショウはアメリカ原産の帰化植物。多年生草本であり、観賞用に栽培されていたものが野化したものと思われる。路傍やあぜ道などに点々と生育が見られる。夏から秋にかけ、直径1.5~1.0cmの花をつける。めしべの先は4つに分かれ、十字状になっている。花が美しいので除草されず、また刈り残され、次第に増えつつあるように思う。……
ツボミオオバコは北アメリカ原産の帰化植物である。比較的新しく帰化した植物であり、広く分布したのはここ20年ほどではないかと思う。路傍などにも生育するが、特に新しい公園でよくめだつ。オオバコよりも、乾燥した立地にも生育できる。一年生の草本であり、春から夏にかけて花穂を形成する。和名は、花が開かず、いつまでもつぼみのままのように見えるとの意味である。……一年生草本であるので、まずは子孫を確保する戦略をとっている。……
※鞠子典子・西成典子・鞠子茂「踏みつけ攪乱と被陰ストレスの異なる土地利用タイプにおける在来オオバコと外来オオバコの個体群分布」(『法政大学多摩研究報告』29巻、2014年)
調査対象は在来オオバコ(オオバコ)、外来オオバコ(ヘラオオバコとツボミオオバコ)
調査対象は在来オオバコ(オオバコ)、外来オオバコ(ヘラオオバコとツボミオオバコ)
オオバコ属植物の個体群分布と生育環境
……被陰ストレス耐性のないツボミオオバコは、晩春から初夏にかけて栄養生長・伸長生長を盛んに行い始めた共存種がツボミオオバコを被陰する頃には、その年の生育期間をほぼ終えていた(データ未発表)。ツボミオオバコは遺伝的制約により草丈が低くても、生育開始時期が早く、短期間で開花・結実に到達する生態学的特性を獲得することができる。こうしてツボミオオバコは、他の植物と生育時期をずらした生活史を過ごすことにより、他種による被陰という環境ストレスを回避し、繁殖成功を収めているものと考えられる。……(15頁)
まとめ
在来オオバコと外来オオバコの個体群密度を様々な土地利用タイプで調査し、被陰ストレスと踏みつけ攪乱という2つの環境要因から個体群分布の種間差について解析を行った。その結果、在来オオバコと外来オオバコは同所的に分布する土地利用タイプもあるが、在来オオバコのみ分布する土地利用タイプもあることが明らかとなった。この結果は、たとえ類似したニッチに生育する近縁種の間であっても、種子の環境適応戦略や散布様式などの生態学的特性に僅かでも差異があれば、在来植物と外来植物は住み分ける可能性のあることを示している。今後は、外来植物による在来植物の競争的排除が一方的に進行しない条件を科学的に解明し、雑草リスク評価に反映させていくことも必要ではないかと思われる。……(15頁)
オオバコは日本各地からアジアに分布する多年生草本であり、路傍雑草の代表格である。オオバコは「大葉子」であり、漢名では「車前」という。車のとおるような場所にも生育することに着眼したもので、なるほどと思う。路傍雑草と入っても、やや湿った場所を好み、瀬戸内海気候の岡山では、あぜ道や少し山に入らないとお目にかかれない。果実には粘着性があり、靴などに付着して散布される。……
ヘラオオバコはヨーロッパ原産の帰化植物で、江戸時代には渡来したという。多年生の草本で地下に太い根茎がある。葉は細長く、長さ20cmほどになる。春から夏にかけて高さ30cmほどの花茎をだし、下部から上部へと次々に開花する。生育地は路傍や牧草地、堤防などであり、刈り取りには強いものの、踏みつけには弱い。……
岩殿A地区下の田んぼにシュレーゲルアオガエルの白色の泡に包まれた卵塊が浮いていました。畦の高さがあり畦塗りしていない北側の畦の土中に産卵したものでしょう。シュレーゲルアオガエルは、水田や湿地と樹林地や草地がセットで存在する環境に生息するカエルで、水田の畦や湿地に産卵します。
※田んぼに響くシュレーゲルアオガエルの鳴き声(『十日町市立里山科学館越後松之山「森の学校」キョロロ』YouTubeチャンネル)
※シュレーゲルアオガエルの成長
シュレーゲルアオガエル1(15巻2号、2015年)
