岩殿A地区でヒガンバナが咲いています。岩殿で満喫クラブが管理している耕作放棄地でヒガンバナが見られるのはここだけですが、2016年11月に移植したものです。
イノシシが掘り返している岩殿F地区の畔道にも移植しようかと思っていますが、ヒガンバナを「イノシシは基本的には食べないが食べる物がなくなったら食べる」(ブログ『サラリーマン猟師の東京田舎あきる野Life』の記事)ようなのでイノシシの掘り返し対策にはならないかもしれません(2017年1月20日の記事「イノシシが畦を掘り起こす」参照)。
市民の森保全クラブ Think Holistically, Conduct Eco-friendly Actions Locally
プラスチックは川から海へ
危険なマイクロプラスチック
環境ホルモンとは?
このままでは生態系が崩れる
各国のプラスチック対策は?
ここでお勉強
容器包装リサイクル法(容リ法)とは?
プラごみ全体の処理方法は?
拡大生産者責任とは
デポジット制度を広めよう
暮らしの中からできること
テイクアウト用カップもリユースで
政府・自治体に規制を求める
大量生産・大量消費・大量廃棄からの転換を
柔軟剤等に入れるマイクロカプセルは禁止(柔軟剤・消臭剤)
使い捨てプラスチックは禁止
マイクロビーズ入り製品は禁止(ビーズクッション・洗顔料)
発泡スチロール製容器は禁止
飲料容器は徹底削減。使用分はデポジット制度で回収
拡大生産者責任を徹底
メーカーや小売店にも要請しよう
リユース容器入りの製品を増やす
消費者が容器を持参して買えるように
カプセルやビーズなどプラスチックの材質表示を徹底
店内に「脱プラ」コーナーを作る
落ちると生物が食べるため、ペットボトルのキャップは本体から外れないように設計変更
化学物質にさらされる
……例えばペットボトルのフタは柔らかいポリエチレン製で劣化しやすいので、ノニルフェノールという添加物が使われている場合があります。各国のミネラルウォーターのフタを分析すると、半分以上で検出されます。食品保存袋やビニール手袋にも含まれ、とくに安価な中国製や東南アジア製には多いのです。ノニルフェノールは「環境ホルモン=内分泌かく乱物質」の1つで、生物の性や生殖に関する障害が起きます。また免疫力の低下、アレルギーや肥満などの原因になるとも言われます。
紫外線吸収剤にも内分泌かく乱作用が疑われる物質があり、日本のペットボトルのフタでは、調べたすべての製品から検出されました。……例えばペットボトルのフタの添加物は使う段階で、我々の体に直接的に曝露しないよう一応選ばれています。しかし、プラを取り込んだ魚を食べれば間接的に曝露され、しかも体内に残る。これが怖いところです。
近年、各地でペットボトルの散乱が報告されている。飲料容器の散乱については、1970年代から1990年代にかけて「空き缶公害」が問題視された際、ローカルデポジットの導入が試みられた。しかしそれは全国に波及するに至らず、解決策にはならなかった。1995年、国はごみ減量とリサイクル促進を目的に、容器包装リサイクル法を制定した。同法によりリサイクルは促進されたが、散乱ごみ問題は解決されなかったと考えられる。同法には生産者にも消費者にも自治体にも回収促進のインセンティブは与えられていない。このため、散乱ごみ対策としては根本的に限界をもつ。本稿は、こうした経緯を検証することで、ペットボトル散乱問題の解決の糸口を探る。
●樹木の葉を食べる
ヤママユガ科の蛾は、すべての種類で幼虫が樹木の葉を食べることが知られています。主な食樹としては、ブナ科、クスノキ科、ニガキ科、ミカン科、カバノキ科、ニレ科、カエデ科、ウルシ科、ミズキ科、クルミ科、エゴノキ科、バラ科などに属する樹木が挙げられ、多くの場合、何種類もの樹木をエサとする「多食性」で、「単食性」の種類は少ないと言われています。
市内で記録されている7種類は、いずれもクヌギ、コナラ、クリといったブナ科の樹木を好み、そのため、それらが多く生育する雑木林で多く見られます。針葉樹を食べる種類は知られておらず、実際、スギの植林地などではヤママユガ科の蛾を見ることはありません。
●雑木林が生活の場
ヤママユガ科の蛾は、成虫になるとエサを取ることがなく、口も退化します。ということは一生の間でエサを取るのは幼虫の時期だけということになりますから、生活の場所も必然的に幼虫のエサがある場所ということになります。市内の場合、雑木林がその場所にあたります。
市内のヤママユガ科の一生は、そのほとんどを雑木林に依存しています。卵を産み、幼虫が育ち、マユをつくってサナギになるのは雑木林で、成虫だけが時に林の外に出て街燈などに飛んで行きますが、それでも卵を産む時は再び雑木林に戻ります。雑木林という場所は、それだけでひとつのまとまった環境と見ることができ、雑木林だけで見られる動植物が多く知られていますが、市内のヤママユガ科の蛾もそんな動植物のひとつとして見ることができるわけです。
●市内のヤママユガ科の今後
かつては、市の中部の住宅街でも、街燈に飛来する大きなヤママユガ科の蛾が見られたといいます。最近では、そういうこともなくなってしまいましたが、その理由は、やはり雑木林の減少に求めることができそうです。
今でも大町や大野町、柏井町一帯にはまとまった雑木林がありますが、市の中部に近いあたりでは、雑木林は少しずつ姿を消し、あるいは分断されたり規模が小さくなったりしています。翅があって飛ぶことができるとはいっても、ヤママユガ科の蛾の移動能力など知れています。生活の場となる環境が失われれば、ひとたまりもありません。
広範囲に林が残っている大町公園でも、ヤママユガ科の蛾を見る機会は、年をおうごとに減ってきています。かつては、夏になると動物園の建物に、毎朝のようにヤママユガ科の蛾がペタッと止まっている姿が見られました。大町公園の施設自体が林を切り開いてつくられたものなのであまり大きなことは言えませんが、この数年、減少傾向にあるという感じは否めません。ヤママユガ科の蛾には、ただ「大きい蛾」というだけではなく、雑木林という環境を指標する指標生物としての役割も期待できそうです。
高槻成紀『唱歌「ふるさと」の生態学 ウサギはなぜいなくなったのか?』目次
1章 「故郷」を読み解く
2章 ウサギ追いしー里山の変化
1 ウサギの思い出
2 茅場ーウサギのすむ場所
3 かつての里山
4 変貌した里山
5 里山のもうひとつの変化ー都市化に呑み込まれる里山
3章 小ブナ釣りしー水の変化
1 小ブナ釣りしー故郷の川
2 川の変化
3 もうひとつの脅威ー農薬
4 さらなる脅威ー外来生物
5 水は清き
4章 山は青きー森林の変化
1 林業と社会
2 林学と林業―四手井氏による
3 森林伐採と森林の変化
5章 いかにいます父母―社会の変化
1 人々への思い
2 社会の変化
3 志を果たして
6章 東日本大震災と故郷
1 東北の里山を訪ねて
2 東北の動物たちに起きたこと
3 原発事故から考える日本の里山の将来
7章 「故郷」という歌
8章 「故郷」から考える現代日本社会
1 「故郷」と社会
2 「故郷」に見る日本人の自然観
サルよりも少し遅れて、しかし今やサルよりもはるかに深刻な問題を抱える里山動物になったのがシカ(ニホンジカ)である。※動物の生息地としての里山の特徴(同書50~54頁)
昭和50年くらいまで、野生のシカを見たことのある人はきわめて限定的であった。シカといえば奈良公園や安芸[あき]の宮島で人から餌をもらうものしか知られていなかった。私はシカの研究をして来たが、1992年に『北に生きるシカたち』という本を書いたとき、編輯者は「シカが増えているって本当ですか」といぶかしげであった。それほどシカが増えていることは知られていなかった。だが、今や、たとえば東京の奥多摩に行けば、山中にシカの痕跡を見ない場所はない。それどころか広く関東地方の山地にはシカが溢れているという状況である。