オスとメス、産卵、卵のう、卵、オタマジャクシ
シュレーゲルアオガエル2(15巻4号、2015年)
オタマジャクシ、顔アップ、足出る、前足でる、オタマガエル、子ガエル
シュレーゲルアオガエル3(15巻6号、2015年)
子ガエル、顔正面、食事、オスの親、オス2匹、オスガエル鳴く
物子「アマガエルよりもずっと少ないんだ。土屋の方にしかいないみたいね。」
探偵「シュレーゲルアオガエルの場合は、田んぼのあぜの土の中に泡にくるまれた卵を産む。産卵の時期もアマガエルよりも早くて4月から5月にかけてだ。だから、その頃におたまじゃくしが暮らせるような水のある水田が必要なんだ。そういう場所が、今では丘陵地の谷戸田(やとだ)にしか残されていないということだね。」
博「じゃあ、減ってきているカエルっていうこと。」
探偵「その通りだ。シュレーゲルアオガエルの美声をいつまでも聞きたいものだけどね。」
※大澤啓志・勝野武彦「多摩丘陵南部におけるシュレーゲルアオガエル生息の環境条件の把握と保全に関する考察」(『ランドスケープ研究』63巻5号、2000年)
抄録:都市域におけるカエル類の保全を検討するため、多摩丘陵南部においてシュレーゲルアオガエルの鳴き声による個体数把握を行い、各生息地の環境条件との関係を調べた。生息地点は全域で77地点であり、そのうち30個体以上の計数個体数が得られたのは10地点のみであった。水田タイプ毎の個体数密度は過湿田>湿田>乾田の順であり、都市緑地における過湿田・湿田の重要性が示された。また、分散能を考慮した地域個体群としての評価を加えることにより、多くの地点が不安定な状態の個体群であることが示された。得られた結果を基に、本種の生息に必要な整備・管理指針および丘陵全体でのメタ個体群の保全について考察を加えた。
個々の生息地に求められる環境の質
今回の結果において各生息地の個体数密度に最も強く関与しているのは水辺タイプであった。本種は卵塊の乾燥を防ぐため柔らかい土中に穴を掘って産卵するため、毎年くろ塗りが行われる畦や荒起こしをした水田は良好な産卵場所を提供していることになる。特に湿田・過湿田区において面積と計数個体数に正の相関が見られ、過湿田区(2.27個体/0.01ha)が湿田区(0.97個体/0.01ha)よりも高密度に生息していた。
湿田区は圃場整備は行われていないが、山際の水路(素掘りや矢板止め)が水田面より深く掘られて冬季の水田はやや乾いた状態であり、乾田区および過湿田区の中問的な性質を示している。
しかしながら、湿田区において耕起・水入れが季節的に遅くなっても、部分的に湿っているか水田の周囲に水路や湿地が存在する等、湿った環境が残されている場合が多く、乾田区に見られるような負の影響は少ないものと考えられる。このため、湿田区においては過湿田区ほど多くはないが個体数密度はある程度安定している。
過湿田・湿田区(写真1、2)に見られる本種の生息密度の高さは、伝統的な水田耕作が本種の水田における繁殖を安定したものとしてきたことを示している。多摩丘陵南部に残された過湿田・湿田の確保・保全に加えて、伝統的な水田耕作スタイルの維持が都市域における本種の生息に不可欠な要素といえる。
一方、乾田区では生息しないか、個体数密度は非常に低かった。湿地については水域の状態により個体数密度に違いがみられ、「過湿田〉湿田〉乾田」の個体数密度の違いがそれぞれの湿地の状態に対応するものと考えられる。すなわち、個体数密度が高い地点は自然湧水の多い過湿田状の湿地であり、逆に低い地点は湿田から乾燥状態に向かっている湿地といえる。