ここでもシカという動物の性質と里山のことを考えてみたい。シカはオスは80キログラムほど、メスは50キログラムほどの大型獣で、1産で1頭の子しか産まず、警戒心が強いから、大きさや繁殖力、行動特性では里山の動物の条件を満たさない。
そのようなシカがなぜ里山で増加したのであろうか。もともとシカは里山にはおらず、かといって、クマやカモシカのような典型的な奥山動物でもなく、山から丘にかけての里山に近い部分の森林に生息していた。そして、そういう森林の、鬱蒼とした林内よりは、林の縁など下生えの植物が豊富な場所を好む。そして危険を感じると林内に逃げ込むという行動をとる。里山には林縁が多いから、シカはもともと里山に侵入する潜在力をもっているといえる。それが実現した最大の要因は、臆病なシカが怖がる人の存在がなくなったためである。
その上で、里山以外を含む近年のシカの増加はだいたい次の三つで説明されることが多い。
ひとつは森林伐採によって食料が増えたというものである。シカの性質を考えれば、戦後に森林伐採がおこなわれたことはシカに有利になったとはいえるだろう。だが、森林が伐採された時期とシカが増加した時期には数十年の時間差があり、最近のシカの急増は十分に説明できない。
もうひとつは、暖冬と子鹿の死亡率による説明である。地球温暖化によって暖冬が多くなった。シカは1産1子であるといったが、2歳の秋には妊娠し、その後ほぼ毎年妊娠する。これはサルが5歳くらいから繁殖するようになって、1年おきに妊娠するのと大きな違いである。したがってシカの新生児はたくさん生まれるのだが、最初の冬に死亡する子鹿が多い。その子鹿が暖冬によって生き延びると、シカ集団としては増加することになる。このことも事実であるが、シカの増加は雪の少ない南日本でも起きており、全国のシカの急増を説明できない。
第3の説明は、オオカミがいなくなったからだというものである。しかしオオカミが絶滅したのは20世紀の初頭であり、1990年くらいから急に増えたことの説明にはならない。
これらの説明に対して北海道大学の揚妻直樹[あげつまなおき]氏は里山の変化こそがシカを増加させたのだとする。揚妻氏は、里山に活気があった時代、森林は薪炭林としてさかんに伐採され、明るく下生えが豊富であったのに対して、農業地帯は徹底的な管理によって地上植物は非常に乏しかったとする。最近の小椋純一[おぐらじゅんいち]氏の検証などによると、私たちがなんともなくもっている「昔の日本の農地は豊富な緑に溢れていた」というイメージは正しくなく、草原的な貧弱な植生であったといい(小椋、1996[『植生からよむ日本人のくらし、明治期を中心に』])、揚妻氏の見解を支持するようだ。重要なことは、農耕地一帯ではこまめに草刈りがおこなわれ(里山の特徴①-集約的な植生管理)、また農作物はよく監視されて、シカにとって接近しづらく(里山の特徴③-被害防除)、山の森林の下生えは豊富であるというかつての関係が、農耕地は手入れされなくなって藪状態になり、草本類や低木類が増加した一方で(里山の特徴①-集約的な植生管理の崩壊)、森林は木が育ち、また針葉樹の人工林が増えて暗くなり、下生えが貧弱になることで、シカにとっての山と里の資源環境が逆転し、シカが山よりも里に降りざるをえないという状況が現出したということである。揚妻氏はこのことと同時に、シカが採食行動を変化させることも見逃してはならないと指摘しており、その見解は傾聴に値すると思う。
いずれにしても、シカは今や里山にたくさんいることになった。とくに牧場があると、シカにとっては理想的な環境となる。というのは牧草は牛を肥育するために品種改良され、栄養価が高く、消化率がよく、春早くから秋遅くまで生育するし、日本の牧場は小規模で森林に接しているから、シカは牧場で牧草を食べ、危険を感じれば森林に逃げ込むことができるからである(里山の特徴⑥-モザイク構造)。シカがひとたび里山にすみつけば、大型であり、群れで生活するから、農作物も、牧草も、周辺の群落も強い影響を受けることになる。(72~75頁)
気候変動による影響が疑われる現象の一つとして、ニホンジカの急増が挙げられます。埼玉県内のニホンジカ捕獲頭数は、1990年度は114頭でしたが、その後急増し、2016年には3000頭を超えました。全国的にもニホンジカの増加や分布拡大が起きていますが、それらに温暖化が寄与していることが指摘されています。ニホンジカは大型草食ほ乳類で、様々な植物を大量に食べるため、個体数の増加が自然の植生に大きな悪影響を与えています。埼玉県と山梨県の県境の亜高山帯には、シラビソ・オオシラビソの針葉樹林帯が広がっていますが、広い範囲で皮を剥いで食べる被害が発生し、森林衰退も起きています。下層植生も広く食害し、スズタケなどササが衰退する一方で、ハシリドコロやトリカブトといった有毒植物のみが残る林も増加しています。さらに、ニホンジカの増加とともに、ササなどの植生を好む鳥類のヤブサメやウグイスなどが減少するとの報告もあります。この様に、植物だけではなく、動物への影響も懸念されています。
一般家庭から週一回、所定のゴミ集積所(クリーンステーション)に出される「プラスチック類」は2種類(プラマーク付のプラ①とプラマークなしのプラ②)です。今日はプラ①(プラスチック製容器包装物)資源化の行方を訪ねてをテーマに、市内集積所から運搬回収された「プラスチック類」を一時保管する西本宿不燃物等埋立地と栃木県下野市の西坪山工業団地にあるリサイクル事業者(再生処理事業者)ウィズペットボトルリサイクル株式会社栃木工場を見学しました。栃木工場では西本宿からトラックで搬出されてきたゴミ袋を破いて中身を抜き出し、異物を取り除いてリサイクルできるものとできないものとを選別し、圧縮・梱包した「ベール品」を一時保管する中間処理工場です。
ヤギは牛・羊に比べてグルメじゃない!?
―ところで、日本ではなぜ今急にヤギの除草作業がこんなに注目されるようになったのでしょうか?
「ひとつには耕作放棄地の問題があると思います。これを管理するために牛、ヤギ、羊を活用することが検討されました。ただ 実際に除草作業をさせてみたら、牛と羊は思ったほど雑草を食べてくれなかった。彼らはやはりどうしても、柔らかい牧草を好むのですね。これに対して、ヤギはあまりえり好みしないで食べてくれる」
―つまり、好き嫌いがない?
「ここ (学内の傾斜地) は笹も多いんですが、ヤギだとこういう固い草も好んで食べてくれます。牛だとこうはいきません。雑草を食べさせようと思って放しても、やせ細って弱るまであまり喜んで食べません。人間の方が根負けしてエサをくれるのを知っているのかも」
―うーん、そこまで牛に読まれている ……。
「それとヤギは高い所も難なく上って行きますから、傾斜地の多い日本の地形に合っているのです。ヤギは基本的に高い所が好きなんですよ。たとえば、机の下より上が好き。慣れれば人間の肩にも乗ります メスだと成ヤギでも 60キロくらいですから、たいしたことはありません。牛はその10倍以上体重がありますから、乗られたら大変ですけど ……。というわけで、牛はそう簡単には扱えません。こんな風に係留しようと思ったら、ものすごく頑丈な杭が必要になります。たぶん、大きな機械で打ち込まないとダメでしょう。ちょっとやそっとの杭なら、抜いてしまいますから」
というわけで 都市部で除草作業に使うとすれば断然、ヤギに軍配が上がる。たしかに団地の中や河川敷でいきなり牛を見かけたら、ふつうは驚く。誤って道路にでも出たら大騒ぎである (注:牛を同じように放牧する際は電気柵を使用することが多い)。
都会でヤギを飼いたい人はこれに注意すべし!
―除草作業に有効とはいえ、都会で家畜を飼うのはなかなか大変そうですね。そのためか日本でもアメリカでもヤギのレンタル事業が出てきています。ネットで調べるとヤギの草刈りはエコロジーだということでアメリカでも大変人気のようです。
「じつは時々一般の方からも相談の電話がかかってきます。家の庭でヤギを飼いたいのですが、どうしたらいいでしょうか、と」
――えっ、一般の方からですか?