都市域における本種の保全を考える場合、現状の過湿田・湿田の維持に加えて、新たな生息地としての各種の環境改善や復元・創造が必要となってくる。この場合、湿田(春季の畦塗り、春~夏季の開放浅止水域の確保)あるいは過湿田(加えて冬~春季の湛水:それほど水深をとる必要はなく、薄く水が覆う程度でよい)の状態を水辺の整備あるいは管理指針にすることにより、少ない面積でも高い個体数が確保されるものと考えられる。また、圃場整備が行われ乾田化された水田地区においては、一区画でも早春季から水が入るエリアを設けることが望まれる。これは、乾燥状態に向かっている湿地についても同様である。さらに、水際に沿って浅水域~湿地状の環境を持たせた池(修景池、ため池等)においても、先に示した整備・管理を行うことにより本種の生息地としての利用は可能と考えられる。
生息に必要な樹林規模については、少数の個体数であれば1ha程度の小規模な樹林地でも生息していた。また、3ha未満の樹林地でも30個体以上が得られた地点もみられた。このため、ある一定量以上が確保されればそれ以上の樹林規模は生息数には関与してないものと考えられる。このことは、本種が生息に広い緑地を必要とするような生物(アンブレラ種)ではないことを示しており、都市緑地における本種の生息には有利に作用している。
すなわち本種の非繁殖期の樹林地利用という面からは、中継地(スポット)のような小規模な生息地においては少なくとも1ha程度の樹林地が確保されれば生息は可能であると考えられる。一方で、樹林地の存在は過湿田・湿田を保っのに必要な自然湧水の維持という面も持っている。今回、過湿田・湿田の多くの地点は丘陵斜面(谷戸を含む)と組合わさって存在しており、丘陵樹林地の保水能と斜面下部からの湧水が本種の生息を安定したものにしている。一般に都市域では湧水地背後の自然的土地利用(特に保水力の高い樹林地)と湧水量は正の関係があるため'6'、過湿田・湿田との結びつきから、丘陵地地形(谷戸地形を含む)と斜面樹林地の保全が重要となってくる。すなわち、個体数密度の高い水辺タイプと丘陵地地形および樹林地の組み合わせ(谷部:過湿田・湿田一斜面:樹林地)として保全することが、本種の安定した生息に求められる環境の質といえる。(497~498頁)
過湿田、湿田冬季にも水が抜けない過湿田は、タガラシ、ムツオレグサ、ミズハコベ等が見られ、スズメノテッポウ-タガラシ群集に対応する。山際の水路によりやや乾燥している湿田では.ノミノフスマ-ケキツネノボタン群集に近い群落組成となる。(498頁)
※真保忠治・岸しげみ・柳楽秀治「茅ヶ崎市芹沢柳谷に生息するシュレーゲルアオガエルの繁殖期における生態」(神奈川県立生命の星・地球博物館『神奈川自然誌資料』29号(神奈川県立生命の星・地球博物館、2008年3月)
「くろぬりの有無と産卵の関係」、「産卵と畦の形状、土の硬さ、湿り気、植生の関係」、「産卵位置の調査」等、今後の岩殿入山谷津の活動に活かしたい。
昨日の鳩山アメダスの日積算降水量は7㎜でした。東海地方は16日に平年より3週間早く梅雨入りしましたが、関東甲信地方の梅雨入りはいつ頃になるのでしょうか。無名沼イ号には水が溜まってオタマジャクシも生き延びました。
岩殿A地区の畑にペットボトルに水を入れて持ってきました。ミニカボチャを2株、枯れてしまっているあんどんに植えておきました。
中の田んぼにも水が溜まっています。
入山沼の余水吐け周辺のオオブタクサが堰堤下の岩殿I地区にも広がってきています。キショウブのようににならないよう、見つけ次第抜き取りましょう。
岩殿H地区のイボタノキが花をつけています。周りのヤナギを伐って日当たりがよくなったせいでしょうか。大きくなっています。
二宮さん、加倉井さん、小野さんで入山谷津、入山沼下の植物調査をしました。F地区の作業道寄りの調査枠はセイタカアワダチソウ、カナムグラの下にアシボソがビッシリです。スギナの輝き(排水作用による水滴)。スギナは枝先にある水気孔から、根に水分が多い時や湿度が高い時に、体内の水分を排出します。
草が伸びるのが速いので、草刈りや片付けを急がなければいけないところが何カ所もあります。
無名沼イ号はまた水がなくなっています。毎年、何回か繰り返し、生きものには住みにくい場所になってきました。
アオダイショウ
コチャバネセセリ、ダイミョウセセリ
ヒメシロモンドクガ幼虫?orモンシロドクガ幼虫?