「それも 普通の建て売り住宅で20坪くらいの庭に芝が生えているのでそこで飼いたい、と。 まあ 大きさは大型犬とそう変わりませんし、価格も数万円程度ですから飼って飼えないことはないんですが …… いろいろと問題はあります。一つは鳴き声。住宅密集地だとやはりご近所迷惑になります。それと、ヤギ特有の臭いも若干ある。気にならない方は気にならないんですが。それと糞尿の問題ですね。これは一頭あたり1日 1キロくらいは出ますからこの処理をどうするか、でしょうね」
――どうするのでしょう?
「もちろん自治体のゴミ収集袋に入れても持っていってはくれません。特殊ゴミ扱いになります。埋めた場合、長く飼うとなると衛生問題になる可能性が出てきます。それでも飼われますか、と聞くと諦める方が多いですね。地方など広い庭をお持ちで、そこの草をヤギが食べてもいいのなら、飼うことは不可能ではありません。ただしその場合も以下のことは注意された方がいい。ヤギは牛や豚と同じように家畜伝染病予防法の適用を受けますので、飼う際は事前に各地の家畜保健衛生所 (獣医師免許を持つ家畜防疫員がいる) に届け出る必要があります」
安部氏[玉川大学農学部安部直重教授]によれば、ヤギは1日 3キロの干し草があれば生きていけるそうだ。それを貯蔵飼料でまかなうとすれば、まずは刈っておいた雑草を干し草にして、トウモロコシの茎を細かく切って袋詰めしておく。すると発酵して腐らなくなる。要するに「サイレージ」である。
自分で作るのはとても無理だという方は農協に行けば 20~30キロ単位で牧草の干し草を販売しているので、それを購入しても良いかもしれない。1日あたりに換算するとだいたい200円くらいのエサ代で済むそうだから、これもペットよりは安い。
糞尿の問題に関して少し補足すると、雑食の鶏や豚に比べれば、草食動物であるヤギの糞はそれほど臭くない。実際にこの目と鼻で確認したが、臭いはあまりなく、見た目もコロコロしている。印象としてはウザギの糞を少し大きくした感じだ。牛も同じ草食動物のため本来は臭くないはずなのだが、こちらは量が多いのと水分を多量に含むため、どうしても臭く、見た目も汚らしくなってしまうのが難点である。
以上の点を考慮し、それでもヤギを飼われる場合はどうぞ自己責任でご判断いただきたい。
1. ヤギの起源と品種
1.1 ヤギの起源と飼養頭数の推移 中西良孝
1.2 ヤギの品種と文化
1.3.1 品種 藤田 優
1.3.2 文化 藤田 優・中西良孝
2. 世界と日本のヤギの生産システム 塚原洋子
2.1 多目的生産システム
2.2 乳生産システム
2.3 肉生産システム
2.4 日本のヤギ生産
3. ヤギの特徴 中西良孝
3.1 行動特性
3.2 栄養生理
3.3 繁殖
3.4 病気
3.5 除草家畜としての利用
3.6 実験動物としての利用
4. ヤギの管理 中西良孝
4.1 環境管理
4.2 行動管理
4.3 舎飼いと放牧
4.4 一般管理と特殊管理
5. ヤギの栄養 塚原洋子・林 義明・飛岡久弥
5.1 体成分
5.2 消化と吸収
5.3 代謝
5.4 養分要求量と飼養基準
6. ヤギの飼料 今井明夫・中西良孝
6.1 飼料の種類
6.2 飼料の調製と貯蔵
6.3 飼料の評価
6.4 飼料衛生
6.5 未利用資源の活用
7. ヤギの繁殖 名倉義夫
7.1 雌の繁殖
7.2 雄の繁殖
7.3 最新技術
8.1. 乳生産 中川敏法・河原 聡・川村 修
8.1 泌乳生理
8.2 搾乳,離乳および乾乳
8.3 乳成分
8.4 乳の加工
9. 肉生産 竹之山愼一・河原 聡
9.1 産肉生理
9.2 肉成分
9.3 肉の利用・加工
10. 毛・皮生産 河原 聡
10.1 毛の利用
10.2 皮の利用
11. ヤギの遺伝 峰澤 満
11.1 遺伝子(型)から表現型へ
11.2 質的形質の遺伝
11.3 毛色の遺伝
11.4 角の遺伝
11.5 間性(半陰陽)
11.6 量的形質の遺伝
11.7 ヤギのゲノム研究と利用
12. ヤギの育種と改良
12.1 ヤギの改良増殖目標 名倉義夫
12.2 選抜の考え方 名倉義夫
12.3 登録と能力審査 羽鳥和吉
13. ヤギの疾病と衛生 白戸綾子・飛岡久弥
11.1 健康管理と疾病
11.2 衛生対策
13.3 放牧を前提とした衛生対策
14. ヤギ生産と環境問題 髙山耕二・中西良孝
14.1 有畜複合農業における位置づけ
14.2 糞尿処理
14.3 環境問題
15. ヤギをめぐる最近の研究と課題
15.1 ヤギの行動生態学 安江 健・中西良孝
15.2 耕作放棄地等の植生管理 的場和弘・今井明夫
15.3 学校教育におけるヤギ飼育とアニマルセラピー 今井明夫・安部直重
索引
「環境にやさしい買い物キャンペーン」の目的県民が快適な生活環境を享受するためには、廃棄物の減量化と適正処理を図り、循環型社会を構築することが求められており、県民、事業者及び行政が一体となって、廃棄物の排出抑制(リデュース)、再使用(リユース)、再生利用(リサイクル)の「3R」を県全体に広げていく必要があります。循環型社会の構築に向けては、消費者の環境意識をいかに実際の行動に結びつけるか、ということが従来からの継続的な課題となっており、そのためには、県民一人一人の環境についての理解を深めるとともに、循環に配慮した持続可能なライフスタイルへの変革を促することが重要となります。そのため、3R推進月間に行う取り組みの一環として「環境にやさしい買い物キャンペーン」を実施します。
はじめに第一章 樹木図鑑を作るわけ
◇葉っぱスキャンの発見
055-5/]/日本各地の森を巡る
◇僕の樹木独学スタイル
使えない樹木図鑑/バイブルとの出会い[『樹木』(保育社 検索入門シリーズ)]
◇就職活動
夢探しの時間/転機を招いた樹木の資料作り/森づくりの活動
◇樹木鑑定サイトの開設
誕生秘話/全国から寄せられる鑑定依頼/「このきなんのき」から広がった
◇樹木図鑑を作る
三度目の売り込み/画期的な図鑑を作る/図鑑を作り続ける
☆葉の心理テスト第二章 葉の形の意味を考える
◇ギザギザのある葉とない葉
どっちが普通?/ギザギザは何のためか?/全縁の葉と気温の関係
◇切れ込みのある葉とない葉
歳をとると丸くなる?/風を通すための切れ込み/それ以外の可能性
◇羽状複葉のメリット
羽状複葉はどこで見られるか/プランターでの観察/所変われば葉も変わる/常緑樹と落葉樹
◇対生と互生
2種類の葉のつき方/ウツギ類はなぜ対生の低木が多い?/互生する葉
◇不分裂葉の形
普通の形の葉/倒卵形の葉/不分裂葉という用語
◇大きな葉と小さな葉
大型化する葉/大きな葉をつける木/小さな葉をつける針葉樹
◇葉の蜜腺
葉から出る蜜/アカメガシワの戦略/アリを住まわせるマカランガ/アリと植物はどっちが賢い?
☆花の心理テスト第三章 植物と動物の絶妙な関係
◇沖縄の木にぶら下がる”危”ない板
○危の板とミカンコミバエ/不妊化されたウリミバエ/なぜオスは誘引されるのか
◇クマのいる森
緊張のクマ遭遇体験/異常なベースで殺されるクマ/クマが絶滅するとどうなる?/タネを運ぶクマ/九州のクマとサクラ/クマがつくる環境/クマと共存するために
◇シカの多すぎる森
森の異変/シカと植物のせめぎ合い/シカ被害の“先進地”丹沢山地/なぜシカは増えたのか?
◇鍵を握るオオカミ
なぜオオカミは絶滅したのか/イエローストーンのオオカミ再導入/日本へのオオカミ再導入の可能性/知らないものに抱くイメージ第四章 人間は自然の中か外か
◇植物は人間を意識しているか
紅葉はなぜ美しいのか?/庭の園芸植物は作戦成功?