モンシロドクガ(『北海道立総合研究機構森林研究本部林業試験場』サイト記事)
ユウマダラエダシャク
ルリタテハ幼虫
サルトリイバラの葉裏についていました。
ルリタテハ成虫
殿山共同農場の高野さんの仲介で吉見町の農家からコシヒカリの苗12箱をいただきました。児沢探検隊の田んぼに置いています。高野さん、平賀さん、探検隊の皆さん、ありがとうございます。
近くにあった吉見町三ノ耕地遺跡の看板(吉見町教育委員会)
※古墳研究室・埼玉県比企郡吉見町(『吉田カルチャーパーク』2017年7月17日更新記事)
※『ドラポタGWポタリング/比企丘陵古墳めぐり/吉見町埋蔵文化財センター』 hk-7(『上総守が行く!(二代目)』2018年4月30日記事)
※三ノ耕地遺跡 ~埼玉県では最大規模の方形周溝墓&前方後方墳ゾーン/歴史を歩こう協会・比企の古墳めぐり⑧~ 【埼玉県吉見町|2020年1月26日】(『日本史大戦略~日本各地の古代・中世史探訪~』2020年5月18日記事)
※山の根古墳群と三ノ耕地遺跡 吉見町久米田(『週末は古墳巡り』2020年1月15日記事)
須田ゼミの畑。今日はパプリカの苗を植えました。須田先生が種から育てたものだそうです。土を寄せて鞍つきにしてあるカボチャの苗にウリハムシ除けのあんどんを立てました。(→昨年6月14日の記事)
※畑にいたアヤモクメキリガ(ヤガ科)の幼虫。広食性でいろいろな野菜の苗にもついています。
黒い縁取りの白紋、気門は白色で黒い縁取り、気門下線は朱色と白色です。
(→2018年5月3日記事)
代掻き前にできることはしておくつもりで岩殿A地区下の田んぼの高低を均しました。田植え後の水管理の手間を考えると、田んぼの高低をチェックしてあらかじめ、できるだけ高低差を少なくして均平にしておくことが大切さが分かります。大区画の圃場ではレーザーレベラー、GPSレベラーを使って整地作業を実施しているようですが、小さな谷津田では目測で均すしかありません。
削った土は中の田んぼの均平作業に使いました。
翌日(14日)の様子
水が浅くたまっている範囲は広くなりましたが、13日に乾いていたところはやはり周りより高いようです。
※田んぼの土をドロドロにして平らに(『山形味の農園』(山形)サイトから 2017.04.28更新記事)
市民の森保全クラブ定例作業日③。澤田さんは活動広場、ワラビ園、畑の周りの草刈りをしました。
植物調査枠のヤナギの樹液にスズメバチが寄っていました。
シデの幹にいた毛虫はヨツボシホソバ(ヒトリガ科)の幼虫でした。
触ると痛い目にあうそうです。要注意!!
活動広場のシデの株元の地衣類
昨日は上空に流れ込む強い寒気の影響で雨雲が発達、急な雷雨や降雹がありました(鳩山アメダスの日積算降水量は4㎜)。岩殿A地区の下の田んぼの畦塗りをするつもりで出掛けましたが、田んぼの土が一昨日と同様に乾いているので諦め、手をつけるつもりがなかった下と中の田んぼの畦切りをして畦に開いてる穴を塞ぎました。中の田んぼは畦塗りができそうです。
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