◇自然は保護するものか
人間は木の実を食べてはいけない?/「自然保護」への違和感/共存orコントロール
◇天敵のいない島
ウサギとヤマネコ/無人島のヤギ/人間のコントロール
あとがき
僕が育った庭/姿を変えた裏山/大好きな海
シカはなぜこんなに増えたのだろう?
……まずは、シカ本来の生息地である低地の森林や草原を、人間が開発しつくしたことから考えたい。シカといえば、山の動物と思われがちだが、江戸時代の初期には、平野部の草原や田畑周辺、雑木林などに多く生息していたといわれる。当時の関東平野にはススキなどの広大な草原があり、将軍・徳川秀忠や家光は、東京の板橋で毎回数百頭ものシカを狩ったという。今の関東平野はどうだろう?世界最大といわれる市街地がどこまでも広がり、郊外は農地で埋め尽くされている。点在して残った雑木林や河原の林は、市街地や道路、鉄道、堤防などの人工物に囲まれ、シカが棲む連続的な森林と草原が広がる環境がほとんど見当たらない。シカは山へと追いやられたのだ。
明治時代の前後で、シカの個体数と狩猟をめぐる状況も大きく変化したといわれる。明治維新で食肉文化が持ち込まれ、シカ肉が普及した上、シカの毛皮や角も利用価値があったため、銃の普及とともにシカは多く狩猟され、乱獲で個体数が著しく減っていったようだ、
昭和に入ると、今度は戦後の復興特需で山にスギ・ヒノキが大量に植林され、日本の森林の4割は人工林に変わった。さらにその後、日本は政策転換して木材輸入を自由化したため、海外から安い木材が大量に輸入されると国内の人工林は次々放棄され、シカの食べる林床植物やエサ場となる伐採跡地もますます減ることになった。これに前後して、戦後から各地でシカの狩猟禁止が広がり、シカを保護する政策へと転換した。そして、昭和後期、1970年代にシカの個体数はかなり回復し、平成に入る1980年代後半から、今度はシカによる農業被害や植生被害が顕著になり始めたのだ。シカは人間に居場所を追われつつ、生息環境を変えてきたと言えるだろう。
一つ知っておきたいのは、江戸時代~昭和初期は、燃料(薪[まき]・炭)や建材、茅[かや]、食料、肥料(落ち葉)の大半は国内で自給していたため、ハゲ山や草原が相当多かったことだ。反対に今は、使われなくなった里山や畑に次々と植物が茂り、大規模な川の氾濫[はんらん]や土砂崩れの発生も抑えられているので、かつてないほど森林化が進んでいる。シカが増えて森林を衰退させる現象は、減りすぎた草原環境を取り戻す作用と考えられなくもない。
いづれにせよ現代は、シカ肉はほとんど食べられなくなり、毛皮や角の用途も激減し、シカの需要は大きく減った。そのため、猟師の収入も数も減少し、高齢化し、シカ猟が解禁されても積極的な狩猟がおこなわれなくなったことも、シカ増加の要因といわれている。
これに対し、国は若者向けに狩猟の魅力をアピールしつつ、シカの駆除を進め、全国で年間60万頭ベースで捕獲(狩猟を含む)し、食肉利用(ジビエ)も進めている。北海道産エゾシカのハンバーガーやステーキのように、一定の普及効果も感じるが、現実にはシカの食肉利用は1割弱で、大半のシカは森に捨てられているという。巨大な死体の大量放置は、倫理的な問題に加えて、新たな生態系の変化を起こすリスクをはらむ。シカの死体はクマを強く引き寄せ、クマの栄養状態を向上させ、近年のクマ急増を助長している可能性も指摘されている。国は毒エサ(硝酸塩[しょうさんえん])によるシカの駆除実験にも取り組み始めているが、自然の循環に組み込まれない対処療法は、同様に別の問題を引き起こすだろう。
また、温暖化もシカの増加を後押ししていると考えられている。雪に弱いシカは、積雪地では細い足が埋もれて身動きできなくなってしまうため、過去にも大雪で大量死したことが知られている。しかし、近年の急激な温暖化で積雪が減少し、これまでシカが分布していなかった北日本の日本海側や、標高2000メートル以上の高山にも、次々とシカ(イノシシも)が姿を見せ始めている。シカの食害によって、尾瀬のニッコウキスゲ、日光のシラネアオイといった象徴的な花が壊滅的に激減し、南アルプスのシナノキンバイやハクサンイチゲのお花畑が姿を消し、そこをエサ場にする天然記念物のライチョウ(雷鳥)も絶滅が危惧されるようになった。
日本の生態系にとって未知なる経験が、今次々と進行しているのである。
共存orコントロール
こうして人間と自然の関係をいろいろ考えていると、両者の付き合い方には、大きく二つの価値感があることに気づき始めた。「自然を理解し共存する」という考えと、「自然を制御しコントロールする」という考えだ。前者が「自然の中」に身を置き、後者が「自然の外」に身を置く考え方ともいえるだろう。
例えば、クマやオオカミと人間がうまく共存する術を探る手法は前者で、クマやオオカミなど危険生物は排除して、シカやイノシシの個体数は人間が管理する手法は後者である。絶滅したオオカミを再導入する行為は、両者の中間かもしれない。人間がコントロールしながらオオカミを導入し、共存へと導く手法だからである。
……完全なる制御とコントロールを推し進める社会では、“迷惑生物”の撲滅運動が起きるかもしれない。まず、人間に必要な動物は、ウシ、ブタ、ヒツジなどの家畜とペットだけだから、オオカミや熊はもちろん、シカやイノシシも絶滅させよう。さらに、遺伝子組換えでカを絶滅させる試みのように、マムシ、ハブ、スズメバチ、ムカデ、ゴキブリ、ナメクジ、ヒルなど、危険生物や不快生物はとことん絶滅させたらどうか。海の中なら、サメ、有毒のクラゲ、ガンガゼ、オコゼ、イモガイあたりはぜひ絶滅させてほしい。植物なら、ウルシ科、イラクサ、シキミ、ドクウツギなどの毒やかぶれ物質をもつ植物をはじめ、手を切りやすいススキや、駆除が難しいクズあたりも、絶滅させる候補に挙がるかもしれない。もちろん、毒キノコや各種病原菌だって絶滅させた方がいいだろう。
これらのありふれた迷惑生物を絶滅させるとどう悪影響があるのか。今の科学では正確に推測できないだろう。しかし、間違いなく生態系の一部が崩れて、何らかの別問題が発生し、そこにまたコントロールの必要性が生じることだろう。
ちなみに、シカが全くいない森は、シカが多少いる森に比べて、虫の種類がやや少ないという。大型のサメを乱獲したアメリカ東海岸では、ホタテやハマグリが大きく減少して漁業に悪影響が出た。それがなぜか、わかるだろうか? シカがいなくなると、シカへの防御機構をもつ植物や、シカが作った草地に生える植物が、他の植物との競争に負けて姿を消し、それを食草としていた虫や、シカのフンや死体を食べていた虫もいなくなるのだろう。サメの例では、大型のサメを駆除したことで、その餌食になっていたエイが増え、そのエイが好むホタテ、ハマグリなどが大量に食べられたためと推測されている。
目障りな生物をすべて絶滅させれば、人間にとってユートピア(理想郷)のような世界が訪れる可能性もゼロではないだろうが、生物の多様性は連鎖的に低下し、思わぬ環境変化が起こるリスク、アレルギー(雑菌などが少ない潔癖[けっぺき]な生活が一因との説がある)のような新たな現代病に悩まされるリスク、危険や不快感に対する適応力を失ってしまうリスクなどを常に抱え、改変した自然をコントロールし続けることに大きな労力を費やす社会になる可能性が高いだろう。
世界中の先住民たちは、経験的、感覚的に自然を理解し、自然と共存しながら持続可能な自給生活を続けてきたはずだ。それが、急激に経済成長を始めた国から順次、自然を制御しコントロールしようとする価値感に急激に転換していった。そして、自然破壊と文明発展が進むと、今度は科学の力で自然への理解を深め、自然をコントロールする技術も高めつつ、再び自然と共存する道を探る段階に来ているように見える。